(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる種類の部品をそれぞれ収容して供給する複数の収容部を備えた部品供給部と前記部品供給部の各収容部から部品を採取して基板上へ実装する実装処理部とを備えた実装装置での、前記部品供給部で使用中の収容部と同種の部品を収容する予備収容部と、該使用中の収容部との交換作業の準備を支援する支援装置であって、
特定の収容部に含まれる総部品数と、他の収容部と異なる所定の変更値とを用いて、該特定の収容部の所定の使用済み部品数及び/又は所定の残存部品数を交換時期部品数に設定する設定手段と、
前記設定された交換時期部品数に関する交換情報を出力する出力手段と、
を備えた支援装置。
前記設定手段は、前記収容部の総部品数の80%以下の範囲の前記使用済み部品数を前記交換時期部品数に設定するか、又は、前記収容部の総部品数の20%以上の範囲の前記残存部品数を前記交換時期部品数に設定する、請求項1又は2に記載の支援装置。
前記設定手段は、前記収容部に含まれる総部品数に基づいて求められる交換時期が同じになる前記特定の収容部と前記他の収容部とに対して、前記異なる各々の交換時期部品数を設定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の支援装置。
前記設定手段は、前記設定した交換時期部品数に基づいて前記各々の収容部の前記予備収容部への交換時期が含まれる作業期間を取得し、前記取得した作業期間に含まれる前記予備収容部への交換に関する作業時間が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、前記作業時間が前記上限値を超える場合には、前記変更値を変更して再度、前記交換時期部品数を設定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支援装置。
前記設定手段は、前記交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での前記作業時間が前記上限値を超える場合には、前記上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、前記作業時間が前記新たな上限値を超えるか否かの判定を行う、請求項5に記載の支援装置。
前記設定手段は、前記設定した交換時期部品数に基づいて前記各々の収容部の前記予備収容部への交換時期が含まれる作業期間を取得し、前記取得した作業期間に含まれる前記予備収容部への交換数が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、前記交換数が前記上限値を超える場合には、前記変更値を変更して再度、前記交換時期部品数を設定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支援装置。
前記設定手段は、前記交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での交換数が前記上限値を超える場合には、前記上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、前記交換数が前記新たな上限値を超えるか否かの判定を行う、請求項7に記載の支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生産ラインでは、かなりの数のフィーダが使用中となっている。また、使用中のフィーダが部品切れになるまでに要する時間は、その部品がテープに保持されている個数や一つの基板に装着される個数などによって変動する。そのため、使用中のフィーダが部品切れになるタイミングは、各フィーダによって異なるが、場合によっては多数のフィーダが同時に部品切れになることがある。一度に多数のフィーダが部品切れになると、交換作業を担当する作業者の負担が多大になりすぎ、生産ラインをストップせざるを得ない事態を招くおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、部品を収容した予備収容部と使用中の収容部との交換作業を時期によらず平準化することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の支援装置は、
異なる種類の部品をそれぞれ収容して供給する複数の収容部を備えた部品供給部と前記部品供給部の各収容部から部品を採取して基板上へ実装する実装処理部とを備えた実装装置での、前記部品供給部で使用中の収容部と同種の部品を収容する予備収容部と、該使用中の収容部との交換作業の準備を支援する支援装置であって、
特定の収容部に含まれる総部品数と、他の収容部と異なる所定の変更値とを用いて、該特定の収容部の所定の使用済み部品数及び/又は所定の残存部品数を交換時期部品数に設定する設定手段と、
前記設定された交換時期部品数に関する交換情報を出力する出力手段と、
を備えたものである。
【0007】
この支援装置では、特定の収容部に含まれる総部品数と他の収容部と異なる所定の変更値とを用いてこの特定の収容部の使用済み部品数及び残存部品数の少なくとも一方を交換時期部品数に設定し、設定された交換時期部品数に関する交換情報を出力する。その後、この出力された交換情報を利用して、収容部の交換時期が作業者に報知される。このように、各収容部において、予備収容部との交換を行う交換時期部品数が異なるものとなることから、ある作業期間において交換すべき予備収容部の交換時期が、他の予備収容部の交換時期と重なりにくくなる。したがって、部品を収容した予備収容部と使用中の収容部との交換作業を時期によらず平準化することができる。ここで、「所定の変更値」としては、例えば、総部品数に乗算する係数(例えば1未満)や総部品数に加減する加減数などが挙げられる。また、「交換情報」としては、交換時期部品数を含むものとしてもよいし、これに加えて、又はこれに代えて、交換時期部品数を導出することができる情報、例えば、変更値を含むものとしてもよい。
【0008】
本発明の支援装置において、前記設定手段は、ランダムの変数を用いて前記特定の収容部と前記他の収容部との前記変更値を異なる値に設定するものとしてもよい。こうすれば、ランダムの変数を用いることにより、比較的容易に交換作業を平準化することができる。
【0009】
