特許第6254886号(P6254886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254886
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】触媒コンバータの冷却機構
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20171218BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20171218BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20171218BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   F01N3/20 A
   F01N3/24 L
   F01P3/12
   F01N3/02 101D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-68417(P2014-68417)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190388(P2015-190388A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】石澤 清孝
(72)【発明者】
【氏名】仁科 宏健
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−303628(JP,A)
【文献】 特開平09−049422(JP,A)
【文献】 特開2002−336628(JP,A)
【文献】 特開平10−252578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/02
F01N 3/24
F01P 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を内蔵し、排気導入口及び排気排出口を有する触媒ケースを備えた触媒コンバータを冷却する触媒コンバータの冷却機構において、
前記触媒コンバータは、
前記触媒ケースの前記排気排出口に近接して開口する開口部を有し、前記触媒ケースの外表面と間隙を介して該触媒ケースの一部または全部を覆う冷却水ケースと、
該冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に、前記触媒の温度が予め設定された温度に上昇した際に前記排気導入口側から冷却水を供給する冷却水供給部を備え
該冷却水供給部は、前記冷却水ケースに固定されて前記隙間内に突出し且つ前記間隙に前記冷却水を噴霧する噴射ノズルを備えることを特徴とする触媒コンバータの冷却機構。
【請求項2】
触媒を内蔵し、排気導入口及び排気排出口を有する触媒ケースを備えた触媒コンバータを冷却する触媒コンバータの冷却機構において、
前記触媒コンバータは、
前記触媒ケースの前記排気排出口に近接して開口する開口部を有し、前記触媒ケースの外表面と間隙を介して該触媒ケースの一部または全部を覆う冷却水ケースを備え、
該冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に、前記触媒の温度が予め設定された温度に上昇した際に前記排気導入口側から冷却水を供給する冷却水供給部を備えるとともに、
前記冷却水供給部は、空調装置で凝縮された凝縮水を前記冷却水として用いることを特徴とする触媒コンバータの冷却機構。
【請求項3】
前記冷却水供給部は、
前記冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に前記冷却水を噴霧することを特徴とする請求項2に記載の触媒コンバータの冷却機構。
【請求項4】
前記冷却水供給部は、
前記冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に供給する冷却水を貯水する貯水部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒コンバータの冷却機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒コンバータの冷却機構、特に、触媒を内蔵し、排気導入口及び排気排出口を有する触媒コンバータの冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒コンバータは、一般的に、内燃機関から排出される排気ガスの排気通路に設けられ、触媒を内蔵する触媒担体に排気ガスを通過させることによって、排気ガス中の有害成分を浄化する装置である。
【0003】
