(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記台車は、前記結合部材と、前記本体部に設けられた前記第1結合部との間に、前記結合部材から前記第1結合部に作用する荷重を検出可能な荷重センサを更に備えることを特徴とする、請求項2に記載の連続壁掘削機。
前記掘削具は、注入材を排出可能な開口が形成され、前記リーダに取り付けられるカッターポストと、前記カッターポストの周囲を循環移動可能に取り付けられる、カッタービットを備える前記エンドレスカッターチェーンと、を備え、
前記荷重センサを第1荷重センサとした場合に、前記リーダは、前記掘削具の鉛直方向の位置を変動可能なように鉛直方向に伸縮可能な伸縮装置と、前記エンドレスカッターチェーンを循環駆動する駆動装置と、前記カッターポストの前記開口へと前記注入材を供給する供給装置と、前記伸縮装置に作用する鉛直方向荷重を検出可能な第2荷重センサと、を備え、
前記第1荷重センサの検出値及び前記第2荷重センサの検出値に基づき、前記伸縮装置、前記駆動装置及び前記供給装置の少なくとも1つを制御することを特徴とする、請求項3又は4に記載の連続壁掘削機。
前記一対のロングクローラそれぞれの鉛直方向の高さ位置を変動可能な高さ変動機構を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の連続壁掘削機。
前記ロングクローラ内に位置し、前記高さ変動機構により持ち上げられた前記ロングクローラの下方への弛みを阻止する弛み阻止部材を更に備えることを特徴とする、請求項8に記載の連続壁掘削機。
前記台車は、前記一対のレール上で、前記リーダに前記掘削具を取り付け可能な取付位置と、前記リーダに取り付けられた掘削具により掘削を行う掘削位置と、の間を移動可能であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の連続壁掘削機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る連続壁掘削機の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部材・部位には共通の符号を付している。
【0022】
図1は、本実施形態としての連続壁掘削機1の上面図である。
図2は、連続壁掘削機1の側面図である。
図3は、連続壁掘削機1の正面図である。なお、
図2の側面図及び
図3の正面図では、掘削具5が見えるように一部を省略して描いている。
【0023】
図1〜
図3に示すように、連続壁掘削機1は、一対のロングクローラ2と、一対のレール3と、台車4と、を備えている。なお、
図1〜
図3では、台車4に掘削具5が取り付けられた状態を示している。
【0024】
一対のロングクローラ2は、略平行して延在する第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bにより構成されている。第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bの構成は同一である。そのため、第1ロングクローラ2aの長手方向と、第2ロングクローラ2bの長手方向と、は略一致している。以下、説明の便宜上、第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bの長手方向を単に「長手方向A」と記載する。
【0025】
一対のレール3は、一対のロングクローラ2に設けられている。具体的に、第1ロングクローラ2aには、長手方向Aに沿って延在する第1レール3aが設けられている。第2ロングクローラ2bには、長手方向Aに沿って延在する第2レール3bが設けられている。したがって、第1レール3a及び第2レール3bについても略平行して延在している。
【0026】
台車4は、一対のレール3上で、一対のレール3に沿って、長手方向Aに水平移動可能である。
図4は、台車4が、一対のレール3上で、
図1〜
図3に示す位置とは異なる位置にある状態を示している。このように、台車4は、一対のレール3上を移動可能である。
【0027】
より具体的に、台車4は、本体部6と、リーダ7と、結合部材8と、第1荷重センサ9と、長さ可変部材60と、連結部61と、を備えている。
【0028】
