特許第6254466号(P6254466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254466
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】研磨基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20171218BHJP
   H01L 41/337 20130101ALI20171218BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B24B37/30 B
   H01L41/337
   H01L21/68 N
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-51019(P2014-51019)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-174166(P2015-174166A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 謙太
(72)【発明者】
【氏名】多井 知義
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕二
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−129058(JP,U)
【文献】 特開2011−146457(JP,A)
【文献】 特開2006−032506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
B24B 41/06
H01L 21/683
H01L 21/304
H01L 41/337
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板と、該基板を接着するキャリア側接着面を有する基板キャリアと、を用意する工程と、
(b)前記キャリア側接着面の一部であり前記基板側の接着面の外側にはみ出すキャリア側はみ出し面が存在し、前記基板側の接着面の一部であり前記キャリア側接着面の外側にはみ出す1以上の基板側はみ出し面が存在し、前記キャリア側接着面に垂直な方向で且つ前記基板側から透視したときに、前記キャリア側はみ出し面が1つ又は2つの前記基板側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように、接着剤を介して前記基板を前記キャリア側接着面に接着して接着体とする工程と、
(c)前記基板のうち前記基板キャリアとの接着面とは反対側の面を研磨して研磨基板とする工程と、
(d)前記キャリア側はみ出し面を横切り且つその両側において前記第1,第2接点で前記キャリア側はみ出し面に隣接する前記基板側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡し、該線状部材の両側を引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離する工程と、
を含む研磨基板の製造方法。
【請求項2】
前記工程(a)では、オリエンテーションフラットを有する前記基板を用意し、
前記工程(b)では、前記オリエンテーションフラットの両端が前記キャリア側接着面からはみ出し、且つ前記キャリア側接着面の一部が前記オリエンテーションフラットからはみ出すように前記基板と前記基板キャリアとを接着することで、前記状態にする、
請求項に記載の研磨基板の製造方法。
【請求項3】
前記キャリア側接着面は、円形領域と、前記円形領域の外側に突出する1以上の突出領域と、を備え、
前記工程(b)では、前記突出領域の少なくとも一部が前記キャリア側はみ出し面となるように前記基板と前記基板キャリアとを接着することで、前記状態にする、
請求項1又は2に記載の研磨基板の製造方法。
【請求項4】
(a)基板と、該基板を接着するキャリア側接着面を有し前記キャリア側接着面が円形領域と前記円形領域の外側に突出する第1突出領域及び第2突出領域とを備える基板キャリアと、を用意する工程と、
(b)前記基板側の接着面の一部であり前記キャリア側接着面の外側で且つ前記第1突出領域と前記第2突出領域との間にはみ出す基板側はみ出し面が存在し、前記第1,第2突出領域各々の少なくとも一部であり前記基板側の接着面の外側にはみ出す第1キャリア側はみ出し面及び第2キャリア側はみ出し面が存在し、前記キャリア側接着面に垂直な方向で且つ前記基板側から透視したときに、前記基板側はみ出し面が前記第1キャリア側はみ出し面及び前記第2キャリア側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように、接着剤を介して前記基板を前記キャリア側接着面に接着して接着体とする工程と、
(c)前記基板のうち前記基板キャリアとの接着面とは反対側の面を研磨して研磨基板とする工程と、
(d)前記基板側はみ出し面を横切り且つその両側において前記第1,第2接点で前記基板側はみ出し面に隣接する前記第1キャリア側はみ出し面及び前記第2キャリア側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡し、該線状部材の両側を引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離する工程と、
を含む研磨基板の製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)では、前記キャリア側接着面の外周縁が面取りされている前記基板キャリアを用意する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨基板の製造方法。
【請求項6】
