(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線通信機能を有し、第1コイルと二次電池と送信部とを備える携帯端末を対象として、当該携帯端末が所定範囲内の相対位置に存在する場合において、当該二次電池を充電するための起電力を当該第1コイルに生じさせるために、当該第1コイル内の磁束を変化させる無接点充電器であって、
変動する電流が流れることで、周囲の磁束を変化させる第2コイルと、
所定の周波数で変動する第1電流を前記第2コイルに流すための電圧を生成する第1電圧生成回路と、
前記所定の周波数で変動する電流であって、前記磁束の変化に伴って前記第2コイルから放射される電磁波の周波数成分のうち、前記所定の周波数に対応する高調波成分のエネルギーが前記第1電流より少ない第2電流を前記第2コイルに流すための電圧を生成する第2電圧生成回路と、
前記送信部から送信される、前記携帯端末における無線通信の状態に係る通信状態信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信される通信状態信号に基づいて、前記第1電圧生成回路によって生成される電圧と、前記第2電圧生成回路によって生成される電圧とのうちから、前記第2コイルに供給する電圧を択一的に選択する選択部とを備える
ことを特徴とする無接点充電器。
前記通信状態判定部は、前記受信部によって、前記携帯端末が基地局との間の無線通信を行っている旨を示す通話状態信号を定期的に受信している期間、前記携帯端末が無線通信中であると判定するように前記判定を行う
ことを特徴とする請求項5記載の無接点充電器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
<概要>
ここでは、本発明に係る携帯端末の一実施例として、内蔵する二次電池を充電するための起電力を生じる起電コイルを内蔵する携帯端末と、周囲の磁束を変化させるための放射コイルを内蔵する無接点充電器とからなる無接点充電システムについて説明する。
【0012】
この無接点充電システムでは、起電コイルと放射コイルとが正対する位置関係となるように、無接点充電器の上の所定の位置に携帯端末を置いた状態で、放射コイルに変動する電流を流すことで、起電コイルに起電力が生じる。
この無接点充電システムでは、携帯端末は、無接点充電器の上の所定の位置に置かれた状態において、外部の基地局との間でデータ通信を行っている期間、データ通信を行っている旨を示す通信状態信号を無接点充電器に送信する。また、外部の基地局との間でデータ通信を行っているか否かに関わらず、内蔵する電池の蓄電量を示す蓄電情報信号を無接点充電器に送信する。
【0013】
一方で、無接点充電器は、放射コイルに周期的に変動する電流を流すための電圧発生回路として、共に400KHzで周期的に変動する電圧を生成する、第1電圧波形生成回路と第2電圧波形生成回路とを備える。
ここで、第1電圧波形生成回路は、電圧波形が矩形波形となる電圧を生成するのに対して、第2電圧波形生成回路は、電圧波形が、第1電圧波形生成回路の生成する矩形波形よりも鈍った(すなわち、フーリエ変換した場合における高周波成分のエネルギーが少ない)鈍り波形となる電圧を生成する。
【0014】
そして、この無接点充電器は、携帯端末から送信された、通信状態信号と蓄電情報信号とに基づいて、(1)携帯端末がデータ通信を行っていない期間のときと、(2)携帯端末がデータ通信を行っている期間であって、二次電池の蓄電量が所定量未満のときとには、第1電圧波形生成回路で生成した電圧を放射コイルに供給して、放射コイルに変動する電流を流し、(3)携帯端末がデータ通信を行っている期間であって、二次電池の蓄電量が所定量より多いときには、第2電圧波形生成回路で生成した電圧を放射コイルに供給して、放射コイルに変動する電流を流す。
【0015】
以下、この無接点充電システムの詳細について図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1(a)は、表側から見た携帯端末100の斜視図であって、
図1(b)は、裏側から見た携帯端末100の斜視図である。
図1(a)、(b)に示されるように、携帯端末100は、略直方体の形状をした、いわゆるスマートフォンであって、表側主表面に、タッチパネル110の操作面が配され、レシーバ孔120と、マイク孔130とが開設されている。そして、裏側主表面の内側に、起電コイル160が内蔵されており、裏側主表面に、内蔵されている起電コイル160の位置を示すマーク170が印刷されている。
【0016】
図2は、起電コイル160の斜視図である。
同図に示されるように、起電コイル160は、基板210の表面に、第1端子230と第2端子240とを電気的に接続する渦巻き状の銅箔配線220が形成されることで構成される平面コイルである。
起電コイル160は、銅箔配線220による渦巻きの内部に磁束の変化が生じると、第1端子230と第2端子240との間に起電力を生じる。
【0017】
また、起電コイル160は、携帯端末100と無接点充電器300(後述)との間でなされる近距離無線通信のアンテナとしても利用される。
図3は、無接点充電器300の斜視図である。
同図に示されるように、無接点充電器300は、略直方体の筺体320と、ケーブル330と、プラグ340とを備える。そして、主表面の内側に、放射コイル310が内蔵されており、主表面に、内蔵されている放射コイル310の位置を示すマーク350が印刷されている。
【0018】
図4は、放射コイル310の斜視図である。
同図に示されるように、放射コイル310は、起電コイル160と同様に、基板410の表面に渦巻き状の、第1端子430と第2端子440とを電気的に接続する銅箔配線420が形成されることで構成される平面コイルである。
放射コイル310は、第1端子430と第2端子440との間に変動する電流が流れることで、周囲の磁束を変化させる。
【0019】
また、放射コイル310は、起電コイル160と同様に、携帯端末100と無接点充電器300との間でなされる近距離無線通信のアンテナとしても利用される。
再び
図3に戻って、無接点充電器300の説明を続ける。
マーク170とマーク350とが正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せると、起電コイル160と放射コイル310とが正対することとなる。
