特許第6254641号(P6254641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254641
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】回路遮断器の定電圧供給回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G05F1/56 310S
   G05F1/56 320A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-97698(P2016-97698)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-16641(P2017-16641A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0094127
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ソン チョンクク
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/013642(WO,A1)
【文献】 特開2007−026337(JP,A)
【文献】 特開2007−334573(JP,A)
【文献】 特開2007−181290(JP,A)
【文献】 特開2014−086073(JP,A)
【文献】 特表2016−525259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流回路から交流を直流に変換した直流入力電圧が供給される回路遮断器の定電圧供給回路において、
前記直流入力電圧を降圧して供給する第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子に並列に接続されて一定の電流を供給する定電流源と、
前記第1スイッチング素子及び前記定電流源の出力端に共通に接続される帰還回路部と、
前記帰還回路部に接続されて一定の電圧を供給する定電圧源と、
前記第1スイッチング素子の出力端に接続されて前記第1スイッチング素子の出力電流を調整する電流調整回路部と、
前記電流調整回路部の出力端と接地との間に接続され、第1抵抗及び第2抵抗を含み、前記第1抵抗と前記第2抵抗間の接続ノードを介して前記定電圧供給回路の出力電圧の分圧電圧を前記帰還回路部に供給する分圧抵抗部と、を含
前記定電流源は、ディプレッションMOSトランジスタを含み、
前記ディプレッションMOSトランジスタは、前記定電圧供給回路の初期動作時間において電流チャネルを形成することにより、ドレインとソース間の電流を可能にすることにより、前記帰還回路部に電流を供給するよう構成され、前記帰還回路部の出力電圧がゲート電圧を印加するよう構成される場合、前記ディプレッションMOSトランジスタは電流チャネルを遮断する、回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項2】
前記定電流源は、前記ディプレッションMOSトランジスタに接続される抵抗をさらに含む、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項3】
前記帰還回路部は、演算増幅器を含む、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項4】
前記帰還回路部は、トランジスタを含む、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項5】
前記定電圧源は、ツェナーダイオードを含む、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項6】
前記電流調整回路部は、電流制限用抵抗と、前記電流制限用抵抗に流れる電流量に基づいてオン又はオフになるトランジスタとを含み、前記トランジスタがオンになると前記第1スイッチング素子をオフにするように構成される、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子は、直流入力電圧を降圧して供給するパストランジスタで構成される、請求項1に記載の回路遮断器の定電圧供給回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式回路遮断器に関し、特に、電子式回路遮断器においてトリップ制御部などの電子回路部に100V〜460Vの広範囲の交流入力電圧から生成された安定した一定の小電圧である直流定電圧を供給する回路遮断器の定電圧供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による回路遮断器の定電圧供給回路は、交流を直流に変換して低電力消費を要求する数百ボルト以下の定格電圧を有する低電圧回路遮断器又は低電圧漏電遮断器の電子部品に直流定電源を供給する。
【0003】