このような触媒コンバータは、触媒温度を高温にして触媒機能を活性化させる必要があることから、内燃機関内の燃焼温度によって触媒温度を高温にすべく、内燃機関の近傍に配置されることがある。
【0004】
その一方で、触媒温度が過度に高温となると触媒が熱劣化することから、かかる場合には、触媒温度を低下させる必要がある。このような対策として、触媒を冷却して触媒温度を低下させることを目的とした技術が、種々提案されている。
【0005】
特許文献1には、走行風やラジエータファンからの冷却風で触媒コンバータを冷却する触媒コンバータの空冷機構が開示されている。
【0006】
この触媒コンバータの空冷機構は、触媒コンバータの外側に、その外側の一部を覆う外側管が形成され、この外側管と触媒コンバータの外側との間の空間に冷却風を導入する冷却風導入手段、及び冷却風導入手段を制御する制御手段を備え、冷却風導入手段が走行風やラジエータファンからの冷却風を空間に導入して、触媒コンバータを介して触媒を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−279653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば、点火装置の不具合による失火によって、多量の未燃焼ガスが触媒コンバータ内に流入する、あるいは長距離に亘る急坂の登坂によって内燃機関に高い負荷が継続的に付与されている場合に、触媒コンバータの外表面に外部から導入される走行風が相対的に減少すること等によって、触媒温度が高温になることがある。
【0009】
かかる場合には、触媒を冷却する必要があるところ、上記特許文献1のような空冷機構によっては、内燃機関の低負荷時及び高負荷時といった広範な運転域において、触媒温度を適切に制御することができないことから、触媒温度が過度に上昇した場合において、触媒温度を効率的に低下させることができないことが懸念される。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒温度を効率的に低下させて触媒の熱劣化を抑制することができる触媒コンバータの冷却機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明による触媒コンバータの冷却機構は、触媒を内蔵し、排気導入口及び排気排出口を有する触媒ケースを備えた触媒コンバータを冷却する触媒コンバータの冷却機構において、前記触媒コンバータは、前記触媒ケースの前記排気排出口に近接して開口する開口部を有し、前記触媒ケースの外表面と間隙を介して該触媒ケースの一部または全部を覆う冷却水ケースと、該冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に、前記触媒の温度が予め設定された温度に上昇した際に前記排気導入口側から冷却水を供給する冷却水供給部を備え、該冷却水供給部は、前記冷却水ケースに固定されて前記隙間内に突出し且つ前記間隙に前記冷却水を噴霧する噴射ノズルを備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、触媒温度が予め設定された温度に上昇すると、冷却水供給部が、触媒ケースの外表面と冷却水ケースとの間隙に、触媒ケースの排気導入口側から冷却水を供給する。これにより、内燃機関の運転域に応じて、触媒温度を効率的に低下させることができ、触媒の熱劣化を防止することができる。
【0013】
しかも、冷却水ケースは、触媒ケースの排気排出口に近接して開口する開口部を有することから、排気ガスが触媒ケースの排気排出口から排出される際に、触媒ケースの外表面と冷却水ケースとの間隙に供給された冷却水が、ほぼ水蒸気状となって開口部から排気ガスに吸引される。
【0014】
従って、冷却水が排気ガスとともに外部に排出されて、間隙内に滞留することなく外部に排出されることから、特に内燃機関の冷態始動時の暖機を妨げる事態が減少する。従って、触媒コンバータの機能低下が抑制されるとともに、触媒ケースの腐食も抑制される。
【0015】
請求項2に記載の発明は、触媒を内蔵し、排気導入口及び排気排出口を有する触媒ケースを備えた触媒コンバータを冷却する触媒コンバータの冷却機構において、前記触媒コンバータは、前記触媒ケースの前記排気排出口に近接して開口する開口部を有し、前記触媒ケースの外表面と間隙を介して該触媒ケースの一部または全部を覆う冷却水ケースを備え、該冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に、前記触媒の温度が予め設定された温度に上昇した際に前記排気導入口側から冷却水を供給する冷却水供給部を備えるとともに、前記冷却水供給部は、空調装置で凝縮された凝縮水を前記冷却水として用いることