(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押圧体は、筒状部の内周面を押圧する押圧位置と、筒状部の内周面から離間した押圧解除位置とに位置変更可能に設けられている請求項1に記載のガラリ用のフィルター取付具。
取付ベースは、押圧体を支持する支持体であって、フレームに連結された支持体を備え、押圧体は、支持体に螺合されたネジ部材である請求項2に記載のガラリ用のフィルター取付具。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物内の換気を行うべく、建物の壁に対して内外に貫通した貫通穴が形成される場合がある。この場合、通常、壁に形成された貫通穴に対してガラリが取り付けられる。
【0003】
ガラリは、壁の貫通穴に嵌入される筒状部と、該筒状部内に配置されたルーバーとを備える。ルーバーは、複数の羽根板を備える。複数の羽根板は、並列状態、或いは、格子状態に配置される。そして、複数の羽根板のそれぞれは、筒状部の内周面に直接的又は間接的に支持されている。すなわち、複数の羽根板のそれぞれは、筒状部の内周面、又は、筒状部の内周全周から内側に向けて延出した環状の枠部に連結されている。
【0004】
これにより、ガラリは、ルーバー(複数の羽根板)によって建物内を目隠ししつつ、ルーバー(羽根板間)に形成される隙間で空気の流通を確保できるようになっている。なお、一般的なガラリは、筒状部の一端部の外周面から外方に延出した環状のフランジを備えている。これにより、一般的なガラリは、筒状部を壁の貫通穴に嵌入した状態で、壁(貫通穴を画定する周面)と、筒状部の外周面との間に形成される隙間をフランジによって覆い隠せるようになっている。
【0005】
ところで、上記構成のガラリは、複数の羽根板の間隔が害虫や埃の通過を許容してしまう広い間隔に設定されているため、害虫や埃等が室内に進入することがあるとして、通気性を確保しつつ害虫や埃等の通過を阻止できる不織布等から構成されるフィルターを既設のガラリに対して取り付けるためのフィルター取付具が提供されている。
【0006】
かかるフィルター取付具には、種々タイプのものがあり、その一つとして、既設のガラリ(ルーバー)の前面側に取り付け可能に構成された取付ベースと、取付ベース上に配置されたシート状のフィルターを押さえるように取付ベースに取り付け可能に構成されたフィルター押体とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この種のフィルター取付具において、取付ベースは、筒状部の一端面に沿って配置されるフレームと、フレームに連結された一対の係止部であって、互いに間隔をあけて配置され、それぞれがルーバーの前面側から挿入して枠又は羽根板の内面に係止可能な一対の係止部と、フレームに連結された一対の押体係止部であって、互いに間隔をあけて配置された少なくとも一対の押体係止部とを備え、フィルター押体は、押体係止部と対応するように配置されて前記押体係止部に係止可能な少なくとも一対の被係止部を備える。
【0008】
上記構成のフィルター取付具によれば、取付ベースの係止部をルーバーの前面側から挿入して枠部又は羽根板の内面に係止させることで、取付ベースをガラリに対して固定することができる。そして、取付ベース上にシート状のフィルターを配置し、そのフィルター上にフィルター押体を配置した上で、該フィルター押体の被係止部のそれぞれを取付ベースの押体係止部のそれぞれに係止させることで、フィルター押体がフィルターを押さえた状態で取付ベースに固定される。
【0009】
従って、上記構成のフィルター取付具は、既設のガラリに対して簡単に取り付けることができる上に、フィルター押体を着脱することでフィルターの交換も容易に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、ガラリには、種々タイプがあり、筒状部の一端面に沿ってルーバーが配置されたものや、筒状部の一端面よりも奥まった位置(一端面よりも他端側にある位置)にルーバーが配置されたものがある。
【0012】
そのため、上記構成のフィルター取付具では、全てのガラリに対して安定した状態で取り付けることができない場合がある。
【0013】
より具体的に説明する。筒状部の一端面に沿ってルーバーが配置されたガラリにフィルター取付具を取り付ける場合、筒状部の一端に沿って配置される取付ベースのフレームとルーバーとが近接する結果、フレームからルーバー側に延出する係止部の長さが短くても、係止部を枠部又は羽根板の内面に係止できる。このように、係止部の長さが短いと、係止部の曲げ剛性(撓み剛性)が高くなるため、取付ベースをガラリに対して強固に固定できる。
【0014】