このような回路遮断器の定電圧供給回路の従来技術は次の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0040718号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−1001768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の従来技術による電源供給回路は、回路遮断器に定電圧ではなく定電流を供給する回路で構成され、安定化のために出力端に接続されたコンデンサ(符号C2)により接地への無駄な電流消費が多いので、電力供給効率が低いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の従来技術による定電圧回路は、入力端に第1トランジスタと並列に接続される抵抗(符号R11など)の物理的な大きさが非常に大きいことから占有面積が大きく、高価であり、発熱が大きいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、無駄な電流消費を最小限に抑え、入力端に抵抗を設置しないようにして発熱、面積増加、価格上昇の問題を解決した回路遮断器の定電圧供給回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、整流回路から交流を直流に変換した直流入力電圧が供給される回路遮断器の定電圧供給回路において、前記直流入力電圧を降圧して供給する第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に並列に接続されて一定の電流を供給する定電流源と、前記第1スイッチング素子及び前記定電流源の出力端に共通に接続される帰還回路部と、前記帰還回路部に接続されて一定の電圧を供給する定電圧源と、前記第1スイッチング素子の出力端に接続されて前記第1スイッチング素子の出力電流を調整する電流調整回路部と、前記電流調整回路部の出力端と接地との間に接続され、第1抵抗及び第2抵抗を含み、前記第1抵抗と前記第2抵抗間の接続ノードを介して前記定電圧供給回路の出力電圧の分圧電圧を前記帰還回路部に供給する分圧抵抗部とを含む、本発明による回路遮断器の定電圧供給回路を提供することにより達成することができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記定電流源は、ディプレッションMOSトランジスタ(DEPLETION MOS TRANSISTOR)と、前記ディプレッションMOSトランジスタに接続される抵抗とを含む。
【0010】
本発明の好ましい他の態様によれば、前記帰還回路部は、演算増幅器を含む。
【0011】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記帰還回路部は、トランジスタを含む。
【0012】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記定電圧源は、ツェナーダイオードを含む。
【0013】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記電流調整回路部は、電流制限用抵抗と、前記電流制限用抵抗に流れる電流量に基づいてオン又はオフになるトランジスタとを含み、前記トランジスタがオンになると前記第1スイッチング素子をオフにするように構成される。
【0014】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記第1スイッチング素子は、直流入力電圧を降圧して供給するパストランジスタで構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明による回路遮断器の定電圧供給回路においては、従来技術で入力端に電圧降下用に設置されていた抵抗の代わりに定電流源を設置することにより、抵抗による発熱、占有面積増加、価格上昇の問題を解消できるという効果がある。
【0016】
また、本発明による回路遮断器の定電圧供給回路においては、定電流源、パストランジスタ及び帰還回路部を含み、入力電圧を降圧して一定の直流電圧を供給できるという効果がある。
【0017】
さらに、本発明による回路遮断器の定電圧供給回路においては、電流調整回路部を含み、帰還回路部の出力電圧が安定するまで制限された電流を供給し、帰還回路部の出力電圧が安定して定電圧供給回路の最終の出力電圧レベルになると無駄な電流消費を制限することにより、出力側負荷の変動に関係なく定電圧供給回路の出力電流及び出力電圧を一定に維持できるという効果がある。
【0018】
さらに、本発明による回路遮断器の定電圧供給回路においては、電流消費が少ないので待機電力を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における定電流源の一例を示す部分回路図である。
図3】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における電流調整回路部の一例を示す部分回路図である。
図4】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における帰還回路部の一例を示す部分回路図である。
