特許第6254503号(P6254503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254503
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】車載用ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20171218BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
   H05K7/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-188995(P2014-188995)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-60332(P2016-60332A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一成
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142468(JP,A)
【文献】 特開2010−132130(JP,A)
【文献】 特開2010−070125(JP,A)
【文献】 国際公開第03/011647(WO,A1)
【文献】 特開2005−238939(JP,A)
【文献】 特開2007−310341(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0280542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部を内蔵したディスプレイ本体にラックを設け、このラックに噛合するピニオンをモータの動力で回転することにより、前記ディスプレイ本体が異なる2位置間を移動可能となっている車載用ディスプレイ装置において、
前記ディスプレイ本体が、前面に表示画面を露出させた可動ケースと、この可動ケースの背面から突出する熱伝導性の良い材料からなる延出壁とを備えており、前記ラックを前記延出壁に刻設すると共に、該ラックはその歯底面から内方へ切り欠かれた放熱溝を有しており、この放熱溝の深さが前記ラックの全歯たけの1〜2倍の範囲に設定されていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記延出壁は前記可動ケースの背面に所定間隔を存して一対設けられており、これら延出壁の相対向する内面にそれぞれ前記ラックが刻設されていると共に、これらラックに噛合する2つの前記ピニオンが連結軸を介して同期回転するようになっていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ本体を起立姿勢と横臥姿勢との間で回動させるようにした車載用ディスプレイ装置に係り、特に、ディスプレイ本体に内蔵された発熱部の冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車載用ディスプレイ装置では、開口部を有する筐体構造のケース内に液晶表示装置(LCD)を収納してディスプレイ本体となし、このディスプレイ本体をインストルメントパネル等に設けた凹所内に収容すると共に、ラックとピニオン等を備えた動力伝達装置によって回動可能となすことにより、使用時だけディスプレイ本体を凹所から突出させるという構成が広く採用されている。このような構成の車載用ディスプレイ装置においては、ディスプレイ本体に液晶表示装置のドライバLSIやバックライト等の発熱部が内蔵されているため、発熱部で発生する熱がディスプレイ本体の内部にこもって電子部品等に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0003】
