(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゴム組成物が含有するゴム成分には、前記ジエン系ゴムとして天然ゴムが含有され、該ゴム成分にはポリブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの内の一方又は両方が前記ジエン系ゴムとしてさらに含有されており、該ゴム成分に占める前記天然ゴムの割合が50質量%以上80質量%以下で、前記ポリブタジエンゴムと前記スチレン−ブタジエンゴムとの合計量の前記ゴム成分に占める割合が20質量%以上50質量%以下である請求項1記載のコンベヤベルト。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
なお、以下においては、本発明のゴム組成物がコンベヤベルト用ゴム組成物で、該ゴム組成物をカバーゴムの形成に利用する場合を例にして本発明の実施の形態を説明する。
まず、添付図面に基づき、本実施形態のコンベヤベルトが用いられてなるベルトコンベヤについて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のコンベヤベルトが備えられてなるベルトコンベヤの使用方法を概略的に示した図であり、
図2は
図1中に破線で示したI−I線による切断面の構造を概略的に示した矢視断面図である。
【0015】
なお、
図1は、無端状に形成された本実施形態のコンベヤベルト10が
図1正面視右側から左側に向けて一定の昇り勾配となるように配されたベルトコンベヤ1の様子を表している。
図1は、搬送物Aを搬送する様子を搬送方向側方から見た状態を示すものである。
本実施形態のベルトコンベヤ1においては、搬送路の長手方向一端側(積載側)と他端側(荷下ろし側)とに配されたプーリ20の間に前記コンベヤベルト10が掛け渡されている。
なお、前記コンベヤベルト10が掛け渡されている一対のプーリ20の内の荷下ろし側のプーリ20は、駆動源に接続された駆動プーリ21である。積載側に配されたプーリ20は前記駆動プーリ21によって無端状のコンベヤベルト10が周回されることで共回りする従動プーリ22となっている。
【0016】
そして、本実施形態のベルトコンベヤ1には、この駆動プーリ21と従動プーリ22との間の複数箇所に支持ローラ30が配されている。本実施形態のベルトコンベヤ1には、前記積載側から前記荷下ろし側に掛けての搬送路(往路)においてコンベヤベルト10を裏面側から支持する往路側支持ローラ30aが複数備えられている。該ベルトコンベヤ1は、前記荷下ろし側から前記積載側に戻るまでの経路(復路)において下方に面した状態となるコンベヤベルト10の表面に下方から当接される復路側支持ローラ30bを複数備えている。該復路側支持ローラ30bは、外周面をコンベヤベルト10の前記表面に当接させてコンベヤベルトを支持する。
【0017】
即ち、駆動プーリ21、従動プーリ22および複数の前記往路側支持ローラ30aは、往路におけるコンベヤベルト10を略一定傾斜で支持しうるように、その回転軸を互いに平行に配しつつそれぞれの上端部の垂直位置が
図1において左上がりとなるように前記ベルトコンベヤ1に備えられている。
また、複数の前記復路側支持ローラ30bは、復路におけるコンベヤベルト10を略一定傾斜で支持しうるように、その回転軸を互いに平行に配しつつ上端部の垂直位置が
図1において右下がりとなるように前記ベルトコンベヤ1に備えられている。
【0018】
なお、本実施形態におけるコンベヤベルト10は、ベルト幅方向に横断する横桟やベルト両側縁に沿って立設された耳桟といったものが備えられていない平ベルト状に形成されている。
そして、本実施形態におけるコンベヤベルト10は、
図2に示すように、搬送物Aが載置されるコンベヤベルト10の表面側(外周側)を形成するカバーゴム11(以下「表面側カバーゴム11a」ともいう)と、前記搬送物Aが載置される表面とは逆側の裏面を構成するカバーゴム11(以下「裏面側カバーゴム11b」ともいう)との2層のカバーゴム11を備えている。本実施形態におけるコンベヤベルト10は、この2層のカバーゴム11の内側に、芯体層12が形成されている。該芯体層12は、コンベヤベルトに抗張力を付与するための芯体帆布が2層のカバーゴム11の内側に埋設されて形成されている。
即ち、前記表面側カバーゴム11a及び前記裏面側カバーゴム11bは、ベルト長手方向に沿って延在するゴム層を形成するもので、該ベルト長手方向において略一定厚みとなるよう形成されている。
【0019】
本実施形態のベルトコンベヤ1は、運転時において、搬送物Aが往路側支持ローラ30aの間に位置している場合、コンベヤベルト10が搬送物Aの重量によって下方に向かって撓んだ状態となる。
即ち、搬送物Aの重量が往路側支持ローラ30aによって支持されていない状況においては、この搬送物Aの重量に相当する張力がコンベヤベルト10に加わることになる。
