【文献】
河村農園,九州産ごぼう茶,2016,[検索日:2017年8月29日],URL,http://www.kwfa.gr.jp/kakusyouhin/goboucya.html
【文献】
Cookpad, 手作りごぼう茶, 公開日:17/04/14,[検索日:2017年8月29日],URL,https:cookpad.com/recipe/4471503
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る茶外茶の製造装置(以下、「製造装置」という。)は、チャノキ以外の植物から作られる茶外茶であって、ごぼうを原料とするごぼう茶を製造することができる。
製造装置は、高速裁断機、バブル洗浄機、フードダイサー、送帯蒸機、ネット型乾燥機、及びバンド型乾燥機を備えている。
【0015】
高速裁断機は、ごぼうを長さ20mm程度に裁断できる。
バブル洗浄機は、高速裁断機にて処理されたごぼうを泡、シャワー、及び水流により洗浄できる。
フードダイサーは、バブル洗浄機にて処理されたごぼうを直方体状になるように切断できる。
【0016】
送帯蒸機は、フードダイサーにて処理されたごぼうを蒸すことができる。送帯蒸機は、ネット状のコンベアに載ったごぼうを搬送しながら、蒸気を吹き付けて蒸すことができる。送帯蒸機を用いてごぼうが蒸されるので、送帯蒸機以外の蒸機によって蒸す場合と比較して、ごぼうそのものの味、香りを感じやすく、まろやかで飲み易いごぼう茶に仕上がる。
ネット型乾燥機は、熱風を当てることによって、送帯蒸機にて処理されたごぼうを乾燥できる。
バンド型乾燥機は、熱を加えることによって、ネット型乾燥機にて処理されたごぼうを更に乾燥できる。
【0017】
また、製造装置は、振動篩い機、遠赤焙煎機、直火焙煎機、小型ブロアー、及び包装機を備えている。
振動篩い機は、バンド型乾燥機にて処理されたごぼうを篩いにかけ、より品質の高いごぼうを選別できる。
遠赤焙煎機は、遠赤外線を照射することにより、振動篩い機によって選別されたごぼうを焙煎できる。
直火焙煎機は、遠赤焙煎機にて処理されたごぼうを直火により焙煎できる。
【0018】
小型ブロアーは、直火焙煎機にて処理されたごぼうを冷却できる。
包装機は、小型ブロアーにて冷却されたごぼうをティーバックに包装できる。
【0019】
次に、製造装置を用いたごぼう茶の製造方法について説明する。製造装置を用いたごぼう茶の製造方法は、以下の工程(
図1参照)に従って実行される。なお、可能な場合には、各工程は順番を入れ替えて実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
(仕分け工程P1)
作業者が作業台にて原料となるごぼうから不良品や不純物を取り除く。具体的には、ごぼうの発芽部位、硬質化した部位、及び腐食部位等の不良部位が取り除かれる。また、マグネットにより、何らかの理由により混入した金属片が除去される。
【0020】
(裁断工程P2)
高速裁断機によって、仕分け工程P1にて選別されたごぼうが切断される。ごぼうは、長さ20mm程度に切断される。
本工程により、後の洗浄工程P4やカット工程P5における処理が容易となる。
【0021】
(運搬工程P3)
ベルトコンベアによって、切断されたごぼうが次工程を処理するためのバブル洗浄機に搬送される。
【0022】
(洗浄工程P4)
バブル洗浄機によって、搬送されたごぼうが洗浄される。なお、仕分け工程P1において仕分けられるごぼうは予め食用として支障がない程度に洗浄されているが、本工程にて再度入念に洗浄される。
【0023】
(カット工程P5)
フードダイサーによって、洗浄されたごぼうが予め定められた大きさにカットされる。ごぼうは直方体状になるように切断される。
本工程により、ごぼうが直方体状に形成されているので、薄切りされた場合と比較して、後の蒸し工程P6、一次乾燥工程P7、二次乾燥工程P8、遠赤焙煎工程P11、及び直火焙煎工程P12における処理にムラが生じることが抑制される。
【0024】
(蒸し工程P6)
送帯蒸機によって、カット工程P5を経て切断され均一にならされた原料を、流量100〜150kg/hの蒸気で品質に合わせてゆっくりと蒸す。
本工程により、ごぼうのアクや雑味を除去し、えぐみが抑えられる。
【0025】
(一次乾燥工程P7)
ネット型乾燥機によって、蒸し工程P6を経て蒸されたごぼうが短時間で一次乾燥される。乾燥時間は15分以内であり、ごぼうの水分量(含水率)が25%以下になるように乾燥される。
本工程にて急速に水分を飛ばすことにより有益な成分が失われることが抑制されるとともに、ごぼうが本来有している香りが引き出される。
【0026】
(二次乾燥工程P8)
バンド型乾燥機によって、一次乾燥工程P7にて処理されたごぼうが時間をかけて二次乾燥される。乾燥時間は少なくとも50分以上であり、ごぼうの水分量(含水率)は、5%以下まで低減される。
【0027】
(篩い工程P9)
振動篩い機によって、ごぼうの良品が選別される。
【0028】
(運搬工程P10)
搬送装置によって、振動篩い機にて選別された品質の高いごぼうが搬送される。
【0029】
(遠赤焙煎工程P11)
遠赤焙煎機によって、振動篩い機から搬送されたごぼうが焙煎される。
本工程によって、ごぼう茶の香りが高められる。
【0030】
(直火焙煎工程P12)
直火焙煎機によって、前工程にて焙煎されたごぼうが更に焙煎される。
【0031】
(冷却工程P13)