本発明の支援装置において、前記設定手段は、前記収容部の総部品数の80%以下の範囲の前記使用済み部品数を前記交換時期部品数に設定するか、又は、前記収容部の総部品数の20%以上の範囲の前記残存部品数を前記交換時期部品数に設定するものとしてもよい。こうすれば、例えば、収容部を使い切るよりも余裕を持って交換時期部品数を設定するため、各収容部間の交換時期部品数を異なるものにしやすい。また、例えば、収容部が部品を収容するテープなどである場合に、余剰で残るテープが比較的長いため、この余剰テープを継ぎ足す処理の頻度などをより低減することができ、交換作業に伴う他の作業の効率がよりよい。このとき、前記設定手段は、前記収容部の総部品数の70%以下の範囲、あるいは、60%以下の範囲の使用済み部品数を前記交換時期部品数に設定するものとしてもよい。あるいは、前記設定手段は、前記収容部の総部品数の30%以上の範囲、あるいは、40%以上の範囲の残存部品数を前記交換時期部品数に設定するものとしてもよい。また、予備収容部への交換頻度の増加をより抑制する観点から、前記設定手段は、前記収容部の総部品数の40%以上の範囲の前記使用済み部品数を前記交換時期部品数に設定することが好ましい。また、設定手段は、前記収容部の総部品数の60%以下の範囲の前記残存部品数を前記交換時期部品数に設定することが好ましい。
【0010】
本発明の支援装置において、前記設定手段は、前記収容部に含まれる総部品数に基づいて求められる交換時期が同じになる前記特定の収容部と前記他の収容部とに対して、前記異なる各々の交換時期部品数を設定するものとしてもよい。こうすれば、より確実に交換時期の重なりを抑制することができる。このとき、前記設定手段は、単位時間あたりの実装数と前記収容部に含まれる総部品数とにより求められる交換時期が同じになる前記特定の収容部と前記他の収容部とに対して、前記異なる各々の交換時期部品数を設定するものとしてもよい。あるいは、前記設定手段は、1つの部品の実装処理に要する実装時間と前記収容部に含まれる総部品数とにより求められる交換時期が同じになる前記特定の収容部と前記他の収容部とに対して、前記異なる各々の交換時期部品数を設定するものとしてもよい。
【0011】
本発明の支援装置において、前記設定手段は、前記設定した交換時期部品数に基づいて前記各々の収容部の前記予備収容部への交換時期が含まれる作業期間を取得し、前記取得した作業期間に含まれる前記予備収容部への交換に関する作業時間が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、前記作業時間が前記上限値を超える場合には、前記変更値を変更して再度、前記交換時期部品数を設定するものとしてもよい。こうすれば、所定の作業期間に含まれる作業時間が上限値以内になるため、より確実に交換作業を平準化することができる。このような交換時期部品数を再設定する処理は、すべての作業期間において交換すべき収容部の作業時間が上限値を超えなくなるまで繰り返すことが好ましい。この「所定の作業期間に含まれる作業時間」には、例えば、予備収容部を使用可能に準備する時間と、使用中の収容部と予備収容部とを交換する時間とのうち少なくとも一方を含むものとしてもよい。このとき、前記設定手段は、前記交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での前記作業時間が前記上限値を超える場合には、前記上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、前記作業時間が前記新たな上限値を超えるか否かの判定を行うものとしてもよい。こうすれば、当初設定した上限値が小さすぎて平準化の効果が得られなかったとしても、その後上限値が大きな値に更新されるため最終的には平準化の効果が得られる。
【0012】
あるいは、本発明の支援装置において、前記設定手段は、前記設定した交換時期部品数に基づいて前記各々の収容部の前記予備収容部への交換時期が含まれる作業期間を取得し、前記取得した作業期間に含まれる前記予備収容部への交換数が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、前記交換数が前記上限値を超える場合には、前記変更値を変更して再度、前記交換時期部品数を設定するものとしてもよい。こうすれば、所定の作業期間に含まれる交換数が上限値以内になるため、より確実に交換作業を平準化することができる。このような交換時期部品数を再設定する処理は、すべての作業期間において交換すべき収容部の交換数が上限値を超えなくなるまで繰り返すことが好ましい。このとき、前記設定手段は、前記交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での交換数が前記上限値を超える場合には、前記上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、前記交換数が前記新たな上限値を超えるか否かの判定を行うものとしてもよい。こうすれば、当初設定した上限値が小さすぎて平準化の効果が得られなかったとしても、その後上限値が大きな値に更新されるため最終的には平準化の効果が得られる。
【0013】
上限値を変更する態様の本発明の支援装置において、前記設定手段は、前記交換作業に従事する一人の作業者が前記予備収容部を交換するのに要する時間の倍数を前記上限値に加えた値を前記新たな上限値に設定するものとしてもよい。こうすれば、作業人数の増加などによって、より確実に交換作業を平準化することができる。
【0014】
本発明の支援装置は、前記出力された前記交換情報に基づく交換時期部品数に前記特定の収容部の部品数が至ると、該特定の収容部と前記予備収容部との交換を行う旨の報知情報を作業者に報知する報知手段、を備えたものとしてもよい。こうすれば、作業者は、報知された報知情報により、例えばどのような予備収容部をいつ交換すればよいのか把握することができる。ここで、報知手段は、例えば、画面を表示出力することによって作業者に報知情報を報知するものとしてもよいし、音声を出力することによって作業者に報知情報を報知するものとしてもよいし、印刷物を印刷出力することにより作業者に報知情報を報知するものとしてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は生産エリアA1及び準備エリアA2を含む組立工場1の全体図、
図2は実装装置11の斜視図、
図3はフィーダ72の説明図、
図4は管理コンピュータ60のブロック図である。
【0017】