そして、本実施形態のベルトコンベヤは、搬送物Aが往路側支持ローラ30aに接近するに従って、コンベヤベルト10が持ち上げられた状態となり、搬送物Aが往路側支持ローラ30aを通過した後は往路側支持ローラ30aから離れるに従ってコンベヤベルト10が再び下方に撓んだ状態となる。
このようにして本実施形態のコンベヤベルト10は、往路において複数回の屈曲を受ける。
本実施形態のベルトコンベヤ1は、
図2に示すように、コンベヤベルト10が往路側支持ローラ30aによって支持される箇所において、ベルト幅方向に複数の往路側支持ローラ30aを配置している。
そして、本実施形態のベルトコンベヤ1は、この複数の往路側支持ローラ30aによってコンベヤベルト10の幅方向両端部を中央部よりも持ち上げた状態とし、コンベヤベルト10を樋状にして搬送物Aがコンベヤベルト10の側方から落下することを防止している。
即ち、本実施形態のコンベヤベルト10は、平坦な状態で従動プーリ22を通過した後に樋状に曲げられ、駆動プーリ21に巻き掛けられる前に再び平坦な状態へと戻される。
また、コンベヤベルト10は、駆動プーリ21や従動プーリ22を通過する際においてこれらによって大きな曲げが加えられる。
さらに、本実施形態のコンベヤベルト10は、搬送物Aが往路側支持ローラ30aの上を通過する際に、搬送物Aの質量によって往路側支持ローラ30aと搬送物Aとによって圧縮応力等が加えられる。
【0020】
以上のようなことから前記表面側カバーゴム11a、及び、前記裏面側カバーゴム11bの内、少なくとも前記裏面側カバーゴム11bは、弾性率が比較的高く、且つ、“弾性変形−復元”のサイクルにおけるヒステリシスロスの少ないことが好ましい。前記裏面側カバーゴム11bは、力学的な損失係数(Tanδ)の低いゴム組成物によって構成されることが好ましい。
本実施形態のコンベヤベルトは、以下に例示の裏面側カバーゴム11bと同様のゴム組成物で前記表面側カバーゴム11aを形成させることができる。
なお、前記表面側カバーゴム11a及び前記裏面側カバーゴム11bは、同じゴム組成物によって形成される必要はなく、それぞれが別のゴム組成物によって形成されていても良い。
【0021】
前記裏面側カバーゴム11bの形成に用いられる本実施形態のコンベヤベルト用ゴム組成物は、ベースゴム、充填剤、及び、添加剤といった成分を含み、具体的には、ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、及び、シランカップリング剤を含んでいる。
また、本実施形態の前記ゴム組成物は、シランカップリング剤として、スルフィド系シランカップリング剤、及び、アミノ系シランカップリング剤を含んでいる。
【0022】
前記ゴム組成物は、ゴム成分として天然ゴムと天然ゴム以外のジエン系ゴムとを含んでいることが好ましく、ゴム組成物の低温における損失係数(Tanδ)を低くできる観点から、天然ゴム以外にポリブタジエンゴムやスチレン−ブタジエンゴムを含有していることが好ましい。
前記ゴム組成物は、特に、損失係数(Tanδ)と引裂強度等との両立を図る観点から、前記ポリブタジエンゴムや前記スチレン−ブタジエンゴムとして、フィラー(充填剤)と結合可能な官能基を分子中(主鎖末端など)に備えさせた変性品を含有させることが好ましい。
前記ゴム組成物は、ゴム成分に占める割合が50質量%以上80質量%以下となる割合で天然ゴムを含有していることが好ましい。
従って、前記ゴム組成物は、ポリブタジエンゴムやスチレン−ブタジエンゴムの変性品及び/又は非変性品を含有させる場合、全てのポリブタジエンゴムと全てのスチレン−ブタジエンゴムとの合計がゴム成分において20質量%以上50質量%以下となるように含有させることが好ましい。
【0023】
前記ゴム組成物は、前記カーボンブラックや前記シリカ以外の充填剤を含有していてもよく、このカーボンブラック及びシリカ以外の充填剤としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
ただし、本実施形態においては、カーボンブラック及びシリカ以外の充填剤を過度にゴム組成物に含有させるのは好ましいことではない。
従って、ゴム組成物に含有される充填剤は、80質量%以上がカーボンブラック及びシリカであることが好ましく、90質量%以上がカーボンブラック及びシリカであることがより好ましく、95質量%以上がカーボンブラック及びシリカであることが特に好ましい。
【0024】
前記カーボンブラックは、カバーゴムに対して強度を発揮させるのに有効な成分である一方で自身による凝集塊をカバーゴム中に形成させ易い。
この凝集塊は、カバーゴムに大きな変形が生じた際に崩壊し、せん断弾性率が低下することから、カバーゴムのヒステリシスロスを大きくさせてしまう要因となり得る。
