【実施例】
【0052】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0053】
<実施例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の一方の面に、破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である厚さ25μmの2軸延伸ポリアミドフィルム2をドライラミネートし、次いで前記アルミニウム箔4の他方の面に、厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム3をドライラミネートして、
図1に示す成形用包装材を得た。なお、ドライラミネートのための接着剤としてウレタン系接着剤5、6を用いた。
【0054】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が350MPaであり破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムは、6−ナイロン100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.2質量部を混合して得られたナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を190℃に設定することにより得られたものである。
【0055】
また、前記未延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.1質量部、エルカ酸アマイド0.1質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を無延伸Tダイ製膜加工することにより得られたものである。
【0056】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.0であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0057】
<実施例2>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が240MPaであり且つ破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0058】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が240MPaであり破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を200℃に設定することにより得られたものである。
【0059】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.1であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0060】
<
参考例1>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が270MPaであり且つ破断歪みが1.2である2軸延伸ポリアミドフィルムを用い、ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.1質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0061】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が270MPaであり破断歪みが1.2である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を195℃に設定することにより得られたものである。
【0062】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.4であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.3であった。
【0063】
<実施例
3>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が320MPaであり且つ破断歪みが2.0である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0064】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が320MPaであり破断歪みが2.0である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を190℃に設定することにより得られたものである。
【0065】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.0であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0066】
<実施例
4>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が300MPaであり且つ破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0067】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が300MPaであり破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を195℃に設定することにより得られたものである。
【0068】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.0であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0069】
<
参考例2>
破断強度/破断歪み、の値が270MPaであり且つ破断歪みが1.2である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が300MPaであり且つ破断歪みが0.4である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、
参考例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0070】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が300MPaであり破断歪みが0.4である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を190℃に設定することにより得られたものである。
【0071】
上記のようにラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.4であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.4であった。
【0072】
<実施例
5>
ナイロン樹脂組成物として、6−ナイロン100質量部、アンチブロッキング剤(アクリル樹脂ビーズ)0.2質量部を混合して得られたナイロン樹脂組成物を用い、ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.1質量部、エルカ酸アマイド0.2質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0073】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.1であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0074】
<実施例
6>
ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.2質量部、エルカ酸アマイド0.1質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0075】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.0であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0076】
<
参考例3>
ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径3μmのシリカ粒子)0.15質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0077】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.5であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.3であった。
【0078】
<
参考例4>
ナイロン樹脂組成物として、6−ナイロン100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのアクリル樹脂ビーズ)0.3質量部を混合して得られたナイロン樹脂組成物を用い、ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.10質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0079】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.6であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0080】
<
参考例5>
ナイロン樹脂組成物として、6−ナイロン100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.25質量部を混合して得られたナイロン樹脂組成物を用い、ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.10質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0081】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.4であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.3であった。
【0082】
<
参考例6>
ナイロン樹脂組成物として、6−ナイロン100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.05質量部を混合して得られたナイロン樹脂組成物を用い、ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.05質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0083】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は2.2であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.6であった。
【0084】
<
参考例7>
ポリプロピレン樹脂組成物として、ポリプロピレン樹脂100質量部、アンチブロッキング剤(平均粒径2μmのシリカ粒子)0.01質量部を混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例
4と同様にして成形用包装材を得た。
【0085】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.4であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は2.2であった。
【0086】
<比較例1>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が370MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0087】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が370MPaであり破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を180℃に設定することにより得られたものである。
【0088】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.0であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.1であった。
【0089】
<比較例2>
破断強度/破断歪み、の値が350MPaであり且つ破断歪みが0.8である2軸延伸ポリアミドフィルムに代えて、破断強度/破断歪み、の値が220MPaであり且つ破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして成形用包装材を得た。
【0090】
なお、前記破断強度/破断歪みの値が220MPaであり破断歪みが1.0である2軸延伸ポリアミドフィルムは、実施例1と同じナイロン樹脂組成物を同時2軸延伸法を用いて延伸加工し、該延伸加工時の熱固定温度を220℃に設定することにより得られたものである。
【0091】
ラミネートして得られた成形用包装材における2軸延伸ポリアミドフィルムの摩擦係数の比A/Bの値は1.5であり、該成形用包装材における未延伸ポリプロピレンフィルムの摩擦係数の比C/Dの値は1.3であった。
【0092】
【表1】
【0093】
上記のようにして得られた各成形用包装材に対して下記評価法に基づいて性能評価を行った。
【0094】
<成形性評価法>
株式会社アマダ製の深絞り成形具を用いて、成形用包装材を縦55mm×横35mm×深さ8mmの直方体形状に深絞り成形を行い、得られた成形ケースにおける4箇所のコーナー部での成形性を下記判定基準に基づいて評価した。なお、ピンホールの有無は、暗室にて光透過法で調べた。
(判定基準)
「×」…ピンホールがコーナー部のほぼ全面に発生した。
「△」…成形形状がシャープであり、ピンホールがコーナー部のごく一部に発生する場合が稀にあるがピンホールが発生することは実質的に殆どなかった。
「○」…成形形状がよりシャープであり、かつピンホールが全く発生しなかった。
「◎」…成形形状が非常にシャープであり、かつピンホールが全く発生しなかった。
【0095】
<外面の剥離の有無の評価>
上記深絞り成形により得られた成形品を乾燥機内で80℃で3時間放置した後、外面層が剥離を生じていないか目視観察を行った。
【0096】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜
6、参考例1〜7の成形用包装材は、ピンホール等を発生させることなく、シャープでかつ成形高さの深い形状の成形を行うことができて成形性に優れていると共に、外面層の剥離も生じなかった。
【0097】
これに対し、外側層の2軸延伸ポリアミドフィルムの破断強度/破断歪みの値が360MPaを超える比較例1では、外面層の剥離を生じた。また、外側層の2軸延伸ナイロンフィルムの破断強度/破断歪みの値が230MPa未満である比較例2では、成形性が不十分であった。
【0098】
なお、A/Bの値とC/Dの値のうち少なくともいずれか一方が1.2を超えて2.0以下の範囲である
参考例1〜5の成形用包装材は、成形性の評価が「○」であるのに対し、A/Bの値が1.0〜1.2の範囲であり、かつC/Dの値が1.0〜1.2の範囲である実施例1、2、
3、
4、
5、
6の成形用包装材は、成形性の評価が「◎」であり成形性に非常に優れている。