前記工程(d)では、前記線状部材の両側を前記キャリア側接着面と平行方向に引っ張るか又は前記平行方向から前記基板キャリア側に傾斜した斜め方向に引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板キャリア及び研磨基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の研磨方法としては、基板キャリアに基板を接着し、その状態で基板の表面を研磨定盤に接触させ、研磨剤を供給しながら研磨定盤及び基板キャリアを回転させて研磨を行う方法が知られている。また、基板キャリアと基板との接着は、ワックスなどの接着剤を介して行うことが知られている。例えば、特許文献1では、基板を50〜60℃に加熱しワックスを介して基板キャリアに接着することが記載されている。また、研磨後に基板キャリアを60〜80℃に加熱してワックスを熔融させて、基板キャリアから基板を剥離することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−129658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の方法では、研磨後に基板が加熱されるため、研磨後の基板の厚さや基板の熱膨張係数によっては、基板キャリアからの剥離時に基板が破損する場合があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、基板キャリアから剥離する際の研磨基板の破損をより抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板キャリアは、
接着剤を介して前記基板を接着する基板キャリアであって、
前記基板を接着剤を介して接着するキャリア側接着面を備え、
前記キャリア側接着面は、円形領域と、該円形領域の外側に突出する1以上の突出領域と、を備えている、
ものである。
【0007】
この本発明の基板キャリアは、キャリア側接着面が円形領域と円形領域の外側に突出する1以上の突出領域とを備えている。これにより、例えば以下のように基板キャリアと基板との接着及びその後の剥離を行うことができる。まず、突出領域の少なくとも一部が基板側の接着面の外側にはみ出すキャリア側はみ出し面となるように、接着剤を介して基板をキャリア側接着面に接着して接着体とする。これにより、キャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、キャリア側はみ出し面が1つ又は2つの基板側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態とすることができる。なお、基板側はみ出し面とは、基板側の接着面の一部でありキャリア側接着面の外側にはみ出す部分である。そして、基板を研磨して研磨基板とした後、キャリア側はみ出し面を横切り且つその両側において第1,第2接点でキャリア側はみ出し面に隣接する基板側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡す。次に、線状部材の両側を引っ張ることで研磨基板を基板キャリアから剥離する。こうすれば、第1,第2接点に位置する2箇所の接着剤に集中的に線状部材からの力を加えることができる。これにより、加熱することなく研磨基板を剥離することができる。そのため、剥離時に接着剤を加熱する場合と比べて基板キャリアから剥離する際の研磨基板の破損をより抑制することができる。なお、キャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、基板側はみ出し面が1つ又は2つのキャリア側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように、基板と基板キャリアとを接着してもよい。この場合、研磨後に、基板側はみ出し面を横切り且つその両側において第1,第2接点で基板側はみ出し面に隣接するキャリア側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡して引っ張ればよい。こうしても、第1,第2接点に位置する2箇所の接着剤に集中的に線状部材からの力を加えることができる。また、前記キャリア側接着面は、前記突出領域を2以上備えていてもよい。
【0008】
本発明の基板キャリアは、前記キャリア側接着面の前記円形領域と前記突出領域との少なくとも一方の外周縁が面取りされていてもよい。こうすれば、線状部材を引っ張ったときに、線状部材が研磨基板と基板キャリアとの間に入り込み易くなるため、より容易に研磨基板を剥離できる。
【0009】
本発明の第1の研磨基板の製造方法は、
(a)基板と、該基板を接着するキャリア側接着面を有する基板キャリアと、を用意する工程と、
(b)前記キャリア側接着面の一部であり前記基板側の接着面の外側にはみ出すキャリア側はみ出し面が存在し、前記基板側の接着面の一部であり前記キャリア側接着面の外側にはみ出す1以上の基板側はみ出し面が存在し、前記キャリア側接着面に垂直な方向で且つ前記基板側から透視したときに、前記キャリア側はみ出し面が1つ又は2つの前記基板側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように、接着剤を介して前記基板を前記キャリア側接着面に接着して接着体とする工程と、
(c)前記基板のうち前記基板キャリアとの接着面とは反対側の面を研磨して研磨基板とする工程と、
(d)前記キャリア側はみ出し面を横切り且つその両側において前記第1,第2接点で前記キャリア側はみ出し面に隣接する前記基板側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡し、該線状部材の両側を引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離する工程と、
