(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<第1の実施の形態>
図2に示す1は、全体として水素水生成装置を示している。水素水生成装置1は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部2が水素水生成装置1の全体を統括的に制御するようになされている。
【0017】
容器3は、予めフィルターなどによってろ過された高純度水が入っている。高純度水としては、特に制限はないが、有機物やカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分が10ppm以下であることが好ましい。伝導度としては50μS/cm以下であることが好ましい。このような高純度水を原水として用いることにより、フィルターを設置することなく電極や配管の石灰化(スケール化)を防止できると共に、飲用水として適した水素水を提供することが可能となる。
【0018】
電解槽4としては、高純度水を電気分解して水素を含有する水素水を生成できる構成であればよく、特に制限はない。例えば電解槽4の断面を示す
図3に示すように、透水性の陽極44及び陰極43の間に固形の電解質としてイオン交換樹脂を充填し、陽極44に隣接して酸素透過性の隔膜46(例えばフッ素系カチオン交換膜)を設けた3槽式の構成を有する電解槽4を用いることができる。
【0019】
この電解槽4は、電解槽4の底面近傍にカソード室51に対して原水が供給される第1の原水供給口41が設けられ、同じく電解槽4の底面近傍にアノード室52に対して原水が供給される第2の原水供給口42が設けられている。また、電解槽4の天面に水素水を排出する水素水排出口48と、同じく電解槽4の天面に酸素水を排出する酸素水排出口49が設けられている。
【0020】
第1の原水供給口41及び水素水排出口48と、第2の原水供給口42及び酸素水排出口49とはそれぞれ対角線上に設けられており、原水供給口41及び42から供給された原水が電気分解されると共に、気体である水素及び酸素は上側に移動して、水素水排出口48及び酸素水排出口49から効率良く排出され、高濃度の水素水及び酸素水として排出することができる。なお、本明細書において、酸素とは酸素ガス(O
2)及びオゾンガス(O
3)を含むものとする。この電解槽の詳細は、特許文献1に記載されている。なお、電解槽としては、高純度水を電気分解できればよく、他の構成のものを用いることができる。例えば特許文献3(特許第4601612号)に記載の電解槽を用いてもよい。
【0021】
水素水排出口48から供給された水素水は、配管を介して貯留タンク6に供給される。貯留タンク6には、水位センサ(図示せず)が設置されており、制御部2は、貯留タンク6内の水素水の残量に応じて容器3から電解槽4へ原水を供給し、電解槽4を稼働させる。貯留タンク6の内部には、紫外線を照射するUV(UltraViolet)照射部6Aが設置されており、定期的又は水素水の供給量などに応じて貯留タンク6の内部に紫外線を照射し、貯留タンク6内部における細菌の繁殖を抑制する。
【0022】
なお、貯留タンク6は、水素が抜けにくい例えばアルミニウムなどによって形成されていることが好ましい。また、水素水から抜ける水素を再度水に溶け込ませるよう環流させたり、加圧したりすることも可能である。また、貯留されている水素水と水素ガスとを高速旋回させながら混合することにより、貯留電解水中にナノオーダーの気泡を含むナノバブルを含有させる機構を設けることも可能である。この旋回槽の構成は、例えば特許文献4(特開2015−100735号)に記載されている。この旋回槽では、電気分解によって発生した水素のうち、電気分解後の水に溶解しなかった水素を一旦分離し、再度含有させて旋回することにより、水素水中の水素濃度を高めることができる。
【0023】
操作部9は、例えば機械式のコックや電動式のボタンでなる。ユーザによって操作部9が操作されると、貯留タンク6と水素水提供部10とを接続する配管(図示せず)に設けられた弁が開放され、水素水提供部10から水素水が提供される。
【0024】
ところで、容器3内の原水は滞留時間が長く、細菌が繁殖し易い状態にある。特に、原水として高純度水を用いると、水道水と異なり塩素が殆ど含まれていないため、細菌の繁殖速度が速く、短時間で飲用に適さなくなってしまう恐れがある。
【0025】
そこで、本願発明の水素水生成装置1では、電解槽4のアノード室52において生成された酸素水を原水の入った容器内部に戻すようにした。
【0026】