【0020】
そして、起電コイル160と放射コイル310とがある程度の範囲内で正対している状態で、放射コイル310に変動する電流を流すと、起電コイル160内の磁束が変化して、起電コイル160に起電力が生じる。
また、起電コイル160と放射コイル310とが正対している状態で、携帯端末100と無接点充電器300とが、それぞれ、起電コイル160と放射コイル310とをアンテナとして利用して、近距離無線通信を行う。
【0021】
なお、この近距離無線通信は、起電コイル160と放射コイル310とが、ある程度の範囲内において正対している状態に限って通信可能となるように、送信出力が制限されている。このため、マーク170とマーク350とが、ある程度の範囲内において正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられている状態に限って、この近距離無線通信は成立する。
【0022】
図5は、携帯端末100の回路構成を示すブロック図である。
同図に示されるように、携帯端末100は、CPU(Central Processing Unit)500と、アンテナ505と、基地局通信用LSI(Large Scale Integration)510と、レシーバ515と、マイク520と、タッチパネルコントローラ525と、タッチパネル110と、メモリ530と、タイマ535と、蓄電量計測回路540と、二次電池545と、充電回路550と、起電コイル160と、フィルタ555と、近距離通信用LSI560とから構成される。
【0023】
アンテナ505は、基地局通信用LSI510に接続され、基地局通信用LSI510が行う基地局との無線通信に利用される、例えば、金属箔製のモノポールアンテナである。
基地局通信用LSI510は、アンテナ505とCPU500とに接続され、CPU500によって制御される。そして、アンテナ505を利用して外部の基地局と無線通信する機能を有する。
【0024】
携帯端末100と基地局との間で行われる無線通信には、制御信号の送受信を行う制御信号通信と、データの送受信を行うデータ通信との2種類がある。ここで、制御信号通信は比較的ノイズに強い通信方法による通信であり、データ通信は比較的ノイズに弱い通信方法による通信となっている。
なお、ここでは、基地局へのデータ通信に利用する周波数帯は、基地局への送信信号が836MHz帯であり、基地局からの受信信号が881MHz帯であるとする。
【0025】
レシーバ515は、CPU500に接続され、CPU500によって制御される。そして、CPU500から送られる電気信号を音声に変換して、変換した音声を、レシーバ孔120(
図1(a)参照)を通して携帯端末100外部に出力する機能を有する。
マイク520は、CPU500に接続され、CPU500によって制御される。そして、マイク孔130(
図1(a)参照)を通して携帯端末100外部から入力される音声を電気信号に変換して、変換した電気信号をCPU500へ送る機能を有する。
【0026】
タッチパネル110は、液晶ディスプレイの表示面上に透明なタッチパッドが重ねられて構成され、タッチパネルコントローラ525に接続され、タッチパネルコントローラ525によって制御される。そして、携帯端末100を利用するユーザの接触操作を受け付ける操作受付機能と、画像を表示する表示機能とを有する。
タッチパネルコントローラ525は、タッチパネル110と、CPU500とに接続され、CPU500によって制御される。そして、CPU500から送られて来る画像信号に基づく画像をタッチパネル110に表示させる表示制御機能と、携帯端末100を利用するユーザが、タッチパネル110を用いて行う接触操作を、電気信号に変換してCPU500に送る接触操作変換機能とを有する。
【0027】
メモリ530は、CPU500に接続され、CPU500の動作を規定するプログラムと、CPU500が利用するデータとを記憶する。メモリ530は、一例として、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とフラッシュメモリとによって実現される。
タイマ535は、CPU500に接続され、時間の経過を計測する機能を有する。
【0028】
二次電池545は、蓄電量計測回路540と、充電回路550とに接続され、充電回路550によって充電され、携帯端末100を構成する電子部品に電力を供給する。
蓄電量計測回路540は、二次電池545と、CPU500とに接続され、CPU500によって制御される。そして、二次電池545に蓄電されている電力量を計測する機能を有する。蓄電量計測回路540は、一例として、二次電池545の蓄電量を計測した結果として、二次電池545の電圧を出力する。
【0029】
充電回路550は、CPU500と、二次電池545と起電コイル160とに接続され、CPU500によって制御される。そして、起電コイル160に生じる起電力を利用して、二次電池545を充電する機能を有する。
起電コイル160は、充電回路550と、フィルタ555とに接続され、起電コイル160内の磁束が変化することで起電力を生じる。
【0030】
また、起電コイル160は、フィルタ555を介して接続される近距離通信用LSI560によって、近距離無線通信用のアンテナとして利用される。
フィルタ555は、起電コイル160と、近距離通信用LSI560とに接続され、近距離通信用LSI560が近距離無線通信として利用する周波数帯以外の周波数帯の信号をカットするフィルタである。
【0031】
近距離通信用LSI560は、CPU500と、フィルタ555とに接続され、CPU500によって制御される。そして、フィルタ555を介して接続される起電コイル160を利用して、無接点充電器300との間で近距離無線通信を行う機能を有する。
CPU500は、基地局通信用LSI510と、レシーバ515と、マイク520と、タッチパネルコントローラ525と、メモリ530と、タイマ535と、蓄電量計測回路540と、充電回路550と、近距離通信用LSI560とに接続される。そして、メモリ530に記憶されているプログラムを実行することで、以下のスマートフォン制御機能と、端末情報送信機能とを実現する。
【0032】