を含むものである。
【0010】
この本発明の第1の研磨基板の製造方法では、研磨基板と基板キャリアとを剥離する際に、接着体をキャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときのキャリア側はみ出し面とその両側の基板側はみ出し面との隣接点である第1,第2接点に位置する2箇所の接着剤に集中的に線状部材からの力を加えることができる。これにより、加熱することなく研磨基板を剥離することができる。そのため、剥離時に接着剤を加熱する場合と比べて基板キャリアから剥離する際の研磨基板の破損をより抑制することができる。
【0011】
本発明の第1の研磨基板の製造方法において、前記工程(a)では、オリエンテーションフラットを有する前記基板を用意し、前記工程(b)では、前記オリエンテーションフラットの両端が前記キャリア側接着面からはみ出し、且つ前記キャリア側接着面の一部が前記オリエンテーションフラットからはみ出すように前記基板と前記基板キャリアとを接着することで、前記状態にしてもよい。こうすれば、オリエンテーションフラットの形状を利用することで、キャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに上述した第1,第2接点が存在する状態を比較的容易に作り出すことができる。
【0012】
本発明の第2の研磨基板の製造方法は、
(a)基板と、該基板を接着するキャリア側接着面を有する基板キャリアと、を用意する工程と、
(b)前記基板側の接着面の一部であり前記キャリア側接着面の外側にはみ出す基板側はみ出し面が存在し、前記キャリア側接着面の一部であり前記基板側の接着面の外側にはみ出す1以上のキャリア側はみ出し面が存在し、前記キャリア側接着面に垂直な方向で且つ前記基板側から透視したときに、前記基板側はみ出し面が1つ又は2つの前記キャリア側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように、接着剤を介して前記基板を前記キャリア側接着面に接着して接着体とする工程と、
(c)前記基板のうち前記基板キャリアとの接着面とは反対側の面を研磨して研磨基板とする工程と、
(d)前記基板側はみ出し面を横切り且つその両側において前記第1,第2接点で前記基板側はみ出し面に隣接する前記キャリア側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡し、該線状部材の両側を引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離する工程と、
を含むものである。
【0013】
この本発明の第2の複合基板の製造方法では、研磨基板と基板キャリアとを剥離する際に、接着体をキャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときの基板側はみ出し面とその両側のキャリア側はみ出し面との隣接点である第1,第2接点に位置する2箇所の接着剤に集中的に線状部材からの力を加えることができる。これにより、本発明の第1の複合基板の製造方法と同様に、加熱することなく研磨基板を剥離することができる。そのため、剥離時に接着剤を加熱する場合と比べて基板キャリアから剥離する際の研磨基板の破損をより抑制することができる。
【0014】
本発明の第1,第2の研磨基板の製造方法において、前記工程(a)では、前記キャリア側接着面の外周縁が面取りされている前記基板キャリアを用意してもよい。こうすれば、線状部材を引っ張ったときに、線状部材が研磨基板と基板キャリアとの間に入り込み易くなるため、より容易に研磨基板を剥離できる。
【0015】
本発明の第1,第2の研磨基板の製造方法において、前記工程(d)では、前記線状部材の両側を前記キャリア側接着面と平行方向に引っ張るか又は前記平行方向から前記基板キャリア側に傾斜した斜め方向に引っ張ることで前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離してもよい。こうすれば、例えば線状部材を平行方向から研磨基板側に傾斜した斜め方向に引っ張る場合と比較して、研磨基板の破損をより抑制できる。
【0016】
本発明の第1,第2の研磨基板の製造方法において、前記工程(d)では、前記接着体を−15℃以上0℃以下に冷却した状態で、前記研磨基板を前記基板キャリアから剥離してもよい。こうすれば、接着体を0℃以下に冷却することで接着剤を剥がしやすくすることができる。また、接着体を−15℃以上とすることで、研磨基板が冷却による熱応力で破損することをより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】基板キャリア10の斜視図。
図2】貼り合わせ基板30の斜視図。
図3】接着体40の説明図。
図4】貼り合わせ基板30の研磨の様子を示す説明図。
図5】線状部材59を用いて複合基板20を剥離する様子を示す説明図。
図6】剥離後の複合基板20と基板キャリア10との状態を示す説明図。
図7】変形例の基板キャリア210の説明図。
図8】変形例の基板キャリア310の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の基板キャリアの一実施形態である基板キャリア10の斜視図である。
【0019】
基板キャリア10は、円板状の本体部12と、本体部12の下面中央に設けられたシャフト14と、を備えている。シャフト14は、図示しない駆動モータにより軸回転可能である。この基板キャリア10は、上面の外周縁が面取りされて面取り部16となっている(図1の拡大部分参照)。面取り部16は、基板キャリア10の上面の外周を一周するようにリング状に形成されている。なお、面取り部16は、C面取りにより形成されていてもよいし、R面取りにより形成されていてもよい。本実施形態では、面取り部16は45°の面でカットしたC面取りにより形成されたものとした。基板キャリア10の上面のうち面取り部16以外の部分は円形の接着面13となっている。基板キャリア10の材質としては、例えばアルミナなどのセラミックス材料が一般的に用いられる。