図5】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における入力信号及び出力信号の波形を示す波形図である。
図6】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における負荷抵抗の変化に応じた定電圧供給回路の出力電圧の変動特性を従来技術と比較して示す波形図である。
図7】本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路における第1スイッチング素子のドレインとソース間の電流及び電圧特性を従来技術と比較して示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述した本発明の目的とそれを達成する本発明の構成及びその作用効果は、添付図面を参照した本発明の好ましい実施形態についての以下の説明によりさらに明確に理解できるであろう。
【0021】
まず、図1図4及び図7を参照して、本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路の構成を説明する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路10は、物理的には、例えば配線用遮断器又は漏電遮断器などの低電圧回路遮断器のケース内に固定設置されるプリント基板で構成されてもよい。
【0023】
図1において、符号1は、交流電源であり、例えば商用の三相交流電源であってもよい。
【0024】
図1において、符号2は、交流を直流に変換した直流入力電圧を定電圧供給回路10に供給する整流回路であり、ダイオードブリッジ回路で構成されてもよく、交流電源1が三相交流電源の場合、三相のうちいずれか一相の交流を直流に変換して供給する。
【0025】
定電圧供給回路10は、第1スイッチング素子11、定電流源12、帰還回路部13、定電圧源14、電流調整回路部15及び分圧抵抗部16を含む。
【0026】
第1スイッチング素子11は、整流回路2から供給される直流入力電圧を降圧して供給する。
【0027】
第1スイッチング素子11は、直流入力電圧を降圧して供給するパストランジスタで構成されてもよい。パストランジスタは、大電圧及び大電流制御用スイッチング素子であり、本発明においては、パストランジスタの大電圧制御特性及び大電流制御特性のいずれか一方又は両方の特性を利用する。
【0028】
図7を参照すると、パストランジスタで構成される第1スイッチング素子11は、ドレイン・ソース間電圧(VDS)の増加に伴ってドレイン・ソース間電流(IDS)が一定値に収斂する特性を示す。一般のトランジスタを用いる従来技術においては、例えば約1Aの比較的大きな電流に収斂するのに対し、パストランジスタを用いる本発明においては、約1mAの比較的小さな電流に収斂する。
【0029】
また、交流電源1として、例えば800Vの交流電圧が回路遮断器に印加された場合は、第1スイッチング素子11のドレイン・ソース間電圧(VDS)が約10Vに降圧される。
【0030】
このような第1スイッチング素子11は、ソースが整流回路2から供給される直流入力電圧(Vin)の入力端に接続され、ドレインが電流調整回路部15に接続され、ゲートが帰還回路部13に接続されるようにしてもよい。
【0031】
定電流源12は、第1スイッチング素子11に並列に接続されて一定の電流を供給する手段である。定電流源12は、帰還回路部13と定電圧源14に必要な最小電流(Is)を供給する。
【0032】
定電流源12は、図2に示すように、ディプレッションMOSトランジスタ12−1と、ディプレッションMOSトランジスタ12−1に接続される抵抗12−2とを含んでもよい。
【0033】
ディプレッションMOSトランジスタ12−1は、ソースが整流回路2から供給される直流入力電圧(Vin)の入力端に接続され、ドレインが抵抗12−2に接続されるようにしてもよい。
【0034】
ディプレッションMOSトランジスタ12−1は、ゲート電圧が印加されないときは電流チャネルを形成してドレインとソース間に電流を通電させ、ゲート電圧が印加されると電流チャネルを閉じてドレインとソース間の電流を遮断するスイッチング素子である。
【0035】
つまり、本発明において、ディプレッションMOSトランジスタ12−1は、定電圧供給回路10の動作初期に電流チャネルを形成してドレインとソース間に電流を通電させることにより帰還回路部13に電流を供給する機能を実行する。
【0036】
その後、帰還回路部13において出力電圧(Vf)が形成されてゲート電圧が印加されると、ディプレッションMOSトランジスタ12−1は、電流チャネルを閉じることにより、直流入力電圧(Vin)から定電流源12への電流経路を遮断するので、直流入力電圧(Vin)から第1スイッチング素子11への電流経路のみ残る。
【0037】
抵抗12−2は、一端がディプレッションMOSトランジスタ12−1のドレインに接続され、他端がディプレッションMOSトランジスタ12−1のゲート及び帰還回路部13に接続されるようにしてもよい。
【0038】
抵抗12−2は、ディプレッションMOSトランジスタ12−1のドレインから帰還回路部13に流れる電流を制限する。
【0039】