本体部6は動力源10を備える。本実施形態の動力源10は、電力により起動するインバータ−モータである。インバーターモータは、リーダ7に設けられた後述の駆動装置12としての油圧モータに動力を供給する。
【0029】
また、
図2等に示すように、本実施形態の本体部6は供給装置13を備えている。供給装置13は、可撓性を有するホース等の管状部材62、及び、後述するリーダ7の取付部材55に支持されている掘削具5、を通じて、注入材を掘削溝へと供給する。なお、
図1、
図3では、管状部材62を省略して描いている。
【0030】
リーダ7は、循環移動可能な掘削具5を鉛直方向に移動可能に保持できる。また、リーダ7は門型の形状を有しており、一対のレール3に跨って配置され、一対のロングクローラ2に支持されている。なお、リーダ7に保持される掘削具5の鉛直方向の移動についても、動力源10からの動力が利用される。
【0031】
リーダ7は、一対のロングクローラ2に支持された状態で本体部6に対して回動可能なように、本体部6と直接的又は間接的にヒンジ結合されている。具体的に、本実施形態のリーダ7は、結合部材8を介して間接的に、本体部6に対してヒンジ結合されている。
【0032】
このように、リーダ7は、一対のレール3に跨って配置され、一対のロングクローラ2に支持されている。そのため、リーダ7の位置を連続壁掘削機1の全体の重心位置に近づけ易く、リーダ7に対するカウンターウェイトを軽量化した構成が実現し易くなる。つまり、連続壁掘削機1の小型化が実現し易くなる。
【0033】
また、リーダ7は、長手方向Aに移動可能な台車4に備えられている。そのため、一対のレール3上を、長手方向Aに移動させることで、長手方向Aにおける所定範囲の作業を、一対のロングクローラ2を可動させることなく実行することができる。
【0034】
更に、リーダ7は、一対のロングクローラ2に支持された状態で本体部6に対して回動可能なように、本体部6と直接的又は間接的にヒンジ結合されている。このような構成とすれば、リーダ7を、本体部6に対して傾斜させる、すなわち、リーダ7に取り付けられる掘削具5の傾きを変動させることができる。そのため、掘削中の地盤の性状等に応じて掘削具5の傾きを変動することにより、掘削作業の効率化を図ることができる。また更に、上述したリーダ7の長手方向Aへの移動と、リーダ7の傾斜の変動と、を組み合わせることで、地盤の性状等に合わせたより効率的な掘削作業を実現することができる。
【0035】
結合部材8は、本体部6とリーダ7とを結合する。また、結合部材8は、リーダ7をサポートする補強部材としてのバックステイでもある。結合部材8は、本体部6に設けられた第1結合部6aと直接的又は間接的にヒンジ結合されると共に、リーダ7に設けられた第2結合部7aと直接的又は間接的にヒンジ結合されている。より具体的に、実施形態の結合部材8は、棒状の長尺部材であり、その一端部が、長さ可変部材60及び第1荷重センサ9を介して間接的に、第1結合部6aとヒンジ結合されている。また、本実施形態の結合部材8の他端部は、他の部材が介在することなく直接的に、第2結合部7aとヒンジ結合されている。
【0036】
このような結合部材8を用いることで、リーダ7をより安定的に支持することができる。
【0037】
第1荷重センサ9は、結合部材8及び長さ可変部材60と、本体部6に設けられた第1結合部6aとの間に位置し、結合部材8から第1結合部6aに作用する荷重を検出可能である。第1荷重センサ9としては、例えばロードセルを用いることができる。なお、第1荷重センサ9の両端部も、第1結合部6a及び長さ可変部材60それぞれに対してヒンジ結合されている。そのため、本実施形態の第1荷重センサ9は、第1結合部6aに向かって結合部材8の軸方向に作用する荷重を検出することができる。詳細は後述するが、本実施形態の連続壁掘削機1は、第1荷重センサ9が検出した検出値が所定値以上の場合に、動力源10から掘削具5への動力の供給を停止する。
【0038】
ここで、連続壁掘削機1の台車4に取り付けられる掘削具5について説明する。掘削具5は、循環移動可能なエンドレスカッターチェーン5bを備えるものである。具体的に、本実施形態の掘削具5は、カッターポスト5aと、エンドレスカッターチェーン5bと、を備えている。カッターポスト5aは、注入材を排出可能な開口5a1が形成され、リーダ7に取り付けられる。エンドレスカッターチェーン5bは、地盤に接触して地盤を掘削するカッタービット5b1を備えている。また、エンドレスカッターチェーン5bは、カッターポスト5aの周囲を循環移動可能に取り付けられている。