このようなことから本実施形態においては、一般にカーボンブラックよりも補強効果の点において劣る傾向があるもののシランカップリング剤等によって凝集塊を形成させ難くすることができるシリカをゴム組成物に含有させている。
具体的には、ゴム組成物に含有されるシリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。
また、カーボンブラックとシリカとの合計に占めるシリカの割合は、25質量%以上75質量%以下であることが好ましい。
【0025】
ゴムの補強を目的としたカーボンブラックとしては、ASTM D 1765においてHAFやFEFなどとして分類されるものが広く一般に使用されているが、本実施形態においては、ゴム組成物を低い損失係数のものとする上において同規格においてGPFやSRFとして分類される比較的粒径の大きなカーボンブラックを採用することが好ましい。
より具体的には、本実施形態のゴム組成物は、含有するカーボンブラックの内の80質量%以上がGPFやSRFであることが好ましく、90質量%以上がGPFやSRFであることがより好ましく、95質量%以上がGPFやSRFであることが特に好ましい。
【0026】
本実施形態における前記シリカは、カーボンブラックと同様にある程度以上の粒径を有していることが好ましい。
該シリカは、乾式法によって製造されたものよりも湿式法によって製造されたものの方が好ましく、湿式法の中でもゲル法によって製造されたものよりも沈降法によって製造されたものが好ましい。
より具体的には、本実施形態のゴム組成物に含有させるシリカは、10nm〜50nmの大きさの1次粒子が集合して2次粒子を形成しているものが好ましく、1μm〜40μmの平均粒子径を有するものが好ましい。本実施形態においては20m
2/g〜400m
2/gのBET比表面積を有するシリカが好ましい。
【0027】
なお、該シリカについても、2次粒子どうしが凝集塊を形成する場合がある。
このようなシリカの凝集塊もカーボンブラックの凝集塊と同様にゴム組成物の損失係数を悪化させるおそれがある。
そのため、本実施形態のゴム組成物には、当該ゴム組成物中のシリカの分散性を向上させる目的で、アミノ系シランカップリング剤とスルフィド系シランカップリング剤とを含有させている。
なお、アミノ系シランカップリング剤及びスルフィド系シランカップリング剤は、それぞれ1種単独でゴム組成物に含有させる必要はなく、それぞれ2種以上のものをゴム組成物に含有させても良い。
【0028】
前記アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などが挙げられる。
本実施形態のゴム組成物に含有させるアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
なお、本実施形態のゴム組成物は、アミノ系シランカップリング剤の添加の影響がゴム組成物の粘弾性などに過度に発現することを防止し、ゴム練りなどの作業を良好にさせる上において、アミノ系シランカップリング剤とともにアルキルアミンを併用することが好ましい。該アルキルアミンは、炭素数6以上20以下のアルキル基を有し、該アルキル基を1つ有するモノアルキルアミンか、又は、前記アルキル基を2つ有するジアルキルアミンかの何れかであることが好ましい。該アルキルアミンは、オクチルアミンやドデシルアミンなどのモノアルキルアミンであることが好ましい。
【0029】
前記スルフィド系シランカップリング剤としては、例えば、モノスルフィド系シランカップリング剤やポリスルフィド系シランカップリング剤が挙げられる。
本実施形態のゴム組成物に含有させるスルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
【0030】
前記アミノ系シランカップリング剤や前記アルキルアミンは、ゴム組成物の硬さを向上させるのに有効な成分である。
従って、ゴム組成物に含まれる全ての成分を含む配合物は、混練時に前記シリカや前記カーボンブラックによる凝集塊が形成されても前記アミノ系シランカップリング剤や前記アルキルアミンを含んでいるため前記凝集塊にせん断力が加わり易い。
即ち、ゴム組成物は、前記アミノ系シランカップリング剤や前記アルキルアミンを含むことで前記シリカや前記カーボンブラックによる凝集塊の存在割合が低減される。
一方、これらの配合物を混練する作業は、前記アミノ系シランカップリング剤や前記アルキルアミンを過度に配合すると、一様な混練物を得るまでの時間が長期化するなどして効率が低下する場合がある。
このことから前記シリカ100質量部に対する前記アミノ系シランカップリング剤の含有量は、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。
前記シリカ100質量部に対する前記アミノ系シランカップリング剤の含有量は、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。