帰還回路部13は、第1スイッチング素子11及び定電流源12の出力端に共通に接続される。
【0040】
また、帰還回路部13は、定電圧源14、分圧抵抗部16の抵抗R1と抵抗R2との間、及び電流調整回路部15に接続される。
【0041】
電流調整回路部15に流れる電流量が大きくなって電流調整回路部15内部のスイッチング素子がターンオンすると、第1スイッチング素子11のゲートに印加される電圧が閾値電圧以下に減少して第1スイッチング素子11がターンオフし、それにより定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流が減少する。このとき、帰還回路部13から第1スイッチング素子11のゲートへの電流経路は遮断され、帰還回路部13から電流調整回路部15を介した定電圧供給回路10の出力端への電流経路が生成される。
【0042】
第1スイッチング素子11がターンオフすると、電流調整回路部15に流れる電流量が小さくなって電流調整回路部15内部のスイッチング素子がターンオフし、帰還回路部13から第1スイッチング素子11のゲートへの電流経路が生成され、第1スイッチング素子11のゲートに帰還電圧(Vf)が印加されて第1スイッチング素子11がターンオンする。
【0043】
つまり、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が大きくなると、電流調整回路部15内部のスイッチング素子がターンオンし、第1スイッチング素子11がターンオフし、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が小さくなると、電流調整回路部15内部のスイッチング素子がターンオフし、第1スイッチング素子11がターンオンすることにより、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が一定に維持される。
【0044】
前述したように、帰還回路部13は、電流調整回路部15の動作状態によって第1スイッチング素子11をターンオン又はターンオフする手段として用いられる。
【0045】
帰還回路部13は、図4に示すように、演算増幅器13aを含んでもよい。
【0046】
他の例として、帰還回路部13は、トランジスタ(図示せず)で構成されてもよい。例えば、帰還回路部13がバイポーラトランジスタで構成された場合、当該バイポーラトランジスタは、コレクタが定電流源12及び第1スイッチング素子11に接続され、ベースが分圧抵抗部16の抵抗R1と抵抗R2との間に接続され、エミッタが定電圧源14に接続される。
【0047】
定電圧源14は、帰還回路部13に接続されて帰還回路部13に一定の電圧として基準電圧(Vref)を印加する。
【0048】
定電圧源14は、例えばツェナーダイオードで構成されてもよい。
【0049】
電流調整回路部15は、第1スイッチング素子11の出力端に接続されて第1スイッチング素子11の出力電流を一定に調整する。
【0050】
電流調整回路部15は、図3に示すように、電流制限用抵抗15−2と、電流制限用抵抗15−2に流れる電流量に基づいてオン又はオフになるトランジスタ15−1とを含み、トランジスタ15−1がオンになると第1スイッチング素子11をオフにするように構成される。
【0051】
すなわち、電流制限用抵抗15−2に流れる電流量が大きくなってトランジスタ15−1がターンオンすると、第1スイッチング素子11のゲートに印加される電圧が閾値電圧以下に減少して第1スイッチング素子11がターンオフし、それにより定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流が減少する。
【0052】
第1スイッチング素子11がターンオフすると、電流調整回路部15に流れる電流量が小さくなってトランジスタ15−1がターンオフし、帰還回路部13から第1スイッチング素子11のゲートへの電流経路が生成され、第1スイッチング素子11のゲートに帰還電圧(Vf)が印加されて第1スイッチング素子11がターンオンする。
【0053】
つまり、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が大きくなると、電流調整回路部15のトランジスタ15−1がターンオンし、第1スイッチング素子11がターンオフし、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が小さくなると、電流調整回路部15のトランジスタ15−1がターンオフし、第1スイッチング素子11がターンオンすることにより、定電圧供給回路10の出力端に流れる出力電流量が一定に維持される。
【0054】
分圧抵抗部16は、電流調整回路部15の出力端と接地との間に接続され、第1抵抗R1と第2抵抗R2とを含む。
【0055】
分圧抵抗部16は、第1抵抗R1と第2抵抗R2間の接続ノードを介して定電圧供給回路10の出力電圧(Vout)の分圧電圧を帰還回路部13に供給する。
【0056】
以下、図1図5及び図6を参照して、前述したように構成される本発明の好ましい実施形態による回路遮断器の定電圧供給回路の動作を説明する。
【0057】