【0039】
なお、掘削具5は、長さ方向に複数連結することができる。つまり、連結する掘削具5の数によって、掘削深さを変えることができる。本実施形態では、所定長さの掘削具5のカッターポスト5a同士を長さ方向に連結することで、必要な掘削深さに応じた長さを実現している。
【0040】
長さ可変部材60は、結合部材8と第1荷重センサ9との間に配置されており、結合部材8の軸方向における長さを変動可能である。そのため、長さ可変部材60の長さを変えることで、第1結合部6aと第2結合部7aとの間の距離を変動させることができる。その結果、リーダ7及びリーダ7に取り付けられる掘削具5を傾斜させることができる。長さ可変部材60としては、例えば油圧ジャッキなどのジャッキ部材を用いることができる。なお、長さ可変部材60の一端部は結合部材8と回動不能に結合され、他端部は第1荷重センサ9と回動可能にヒンジ結合されているが、この構成に限られるものではなく、長さ可変部材60の両端部を結合部材8及び第1荷重センサ9に対して回動可能にヒンジ結合してもよい。
【0041】
連結部61は本体部6とリーダ7の下端部とを連結している。本体部6及びリーダ7の下端部は、連結部61が介在することにより、長手方向Aの互いの距離が一定に保持されている。そのため、リーダ7は、下端部を中心に回動することで傾斜することができる。
【0042】
次に、本実施形態のリーダ7の更なる詳細について説明する。本実施形態のリーダ7は、一対の柱部材41と、梁部材42と、揚重装置43と、可動装置44と、摺動部材56と、を備えている。
【0043】
一対の柱部材41は、第1レール3a上に立設され、第1ロングクローラ2aに支持されている第1柱部材41aと、第2レール3b上に立設され、第2ロングクローラ2bに支持されている第2柱部材41bと、から構成されている。より具体的に、第1柱部材41aは、摺動部材56を介して、第1ロングクローラ2aに支持されている。また、第2柱部材41bは、摺動部材56を介して、第2ロングクローラ2bに支持されている。第1柱部材41aは、摺動部材56が第1レール3a上を長手方向Aに移動することにより、摺動部材56と共に長手方向Aに移動可能である。また、第2柱部材41bは、摺動部材56が第2レール3b上を長手方向Aに移動することにより、摺動部材56と共に長手方向Aに移動可能である。更に、第1柱部材41a及び第2柱部材41bの下端部は、第1柱部材41a及び第2柱部材41bが一対のロングクローラ2及び一対のレール3に支持された状態で傾斜できるように、摺動部材56(
図3等参照)に対してヒンジ結合されている。なお、上述した結合部材8、第1荷重センサ9及び長さ可変部材60は、第1柱部材41a及び第2柱部材41bそれぞれと、本体部6と、を連結している。また、上述した連結部61は、第1柱部材41aが回動可能に取り付けられた摺動部材56、及び、第2柱部材41bが回動可能に取り付けられた摺動部材56のそれぞれを、本体部6と連結している。
【0044】
このように、本実施形態の連続壁掘削機1では、本体部6、リーダ7及び結合部材8が、第1結合部6aにおけるヒンジ結合、第2結合部7aにおけるヒンジ結合、及び、リーダ7の下端部としての一対の柱部材41の下端部のヒンジ結合、の3つのヒンジ結合により結合されている。つまり、本実施形態の台車4は、所謂「スリーヒンジ構造」を有している。
【0045】
梁部材42は、一対の柱部材41間に架設されている。換言すれば、一対の柱部材41と梁部材42とにより門型のフレームを形成され、リーダ7全体として、門型形状が形作られている。
【0046】
揚重装置43は、梁部材42に取り付けられている。揚重装置43には可動装置44が吊り下げられており、揚重装置43により可動装置44を鉛直方向に移動させることができる。なお、本実施形態の揚重装置43は、複数の滑車43aと、滑車43aに掛けられたロープ部材43bと、を備えるウインチである。
【0047】