これに対し、筒状部の一端面よりも奥まった位置にルーバーが配置されたガラリにフィルター取付具を取り付ける場合、筒状部の一端面に沿って配置される取付ベースのフレームとルーバーとが離間する結果、係止部を枠部又は羽根板の内面に係止させるべく、フレームからルーバー側に延出する係止部の長さが、筒状部の一端面に沿ってルーバーが配置されたガラリに対して取り付けられるものよりも長くされる。このように、係止部の長さが長いと、係止部の曲げ剛性(撓み剛性)が低くなるため、取付ベースをガラリに対して取り付けたときに、係止部が取付ベース全体を安定して支持できない場合がある。
【0015】
従って、上記構成のフィルター取付具は、筒状部の一端面よりも奥まった位置にルーバーが配置されたガラリに対して取付ベースを安定して固定できない場合があり、結果として全体を既設のガラリに対して安定して取り付けることができないことがあった。
【0016】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、既設のガラリのルーバーが奥まった位置にあっても、適正且つ確実に取り付けることができ、フィルターの交換を容易且つ迅速に行うことのできるガラリ用のフィルター取付具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るガラリ用のフィルター取付具は、建物の壁に形成された貫通穴に嵌入される筒状部と、
該筒状部の一端面側に向けて先下りした前傾姿勢で筒状部内に配置された複数の羽根板であって、筒状部の一端面よりも他端側に配置された複数の羽根板を有するルーバーとを備えたガラリに対し、通気性の有るシート状のフィルターをルーバーの前面側に取り付けるためのガラリ用のフィルター取付具であって、ルーバーの前面側に取り付けられる取付ベースと、取付ベース上に配置されたシート状のフィルターを押さえるように取付ベースに取り付け可能に構成されたフィルター押体とを備え、取付ベースは、筒状部の一端面に沿って配置されるフレームと、該フレームに連結された一つ以上の係止部であって、
フレームに対して羽根板の前傾姿勢に対応する角度で傾斜するように該フレームに対して交差方向に延出し、羽根板間に挿入可能に形成された一つ以上の係止部と、筒状部の一端面とルーバーとの間にある筒状部の内周面を
傾斜する係止部の先下り側に向けて押圧可能に設けられた押圧体であって、フレームに直接的又は間接的に支持された押圧体と、フレームに連結された一対の押体係止部であって、互いに間隔をあけて配置された少なくとも一対の押体係止部とを備え、フィルター押体は、押体係止部と対応するように配置されて前記押体係止部に係止可能な少なくとも一対の被係止部を備えていることを特徴とする。
【0018】
上記構成のフィルター取付具によれば、取付ベースのフレームを筒状部の一端面に沿って配置すると、一つ以上の係止部がルーバーの羽根板間に挿入される。この状態で、押圧体が筒状部の内周面を押圧すると、フレームと該フレームに連結された係止部が押圧体による押圧方向と反対向きに押される。これにより、係止部が羽根板に押し付けられ、結果的に押圧体と係止部とがガラリ内で突っ張った状態になり、取付ベースがガラリに対して強固に固定される。
【0019】
そして、取付ベース上にシート状のフィルターが配置され、そのフィルター上にフィルター押体が配置された上で、該フィルター押体の被係止部のそれぞれが取付ベースの押体係止部のそれぞれに係止される。これにより、フィルター押体がフィルターを押さえた状態で取付ベースに固定される。
【0020】
本発明の一態様として、押圧体は、筒状部の内周面を押圧する押圧位置と、筒状部の内周面から離間した押圧解除位置とに位置変更可能に設けられていることが好ましい。このようにすれば、押圧体が押圧位置に位置したときに、押圧体と係止部とがガラリ内で突っ張り合い、取付ベースがガラリに対して強固に固定される一方、押圧体が押圧解除位置に位置したときに、ガラリ内での押圧体と係止部とが突っ張り合うことがなく、取付ベースをガラリに対して着脱可能となる。従って、既設のガラリに対する取付ベースの着脱が容易になる。
【0021】
この場合、取付ベースは、押圧体を支持する支持体であって、フレームに連結された支持体を備え、押圧体は、支持体に螺合されたネジ部材であってもよい。このようにすれば、押圧体(ネジ部材)を正逆転させるだけで、押圧体(ネジ部材)が押圧位置と押圧解除位置とに位置変更する。従って、煩雑な作業を伴うことなく、既設のガラリに対する取付ベースの着脱が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のガラリ用のフィルター取付具によれば、既設のガラリのルーバーが奥まった位置にあっても、適正且つ確実に取り付けることができ、フィルターの交換を容易且つ迅速に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るガラリ用のフィルター取付具(以下、単にフィルター取付具という)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