そこで従来より、ディスプレイ本体の底壁部外面に冷却ファンを設置し、この冷却ファンによって外部の冷却空気をディスプレイ本体の内部に送り込んで発熱部まで導くと共に、発熱部にて加熱された空気をディスプレイ本体の回転軸回りに設けた排気口を通じてディスプレイ本体の外部に排出するようにした冷却構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5132276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の冷却構造では、支持部材に回動可能に支持されたディスプレイ本体の外壁部に冷却ファンを取り付ける必要があるため、ディスプレイ本体と支持部材との間に冷却ファンの移動を許容するスペースを確保しなければならず、それによって車載用ディスプレイ装置が大型化してしまうという問題があった。また、ディスプレイ本体の内部に冷却ファンから送り込まれた冷却空気を循環させる空気通路を確保する必要があるため、この点からも車載用ディスプレイ装置の小型化が妨げられてしまい、しかも、冷却ファンを取り付けることでディスプレイ本体の総重量が重くなってしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ディスプレイ本体に内蔵された発熱部の熱を簡単な構成で冷却することができる車載用ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、発熱部を内蔵したディスプレイ本体にラックを設け、このラックに噛合するピニオンをモータの動力で回転することにより、前記ディスプレイ本体が異なる2位置間を移動可能となっている車載用ディスプレイ装置において、前記ディスプレイ本体が、前面に表示画面を露出させた可動ケースと、この可動ケースの背面から突出する熱伝導性の良い材料からなる延出壁とを備えており、前記ラックを前記延出壁に刻設すると共に、該ラックはその歯底面から内方へ切り欠かれた放熱溝を有しており、この放熱溝の深さが前記ラックの全歯たけの1〜2倍の範囲に設定されているという構成にした。
【0008】
このように構成された車載用ディスプレイ装置では、ディスプレイ本体を構成する可動ケースの背面に熱伝導性の良い材料からなる延出壁が突設されており、この延出壁に刻設したラックにモータの動力で回転するピニオンを噛合させることにより、ディスプレイ本体が異なる2位置間を移動可能となっているが、延出壁に刻設されたラックがその歯底面から内方へ切り欠かれた放熱溝を有し、この放熱溝の深さがラックの全歯たけの1〜2倍の範囲に設定されているため、多数の歯形が連続するラックに放熱効果の高いヒートシンク機能を持たせることができ、ディスプレイ本体に内蔵された発熱部の熱はラックを有する延出壁から外部へ放熱される。ここで、延出壁に刻設したラックはディスプレイ本体の駆動手段として元々必要な構成であり、このラックのギヤ形状を変更するだけでヒートシンク断面積の大きな冷却構造を実現できるため、かかる冷却構造によって部品点数や設置スペースが増大することはなく、安価で小型化が可能な車載用ディスプレイ装置を提供することができる。
【0009】
上記の構成において、延出壁は可動ケースの背面に所定間隔を存して一対設けられており、これら延出壁の相対向する内面にそれぞれラックが刻設されていると共に、これらラックに噛合する2つのピニオンが連結軸を介して同期回転するようになっていると、ディスプレイ本体をバランス良く安定的に移動させることができるだけでなく、ヒートシンク機能を持つラックの延設領域が増える分だけ放熱効果を高めることができて好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車載用ディスプレイ装置は、ディスプレイ本体の構成部材である可動ケースがラック&ピニオンを用いた駆動手段によって回動されるようになっており、この可動ケースの延出壁に刻設したラックがその歯底面から内方へ切り欠かれた放熱溝を有しているため、元々必要とされるラックのギヤ形状を変更するだけでヒートシンク断面積の大きな冷却構造を実現でき、ディスプレイ本体に内蔵された発熱部の熱を簡単な構成で冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置を前面側から見た斜視図である。
図2】該車載用ディスプレイ装置を背面側から見た斜視図である。
図3】該車載用ディスプレイ装置の側面図である。
図4】該車載用ディスプレイ装置の背面図である。
図5図2のV−V線に沿う断面図である。
図6】該車載用ディスプレイ装置に備えられる動力伝達装置の要部平面図である。
図7図6に対応する斜視図である。
図8図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図9】該動力伝達装置に備えられるバックラッシュ除去ギヤの分解斜視図である。
図10】該バックラッシュ除去ギヤとラックの噛み合い状態を示す斜視図である。
