特許第6254455号(P6254455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254455
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】空間線量の監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/16 20060101AFI20171218BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20171218BHJP
   G21F 9/00 20060101ALI20171218BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G01T1/16 A
   G01T1/167 C
   G21F9/00 Z
   G01T7/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-31668(P2014-31668)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-155875(P2015-155875A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】川端 淳一
(72)【発明者】
【氏名】間宮 尚
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕之
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−147270(JP,A)
【文献】 特開2001−249183(JP,A)
【文献】 特開2004−301798(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0321622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/16
G01T 1/167
G01T 7/00
G21F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置位置が固定された第1の放射線計測器で放射線の空間線量を計測する第1の計測工程と、
前記空間線量が所定値以上であった場合に、前記第1の放射線計測器の計測可能範囲に基づいて前記放射線の線源位置と推定される推定領域を対象として、二次元計測が可能な第2の放射線計測器で放射線の空間線量を計測する第2の計測工程と、を有し、
前記第1の放射線計測器及び前記第2の放射線計測器はいずれも屋内で使用され、
前記第2の計測工程では、前記屋内の天井に設けられた案内構造に従って前記第2の放射線計測器を前記推定領域の計測が可能な位置に案内する、空間線量の監視方法。
【請求項2】
前記第1の放射線計測器は、2以上の方向を識別可能な放射線到来方向計測器である、請求項1記載の空間線量の監視方法。
【請求項3】
前記放射線は、ガンマ線であり、
前記第2の放射線計測器は、ガンマカメラである、請求項1又は2記載の空間線量の監視方法。
【請求項4】
前記第2の計測工程では、前記推定領域を複数の計測単位に分けて前記計測単位ごとに空間線量を計測し、
前記計測単位の広さは、前記第2の放射線計測器の計測可能範囲以下である、請求項1〜のいずれか一項記載の空間線量の監視方法。
【請求項5】
前記第2の計測工程では、複数の前記第2の放射線計測器を使用する、請求項1〜のいずれか一項記載の空間線量の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間線量の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性廃棄物を処分するための前処理として、放射性物質に汚染された土や草木等を分別し廃棄物を減容化する作業が行われている。この作業環境においては、作業者の安全及び安心の観点から放射能モニタリングを行うことが強く望まれる。
【0003】
ここで、放射能モニタリングの技術としては、エリアモニタリングが知られている。エリアモニタリングとは、計測対象域において連続的に放射線の空間線量を計測し、所定値以上の空間線量を計測した場合に警報を鳴らすというものである。
【0004】
また、放射線の空間線量を二次元計測する技術として、ガンマカメラ及びこれを用いたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。ガンマカメラを用いれば放射線の空間線量を面的に把握できるため、放射線源の位置及びその放射線強度を視覚的に認識することが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−33009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次元計測が可能な放射線計測器は一般に高価であるうえ、計測視野が限定されており、その視野を一つの「面」として計測するにも時間がかかる。このため、所定値以上の空間線量を発生させる放射能の有無が不明である作業環境について、その敷地全体の空間線量を連続的に監視するには、計測器の設置及び運用のためのコストが膨大となってしまう。
【0007】