組立工場1は、
図1に示すように、基板に電子部品を実装する生産エリアA1と、生産エリアA1へ電子部品を補給する準備を行う準備エリアA2とを有している。生産エリアA1には、生産ライン10を構成する複数(
図1では4つ)の実装装置11a〜11dと、基板の生産を管理する管理コンピュータ60とが設けられている。なお、
図1の生産エリアA1は、生産ラインを1列だけ有するものとしたが、複数列有していてもよい。なお、本実施形態において、本実施形態では、実装装置11a〜11dを実装装置11と総称し、実装装置11の左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図2に示した通りとする。また、実装処理とは、部品を基板上に配置、装着、挿入、接合、接着する処理などを含む。
【0018】
実装装置11は、
図2に示すように、基板16を搬送する基板搬送装置18と、XY平面を移動可能なヘッド24と、ヘッド24に取り付けられZ軸へ移動可能な吸着ノズル40と、部品を供給する部品供給装置70と、情報の表示及び入力を行う操作パネル55と、各種制御を実行する実装コントローラ50とを備えている。基板搬送装置18は、左右一対の支持板20,20にそれぞれ取り付けられたコンベアベルト22,22(
図2では片方のみ図示)により基板16を左から右へと搬送する。ヘッド24は、X軸スライダ26がガイドレール28,28に沿って左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30がガイドレール32,32に沿って前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。吸着ノズル40は、圧力を利用して、ノズル先端に部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している部品を離したりするものである。この吸着ノズル40は、ヘッド24に内蔵されたZ軸モータ34とZ軸に沿って延びるボールネジ36によって高さが調整される。部品供給装置70は、左右方向に並んだ複数のスロット71を有しており、各スロット71にはフィーダ72が差し込み可能となっている。フィーダ72には、テープが巻き付けられたリール73が取り付けられている。テープの表面には、部品がテープの長手方向に沿って等間隔に並んだ状態で保持されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、
図3に示すスプロケット74によって所定ピッチずつ送り出され、フィルムが剥がされて部品が露出した状態で所定位置に配置される。所定位置に配置された部品は、吸着ノズル40によって吸着される。このフィーダ72は、情報を書き込み、消去可能な記憶素子75を備えており、この記憶素子にリール73に収容された部品の種別の情報及びその総部品数が記憶されている。
【0019】
操作パネル55は、画面を表示する表示部56と、作業者からの入力操作を受け付ける操作部57とを備えている。表示部56は、液晶ディスプレイとして構成されており、実装装置11の作動状態や報知すべき情報を画面表示する。操作部57は、カーソルを上下左右に移動させるカーソルキー、入力をキャンセルするキャンセルキー,選択内容を決定する決定キーなどを備えており、作業者の指示をキー入力できるようになっている。実装コントローラ50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM52、各種データを記憶するHDD53、作業領域として用いられるRAM54を備えている。実装コントローラ50は、基板搬送装置18、X軸スライダ26、Y軸スライダ30、ヘッド24、操作パネル55及び部品供給装置70と信号のやり取りが可能なように接続されている。この実装コントローラ50は、スロット71にフィーダ72が装着されると記憶素子75が本体側に接続され、各フィーダ72の記憶素子75に記憶された部品種別や総部品数などの情報を取得可能になる。
【0020】
管理コンピュータ60は、本発明の支援装置の機能を有するものであり、
図1、4に示すように、コンピュータ本体62と入力デバイス64とディスプレイ66とを備えている。コンピュータ本体62は、
図4に示すように、CPU62aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM62b、各種データを記憶するHDD62c、作業領域として用いられるRAM62d、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース62eなどを備えている。これらはバス62fを介して接続されている。また、コンピュータ本体62には、入出力インタフェース62eを介して、入力デバイス64であるマウスやキーボードが接続されると共に、出力デバイスであるディスプレイ66が接続されている。更に、コンピュータ本体62は、入出力インタフェース62e及び通信デバイス68を介してLANに接続されており、準備作業用コンピュータ90と双方向通信可能となっている。コンピュータ本体62のHDD62cには、実装条件に関する情報などが含まれる生産ジョブデータが記憶されている。生産ジョブデータには、各実装装置11においてどのスロット位置のフィーダからどの部品をどういう順番でどの基板種の基板へ実装するか、また、そのように実装した基板を何枚作製するかなどが定められている。
【0021】
準備エリアA2には、
図1に示すように、作業テーブル80と、準備作業用コンピュータ90とが設けられている。作業テーブル80は、準備エリアA2で作業者がリール73を空のフィーダ72へ補給(装着)して予備フィーダ76を作製(準備)するのに使用される。準備作業用コンピュータ90は、コンピュータ本体92と入力デバイス94とディスプレイ96とを備えており、オペレータによって操作される入力デバイス94からの信号を入力可能であり、ディスプレイ96に種々の画像を出力可能である。入力デバイス94には、マウスやキーボードやラベルリーダ(ここではバーコードリーダ)が接続されている。この準備作業用コンピュータ90は、空のフィーダ72にリール73を装着する補給作業を行うべき予備フィーダ76に関する情報をディスプレイ96に表示する。
【0022】
準備エリアA2の作業者は、予備フィーダ76を作製する際、