【0020】
続いて、研磨基板を製造するプロセスについて説明する。
【0021】
まず、工程(a)として、研磨対象となる基板と、上述した基板キャリア10と、を用意する。図2は、研磨対象の基板である貼り合わせ基板30の斜視図である。貼り合わせ基板30は、圧電基板32と支持基板24とを接合したものである。
【0022】
圧電基板32は、オリエンテーションフラット(OF)33を有する略円板状の基板(ウエハー)である。圧電基板32の材質は、特に限定されないが、例えば、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単結晶、ホウ酸リチウム、ランガサイト(LGS)、水晶などが挙げられる。圧電基板32の大きさは、特に限定するものではないが、例えば、直径が50〜150mm、厚みが10〜80μmである。なお、本実施形態では、図2に示すように圧電基板32の直径は支持基板24よりも小さいものとしたが、特にこれに限らず、例えば圧電基板32と支持基板24とが同じ直径であってもよい。また、圧電基板32の外周縁は面取りされていてもよい(例えばR面取り)。
【0023】
支持基板24は、圧電基板32を支持する基板であり、オリエンテーションフラット(OF)25を有する略円板状の基板(ウエハー)である。この支持基板24は、圧電基板32に直接接合により接合されているか有機接着層を介して接合されている。支持基板24は、圧電基板32と中心軸が同軸になり、互いのOF33,OF25の向きが一致する(OF33,OF25のなす角度が0°(平行))ように接合されている。この支持基板24の材質としては、シリコン(Si)、サファイア、窒化アルミニウム、アルミナ、無アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、LT、LN、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単結晶、ホウ酸リチウム、LGS、水晶などが挙げられる。支持基板24の大きさは、特に限定するものではないが、例えば、直径が50〜150mm、厚みが100〜1000μmである。支持基板24の外周縁は面取りされていてもよい(例えばR面取り)。
【0024】
なお、このような貼り合わせ基板30は、例えば以下のようにして製造する。まず、厚みが100〜1000μmの圧電基板32と厚みが100〜1000μmの支持基板24とを用意し、両者を直接接合により接合するか有機接着層を介して接合して貼り合わせ基板30を作製する。直接接合で接合する場合には、まず、圧電基板32と支持基板24とのそれぞれの接合面を活性化した後、両接合面を向かい合わせにした状態で両基板32,24を押圧する。接合面の活性化は、例えば、接合面への不活性ガス(アルゴンなど)のイオンビームの照射のほか、プラズマや中性原子ビームの照射などで行う。一方、有機接着層を介して接合する場合には、有機接着層として、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などを用いる。続いて、貼り合わせ基板30の圧電基板32をグラインダなどで研削して厚みを10〜80μmとする。
【0025】
次に、工程(b)として、貼り合わせ基板30のうち支持基板側の面である接着面26(図2参照)を、接着剤を介して基板キャリア10の接着面13に接着して接着体40とする。図3は、接着体40の説明図である。なお、図3の上段は接着体40の上面図であり、図3の下段は接着体40の正面図である。接着は、例えば、貼り合わせ基板30の接着面26上に接着剤をスピンコートにより塗布し、接着面26と接着面13とを向かい合わせにして加圧することで行う。これにより接着剤は接着層42となる。接着剤の材質としてはエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの有機接着剤や、ワックスなどが挙げられる。接着層42の厚さは、例えば1〜5μmである。なお、接着する際には、接着面26の代わりに接着面13に接着剤を塗布してもよいし、接着面26と接着面13との両方に接着剤を塗布してもよい。また、接着剤を塗布する前に、接着剤を塗布する面を加熱しておいてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、工程(b)において、基板キャリア10と貼り合わせ基板30とを中心軸が同軸になるように接着する。ここで、基板キャリア10の接着面13の直径は、接着面13の一部が貼り合わせ基板30のOF25の一部から外側(径方向外側)にはみ出した状態になるように設定されている。このはみ出した部分における貼り合わせ基板30との接着面側をキャリア側はみ出し面13aと称する。このとき、貼り合わせ基板30(支持基板24)は、OF25の両端(図3上段における上端及び下端)が接着面13からはみ出しており、接着面26の一部が接着面13よりも外側(径方向外側)にはみ出した状態になる。このはみ出した部分における基板キャリア10との接着面側を基板側はみ出し面26aと称する。基板側はみ出し面26aは、図3に示すように、接着面26のうちOF25の一部(キャリア側はみ出し面13aが存在する部分)以外の部分の外周端全体に亘って存在している。また、接着体40を接着面13に垂直な方向で且つ基板(貼り合わせ基板30)側から透視すると、基板側はみ出し面26a,キャリア側はみ出し面13a,基板側はみ出し面26aがこの順に隣接して並んでいる。キャリア側はみ出し面13aと基板側はみ出し面26aとは第1,第2接点44a,44bで隣接している(図3上段の拡大部分参照)。なお、図3上段の拡大部分では、キャリア側はみ出し面13a及び基板側はみ出し部分をハッチング及び塗りつぶしで図示している。塗りつぶして図示した基板側はみ出し部分のうち基板キャリア10側の面が、基板側はみ出し面26aである。また、図3上段の拡大部分では、面取り部16も図示している。この第1,第2接点44a,44bは、接着面13に垂直な方向且つ基板(貼り合わせ基板30)側から透視したときの、接着面13のエッジと接着面26のエッジ(ここではOF25)との交点である。