スマートフォン制御機能とは、プログラムを実行するCPU500が、CPU500に接続される回路を制御して、携帯端末100に、従来のスマートフォンが有する一般的な機能と同等な機能、例えば、通話機能、インターネットサイト閲覧機能、メール送受信機能、待ち受け機能等を実現させる機能である。
端末情報送信機能とは、プログラムを実行するCPU500が、CPU500に接続される回路を制御して、携帯端末100に、その特徴的な動作である端末情報送信処理を実行させることで、無接点充電器300から所定時間T1(例えば、100ms)毎に繰り返し送信される所定の信号(以下、「確認信号」と呼ぶ。)に呼応して、基地局との間でデータ通信を行っているデータ通信中であるか否かを示す通信状態信号と、二次電池545の蓄電量を示す蓄電情報信号とを、無接点充電器300に送信させる機能である。
【0033】
なお、端末情報送信処理については、後程<端末情報送信処理>の項目において、フローチャートを用いて詳細に説明する。
上記回路構成を備える携帯端末100について、以下、機能面から見た構成について説明する。ここでは、携帯端末100を構成する機能ブロックのうち、携帯端末100の行う特徴的な動作である端末情報送信処理を行う機能ブロックである端末情報送信部600を中心に説明する。
【0034】
図6は、端末情報送信部600の機能構成を示すブロック図である。
同図に示されるように、端末情報送信部600は、蓄電量計測部610と、基地局間通信状態監視部620と、充電部630と、起電部640と、近距離通信部650と、ステート保持部660と、制御部670とから構成される。
蓄電量計測部610は、制御部670に接続され、CPU500と、蓄電量計測回路540とによって実現される。そして、二次電池545に蓄電されている蓄電量を計測する機能を有する。
【0035】
基地局間通信状態監視部620は、制御部670に接続され、CPU500と、基地局通信用LSI510とによって実現される。そして、携帯端末100と基地局とが行う通信を監視する機能を有する。
起電部640は、充電部630に接続され、起電コイル160によって実現される。そして、起電コイル160内の磁束が変化した場合に、磁束の変化に応じた起電力を生じる機能を有する。
【0036】
充電部630は、制御部670と、起電部640とに接続され、CPU500と、充電回路550とによって実現される。そして、起電部640に生じた起電力を利用して、二次電池545を充電する機能を有する。
近距離通信部650は、制御部680に接続され、CPU500と、近距離通信用LSI560と、フィルタ555と、起電コイル160とによって実現される。そして、無接点充電器300との近距離無線通信を行う機能を有する。
【0037】
ステート保持部660は、制御部670に接続され、CPU500と、メモリ530とによって実現される。そして、携帯端末100の状態が、無接点充電器300との間で近距離無線通信が可能な状態であることを示す近距離通信可能状態であるか、携帯端末100の状態が、無接点充電器300との間で近距離無線通信が不可能な状態であることを示す近距離通信不可能状態であるかのいずれの状態であるかを示すステートを保持する機能を有する。
【0038】
図7は、ステート保持部660によって保持されるステートの状態遷移図である。
同図に示されるように、ステートが近距離通信可能状態である場合において、(1)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号が、所定時間T1内に近距離通信部650によって受信されたとき、ステートは近距離通信可能状態を維持する。そして、(2)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号が、所定時間T1内に近距離通信部650によって受信されなかったとき、ステートは近距離通信不可能状態に遷移する。
【0039】
また、ステートが近距離通信不可能状態である場合において、(3)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号が、所定時間T1内に近距離通信部650によって受信されなかったとき、ステートは近距離無線通信不可能状態を維持する。そして、(4)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号が、所定時間T1内に近距離通信部650によって受信されたとき、ステートは近距離通信可能状態に遷移する。
【0040】
前述したように、マーク170とマーク350とがある程度の範囲内で正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられることで、携帯端末100と無接点充電器300との間の近距離無線通信が可能となる。このため、マーク170とマーク350とがある程度の範囲内で正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられている状態のときに、ステートが近距離通信可能状態となり、それ以外の状態のときに、ステートが近距離通信不可能状態となる。
【0041】
再び
図6に戻って、端末情報送信部600の説明を続ける。
制御部670は、蓄電量計測部610と、基地局間通信状態監視部620と、充電部630と、近距離通信部650と、ステート保持部660とに接続され、CPU500によって実現される。そして、接続されるこれらの機能ブロックを制御して、携帯端末100に、後述の端末情報処理を実行させる機能を有する。
【0042】
図8は、無接点充電器300の回路構成を示すブロック図である。
同図に示されるように、無接点充電器300は、CPU800と、近距離通信用LSI810と、フィルタ820と、第1電圧波形生成回路830と、第2電圧波形生成回路840と、セレクタ850と、放射コイル310と、メモリ860と、タイマ870とから構成される。
【0043】
フィルタ820は、近距離通信用LSI810と、放射コイル310とに接続され、近距離通信用LSI810が近距離無線通信として利用する周波数帯以外の周波数帯の信号をカットするフィルタである。
近距離通信用LSI810は、CPU800と、フィルタ820とに接続され、CPU800によって制御される。そして、フィルタ820を介して接続される放射コイル310を利用して、携帯端末100との間で近距離無線通信を行う機能を有する。