【0031】
前記シリカ100質量部に対する前記アルキルアミンの含有量は、1質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましい。
前記シリカ100質量部に対する前記アルキルアミンの含有量は、10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましい。
【0032】
前記ゴム組成物は、シリカの含有量100質量部に対する前記アミノ系シランカップリング剤の含有量を「Xa(質量部)」とし、且つ、シリカの含有量100質量部に対する前記アルキルアミンの含有量を「Xb(質量部)」とした際に下記式(1)〜(3)の全ての関係式を満たすことが好ましい。
3 ≦ Xa ≦ 10 ・・・(1)
1 ≦ Xb ≦ 7 ・・・(2)
4 ≦(Xa+Xb)≦ 14 ・・・(3)
【0033】
本実施形態のゴム組成物は、前記シリカ100質量部に対する前記スルフィド系シランカップリング剤の含有量が1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0034】
これらのシランカップリング剤は、天然ゴムなどのゴム成分と、シリカの粒子との親和性の付与に有効なものである。
なお、後述するように、ゴム組成物を損失係数の低いものとする上においては、シリカは、アミノ系シランカップリング剤によってカップリング処理が施された後にスルフィド系シランカップリング剤でカップリング処理が施されることが好ましい。
【0035】
即ち、スルフィド系シランカップリング剤でのカップリング処理をアミノ系シランカップリング剤でのカップリング処理後に行うことが好ましいのは、はじめにスルフィド系シランカップリング剤でシリカをカップリング処理するとシリカをゴム成分中に分散させ易い状態にし得るもののカップリング剤で覆われた凝集塊が形成されて当該凝集塊を形成しているシリカが個々に分散し難くなるためではないかと考えられる。
言い換えると、アミノ系シランカップリング剤でのカップリング処理をスルフィド系シランカップリング剤でのカップリング処理に先行して実施するのが好ましいのは、アミノ系シランカップリング剤でシリカをカップリング処理する場合においてもカップリング剤で覆われた凝集塊が形成される点においては共通するが、この凝集塊が混練などによりせん断を受けることで解砕され易くなるためであると考えられる。なお、解砕されて表面の少なくとも一部分がカップリング処理された個々の粒子となったシリカは、通常、スルフィド系シランカップリング剤によるカップリング処理が施されることで、再凝集が抑制され、分散性がより一層良好なものになる。
【0036】
本実施形態のゴム組成物には、シランカップリング剤以外の添加物を含有させることができる。
該添加物としては、例えば、硫黄、有機過酸化物といった加硫剤;アルデヒド・アンモニア系化合物、グアニジン系化合物、チオウレア系化合物、チアゾール系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物などの加硫促進剤;有機酸、ニトロソ化合物、ハロゲン化物、2−メルカプトベンツイミダゾール、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等の加硫遅延剤;アミノ・ケトン系化合物、芳香族アミン系化合物、モノフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物などの老化防止剤;脂肪酸エステル系化合物などの加工助剤;難燃剤、顔料などが挙げられる。
【0037】
本実施形態のコンベヤベルトは、前記芯体層12を形成させるための芯体については特に限定されることなく一般的なコンベヤベルトに用いられているものを本実施形態においても採用することができる。
本実施形態においては、芯体として帆布などが例示されるが、芯体は、帆布である必要はなく、スチールコードなどであってもよい。
【0038】
本実施形態のコンベヤベルトは、その製造方法が特に限定されるものではなく、一般的なコンベヤベルトと同様に製造することができる。
ベルト長手方向に沿って延在するカバーゴム層を備え、該カバーゴム層として表面側カバーゴム層と裏面側カバーゴム層とを備えた本実施形態のコンベヤベルトの製造方法としては、前記ゴム組成物を作製する第1工程、及び、前記表面側カバーゴム層及び前記裏面側カバーゴム層の内、少なくとも前記裏面側カバーゴム層を第1工程で作製されたゴム組成物によって形成する第2工程を実施する方法が挙げられる。
そして、前記第1工程では、ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、及び、シランカップリング剤を含み、前記シランカップリング剤としてスルフィド系シランカップリング剤、及び、アミノ系シランカップリング剤を含むゴム組成物を一般的な方法で調製すればよい。
