特許第6255220号(P6255220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255220
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】位置決め部材および建方方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20171218BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   E04G21/18 C
   E04B1/30 K
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-240590(P2013-240590)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-101823(P2015-101823A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】和泉 篤志
(72)【発明者】
【氏名】山田 仁
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特公平02−022179(JP,B2)
【文献】 特開平10−252278(JP,A)
【文献】 実開昭58−151255(JP,U)
【文献】 特開平10−280542(JP,A)
【文献】 特開平07−042374(JP,A)
【文献】 特開平04−118465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/18
E04B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材が接合される複合架構について、当該鉄骨部材の前記鉄筋コンクリート部材に対する高さを決定する位置決め部材であって、
前記鉄骨部材が載置されるボルトと、
当該ボルトが螺合されるナットと、
当該ナットに設けられて前記鉄筋コンクリート部材の鉄筋に取り付けられる支持部材と、を備え
前記ボルトは、当該鉄筋コンクリート部材の主筋位置よりも部材中心寄りに配置されることを特徴とする位置決め部材。
【請求項2】
鉄筋コンクリートに鉄骨部材が接合される複合架構について、当該鉄骨部材の前記鉄筋コンクリートに対する高さを決定する位置決め部材であって、
前記鉄骨部材が載置されるボルトと、
当該ボルトが螺合されるナットと、
当該ナットに設けられて前記鉄筋コンクリートの鉄筋に取り付けられる支持部材と、を備え
前記ボルトは、当該鉄筋コンクリート柱の柱主筋位置よりも柱中心寄りに配置されることを特徴とする位置決め部材。
【請求項3】
前記ナットの上端面は、コンクリート打設面から露出することを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め部材。
【請求項4】
鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材が接合される複合架構について、当該鉄骨部材の建方を行う建方方法であって、
前記鉄骨部材が載置されるボルトと、当該ボルトが螺合されるナットと、当該ナットに設けられて前記鉄筋コンクリート部材の鉄筋に取り付けられる支持部材と、を備える位置決め部材を用意し、
鉄筋コンクリート部材の鉄筋を配筋し、型枠を建て込む工程と、
前記ボルトが当該鉄筋コンクリート部材の主筋位置よりも部材中心寄りに位置するように、前記鉄筋に前記位置決め部材を取り付ける工程と、
前記型枠内にコンクリートを打設する工程と、
前記ボルトの上に前記鉄骨部材を載せる工程と、を備えることを特徴とする建方方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め部材および建方方法に関する。詳しくは、鉄骨部材の鉄筋コンクリート部材に対する高さを決定する位置決め部材、および、この位置決め部材を用いた建方方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、柱を鉄筋コンクリート造とし、梁を鉄骨梁とする複合柱梁架構の建物が知られている(特許文献1参照)。
このような建物の施工では、鉄筋コンクリート柱を構築し、この鉄筋コンクリート柱の柱頭部に鉄骨梁を据え付けるが、このとき、鉄骨梁の高さ位置を精度よく管理することが重要である。
【0003】
そこで、例えば、受け金物を用いて鉄骨梁の高さ位置を管理することが考えられる。
受け金物は、例えば、型枠に取り付けた型枠連結ボルトと、このボルトに支持されて柱ベース芯が予め穿孔されたプレートと、を備える(特許文献1参照)。
【0004】
この受け金物に設置方法は、例えば以下のようになる。
まず、柱筋を配筋し、その後、この柱筋を囲んで柱型枠を建て込む。次に、この型枠に鉄骨梁の受け金物の型枠連結ボルトを取り付けて、この型枠連結ボルトにプレートを取り付ける。その後、柱型枠内にコンクリートを打設し、この受け金物の上に鉄骨梁を載せる。
あるいは、コンクリートを打設した直後に、受け金物をコンクリートに埋め込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5077856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の受け金物を複合柱梁架構の構築に適用しようとすると、以下のような問題がある。
すなわち、鉄筋コンクリート柱のコンクリート打設時には、この柱型枠の内部にコンクリートホースを挿入してコンクリートを打設する。しかし、上述の受け金物のプレートは、鉄筋コンクリート柱の略中心に配置されるので、このプレートがコンクリートホースに干渉して、コンクリート打設作業を円滑に実施できないおそれがあった。
【0007】
また、受け金物の型枠連結ボルトを柱型枠に取り付けると、この型枠連結ボルトが柱筋に干渉してしまい、実際には、受け金物を柱型枠に取り付けることは困難であった。