フィルター取付具の説明に先立ち、該フィルター取付具を用いてフィルターを取り付けるガラリについて概略説明する。かかるガラリは、
図1に示す如く、内外を連通させるように建物の壁を貫通した貫通穴(図示しない)に嵌入される筒状部50と、筒状部50内に配置されたルーバー51とを備える。また、ガラリ5は、筒状部50の一端部の外周から外方に延出したフランジ52を備える。
【0026】
筒状部50は、貫通穴の形状に応じて角筒状又は円筒状に形成される。本実施形態において、筒状部50は、円筒状(略真円筒状)に形成されている。なお、この種のガラリは、一般的に、筒状部の外周面に、貫通穴の内周面に圧接可能な抜止部材(図示しない)が取り付けられている。
【0027】
ルーバー51は、筒状部50内に配置された複数の羽根板510…を備えている。複数の羽根板510…のそれぞれは、筒状部50の径方向に相当する第一方向に間隔をあけて配置されている。各羽根板510…は、第一方向と直交する第二方向であって、筒状部50の径方向に相当する第二方向に延びている。そして、各羽根板510…は、筒状部50の内周面に連結されている。すなわち、各羽根板510…の第二方向における両端は、筒状部50に支持されている。
【0028】
各羽根板510…は、第一方向及び第二方向と直交する第三方向(筒状部50の中心方向に相当する第三方向)における一端の配置と、その反対側の他端の配置とが、第一方向で異なるように配置されている。すなわち、各羽根板510…は、筒状部50の一端面側に向けて先下りした前傾姿勢をなしている。
【0029】
本実施形態において、ルーバー51は、筒状部50の一端面よりも他端側に配置されている。すなわち、ルーバー51(複数の羽根板510…)は、筒状部50の一端面よりも奥まった位置に配置されている。
【0030】
フランジ52は、板状に形成され、第一面と反対側の第二面とを有し、第一面が筒状部50の一端面と面一になるように設けられている。
【0031】
上記構成のガラリ5は、フランジ52が建物の壁面WSに沿った状態になるように、筒状部50が建物の壁に形成された貫通穴に嵌入される(
図6参照)。これにより、ガラリ5は、建物の壁に固定され、ルーバー51の羽根板510…によって貫通穴を目隠しするとともに、フランジ52によって壁(貫通穴を画定する周面)と筒状部50の外周面との間に形成される隙間を覆い隠すようになっている。
【0032】
フィルター取付具1は、ルーバー51を備えたガラリ5に対して通気性のあるシート状のフィルター(例えば、不織布)Fを取り付けるためのもので、ルーバー51の前面側に取り付け可能に構成された取付ベース10と、取付ベース10上に配置されたシート状のフィルターFを押さえるように取付ベース10に取り付け可能に構成されたフィルター押体20とを備える。
【0033】
取付ベース10は、
図1及び
図2(a)に示す如く、筒状部50の一端面に沿って配置されるフレーム100と、該フレーム100に連結された係止部101…であって、フレーム100に対して交差方向に延出し、羽根板510,510間に挿入可能に形成された係止部101…と、筒状部50の一端面とルーバー51との間にある筒状部50の内周面を押圧可能に設けられた押圧体102であって、フレーム100に支持された押圧体102と、フレーム100に連結された一対の押体係止部103,103であって、互いに間隔をあけて配置された少なくとも一対の押体係止部103,103とを備える。
【0034】
フレーム100は、ガラリ5の筒状部50の一端面(前面)に重ね合わされた状態で、筒状部50内への通気を許容可能に形成される。より具体的に説明する。本実施形態に係るフレーム100は、間隔で配置された一対のメインフレーム104,104と、一対のメインフレーム104,104を連結する一対のサブフレーム105,105とを備える。
【0035】
一対のメインフレーム104,104は、筒状部50の内径よりも狭い間隔で配置されている。一対のメインフレーム104,104のそれぞれは、剛性を有する線材で構成され、筒状部50の外径以上の長さに設定されている。本実施形態において、ガラリ5が前面にフランジ52を備えているため、一対のメインフレーム104,104のそれぞれは、フランジ52に重ね合わされた状態で両端部がフランジ52の外周からはみ出る長さに設定されている。
【0036】
本実施形態において、一対のメインフレーム104,14のそれぞれの両端部は、中央側(フランジ52と重ね合わされる領域)に対して傾斜するように曲げ加工されている。すなわち、一対のメインフレーム104,104は、フランジ52に重ね合わせた状態で両端部がガラリ5(フランジ52)側に延出するように形状設定されている。これにより、フレーム100(一対のメインフレーム104,104)は、フランジ52に重ね合わせた状態で両端部がフランジ52の外周と干渉することで、フランジ52に対して位置決めされるようになっている。
【0037】