前記ゴム組成物は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ロール等を用いて全ての成分を含んだ配合物を混練することで作製できる。コンベヤベルトは、カレンダー等を用いてゴム組成物をシート状に成形してカバーゴム用未加硫シートを作製し、該未加硫シートと帆布とを一体化させて加硫することによって製造することができる。
【0039】
より詳しくは、ゴム引きした帆布を用意し、該帆布をカバーゴム用未加硫シートの間に挟んで、「表面側カバーゴム用未加硫シート/帆布/裏面側カバーゴム用未加硫シート」の順に積層された積層体を形成させ、該積層体を加硫プレスを用いて加硫しつつ一体化することにより前記コンベヤベルトを作製することができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、前記のようにシリカに対しては、アミノ系シランカップリング剤によってカップリング処理を施した後にスルフィド系シランカップリング剤でカップリング処理を行うことが好ましい。
従って、前記未加硫ゴムシートを作製するためのゴム練りにおいては、アミノ系シランカップリング剤によって予めカップリング処理されたシリカを用い、当該ゴム練りに際してスルフィド系シランカップリング剤を添加するようにさせるか、或いは、シランカップリング剤の添加を2回に分けて実施することが好ましい。
【0041】
即ち、前記第1工程では、前記ゴム組成物に含まれる全ての成分の内の1又は2以上の成分が不足している第1配合物を混練する第1混練と、該第1混練によって得られた混練物を含み且つ前記不足している成分が補われた第2配合物を混練する第2混練とを実施し、前記第1配合物にアミノ系シランカップリング剤を含有させ、且つ、前記第1配合物にスルフィド系シランカップリング剤を不足させた状態で前記第1混練を実施し、前記第2混練ではスルフィド系シランカップリング剤が補われた第2配合物を混練して前記ゴム組成物を作製することが好ましい。
なお、ここで「成分が不足している」とは、「成分を含むもののその割合が少ない」という場合だけでなく「成分を全く含んでいない」という場合をも意味している。
そして、前記第1混練においては、スルフィド系シランカップリング剤を前記第1配合物に実質的に含有させないことが好ましい。
【0042】
なお、シランカップリング剤は、シリカと十分に反応させることが好ましい。
従って、ゴム組成物の混練は、シリカとシランカップリング剤とを反応させる意味においては加温状態(例えば、100℃以上)で実施することが好ましい。
その一方で、加温状態でゴム組成物の混練を実施すると、ゴムの二重結合が過度に切断されてしまったり、加硫が進行してしまったりして所望の物性をカバーゴムに発揮させるのが難しくなるおそれを有する。
特に加硫剤を含んだ状態でのゴム組成物の混練は、100℃未満で実施することが好ましく、80℃未満で実施することが好ましい。
従って、ゴム組成物の作製に際しては、加硫剤やスルフィド系シランカップリング剤を実質的に含有させずアミノ系シランカップリング剤を含有させた第1配合物を100℃以上の温度で混練する工程と、該工程後に混練物を100℃未満の温度に冷却する工程と、該工程後にスルフィド系シランカップリング剤を加えて100℃以上の温度で混練する工程と、該工程後に混練物を100℃未満の温度に冷却する工程と、該工程後に加硫剤を含有させて100℃未満の温度で混練する工程とを少なくとも実施することが好ましい。
【0043】
また、本実施形態においては、カバーゴムの基本物性を維持しつつ、損失係数の低いゴム組成物によって形成されるため、支持ローラ上を通過するなどした際にエネルギーロスが生じ難く、かつ引張強度、引裂強度などの低下を抑制できる。
従って、ベルトコンベヤは、本実施形態のコンベヤベルトが備えられることにより省エネルギー性および耐久性に優れたものになる。
【0044】
なお、本実施形態においては、本発明の効果をより顕著に発揮する上において有利であることから搬送物Aを搬送する際にコンベヤベルト10が幅方向に湾曲した樋状となって用いられ、使用時に長手方向のみならず幅方向での屈曲が行われる場合を例示している。
しかし、本発明の効果は、使用時に長手方向での屈曲しか加わらないようなコンベヤベルトにおいても発揮される。
また、
図1、2などに示したコンベヤベルトよりも幅方向での大きな屈曲が行われ、本発明の効果が特に顕著に発揮される事例として
図3、4に示すような場合が挙げられる。
【0045】
図3、4は、パイプコンベヤなどと呼ばれるベルトコンベヤ1及び該ベルトコンベヤ1におけるコンベヤベルト10の使用状態を示したものである。
図3、4に示したコンベヤベルト10は、無端状となって駆動プーリ21と従動プーリ22との間に掛け渡されている点では