図5は、可動装置44の詳細を示す図である。可動装置44は、一対の柱部材41間で、揚重装置43により、鉛直方向に移動することができる。具体的に、可動装置44は、伸縮装置11と、駆動装置12と、第2荷重センサ14と、可動梁部材15と、取付部材55と、カバー部材63と、チェーンテンショナ25と、を備えている。なお、
図2〜
図5では、カバー部材63を省略して描いているが、その位置を二点鎖線により示している。
【0048】
伸縮装置11は掘削具5の鉛直方向の位置を変動可能なように鉛直方向に伸縮可能である。具体的に、本実施形態の伸縮装置11は、鉛直方向に伸縮可能な第1伸縮部11a及び第2伸縮部11bを備えている。第1伸縮部11aは、鉛直方向に延在する第1昇降シリンダ11a1と、この第1昇降シリンダ11a1から鉛直方向上方に突設されている第1昇降ピストン11a2と、を備えている。また、第2伸縮部11bは、鉛直方向に延在する第2昇降シリンダ11b1と、この第2昇降シリンダ11b1から鉛直方向上方に突設されている第2昇降ピストン11b2と、を備えている。
【0049】
伸縮装置11は、水平方向に延在する可動梁部材15に支持されている。可動梁部材15は、上述した揚重装置43に取り付けられている。そして、可動梁部材15は、揚重装置43により鉛直方向に移動可能である。なお、可動梁部材15は、その両端が一対の柱部材41にガイドされることで、鉛直方向のみに移動可能となっている。
【0050】
ここで、本実施形態の第1伸縮部11aの第1昇降ピストン11a2及び第2伸縮部11bの第2昇降ピストンb2は、可動梁部材15に対して、鉛直方向の位置が固定されている。そのため、可動梁部材15の位置が固定された状態では、第1昇降ピストン11a2及び第2昇降ピストンb2の鉛直方向の位置も固定された状態となる。したがって、可動梁部材15の位置が固定された状態で伸縮装置11が鉛直方向に伸縮すると、第1昇降シリンダ11a1及び第2昇降シリンダ11b1が、第1昇降ピストン11a2及び第2昇降ピストン11b2に対して、鉛直方向に移動する。このように、可動梁部材15の位置を固定した状態でも、伸縮装置11の鉛直方向の伸縮が可能となっている。
【0051】
ここで、掘削具5は、第1伸縮部11aの下端部及び第2伸縮部11bの下端部に支持される。具体的に、第1昇降シリンダ11a1及び第2昇降シリンダ11b1の間には、掘削具5が取り付けられる取付部材55が架設されている。つまり、本実施形態の掘削具5は、取付部材55を介して、第1昇降シリンダ11a1及び第2昇降シリンダ11b1に支持される。上述したように、可動梁部材15の位置を固定した状態でも、第1昇降シリンダ11a1及び第2昇降シリンダ11b1は、鉛直方向に移動可能である。そのため、可動梁部材15の位置を固定した状態でも、伸縮装置11により取付部材55を鉛直方向に移動させることができ、その結果、掘削具5を鉛直方向に移動させることができる。
【0052】
なお、本実施形態の可動梁部材15は、第2荷重センサ14を介して、第1伸縮部11aの上端部に結合されている。同様に、本実施形態の可動梁部材15は、第2荷重センサ14を介して、第2伸縮部11bの上端部に結合されている。第2荷重センサ14としては、例えばロードセルを用いることができる。このように、第1伸縮部11a及び第2伸縮部11bはいずれも、第2荷重センサ14を介して可動梁部材15と結合されている。本実施形態のリーダ7の可動装置44は、上述の位置に第2荷重センサ14を備えることにより、伸縮装置11の伸縮の際に伸縮装置11に作用する鉛直方向(本実施形態では昇降シリンダ及び昇降ピストンの軸方向)の荷重を検出可能である。なお、可動梁部材15と第2荷重センサ14との結合はヒンジ結合であり、第1伸縮部11a及び第2伸縮部11bそれぞれと第2荷重センサ14との結合もヒンジ結合である。
【0053】
駆動装置12は、取付部材55の中央部に取り付けられている。より具体的に、取付部55の中央部には、掘削具5のエンドレスカッターチェーン5bに張力を付与するチェーンテンショナ25が取り付けられており、駆動装置12は、このチェーンテンショナ25に対して取り付けられている。掘削具5には、駆動装置12から動力が供給される。つまり、駆動装置12は、掘削具5のエンドレスカッターチェーン5bを循環駆動することができる。本実施形態の駆動装置12は、上述したように動力源10から供給される油圧により作動する油圧モータとすることができる。