一対のサブフレーム105,105は、メインフレーム104の長手方向に間隔をあけて配置されている。一対のサブフレーム105,105のそれぞれは、剛性を有する線材で構成され、一対のメインフレーム104,104の間隔以上の長さに設定されている。本実施形態において、一対のサブフレーム105,105のそれぞれは、メインフレーム104,104の間隔と同等の長さに設定されている。これに伴い、各サブフレーム105,105の一端部は、一方のメインフレーム104に連結され、各サブフレーム105,105の他端部は、他方のメインフレーム104に連結されている。これにより、一対のメインフレーム104,104及び一対のサブフレーム105,105は、一体となってフレーム100を構成している。
【0038】
係止部101…は、剛性を有する線材で構成されている。係止部101…の一端は、フレーム100に連結されている。係止部101…の長手方向の長さは、第三方向における筒状部50の一端面(フランジ52の第一面)からルーバー51までの距離よりも長い長さに設定されている。すなわち、係止部101は、フレーム100をフランジ52の第一面上に重ね合わせた状態で、ルーバー51の羽根板510,510間に挿入でき、且つ先端側(他端側)が羽根板510に係止可能な長さに設定されている。
【0039】
本実施形態において、係止部101は、真っ直ぐ延びるフレーム100(メインフレーム104)に対して所定の角度で傾斜している。すなわち、係止部101は、フレーム100に対してルーバー51の羽根板510の前傾姿勢と対応する角度(フランジ52の第一面又は第二面に対する羽根板510の角度と対応する角度)で傾斜している。
【0040】
本実施形態において、係止部101は、四つ設けられており、そのうちの二つは、一方のサブフレーム105に連結され、残りの二つは、他方のサブフレーム105に連結されている。これにより、四つの係止部101のうちの二つの係止部101は、一方のサブフレーム105の配置と対応し、メインフレーム104の長手方向で同一レベルに配置され、残りの二つの係止部101は、他方のサブフレーム105の配置と対応し、メインフレーム104の長手方向で同一レベルに配置されている。
【0041】
本実施形態において、二つの係止部101,101は、一方のサブフレーム105の両端に連結されている。これにより、二つの係止部101,101及び一方のサブフレーム105は、一体的になってコの字状を呈している。すなわち、二つの係止部101,101及び一方のサブフレーム105は、一本の線材をコの字状に曲げ加工することによって、一体的に形成されている。また、残りの二つの係止部101,101及び他方のサブフレーム105も同様である。
【0042】
本実施形態に係る取付ベース10は、押圧体102を支持する支持体106であって、フレーム100に連結された支持体106を備える。
【0043】
本実施形態に係る支持体106は、フレーム100に対して係止部101の延出する側で、一対のメインフレーム104,104に跨るように配置されている。より具体的には、支持体106は、短冊板状に形成されている。支持体106の長手方向と直交する短手方向の長さは、第三方向におけるフランジ52の第一面からルーバー51までの距離よりも短い長さに設定されている。
【0044】
そして、支持体106は、板厚方向がメインフレーム104の長手方向と一致するように配置された上で、長手方向の両端が一対のメインフレーム104,104に連結されている。支持体106は、メインフレーム104の長手方向において、係止部101と異なる位置であって、係止部101よりもメインフレーム104の端部側に配置されている。
【0045】
本実施形態において、係止部101は、一端側よりも他端側がフレーム100(メインフレーム104)の一端側に位置するように傾斜している。これに伴い、支持体106は、係止部101よりもメインフレーム104の他端側に配置されている。
【0046】
メインフレーム104の長手方向における係止部101(本実施形態においては、メインフレーム104の最も一端側にある係止部101)と支持体106との間隔は、筒状部50の内径よりも狭い間隔に設定される。すなわち、フレーム100をフランジ52に沿って配置した状態で、各係止部101及び支持体106が、筒状部50内に配置され得るように、係止部101及び支持体106が配置されている。
【0047】
本実施形態において、押圧体102は、ネジ部材で構成される。これに伴い、支持体106には、押圧体102を螺合させるネジ穴(採番しない)が設けられている。これにより、本実施形態に係る取付ベース10は、押圧体102を軸心周りで回転させることで、押圧体102を往復移動させ得るようになっている。
【0048】