作業者が前工程にて焙煎されたごぼうを山形に積み、短時間寝かす。寝かされたゴボウが撹拌されながら小型ブロアーによって急速に冷却される。
ごぼうの温度が30〜40℃に低下した部分から作業者が手早く箱詰めする。これにより、時間経過によるごぼうの吸湿及び品質劣化が抑制され、うま味が閉じ込められる。
【0032】
(分包工程P14)
包装機によって、冷却されたごぼうがティーバックに分包される。
ティーバックは包装容器に詰められ、出荷される。
【0033】
次に、前述のごぼう茶の製造方法の効果、すなわち、製造されたごぼう茶の品質が優れていることを確認するための試験例を示し、ごぼう茶の製造方法について更に説明する。
発明者は、洗浄工程P4の有無、蒸し工程P6の有無、並びに一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8の有無がそれぞれごぼう茶の風味に与える影響を評価するため、味、香り、色、舌触り、及び喉ごしの観点から官能試験を行った。
試料となるごぼう茶(飲料)は、温めた急須に200ccの熱湯とごぼう2.5g入りのティーパック1包を投入し、5分間蒸らして作られたものである。このように作られた各試料について、8名の評価者によるブラインドテイスティングを行った。評価方法は、味、香り、色、舌触り、及び喉ごしを総合的に評価し、優良、良、可、及び不可の4段階評価とした。
【0034】
〔試験例1〕
洗浄工程P4の有無による効果を評価するため、以下に示す検体(飲料)を作りそれぞれ評価した。
(検体1−1)
仕分け工程P1から運搬工程P3までを実施し、更に洗浄工程P4を実施した。その後、低温温風にてごぼうを乾燥し、前述の手順に従って、ごぼう茶の試料(検体1−1)を製造した。
(検体1−2)
前述の検体1−1の製造手順における洗浄工程P4を省略し、比較例となるごぼう茶の試料(検体1−2)を製造した。すなわち、検体1−1と検体1−2では洗浄工程P4の有無のみが相違するので、この洗浄工程P4の効果が評価される。
評価結果は、表1に示す通りである。総合評価として、検体1−1が「可」、検体1−2が「不可」であった。
【0036】
〔試験例2〕
蒸し工程P6の有無による効果を評価するため、以下に示す試料(飲料)を作りそれぞれ評価した。
(検体2−1)
仕分け工程P1からカット工程P5までを実施し、更に蒸し工程P6を実施した。その後、低温温風にてごぼうを乾燥し、前述の手順に従って、ごぼう茶の試料(検体2−1)を製造した。
(検体2−2)
前述の検体2−1の製造手順における蒸し工程P6を省略し、比較例となるごぼう茶の試料(検体2−2)を製造した。すなわち、検体2−1と検体2−2では蒸し工程P6の有無のみが相違するので、この蒸し工程P6の効果が評価される。
評価結果は、表2に示す通りである。総合評価として、検体2−1が「良」、検体2−2が「不可」であった。
【0038】
〔試験例3〕
一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8の有無による効果を評価するため、以下に示す試料(飲料)を作りそれぞれ評価した。
(検体3−1)
仕分け工程P1から蒸し工程P6までを実施し、更に一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8を実施した。一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8を経て製造されたごぼうを用い、前述の手順に従って、ごぼう茶の試料(検体3−1)を製造した。
(検体3−2)
前述の検体3−1の製造手順における一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8に代えて、低温温風にて10時間、水分量(含水率)が5%程度になるまでごぼうを乾燥させ、比較例となるごぼう茶の試料(検体3−2)を製造した。すなわち、検体3−1と検体3−2では一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8の部分のみが相違するので、この一次乾燥工程P7及び二次乾燥工程P8の効果が評価される。
評価結果は、表3に示す通りである。総合評価として、検体3−1が「優良」、検体3−2が「良」であった。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係るごぼう
茶の製造方法によれば、従来のごぼう茶の製造方法に含まれていなかった工程を複数含んでいるので、風味に優れたごぼう茶が製造される。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
茶外茶は、ごぼうを原料とするごぼう茶に限定されるものではなく、例えば、なた豆を原料とするなた豆茶、クマザサを原料とするクマザサ茶、及びイチョウを原料とするイチョウ茶その他のいわゆる健康茶であってもよい。
ただし、原料が葉の場合には、茶外茶の製造方法におけるフードダイサーによるカット工程P5が省略される。
【解決手段】茶外茶の製造方法は、切断された原料を蒸す蒸し工程P6と、蒸し工程P6を経て蒸された前記原料を15分以内に水分量が25%以下になるように乾燥させる一次乾燥工程P7と、を含む。また、茶外茶の製造方法は、一次乾燥工程P7にて処理された原料を少なくとも50分以上かけて水分量が5%以下になるまで乾燥させる二次乾燥工程P8と、蒸し工程P6の前に、原料をバブル洗浄機を用いて洗浄する洗浄工程P4と、を更に含む。