【0054】
なお、上述したように、可動梁部材15は、揚重装置43に取り付けられている。そのため、可動梁部材15が揚重装置43により鉛直方向に移動することで、可動装置44全体としても鉛直方向に移動する。このように、可動装置44は、可動装置44内で伸縮装置11により鉛直方向に伸縮可能であるだけではなく、可動装置44全体としても、揚重装置43により鉛直方向に移動可能である。本実施形態の連続壁掘削機1では、掘削具5による掘削作業時に伸縮装置11の伸縮を利用する。その一方で、本実施形態の連続壁掘削機1では、新たに追加する掘削具5を取付部材55に対して取り付ける取り付け作業時に、可動梁部材15を鉛直方向上方に大きく移動させる際に、揚重装置43を利用する。また、本実施形態の連続壁掘削機1では、上述の取り付け作業により取り付けた掘削具5を、既に掘削孔内に位置する掘削具5に結合するために、鉛直方向下方に大きく移動させる際にも、揚重装置43を利用する。つまり、本実施形態では、掘削作業時に伸縮装置11を利用し、掘削具5の取替作業時に揚重装置43を利用している。
【0055】
ここで、揚重装置43により可動装置44を所定位置まで吊り上げて掘削具5を取り付け、掘削を行う位置で、揚重装置43により可動装置44を所定位置まで下降させた後は、可動梁部材15の一対の柱部材41に対する鉛直方向の位置を固定する。具体的に、本実施形態の連続壁掘削機1は、
図2、
図4に示すように、揚重装置43による可動装置44の移動を許容する許容状態と、揚重装置43による可動装置44の移動を阻害する阻害状態と、を切り替える切り替えピン20を備える。また、本実施形態の連続壁掘削機1の一対の柱部材41には、この切り替えピン20を挿通可能な複数の挿通孔21が設けられている。この切り替えピン20及び挿通孔21を利用することで、可動梁部材15の鉛直方向の位置を所定の位置に固定することができ、揚重装置43による可動装置44の移動の許容及び阻害を切り替えることができる。
【0056】
ここで、本実施形態の連続壁掘削機1は、第1荷重センサ9の検出値及び第2荷重センサ14の検出値に基づき、伸縮装置11、駆動装置12及び後述する供給装置13の少なくとも1つを制御する。第1荷重センサ9によれば、連続壁掘削機1のリーダ7に取り付けられるカッターポスト5aに対して作用する、掘削作業時の曲げ荷重を検出することができる。また、第2荷重センサ14によれば、連続壁掘削機1のリーダ7に取り付けられるカッターポスト5aに対して作用する、掘削作業時の軸方向荷重を検出することができる。
【0057】
上述したように、本実施形態では、複数の掘削具5のカッターポスト5a同士を長さ方向に結合する。そのため、この結合部分に意図しない外力が作用した場合には、他の部分と比較して破損又は破断し易い。そこで、本実施形態の連続壁掘削機1では、第1荷重センサ9により、連結された複数の掘削具5に対して作用する曲げ荷重をモニタリングし、第1荷重センサ9が所定値以上の曲げ荷重を検出した場合に、動力源10から掘削具5への動力供給を停止する。これにより、連結された複数の掘削具5の破損や破断を防ぐことができる。
【0058】
更に、本実施形態では、第1荷重センサ9及び第2荷重センサ14により、掘削作業時のカッターポスト5aに加わる曲げ荷重(カッターポスト5aの傾斜によるスラリー抵抗等)及び軸方向荷重(カッターポスト5aの鉛直方向移動によるスラリー抵抗等)の両方をモニタリングすることができる。そのため、カッターポスト5aに加わる荷重を通じて、掘削溝内のスラリーの状態を予測することができる。その結果、スラリーコントロールのため各種制御を実行することができる。以下、この各種制御について例示説明する。
【0059】
上述したように、本実施形態の本体部6は供給装置13を備えており、この供給装置13により、ホース等の管状部材62を通じて、取付部材55に支持されている掘削具5のカッターポスト5aの開口5a1へと注入材を供給する。カッターポスト5a内の開口5a1に供給された注入材は、開口5a1から外部へと噴射させる。そのため、連続壁掘削機1によれば、開口5a1を通じて掘削溝内の掘削土に注入材を注入しながら、循環移動するエンドレスカッターチェーン5bにより、掘削土と注入材とを混合及び攪拌することができる。例えば、カッターポスト5aに加わる荷重を通じてスラリーの粘度が所定値よりも高いことがわかれば、上述の供給装置13に対して、開口5a1への注入材の供給量を増加させるように制御を変更することができる。なお、開口5a1には、スラリーの逆流を防ぐ逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0060】