図1に示すように、リール73に貼付されたバーコードラベル73aとそのリール73を装着するフィーダ72に貼付されたバーコードラベル72aとを準備作業用コンピュータ90のラベルリーダで読み取る。すると、準備作業用コンピュータ90は、両者を対応づけて記憶する。リール73のバーコードは、リール73に巻かれたテープに保持されている部品の情報(部品の種類や個数)と予め対応づけられて管理コンピュータ60によってデータベース化されている。そのため、フィーダ72のバーコードは、リール73のバーコードを介して、そのリール73に巻かれたテープに保持されている部品の情報と対応づけられる。なお、この準備作業用コンピュータ90は、フィーダ72の記憶素子75に接続可能であり、記憶素子75にリール73の情報を記憶させるものとする。
【0023】
なお、図示しないが、組立工場1には、準備エリアA2の上流側に倉庫エリアが設けられ、更にその上流側に着荷エリアが設けられている。着荷エリアでは、新品のリール73に識別番号(ID)を発行する。リール73のIDは、バーコード化され、着荷エリア内の部品登録用コンピュータによって、リール73に巻かれたテープに保持された部品の情報と対応づけられて登録されると共にバーコードラベル73aに印刷される。印刷されたバーコードラベル73aは、リール73に貼り付けられる。倉庫エリアには、複数の部品棚が備えられている。部品棚には、多数のリール73が整理されて並べられている。作業者は、倉庫エリアの部品棚から補給に必要なリール73を選出し、準備エリアA2へ移動させる。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態の支援装置としての管理コンピュータ60の動作、特に、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72とを交換する目安となるフィーダ72の残存部品数である交換時期部品数に関する情報を出力する処理について説明する。
図5は、管理コンピュータ60のCPU62aにより実行される平準化処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図6は、フィーダ72の交換タイミングの概念図であり、
図6(a)が平準化処理前の各フィーダの交換時期及び作業時間の関係図、
図6(b)が平準化処理後の各フィーダの交換時期及び作業時間の関係図である。平準化処理ルーチンは、HDD62cに記憶され、生産ライン10での実装処理の実行開始前に実行される。なお、作業者は、平準化処理ルーチンの実行前に、生産ライン10での作業人数や、作業量増加に伴う作業者の増援人数などを事前に管理コンピュータ60に入力しておくものとする。
【0025】
このルーチンを開始すると、管理コンピュータ60のCPU62aは、HDD62cから生産ジョブデータを取得し(ステップS100)、総部品数などの情報を生産ジョブデータから取得し、各フィーダ72の部品切れ交換時間を算出する(ステップS110)。部品切れ交換時間は、そのリール73を使い切るのに要する時間であり、単位時間あたりの実装数又は1部品あたりの実装時間と、総部品数とにより算出することができる。生産ジョブデータには、各フィーダ72のリール73に含まれる部品種別や、総部品数、基板1枚あたりに使用される部品数、各配置位置への実装に要する移送時間などが含まれている。CPU62aは、これらのデータに基づいて各フィーダ72の部品切れ交換時間を算出する。例えば、同じ部品数を収容し単位時間あたりの実装数が同じフィーダ72では、部品切れ交換時間は同じになり、その交換時期が同じになる(
図6(a)のフィーダNo.2〜4参照)。フィーダ72の総部品数は、新品の場合はリール73に含まれる全部品数であり、使用済みの場合は新品の状態の部品数から消費した部品数を差し引いた値である。なお、生産ジョブデータには、現在生産ライン10に装着されている各フィーダ72から読み出して取得した部品種別や部品数が含まれているものとしてもよい。なお、
図6(a)は、部品切れ交換時間を求め、同じ総部品数の予備フィーダ76をフィーダ72へ交換する処理を継続した場合の説明図である。部品切れの交換時刻は、現在の時刻に部品切れ交換時間を加えることにより求めることができる。
【0026】
次に、CPU62aは、部品切れ交換時間が同じフィーダをフィーダ群として抽出する処理を行い(ステップS120)、各フィーダ群に含まれるフィーダ72の各々に対応する変更値を異なる値に設定する(ステップS130)。この変更値は、予備フィーダ76への交換を報知する残存部品数である交換時期部品数を設定するために用いられるものであり、例えば、総部品数に乗算する係数(例えば1未満)として定められている。この変更値は、例えば、初期値を0.10とし、この初期値から所定値(例えば0.05)ずつ加算されることによってそれぞれが異なる値になるものとしてもよい。具体的には、フィーダNo.2の変更値を0.10とし、フィーダNo.3の変更値を0.15とし、フィーダNo.4の変更値を0.20とするものとしてもよい。
【0027】
次に、CPU62aは、フィーダ72の総部品数と変更値とを用いて、各フィーダ72に対応する交換時期部品数を設定する(ステップS140)。交換時期部品数の設定は、例えば、総部品数に係数である変更値を乗算することにより行うものとしてもよい。具体的には、フィーダNo.2〜4が1万個の部品を収容し、変更値がそれぞれ0.10、0.15、0.20であるとき、フィーダNo.2の交換時期部品数は残り1千個、フィーダNo.3の交換時期部品数は残り1千5百個、フィーダNo.4の交換時期部品数は残り2千個となる。例えば、
図6(a)に示すように、部品切れ交換時間が同じフィーダ(No.2〜4)では、同じ作業期間にリール73の補給作業や予備フィーダ76との交換作業を行うことになる(作業期間t4参照)。ここでは、変更値を異なるものとすることにより交換時期部品数(部品切れ交換時間、交換時期)を異なるものとするのである。
【0028】
交換時期部品数を設定すると、CPU62aは、この交換時期部品数に基づいて、所定数までフィーダ72を交換したすべてのフィーダの交換時期、作業時間を算出する(ステップS150)。ここでは、CPU62aは、交換時期部品数に達したときに次の予備フィーダ76に交換されるものとして、各フィーダ72の交換タイミングを所定数(例えば10回など)計算し、例えば、
図6(b)に示すような、実装装置11での工程表を作成する。作業時間は、空のフィーダ72へのリール73の補給に要する補給時間(例えば3分や6分など)と、使用中のフィーダ72と予備フィーダ76との交換に要する交換時間(例えば2分や4分など)とを加えた時間である。