上述したように、容器3内部の水は、高純度水であり、水道水とは異なり塩素が殆ど含まれておらず、細菌が繁殖しやすい。一方、アノード室52では、酸素ガスと同時にオゾンガスが発生する。このオゾンガスは、殺菌力を有している。従って、アノード室52で発生する酸素水には酸素ガス及びオゾンガスが溶解している他、アノード室52では気体としての酸素ガス及びオゾンガスも発生する。
【0027】
上述したように、電解槽4で発生した酸素水、酸素ガス及びオゾンガスは、効率良く酸素水排出口49から排出される。酸素水排出口49には配管11の一端が接続されており、配管11の他端11Aは、容器3の内部に設置されている。この配管11は、硬質の樹脂・金属製のものでも構わないが、可撓性のある樹脂製のものが特に好適に使用される。配管11の他端11Aは、容器3の底面に近い位置に配置されることが好ましい。底面近傍に配置された他端11Aから酸素水が排出されることにより、原水全体にオゾンガスを行き渡らせることが可能となる。配管11として、可撓性のある材質の物を使用することにより、容器3内部への配管11の出し入れが容易になる。
【0028】
なお、容器3の設置位置については特に制限はなく、電解槽4より上又は下のいずれに設置されても良い。例えば、電解槽4よりも下に容器3が設置される場合には、
図2に示したように、配管12を介してポンプ19により原水をくみ上げて電解槽4へ供給し、配管11を介して重力により酸素水を容器3へ排水する。また図示しないが、電解槽4よりも上に容器3が設置される場合には、原水を重力により電解槽4へ供給し、ポンプによりくみ上げて酸素水を容器3に排出する。
【0029】
このように、酸素水を原水の入った容器内部に戻すようにしたことにより、従来では廃棄されていた酸素水を細菌の繁殖抑制剤として使用できると共に、原水としても再利用できる。この結果、従来の水素水生成装置1000で使用していたフィルター部1003、オゾン除去部1011及び排出ボトル1020(
図1)を省略して水素水生成装置1としての構成を簡易にすることができると共に、廃棄される水を無くして原水の使用量を約半分にすることができる。
【0030】
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0031】
本発明の水素水生成装置(水素水生成装置1)は、
水の入った容器(容器3)と、
前記容器に入った水を原水として当該原水を電気分解し、陰極から水素を含有する水素水を、陽極から酸素を含有する酸素水を生成する電解槽(電解槽4)と、
前記水素水を排出する水素水排出部(水素水提供部10)と、
前記酸素水を前記容器へ供給する酸素水排出部(配管11)とを有することを特徴とする。
【0032】
これにより、水素水生成装置は、本来廃棄されていた酸素水を細菌抑制のために使用すると共に原水として再利用することができ、容器の内部における細菌を抑制しつつ原水の使用量を半減できる。また、酸素水を廃棄するための排出ボトルや排出のための配管設置などが不要となり、水素水生成装置としての構成を簡易にすることができる。
【0033】
一般的に、日本の水道水は塩素(次亜塩素酸)を含有しているため、細菌の繁殖が抑制されている。しかしながら、塩素を含有しない水は、細菌が繁殖し易く、特に開封して空気に触れることで一気に細菌が増殖する恐れがある。特に、容器内では水の滞留時間が長くなる可能性があり、細菌が大増殖する恐れがある。一旦大増殖してしまった細菌を減少するためには、長時間のUV照射を必要とする。
【0034】
このため、貯留タンクにUV照射部を有していたとしても、水素水の消費が激しく、貯留タンクにおける水素水の滞留時間が短い場合には、十分なUV照射時間を確保することができなくなる。また、フィルターを有さないため、細菌に起因する不純物を取り除くことはできない。本発明では、容器内における細菌の増殖を直接的に抑制できるため、衛生を保つことが可能となる。また、原水の細菌が少なければ、貯留タンクにおける細菌の増殖の恐れも小さくなる。
【0035】
前記水は、50μS/cm以下の伝導度の高純度水であることを特徴とする。これにより、電極への不純物の付着を防止できると共に、細菌の繁殖しにくい飲用に適した水素水を提供できる。
【0036】
水素水生成装置は、前記水素水を貯留する貯留タンク(貯留タンク6)を有し、
前記貯留タンクには、紫外線を照射する紫外線照射部(UV照射部6A)が備えられている。
【0037】
これにより、ユーザの操作部9への操作に応じて貯留タンクの内部に貯留された水素水を提供できるため、短時間でユーザの所望する量の水素水を提供できると共に、紫外線の照射により貯留タンク内での細菌の繁殖を抑制できる。また、仮に水素水の内部にオゾンが残留していた場合であっても、貯留タンク内での滞留期間内に水素との反応によってオゾンを不活性化することができ、水素水の安全性を高めることができる。