図1、2に示したコンベヤベルトに共通している。
また、
図3、4に示したコンベヤベルト10は、往路側支持ローラ30aや復路側支持ローラ30bを乗り越える際に歪みを受ける点においても
図1、2に示したコンベヤベルトに共通している。
そして、
図3、4に示したコンベヤベルト10は、表面側カバーゴム11aと裏面側カバーゴム11bとの間に芯体層(図示せず)が形成されている点においても
図1、2に示したコンベヤベルトに共通している。
一方で、
図3、4に示したコンベヤベルト10は、搬送物Aを搬送する区間においてコンベヤベルト10が筒状に丸められた状態で用いられる。
即ち、
図3、4に示したコンベヤベルト10は、積載側で搬送物Aが表面側カバーゴム11aの上面に載置された後、往路側支持ローラ30aによって幅方向両端部が持ち上げられ、さらにこの持ち上げられた両端部どうしが裏面側が上向きになるように引き寄せられて両端部どうしが重ね合せられて筒状とされ、荷下ろしまでの間、この筒状の状態が保持される。
【0046】
上記のようなことから
図3、4に示したベルトコンベヤ1は、粉体などの飛散し易い搬送物Aなどを搬送するのに適しているとともに筒状とされる際にコンベヤベルト10に大きな歪が加わるため、本発明の効果がより顕著なものとなって発揮される。
なかでも、搬送物Aの一部が表面側カバーゴム11aの表面に付着した場合でも、これを復路にて落下させないようにするために、復路においても復路側支持ローラ30bによってコンベヤベルト10が筒状とされるタイプのベルトコンベヤ1においては、本発明の効果が特に顕著なものとなって発揮される。
このように、本発明の効果は、
図1、2に示した態様以外の各種のコンベヤベルトにおいて発揮されるものである。
【0047】
なお、このような効果は、本実施形態のゴム組成物がカバーゴムに用いられる場合のみに生じることではない。
例えば、ベルト両側縁に沿って立設された耳桟を有するコンベヤベルトなどにおいては、当該耳桟を本実施形態のゴム組成物によって形成させることで走行時におけるエネルギーロスの低減を図ることができる。
また、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、裏面側カバーゴム層だけでなく、表面側カバーゴム層や芯体層にも適用することができ、コンベヤベルトにおけるその他の部位の形成にも有用なものである。
【0048】
また、本実施形態のゴム組成物は、V溝付プーリーに巻き掛けられて用いられるVベルトやVリブトベルトの圧縮ゴム層や、歯付プーリーに巻き掛けられて用いられる歯付ベルトの歯部などの形成にも有用である。
さらに、本実施形態のゴム組成物は、丸ベルトや平ベルトなどの伝動ベルトの形成材料としても有用である。
また、本実施形態のゴム組成物は、コンベヤベルトや伝動ベルトなどのベルト用ゴム組成物として有用であるばかりでなく、省エネルギー性と耐久性との両立が求められる各種用途において利用可能である。
【0049】
なお、本発明のゴム組成物やコンベヤベルトは、上記例示には何等限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
以下に本発明の実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
なお、以下に示す事例の内、「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例6」、「実施例10」、「実施例11」、及び、「実施例12」については「参考例」である。
【0051】
(評価1)
(実施例1)
天然ゴム(NR)(商品名:SVRCV60 DAU TIENG RUBBERCORPORATION製)とポリブタジエンゴム(BR)(商品名:VCR−412 宇都興産製)を60/40(NR/BR)の比率にてバンバリーミキサー(商品名:ミクストロンBB180 神戸製鋼製)にて混練し、そこへ充填剤としてカーボンブラック(GPF)(商品名:シーストV 東海カーボン製)12質量部(「質量部」は、ゴム100質量部に対する割合。以下において同じ。)とシリカ(沈降法シリカ)(商品名:Ultrasil VN3 エボニックデグサジャパン製)30質量部を投入した後、アミノ系シランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)(商品名:dynasilaneAMEOエボニックデグサジャパン製)を1.3質量部、オクチルアミン(商品名:ファーミン08D 花王製)を0.7質量部添加し、150℃にて反応させたのち、スルフィド系シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)(商品名:Si69 エボニックデグサジャパン製)3質量部を加え、140℃で反応させた。