押圧体102は、筒状部50が略真円筒状に形成されることを前提に、筒状部50の中心方向に対して直交方向又は略直交方向に移動可能に設けられている。本実施形態において、上述の如く、押圧体102は、ネジ部材で構成されているため、ネジ中心(回転中心)が筒状部50の中心方向に対して直交方向又は略直交方向に延びるように、支持体106に螺合されている。押圧体102は、フレーム100をフランジ52の第一面に重ね合わせた状態で、フランジ52の第一面(筒状部50の一端面)とルーバー51との間にある筒状部50の内周面と対向する位置に配置されている。すなわち、押圧体102は、フレーム100がフランジ52の第一面に重ね合わされた状態において、筒状部50の内周面(フランジ52の第一面(筒状部50の一端面)とルーバー51との間にある筒状部50の内周面)を押圧する押圧位置と、筒状部50の内周面から離間した押圧解除位置とに位置変更可能に設けられている。
【0049】
一対の押体係止部103,103は、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示す如く、メインフレーム104の延びる方向と直交する方向で係止部101とは反対側にメインフレーム104,104から延びる一対の立上部103a,103aと、該立上部103a及びメインフレーム104のそれぞれの延びる方向と直交する方向に延びる係止棒状部103bであって、一対の立上部103a,103aを連結する係止棒状部103bとを備えている。
【0050】
立上部103aの一端は、メインフレーム104に連結され、係止棒状部103bの両端は、各立上部103aの他端に接続されている。本実施形態において、一方の押体係止部103における一対の立上部103a,103aのそれぞれの一端は、対応するメインフレーム104,104の一端に連結され、他方の押体係止部103における一対の立上部103a,103aのそれぞれの一端は、対応するメインフレーム104,104の他端に連結されている。
【0051】
これにより、本実施形態に係る取付ベース10は、一対のメインフレーム104,104及び一対の押体係止部103,103が連続且つ一体になって枠状をなしている。なお、本実施形態に係る取付ベース10は、一本の線材を曲げ加工した上で、該線材の両端を連結することで、一対のメインフレーム104,104及び一対の押体係止部103,103が一体的に形成されている。
【0052】
図1に戻り、フィルター押体20は、互いに間隔をあけて配置され、押体係止部103,103に係止可能な少なくとも一対の被係止部200,200を備えている。
【0053】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るフィルター押体20は、径方向に弾性変形可能な環状の押体本体201と、押体本体201に連結された一対の被係止部200,200と、押体本体201に連結された一対の把持部202,202とを備える。
【0054】
押体本体201は、線材を環状にしたもので、フィルターFよりも小さな外径に設定される。
【0055】
一対の被係止部200,200のそれぞれは、押体本体201に連結されて該押体本体201から外方に延出した一対の外側延出部203,203であって、一対の立上部103a,103aの間隔よりも狭い間隔で配置された一対の外側延出部203,203と、一対の外側延出部203,203の先端同士を連結した外側連結部204とを備える。
【0056】
一対の被係止部200,200のそれぞれは、線材をコの字状に曲げ加工したもので、一対の外側延出部203,203及び外側連結部204が一体的に形成されている。
【0057】
一対の被係止部200,200は、フィルター押体20の中心を基準に対称的に配置されている。これにより、一対の被係止部200,200は、フィルター押体20から相反する方向に延出している。
【0058】
一対の把持部202,202は、押体本体201に連結されて該押体本体201から内方に延出した一対の内側延出部205,205であって、所定の間隔で配置された一対の内側延出部205,205と、一対の内側延出部205,205の先端同士を連結した内側連結部206とを備える。
【0059】
一対の把持部202,202のそれぞれは、線材をコの字状に曲げ加工したもので、一対の内側延出部205,205及び内側連結部206が一体的に形成されている。
【0060】
一対の把持部202,202のそれぞれは、一対の被係止部200,200のそれぞれと対応するように配置されている。すなわち、一対の把持部202,202は、内側延出部205が被係止部200の外側延出部203と同方向に延びるように、フィルター押体20の中心を基準に対称的に配置されている。これにより、一対の把持部202,202は、被係止部200,200と対応した位置でフィルター押体20から互いに向き合う方向(接近する方向)に延出している。
【0061】
本実施形態において、一方の被係止部200及び一方の把持部202は、一体的に形成され、他方の被係止部200及び他方の把持部202は、一体的に形成されている。
【0062】