【0038】
水素水生成装置において、前記電解槽は、
2槽又は3槽式の電解槽であり、
前記陰極と陽極との間には、酸素を透過する酸素透過膜が設けられていることを特徴とする。
【0039】
これにより、電気分解の際に酸素が陽極側に移動するため、原水に含まれる酸素が電気分解に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0040】
水素水生成装置において、前記電解槽は、
3槽式の電解槽であり、前記陰極(陰極43)と陽極(陽極44)との間には、固形電解質としてのイオン交換樹脂槽を有することを特徴とする。
【0041】
これにより、水素水生成装置は、高純度水を効率良く電気分解することができる。
【0042】
水素水生成装置において、前記電解槽は、
底面又は底面近傍に設けられ、前記陰極を有するカソード室(カソード室51)に対して原水が供給される第1の原水供給口(第1の原水供給口41)と、
天面又は天面近傍において、前記第1の原水供給口と対角の位置に設けられ、前記水素水が排出される水素水排出口(水素水排出口48)と、
底面又は底面近傍に設けられ、前記陽極を有するアノード室(アノード室52)に対して原水が供給される第2の原水供給口(第2の原水供給口42)と、
天面又は天面近傍において、前記第2の原水供給口と対角の位置に設けられ、前記酸素水が排出される酸素水排出口(酸素水排出口49)とを有することを特徴とする。
【0043】
これにより、電解槽の内部での水の循環が効率良くなると共に、水素水には水素ガスが、酸素水には酸素ガス及びオゾンガスが内部に滞留することなく効率良く排出されるため、発生する水素ガス及びオゾンガスを余すことなく利用することができる。
【0044】
本発明の水素水生成方法では、容器に入った水を原水とし、前記原水を電気分解し、陰極から水素を含有する水素水を、陽極から酸素を含有する酸素水を生成し、
前記水素水を水素水提供部から排出し、
前記酸素水を前記容器へ戻すことを特徴とする。
【0045】
これにより、酸素水によって容器内部の細菌の繁殖を抑制できると共に、酸素水を原水として再利用できる。
【0046】
なお、上述した第1の実施の形態においては、原水として高純度水を使用するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば容器に入った水道水やミネラルウォータなどを原水として使用することもできる。もちろん、原水をそのまま電気分解してもよいが、例えば前記容器と前記電解槽との間に、フィルター部を設けて不純物を除去し、高純度水を電気分解するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また不純物として、複数回の電気分解によって濃縮された酸素を取り除くため、フィルター部としてオゾンや酸素(オゾンガス及び酸素ガス)などを除去するフィルターを用いることもできる。
【0047】
また、容器に蓋などを取り付け、ほぼ密閉状態にすることも可能である。この状態で酸素水を排出することにより、容器内部の空気が効果的に殺菌され、空気からの新たな細菌の混入を最小限に抑制できる。この場合、容器内の圧力が高くなりすぎないよう、所定以上の圧力を逃がす圧力調整機構を設けることが好ましい。
【0048】
また、上述した第1の実施の形態においては、貯留タンク6を設け、その内部にUV照射部6Aを設けるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、貯留タンク及びUV照射部は必須ではない。また、例えば前記容器及び前記電解槽の間に、紫外線を照射するUV照射部を設けるようにしても良い。容器としては、特にその構成は制限されるものではないが、一般的にプラスチック製の容器が使用されることが多い。プラスチック製の容器は、紫外線の照射により劣化する恐れがある。このため、容器に対して紫外線を照射することは好ましくない。また、容器は水の残量が分かるように透明な樹脂材料が用いられることが好ましい。このような状況から、容器内部の水に対して紫外線の照射により細菌の繁殖を抑制することは困難である。オゾンガスは、電気分解の際に分離される上、水素によって分解されるため、水素水には残留せず、水素水としての安全性を確保しつつ、容器内の水の衛生を保つことが可能となる。
【0049】
