【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明によるセンサ収容体は、ハンガーパイプと、該ハンガーパイプ内に固定されるセンサユニットと、から構成され、前記センサユニットは、クランク軸と、クランク軸の周囲に配設されたトルクセンサと回転センサのいずれか一方もしくは双方からなるセンサと、センサを包囲するセンサカバーと、から構成されているセンサ収容体において、センサカバーの外周面とハンガーパイプの内周面のうち、いずれか一方には突起が配設され、他方には前記突起が係合する係合溝と該係合溝に連続するガイド溝が設けてあるものである。
【0012】
本発明のセンサ収容体は、センサカバーの外周面とハンガーパイプの内周面のうち、いずれか一方には突起が設けられ、他方には突起が係合する係合溝が設けられていることのほかに、この係合溝に連続するガイド溝が設けてあることにより、突起をガイド溝で案内させながら係合溝に導くことで突起と係合溝の係合を容易に実行することができ、センサユニットとハンガーパイプの位置決めを容易におこなうことを可能としたものである。
【0013】
本発明のセンサ収容体の適用例としては、電動アシスト自転車のクランク軸の周囲に配設される適用例のほか、電動アシスト式の足こぎボートのクランク軸の周囲に配設される適用例、発電機の回転軸の周囲に配設される適用例など、その用途は多様である。
【0014】
また、電動アシスト自転車には、別体で成形されたハンガーパイプに車体フレームが溶接等にて接続された構造のほかにも、ハンガーパイプが車体フレームに一体成形された形態(すなわち、ハンガーパイプそのものが存在しない形態)もある。しかしながら、本明細書における「ハンガーパイプ」には、車体フレームに別体に成形されたハンガーパイプのほかにも、ハンガーパイプの存在しない車体フレームにおけるハンガーパイプ相当箇所(クランク軸が挿通されてセンサが搭載される箇所)も包含されるものとする。
【0015】
また、「クランク軸の周囲に配設されたトルクセンサと回転センサのいずれか一方もしくは双方からなるセンサ」とは、トルクセンサのみを搭載する形態、回転センサのみを搭載する形態、トルクセンサと回転センサの双方を並列搭載する形態のいずれかを意味している。トルクセンサのみならず、回転センサを搭載することで、より高度な制御が実現できる。たとえば、自転車が止まっている際に乗員がペダルに足をかけることでトルクの発生があるものの、実際にはアシスト力は一切不要である場合に、回転センサにて回転の有無、回転の状態を検知することでアシスト力の要否やより精緻なアシスト力の特定が可能となる。また、多様なギヤ比の設定の中で、タイヤの回転とクランク軸の回転の双方を確認することで、現在どの段数に入っているのかを確認できる点からも回転センサを併用する効果がある。
【0016】
センサに関してさらに言及すると、このセンサは磁歪式センサ、機械式センサのいずれであってもよい。
【0017】
また、「センサカバーの外周面とハンガーパイプの内周面のうち、いずれか一方には突起が配設され、他方には前記突起が係合する係合溝と該係合溝に連続するガイド溝が設けてある」とは、センサカバーの外周面に係合溝とガイド溝が設けられ、ハンガーパイプの内周面に突起が設けられた形態と、その逆の構成の形態のいずれか一方を意味している。
【0018】
ここで、係合溝に連続するガイド溝の形態としては、係合溝から左右に一定の勾配で延びた1段勾配の形態や、係合溝から左右に比較的急な勾配で延び、さらにそれよりも緩やかな勾配で左右に延びた2段勾配の形態などがあり、その線形も直線のほか、曲線、直線と曲線の組み合わせなど、多様な形状形態が適用できる。
【0019】
たとえば上記する2段勾配の形態によれば、突起を外側の緩い勾配で拾い、この緩い勾配から急勾配に突起を移行させて係合溝に案内することができ、より一層高い位置決め効率が享受できる。
【0020】
また、「突起」には、ボルト孔にねじ込まれるボルトのほか、ハンガーパイプの内周面もしくはセンサカバーの外周面に予め一体成形等された突起などが含まれている。
【0021】
中でも、ハンガーパイプに突起が配設されている場合において、突起はハンガーパイプに開設されたボルト孔にねじ込まれたボルトであるのが好ましい。