より具体的に説明する。一方の被係止部200及び一方の把持部202は、一対の内側延出部205,205の間隔と一対の外側延出部203,203の間隔とを一致させており、内側延出部205と外側延出部203とが連続して形成されている。
【0063】
これに伴い、本実施形態において、線材を矩形状に曲げ加工することで、矩形状の一端側で一方の被係止部200が構成される一方、該矩形状の他端側で該一方の被係止部200と対応する一方の把持部202が構成されている。また、他方の被係止部200及び他方の把持部202も同様に形成されている。
【0064】
フィルター取付具1に採用されるフィルターFは、通気性があればよく、一般的には不織布等で構成される。フィルターFは、ルーバー51の前面を覆えるようにサイズや形状が設定される。
【0065】
本実施形態において、フランジ52が円環状に形成されているため、これに対応するように、押体本体201は、円環状に形成されている。これに伴い、フィルターFは、フランジ52及び押体本体201の外径よりも大きな外径に設定された円板状に形成されている。そして、上述の如く、各押体係止部103、103に立上部103aが形成されているため、フィルターFには、立上部103aと対応する位置に、立上部103aを躱すための切り込みCが設けられている。
【0066】
本実施形態に係るフィルター取付具1は、以上の構成からなり、次に、既設のガラリ5に対する取り付け方について説明する。
【0067】
まず、
図3に示す如く、取付ベース10のフレーム100が、ガラリ5の筒状部50の一端面(フランジ52の第一面)に沿って配置される。このとき、各係止部101…がルーバー51の羽根板510,510間に挿入される。本実施形態において、各係止部101…は、フレーム100(メインフレーム104)に対して羽根板510の前傾姿勢と対応した角度で傾斜しているため、上述の如く、各係止部101…は、羽根板510,510間に挿入された状態で概ね羽根板510に沿った姿勢になる。また、支持体106に支持された押圧体102は、ガラリ5における筒状部50の一端面(フランジ52の第一面)とルーバー(複数の羽根板510…)との間に介在する。なお、取付ベース10のフレーム100を筒状部50の一端面に沿わせるときは、押圧体102は、押圧解除位置に位置し、ガラリ5との干渉が回避されている。
【0068】
そして、この状態で、押圧体102により、筒状部50の内周面を押圧する。本実施形態においては、押圧体102がネジ部材で構成されているため、押圧体102を自信の軸線(中心)周りで回転させることで、押圧体102が前進して筒状部50の内面に当接乃至押圧する。
【0069】
これにより、取付ベース10(フレーム100と該フレーム100に連結された係止部101…)が押圧体102による押圧方向と反対向きに押される。その結果、係止部101…が羽根板510に押し付けられ、押圧体102と係止部101とがガラリ5内で突っ張った状態になり、取付ベース10がガラリ5に対して強固に固定される。本実施形態においては、係止部101は、フレーム100に対して傾斜しているため、上述の如く、羽根板510に押し付けられた状態で、羽根板510に係止された状態になり、第三方向における取付ベース10の移動がより確実に阻止される。
【0070】
すなわち、羽根板510に対する係止部101の押し付け力(摩擦力)だけでも、第三方向における取付ベース10の移動が阻止されるが、その押し付け力に加えて、係止部101が羽根板510に係止されることで、第三方向における取付ベース10の移動がより確実に阻止される。
【0071】
そして、
図4に示す如く、取付ベース10(フレーム100)上にシート状のフィルターFが配置される。このとき、フィルターFは、各切り込みCに対応する立上部103aが嵌め込まれる。
【0072】
そして、
図5及び
図6に示す如く、フィルターF上にフィルター押体20が配置される。このとき、一対の把持部202,202同士を互いに接近させるように把持すると、押体本体201が径方向に弾性変形して円形状から楕円状になり、一対の被係止部200,200の間隔が状態より狭くなる。すなわち、一対の被係止部200,200(外側連結部204)の間隔が、一対の押体係止部103,103(係止棒状部103b)の間隔よりも狭くなる。これにより、一対の押体係止部103,103(係止棒状部103b)の間に、一対の被係止部200,200を配置できる。
【0073】
そして、この状態から、一対の把持部202,202に対する把持を解除すると、押体本体201が自己の弾性によって円形状に復元する。これに伴い、一対の被係止部200,200の間隔が広がり、各被係止部200は、対応する押体係止部103内に進入する。すなわち、被係止部200は、立上部103aと係止棒状部103bとによって包囲された領域に進入し、外側延出部203が係止棒状部103bに係止された状態になる。
【0074】
