【実施例1】
【0016】
実施例1に係る搬送台車につき、
図1から
図9を参照して説明する。以下、
図5の画面下側(フォークが挿入される側)を搬送台車の正面側(前方側)とし、正面側から見て左右側を搬送台車の左右側として説明する。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、搬送台車1は、複数の収容部2a,2a,…を上下左右に備えた収容棚2が複数配置された大型倉庫等において、指定された物品3を収容棚2の所定の収容部2aに対して搬入もしくは搬出を行う際に用いられる。収容棚2の各収容部2a,2a,…の底面2b,2b,…には、正面視L字状、逆L字状で一対に対向する走行レール4,4,…が敷設されており、走行レール4,4,…の上端である載置部4a,4a,…には、物品3が載置された複数のパレット5,5,…が支持されている。
【0018】
図1から
図3に示されるように、搬送台車1は、走行レール4の下端に設けられた走行部4bを走行可能な車体6と、物品3を載置支持し車体6に対し昇降可能に設けられた載置台7と、該載置台7を昇降させる昇降装置(図示せず)と、搬送台車1を走行レール4上で走行可能とする走行装置12と、を備えており、載置台7がパレット5の下面から離間する最下降状態で走行レール4の走行部4bを走行してパレット5の下方に進入した後、載置台7を上昇させることでパレット5ごと物品3を持ち上げ、パレット5及び物品3を走行レール4の載置部4aから所定高さ浮かせて運搬するようになっている。
【0019】
尚、この搬送台車1は、収容棚2,2,…ごとに複数台ずつ運用されており、収容棚2内での異なる収容部2aへの移載は、フォークリフトにより行われるようになっている。さらに尚、フォークリフトにより搬送台車1の移載が行われるため、離れた収容棚2,2間への移載も可能となっている。
【0020】
図2から
図4に示されるように、車体6は、金属板の前後を屈曲して断面コ字状に形成された底板10aと前後の側板部10b,10cを有する基部材10と、基部材10の左右に取付けられる側板11,11と、を備え、側板11,11は、図示しないボルト・ナット等により基部材10に対して着脱可能に固定されている。
【0021】
走行装置12は、駆動モータ(図示せず)、駆動車輪13及び従動輪14により主に構成され、駆動モータが図示しないケーブルによりシーケンサ等の制御部(図示せず)と接続されており、制御部から送信される回転方向や回転数等の情報に基づき回転駆動するようになっている。これら制御部、走行装置12及び前記昇降装置は、車体6内に内蔵されたバッテリー(図示せず)から供給される電力によりそれぞれ稼働可能となっている。
【0022】
また、基部材10の前後の側板部10b,10cには、それぞれの左右端部から外側に張り出す水平ローラ28,28,…が設けられている。さらに、左右の側板11,11には、その前後方向の中央部近傍に水平ローラ29,29がそれぞれ設けられている。これら水平ローラ28,28,…及び水平ローラ29,29が走行レール4の側面に当接することにより、車体6が走行レール4に沿って走行するようになっている。
【0023】
また、
図2に示されるように、基部材10の前後の側板部10b,10cには、発光装置52,52と、液晶パネル部53と、がそれぞれ設けられている。この発光装置52,52は、後述するバンパー50,50が障害物に衝突した際に発光して、障害物に衝突したことを報知するようになっている。また、液晶パネル部53は、タッチパネルであり、該液晶パネル部53を操作することにより、搬送台車1に走行指示や各種動作指示を行えるようになっている。尚、搬送台車1は、図示しないタブレット端末でも外部から操作を行えるようになっている。
【0024】
図3及び
図4に示されるように、搬送台車1の底板10aには、フォーク挿入部材21が設けられている。フォーク挿入部材21は、挿入部底板22,22、挿入部側板24,24,…、挿入部天板25から構成される。また、挿入部23,23は、挿入部底板22の両端に挿入部側板24,24が立設され、正面から見て上方に開放した略コ字状として形成されている。この挿入部23,23は、底板10aとフォークリフトのフォーク40の左右一対の爪部材40a,40a(
図5参照)とが適正な位置関係となる位置(差込位置)に配設され、フォーク案内部として機能しており、挿入部底板22と挿入部側板24,24と搬送台車1の底板10a、すなわちフォーク案内部内の上下左右の壁面で爪部材40a,40aが適切に案内されながら移動することになる。尚、フォーク挿入部材21を構成する各種部材と、搬送台車1の底板10aとは、色分けされており、下方から見たときにフォーク挿入部材21の位置を識別し易くなっている。