【0029】
続いて、CPU62aは、作業時間が上限値を超えている作業期間があるか否かを判定する(ステップS160)。作業期間は、補給時間や交換時間を1単位としてこれらに基づいて設定されるものとしてもよい(例えば10分や30分など)。上限値は、例えば、補給作業及び交換作業に従事する一人の作業者が予備フィーダ76を補給及び交換するのに要する時間の倍数に基づいて定められているものとしてもよい。具体的には、上限値は、一人の作業者が予備フィーダ76を補給及び交換するのに要する時間と補給及び交換作業を担当する作業者の人数との積に、必要に応じて所定のマージンを加えて定められているものとしてもよい。この上限値は、割り当てられる作業者の人数に応じて初期値が設定されるが、生産ライン10を担当する作業者の人数の変更に応じて変更される(後述ステップS190参照)。
【0030】
作業時間が上限値を超えている作業期間がないときには、CPU62aは、作業者の作業量が適切であるものとみなし、設定した交換時期部品数に関する交換情報を実装装置11へ送信出力すると共にディスプレイ66へ表示出力し(ステップS170)、このルーチンを終了する。交換情報は、例えば、交換時期部品数を含むものとしてもよいし、交換時期部品数を導出することができる情報としての変更値を含むものとしてもよいが、ここでは、交換情報は、変更値を含むものとする。実装装置11の実装コントローラ50は、取得した交換情報を各フィーダ72の交換時期の報知タイミングとしてHDD53に記憶し、実装処理時にこれを利用する。このように、管理コンピュータ60は、予備フィーダ76への交換を報知するタイミングである交換時期部品数を変更値を用いて異なる値にする。これにより、意図的に部品の残存を許容しつつ、同じ時期に交換処理が重なるであろうフィーダ72の交換時期を分散させることができる。
【0031】
一方、ステップS160で、作業時間が上限値を超えている作業期間があるときには、CPU62aは、所定回数までステップS140の交換時期部品数を設定したか否かを判定する(ステップS180)。所定回数まで交換時期部品数を設定していないときには、CPU62aは、ステップS130以降の処理を繰り返し実行する。ここで、繰返し時のステップS130では、各フィーダ72の交換時期部品数の差がより大きくなるように、変更値を更に変更するものとする。具体的には、CPU62aは、初期値(0.10)に加算する所定値を0.05よりも大きな値、0.06や0.08などに変更するものとしてもよい。また、ステップS180で判定に用いる所定回数は、例えば、各フィーダの交換時期が適度に分散するように経験的に定めた回数、例えば、5回や10回などに設定してもよい。そして、所定回数に亘って交換時期部品数を設定する間に、作業時間が上限値以下となれば、CPU62aは、ステップS170でその交換情報を出力してこのルーチンを終了する。一方、ステップS180で、交換時期部品数の設定が所定回数に至ったときには、作業者の作業量が過多であるものとみなし、CPU62aは、上限値をより大きな値に変更し(ステップS190)、ステップS130以降の処理を繰り返す。具体的には、CPU62aは、補給及び交換作業に従事する一人の作業者が予備フィーダ76を補給及び交換するのに要する時間の倍数を上限値に加えた値を新たな上限値に設定するものとする。このより大きい上限値の設定は、例えば、補給及び交換作業に増援可能な人数に基づいて行うことができる。このような上限値を更新する処理は、すべての作業期間において予備フィーダ76の作業時間(補給時間及び交換時間)が上限値を超えなくなるまで繰り返される。なお、上限値を大きくしたのちのステップS130では、変更値を初期値に戻すものとしてもよい。そして、上限値をより大きな値に変更し、ステップS160で作業時間が上限値以下となれば、CPU62aは、ステップS170でその交換情報を出力してこのルーチンを終了する。
【0032】
ここで、平準化処理について、
図6を用いて説明する。ここでは、上限値の初期値が10分、作業期間が10分に定められており、1つのフィーダ72の補給作業に3分、交換作業に2分、要するものとして説明する。
図6(a)に示すように、部品切れ交換時間(例えば実装開始から2時間後など)が同じであるフィーダ72では、通常どおりに交換タイミングを設定すると、各フィーダの作業(補給作業及び交換作業)が同じ作業期間で重なる(作業期間t4、t8、t12)。管理コンピュータ60は、このような場合に、予備フィーダ76への交換時期に該当する交換時期部品数を、他のフィーダと異なる変更値を用いて、他のフィーダと異なる値に設定する。このため、例えば、部品切れ交換時間が同じであるフィーダ72においても、
図6(b)に示すように、その交換を報知する時期(交換時期部品数)が適度に分散し、各フィーダ72の作業が適度に分散するのである。
【0033】
次に、実装装置11の動作、例えば、管理コンピュータ60から取得した交換情報を用いて実装処理を実行する処理について説明する。
図7は、実装コントローラ50のCPU51により実行される実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、実装コントローラ50のHDD53に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンは、例えば、実装装置11の各ユニットを利用してCPU51が実行するものとする。
【0034】
このルーチンが開始されると、CPU51は、まず、管理コンピュータ60から生産ジョブデータを取得し(ステップS200)、記憶されている交換情報を用いて各フィーダ72の交換時期部品数を設定する(ステップS205)。交換時期部品数は、各フィーダ72に収容されている部品の総部品数を各フィーダ72から取得すると共に、交換情報に含まれる変更値(係数)を取得し、総部品数に係数を乗算することにより求めることができる。なお、交換情報に交換時期部品数の情報が含まれているときには、CPU51は、交換情報から直接、交換時期部品数を取得することができる。設定した交換時期部品数は、RAM54に記憶される。次に、CPU51は、基板16の搬送及び固定処理を実行し(ステップS210)、生産ジョブデータの実装順に基づいて、吸着を行う部品を設定し(ステップS220)、部品の吸着処理及び配置処理を行う(ステップS230)。この処理では、CPUは、部品供給装置70の所定のピックアップ位置に吸着ノズル40を移動させ、部品を吸着する。部品を吸着したのち、CPU51は、生産ジョブデータで指定されている実装位置の座標まで吸着ノズル40を移動させ、部品を基板16上に配置させる。次に、CPU51は、各フィーダ72の残存部品数を更新してRAM54に記憶すると共に、この残存部品数を管理コンピュータ60へ出力する(ステップS240)。