さらに、上述した第1の実施の形態においては、容器としての容器3と、電解槽としての電解槽4と、水素水排出部としての水素水提供部10と、他端11Aとしての酸素水排出部とによって水素水生成装置としての水素水生成装置1を構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成による容器と、電解槽と、水素水排出部と、酸素水排出部とによって本発明の水素水生成装置を構成しても良い。
【0050】
また、上述した実施の形態においては、酸素を含む酸素水を容器3内に戻すようにしたが、酸素のみ(水なし)を容器3に戻すようにしてもよい。この場合であっても、酸素に含むオゾンガスの殺菌効果により、容器3における細菌の繁殖を抑制することができる。
【0051】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について、
図4〜
図6を用いて説明する。
図1〜
図3を用いて説明した第1の実施の形態とは、フィルタ部120を有する点と、容器103に戻す戻り水に対してUVを照射する点が異なっている。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と対応する箇所に100を附して示し、同一部分についての説明を省略する。また、電解槽104の詳細構成については、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
図4に示すように、水素水生成装置101の制御部102は、ポンプ119を制御することにより、配管112の吸上口112Aを介して容器103から原水をくみ上げ、フィルタ部120に供給する。なお、図示しないが、ポンプ119、コントロールバルブ121、UV照射部122は、制御部102の制御によって駆動する。
【0053】
フィルタ部120は、例えばRO膜(Reverse Osmosis Membrane)でなる濾過装置であり、ろ過することにより一部をフィルタ水として電解槽104に供給する一方、残りを配管111を介して容器103に戻す。
【0054】
電解槽104は、供給されるフィルタ水を電気分解し、カソード室51(
図3)から供給される水素水を貯留タンク106へ供給する。また、電解槽104は、アノード室52から供給される酸素水を戻り水として配管111に供給する。
【0055】
すなわち、
図5に示すように、配管111の排出口111Aを介して容器103に戻される戻り水としては、フィルタ部120によってろ過されなかった未濾過水と、酸素水とが含まれることになる。
【0056】
配管111には、UV照射部122が設置されており、戻り水はUV照射部122により殺菌され、ほぼ無菌の状態で戻り口111Aから容器103へと戻される。なお、図示しないが、UV照射部122としては、取り囲むようにUVランプの周囲を水に通過させることにより、UVランプから至近距離でUVを照射する構成のものを使用することが好ましい。
【0057】
このようにして、ユーザによって操作部109が操作されると、貯留タンク106と水素水提供部110とを接続する配管(図示せず)に設けられた弁が開放され、水素水提供部110から水素水が提供されると共に、戻り水殺菌処理が実行される。
【0058】
かかる構成に加えて、本実施の形態の水素水生成装置101では、コントロールバルブ121による経路変更により、容器103内の原水を循環させながらUV照射部122で殺菌する循環殺菌処理を実行するようになされている。
【0059】
上述したように、水素水を配管111及び112は、フィルタ部120に接続されており、水素水提供部110から水素水が供給される際、ポンプ119によるくみ上げにより、配管112からフィルタ部120に原水が供給されると共に、配管111を通って戻り水が容器103に戻る。
【0060】
配管111及び112間には、これらを繋ぐバイパス配管123が接続されており、配管112とバイパス配管123とが分岐する位置に、コントロールバルブ121が設けられている。コントロールバルブ121は、切替弁を有しており、一方の経路を開通させると共に、他方の経路を閉じるようになされている。
【0061】
言い換えると、水素水生成装置101は、配管経路として、配管112からフィルタ部120に原水が供給され、配管111を通って戻り水を容器103へ戻す供給経路と、配管112からくみ上げた原水をバイパス配管123を介して配管111へ通し、循環水として容器103へ戻すことにより、容器103内の原水を循環させる循環経路とを有している。そして、供給経路及び循環経路は、配管112のバイパス配管123との分岐点より上流側、並びに配管111のバイパス配管123の分岐点より下流側が供給経路及び循環経路の共通部分となっており、この共通部分にUV照射部122が設けられる。
【0062】