この状態で、フィルター押体20は、第三方向における移動が確実に制限されることになり、押体本体201が取付ベース10のフレーム100及びフランジ52とともにフィルターFを挟み込んだ状態になり、取り付けが完了する。なお、上記の手順の逆の手順をとることで、フィルターFをフィルター取付具1から取り外すことや、フィルター取付具1全体をガラリ5から容易に取り外すことができる。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るフィルター取付具1は、建物の壁に形成された貫通穴に嵌入される筒状部50と、筒状部50内に配置された複数の羽根板510…であって、筒状部50の一端面よりも他端側に配置された複数の羽根板510…を有するルーバー51とを備えたガラリ5に対し、通気性の有るシート状のフィルターFをルーバー51の前面側に取り付けるためのものであり、ルーバー51の前面側に取り付けられる取付ベース10と、取付ベース10上に配置されたシート状のフィルターFを押さえるように取付ベース10に取り付け可能に構成されたフィルター押体20とを備え、取付ベース10は、筒状部50の一端面に沿って配置されるフレーム100と、該フレーム100に連結された一つ以上の係止部101…であって、フレーム100に対して交差方向に延出し、羽根板510,510間に挿入可能に形成された一つ以上の係止部101…と、筒状部50の一端面とルーバー51との間にある筒状部50の内周面を押圧可能に設けられた押圧体102であって、フレーム100に支持された押圧体102と、互いに間隔をあけて配置された少なくとも一対の押体係止部103,103とを備え、フィルター押体20は、押体係止部103,103と対応するように配置されて該押体係止部103,103に係止可能な少なくとも一対の被係止部200,200を備えている。
【0076】
そのため、上記構成のフィルター取付具1によれば、取付ベース10のフレーム100を筒状部50の一端面に沿って配置すると、一つ以上の係止部101…がルーバー51の羽根板510,510間に挿入される。この状態で、押圧体102が筒状部50の内周面を押圧すると、フレーム100と該フレーム100に連結された係止部101が押圧体102による押圧方向と反対向きに押される。これにより、係止部101が羽根板510に押し付けられ、結果的に押圧体102と係止部101とがガラリ5内で突っ張った状態になり、取付ベース10がガラリ5に対して強固に固定される。
【0077】
そして、取付ベース10上にシート状のフィルターFが配置され、そのフィルターF上にフィルター押体20が配置された上で、該フィルター押体20の被係止部200,200のそれぞれが取付ベース10の押体係止部のそれぞれに係止される。これにより、フィルター押体20がフィルターFを押さえた状態で取付ベース10に固定される。
【0078】
従って、本実施形態に係るフィルター取付具1は、既設のガラリ5のルーバー51が奥まった位置にあっても、適正且つ確実に取り付けることができ、フィルターFの交換を容易且つ迅速に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【0079】
また、本実施形態において、押圧体102は、筒状部50の内周面を押圧する押圧位置と、筒状部50の内周面から離間した押圧解除位置とに位置変更可能に設けられているため、押圧体102が押圧位置に位置したときに、押圧体102と係止部101とがガラリ5内で突っ張り合い、取付ベース10がガラリ5に対して強固に固定された状態になる一方、押圧体102が押圧解除位置に位置したときに、ガラリ5内での押圧体102と係止部101とが突っ張り合うことがなく、取付ベース10をガラリ5に対して着脱できる状態になる。従って、取付ベース10の着脱が容易になる。
【0080】
特に、本実施形態において、取付ベース10は、押圧体102を支持する支持体106であって、フレーム100に連結された支持体106を備え、押圧体102は、支持体106に螺合されたネジ部材とされているため、押圧体(ネジ部材)102を正逆転させるだけで、押圧位置と押圧解除位置とに位置変更する。従って、煩雑な作業を伴うことなく、取付ベース10の着脱が可能となる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論のことである。
【0082】
上記実施形態において、複数の羽根板510…が第一方向に間隔をあけて配置されたルーバー51を備えたガラリ5を一例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、フィルター取付具1の取り付け対象となるガラリ5は、例えば、複数の羽根板510…が格子状に配置されたルーバー51を備えたものであってもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、複数の羽根板510…が筒状部50に直接連結されたガラリ5を一例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、筒状部50の内周面から内方に延出した環状の枠部を備え、該枠部に対して複数の羽根板510…が連結されたものであってもよい。