【0035】
続いて、CPU51は、各フィーダ72の残存部品数が、それぞれに設定されている交換時期部品数に到達したか否かを判定し(ステップS250)、残存部品数が交換時期部品数に到達したフィーダ72があるときには、使用中のフィーダ72とその予備フィーダ76との交換を要する旨の情報である報知情報を操作部57に表示させる(ステップS260)。この報知情報には、交換を要するフィーダ72の識別番号や装着位置、交換する期限時刻などを含んでおり、CPU51は、これらの情報を含む交換報知画面を表示部56に表示するものとする。なお、CPU51は、この報知情報を管理コンピュータ60や準備作業用コンピュータ90へ出力し、この報知情報をディスプレイ66やディスプレイ96に表示させるものとしてもよい。また、CPU51は、管理コンピュータ60や準備作業用コンピュータ90へ交換情報と残存部品数とを出力し、ステップS250の処理をこれらのコンピュータが実行し、ディスプレイ66やディスプレイ96に交換報知画面を表示させるものとしてもよい。この交換報知画面を確認した作業者は、該当する予備フィーダ76の補給作業及び交換作業を行う。
【0036】
ステップS260のあと、又は、ステップS250で残存部品数が交換時期部品数に到達していないときには、CPU51は、現在の基板16の実装処理が完了したか否かを判定し(ステップS270)、現在の基板16の実装処理が完了していないときには、ステップS220以降の処理を実行する。即ち、CPU51は、現在の基板16上に部品を次々に実装する。一方、ステップS270で現在の基板16の実装処理が完了したときには、CPU51は、実装完了した基板16を排出し(ステップS280)、生産完了したか否かを判定する(ステップS290)。生産完了していないときには、CPU51は、ステップS210以降の処理を繰り返し実行する。即ち、CPU51は、新たな基板16を搬送、固定し、残存部品数が交換時期部品数に到達したときには報知情報(交換報知画面)を表示させつつ、部品を基板16上へ実装する処理を繰り返し行う。一方、ステップS290で生産完了したときには、このルーチンを終了する。このように、実装装置11では、他のフィーダ72と異なる値に設定された交換時期部品数に残存部品数が至ると、交換作業を促す報知情報を作業者に報知する。作業者は、フィーダ72を使い切る前であっても、報知されたフィーダ72の交換作業を行うのである。なお、平準化処理を行うと、部品を使い切る前にフィーダ72を交換することから、部品を含む余剰のテープが生じる。この余剰のテープは、例えば、部品数の管理変更を伴って、他のテープに繋ぎ合わせ、新たなリール73とするスプライシング作業を行うものとする。繋ぎ合わされたリール73は、フィーダ72にセットされて、実装処理に利用される。
【0037】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ72(リール73)が本発明の収容部に相当し、予備フィーダ76(リール73)が予備収容部に相当し、部品供給装置70が部品供給部に相当し、X軸スライダ26、Y軸スライダ30及びヘッド24が実装処理部に相当し、CPU62aが設定手段及び出力手段に相当し、操作パネル55が報知手段に相当する。
【0038】
以上説明した管理コンピュータ60によれば、特定のフィーダ72に含まれる総部品数と他のフィーダ72と異なる所定の変更値とを用いてこのフィーダ72の残存部品数を交換時期部品数に設定し、設定された交換時期部品数に関する交換情報を実装装置11へ出力する。その後、この出力された交換情報を利用して、フィーダ72の交換タイミングが作業者に報知される。このように、各フィーダ72において、予備フィーダ76との交換を行う交換時期部品数が異なるものとなることから、ある作業期間において交換すべき予備フィーダ76の交換時期が、他の予備フィーダ76の交換時期と重なりにくくなる。したがって、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。
【0039】
また、CPU62aは、単位時間あたりの実装数とフィーダ72に含まれる総部品数とにより求められる交換時期が同じになる特定のフィーダ72と他のフィーダ72とに対して、異なる各々の交換時期部品数を設定するため、より確実に交換時期の重なりを抑制することができる。更に、CPU62aは、設定した交換時期部品数に基づいて各々のフィーダ72の予備フィーダ76への交換時期が含まれる作業期間を取得し、取得した作業期間に含まれる予備フィーダ76への交換に関する作業時間が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、作業時間が上限値を超える場合には、変更値を変更して再度、交換時期部品数を設定する。このため、所定の作業期間に含まれる作業時間が上限値以内になるため、より確実に交換作業を平準化することができる。更にまた、CPU62aは、交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での作業時間が上限値を超える場合には、上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、作業時間が新たな上限値を超えるか否かの判定を行う。このため、当初設定した上限値が小さすぎて平準化の効果が得られなかったとしても、その後上限値が大きな値に更新されるため最終的には平準化の効果が得られる。そして、CPU62aは、交換作業に従事する一人の作業者が予備フィーダ76を交換するのに要する時間の倍数を上限値に加えた値を新たな上限値に設定するため、作業人数の増加などによって、より確実に交換作業を平準化することができる。そしてまた、CPU62aは、交換時期部品数に特定のフィーダ72の残存部品数が至ると、使用中のフィーダ72と予備フィーダ76との交換を行う旨の報知情報を作業者に報知するため、作業者は、報知された報知情報により、例えばどのような予備フィーダ76をいつ交換すればよいのか把握することができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、