【0025】
また、
図3に示されるように、挿入部側板24,24は、搬送台車1の前後方向の中心に向かうにつれて下方に傾斜させて形成された傾斜面24a,24aをそれぞれ有しており、フォーク40の差し込み作業時に各爪部材40a,40aが傾斜面24a,24a,…に当接しても当該傾斜面24a,24a,…を滑ってフォーク挿入部材21に負荷が掛からないようになっている。尚、挿入部23,23の大きさは、フォーク40の各爪部材40a,40aの寸法に対し、若干の余裕を持たせ、挿入作業が容易となる寸法及び運搬中に搬送台車1が大きくずれることを防止する寸法に設定されている。また、フォーク挿入部材21は、搬送台車1の底板10aにボルト等により着脱可能に結合されており、これによりフォークの各爪部材の寸法に応じて挿入部23,23の寸法を自在に変更して、搬送台車1の底板10aに取付けることができる。
【0026】
尚、
図5に示されるように、フォーク挿入部材21の前後幅は、車体6の前後幅よりも短くなっていることから、搬送台車1を上方から見た際に、フォーク挿入部材21の挿入部23,23は、車体6、載置台7、及びバンパー50,50により隠れており、搬送台車1を上方からその位置を視認できないようになっている。
【0027】
また、
図2から
図4に示されるように、搬送台車1の前後両方の走行方向における側板部10b,10cには、ゴム等の緩衝材により形成されたバンパー50,50が取り付けられており、搬送台車1が走行時に対象物に衝突した際の緩衝作用を奏している。それぞれのバンパー50は、中空のチューブ形状であり、内部に接触感知式のセンサーであるスイッチ51が設けられている。バンパー50は、搬送台車1が走行時に対象物に衝突した際に弾性変形し、この弾性変形によりバンパー50の内面がスイッチ51に接触し、スイッチ51をオンとするようになっている。
【0028】
このスイッチ51は、前記制御部と接続されており、搬送台車1が走行時に対象物に衝突した際に、スイッチ51がオンとなった信号が制御部に送信される。即ち衝突したこと制御部に対して検知させる検知手段である。制御部はこの信号に基づき走行装置12における駆動モータのブレーキング及び停止等を行い、搬送台車1を停止状態とする機能を有している。
【0029】
図2ないし
図5に示されるように、バンパー50,50の上面には、フォーク挿入部材21の挿入部23,23の左右位置(差込位置)を示す位置表示手段9,9がそれぞれ設けられている。この位置表示手段9,9,…は、バンパー50,50の上面に貼り付けられる三角形のシールであり、該シールの下端の角部は、挿入部23,23の幅方向中央部で前後に延びる差込基準線α,α’を指すようになっている。また、位置表示手段9,9を構成するシールは、反射材により形成されている。
【0030】
このようにバンパー50の上面に位置表示手段9,9が設けられており、フォークリフト操縦者が搬送台車1の上方から位置表示手段9,9を視認可能となっているため、搬送台車1がフォークリフト操縦者の目線よりも低い位置に位置する場合であっても、操縦者がフォークリフトに乗ったまま、位置表示手段9,9に基づき挿入部23,23の左右位置を確認できるようになっている。
【0031】
したがって、
図5に示されるように、フォークリフト操縦者の目線よりも低い位置に位置した搬送台車1をフォークリフトにより移載する際には、フォーク40を搬送台車1の正面に対向させ、搬送台車1の下面の高さ位置まで下げるとともに、位置表示手段9,9を確認しながら、フォーク40の爪部材40a,40aの幅方向中央部が、それぞれ差込基準線α,α’上に配置されるように位置合わせを行い、爪部材40a,40aを搬送台車1側に進行させることにより、爪部材40a,40aが挿入部23,23に差し込まれる。そのため、フォークリフト操縦者の目線よりも低い位置に位置する搬送台車1への爪部材40a,40aの差し込み作業が簡便となっている。
【0032】
このように、挿入部23,23の左右位置をそれぞれ示すように位置表示手段9,9が設けられているので、挿入部23,23と爪部材40a,40aとの位置合わせを簡便に行えるようになっている。
【0033】
また、バンパー50の上面にシールで形成された位置表示手段9,9が貼着されている構造であるため、搬送台車1の上方から位置表示手段9,9を視認し易く、且つ位置表示手段9,9を安価に製造できる。