【0027】
続いて、工程(c)として、貼り合わせ基板30のうち基板キャリア10との接着面26とは反対側の面である圧電基板32の表面を研磨する。研磨としては、例えばダイヤモンドスラリーなどを用いたラップ(粗研磨)や、コロイダルシリカなどを用いたCMP(仕上げ研磨)などが挙げられる。ラップとCMPとは、研磨剤が異なる以外は同様に行うことができるため、CMPについて説明する。図4は、貼り合わせ基板30のCMPの様子を示す説明図である。CMPは、図4に示す研磨装置50を用いて行う。研磨装置50は、基板キャリア10と、円盤状で基板キャリア10よりも径の大きな定盤52と、研磨剤であるコロイダルシリカを含むスラリーを定盤52上へ供給するパイプ58とを備えている。定盤52は、裏面中央にシャフト54を備えており、図示しない駆動モータでシャフト54が回転駆動されることにより軸回転する。この定盤52は、表面にウレタンパッドなどの研磨布56が取り付けられている。基板キャリア10は、研磨対象の基板の大きさに応じて交換可能に研磨装置50に取り付けられているものとしてもよい。この研磨装置50を用いて、図4における接着体40の圧電基板32の表面を研磨布56に接触させた状態で、パイプ58から研磨布56にスラリーを供給しつつ定盤52及び基板キャリア10を軸回転させながら研磨を行う。工程(c)では、研磨により、圧電基板32を、例えば0.1〜40μmの厚さまで薄くする。これにより、貼り合わせ基板30は研磨後の貼り合わせ基板30である複合基板20となる(後述する図5,6参照)。なお、工程(c)では、ラップのあとにCMPを行うなど、複数回の研磨を行ってもよい。
【0028】
続いて、工程(d)として、複合基板20を−15℃以上0℃以下に冷却した状態で、複合基板20を基板キャリア10から剥離する。剥離は、線状部材59を用いて行う。図5は、線状部材59を用いて複合基板20を剥離する様子を示す説明図である。なお、図5の上段は接着体40の上面図であり、図5の下段は接着体40の正面図である。線状部材59の太さは、例えば0.1〜0.3mmである。線状部材59は、接着層42より細い方が好ましいが、接着層42より太くてもよい。線状部材59の材質としては、剥離時に自身が切断しない程度の強度を有するものであり、例えばナイロン,フロロカーボンなどが挙げられる。剥離時には、まず、図5に示すように、キャリア側はみ出し面13a上を横切り、且つその両側において複合基板20の基板側はみ出し面26a側を通るように、線状部材を掛け渡す。そして、この状態から、線状部材59が複合基板20と基板キャリア10との間に挿入される向き(図5では左方)に、線状部材59の両側を引っ張っていく。引っ張る方向は、線状部材59の両側を接着面13と平行方向(図5の左方向)とするか、又は平行方向から基板キャリア10側に傾斜した斜め方向(図5下段における左下方向)とすることが好ましい。本実施形態では、斜め方向に引っ張るものとした。
【0029】
このように線状部材59を引っ張ると、第1,第2接点44a,44bに位置する2箇所の接着剤(接着層42)に対して、集中的に線状部材59からの力が加わる。これにより、線状部材59は、この第1,第2接点44a,44bを起点として複合基板20の接着面26と基板キャリア10の接着面13とを剥離しながら、接着面13と接着面26との間を接着体40の反対側(図5の左端)まで通過していき、複合基板20は基板キャリア10から剥離される。なお、上述した基板キャリア10の面取り部16の寸法は、線状部材59が接着面13と接着面26との間に挿入されやすくなるような大きさとして、例えば0.3mm以上(C面取りであればC0.3mm以上)とすることが好ましい。図6は、剥離後の複合基板20と基板キャリア10との状態を示す説明図である。なお、図6では図示を省略しているが、剥離後の複合基板20の接着面26に付着した接着剤(接着層42の一部)がある場合には、例えば洗浄剤などで洗浄してこれを除去する。
【0030】
基板キャリア10から剥離された複合基板20は、例えば圧電基板32の表面に電極パターンを形成する工程やダイシングによりチップ状に切り出すなどの工程を経て、圧電デバイスや弾性波デバイスなどとして利用される。
【0031】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の基板キャリア10が本発明の基板キャリアに相当し、貼り合わせ基板30が基板に相当し、接着面13がキャリア側接着面に相当し、接着面26が基板側の接着面に相当し、キャリア側はみ出し面13aがキャリア側はみ出し面に相当し、基板側はみ出し面26aが基板側はみ出し面に相当する。また、OF25がオリエンテーションフラットに相当し、複合基板20が研磨基板に相当する。
【0032】
以上説明した本実施形態では、上述した工程(b),(d)を行うことにより、接着体40を接着面13に垂直な方向で且つ基板側から透視したときのキャリア側はみ出し面13aとその両側の基板側はみ出し面26aとの隣接点である第1,第2接点44a,44bに位置する2箇所の接着剤に集中的に線状部材59からの力を加えることができる。これにより、加熱することなく研磨後の複合基板20を基板キャリア10から剥離することができる。そのため、剥離時に接着剤(接着層42)を加熱する場合と比べて基板キャリア10から剥離する際の複合基板20の破損(例えば複合基板20の熱膨張や圧電基板32と支持基板24との熱膨張係数差に起因する破損など)をより抑制することができる。