【0008】
また、コンクリートを打設した直後に受け金物をコンクリートに埋め込んだ場合には、コンクリートの締まり具合によっては受け金物が沈み込んでレベルが下がったり、受け金物が傾いたりするおそれがあった。
【0009】
本発明は、コンクリート打設作業を円滑に行うことができ、かつ、鉄骨梁の高さを高精度で位置決めできる位置決め部材および建方方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1および2に記載の位置決め部材(例えば、後述の位置決め部材10)は、鉄筋コンクリート部材(例えば、後述の下階柱20A)に鉄骨部材(例えば、後述の鉄骨梁30)が接合される複合架構(例えば、後述の複合柱梁架構1)について、当該鉄骨部材の前記鉄筋コンクリート部材に対する高さを決定する位置決め部材であって、前記鉄骨部材が載置されるボルト(例えば、後述のボルト11)と、当該ボルトが螺合されるナット(例えば、後述の高ナット12)と、当該ナットに設けられて前記鉄筋コンクリート部材の鉄筋(例えば、後述のフープ筋24)に取り付けられる支持部材(例えば、後述の支持部材13)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、鉄骨部材としては、鉄骨梁や鉄骨柱が挙げられる。
また、鉄筋コンクリート部材としては、鉄筋コンクリート柱が挙げられる。
【0012】
この発明によれば、位置決め部材を、ボルト、ナット、および支持部材を含んで構成し、さらに、支持部材を鉄筋コンクリート部材の鉄筋に取り付けた。
したがって、位置決め部材を確実に固定できる。また、位置決め部材が鉄筋の近傍に配置されるので、この位置決め部材はコンクリート打設時にコンクリートホースに干渉しないから、コンクリート打設作業を円滑に行うことができる。
【0013】
また、コンクリートを打設した後、位置決め部材のボルトを回して、このボルトのナットからの突出寸法を調整することで、鉄骨部材を高精度で位置決めできる。
【0014】
請求項2に記載の位置決め部材は、前記鉄筋コンクリート部材は、鉄筋コンクリート柱であり、前記ボルトは、当該鉄筋コンクリート柱の柱主筋位置よりも柱中心寄りに配置されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、位置決め部材のボルトを、鉄筋コンクリート柱の柱主筋位置よりも柱中心寄りに配置したので、鉄骨部材の荷重が偏心荷重として鉄筋コンクリート柱に作用するのを抑制できる。
また、ボルトで支持された鉄骨部材の重量が鉄筋コンクリート柱の柱主筋で囲まれた部分に加わるようにすることで、偏心軸力の影響で鉄筋コンクリート柱の外縁部に生じるコンクリートの損傷やひびわれの発生を防止できる。
【0016】
請求項3に記載の位置決め部材は、前記ナットの上端面は、コンクリート打設面(例えば、後述のコンクリート打設面C)から露出することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ナットの上端面をコンクリート打設面から露出させることで、コンクリートの打設後に、ボルトを自在に回して、ボルトのナットからの突出寸法を調整することで、鉄骨部材を所定の高さに位置決めできる。
【0018】
請求項4に記載の建方方法は、鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材が接合される複合架構について、当該鉄骨部材の建方を行う建方方法であって、前記鉄骨部材が載置されるボルトと、当該ボルトが螺合されるナットと、当該ナットに設けられて前記鉄筋コンクリート部材の鉄筋に取り付けられる支持部材と、を備える位置決め部材を用意し、鉄筋コンクリート部材の鉄筋を配筋し、型枠を建て込む工程(例えば、後述のステップS1)と、前記鉄筋に位置決め部材を取り付ける工程(例えば、後述のステップS2)と、前記型枠内にコンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS3)と、前記ボルトの上に前記鉄骨部材を載せる工程(例えば、後述のステップS5)と、を備えることを特徴とする。
なお、前記鉄筋に位置決め部材を取り付ける工程では、前記ボルトを前記鉄筋コンクリート部材の主筋位置よりも部材中心寄りに配置する。
【0019】
この発明によれば、上述の請求項1と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置決め部材を、ボルト、ナット、および支持部材を含んで構成し、さらに、支持部材を鉄筋コンクリート部材の鉄筋に取り付けた。したがって、位置決め部材を確実に固定できる。また、位置決め部材が鉄筋の近傍に配置されるので、この位置決め部材はコンクリート打設時にコンクリートホースに干渉しないから、コンクリート打設作業を円滑に行うことができる。また、コンクリートを打設した後、位置決め部材のボルトを回して、このボルトのナットからの突出寸法を調整することで、鉄骨部材を高精度で位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る位置決め部材が取り付けられた複合架構の側断面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】前記実施形態に係る位置決め部材の平面図および側面図である。
図4】前記実施形態に係る位置決め部材を用いて鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材を取り付ける手順のフローチャートである。
図5】前記実施形態に係る位置決め部材を用いて鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材を取り付ける手順を説明するための図(その1)である。