【0084】
また、ガラリ5は、フランジ52を備えたものに限定されるものではなく、単に筒状部50内にルーバー51が配置されたものであってもよい。ようは、フィルター取付具1の対象となるガラリ5は、筒状部50内にルーバー51が配置され、該ルーバー51が筒状部50の一端面よりも他端側(奥まった位置)に配置されたものであればよい。
【0085】
上記実施形態において、係止部101が四つ設けられたが、これに限定されるものではなく、係止部101は、一つ以上あればよい。
【0086】
上記実施形態において、取付ベース10のフレーム100と押体係止部103とが一本の線材を曲げ加工することで、連続的(一体的)に形成されたが、これに限定されるものではなく、例えば、フレーム100と押体係止部103とが別体で構成され、その別体で構成されたフレーム100と押体係止部103とが連結されたものであってもよい。
【0087】
また、上記実施形態において、係止部101とフレーム100におけるサブフレーム105とが一本の線材を曲げ加工することで、連続的に形成されたが、これに限定されるものではなく、例えば、係止部101と、フレーム100(サブフレーム105)とが別体で構成され、その別体で構成された係止部101とフレーム100(サブフレーム105)とが連結されたものであってもよい。
【0088】
上記実施形態において、フィルター押体20の把持部202と被係止部200とが一本の線材を曲げ加工することで、連続的(一体的)に形成されたが、これに限定されるものではなく、例えば、把持部202と、被係止部200とが別体で構成され、その別体で構成された把持部202及び被係止部200のそれぞれが、押体本体201に連結されたものであってもよい。
【0089】
上記実施形態において、被係止部200が押体本体201から外方に延出して設けられたが、これに限定されない。例えば、押体本体201の外径を大きくして、該押体本体201の対象位置となる二箇所を一対の被係止部200,200としてもよい。
【0091】
上記実施形態において、押圧体102がネジ部材で構成されたが、これに限定されるものではく、押圧体102は、筒状部50の内周面を押圧できるものであれば、種々変更可能である。例えば、押圧体102がバネ部材で構成され、このバネ部材の付勢力によって筒状部50の内周面を押圧するようにしてもよい。
【0092】
また、押圧位置と押圧解除位置とに位置変更可能な押圧体102は、ネジ部材に限定されるものではない。例えば、押圧体102は、支持体106に対して軸心方向で移動自在に挿通された軸体で構成され、その軸心方向の移動によって押圧位置と押圧解除位置とに位置変更可能に構成してもよい。なお、この場合において、押圧体102を少なくとも押圧位置で固定するための止めネジ等の構成が必要となるため、押圧体102を押圧位置と押圧解除位置とに位置変更可能にする場合には、上記実施形態のように押圧体102がネジ部材で構成されることが好ましい。
【0093】
上記実施形態において、取付ベース10のフレーム100が、一対のメインフレーム104,104と一対のサブフレーム105,105とによって、矩形状に形成されたが、これに限定されない。例えば、取付ベース10のフレーム100は、ガラリ5のフランジ52に沿って重ね合わせ可能となるように、円環状に形成されてもよい。但し、この場合、係止部101をフレーム100に連結するための骨組みが必要となることは言うまでもない。また、フレーム100は、ガラリ5の筒状部50の開口を塞ぐことのないよう形成されることも言うまでもない。
【0094】
上記実施形態において、フィルター押体20の押体本体201が円環状に形成されたが、これに限定されるものではなく、押体本体201は、環状に形成されることを前提に、取り付けの対象となるフィルターFの外形状に即して形成されればよい。
【0095】
上記実施形態において、線材を加工することで、取付ベース10及びフィルター押体20のそれぞれが作成されたが、これに限定されるものではなく、取付ベース10及びフィルター押体20のそれぞれは、板材を抜き加工したり切断加工したりすることで作成されても勿論よい。
【0096】
上記実施形態において、筒状部50の内周が真円状に形成されることを前提に、押圧体102が筒状部50の中心方向と直交する方向に移動可能に設けられたが、これに限定されない。例えば、押圧体102の押圧対象となる筒状部50の内周面であって、一端面と連続する一端部の内周面がテーパー面とされる場合、押圧体102は、筒状部50の中心方向と交差する方向に移動可能に設けられてもよい。すなわち、押圧体102は、筒状部50の内周面であって、押圧の対象位置となる内周面に対して直交方向又は略直交方向に移動可能に設けられることが好ましい。