図11】該バックラッシュ除去ギヤの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図7に示すように、本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置は、車室内の図示せぬ設置母材(例えばダッシュボード等)の凹所内に固定された支持部材1と、支持部材1に軸2を介して回転可能に支持されたディスプレイ本体3と、ディスプレイ本体3を起立姿勢と横臥姿勢との間で回動させる動力伝達装置4等を備えている。
【0013】
支持部材1にはギヤボックス5が一体的に設けられており、このギヤボックス5の底面にはモータ6が取り付けられている。ギヤボックス5には減速ギヤ列7を構成する複数のギヤが軸支されており、モータ6の回転軸に固着されたウォーム8が減速ギヤ列7の最初段ギヤ7aに噛合している。また、ギヤボックス5に軸支された支軸9の両端部に減速ギヤ列7の最終段ギヤである駆動ギヤ10が固着されており、後述するように、これら駆動ギヤ10とそれに同軸配置された制動ギヤ11等によってバックラッシュ除去ギヤ12が構成されている。
【0014】
ディスプレイ本体3は、前面に矩形状の開口部13aを有する可動ケース13と、可動ケース13内に収納されたLCD等からなる表示装置14とを備えており、表示装置14の表示画面14aは可動ケース13の開口部13aから露出している。この表示装置14は前面にタッチパッド(座標入力装置)を積層配置したタッチパネル型表示装置であり、ユーザの指先等をタッチパッドに押し当てることによって表示画面14a上のメニュー選択等を実行できるようになっている。なお、表示装置14はドライバLSIやバックライト等の熱を発生する発熱要素を備えているため、図4の2点鎖線で示すように、可動ケース13は発熱部15を内蔵したものとなっている。
【0015】
可動ケース13はアルミニウムやマグネシウム合金等の熱伝導性の良い金属材料からなり、この可動ケース13の背面には所定間隔を存して対向する一対の延出壁16が突設されている。可動ケース13と延出壁16はダイキャストにより一体形成されたものであるが、別々に形成したものをネジ止め等で一体化したものでも良い。これら延出壁16の相対向する内面にはそれぞれ主ラック17と副ラック18が刻設されており、主ラック17と副ラック18はいずれも軸2を中心として円弧状に延びている。図3から明らかなように、延出壁16は側面視で扇形状に形成されており、軸2から最も離れた延出壁16の外周縁に沿って主ラック17が刻設され、その内側に一定間隔を存して平行に副ラック18が刻設されている。詳細については後述するが、主ラック17にはバックラッシュ除去ギヤ12の駆動ギヤ10が噛み合っており、副ラック18にはバックラッシュ除去ギヤ12の制動ギヤ11が噛み合っている。
【0016】
図8図9に示すように、前述したバックラッシュ除去ギヤ12は、支軸9に固着された駆動ギヤ10と、支軸9の先端側の細径部9aに回転可能に支持された制動ギヤ11と、これら駆動ギヤ10と制動ギヤ11間に介設されたフェルト(不織布)等からなるリング状の摩擦板19と、支軸9の細径部9aに係止された止め板20と、この止め板20と制動ギヤ11間に介設されたコイルばね21とによって構成されており、このコイルばね21の弾発力によって制動ギヤ11は摩擦板19を介して駆動ギヤ10に圧接されている。このように構成されたバックラッシュ除去ギヤ12においては、弾性体であるコイルばね21が駆動ギヤ10と制動ギヤ11を両者間に介設した摩擦板19に圧接させることで摩擦トルクを得るようにしているため、径寸法の小さな駆動ギヤ10と制動ギヤ11であっても大きな摩擦トルクを発生させることができる。
【0017】
駆動ギヤ10は制動ギヤ11に比べて大径の歯車であり、この駆動ギヤ10を主ラック17に噛合させることにより、モータ6の回転が減速ギヤ列7の最終段の駆動ギヤ10から主ラック17に伝達されるようになっている。ここで、図10に示すように、主ラック17の歯幅寸法W1は副ラック18の歯幅寸法W2に比べて十分に大きく設定されているため、駆動ギヤ10を副ラック18と緩衝することなく主ラック17に噛合させることが可能となっている。また、制動ギヤ11は駆動ギヤ10に比べて小径の歯車であるため、駆動ギヤ10に同軸配置された制動ギヤ11を主ラック17と緩衝することなく副ラック18に噛合させることが可能となっている。
【0018】