【0033】
また、工程(b)では、OF25の両端が接着面13からはみ出し、且つ接着面13の一部がOF25からはみ出すように貼り合わせ基板30と基板キャリア10とを接着する。そのため、OF25の形状を利用して、接着面13に垂直な方向で且つ貼り合わせ基板30側から透視したときに第1,第2接点44a,44bが存在する状態を比較的容易に作り出すことができる。
【0034】
さらに、基板キャリア10は、接着面13の外周縁が面取りされ面取り部16が形成されている。そのため、線状部材59を引っ張ったときに、線状部材59が複合基板20と基板キャリア10との間に入り込み易くなるため、より容易に複合基板20を剥離できる。
【0035】
そして、工程(d)では、線状部材59の両側を接着面13と平行な方向から基板キャリア10側に傾斜した斜め方向(図5下段の左下方向)に引っ張るため、例えば線状部材59を平行方向から複合基板20側に傾斜した斜め方向(図5下段の左上方向)に引っ張る場合と比較して、複合基板20の破損をより抑制できる。
【0036】
そしてまた、工程(d)において複合基板20を0℃以下に冷却することで、接着剤を剥がしやすくすることができる。また、複合基板20を−15℃以上とすることで、複合基板20が冷却による熱応力で破損することをより抑制できる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、基板キャリア10は面取り部16を備えるものとしたが、面取り部16を備えなくてもよい。また、本体部12の上面に溝を設けて、溝の部分に貼り合わせ基板30がはみ出すようにすることで基板側はみ出し面を設けてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、接着面13は円形としたが、これに限られない。図7は、変形例の基板キャリア210の説明図である。図7(a)は、変形例の基板キャリア210の上面図である。基板キャリア210は、本体部12が接着面13の代わりに形状の異なる接着面213を備えている点以外は、基板キャリア10と同様の構成である。図7(a)に示すように、基板キャリア210の接着面213は、円形領域214と、円形領域214から径方向外側に突出した略矩形の突出領域215と、で構成されている。図7(b)は、突出領域215の少なくとも一部が貼り合わせ基板30の接着面からはみ出すように基板キャリア210と複合基板20とが接着された様子を示す上面図である。図7(b)では、接着体40を接着面213に垂直な方向で且つ基板(複合基板20)側から透視した様子を示している。また、図7(b)では、図を見やすくするために複合基板20のうち支持基板24のみを図示している。この状態では、突出領域215の一部がキャリア側はみ出し面213a(図のハッチング部分)となっている。また、支持基板24のうち接着面213からはみ出した部分(図の塗りつぶし部分)のうち基板キャリア210側の面が、基板側はみ出し面226aとなっている。接着面213に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、キャリア側はみ出し面213aは第1,第2接点244a,244bで基板側はみ出し面226aと隣接している。キャリア側はみ出し面213aは図5のキャリア側はみ出し面13aと同じ役割を担うことにより、同様の効果を得ることができる。すなわち、図7(b)に示すように、工程(d)においてキャリア側はみ出し面213aを横切り且つその両側において第1,第2接点244a,244bでキャリア側はみ出し面213aに隣接する基板側はみ出し面226aを通るように線状部材59を掛け渡して引っ張ることで、第1,第2接点244a,244bに集中的に力を加えることができる。これにより、上述した実施形態と同様に、複合基板20を剥離する際の複合基板20の破損をより抑制できる。なお、このように、基板キャリアの接着面が円形の領域から径方向に突出した突出領域を1以上備えるようにすることで、基板キャリアと貼り合わせ基板とを接着したときにキャリア側はみ出し面や基板側はみ出し面が存在する状態にしやすくなる。なお、キャリア側接着面が円形領域と突出領域とを備える場合、円形領域と突出領域との少なくとも一方の外周縁が面取りされていることが好ましく、両方の外周縁が面取りされていることがより好ましい。
【0040】
上述した実施形態では、接着面13に垂直な方向で且つ貼り合わせ基板30側から透視したときに、キャリア側はみ出し面13aが基板側はみ出し面26aと第1,第2接点44a,44bで隣接した状態となるように基板キャリア10と貼り合わせ基板30とを接着するものとしたが、これに限られない。例えば、キャリア側接着面に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、基板側はみ出し面が1つ又は2つのキャリア側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態となるように基板キャリアと貼り合わせ基板とを接着してもよい。図8は変形例の基板キャリア310の説明図である。図8(a)は、変形例の基板キャリア310の上面図である。基板キャリア310は、本体部12が接着面13の代わりに形状の異なる接着面313を備えている点以外は、基板キャリア10と同様の構成である。図8(a)に示すように、接着面313は、円形領域314と、円形領域314から径方向外側に突出した略矩形の突出領域315,316と、で構成されている。図8(b)は、突出領域315,316の各々の少なくとも一部が貼り合わせ基板30の接着面からはみ出すように基板キャリア310と複合基板20とが接着された様子を示す上面図である。図8(b)では、接着体40を接着面313に垂直な方向で且つ基板(複合基板20)側から透視した様子を示している。