最後に加工助剤として、ステアリン酸(商品名:ビーズステアリン酸 つばき サンユインダストリアル製、(加工助剤1))、及び、酸化亜鉛三種(商品名:亜鉛華3号A 三井金属鉱業製、(加工助剤2))、老化防止剤(商品名:ノクラック6C、ノクラック224、サンノック、及び、ノクラックAW−N 大内新興化学製)、加硫促進剤(品番:ノクセラーNS−F 大内新興化学製)、加硫遅延剤(商品名:MIRAD PVI 小倉サンダイン株式会社製)を投入しバンバリーミキサーにて混練した。
混練後のゴムは、シート押出機(商品名:TSR 神戸製鋼製)にてシート状にした後、ミルブレンダーにて加硫剤(硫黄)(商品名:セイミOT ゴム工業資材製)を投入し、所定の厚みの未加硫ゴムシートを得た。
【0052】
この未加硫ゴムシートを熱プレスして得られた加硫ゴムシートを用い以下のような項目による評価を行った。
【0053】
<引張試験:引張強さ、破断伸び>
試験はJISK 6251(2004)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠した。試験片はJIS3号ダンベル状試験片とし、厚さ2.0mmとした。
【0054】
<引裂強さの試験>
試験機として、株式会社上島製作所製引張試験機TS−1552(商品名)を使用した。試験はJISK 6252(2001)「加硫ゴム及び可塑性ゴム・引裂強さの求め方」に準拠した。
試験片はクレセント形試験片とし、厚さ2.0mmとした。
引裂き力(TR)は以下の式によって求めた。
TR=F/t
TR: 引裂き力[N/mm]
F: 最大引裂力[N]
t: 試験片の厚さ[mm]
【0055】
<硬さ>
JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータによって常温(23℃)での硬さ(瞬時値)を測定した。
【0056】
<せん断弾性率>
試験機として、アルファテクノロジーズ社製「RPA2000」を使用した。試験条件は、周波数0.5Hz、温度40℃とし、せん断歪0.28%、60%時におけるせん断弾性率をそれぞれ測定し、それらの比によりせん断弾性率の保持率(%)を求めた。
試験片は、JISK6300−2(2001)「振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」に準拠して、厚さ12.5mmのシートから直径30mmの円盤を打ち抜いて作製した。
【0057】
<損失係数(tanδ)の試験>
試験機として、株式会社レオロジー製「FT−レオスペクトラDVE−V4」を使用した。試験条件は、周波数10Hz,温度0℃、20℃,サンプル厚さ1.0mm,サンプル長さ8.00mm、サンプル幅3mmとした。損失係数tanδの測定値は、サンプル長さに対して5%伸長させた状態で、振幅±2%の歪みを与えて測定した。
【0058】
(その他の実施例、比較例)
表1に示した配合によってゴム組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にゴム組成物を作製し、実施例1と同様に加硫ゴムシートについての評価を行った。
なお、実施例5においては、エボニックデグサジャパン製のスルフィド系シランカップリング剤(品番:Si69)にて予めシリカ(品番:Ultrasil VN3)に対して表面処理を実施したシリカ(品番:Coupsil 8113 エボニックデグサジャパン製 Si69/VN3=13/87)を用いたため、実施例1においてスルフィド系シランカップリング剤を混練する工程に該当する部分を割愛してゴム組成物を作製した。
また、比較例においては、実施例1でアミノ系シランカップリング剤を加えるタイミングでスルフィド系シランカップリング剤を加えてゴム組成物を作製した。
なお、実施例2、比較例2では、ポリブタジエンゴム(BR)に代えてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)(品番:NS616 日本ゼオン製)を用いゴム組成物を作製した。
これらの評価結果についても、実施例1と同様に表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(評価2)
(基準試料の作製:実施例6)
天然ゴム(NR)(商品名:SVRCV60 DAU TIENG RUBBERCORPORATION製)とポリブタジエンゴム(BR)(商品名:VCR−412 宇都興産製)を60/40(NR/BR)の比率にてバンバリーミキサー(商品名:ミクストロンBB180 神戸製鋼製)にて混練し、そこへ充填剤としてカーボンブラック(GPF)(品番:シーストV 東海カーボン製)12質量部(「質量部」は、ゴム100質量部に対する割合。以下において同じ。)とシリカ(沈降法シリカ)(品番:Ultrasil VN3 エボニックデグサジャパン製)30質量部を投入した後、アミノ系シランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)(商品名:dynasilaneAMEOエボニックデグサジャパン製)を2.5質量部添加し、150℃にて反応させたのち、スルフィド系シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)(品番:Si69 エボニックデグサジャパン製)3質量部を加え、140℃で反応させた。