【0022】
ハンガーパイプ内にセンサユニットが収容されて双方の位置決めがなされ、かつ、双方の固定が図られることでハンガーパイプ内におけるセンサユニットの回転が抑止されることになるが、ボルトをねじ込む形態であれば、センサユニットの外側寸法(外径)が多様に変化した場合でもボルトによるセンサユニットの固定が可能になることがその理由である。
【0023】
また、センサユニットとハンガーパイプ双方の固定は、ハンガーパイプとセンサユニット双方の端部に固定部を設けておき、ハンガーパイプに対してセンサユニットを圧入して双方の固定部を嵌合させて固定する方法がある。また、別の方法として、ハンガーパイプの端部の固定部とセンサユニットの端部の固定部の双方にねじ切りを設けておき、双方の端部同士をねじ込んで固定する方法がある。
【0024】
中でも、双方の端部同士をねじ込み式でおこなう形態が好ましい。この形態では、センサユニットにおいて、ハンガーパイプに直接固定される固定部とセンサカバーを相対的に回転自在に構成しておくのがよい。固定部のみが回転してハンガーパイプと固定する際にセンサカバーの姿勢は回転することなく保持することができるからである。
【0025】
圧入式の場合は、ハンガーパイプに対して圧入されるセンサユニットを精緻に位置合わせする必要があり、さらに、圧入のための治具や装置が必須となる。それに対し、ねじ込み式の場合は回転治具等の機具を使用する以外にも人力による作業が可能であり、また、ねじ込みに際して双方の精緻な位置決めは必要ない。また、圧入式の場合は、ハンガーパイプからセンサユニットが抜け出さないようにC-リング等を固定部に噛ます必要があるが、ねじ込み式の場合にはそのような別部材は不要である。さらに、メンテナンス等の際にハンガーパイプからセンサユニットを取り外すに当たり、圧入式で固定された場合の取り外しは容易でなく、少なくとも取り外し治具を要する一方で、ねじ込み式の場合はたとえば人力で容易に取り外しが可能である。これらがねじ込み式による固定が好ましい理由である。
【0026】
また、本発明によるセンサ収容体の他の実施の形態は、センサからワイヤーハーネスが延設しており、ハンガーパイプに開設されたワイヤー孔を介してハンガーパイプの内側から該ワイヤーハーネスが挿通されてハンガーパイプの外側に所定長さ延設しているものである。
【0027】
ここで、「ハンガーパイプに開設されたワイヤー孔を介してワイヤーハーネスがハンガーパイプの外側に所定長さ延設している」とは、ハンガーパイプの外側に延設しているワイヤーハーネスがハンガーパイプの外側にあるコントローラ等に通じていることより、ワイヤーハーネスの長さが長過ぎも短過ぎもしない、一定の長さであることを意味している。通常は雨水や泥水等がワイヤー孔を介してハンガーパイプ内に入り込まないようにワイヤー孔はワイヤーハーネスの外径と同程度か若干大きい程度に形成され、さらに、ワイヤー孔の配設位置も下方位置となるように取り付けられている。さらに、コントローラのフレーム取り付け位置も決まっていることから、ハンガーパイプの外側にワイヤーハーネスが所定長さ延設してコントローラに繋がる構成を保証する前提として、センサユニットとハンガーパイプの位置決めは規定位置に精緻におこなわれる必要がある。
【0028】
本実施の形態のセンサ収容体によれば、ハンガーパイプの外側にワイヤーハーネスが所定長さ延設してコントローラに繋がる構成を保証しながら、センサユニットとハンガーパイプの位置決めを規定位置に精緻におこなうことができる。
【0029】
また、センサカバーの外周面とハンガーパイプの内周面のいずれか一方には2以上のリブが設けてあり、ハンガーパイプ内にセンサユニットを挿入して固定する際に前記2以上のリブがハンガーパイプとセンサユニット双方の芯合わせ作用を有している形態が好ましい。
【0030】
センサカバーの外周面とハンガーパイプの内周面のいずれか一方に2以上のリブが設けてあることで、ハンガーパイプにセンサユニットを挿入した際に、双方の芯合わせを自動的におこなうことができる。そのため、双方の芯がずれていて、突起が係合溝に係合できないといった問題は生じ得ない。