【0044】
第1電圧波形生成回路830は、CPU800と、セレクタ850とに接続され、CPU800によって制御される。そして、放射コイルに周期的に変動する電流を流すための、400KHzで周期的に変動する電圧(以下、「第1電圧」と呼ぶ。)を生成する機能を有する。
図9は、第1電圧波形生成回路830によって生成される第1電圧の電圧波形を示す図である。
【0045】
同図に示されるように、第1電圧の電圧波形は、周期が400KHzの矩形波形である。
再び
図8に戻って、無接点充電器300の説明を続ける。
第2電圧波形生成回路840は、CPU800と、セレクタ850とに接続され、CPU800によって制御される。そして、放射コイルに周期的に変動する電流を流すための、400KHzで周期的に変動する電圧(以下、「第2電圧」と呼ぶ。)を生成する機能を有する。
【0046】
図10は、第2電圧波形生成回路840によって生成される第2電圧の電圧波形を示す図である。
同図に示されるように、第2電圧の電圧波形は、第1電圧波形生成回路830によって生成される矩形波形よりも鈍った(すなわち、フーリエ変換した場合における高周波成分のエネルギーが少ない)、400MHzの鈍り波形である。
【0047】
再び
図8に戻って、無接点充電器300の説明を続ける。
セレクタ850は、第1電圧波形生成回路830と、第2電圧波形生成回路840と、CPU800と、放射コイル310とに接続され、CPU800によって制御される。そして、第1電圧波形生成回路830によって生成される第1電圧と、第2電圧波形生成回路840によって生成される第2電圧とのうちのいずれか一方を選択して、放射コイル310に供給する機能を有する。
【0048】
放射コイル310は、セレクタ850と、フィルタ820とに接続され、変動する電流が流れることで、周囲の磁束を変化させる。
また、放射コイル310は、フィルタ820を介して接続される近距離通信用LSI810によって、近距離無線通信用のアンテナとして利用される。
図11は、放射コイル310に、第1電圧が供給された場合において、放射コイル310から放射される電磁波(以下、「第1電磁波」と呼ぶ。)の周波数スペクトラムを示す模式図である。
【0049】
同図において、横軸は周波数であり、縦軸はエネルギーである。
同図に示されるように、第1電磁波の周波数成分は、400KHzの基本波1100と、そのn次高調波(1次高調波1101、2次高調波1102、k次高調波1104等)とから構成される。ここで、これら高調波の周波数成分は、数GHzの帯域にまで存在している。
【0050】
図12は、放射コイル310に、第2電圧が供給された場合において、放射コイル310から放射される電磁波(以下、「第2電磁波」と呼ぶ。)の周波数スペクトラムを示す模式図である。
同図において、横軸は周波数であり、縦軸はエネルギーである。
同図に示されるように、第2電磁波の周波数成分は、400KHzの基本波1200と、そのn次高調波(1次高調波1201、2次高調波1202、k次高調波1204等)とから構成される。ここで、これら高調波の周波数成分は、数GHzの帯域にまで存在している。
【0051】
第2電磁波における基本波1200のエネルギーは、第1電磁波における基本波1100のエネルギーとほぼ同等である。これに対して、第2電磁波における各n次高調波のエネルギーは、対応する第1電磁波における各n次高調波のエネルギーよりも少ない。
これは、第2電圧の高周波成分のエネルギーの方が、第1電圧の高周波成分のエネルギーよりも少ないからである。
【0052】
このため、放射コイル310と起電コイル160との相対位置関係が一定である場合において、放射コイル310に第1電圧が供給されたときに起電コイル160に生じる起電力(以下、「第1起電力」と呼ぶ。)と、放射コイル310に第2電圧が供給されたときに起電コイル160に生じる起電力(以下、「第2起電力」と呼ぶ。)とを比べると、第1起電力の方が大きくなる。
【0053】
従って、放射コイル310と起電コイル160との相対位置関係が同じである場合において、二次電池545に所定の電力量を充電させるときには、放射コイル310に第1電圧を供給した方が、放射コイルに第2電圧を供給するよりも、より短時間で充電させることができる。
ところで、一般に、コイルに周波数fで変動する電流が流れている場合において、そのコイルに周波数Fの電磁波が照射されると、そのコイルから、周波数がF+n×f(nは負数を含む0以外の整数)となるミキシング電磁波が放射される現象が知られている。
【0054】
このため、無接点充電器300の上に携帯端末100が載せられている状態において、放射コイル310に、第1電圧又は第2電圧が供給されているときに、携帯端末100が基地局と無線通信するために836MHzの信号(以下、「端末送信信号」と呼ぶ。)を送信すると、放射コイル310から、周波数が836+n×0.4[MHz](nは負数を含む0以外の整数)となるミキシング電磁波が放出されることとなる。
【0055】
図13は、放射コイル310に第1電圧が供給される場合において、携帯端末100から836MHzの端末送信信号1300が照射されたときに、放射コイル310から放射される電磁波の周波数スペクトラムを示す模式図である。
同図において、横軸は周波数であり、縦軸はエネルギーである。
同図に示されるように、放射コイル310から、基本波1100とそのn次高調波と(
図11参照)に加えて、周波数が836+n×0.4[MHz](nは負数を含む0以外の整数)となるミキシング電磁波(ミキシング電磁波1301、ミキシング電磁波1302、ミキシング電磁波1303等)が放出される。
【0056】
ここで、基地局から送信される信号(以下、「端末受信信号」と呼ぶ。)の周波数である881MHzの帯域(図中の端末受信信号帯域1310)に重なるミキシング電磁波(図中のミキシング電磁波1306)は、端末受信信号の受信に対して悪影響を及ぼす妨害波として作用する。
なお、
図13において、端末送信信号1300の周波数と、k次高調波1104の周波数とが、あたかも一致しているかのように図示してているが、これは、図面を見やすくするために便宜的に一致させて図示しているだけであって、実際には必ずしも一致している場合に限られない。一致していない場合であっても、上述した現象、すなわち、周波数が836+n×0.4[MHz](nは負数を含む0以外の整数)となるミキシング電磁波が放出される現象が発生する。