水素水生成装置101では、水素水が供給されているとき、コントロールバルブ121によって配管112をオープンにしてバイパス配管123をクローズにすることにより、配管112とフィルタ部120との間を開通させ、原水をフィルタ部120へ供給する。
【0063】
一方、
図6に示すように、水素水生成装置101は、水素水が供給されていないとき、コントロールバルブ121によって配管112をクローズにしてバイパス配管123をオープンにすることにより、バイパス配管123と配管111とを開通させ、原水を配管111を介して循環水として容器103へ戻す。なお、配管111におけるバイパス配管123とフィルタ部120との間には、配管111からフィルタ部120へ水が流れることを防止する逆止弁が設けられていてもよい。
【0064】
配管111に設けられたUV照射部122により、循環水は殺菌されて容器103へ戻る。この結果、水素水生成装置101は、容器103の内部に貯留された原水を循環殺菌処理することができる。なお、水素水生成装置101は、制御部102のタイマー制御により、所定の待機時間毎に所定の循環時間に亘って(例えば2時間ごとに5分間)循環殺菌するといったように、定期的に循環殺菌処理を行うことが好ましい。もちろん、水素水を供給していない間中ずっと殺菌処理を行ってもよく、例えばボタンを押下したときなど、任意のタイミングで行ったり、これらを適宜選択して複数を組み合わせて行うこともできる。また、例えば外気温に応じて待機時間及び循環時間を設定することもできる。これにより、雑菌の繁殖速度に応じて殺菌処理の間隔及び処理時間を設定でき、雑菌の繁殖を効果的に抑制できる。
【0065】
なお、上述第2の実施形態では、コントロールバルブ121を切り替えることにより、供給経路と循環経路とを切り替えるようにしたが、例えば
図7の水素水生成装置101Xのように、使用するポンプ119X及び119Yを切り替えることにより、供給経路と循環経路とを切り替えても良い。この場合、循環経路におけるバイパス配管123の途中にポンプ119Xが、供給経路における配管112におけるバイパス配管123との分岐ポイントより後かつ配管111におけるバイパス配管123との分岐ポイントより前にポンプ119Yが配置される。
【0066】
また、上述第2の実施形態では、供給経路においてフィルタ部120に対して原水を供給したが、
図8に示すように、電解槽104に供給しても良い。この場合、容器103内の原水としては、高純度水が用いられることが好ましい。この場合であっても、水殺菌処理(戻り水殺菌処理及び循環殺菌処理)のW効果により、容器103内の原水における雑菌の繁殖を著しく抑制することができる。
【0067】
さらに、上述実施形態では、水素水を生成する水素水生成装置に本発明の水殺菌処理を適用したが、例えば
図9に示すように、電解槽104及び貯留タンク106を有さず、容器103の原水をそのまま、若しくは特定の成分(例えば水素やミネラル)を添加して供給するウォーターサーバ201に対して適用しても良い。この場合であっても、水提供部110から水の提供を行わないときに循環殺菌処理を行うことにより、容器103内の雑菌の繁殖を抑制するといった本発明の効果を得ることができる。なお、
図9の構成においては、戻り水が発生しないが、代わりに水提供部110に繋がる配管112においてUV照射部122を有することにより、配管112を介して吸い上げた容器103内の水に対して、戻り水殺菌処理と同様の殺菌処理を実行する。これにより、一つのUV照射部122によって提供される水及び容器103に貯留される水の両方の雑菌を抑制できる。
【0068】
また、上述第1の実施の形態及び第2の実施の形態の構成を適宜組み合わせて行うことができる。
【0069】
次に、水殺菌プログラムに従って実行される水殺菌処理手順RT1について、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
制御部102は、電源がONにされると、水殺菌処理を開始し、ステップSP101へ移る。ステップSP101において、制御部102は、操作部109を監視し、水素水の供給開始指示がなされたか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは水素水を供給する必要があることを表しており、このとき制御部102は、次のステップSP102へ移る。
【0071】
ステップSP102において、制御部102は、配管経路が供給経路になるよう、必要に応じて配管経路を切替えると、次のステップSP103へ移る。
【0072】