【0034】
また、車体6よりも正面側に張り出して設けられたバンパー50に位置表示手段9,9が設けられているため、フォーク挿入部材21が車体6の前後幅よりも短く、且つバンパー50が車体6から張り出した状態であっても、位置表示手段9,9を上方から視認でき、この位置表示手段9,9を基に爪部材40a,40aを挿入部23,23に確実に案内することができる。さらに、差し込み作業時に爪部材40a,40aがバンパー50に衝突したとしても、バンパー50により緩衝されるため、車体6の破損が防止される。
【0035】
また、前後のバンパー50,50に位置表示手段9,9がそれぞれ設けられているので、搬送台車1の進行方向のどちらの方向からも挿入部23,23の左右位置を視認することができ、搬送台車1への爪部材40a,40aの差し込み作業が簡便となっている。
【0036】
また、爪部材40a,40aの差し込み時には、挿入部23,23に対する爪部材40a,40aの差し込み角度が差込基準線α,α’からずれた場合であっても、挿入部側板24,24により爪部材40a,40aが適切な角度に案内されながら移動するので、挿入部23,23に確実に差し込まれる。
【0037】
また、
図2に示されるように、前述した発光装置52,52及び液晶パネル部53は、位置表示手段9,9の近傍に配設されているとともに、位置表示手段9,9は、反射材により形成されている。したがって、搬送台車1を移載する際には、前記タブレット端末を操作して、発光装置52,52及び液晶パネル部53のバックライトを発光させておくことにより、
図6に示されるように、暗所での作業であっても、発光装置52,52及び液晶パネル部53のバックライトの光により位置表示手段9,9が反射されて位置表示手段9,9を視認できるようになる。
【0038】
このように、位置表示手段9,9が反射材により形成されているため、光を反射して暗所での作業でも位置表示手段9,9を視認できる。尚、位置表示手段9,9は、反射材に限られず、紫外線等を吸収する蛍光部材とし、日中の自然光を吸収し、夜間に蛍光するようにしてもよい。
【0039】
また、発光装置52,52及び液晶パネル部53は、位置表示手段9,9の近傍に配設されているため、位置表示手段9,9を反射させやすい。
【0040】
また、搬送台車1が前記タブレット端末により移載モードとされた際に、発光装置52,52及び液晶パネル部53を発光させるようになっているため、搬送台車1を移載作業時には、位置表示手段9,9が反射して確実に視認可能となる。
【0041】
上述のように、搬送台車1へのフォーク40の差し込み作業が完了すると、搬送台車1を持ち上げ、所望の収容棚2に移載する。
【0042】
尚、本実施例においては、位置表示手段として三角形のシールを設けているが、位置表示手段の実施形態これに限られず、例えば、バンパー50,50と色分けされた塗装等であってもよい。また、位置表示手段の形状は、三角形の形状に限られず、例えば、帯状や線状であってもよいし、ドット状等であってもよい。
【0043】
また、位置表示手段9,9は、バンパー50,50に設けられることに限られず、例えば、載置台7の前後両端縁に設けられていてもよい。さらに、位置表示手段は、載置台7に設けられるスリットや前方に張り出す突起等であってもよい。
【0044】
また、発光装置52,52と液晶パネル部53との取り付け位置を差込基準線α,α’上に配置することにより、発光装置52,52と液晶パネル部53が発する光を位置表示手段として利用してもよい。尚、この場合、発光装置52,52と液晶パネル部53とは別段の発光部材を新たに取付けてもよい。
【0045】
また、1つのバンパー50には、2つの位置表示手段9,9が設けられているが、いずれか一方だけ設けられていてもよい。また、左右の挿入部23,23同士の間隔を示すように爪部材40a,40aの間に延びるようにバンパー50に形成される位置表示手段であってもよい。
【0046】
尚、位置表示手段の変形例として次のようなものもある。
図7及び
図8に示されるように、バンパー50’,50’は、2色成形ゴムにより構成されており、挿入部23,23と上下方向に重なる位置に該挿入部23,23と略同一幅の色分け部91,91,…が形成されている。この色分け部91,91,…が、位置表示手段として機能している。尚、以下、正面のバンパー50’側のみを説明し、背面側のバンパー50’側の説明を省略する。
【0047】
図7(b)及び
図8に示されるように、この色分け部91,91は、バンパー50’の上端から下端にかけて帯状に形成されている。これにより、