図5に示す平準化処理ルーチンを実行するものとしたが、フィーダ72の交換時期が重ならないようにするものとすれば、特にこれに限定されない。例えば、CPU62aは、ランダムの変数を用いて特定のフィーダ72と他のフィーダ72との変更値を異なる値に設定するものとしてもよい。
図8は、別の平準化処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。平準化処理ルーチンは、HDD62cに記憶され、生産ライン10での実装処理の実行開始前に実行される。このルーチンを開始すると、CPU62aは、生産ジョブデータを取得し(ステップS300)、ランダムの変数を用いて、各フィーダ72の残存部品数が所定範囲になる、各フィーダ72で異なる変更値を設定する(ステップS310)。このとき、CPU62aは、残存部品数の所定範囲をフィーダ72の総部品数の20%以上60%以下の範囲に設定するものとしてもよい。総部品数の20%以上の範囲では、例えば、フィーダ72を使い切るよりも余裕を持って交換時期部品数を設定するため、各フィーダ72間の交換時期部品数を異なるものにしやすい。また、例えば、フィーダ72が部品を収容するテープなどである場合に、余剰で残るテープが比較的長いため、この余剰テープを継ぎ足す処理の頻度などをより低減することができ、交換作業に伴う他の作業の効率がよりよい。また、総部品数の60%以上の範囲では、フィーダ72の交換頻度をより抑制することができ好ましい。この残存部品数の所定範囲は、総部品数の30%以上の範囲としてもよいし、40%以上の範囲としてもよい。残存部品数の所定範囲は、交換作業の頻度と残余テープのスプライシング処理の繋ぎ合わせ回数との関係で、好適な範囲を経験的に設定するものとしてもよい。次に、CPU62aは、設定した変更値を交換時期部品数に関する交換情報として実装装置11に出力し(ステップS320)、このルーチンを終了する。交換情報を取得した実装装置11は、例えば、上述した実施処理ルーチンを実行し、ステップS250で残存部品数が交換時期部品数に到達したか否かを判定し、到達したときには報知情報を表示する。このようにランダムに設定された変更値を用いて交換時期部品数を求めると、
図6(b)に示す場合と同様に、各フィーダ72の交換時期部品数が異なる値になりやすく、それだけでも、交換作業の平準化を図ることができる。また、ランダムの変数を用いることにより、比較的容易な処理で交換作業を平準化することができる。なお、ランダムの変数を用いない、上述の実施形態の態様であっても、上記所定範囲になるように変更値を設定するものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、フィーダ72に残存する残存部品数を交換時期部品数に設定するものとして説明したが、特にこれに限られず、フィーダ72で使用された使用済み部品数を交換時期部品数に設定するものとしてもよい。また、
図8の平準化処理についても同様である。
図8の平準化処理において、例えば、CPU62aは、所定範囲として、フィーダ72の総部品数の80%以下40%以上の範囲の使用済み部品数を交換時期部品数に設定することが好ましい。このとき、所定範囲は、総部品数の70%以下、あるいは、60%以下の範囲としてもよい。こうしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、交換情報を取得した実装装置11は、例えば、上述したのと同様の実施処理ルーチンを実行し、ステップS250で使用済み部品数が交換時期部品数に到達したか否かを判定し、到達したときには報知情報を表示すればよい。
【0043】
上述した実施形態では、ステップS150で特定の作業期間に含まれる作業時間を算出し、ステップS160で作業時間が上限値を超えるか否かを判定したが、特にこれに限定されず、フィーダ72の交換数に基づいてもよい。具体的には、CPU62aは、設定した交換時期部品数に基づいて各々のフィーダ72の予備フィーダ76への交換時期が含まれる作業期間を取得し、取得した作業期間に含まれる予備フィーダ76への交換数が予め定めた上限値を超えるか否かを判定し、交換数が上限値を超える場合には、変更値を変更して再度、交換時期部品数を設定するものとしてもよい。フィーダ72の交換に関する作業時間は、フィーダ72の交換数に対応するから、こうしても、上述した実施形態と同様に、所定の作業期間に含まれる交換数が上限値以内になるため、より確実に交換作業を平準化することができる。このとき、CPU62aは、交換時期部品数を再設定する処理を行った後もいずれかの作業期間での交換数が上限値を超える場合には、上限値よりも大きな値を新たな上限値に設定し、交換数が新たな上限値を超えるか否かの判定を行うものとしてもよい。こうすれば、当初設定した上限値が小さすぎて平準化の効果が得られなかったとしても、その後上限値が大きな値に更新されるため最終的には平準化の効果が得られる。
【0044】
上述した実施形態では、部品切れ交換時間が同じになるフィーダ72を抽出してこれらに対して異なる変更値を設定するものとして説明したが、例えば、部品切れによる交換時刻が同じになるフィーダ72を抽出してこれらに対して異なる変更値を設定するものとしてもよい。こうすれば、交換タイミングが重なるフィーダ72に対して異な変更値が設定されるから、実装処理の途中で平準化処理ルーチンを実行する場合に有効である。あるいは、上述した実施形態では、部品切れ交換時間が同じになるフィーダ72を抽出してこれらに対して異なる変更値を設定するものとして説明したが、この処理を省略してもよい。即ち、すべてのフィーダ72に対して異なる変更値を設定するものとしてもよい。こうしても、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。
【0045】
上述した実施形態では、上限値を更新する処理をすべての作業期間において予備フィーダ76の作業時間が上限値を超えなくなるまで繰り返すものとしたが、これに限定されない。例えば、上限値が許容範囲外になる場合は、上限値を大きくする処理をそこでやめ、最後に設定した変更値を採用するものとしてもよいし、それまでに設定した中で作業時間が上限値を最も超えない変更値を採用するものとしてもよい。こうしても、できるだけ交換作業の平準化を行うことはできる。