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、冷却水として、空調装置で凝縮された凝縮水を用いることから、本来であれば廃棄される凝縮水を再利用することによって、効率的に触媒コンバータを冷却することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の触媒コンバータの冷却機構において、前記冷却水供給部は、前記冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に前記冷却水を噴霧することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、冷却水供給部は、冷却水を、この冷却水が気化しやすいように、触媒ケースの外表面と冷却水ケースとの間隙に噴霧して供給することから、冷却水が排気ガスに容易に吸引されて効率的に外部へ排出される。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒コンバータの冷却機構において、前記冷却水供給部は、前記冷却水ケースと前記触媒ケースとの前記間隙に供給する冷却水を貯水する貯水部を備えることを特徴とする。

【0020】
この構成によれば、冷却水供給部は、冷却水ケースと触媒ケースとの間隙に冷却水を供給する貯水部を備えることから、触媒コンバータを冷却する冷却水を予め確保しておくことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、触媒温度が予め設定された温度に上昇すると、触媒ケースの外表面と冷却水ケースとの間隙に、触媒ケースの排気導入口側から冷却水が供給されることから、触媒温度を効率的に低下させることができ、触媒の熱劣化を防止することができる。
【0022】
冷却水は、触媒ケースの排気排出口に近接して開口する開口部から排気ガスに吸引されて、排気ガスとともに外部に排出されることから、特に内燃機関の冷態始動時の暖機を妨げる事態が減少する。従って、触媒コンバータの機能低下が抑制されるとともに、触媒ケースの腐食も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る触媒コンバータの冷却機構の概略を説明する図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】本実施の形態に係る触媒コンバータが冷却される状態の概略を説明する、図1のA部の拡大図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る触媒コンバータの冷却機構の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について、図1図4に基づいて説明する。なお、本実施の形態において、触媒コンバータが、車両の内燃機関の排気系に配設される触媒コンバータである場合を例として説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る触媒コンバータの冷却機構の概略を説明する図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。図示のように、冷却機構10は、触媒コンバータ20、及びこの触媒コンバータ20を冷却する冷却水供給部50を備える。
【0026】
触媒コンバータ20は、触媒ケース21、触媒ケース21に収容される触媒担体30、及び触媒ケース21の外表面28と間隙Sを介して触媒ケース21の全部を覆う冷却水ケース40を備える。
【0027】
触媒ケース21は、触媒ケース本体22、矢線Uで示す触媒ケース本体22の上流側を封止する上流面23、及び矢線Dで示す触媒ケース本体22の下流側を封止する下流面24を有する円筒状に形成される。
【0028】
この触媒ケース21には、上流面23から上流側Uに向かって突出して開口する排気導入口である排気ガス導入口25、及び下流面24から下流側Dに向かって突出して開口する排気排出口である排気ガス排出口26が形成されている。
【0029】
触媒担体30は、排気ガス流入面31及び排気ガス排出面32を有して触媒ケース21の内表面27に嵌合して触媒ケース21内に収容される円柱状に形成され、排気ガス流入面31から排気ガス排出面32に亘って連続する隔壁によって区画されたセル33を有するハニカム状に形成される。
【0030】
この触媒担体30には、例えばPt、Pd、Rh等の触媒が内蔵される。
【0031】
冷却水ケース40は、冷却水ケース本体41、冷却水ケース本体41の上流側Uを封止する上壁42、及び冷却水ケース本体41の下流側Dを封止する下壁43を有する円筒状に形成される。
【0032】