そこで本発明は、二次元計測が可能な放射線計測器を低コストで効率的に運用することができる、空間線量の監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、設置位置が固定された第1の放射線計測器で放射線の空間線量を計測する第1の計測工程と、空間線量が所定値以上であった場合に、第1の放射線計測器の計測可能範囲に基づいて放射線の線源位置と推定される推定領域を対象として、二次元計測が可能な第2の放射線計測器で放射線の空間線量を計測する第2の計測工程と、を有する、空間線量の監視方法を提供する。
【0009】
これによれば、所定値以上の空間線量が第1の放射線計測器で計測された場合にのみ、二次元計測が可能な第2の放射線計測器を使用することになる。しかも、第2の放射線計測器による計測は、第1の放射線計測器の計測可能範囲に基づいて放射線の線源位置と推定された推定領域を対象とするため、使用する第2の放射線計測器の台数が少なくて済み、且つ、所定値以上の空間線量を発生させる放射能がないのに計測してしまう「空打ち」が大幅に抑制される。従って、本発明によれば、二次元計測が可能な放射線計測器を低コストで効率的に運用することができる。
【0010】
ここで、第1の放射線計測器は、2以上の方向を識別可能な放射線到来方向計測器であることが好ましい。これによれば、第2の放射線計測器による計測対象である上記推定領域を特定する精度が高まる。
【0011】
また、放射線は、ガンマ線であり、第2の放射線計測器は、ガンマカメラであることが好ましい。ガンマカメラは放射線の空間線量を面的に把握することに優れているため、放射線源を視覚的に特定することが容易である。本発明は、ガンマカメラを使用する場合にも適用できるものである。
【0012】
また、第1の放射線計測器及び第2の放射線計測器はいずれも屋内で使用され、第2の計測工程では、屋内の天井に設けられた案内構造に従って第2の放射線計測器を推定領域の計測が可能な位置に案内することが好ましい。これによれば、第2の放射線計測器による計測に際し、第2の放射線計測器は天井に設けられた案内構造に従って、上記推定領域の空間線量を計測するべく案内されるので、第2の放射線計測器が作業者や作業機械の障害になることがない。また、天井付近から計測できるために放射線源が物陰や人影に入りにくく、計測精度が高い。
【0013】
第2の計測工程では、推定領域を複数の計測単位に分けて計測単位ごとに空間線量を計測し、計測単位の広さは、第2の放射線計測器の計測可能範囲以下であることが好ましい。推定領域を複数の計測単位に分けて計測単位ごとに空間線量を計測することにより、推定領域が広い場合であっても、計測視野が狭い第2の放射線計測器で対応することができる。またここで、計測単位の広さは、第2の放射線計測器の計測可能範囲以下であるために、推定領域をくまなく計測することができる。
【0014】
第2の計測工程では、複数の第2の放射線計測器を使用することが好ましい。コストが嵩まない範囲内で第2の放射線計測器の台数を増やすことにより、推定領域の空間線量の計測を早く終えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、二次元計測が可能な放射線計測器を低コストで効率的に運用することができる、空間線量の監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】放射性廃棄物の減容化作業を行う建物における作業敷地の平面図(a)及び側面図(b)である。
図2】放射線到来方向計測器の構成及び計測可能範囲を示す図である。
図3】複数の放射線到来方向計測器の計測可能範囲と線源との位置関係を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図4】複数の放射線到来方向計測器の計測可能範囲と推定領域との位置関係を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図5】計測単位ごとにガンマカメラで計測する様子を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図6】複数の放射線到来方向計測器の計測可能範囲と線源との位置関係を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図7】計測単位ごとにガンマカメラで計測する様子を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
本明細書では、「放射線源」及び「線源」という語句を、放射線を発する物質又は放射線を発する物質が存在する位置を表す語句として用いる。
【0019】
まず、空間線量の監視のために使用する各種の構成について説明する。図1は、放射性廃棄物の減容化作業を行う建物における作業敷地1の平面図(図1(a))及び側面図(図1(b))を示している。ここでは、作業敷地1の広さは100m×50mであり、天井高さは10mである。
【0020】
作業敷地1の天井Cには、一本のレール(案内構造)2が固定して取り付けられている。レール2は、作業敷地1の短手方向(図1(a)の上下方向)に、天井Cの端付近まで互いに平行に延びる直線部を複数並設して有し、その隣り合う端部同士が、レール2全体として一本となるように曲線部で連結されて構成されている。ここで、レール2の隣り合う直線部のピッチは8mである。
【0021】