ステップSP103において、制御部102は、UV照射部122及びポンプ119をONにして原水の供給を開始することにより、戻り水殺菌処理を開始すると、次のステップSP104へ移る。
【0073】
ステップSP104において、制御部102は、操作部109を監視し、水素水の供給に対する終了指示がなされたか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、制御部102は、ステップSP104に留まり、水素水の供給に対する終了指示を待ち受ける。
【0074】
ステップSP104において、肯定結果が得られると、このことは水素水の供給及び戻り水殺菌処理を停止する必要があるため、次のステップSP105へ移る。
【0075】
これに対して、ステップSP101において否定結果が得られた場合、このことは水素水を供給していない待機状態であることを表しており、このとき制御部102は、次のステップSP110へ移る。
【0076】
ステップSP110において、制御部102は、前回循環殺菌処理を行ってから現在までの時間が予め設定された待機時間を超えたか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、制御部102は、ステップSP101へ戻り、水殺菌処理を継続する。
【0077】
これに対して、ステップSP110において肯定結果が得られると、制御部102は、次のステップSP111へ移る。ステップSP111において、制御部102は、配管経路が循環経路になるよう、必要に応じて配管経路を切替えると、次のステップSP113へ移る。
【0078】
ステップSP113において、制御部102は、UV照射部122及びポンプ119をONにして原水の供給を開始することにより、循環殺菌処理を開始すると、次のステップSP114へ移る。
【0079】
ステップSP114において、制御部102は、循環殺菌処理を開始してから現在までの時間が、予め設定された所定の循環時間を超えたか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、ステップSP114に留まり、循環時間を終了するまで循環殺菌処理を継続する。
【0080】
これに対してステップSP114で肯定結果が得られた場合、このことは循環殺菌処理を終了する必要があるため、このとき制御部102は、次のステップSP105へ移る。
【0081】
ステップSP105において、制御部102は、UV照射部122及びポンプ119をOFFにして原水の供給及び戻り水又は循環水の殺菌を停止すると、次のステップSP120へ移る。
【0082】
ステップSP120において、制御部102は、電源がOFFになったか否かを確認し、否定結果が得られた場合、ステップSP101へ戻って水殺菌処理を継続する。
【0083】
これに対してステップSP120で肯定結果が得られた場合、制御部102は、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0084】
このように、水素水生成装置101の制御部102は、水素水の供給をしていないときに、定期的に容器103の原水を循環殺菌するようになされている。
【0085】
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0086】
以上の構成によれば、水供給装置(水素水生成装置101,ウォーターサーバ201)は、
水の入った容器と、
容器に入った水を吸い上げる配管(配管112)と、
水を吸い上げる動力となるポンプ(ポンプ119)と、
水を排出する水排出部(水素水提供部110)と、
容器内の水における細菌の繁殖を抑制する細菌抑制部(UV照射部122)とを有することを特徴とする。
【0087】
これにより、水供給装置は、容器内における細菌の繁殖を抑制できるため、細菌の繁殖により引き起こされる種々のトラブルを未然に防止できる。
【0088】
配管は、
水排出部へ繋がる供給経路(配管112)と、容器から吸い上げた水を容器へ戻す循環経路(配管112及びバイパス配管123)と、供給経路と循環経路とを切り替える切替部(コントロールバルブ121)とを有し、
細菌抑制部は、
供給経路と循環経路との共通部分に設けられていることを特徴とする。
【0089】
これにより、水供給装置は、切替部による切替により、細菌抑制処理を施した上で、水を排出部へ供給したり、水を容器へ戻したりすることができる。
【0090】
本発明の水素水供給装置(水素水生成装置101)は、
水の入った容器と、
容器に入った水を吸い上げる第1の配管(配管112)と、
水を吸い上げる動力となるポンプ(ポンプ119)と、