この冷却水ケース40には、上壁42から上流側Uに向かって突出する上流側ボス部44が形成されている。この上流側ボス部44は、側部44a及び側部44aから内方に折曲して連続する端部44bを有する円筒状に形成される。
【0033】
この端部44bには、端部44bからさらに上流側Uに向かって突出して上流側Uに開口して導入管1が接続される導入部45が形成されている。
【0034】
一方、冷却水ケース40には、下壁43から下流側Dに向かって突出する下流側ボス部46が形成されている。この下流側ボス部46は、側部46a及び側部46aから内方に折曲して連続する端部46bを有する円筒状に形成される。
【0035】
この端部46bには、端部46bからさらに下流側Dに向かって突出して下流側Dに開口して排気管2が接続される排気管接続部47が形成されている。
【0036】
このような冷却水ケース40は、本実施の形態では、その内表面40aと触媒ケース21の外表面28との間隙Sを介して、触媒ケース21の全部を覆って触媒ケース21を収容する。
【0037】
具体的には、触媒ケース21の排気ガス導入口25の端部が、冷却水ケース40の上流側ボス部44に形成された導入部45に嵌合されるとともに、図2で示すように、触媒ケース21が、その排気ガス排出口26における触媒ケース21の外表面28において、下流側ボス部46における冷却水ケース40の内表面40aに放射状に形成された支持部40bによって支持されることにより、触媒ケース21が冷却水ケース40内に収容される。
【0038】
これにより、冷却水ケース40の導入部45と触媒ケース21の排気ガス導入口25とが、触媒コンバータ21の中心線Cに沿った同軸上に位置決めされるとともに、触媒ケース21の排気ガス排出口26と冷却水ケース40の排気管接続部47とが、触媒コンバータ21の中心線Cに沿った同軸上に位置決めされる。
【0039】
このとき、冷却水ケース40の排気管接続部47は、上流側Uに向かって触媒ケース21の排気ガス排出口26に臨み、所定間隔αを有する開口部48を介して排気ガス排出口26に近接して配置される。
【0040】
上記構成の触媒コンバータ20における触媒ケース21の排気ガス導入口25及び冷却水ケース40の導入部45に、内燃機関からの排気ガスGを触媒コンバータ20内に導入する導入管1が装着され、冷却水ケース40の排気管接続部47に、排気ガスGを外部に排出する排気管2が装着される。
【0041】
これにより、触媒コンバータ20が配設された排気系を介して内燃機関から外部までが連通し、導入管1を介して内燃機関からの排気ガスGが触媒コンバータ20に導入されて浄化され、浄化された排気ガスGが排気管2を介して外部に排気される。
【0042】
冷却水供給部50は、このような触媒コンバータ20を冷却する装置であり、図1で示すように、ウォータポンプ51、車両に搭載される空調装置である図示しないエアコンディショナで凝縮された凝縮水を貯水する貯水部52、及び制御部53を主要構成として備える。
【0043】
ウォータポンプ51は、冷却水ケース40の内表面40aと触媒ケース21の外表面28との間隙S内に突出して冷却水ケース40に固定された噴射ノズル51aを備え、この噴射ノズル51aを介して、貯水部52に貯水されたエアコンディショナの凝縮水を冷却水として、間隙Sに噴霧する。
【0044】
制御部53は、触媒ケース21の外表面28に取り付けられて触媒担体30に内蔵された触媒の温度を検知する温度センサ53aを備え、この温度センサ53aで検知した触媒温度に基づいて、ウォータポンプ51による冷却水の間隙Sへの噴霧を制御する。
【0045】
この制御部53には、本実施の形態では、触媒温度が予め設定された高温に上昇した際に、噴射ノズル51aを介して間隙S内に冷却水を噴霧するようにウォータポンプ51を制御するプログラムが格納されている。
【0046】
本実施の形態では、例えば、触媒温度が750℃に上昇した際に冷却水を噴霧するように制御される。
【0047】
次に、本実施の形態に係る冷却水供給部50から噴霧される冷却水による触媒コンバータ20の冷却作用について、図3及び図1を用いて説明する。
【0048】
図3は、本実施の形態に係る触媒コンバータ20が冷却される状態の概略を説明する、図1のA部の拡大図である。
【0049】
例えば、点火装置の不具合による失火によって、未燃焼ガスが触媒コンバータ20内に流入した場合や、長距離に亘る急坂の登坂によって触媒コンバータの外表面に導入される走行風が相対的に減少する場合には、触媒温度が上昇する。
【0050】
温度センサ53aが、予め設定された750℃の触媒温度を検知すると、検知信号が制御部53に入力される。制御部53に検知信号が入力されると、ウォータポンプ51が噴射ノズル51aを介して、貯水部52に貯水された凝縮水を、冷却水ケース40と触媒ケース21との間隙S内に冷却水として噴霧する。
【0051】