天井Cにおけるレール2の直線部の間の領域には、n個(nは自然数)の放射線到来方向計測器(第1の放射線計測器)D(D,D,D,D,…,Dn−1,D)が、作業敷地1の長手方向及び短手方向に互いに所定の間隔をあけて固定して取り付けられている。ここで、所定の間隔とは24mであり、この場合、図1に示されるように、放射線到来方向計測器D同士の間には、作業敷地1の長手方向にはレール2の直線部が三本介在し、短手方向にはレール2が介在しないことになる。
【0022】
放射線到来方向計測器Dは、図2に示されるように(ここでは放射線到来方向計測器Dを例にする。)、平面視で周方向四等配となるように、四つの検出部d(d31,d32,d33,d34)を有する。四つの検出部d31,d32,d33,d34はそれぞれガンマ線の計測可能範囲R(R31,R32,R33,R34)を有し、それぞれの検出部d31,d32,d33,d34における線量率比から放射線が到来した方向を推定することができる。
【0023】
例えば、図2においては、線源Sは、計測可能範囲R31の範囲内にあるため、検出部d31は当該線源から発生するガンマ線を検出することができる。同様に、線源Sは計測可能範囲R32の範囲内にあるため検出部d32で検出することができ、線源Sは計測可能範囲R33の範囲内にあるため検出部d33で検出することができ、線源Sは計測可能範囲R34の範囲内にあるため検出部d34で検出することができる。二つの計測可能範囲R31,R32に跨がって存在する線源Sは、二つの検出部d31,d32で検出されるが、それぞれの検出強度は、当該線源Sが一つの検出部d31で検出された場合よりも弱くなる。このようにして、放射線到来方向計測器Dは、入射した放射線の到来方向として、四つの方向を識別することが可能である。なお、いずれの計測可能範囲にも入っていない線源Sは、いずれの検出部でも検出されないため、その放射線到来方向計測器Dでは計測できない。
【0024】
放射線到来方向計測器Dは、図1に示されるように、隣り合う放射線到来方向計測器D同士で、四つの検出部d,d,d,dの向く方向が互いに45度異なるように取り付けられている(図1ではD及びDを参照)。
【0025】
レール2には、一台のガンマカメラ(第2の放射線計測器)3が取り付けられている。ガンマカメラ3は、レール2に沿ってコンピュータ制御で走行させることができる。
【0026】
ガンマカメラ3はガンマ線の二次元計測が可能なカメラであり、公知のものを用いることができる。ここで、「二次元計測」とは、放射線量を点ではなく平面分布で計測できることをいう。ガンマカメラ3の計測可能範囲V(図5(b)参照。)は、ここではレール2の隣り合う直線部のピッチに一致させるべく、8m×8mとしている。この計測可能範囲Vは、天井高さを考慮しながらガンマカメラ3の視野角を調整することにより適宜変更可能である。
【0027】
なお、図示していないが、放射線到来方向計測器D及びガンマカメラ3は、それぞれコンピュータに接続されて、放射線の計測情報が処理される。
【0028】
次に、放射線到来方向計測器D及びガンマカメラ3を使用した、作業敷地1の空間線量の監視方法について説明する。放射線到来方向計測器Dは、作業敷地1の空間線量を連続的に計測している(第1の計測工程)。一方、ガンマカメラ3は所定の位置で待機している。ここで、いずれかの放射線到来方向計測器Dが所定値以上の空間線量を計測した場合は、コンピュータが当該放射線の線源の位置を推定する。
【0029】
図3は、放射線到来方向計測器Dの検出部d31が所定値以上の空間線量を計測し、放射線到来方向計測器Dの検出部d42,d43がそれよりも弱い空間線量を計測した場合を示している。ここでは、放射線到来方向計測器D及び放射線到来方向計測器Dの検出部の向きが互いに45度異なっていることから、放射線到来方向計測器Dの検出部d31の計測可能範囲R31にあり、且つ、放射線到来方向計測器Dの検出部d42,d43の計測可能範囲R42,R43にもある位置、すなわち、少なくとも放射線到来方向計測器D,Dの中間の位置に放射線濃度の高い線源Sが存在することが推定される。
【0030】
ここで、図4に示されるように、線源Sの存在位置が推定される推定領域Tとしては、線源Sが広範囲に広がっている可能性を考慮して検出部d31,d42,d43の計測可能範囲R31,R42,R43の大部分を覆うように設定する(推定工程)。この推定領域Tの広さ及び位置は、ガンマカメラ3の1回当たりの計測可能範囲V(図5(b)参照。)である8m×8mの広さ、及び、ガンマカメラ3が走行するレール2の位置をそれぞれ考慮したものであり、16m×32mの広さで設定されている。
【0031】
このようにして設定した推定領域Tに対して、ガンマカメラ3をコンピュータ制御でレール2を走行させて、推定領域T中の任意の計測単位の空間線量の計測が可能な位置に案内する。このとき、図5に示されるように、推定領域Tを8つの計測単位t(t,t,…,t)(それぞれ8m×8m)に分割して、計測単位tごとにガンマカメラ3で空間線量を計測する(第2の計測工程)。例えば、図示右上の計測単位tから計測を開始し、計測を終えたら、矢印の方向にガンマカメラを8m走行させて、次の計測単位tの計測を開始する。
【0032】
こうして推定領域Tの全ての計測を終えることにより、線源Sの位置の特定及び放射線強度を、二次元データとして視覚的に把握することができる。
【0033】
空間線量の監視方法について、他の例を示す。図6は、放射線到来方向計測器Dの検出部d21、及び、放射線到来方向計測器Dの検出部d42がいずれも所定値以上の空間線量を計測した場合を示している。ここでは、両検出部d21,d42の計測可能範囲R21,R42にある位置、すなわち、少なくとも放射線到来方向計測器D,Dの中間の位置に放射線濃度の高い線源Sが存在することが推定される。