容器に入った水を原水として当該原水を電気分解し、陰極から水素を生成し、陽極から酸素を生成する電解槽(電解槽104)と、
水素を含有する水素水を排出する水素水排出部(水素水提供部110)と、
吸い上げられた水の一部を戻り水として容器に戻す第2の配管(配管111)と、
容器内の水における細菌の繁殖を抑制する細菌抑制部(UV照射部122)とを有することを特徴とする。
【0091】
これにより、水素水供給装置は、一度吸い上げられたことにより細菌が繁殖し易い戻り水を容器内に戻した場合であっても、容器内の水に細菌が繁殖することを抑制できる。
【0092】
さらに、水素水供給装置は、細菌抑制部を制御する制御部(制御部102)を有し、
細菌抑制部は、
UV(UltraViolet)を照射するUV照射部であり、
制御部は、
水素水を排出するときには、
戻り水にUVを照射させ、
水素水を排出していないときには、
容器内の水を吸い上げてUVを照射させることを特徴とする。
【0093】
これにより、水素水供給装置は、UVを照射するという簡易な手法で細菌の繁殖を抑制できる。
【0094】
水素水供給装置は、容器内の水をろ過するフィルタ部(フィルタ部120)を有し、
第2の配管は、
戻り水として、少なくともフィルタ部によってろ過されなかった濃縮水を容器に戻すことを特徴とする。
【0095】
これにより、水素水供給装置は、一旦フィルタ部に入ったことにより、雑菌の混入の恐れのある濃縮水を効果的に殺菌した上で容器に戻すことができ、容器内の原水を無駄なく使用することができる。
【0096】
水素水供給装置は、第1の配管、フィルタ部、第2の配管を通る供給経路と、第1の配管、第1及び第2の配管をバイパスするバイパス管、第2の配管を通る循環経路とを切り替える切替部をさらに有し、
UVは、
供給経路と循環経路との共通部分に設けられ、
制御部は、
水素水を排出するときには、
供給経路からの戻り水にUVを照射させ、
水素水を排出していないときには、循環経路からの循環水に対してUVを照射させることを特徴とする。
【0097】
これにより、水素水供給装置は、一つのUVによって戻り水及び循環水の両方に対して殺菌処理を行うことができ、構成を簡易にすることができる。
【0098】
水素水供給装置において、切替部は、
一方の経路に対する弁を開放し、他方の経路に対する弁を閉じることにより、供給経路と循環経路とを切り替え可能なコントロールバルブであることを特徴とする。
【0099】
これにより、水素水供給装置は、コントロールバルブを用いた弁の切替により、供給経路と循環経路とを確実に切り替えることができる。
【0100】
水素水供給装置は、細菌抑制部を制御する制御部を有し、
細菌抑制部は、
UV(UltraViolet)を照射するUV照射部と、酸素を含有する酸素水を容器に供給する酸素水供給部とからなり、
制御部は、
水素水を排出するときには、
容器に対して戻り水として少なくとも酸素水を供給すると共に、当該酸素水にUVを照射させ、
水素水を排出していないときには、
容器内の水を吸い上げてUVを照射させることを特徴とする。
【0101】
これにより、水素水供給装置は、水素水の排出時には殺菌効果のある酸素水を容器内に戻すことができ、水素水を排出していないときには、容器内の水を吸い上げて殺菌することができ、殺菌効果を増大させることができる。
【0102】
水素水供給装置において、電解槽は、
底面又は底面近傍に設けられ、陰極を有するカソード室に対して原水が供給される第1の原水供給口と、
天面又は天面近傍において、第1の原水供給口と対角の位置に設けられ、水素水が排出される水素水排出口と、
底面又は底面近傍に設けられ、陽極を有するアノード室に対して原水が供給される第2の原水供給口と、
天面又は天面近傍において、第2の原水供給口と対角の位置に設けられ、酸素水が排出される酸素水排出口とを有することを特徴とする。
【0103】
これにより、水素水供給装置は、酸素を効果的に取り出して容器に戻すことができ、容器内の細菌の繁殖を抑制できる。
【0104】
水供給装置は、水の入った容器と、
容器に入った水を吸い上げる動力となるポンプと、
水を排出する水排出部と、
容器内の水における細菌の繁殖を抑制する細菌抑制部と、
細菌抑制部を制御する制御部を有し、
細菌抑制部は、
UV(UltraViolet)を照射するUV照射部であり、
制御部は、
水を排出するときには、
吸い上げた水にUVを照射した後、水排出部に供給し、
水を排出していないときには、
容器内の水を吸い上げてUVを照射させるた後、容器に水を戻すことを特徴とする。
【0105】
これにより、水供給装置は、容器内の水を殺菌処理できるため、容器内で細菌が繁殖することによる種々のトラブルを未然に防止できる。