【0057】
図14は、放射コイル310に第2電圧が供給される場合において、携帯端末100から836MHzの端末送信信号1300が照射されたときに、放射コイル310から放射される電磁波の周波数スペクトラムを示す模式図である。
同図において、横軸は周波数であり、縦軸はエネルギーである。
同図に示されるように、放射コイルに第1電圧が供給される場合(
図13参照)と同様に、放射コイル310から、基本波1200とそのn次高調波と(
図12参照)に加えて、周波数が836+n×0.4[MHz](nは負数を含む0以外の整数)となるミキシング電磁波(ミキシング電磁波1401、ミキシング電磁波1402、ミキシング電磁波1403等)が放出される。
【0058】
一方で、放射コイルに第2電圧が供給される場合における各ミキシング電磁波のエネルギーは、放射コイルに第1電圧が供給される場合における各ミキシング電磁波のエネルギーよりも少ない。
これは、第2電磁波における各n次高調波のエネルギーが、対応する第1電磁波における各n次高調波のエネルギーよりも少ないからである。
【0059】
このため、放射コイル310に第2電圧が供給される場合において、端末受信信号の妨害波として作用するミキシング電磁波(
図14中のミキシング電磁波1406)による、端末受信信号の受信に対する悪影響は、放射コイル310に第1電圧が供給される場合において、端末受信信号の妨害波として作用するミキシング電磁波(
図13中のミキシング電磁波1306)による、端末受信信号の受信に対する悪影響よりも小さくなる。
【0060】
再び
図8に戻って、無接点充電器300の説明を続ける。
メモリ860は、CPU800に接続され、CPU800の動作を規定するプログラムと、CPU800が利用するデータとを記憶する。メモリ860は、一例として、RAMとROMとフラッシュメモリとによって実現される。
タイマ870は、CPU800に接続され、時間の経過を計測する機能を有する。
【0061】
CPU800は、近距離通信用LSI810と、第1電圧波形生成回路830と、第2電圧波形生成回路840と、セレクタ850と、メモリ860と、タイマ870とに接続される。そして、メモリ860に記憶されているプログラムを実行することで、以下の確認信号送信機能と、供給電圧選択機能とを実現する。
確認信号送信機能とは、プログラムを実行するCPU800が、CPU800に接続される回路を制御して、無接点充電器300に、放射コイル310をアンテナとして利用して、所定時間T1毎に確認信号を外部に出力させる機能である。
【0062】
供給電圧選択機能とは、プログラムを実行するCPU800が、CPU800に接続される回路を制御して、無接点充電器300に、その特徴的な動作である供給電圧選択処理を実行させることで、無接点充電器300の状態が近距離通信可能状態(後述)である場合において、(1)携帯端末100がデータ通信を行っていない期間のときと、(2)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定量未満のときとには、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択し、(3)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定未満より多いときには、放射コイル310に供給する電圧として第2電圧を選択させる機能である。
【0063】
なお、供給電圧選択処理については、後程<供給電圧選択処理>の項目において、フローチャートを用いて詳細に説明する。
上記回路構成を備える無接点充電器300について、以下、機能面から見た構成について説明する。
図15は、無接点充電器300の機能構成を示すブロック図である。
【0064】
同図に示されるように、無接点充電器300は、第1電圧波形生成部1510と、第2電圧波形生成部1520と、供給電圧選択部1530と、磁束変動部1540と、近距離通信部1550と、ステート保持部1560と、制御部1570と、通信状態判定部1580と、蓄電量判定部1590とから構成される。
第1電圧波形生成部1510は、制御部1570と、供給電圧選択部1530とに接続され、CPU800と、第1電圧波形生成回路830によって実現される。そして、矩形波形である第1電圧を生成する機能を有する。
【0065】
第2電圧波形生成部1520は、制御部1570と、供給電圧選択部1530とに接続され、CPU800と、第2電圧波形生成回路840によって実現される。そして、鈍り波形である第2電圧を生成する機能を有する。
供給電圧選択部1530は、制御部1570と、第1電圧波形生成部1510と、第2電圧波形生成部1520と、磁束変動部1540とに接続され、CPU800と、セレクタ850によって実現される。そして、第1電圧波形生成部1510によって生成される第1電圧と、第2電圧波形生成部1520によって生成される第2電圧とのうちのいずれか一方を選択して、磁束変動部1540に供給する機能を有する。
【0066】
磁束変動部1540は、供給電圧選択部1530に接続され、放射コイル310によって実現される。そして、供給電圧選択部1530から供給される電圧に応じて、周囲の磁束を変化させる機能を有する。
近距離通信部1550は、制御部1570に接続され、CPU800と、近距離通信用LSI810と、フィルタ820と、放射コイル310とによって実現される。そして、携帯端末100との近距離無線通信を行う機能を有する。
【0067】
ステート保持部1560は、制御部1570に接続され、CPU800と、メモリ860とによって実現される。そして、無接点充電器300の状態が、携帯端末100との間で近距離無線通信が可能な状態であることを示す近距離通信可能状態、及び、無接点充電器300の状態が、携帯端末100との間で近距離無線通信が不可能な状態であることを示す近距離通信不可能状態のいずれであるかを示すステートを保持する機能を有する。
【0068】
図16は、ステート保持部1560によって保持されるステートの状態遷移図である。