図11に示すように、主ラック17はその歯底面から内方(延出壁16の外周縁側)へ向かって切り欠かれた多数の放熱溝17aを有しており、この放熱溝17aの深さをh、主ラック17の全歯たけをHとすると、放熱溝17aの深さhは主ラック17の全歯たけHの1〜2倍の範囲に設定されている。同様に、副ラック18もその歯底面から内方(延出壁16の中心側)へ向かって切り欠かれた多数の放熱溝18aを有しており、この放熱溝18aの深さをh1、副ラック18の全歯たけをH1とすると、放熱溝18aの深さh1は副ラック18の全歯たけH1の1〜2倍の範囲に設定されている。
【0019】
このように主ラック17と副ラック18がそれぞれ多数の放熱溝17a,18aを有しているため、熱伝導性の良い延出壁16にヒートシンク断面積の大きなフィン形状が形成されることになり、可動ケース13に放熱効果の高いヒートシンク機能を持たせることができている。したがって、わざわざ可動ケース13に冷却ファン等の冷却用部品を付設しなくても、可動ケース13に内蔵された発熱部15の熱を延出壁16のヒートシンク部(主ラック17と副ラック18の形成領域)から外部へ効率良く放熱することができる。上記のように、放熱溝17aの深さhを主ラック17の全歯たけHの1〜2倍の範囲に設定し、同様に放熱溝18aの深さh1を副ラック18の全歯たけH1の1〜2倍の範囲に設定することで、主ラック17、副ラック18の歯の強度と放熱効果とをバランス良く確保することができる。
【0020】
次に、このように構成された車載用ディスプレイ装置の動作について説明する。
【0021】
図1図3に示すように、ディスプレイ本体3が設置母材の凹所から車室内に突出して起立姿勢に保持されているとき、一対のバックラッシュ除去ギヤ12の駆動ギヤ10は対応する主ラック17の最下部分と噛合しており、駆動ギヤ10に同軸配置された制動ギヤ11も対応する副ラック18の最下部分と噛合している。ここで、バックラッシュ除去ギヤ12を構成する駆動ギヤ10と制動ギヤ11間にはコイルばね21の付勢力による大きな摩擦トルクが働いているため、駆動ギヤ10と主ラック17間のバックラッシュおよび制動ギヤ11と副ラック18間のバックラッシュが両方とも吸収され、起立姿勢で停止しているディスプレイ本体3にガタが発生することを確実に防止できる。
【0022】
また、本実施形態例ではタッチパネル型の表示装置14を使用しているため、起立姿勢で停止しているディスプレイ本体3に対してタッチ操作時にユーザから押し付け力が作用することになるが、この場合も駆動ギヤ10と制動ギヤ11間に大きな摩擦トルクが働いているため、ユーザからの押し付け力に対してディスプレイ本体3が変位しにくくなり、タッチ入力時の操作感触が悪化することを防止できる。
【0023】
この状態でモータ6が正逆いずれかの方向に回転すると、その回転がウォーム8から減速ギヤ列7を介して駆動ギヤ10に伝達されるため、駆動ギヤ10に噛合する主ラック17がモータ6の回転力を受けて駆動される。その際、図11に示すように、主ラック17の最下部分に噛合している駆動ギヤ10が図中の時計回り(矢印A方向)に回転すると、主ラック17と副ラック18を含めてディスプレイ本体3(延出壁16)が軸2を中心に時計回り(矢印B方向)に回転するため、副ラック18に噛合する制動ギヤ11が駆動ギヤ10と逆向きの反時計回り(矢印C方向)に回転する。このときも駆動ギヤ10と制動ギヤ11間には大きな摩擦トルクが働いており、制動ギヤ11は駆動ギヤ10に対して常に滑りながら逆向きに回転するため、駆動ギヤ10と主ラック17間のバックラッシュおよび制動ギヤ11と副ラック18間のバックラッシュは両方とも吸収され、回転途中のディスプレイ本体3についてもガタの発生を確実に防止することができる。
【0024】
そして、このようにモータ6の一方向の回転に伴って駆動ギヤ10に対する主ラック17の噛合箇所が上方へ移行していくと、ディスプレイ本体3が起立姿勢から次第に倒れ込んでその傾倒角度が調整され、駆動ギヤ10が主ラック17の最上部分と噛合する箇所まで移行した時点で、ディスプレイ本体3は設置母材の表面と略同一面まで傾倒して横臥姿勢となる。なお、横臥姿勢のディスプレイ本体3の傾倒角度は適宜設定可能である。
【0025】