図6】前記実施形態に係る位置決め部材を用いて鉄筋コンクリート部材に鉄骨部材を取り付ける手順を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る位置決め部材10が取り付けられた複合柱梁架構1の側断面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
複合柱梁架構1は、鉄筋コンクリート部材としての鉄筋コンクリート造の下階柱20Aと、この下階柱20Aの柱頭部に接合された鉄骨部材としての鉄骨梁30と、下階柱20Aの上に設けられた鉄筋コンクリート造の上階柱20Bと、を備える。
【0023】
下階柱20Aおよび上階柱20Bは、断面矩形状であり、コンクリート体21と、このコンクリート体21に打ち込まれた柱筋22と、を備える。
柱筋22は、略鉛直方向に延びる複数本の柱主筋23と、これら柱主筋23を囲んで上下方向に所定間隔おきに設けられたフープ筋24と、を備える。柱主筋23は、柱20A、20Bの四隅に、それぞれ、3本ずつ設けられている。
【0024】
位置決め部材10は、下階柱20Aの4つの側面のそれぞれに設けられている。各位置決め部材10は、フープ筋24の内側に取り付けられて、これにより、下階柱20Aの柱主筋23の位置よりも柱中心寄りに配置される。
鉄骨梁30は、4本のH形鋼を接合したものであり、上下のフランジ31と、これら上下のフランジ31を連結するウエブ32と、を備える。
【0025】
図3は、位置決め部材10の平面図および側面図である。
位置決め部材10は、この複合柱梁架構1について、鉄骨梁30を下階柱20Aに取り付ける際に、鉄骨梁30の下階柱20Aに対する高さを決定するものである。
この位置決め部材10は、鉄骨梁30が載置されるボルト11と、このボルト11が螺合される高ナット12と、この高ナット12の下端に設けられて下階柱20Aの柱筋22に取り付けられる支持部材13と、を備える。
【0026】
支持部材13は、高ナット12の下端に溶接固定されたプレート14と、このプレート14に溶接固定された2本のひげ筋15と、を備える。
ひげ筋15は、柱筋22のフープ筋24になまし線で結束固定されている。なお、これに限らず、ひげ筋15をフープ筋24に溶接固定してもよい。
【0027】
以下、下階柱20Aに鉄骨梁30を取り付ける手順について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ステップS1では、図5に示すように、下階柱20Aの柱筋22を配筋し、この柱筋22を囲んで柱型枠25を建て込む。
【0028】
ステップS2では、図5に示すように、柱筋22の4箇所に位置決め部材10を取り付ける。具体的には、ひげ筋15を柱筋22のフープ筋24になまし線で結束固定することで、各位置決め部材10を柱筋22に取り付ける。
ステップS3では、図5に示すように、柱型枠25内に図5中破線Cの高さまでコンクリートを打設する。これにより、高ナット12の上端面がこのコンクリート打設面Cから露出する。
【0029】
ステップS4では、図6に示すように、柱型枠25を解体し、位置決め部材10の高さ寸法を調整する。具体的には、各位置決め部材10のボルト11を回して、ボルト11の高ナット12からの突出寸法を調整し、ボルト11の高さを所定の高さで揃える。
ステップS5では、図6に示すように、鉄骨梁30を取り付ける。具体的には、位置決め部材10のボルト11の上に、鉄骨梁30の下フランジ31を載せる。
【0030】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)位置決め部材10を、ボルト11、高ナット12、および支持部材13を含んで構成し、さらに、支持部材13の2本のひげ筋15を下階柱20Aのフープ筋24に取り付けた。
したがって、位置決め部材10を確実に固定できる。また、位置決め部材10が柱筋22の近傍に配置されるので、この位置決め部材10はコンクリート打設時にコンクリートホースに干渉しないから、コンクリート打設作業を円滑に行うことができる。
【0031】
また、コンクリートを打設した後、位置決め部材10のボルト11を回して、このボルト11の高ナット12からの突出寸法を調整することで、鉄骨梁30を高精度で位置決めできる。
【0032】
また、高ナット12の下端に溶接固定されたプレート14に2本のひげ筋15を取り付けることで、コンクリートを打設する前に、鉄骨梁30を設置する所定高さにボルト11を設置できる。
【0033】
(2)位置決め部材10のボルト11を、下階柱20Aの柱主筋23の位置よりも柱中心寄りに配置したので、鉄骨梁30の荷重が偏心荷重として下階柱20Aに作用するのを抑制できる。
また、ボルト11で支持された鉄骨梁30の重量が下階柱20Aの柱主筋23で囲まれた部分に加わるようにすることで、偏心軸力の影響で下階柱20Aの外縁部に生じるコンクリートの損傷やひびわれの発生を防止できる。
【0034】
(3)高ナット12の上端面をコンクリート打設面Cから露出させることで、コンクリートの打設後に、ボルト11を自在に回して、ボルト11の高ナット12からの突出寸法を調整することで、鉄骨梁30を所定の高さに位置決めできる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、ひげ筋15をフープ筋24に直接取り付けたが、これに限らず、フープ筋同士の間に段取筋を配筋し、この段取筋にひげ筋を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
C…コンクリート打設面
1…複合柱梁架構
10…位置決め部材
11…ボルト
12…高ナット
13…支持部材
14…プレート
15…ひげ筋
20A…下階柱(鉄筋コンクリート部材)
20B…上階柱
21…コンクリート体
22…柱筋
23…柱主筋
24…フープ筋
25…柱型枠
30…鉄骨梁(鉄骨部材)
31…フランジ
32…ウエブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6