同図に示されるように、ステートが近距離通信可能状態である場合において、(1)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号に呼応して、携帯端末100から送信される通信状態信号が、所定時間T1内に近距離通信部1550によって受信されたとき、ステートは近距離通信可能状態を維持する。そして、(2)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号に呼応して、携帯端末100から送信される通信状態信号が、所定時間T1内に近距離通信部1550によって受信されなかったとき、ステートは近距離通信不可能状態に遷移する。
【0069】
また、ステートが近距離通信不可能状態である場合において、(3)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号に呼応して、携帯端末100から送信される通信状態信号が、所定時間T1内に近距離通信部1550によって受信されなかったとき、ステートは近距離通信不可能状態を維持する。そして、(4)無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号に呼応して、携帯端末100から送信される通信状態信号が、所定時間T1内に近距離通信部1550によって受信されたとき、ステートは近距離通信可能状態に遷移する。
【0070】
前述したように、マーク170とマーク350とがある程度の範囲内で正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられることで、携帯端末100と無接点充電器300との間の近距離無線通信が可能となる。このため、マーク170とマーク350とがある程度の範囲内で正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられている状態のときに、ステートが近距離通信可能状態となり、それ以外の状態のときに、ステートが近距離通信不可能状態となる。
【0071】
再び
図15に戻って、無接点充電器300の説明を続ける。
通信状態判定部1580は、制御部1570に接続され、CPU800によって実現される。そして、近距離通信部1550によって受信される、携帯端末100から送信された通信状態信号に基づいて、携帯端末100がデータ通信中である否かを判定する機能を有する。
【0072】
蓄電量判定部1590は、制御部1570に接続され、CPU800によって実現される。そして、近距離通信部1550によって受信される、携帯端末100から送信された蓄電情報信号に基づいて、二次電池545の蓄電量が、所定量(例えば、蓄電量を計測した結果として、蓄電量計測回路540から出力される二次電池の電圧が3.5Vとなる量)未満であるか否かを判定する機能を有する。
【0073】
制御部1570は、第1電圧波形生成部1510と、第2電圧波形生成部1520と、供給電圧選択部1530と、近距離通信部1550と、ステート保持部1560とに接続され、CPU800によって実現される。そして、接続されるこれらの機能ブロックを制御して、無接点充電器300に、後述の供給電圧選択処理を実行させる機能を有する。
上記構成の携帯端末100、及び無接点充電器300の行う動作について、以下図面を参照しながら説明する。
【0074】
<動作>
ここでは、携帯端末100、及び無接点充電器300の行う動作のうち、携帯端末100の行う特徴的な動作である端末情報送信処理と、無接点充電器300の行う特徴的な動作である供給電圧選択処理とについて説明する。
<端末情報送信処理>
端末情報送信処理は、携帯端末100が行う処理であって、ステート保持部660に保持されるステートが近距離通信可能状態である期間、無接点充電器300から所定時間T1毎に繰り返し送信される確認信号に呼応して、基地局との間でデータ通信中であるか否かを示す通信状態信号と、二次電池545の蓄電量を示す蓄電情報信号とを、無接点充電器300に送信する処理である。
【0075】
図17は、端末情報送信処理のフローチャートである。
端末情報送信処理は、ステート保持部660に保持されるステートが、近距離通信不可能状態から近距離通信可能状態に遷移したことによって開始される。
端末情報送信処理が開始されると、基地局間通信状態監視部620は、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間中であるか否かを調べる(ステップS1700)。
【0076】
ここで、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間とは、携帯端末100と基地局との間でなされる、意味をなすひとまとまりのデータの送受信が開始される時点から、そのデータの送受信が終了される時点までの期間のことであり、その間に、間欠的に、携帯端末100と基地局との間の通信が中断されることがあっても、この中断されている期間も、データ通信がなされている期間に含まれることとする。
【0077】
ステップS1700の処理において、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間中である場合に(ステップS1700:Yes)、近距離通信部1550は、データ通信中である旨を示す通信状態信号を無接点充電器300に送信する(ステップS1710)。
ステップS1700の処理において、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間中でない場合に(ステップS1700:No)、近距離通信部1710は、データ通信中でない旨を示す通信状態信号を無接点充電器300に送信する(ステップS1720)。
【0078】
ステップS1710の処理が終了した場合、又はステップS1720の処理が終了した場合に、蓄電量計測部610は、二次電池545に蓄電されている蓄電量を計測する(ステップS1730)。そして、近距離通信部1710は、計測された蓄電量を示す蓄電情報信号を携帯端末100に送信する(ステップS1740)。
その後、端末情報送信処理が開始されてから、又は、前回、ステート保持部660が、保持するステートが近距離通信可能状態であるか否かを調べたときから(後述のステップS1760参照)、所定時間T1経過するまで待機(ステップS1750)する。そして、ステート保持部660は、保持するステートが近距離通信可能状態であるか否かを調べる(ステップS1760)。