ディスプレイ本体3の横臥姿勢でモータ6が上記と逆方向に回転すると、駆動ギヤ10に対する主ラック17の噛合箇所が最上部分から最下部分へと移行していくため、ディスプレイ本体3を再び車室内に突出させてユーザに対面させることができる。したがって、モータ6の回転方向と回転量を制御することにより、ディスプレイ本体3を起立姿勢と横臥姿勢の任意の角度位置で停止させることができ、しかも、バックラッシュ除去ギヤ12の駆動ギヤ10と制動ギヤ11間に常時大きな摩擦トルクが働いているため、ディスプレイ本体3の停止時のみならず回動途中においてもガタの発生を抑制することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置では、ディスプレイ本体3を構成する可動ケース13の背面に延出壁16が突設され、この延出壁16に刻設した主ラック17と副ラック18にモータ6の動力で回転するバックラッシュ除去ギヤ12を噛合させることにより、ディスプレイ本体3が起立姿勢と横臥姿勢との間を回動可能となっていると共に、主ラック17と副ラック18がそれぞれ歯底面から内方へ切り欠かれた多数の放熱溝17a,18aを有しているため、多数の歯形が連続する主ラック17と副ラック18に放熱効果の高いヒートシンク機能を持たせることができる。したがって、可動ケース13に内蔵されたドライバLSIやバックライト等の発熱部15で発生した熱は、熱伝導性の良い材料からなる延出壁16を伝わってヒートシンク部(主ラック17と副ラック18の形成領域)から外部へ効率良く放熱され、ディスプレイ本体3に搭載された電子部品等が発熱部15の熱によって悪影響を受けることを防止できる。
【0027】
この場合において、延出壁16に刻設したラック(特に主ラック17)はディスプレイ本体3の駆動手段として元々必要な構成であり、このラックのギヤ形状を変更するだけでヒートシンク断面積の大きな冷却構造を実現できるため、かかる冷却構造によって部品点数や設置スペースが増大することはなく、安価で小型化が可能な車載用ディスプレイ装置を提供することができる。
【0028】
また、本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置では、可動ケース13の背面に一対の延出壁16が所定間隔を存して対向設置されており、これら延出壁16の相対向する内面にそれぞれ主ラック17と副ラック18が刻設されていると共に、これら主ラック17と副ラック18に噛合する2つのバックラッシュ除去ギヤ12が支軸9を介して同期回転するようになっているので、ディスプレイ本体3をバランス良く安定的に移動させることができるだけでなく、2組分の主ラック17と副ラック18によって放熱溝17a,18aの形成領域が増える分だけ放熱効果を高めることができる。さらに、車載用ディスプレイ装置を側方から見たときに、主ラック17、副ラック18、駆動ギヤ10、制動ギヤ11は延出壁16の扇形状の側壁によって覆われているため、美観を損なうことがない。
【0029】
なお、上記実施形態例では、多数の放熱溝17a,18aを有する主ラック17と副ラック18を延出壁16に刻設し、モータ6の動力で回転するバックラッシュ除去ギヤ12の駆動ギヤ10を主ラック17に噛合させると共に、駆動ギヤ10に同軸配置した制動ギヤ11を副ラック18に噛合させているが、バックラッシュ除去機能のない標準ギヤ(ピニオン)とラックの噛合によってディスプレイ本体3を駆動することも可能である。その場合、延出壁16に刻設されるのは主ラックに相当するラックだけとなるが、このラックのギヤ形状を変更して上記のような放熱溝を形成すれば良い。また、主ラック17を有する延出壁16を可動ケース13の背面に一つだけ設けても良い。
【0030】
また、上記実施形態例では、ディスプレイ本体3が支持部材1に回転可能に支持された回動タイプの車載用ディスプレイ装置について説明したが、ディスプレイ本体が支持部材にスライド可能に支持された昇降タイプの車載用ディスプレイ装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 支持部材
2 軸
3 ディスプレイ本体
4 動力伝達装置
5 ギヤボックス
6 モータ
7 減速ギヤ列
8 ウォーム
9 支軸(連結軸)
10 駆動ギヤ
11 制動ギヤ
12 バックラッシュ除去ギヤ
13 可動ケース
13a 開口部
14 表示装置
14a 表示画面
15 発熱部
16 延出壁
17 主ラック
17a 放熱溝
18 副ラック
18a 放熱溝
19 摩擦板
20 止め板
21 コイルばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11