また、図8(b)では、図を見やすくするために複合基板20のうち支持基板24のみを図示している。この状態では、突出領域315,316の一部がキャリア側はみ出し面313a,313b(図のハッチング部分)となっている。また、支持基板24のうち突出領域315と突出領域316との間で接着面313からはみ出した部分(図の濃い塗りつぶし部分)における基板キャリア310側の面(接着面26の一部)が、基板側はみ出し面326aとなっている。接着面313に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、基板側はみ出し面326aはキャリア側はみ出し面313a,313bと第1,第2接点344a,344bで隣接している。工程(b)でこのような状態にすることで、上述した実施形態と同様に、複合基板20を剥離する際の複合基板20の破損をより抑制できる。すなわち、工程(d)において、基板側はみ出し面326aを横切り且つその両側においてキャリア側はみ出し面313a,313b(第1,第2接点344a,344bで基板側はみ出し面326aに隣接する2つの面)を通るように線状部材59を掛け渡して(図8(b))引っ張ることで、第1,第2接点344a,344bに集中的に力を加えることができる。
【0041】
なお、図8(b)のように基板キャリア310に対して貼り合わせ基板30(支持基板24)の接着面26を接着すると、支持基板24のうち突出領域315と突出領域316との間で接着面313からはみ出した部分(図の薄い塗りつぶし部分)における基板キャリア310側の面(接着面26の一部)が、基板側はみ出し面326bとなっている。そして、接着面313に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、基板側はみ出し面326bはキャリア側はみ出し面313aと接点344cで隣接し、基板側はみ出し面326bはキャリア側はみ出し面313bと接点344dで隣接している。このようにキャリア側はみ出し面と基板側はみ出し面との接点が3以上存在する場合でも、1つのキャリア側はみ出し面とそのキャリア側はみ出し面に対して2つの接点で隣接する2つの基板側はみ出し面とを利用するか、又は1つの基板側はみ出し面とその基板側はみ出し面に対して2つの接点で隣接する2つのキャリア側はみ出し面とを利用して、掛け渡した線状部材59により2つの接点に集中的に力が加わるようにすればよい。例えば、キャリア側はみ出し面313aを横切り且つその両側において基板側はみ出し面326a,326b(第1接点344a,接点344cでキャリア側はみ出し面313aに隣接する2つの面)を通るように線状部材59を掛け渡して、第1接点344a及び接点344c(本発明の第2接点に相当)に集中的に力を加えて複合基板20を剥離してもよい。同様に、線状部材59により接点344b,344dに集中的に力を加えて複合基板20を剥離してもよい。あるいは、例えばキャリア側はみ出し面313a,基板側はみ出し面326a,キャリア側はみ出し面313b,基板側はみ出し面326bをこの順に通過するように線状部材59を掛け渡して接点344a,344b,344dに集中的に力が加わるようにするなど、3以上の接点に集中的に力が加わるように線状部材59を掛け渡してもよい。すなわち、少なくとも2つの接点に集中的に力が加わるように線状部材59を掛け渡せばよい。ただし、2点のみに力が集中するように線状部材59を掛け渡す方が、より容易に複合基板20を剥離できるため好ましい。
【0042】
なお、図8(b)では、キャリア側はみ出し面313aとキャリア側はみ出し面313bとは別の面であるが、これらがつながっているなどキャリア側はみ出し面が1つのみ存在する状態であってもよい。この場合でも、接着面313に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、基板側はみ出し面326aが1つのキャリア側はみ出し面と第1,第2接点344a,344bで隣接した状態となるため、図8(b)と同様に線状部材59を掛け渡して引っ張ることで、第1,第2接点344a,344bに集中的に力を加えることができる。
【0043】
上述した実施形態では、接着面13に垂直な方向で且つ基板側から透視したときに、キャリア側はみ出し面13aが1つの基板側はみ出し面26aと第1,第2接点44a,44bで隣接している状態となるように、工程(b)の接着を行うものとしたが、これに限られない。キャリア側はみ出し面が2つの基板側はみ出し面と第1,第2接点で隣接している状態であってもよい。すなわち、キャリア側はみ出し面に対して第1接点で隣接する基板側はみ出し面と、キャリア側はみ出し面に対して第2接点で隣接する基板側はみ出し面とが、別の面であってもよい。
【0044】
上述した実施形態では、工程(b)において、基板キャリア10と貼り合わせ基板30とを接着面13と接着面26との中心軸が同軸になるように接着したが、これに限らず中心軸をずらして接着してもよい。
【0045】
上述した実施形態では、工程(b)において、キャリア側はみ出し面13aが接着面26のうちOF25の部分から径方向外側にはみ出しているものとしたが、これに限らず他の位置からはみ出していてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、研磨対象の基板は図2の貼り合わせ基板30としたが、これに限られない。例えば、貼り合わせ基板30がOF25(及びOF33)を有しなくともよい。貼り合わせ基板30が円板状でないなど、接着面26が円形でなくてもよい。また、研磨対象の基板は圧電基板32と支持基板24とを貼り合わせた基板に限らず、単体の基板としてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、工程(d)において、接着体40を−15℃以上0℃以下に冷却した状態で複合基板20の剥離を行うものとしたが、これに限られない。例えば5℃以下や常温未満に冷却した状態で複合基板20を剥離してもよいし、常温など冷却しない状態で複合基板20を剥離してもよい。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