また、別例として、掘削作業時のカッターポスト5aに加わる荷重に基づき、駆動装置12に対して、エンドレスカッターチェーン5bの循環移動の速度を変動させるように制御することもできる。更に、カッターポスト5aに加わる荷重に基づき、伸縮装置11の伸縮の変位や伸縮速度を変動させるように制御してもよい。このように、第1荷重センサ9及び第2荷重センサ14により、掘削溝内のカッターポスト5aに負荷される荷重を検出するようにすれば、掘削作業の精度をより向上させるような各種制御を実現することができる。
【0061】
なお、連続壁掘削機1が、上述した制御を実行する制御装置22を備えている。制御装置22としては、CPUやMPUなどを利用することができる。また、連続壁掘削機1は、位置情報検出センサ23及び記憶部24を更に含み、第1荷重センサ9及び第2荷重センサ14による検出結果を、位置情報検出センサ23による位置情報と対応させて記憶部24に記憶する。このようにすれば、掘削位置に応じた掘削力の推移から地盤の状態を推定することができる。そのため、推定された地盤状態の予測に基づき、掘削具5の地盤への押し付け力や、エンドレスカッターチェーン5bの循環移動速度や、掘削具5の傾きなど、を調整することができる。更に、連続壁掘削機1は、外部装置にデータを送信する送信装置を含むものであってもよい。また、流量計を更に備える構成とすれば、各位置での注入率や攪拌数を求めることもできる。本実施形態では、本体部6が、制御装置22、位置情報検出センサ23及び記憶部24を備えているが、この構成に限られるものではなく、制御装置22、位置情報検出センサ23及び記憶部24を別の位置に設けてもよい。
【0062】
以下、本実施形態の連続壁掘削機1の更なる詳細について説明する。
【0063】
本実施形態の連続壁掘削機1のリーダ7は、本体部6に対して1つの面内方向でのみ回動可能にヒンジ結合されている。より具体的に、本実施形態のリーダ7は、一対のロングクローラ2それぞれの幅方向B(上面視で長手方向Aに直交する方向)に延在する中心軸の周りを回動可能にヒンジ結合されている。つまり、本実施形態のリーダ7は、中心軸の周りで、長手方向Aにのみ揺動移動することができ、この揺動移動により、側面視(
図2、
図4参照)において鉛直方向に対して傾斜した状態を実現することができる。換言すれば、上述した第1結合部6aでのヒンジ結合の回動平面、第2結合部7aでのヒンジ結合の回動平面、及び、リーダ7の下端部でのヒンジ結合の回動平面、の3つの平面は略平行している。
【0064】
また、
図6に示すように、本実施形態の連続壁掘削機1は、上述した一対のロングクローラ2、一対のレール3及び台車4に加えて、一対のロングクローラ2それぞれの鉛直方向の高さ位置を変動可能な高さ変動機構16を備えている。具体的に、本実施形態の高さ変動機構16は、第1ロングクローラ2aの高さ位置を変動可能な第1ジャッキ16aと、第2ロングクローラ2bの高さ位置を変動可能な第2ジャッキ16bと、を備えている。そのため、地盤表面の凹凸に応じて、第1ロングクローラ2aや第2ロングクローラ2bを持ち上げ、敷き鉄板等を地盤表面との間に挟み入れることで、第1ロングクローラ2aの高さ位置と、第2ロングクローラ2bの高さ位置と、を所望の位置関係に調整することができる。
【0065】
ここで、本実施形態の連続壁掘削機1は、上述の高さ変動機構16により持ち上げられたロングクローラの下方への弛みを阻止する弛み阻止部材17を更に備えている。また、
図2及び