交流電源1から供給された交流は、整流回路2により直流に変換(整流)されて直流入力電圧(Vin)となり、定電圧供給回路10に供給される。
【0058】
直流入力電圧(Vin)が定電圧供給回路10に供給される初期(定電圧供給回路10の動作初期)には、第1スイッチング素子11はターンオフ状態にあり、定電流源12のディプレッションMOSトランジスタ12−1は電流チャネルを形成してディプレッションMOSトランジスタ12−1のドレインとソース間に電流を通電させることにより帰還回路部13に電流を供給する。
【0059】
よって、定電流源12は、帰還回路部13と定電圧源14に必要な最小電流(Is)を供給する。
【0060】
帰還回路部13は、定電圧源14の基準電圧(Vref)と分圧抵抗部16の第1抵抗R1と第2抵抗R2の比率に応じた電圧を第1スイッチング素子11と電流調整回路部15に印加する。
【0061】
すなわち、帰還回路部13により印加される電圧は下記数式1で表される。
【数1】
【0062】
ここで、Vfは帰還回路部13の出力電圧(印加電圧)であり、Vrefは定電圧源14の基準電圧であり、R1は第1抵抗であり、R2は第2抵抗である。
【0063】
refは定電圧源14により供給される一定の基準電圧であり、R1及びR2も一定の抵抗であるので、帰還回路部13の出力電圧(印加電圧)(Vf)は一定になる。
【0064】
帰還回路部13の出力電圧(印加電圧)(Vf)が第1スイッチング素子11のゲート閾値電圧より大きいので、出力電圧(印加電圧)(Vf)の印加により、第1スイッチング素子11はターンオンする。
【0065】
ターンオンする第1スイッチング素子11により、直流入力電圧(Vin)は目的とするレベルに降圧されて電流調整回路15に印加される。
【0066】
定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)は、帰還回路部13の出力電圧(Vf)と第1スイッチング素子11のゲート・ソース間電圧(Vgs)と電流調整回路15の電圧降下(Vq)の関係により、下記数式2で表される。
【数2】
【0067】
ここで、帰還回路部13の出力電圧(Vf)は前述したように一定であり、第1スイッチング素子11のゲート・ソース間電圧(Vgs)も直流入力電圧(Vin)が一定であれば一定であり、電流調整回路15の電圧降下(Vq)も一定であるので、定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)は一定の値を維持する。
【0068】
このとき、電流調整回路部15のトランジスタ15−1は、電流調整回路部15に流れる電流量によってターンオン又はターンオフすることにより、定電圧供給回路10の出力電流を一定に維持する。
【0069】
例えば、図5を参照すると、整流回路2から供給される直流入力電圧のピーク値が80Vの場合、本発明による定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)は直流約15Vを維持して一定に供給される。
【0070】
また、図6を参照すると、負荷量が増加した場合、従来技術による定電圧供給回路においては最終の出力電圧が増加するが、本発明による定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)は一定に維持される。
【0071】
一方、本発明による定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)は、零相変流器(ZCT)4、漏れ検出回路部3、トリップスイッチ6、トリップコイル及び遮断機構5などに供給される。
【0072】
零相変流器4は、接地に流れる漏れ電流に対応する電圧信号を出力する。
【0073】
漏れ検出回路部3は、予め定められた漏れ(漏電)とみなされる零相変流器4の出力電圧の基準値と零相変流器4の出力電圧信号に応じた値とを比較し、零相変流器4の出力電圧信号に応じた値が基準値以上の場合、漏電が発生したと判断し、トリップスイッチ6が閉路位置に切り替えられるように制御する。ここで、トリップスイッチ6は、トランジスタなどのスイッチング素子で構成されてもよい。
【0074】
すると、トリップスイッチ6の閉路により、定電圧供給回路10の最終の出力電圧(Vout)がトリップコイル及び遮断機構5のトリップコイルに供給され、当該トリップコイルが励磁する。
【0075】
すると、図示していないが、トリップコイル及び遮断機構5のトリップコイルの励磁によるアーマチュアなどのトリップ機構のトリガ動作により、トリップコイル及び遮断機構5の遮断機構が可動接触子を対応する固定接触子から分離する位置に駆動する。これにより、回路が遮断され、回路や回路に接続された負荷機器などが漏電から保護される。
【符号の説明】
【0076】
1 交流電源
2 整流回路
3 漏れ検出回路部
4 零相変流器
5 トリップコイル及び遮断機構
6 トリップスイッチ
10 定電圧供給回路
11 第1スイッチング素子
12 定電流源
13 帰還回路部
14 定電圧源
15 電流調整回路部
16 分圧抵抗部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7