【0046】
上述した実施形態では、所定の作業期間に含まれる作業時間が上限値を超えるか否かを判定したが、このステップS150、S160、S180の処理を省略してもよい。また、上述した実施形態では、ステップS190で上限値をより大きくするものとして説明したが、この処理を省略してもよい。こうしても、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。また、処理内容をより簡便にすることができる。
【0047】
上述した実施形態では、実装装置11は、他のフィーダ72と異なる値に設定された変更値を用いて実装処理を繰り返し実行するものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、初回又は初回から数回までのフィーダ72の交換に対してのみ、他のフィーダ72と異なる値に設定された変更値を用いて実装処理を実行するものとしてもよい。例えば、フィーダ72の部品切れ交換時間が同じであっても、1回目の交換時期をずらしたあとは、各フィーダ72の変更値を同じにしても、1回目のずれた交換時期が継続するから、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。上述した実装装置11では、変更値が0.50に設定されたあとは、総部品数が1万個であるフィーダ72がスロット71に装着されると、残存部品数が5千個に到達すると交換が報知される。また、その後、総部品数が5千個であるフィーダ72がスロット71に装着されると、残存部品数が2千5百個に到達すると交換が報知される。このように、上述した処理を行うと、リール73の部品の残余数に大きな違いが出ることがある。一方、2回目以降の交換に対して、他のフィーダ72と同じ値の変更値(例えば係数1.0近傍の値)を用いて実装処理を行うものとすれば、リール73の部品の残余数をより小さくすることができる。
【0048】
上述した実施形態では、報知情報を操作パネル55で報知するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、ディスプレイ66やディスプレイ96で報知情報を報知するものとして、操作パネル55での報知情報の報知を省略してもよい。こうしても、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。
【0049】
上述した実施形態では、交換作業に従事する一人の作業者が予備フィーダ76を交換するのに要する時間の倍数を上限値に加えた値を新たな上限値に設定するものとしたが、上限値を大きく変更するものとすれば、特にこれに限定されない。
【0050】
上述した実施形態では、変更値は、初期値(0.10)に所定値(0.05)を加算することによって異なる値にするものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、ランダムの変数を用いて各フィーダ72間で異なる値とするものとしてもよい。こうしても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。あるいは、CPU62aは、作業者が設定した変更値を入力デバイス64からの入力により取得し、これを用いて交換時期部品数を設定するものとしてもよい。こうしても、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。
【0051】
上述した実施形態では、変更値は総部品数に乗算する係数(例えば1未満)として説明したが特にこれに限定されず、例えば、総部品数に加減する加減値などとしてもよい。また、交換情報には、交換時期部品数を導出することができる情報として変更値を含むものとしたが、特にこれに限定されず、これに加えて、又はこれに代えて交換時期部品数を含むものとしてもよい。上述した実施形態では、単位時間あたりの実装数を用いて部品切れ交換時間を算出するものとしたが、これに限定されず、1つの部品の実装処理に要する実装時間を用いて部品切れ交換時間を算出するものとしてもよい。上述した実施形態では、作業時間には、リール73を予備フィーダ76へ補給する補給時間と、使用中のフィーダ72と予備フィーダ76とを交換する交換時間を含むものとしたが、少なくとも交換時間を含むものとすればよい。
【0052】
上述した実施形態では、部品を収容するテープを巻き付けたリール73を装着したフィーダ72を「収容部」として説明したが、特にこれに限定されず、例えば、部品を載置するトレイを「収容部」としてもよい。こうしても、収容部の交換作業の平準化を行うことができる。
【0053】
上述した実施形態では、フィーダ72にリール73をセットすることにより予備フィーダ76を作製したが、テープ巻き取り部を内蔵するコンパクト型のフィーダを用いる場合には、リールからテープ巻き取り部にテープを巻き取ることにより予備フィーダを作製してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、画面を表示出力することによって作業者に報知情報を報知するものとしたが、特にこれに限定されず、音声を出力することによって作業者に報知情報を報知するものとしてもよいし、印刷物を印刷出力することにより作業者に報知情報を報知するものとしてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、実装処理の実行開始前に平準化処理ルーチンを行うものとして説明したが、特にこれに限定されず、所定期間の経過ごとに平準化処理ルーチンを繰り返し実行するものとしてもよい。こうしても、予備フィーダ76と使用中のフィーダ72との交換作業を時期によらず平準化することができる。
【0056】
上述した実施形態では、管理コンピュータ60が支援装置の機能を有するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、実装装置11の実装コントローラ50が支援装置の機能を有するものとしてもよいし、準備作業用コンピュータ90が支援装置の機能を有するものとしてもよいし、それ以外のコンピュータが支援装置の機能を有するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、管理コンピュータ60を支援装置として説明したが、特にこれに限定されず、例えば、支援方法としてもよいし、そのプログラムとしてもよい。