図4に示すように、弛み阻止部材17は、第1ロングクローラ2a内及び第2ロングクローラ2b内にそれぞれ位置している。本実施形態の弛み阻止部材17は、上述の高さ変動機構16により持ち上げられた一対のロングクローラ2それぞれの下端側を電磁力により引き上げ、一対のロングクローラ2それぞれの下端側が鉛直方向下方に弛むことを阻止する電磁石である。これにより、第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bを上述の高さ変動機構16により持ち上げた際に、第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bの下端側が鉛直方向下方にたるむことを抑制することができる。そのため、上述の高さ変動機構16により一対のロングクローラ2それぞれを持ち上げる高さ距離を小さくすることができる。
【0066】
更に、本実施形態の台車4は、一対のレール3上で、リーダ7に掘削具5を取り付け可能な取付位置と、リーダ7に取り付けられた掘削具5により掘削を行う掘削位置と、の間を移動可能である。具体的に、
図1〜
図3は、台車4が取付位置にある状態を示している。そして、
図4は、台車が掘削位置にある状態を示している。このように、台車4は、一対のロングクローラ2を停止した状態で、一対のレール3上を、取付位置と掘削位置との間で移動することができる。
【0067】
また更に、
図6に示すように、本実施形態の連続壁掘削機1は、一対のロングクローラ2の水平方向の対向距離(幅方向Bと同じ方向)を変動可能な距離変動機構18を備えている。この距離変動機構18により、本実施形態では、一対のロングクローラ2の対向距離を3m〜4mの間で変動することができる。そのため、連続壁掘削機1の現場への搬入時には、一対のロングクローラ2の対向距離を小さくする(本実施形態では3mとする)ことができる。そのため、搬入作業を容易化することができる。逆に、現場での連続壁形成時には、一対のロングクローラ2の対向距離を大きくする(本実施形態では4mとする)ことで、作業時の連続壁掘削機1の設置安定性を向上させることができる。なお、連続壁掘削機1の現場からの撤去時も、搬入時と同様、一対のロングクローラ2の対向距離を小さくすることで、撤去作業を容易化することができる。このように、距離変動機構18を備えることにより、現場への搬入時や現場からの撤去時の作業効率性と、現場で連続壁を成形する際の作業時の設置安定性と、の両立を図ることができる。
【0068】
なお、本実施形態の距離変動機構18は、
図6に示すように、駆動源18aと、第1ロングクローラ2a及び第2ロングクローラ2bの間に架設され、駆動源18aの動力により幅方向Bの長さを変動可能なシャフト部材18bと、駆動源18aの動力を、シャフト部材18bに伝達する動力伝達部材18cと、を備えている。より具体的に、
図6に示す駆動源18aはモータであり、シャフト部材18bは、スクリュージャッキ18b1及び雄ねじ部材18b2で構成されている。また、
図6に示す動力伝達部材18cは、駆動源18aとしてのモータからスクリュージャッキ18b1に動力を伝達する無端チェーンである。
【0069】
また、上述したように、本実施形態の連続壁掘削機1は、取り付けられた掘削具5のエンドレスカッターチェーン5bの張力を所定範囲に維持するチェーンテンショナ25を備えている(
図2〜
図5参照)。エンドレスカッターチェーン5bの張りすぎは、機械損傷原因になるばかりではなく、掘削トルクを消費する。本例では、チェーンテンショナ25により、エンドレスカッターチェーン5bの張力を、たるみが生じず、かつ、弾性伸び変形が生じない状態(なじみ状態)に維持する。
【0070】
以下、本実施形態の連続壁掘削機1を用いて行う掘削作業の手順について説明する。
【0071】
まず、ソイルセメントの連続壁を形成する現場へと、連続壁掘削機1を、トレーラ輸送等により運搬する。上述したように、連続壁掘削機1の搬入作業及び撤去作業は、距離変動機構18により、一対のロングクローラ2の対向距離を小さくした状態で行われる。そして、連続壁掘削機1を、連続壁を形成する所定位置に配置した後で、距離変動機構18により、一対のロングクローラ2の対向距離を大きくする。なお、距離変動機構18による対向距離の変動は、上述した高さ変動機構16により、一対のロングクローラ2を地盤から離間した状態で行ってもよい。
【0072】
次に、連続壁掘削機1に掘削具5を取り付ける。上述したように、台車4は、一対のレール3上で移動可能であり、リーダ7に掘削具5を取り付ける取付位置(
図1〜
図3参照)と、取り付けた掘削具5により掘削を行う掘削位置(