【0079】
ステップS1760の処理において、ステートが近距離通信可能状態である場合に(ステップS1760:Yes)、携帯端末100は、再びステップS1700の処理に戻って、ステップS1700以下の処理を行う。
ステップS1760の処理において、ステートが近距離通信可能状態でない場合に(ステップS1760:No)、携帯端末100は、その端末情報送信処理を終了する。
【0080】
<供給電圧選択処理>
供給電圧選択処理は、無接点充電器300が行う処理であって、ステート保持部1560に保持されるステートが近距離通信可能状態である場合において、(1)携帯端末100がデータ通信を行っていない期間のときと、(2)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定量未満のときとには、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択し、(3)携帯端末がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定未満より多いときには、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択する処理である。
【0081】
図18は、供給電圧選択処理のフローチャートである。
供給電圧選択処理は、ステート保持部1560に保持されるステートが、近距離通信不可能状態から近距離通信可能状態に遷移したことによって開始される。
供給電圧選択処理が開始されると、通信状態判定部1580は、近距離通信部1550によって所定時間T1以内に受信された通信状態信号が、データ通信中である旨を示すものであるか、データ通信中でない旨を示すものであるかを調べることで、携帯端末100がデータ通信中であるか否かを調べる(ステップS1800)。
【0082】
ステップS1800の処理において、携帯端末100がデータ通信中である場合に(ステップS1800:Yes)、蓄電量判定部1590は、近距離通信部1550によって所定時間T1以内に受信された蓄電情報信号によって示される二次電池545の蓄電量が、所定量(例えば、蓄電量を計測した結果として、蓄電量計測回路540から出力される二次電池の電圧が3.5Vとなる量)未満であるか否かを調べる(ステップS1810)。
【0083】
ステップS1810の処理において、二次電池545の蓄電量が所定量未満でない場合に(ステップS1810:No)、蓄電量判定部1590は、さらに、二次電池545の蓄電量が、蓄電可能な最大量(例えば、蓄電量を計測した結果として、蓄電量計測回路540から出力される二次電池の電圧が4.3Vとなる量)であるか否かを調べる(ステップS1820)。
【0084】
ステップS1820の処理において、二次電池545の蓄電量が蓄電可能な最大量でなかった場合に(ステップS1820:No)、供給電圧選択部1530は、磁束変動部1540に供給する電圧として、第2電圧波形生成部1520によって生成された第2電圧を選択する(ステップS1830)。
ステップS1800の処理において、携帯端末100がデータ通信中でない場合(ステップS1800:No)、又は、ステップS1810の処理において、二次電池545の蓄電量が所定量未満である場合に(ステップS1810:Yes)、供給電圧選択部1530は、磁束変動部1540に供給する電圧として、第1電圧波形生成部1510によって生成された第1電圧を選択する(ステップS1840)。
【0085】
ステップS1830の処理が終了した場合、又は、ステップS1840の処理が終了した場合に、供給電圧選択処理が開始されてから、又は、前回、ステート保持部1560が、保持するステートが近距離通信可能状態であるか否かを調べたときから(後述のステップS1860参照)、所定時間T1経過するまで待機(ステップS1850)する。そして、ステート保持部1560は、保持するステートが近距離通信可能状態であるか否かを調べる(ステップS1860)。
【0086】
ステップS1860の処理において、ステートが近距離通信可能状態である場合に(ステップS1860:Yes)、無接点充電器300は、再びステップS1800の処理に戻って、ステップS1800以下の処理を行う。
ステップS1820の処理において、二次電池545の蓄電量が蓄電可能な最大量であった場合(ステップS1820:Yes)、又は、ステップS1760の処理において、ステートが近距離通信可能状態でない場合に(ステップS1860:No)、供給電圧選択部1530は、磁束変動部1540への電圧供給を停止する(ステップS1870)。そして、無接点充電器300は、その端末情報送信処理を終了する。
【0087】
<考察>
上述の携帯端末100と無接点充電器300とによると、マーク170とマーク350とが正対するように、無接点充電器300の主表面の上に、携帯端末100を載せられている状態において、二次電池545に蓄電されている蓄電量が蓄電可能な最大量でない場合に、無接点充電器300は、携帯端末100の二次電池545を充電するために、放射コイル310に、第1電圧又は第2電圧を供給して、周囲の磁束を変化させる。
【0088】
この際、無接点充電器300は、(1)携帯端末100がデータ通信を行っていない期間のときと、(2)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定量未満のときとには、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択し、(3)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定未満より多いときには、放射コイル310に供給する電圧として第2電圧を選択する。
【0089】
また、上述したように、携帯端末100が基地局と無線通信している状態において、放射コイル310に第1電圧が供給されている場合よりも、第2電圧が供給されている場合の方が、放射コイル310から放出されるミキシング電磁波による、端末受信信号の受信に対する悪影響が少ない。そして、逆に、放射コイル310に第2電圧が供給されている場合よりも、第1電圧が供給されている場合の方が、より短時間に、二次電池545が充電されることとなる。
【0090】