【0034】
ここで、図7に示されるように、線源Sの存在位置が推定される推定領域Tとしては、線源Sが広範囲に広がっている可能性を考慮して検出部d21,d42の計測可能範囲R21,R42の大部分を覆うように設定する。この推定領域Tは、図4とは異なり、24m×32mの広さで設定され、これが12つの計測単位t(t,t,…,t12)(それぞれ8m×8m)に分割されている。
【0035】
その後は、上記と同様にして、計測単位tごとにガンマカメラ3による計測を順次行う。
【0036】
以上に説明した空間線量の監視方法によれば、所定値以上の空間線量が放射線到来方向計測器Dで計測された場合にのみ、二次元計測が可能なガンマカメラ3を使用することになる。しかも、ガンマカメラ3による計測は、放射線到来方向計測器Dの計測可能範囲Rに基づいて放射線の線源位置と推定された推定領域Tを対象とするため、ガンマカメラ3の台数が一台で済み、且つ、所定値以上の空間線量を発生させる放射能がないのに計測してしまう「空打ち」が大幅に抑制される。上記実施形態では、100m×50mの広さを有する作業敷地1の全ての範囲についてガンマカメラ3で計測することなく、16m×32m又は24m×32mの範囲を計測するだけで済んでいる。従って、本実施形態の空間線量の監視方法によれば、二次元計測が可能なガンマカメラ3を低コストで効率的に運用することができる。
【0037】
また、ここで使用する放射線到来方向計測器Dは、四つの方向を識別可能であるため、ガンマカメラ3による計測対象である推定領域Tを特定する精度が高い。更に、放射線到来方向計測器Dは隣り合うもの同士で検出部dが向く方向が45度異なっているために、推定領域Tを特定する精度が更に高くなっている。
【0038】
また、上記実施形態では、放射線到来方向計測器D及びガンマカメラ3はいずれも屋内で使用され、ガンマカメラ3は、屋内の天井Cに設けられたレール2に沿って、推定領域Tの計測が可能な位置に案内されるため、ガンマカメラ3が放射性廃棄物の減容化作業を行う作業者や作業機械の障害になることがない。また、天井C付近から計測できるために線源Sが物陰や人影に入りにくく、計測精度が高い。
【0039】
また、ガンマカメラ3で計測する計測単位tの広さは、ガンマカメラ3の計測可能範囲Vと一致させているため、推定領域Tをくまなく計測することができる。また、推定領域Tが広くても、これを複数の計測単位tに分割することにより、一般に計測視野が狭いガンマカメラ3で対応することができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではガンマカメラ3を一台のみ使用する態様を示したが、ガンマカメラ3を複数台使用してもよい。コストが過度に嵩まない範囲内でガンマカメラ3の台数を増やすことにより、推定領域Tの空間線量の計測を一層早く終えることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、レール2が天井Cに蛇行する形で取り付けられた態様を示したが、レール2の取付け形状や総距離は適宜変更することができる。例えば渦巻き状など、他の形状となるように取り付けてもよい。また、ガンマカメラ3を首振り可能とすれば、一つの位置で複数の計測単位を計測することができるため、レール2の総距離を短くすることができ、ガンマカメラ3の走行時間及び走行距離も短くて済む。
【0042】
また、上記実施形態では、計測単位の広さがガンマカメラ3の計測可能範囲Vと一致している態様を示したが、計測単位の広さはガンマカメラ3の計測可能範囲V未満であってもよい。このとき、推定領域Tの計測において、計測単位間でガンマカメラ3を走行させる距離は、計測単位の一辺の幅とする。
【0043】
また、推定領域Tの設定やガンマカメラ3の移動はコンピュータ制御でなくてもよい。例えば、警報が鳴った放射線到来方向計測器Dの計測可能範囲Rに基づいて人が推定領域Tを設定してもよく、推定領域Tの計測が可能な位置にガンマカメラ3を案内するには、レール2を用いずに、ガンマカメラ3を車体に積んで案内してもよく、人が手持ちで案内してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、四つの方向を識別することが可能な放射線到来方向計測器Dを使用したが、五つ以上の方向を識別することが可能な放射線到来方向計測器を使用してもよい。識別することができる方向が多いほど、推定領域Tの範囲を絞ることができ、ガンマカメラ3による計測の「空打ち」を一層減らすことができる。
【0045】
また、本発明の空間線量の監視方法は、屋外で実施することもできる。このとき、放射線到来方向計測器Dは地面に設置固定し、ガンマカメラ3はクレーンで吊って案内する、車体に積んで案内する、人が手持ちで案内する等、適宜対応することができる。
【0046】
また、計測する放射線は、ガンマ線以外の放射線であってもよく、この場合、第1の放射線計測器及び第2の放射線計測器としては、計測対象とする放射線を計測することができるものを使用する。
【符号の説明】
【0047】
2…レール(案内構造)、3…ガンマカメラ(第2の放射線計測器)、C…天井、D…放射線到来方向計測器(第1の放射線計測器)、R…放射線到来方向計測器の計測可能範囲、S…線源、T…推定領域、t…計測単位、V…ガンマカメラの計測可能範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7