図4参照)と、は異なっている。しかしながら、地盤を掘削する前の状態では、台車4の一対のレール3上の位置によらず、リーダ7に掘削具5を取り付けることができる。具体的に、揚重装置43により可動装置44を所定位置まで吊り上げる。この状態で、掘削具5を可動装置44の取付部材55に対して取り付ける。取り付けた位置が
図1〜
図3に示す取付位置の場合には、台車4を掘削位置(
図4参照)まで移動する。そして、台車4を掘削位置とした状態で、揚重装置43により可動装置44を下降させる。可動装置44を所定の位置まで下降させた後で、上述した切り替えピン20及び挿通孔21を利用して、可動装置44の鉛直方向の位置を固定する。そして、駆動装置12により掘削具5を駆動しながら、伸縮装置11を利用して掘削具5を鉛直方向に移動させることにより、掘削作業を実行する。
【0073】
なお、伸縮装置11の伸縮可能なストロークを使い切った場合には、切り替えピン20を挿通孔21から抜去し、再び揚重装置43を利用して可動装置44を所定位置まで下降させる。可動装置44を所定位置まで下降させた後で、切り替えピン20を、これまで利用していた挿通孔21とは別の挿通孔21に挿通して、可動装置44の鉛直方向の位置を再び固定する。そして、駆動装置12により掘削具5を駆動しながら、伸縮装置11を利用して掘削具5を鉛直方向に移動させることにより、掘削作業を実行する。必要に応じて、この作業を、1つの掘削具5により可能な掘削深さとなるまで繰り返す。
図7(a)は、1つ目の掘削具5による掘削作業を終えた状態を示している。
【0074】
次に、
図7(b)、
図7(c)及び
図7(d)に示すように、新たな掘削具5を、既に掘削孔内に位置する先ほどまで利用していた掘削具5に連結する作業を行う。まず、掘削孔内の掘削具5を、可動装置44から取り外す。そして、切り替えピン20を挿通孔21から抜去し、揚重装置43により、可動装置44を吊り上げる。次いで、台車4を、掘削位置(
図4参照)から取付位置(
図1〜
図3参照)に移動し(
図7(b)参照)、新たな掘削具5を可動装置44に取り付ける(
図7(c)参照)。掘削具5を取り付けた後で、台車4を再び掘削位置まで移動させ、必要に応じて揚重装置43により可動装置44を下降させ、既に掘削孔内に位置する掘削具5の上端部と、可動装置44に取り付けられている掘削具5の下端部と、を結合する(
図7(d)参照)。
【0075】
次に、切り替えピン20及び挿通孔21を利用して、可動装置44の鉛直方向の位置を固定し、上述した掘削作業を繰り返し、所定深さとなるまで掘削する。なお、掘削作業時は、供給装置13により、注入材がカッターポスト5aの開口5a1を通じて掘削孔内に供給される。
【0076】
所定深さの掘削孔が形成された後は、一対のロングクローラ2を停止した状態で、台車4を一対のレール3上で移動させながらソイルセメントの連続壁を形成していく。そして、一対のレール3上での台車4の移動範囲だけソイルセメントの連続壁を形成した後は、一対のロングクローラ2を移動させ、先ほど形成した連続壁を水平方向に延ばしていく。なお、掘削孔から掘削壁を形成していく工程でも、注入材が注入され、循環移動するエンドレスカッターチェーン5bにより、掘削土と注入材とが混合・攪拌される。
【0077】
そして、本実施形態の連続壁掘削機1では、上述した掘削作業中、第1荷重センサ9及び第2荷重センサ14により、スラリー状態がモニタリングされている。そのため、上述した掘削作業中に、第1荷重センサ9や第2荷重センサ14の検出結果に応じて、カッタービット5b1の地盤への押し付け力やエンドレスカッターチェーン5bの循環移動の速度などを変動させることで、スラリーコントロールを行うことができる。
【解決手段】本発明に係る連続壁掘削機は、略平行して延在する一対のロングクローラと、前記一対のロングクローラに設けられている一対のレールと、前記一対のレール上で、前記ロングクローラの長手方向に水平移動可能な台車と、を備え、前記台車は、動力源を備える本体部と、循環移動可能なエンドレスカッターチェーンを備える掘削具を鉛直方向に移動可能に保持でき、前記一対のレールに跨って配置され前記一対のロングクローラに支持される門型のリーダと、を備え、前記リーダは、前記一対のロングクローラに支持された状態で前記本体部に対して回動可能なように、前記本体部と直接的又は間接的にヒンジ結合されている。