図3で示すように、冷却水は、噴射ノズル51aを介して圧力が付与されることによって粒化したミストMとして、本実施の形態では、触媒コンバータ20の上流側Uから間隙S内に供給される。
【0052】
間隙S内に供給されたミストMは、触媒ケース21を介して触媒担体30に内蔵された触媒を冷却し、触媒温度を低下させる。間隙Sに供給されたミストMは、触媒温度の低下に伴って水蒸気化し、触媒コンバータ20の上流側Uから下流側Dに向かって流下する。
【0053】
一方、内燃機関からの排気ガスGは、導入管1を介して触媒ケース21に収容された触媒担体30に導入され、導入された排気ガスGは触媒担体30のセル33を流下する。
【0054】
このとき、排気ガスGに含まれるNO等の有害物質が、触媒担体30に内蔵された触媒によって還元されて、排気ガスGが浄化される。
【0055】
浄化された排気ガスGは、触媒ケース21の排気ガス排出口26を介して冷却水ケース40の排気管接続部47に装着された排気管2に流入して、外部に排出される。
【0056】
このとき、ミストMは、排気ガスGが、触媒ケース21の排気ガス排出口26と近接して所定間隔αを有する開口部48を介して排気管2に流入する際に、開口部48から排気ガスGに吸引される。
【0057】
排気ガスGに吸入されたミストMは、排気ガスGとともに排気管2から外部に排出される。
【0058】
上記構成の触媒コンバータ20の冷却機構10では、触媒温度が上昇して、温度センサ53aが予め設定された750℃の触媒温度を検知すると、冷却水供給部50のウォータポンプ51が噴射ノズル51aを介して、間隙S内にエアコンディショナ52の凝縮水を冷却水として噴霧する。
【0059】
噴射ノズル51aは、冷却水を粒化したミストMを間隙S内に供給し、このミストMが、触媒ケース21を介して触媒担体30に内蔵された触媒を冷却する。これにより、触媒温度を効率的に低下させることができ、触媒の熱劣化を防止することができる。
【0060】
しかも、ミストMは、触媒ケース21の排気ガス排出口26と近接して所定間隔αを有する開口部48から排気ガスGに吸引されて、排気ガスGとともに排気管2から外部に排出される。
【0061】
従って、間隙S内に供給されたミストMが、間隙S内に滞留することなく外部に排出されることから、特に内燃機関の冷態始動時の暖機を妨げる事態が減少する。従って、触媒コンバータ20の機能低下が抑制されるとともに、触媒ケース21の腐食が抑制される。
【0062】
本実施の形態では、冷却水として、エアコンディショナからの凝縮水を用いることから、本来であれば廃棄される凝縮水を再利用することによって、効率的に触媒コンバータ20を冷却することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、噴射ノズル51aは、冷却水ケース40の冷却水ケース本体41において、冷却水ケース40の内表面40aと触媒ケース21の外表面28との間隙Sに突出して冷却水ケース40に固定された場合を説明したが、図4で示すように、例えば、冷却水ケース40の上流側ボス部44において、冷却水ケース40の内表面40aと触媒ケース21の外表面28との間隙Sに突出するように、冷却水ケース40に固定されていてもよい。
【0064】
上記実施の形態では、冷却水として、エアコンディショナからの凝縮水を用いる場合を説明したが、例えば、冷却水供給部50のウォータポンプ51のみに冷却水を供給する、触媒コンバータ20を冷却する冷却水専用の貯水部を冷却水供給部50に装備してもよい。
【0065】
これにより、触媒コンバータ20を冷却する冷却水を予め確保しておくことができる。
【0066】
上記実施の形態では、冷却水ケース40が、触媒ケース21の全部を覆う場合を説明したが、触媒ケース21の一部のみを覆うように構成することもできる。
【0067】
上記実施の形態では、触媒の温度を検知する温度センサ53aで検知した触媒温度に基づいて、ウォータポンプ51による冷却水の間隙Sへの噴霧を制御する場合を説明したが、排気ガスGの温度を検知する排気ガスセンサや、排気ガスの圧力を検知する圧力センサに基づいて触媒温度を推定してもよく、さらには、アクセル開度やエンジン回転数に基づいて触媒温度を推定してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 触媒コンバータの冷却機構
20 触媒コンバータ
21 触媒ケース
25 排気ガス導入口(排気導入口)
26 排気ガス排出口(排気排出口)
28 外表面
30 触媒担体
40 冷却水ケース
40a 内表面
45 導入部
47 排気管接続部
48 開口部
50 冷却水供給部
51 ウォータポンプ
51a 噴射ノズル
52 貯水部
53 制御部
53a 温度センサ
D 下流側
M ミスト(冷却水)
S 間隙
U 上流側
図1
図2
図3
図4