図9に示されるように、バンパー50’の上方側、正面側、及び下方側のいずれの位置から見ても色分け部91,91を視認可能となっている。つまり、前後及び上下いずれからも、色分け部91,91,…により挿入部23,23の左右位置を認識できるようになっている。
【0048】
したがって、例えば、フォーク挿入部材21は、車体6の下方に配設されるため、前記車体6の影により正面側または下方側から挿入部23,23が視認できない、または視認し辛いときがあるが、このような場合であっても、車体6よりも正面側に張り出したバンパー50’に設けられた色分け部91,91を視認して正面側または下方側から差し込み作業を行うことができる。さらに、バンパー50’,50’は、2色成形ゴムであるため、バンパー50’,50’に前記フォーク40が衝突しても、その衝突により色分け部91,91,…が剥がれたり、消えたりすることが無い。
【0049】
尚、色分け部91,91は、バンパー50’の上端から下端にかけて形成されることに限られず、例えば、バンパー50’の上端から正面にかけて延びるよう帯状に設けられ、下方側から見たときには、フォーク挿入部材21を直接視認して差し込み作業を行い、正面側及び上方側から見たときには、前記色分け部を視認して差し込み作業を行うようにしてもよい。さらに尚、本変形例のような位置表示手段は、2色成形ゴムに限られず、シールや塗装により形成されていてもよい。
【実施例2】
【0050】
次に、実施例2に係る搬送台車につき、
図10及び
図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。尚、
図11では、水平ローラ28の構成を省略している。
【0051】
図10及び
図11に示されるように、搬送台車100は、車体6の側板部10b,10cに、指向性の高い光93,93(位置表示手段)を照射するレーザー光指示具92,92がそれぞれ設けられている。尚、以下、側板部10b側のレーザー光指示具92,92のみ説明する。
【0052】
このレーザー光指示具92,92は、正面側斜め下方の床面に光93,93を照射するようになっている。この光93,93は、で前述した差込基準線α,α’上に照射されている。この光93,93は、床面に照射されるようになっているため、操縦者がフォークリフト上から視認できるようになっており、床面に照射された光93,93を基にフォーク40の左右位置の位置合わせを行う。そして、適正に位置合わせされると、爪部材40a,40aに光93,93が映し出される。換言すれば、フォーク40の左右位置が適正に位置合わせされない場合には、爪部材40a,40aに光93,93が映し出されないようになっている。そのため、この光93,93を用いれば、挿入部23,23に対してフォーク40の左右位置を位置合わせでき、フォーク40の差し込み作業が極めて簡便となる。
【0053】
さらに、爪部材40a,40aを挿入部23,23に差し込む際には、爪部材40a,40aに光93,93が照射された状態を保ちながら爪部材40a,40aを挿入部23,23に向けて移動させることで、爪部材40a,40aを挿入部23,23に適正に差し込むことができる。
【0054】
尚、レーザー光指示具92,92は、正面側斜め下方に光93,93を照射可能であれば、どの位置に設けられてもよい。例えば、レーザー光指示具92,92が車体6内に収容され、その底板10aに設けた孔を介して光93,93を斜め下方側に照射可能に設けられていてもよいし、載置台7の側面に設けられていてもよい。
【0055】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、前記実施例では、フォーク挿入部材21が設けられており、その挿入部23,23が、搬送台車1におけるフォーク40の適正な差込位置となっている態様について説明したが、フォーク挿入部材21の構成を省略してもよい。この場合、前方及び下方から差込位置を視認し辛いため、前述した変形例のように、バンパー50’の上端から下端にかけて形成される位置表示手段を用いて、前方及び下方からも差込位置を視認できるようにすることが好ましい。
【0057】
また、前記実施例では、位置表示手段9,9が反射材により形成されているため、発光装置52,52及び液晶パネル部53のバックライトの光に反射して暗所での作業でも位置表示手段9,9を視認できる態様について説明したが、発光装置52,52及び液晶パネル部53のバックライトの光に限られず、フォークリフトの光でも同様の効果を発揮する。