最後に加工助剤として、ステアリン酸(商品名:ビーズステアリン酸 つばき サンユインダストリアル製、(加工助剤1))、及び、酸化亜鉛三種(品番:亜鉛華3号A 三井金属鉱業製、(加工助剤2))、老化防止剤(商品名:ノクラック6C、ノクラック224、サンノック、及び、ノクラックAW−N 大内新興化学製)、加硫促進剤(商品名:ノクセラーNS−F 大内新興化学製)、加硫遅延剤(商品名:MIRAD PVI 小倉サンダイン株式会社製)を投入しバンバリーミキサーにて混練した。
混練後のゴムは、シート押出機(商品名:TSR 神戸製鋼製)にてシート状にした後、ミルブレンダーにて加硫剤(硫黄)(商品名:セイミOT ゴム工業資材製)を投入し、所定の厚みの未加硫ゴムシートを得た。
【0061】
ここで、最初に天然ゴムとポリブタジエンゴムとの混練をバンバリーミキサーで開始してから、最終的に加硫剤(硫黄)を投入して加硫剤(硫黄)を均一に分散させるまでに要した時間を「混練時間(T1)」として計測した。
そして、加硫剤を分散させたシートの厚み及び幅を調整し、当該調整が完了して所望の厚みと幅とを有する未加硫ゴムシートが得られるまでの時間を「圧延時間(T2)」として計測した。
【0062】
また、この未加硫ゴムシートを熱プレスして得られた加硫ゴムシートを用い「評価1」と同様にして、せん断弾性率保持率(60%/0.3%)、及び、20℃での損失係数(tanδ)を測定した。
ここで得られた「せん断弾性率保持率(%)」の値は、フィラーの分散性を表す指標となるものである。
そこで、この基準試料の「せん断弾性率保持率(%)」の値を「分散指数(D1)」として設定した。
さらに、ここで得られた「損失係数(tanδ)」の値は、省エネルギー性を表す指標となるものである。
そこで、この基準試料の「損失係数(tanδ)」の値を「省エネルギー指数(S1)」として設定した。
【0063】
(比較試料(実施例6−12、比較例5)の作製と判定)
次いで、表2に示す配合内容で、基準試料(実施例6)とは異なる配合内容で比較試料となるゴムシートを作製した。
そして、この比較試料の作製における「混練時間(Tx)」及び「圧延時間(Ty)」を計測した。
基準試料の「混練時間(T1)」をこの比較試料の「混練時間(Tx)」で除して得られた百分率の値[100%×(T1/Tx)]を「混練時加工性」を判定する指標とした。
また、基準試料の「圧延時間(T2)」を比較試料の「圧延時間(Ty)」で除して得られた百分率の値[100%×(T2/Ty)]を「圧延時加工性」を判定する指標とした。
なお、両指標は、比較試料が作業性に優れ、「混練時間(Tx)」や「圧延時間(Ty)」が短いほど値が高くなるよう設定した。
【0064】
さらに、比較試料の「分散指数(Dx)」及び「省エネルギー指数(Sx)」を求め、
この比較試料の「分散指数(Dx)」を基準試料の「分散指数(D1)」で除して得られた百分率の値[100%×(Dx/D1)]を「フィラー分散性」を判定する指標とした。
また、基準試料の「省エネルギー指数(S1)」を比較試料の「省エネルギー指数(Sx)」で除して得られた百分率の値[100%×(S1/Sx)]を「省エネルギー性」を判定する指標とした。
ここで、「分散指数」は、「省エネルギー指数」、「混練時間」及び「圧延時間」とは異なり値が高いほうが良好な結果が得られていることになる。
そこで、「分散指数」だけは比較試料の結果を基準試料の結果で割る形にした。
即ち、「フィラー分散性」及び「省エネルギー性」の両方の指標は、「混練時加工性」や「圧延時加工性」と同様に良好な結果が得られている程、値が高くなるように設定した。
これらの結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
この結果からも、本発明によれば、引張強度、引裂強度などの基本物性を維持しつつ、損失係数の低いゴム組成物を得ることができ、省エネルギー性および耐久性に優れたコンベヤベルトが得られることがわかる。
また、上記結果からは、シリカに対してアミノ系シランカップリング処理を施した後にスルフィド系シランカップリング剤でカップリング処理を施した方が好ましい結果が得られることがわかる。
【0067】
また、上記の結果からも、シリカの含有量に対する、アミノ系シランカップリング剤の含有量とアルキルアミンの含有量とを所定範囲内に調製することが省エネルギー性に優れたコンベヤベルトを製造容易にする上において有利であることがわかる。