工程(a)として、アルミナからなるセラミックス製の基板キャリアと、LT基板とSi基板とをエポキシ樹脂を介して接着した貼り合わせ基板と、を用意した。基板キャリアは、上面であるキャリア側接着面の直径が97mmであり、上面の外周縁にC0.5mmの面取りがなされたものを用いた。貼り合わせ基板は、以下のように作製して用意した。まず、OFを有する直径100mm,厚み350μmのLT基板と、OFを有する直径100mm,厚み230μmのSi基板とをエポキシ樹脂を介して接着した。接着は、Si基板の表面にエポキシ樹脂をスピンコータ(回転数1000rpm)で膜厚1μmとなるように塗布し、Si基板とLT基板とを貼り合わせて150℃のオーブンで樹脂を硬化させることで行った。続いて、LT基板とSi基板との非接着部を取り除くため、LT基板の外周部分を2mmの幅でトリミングした。その結果、Si基板のうちLT基板との接着面も外周部分が約50μmの深さで削られており、Si基板のうちLT基板よりも径方向外側の部分は厚みが180μmになっていた。次に、グラインダーでLT基板のうちSi基板との接着面とは反対側の面を研削し、LT基板の厚みを30μmとして、貼り合わせ基板とした。
【0049】
工程(b)として、貼り合わせ基板のSi基板のうちLT基板との接着面とは反対側の面をワックスで基板キャリアのキャリア側接着面に接着し、接着体とした。接着は、以下のように行った。まず、貼り合わせ基板を90℃に加熱し、貼り合わせ基板側の接着面にワックスをスピンコータ(回転数1000rpm)で膜厚1μmとなるように塗布した。そして、貼り合わせ基板側の接着面とキャリア側接着面とを中心軸が同軸になるように接着し、加圧して接着体とした。その結果、図3と同様に、貼り合わせ基板側の接着面のうちSi基板のOF部分の一部からキャリア側接着面の一部がはみ出したキャリア側はみ出し面が存在した。また、図3と同様、キャリア側接着面に垂直な方向で且つ貼り合わせ基板側から透視したときに、キャリア側はみ出し面が基板側はみ出し面と第1,第2接点で隣接した状態になっていた。
【0050】
工程(c)として、接着体のうちLT基板の表面を研磨した。具体的には、直径350mmのスズ定盤を備えたラップ研磨機にLT基板側を押しつけ、ダイヤモンドスラリーを供給しながら、定盤と基板キャリアとを回転させてラップ(粗研磨)を1時間行った。これにより、LT基板の厚みは約25μmとなった。続いて、CMP研磨機を用いてコロイダルシリカを供給しながらCMP(仕上げ研磨)を2時間行い、LT基板の厚みを約23μmにした。これにより貼り合わせ基板はLT基板が研磨されて複合基板(研磨基板)となった。
【0051】
工程(d)として、基板キャリアからの複合基板の剥離を行った。具体的には、まず、ペルチェ冷却プレートの上に接着体を載置して20分放置した。次に、図5と同様、キャリア側はみ出し面を横切り且つその両側において第1,第2接点でキャリア側はみ出し面に隣接する基板側はみ出し面を通るように線状部材を掛け渡した。そして、線状部材の両側をキャリア側接着面と平行な方向から基板キャリア側に傾斜した斜め方向に引っ張り、複合基板を基板キャリアから剥離した。線状部材としてはナイロン製で太さ0.2mmの糸を用いた。また、剥離前の複合基板の表面の温度は5℃であった。これにより、複合基板を得た。
【0052】
[比較例1]
以下の点以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製した。工程(a)では、キャリア側接着面の直径が120mm(貼り合わせ基板側の接着面の直径よりも大きい値)の基板キャリアを用意した。工程(b)では、キャリア側接着面と貼り合わせ基板側の接着面とを同軸に接着して接着体とした。なお、キャリア側接着面の直径は貼り合わせ基板側の接着面の直径よりも大きく、しかも接着面を同軸に接着したため、接着体には基板側はみ出し面は存在しなかった。工程(d)では、剥離させる直前の複合基板の表面温度は−0.3℃とし、スクレイパーを複合基板と基板キャリアとの間に侵入させて複合基板を剥離させた。
【0053】
[比較例2]
比較例2として、工程(d)において接着体を90℃に加熱し、ワックスを熔融させスクレイパーを複合基板と基板キャリアとの間に侵入させて複合基板剥離した点以外は、実施例1と同様にして複合基板を作製した。
【0054】
実施例1、比較例1,2により複合基板をそれぞれ50枚ずつ作製し、作製した複合基板(剥離後の複合基板)に割れが生じていた枚数を数えて、割れ確率(%)を算出した。実施例1、比較例1,2における割れ確率は、それぞれ0%、4%、84%であった。
【符号の説明】
【0055】
10,210,310 基板キャリア、12 本体部、13,213,313 接着面、13a,213a,313a,313b キャリア側はみ出し面、14 シャフト、16 面取り部、20 複合基板、22 圧電基板、24 支持基板、25 オリエンテーションフラット(OF)、26 接着面、26a,226a,326a,326b 基板側はみ出し面、30 貼り合わせ基板、32 圧電基板、33 オリエンテーションフラット(OF)、40 接着体、42 接着層、44a,244a,344a 第1接点、44b,244b,344b 第2接点、344c,344d 接点、50 研磨装置、52 定盤、54 シャフト、56 研磨布、58 パイプ、59 線状部材、214,314 円形領域、215,315,316 突出領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8