(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6255128
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20171218BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20171218BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20171218BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20171218BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20171218BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/63
A61K8/60
A61K8/34
A61K8/9789
A61Q17/04
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-79260(P2017-79260)
(22)【出願日】2017年4月12日
【審査請求日】2017年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】
木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−027033(JP,A)
【文献】
特開2016−027034(JP,A)
【文献】
特開2012−136453(JP,A)
【文献】
特開平10−151468(JP,A)
【文献】
特開平11−128951(JP,A)
【文献】
パーフェクトワン SPモイスチャーUV,Cosmetic-Info.jp [online],2017年 8月24日,[retrieved on 2017.08.24], Retrieved from the Internet,URL,https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=37544
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99;
A61Q 1/00−90/00
DWPI(Derwent Innovation)
CAplus(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有する日焼け止め化粧料。
(A)メトキシ桂皮酸オクチルを1〜20質量%
(B)フィトステロールを0.002〜1質量%
(C)グリセリルグルコシド
(D)ペンチレングリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、クインスシードエキスから選択される1種又は2種以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌なじみが良好で、高い保湿効果を発揮する日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線による皮膚への悪影響を防御するため、種々の紫外線吸収剤を含有させた日焼け止め化粧料が開発されている。しかし、紫外線吸収剤、特に有機紫外線吸収剤は、それ自体が、肌なじみやべたつきといった、使用感上の問題があった。
【0003】
また、フィトステロールは植物から得られるステロール類の総称であり、植物油の脱酸工程で得られるガム質から得られることが知られている。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】新化粧品ハンドブック、平成18年10月30日発行、45p
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
肌なじみが良好で、高い保湿効果を発揮する、日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)
本発明の日焼け止め化粧料は、下記の(A)〜(C)を含有する。
(A)有機紫外線吸収剤
(B)フィトステロール
(C)グリセリルグルコシド
【0007】
(2)
本発明の日焼け止め化粧料は、下記の(A)〜(C)を含有する。
(A)メトキシ桂皮酸オクチル
(B)フィトステロール
(C)グリセリルグルコシド
【0008】
(3)
本発明の日焼け止め化粧料は、下記の(A)〜(D)を含有する。
(A)メトキシ桂皮酸オクチル
(B)フィトステロール
(C)グリセリルグルコシド
(D)ペンチレングリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、クインスシードエキスから選択される1種又は2種以上
【発明の効果】
【0009】
本発明の日焼け止め化粧料は、有機紫外線吸収剤を含有するにもかかわらず、肌なじみが良好で、かつ高い保湿効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
本発明の日焼け止め化粧料は、下記の(A)〜(C)を必須成分として含有する。
(A)有機紫外線吸収剤
(B)フィトステロール
(C)グリセリルグルコシド
【0012】
本発明の日焼け止め化粧料に配合する(A)有機紫外線吸収剤の種類は特に限定されず、公知の有機紫外線吸収剤を制限無く使用できる。このような公知の有機紫外線吸収剤として、例えばパラメトキシ桂皮酸オクチル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、メトキシ桂皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等のベンゾフェノン誘導体;3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体;オクトクリレン、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。有機紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明においては、紫外線吸収能と皮膚への安全性の観点から、パラメトキシ桂皮酸オクチルを用いることが最も好ましい。
【0013】
有機紫外線吸収剤の配合量は1〜20質量%が好ましい。1質量%未満では充分な日焼け止め効果を得ることができず、20質量%を超えるとべたつきや、皮膚への一次刺激性が高まるなど、使用感に悪影響を及ぼす場合がある。
【0014】
本発明の日焼け止め化粧料に配合する(B)フィトステロールは、植物由来のステロール類の総称であり、β-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等の混合物であり、その種類は限定されない。かかるフィトステロールの起源植物としては、大豆、ヒマワリ、菜種、シーバックソーン等が挙げられるが、大豆由来のフィトステロールを用いることが一般的である。
【0015】
フィトステロールの配合量は0.002〜1質量%が好ましく、さらには0.002〜0.1質量%がより好ましい。0.002質量%未満の配合では肌なじみ改善効果が見込めない場合がある。1質量%を超えて配合するとべたつきの原因となる場合がある。
【0016】
本発明の日焼け止め化粧料には(C)グリセリルグルコシドを配合する。グリセリルグルコシドは。化粧料に配合し得るものであれば製造方法は、合成、微生物により発酵法等を問わない。
【0017】
本発明の日焼け止め化粧料にはさらに(D)ペンチレングリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、クインスシードエキスから選択される1種又は2種以上を配合することが好ましい。成分(D)を配合することにより、肌なじみ効果、保湿効果がさらに向上する。
【0018】
本発明の状日焼け止め化粧料は、上述の成分の他に、通常の化粧料に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。酸化チタンや酸化亜鉛等の紫外線散乱剤については、配合しない方が好ましい。
【0019】
本発明の日焼け止め化粧料の剤型は、乳化型であることが好ましく、さらに水中油乳化型化粧料であることが好ましい。
【0020】
本発明の日焼け止め化粧料は定法により調製することができる。
【0021】
本発明の日焼け止め化粧料は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0023】
まず、本発明の実施例及び比較例の評価方法を示す。
【0024】
<肌なじみ評価>
本発明の日焼け止め化粧料を定法により塗布した後、3名の専門パネルを用いて官能的に評価した。実施例及び比較例の各試料を塗布後の肌なじみについて合議により下記の4段階で評価した。なお、官能評価は実施例、比較例を区別がつかない状態で使用し、絶対評価で評価を行った。以下の官能試験も同様である。
◎:肌なじみが非常に良い
○:肌なじみが良い
△:肌なじみがあまり良くない
×:肌なじみが悪い
【0025】
<保湿効果感評価>
本発明の日焼け止め化粧料を定法により塗布した後、3名の専門パネルを用いて官能的に評価した。実施例及び比較例の各試料を塗布後の保湿効果感について合議により下記の4段階で評価した。
◎:保湿効果感が非常に良い
○:保湿効果感がよい
△:保湿効果感があまり良くない
×:保湿効果感が悪い
【0026】
表1に示す処方を用い、実施例1〜6及び比較例1〜3を定法により調製した。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示した通り、本発明の実施例は肌なじみ、保湿効果感ともに良好な使用感であった。これに対し成分(B)、成分(C)を含有していない比較例は、肌なじみ、保湿効果感ともに良好な使用感ではなかった。
【要約】
【課題】
肌なじみが良好で、高い保湿効果を発揮する、日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の日焼け止め化粧料は、下記の(A)〜(C)を含有する。
(A)有機紫外線吸収剤
(B)フィトステロール
(C)グリセリルグルコシド
またさらにペンチレングリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、クインスシードエキスから選択される1種又は2種以上を配合することにより肌なじみ効果、保湿効果がさらに向上する。
【選択図】 なし