これらのことから、以下のことが言える。すなわち、無接点充電器300は、(1)携帯端末100がデータ通信を行っていない期間には、端末受信信号の受信に対する悪影響を考慮する必要がないので、二次電池545の充電時間を短縮するために、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択する。また、(2)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定量未満のときには、端末受信信号の受信に対する悪影響の低減よりも、二次電池545の充電時間の短縮を優先して、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択する。そして、(3)携帯端末100がデータ通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定未満より多いときには、二次電池545の充電時間の短縮よりも、端末受信信号の受信に対する悪影響の低減を優先して、放射コイル310に供給する電圧として第2電圧を選択する。
<補足>
以上、本発明に係る携帯端末の実施形態について、実施の形態において、携帯端末100を例示して説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明に係る携帯端末は、実施の形態において例示した携帯端末100に限られないことはもちろんである。また、本発明に係る無接点充電器の実施形態について、実施の形態において、無接点充電器300を例示して説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明に係る無接点充電器は、実施に形態において例示した無接点充電器300に限られないことはもちろんである。
【0091】
(1)実施の形態において、無接点充電器300は、第1電圧波形生成回路830が、
図9に示される電圧波形の第1電圧を生成し、第2電圧波形生成回路840が、
図10に示される電圧波形の第2電圧を生成する構成の例であった。しかしながら、第1電圧と第2電圧との関係が、放射コイル310に第1電圧が供給された場合において、放射コイル310から放射される第1電磁波における各n次高調波のエネルギーよりも、放射コイル310に第2電圧が供給された場合において、放射コイル310から放射される第2電磁波における各n次高調波のエネルギーの方が少なくなる関係であれば、必ずしも、第1電圧が
図9に示される通りの電圧波形であって、第2電圧が
図10に示される通りの電圧波形である必要はない。一例として、第1電圧と第2電圧とが上記関係を満たす範囲内において、第1電圧が、その波形が鋸波形となる電圧(
図19(a)参照)であって、第2電圧が、その波形が半波整流正弦波形となる電圧(
図19(b)参照)である構成の例が考えられる。
【0092】
(2)実施の形態において、無接点充電器300は、第1電圧と第2電圧とが、400KHzで周期的に変動する電圧である構成の例であった。しかしながら、第1電圧と第2電圧とは、変動する電圧であれば、必ずしも400KHzで周期的に変動する電圧である必要はない。一例として、第1電圧と第2電圧とが500KHzで変動する構成の例が考えられる。
【0093】
(3)実施の形態において、携帯端末100は、基地局との無線通信における端末送信信号の周波数が836MHzであり、基地局との無線通信における端末受信信号が881MHzである構成の例であった。しかしながら、端末送信信号の周波数と端末受信信号の周波数とは、基地局との間で予め定められた通信規格に基づいて規定されている周波数であれば、必ずしも、それぞれ、836MHzと881MHzである必要はない。一例として、それぞれ、1200MHzと1250MHzとである構成の例が考えられる。
【0094】
(4)実施の形態において、携帯端末100は、いわゆるスマートフォンであるとして説明した。しかしながら、携帯端末100は、外部の装置との間で無線通信する機能を有する携帯端末であれば、必ずしも、いわゆるスマートフォンである必要はない。例えば、アクセスポイントとの間で無線通信する機能を有するタブレット型パソコン、基地局との間で無線通信する機能を有する折り畳み式携帯電話機等であっても構わない。
【0095】
(5)実施の形態において、携帯端末100は、基地局との間でデータ通信を行っている期間中に、データ通信を行っている旨を示す通信状態信号を無接点充電器300に送信する構成の例であった。これに対して、別の一例として、基地局との間で、データ通信又は制御信号通信を行っている期間中に、データ通信を行っている旨を示す通信状態信号を無接点充電器300に送信する例も考えられる。この例の場合では、無接点充電器300は、(1)携帯端末100がデータ通信又は制御信号通信を行っていない期間のときと、(2)携帯端末100がデータ通信又は制御信号通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定量未満のときとには、放射コイル310に供給する電圧として第1電圧を選択し、(3)携帯端末100がデータ通信又は制御信号通信を行っている期間であって、二次電池545の蓄電量が所定未満より多いときには、放射コイル310に供給する電圧として第2電圧を選択することとなる。
【0096】
(6)実施の形態において、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間とは、携帯端末100と基地局との間でなされる、意味をなすひとまとまりのデータの送受信が開始される時点から、そのデータの送受信が終了される時点までの期間のことであり、その間に、間欠的に、携帯端末100と基地局との間の通信が中断されることがあっても、この中断されている期間も、データ通信がなされている期間に含まれるとして説明した。これに対して、別の一例として、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間とは、データの送信、又はデータの受信が、中断されることなく継続的になされている期間であるとする例も考えられる。この例の場合では、データの送信、又はデータの受信が中断される毎に、携帯端末100と基地局との間でデータ通信がなされている期間が終了することとなる。
【0097】
(7)上記実施の形態及び上記変形例を適宜組み合わせるとしてもよい。