特許第6255279号(P6255279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255279
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】シート貼付装置および貼付方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20171218BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20171218BHJP
   B65H 27/00 20060101ALN20171218BHJP
   H01L 21/683 20060101ALN20171218BHJP
【FI】
   C09J5/00
   C09J7/02 Z
   !B65H27/00 B
   !H01L21/68 N
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-36026(P2014-36026)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-160880(P2015-160880A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−174247(JP,A)
【文献】 特開2012−126416(JP,A)
【文献】 特開昭63−238182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 5/00−5/10,7/00−7/04
B65H 27/00
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する供給手段と、
前記供給手段で供給された前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、押圧面によって前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する押圧手段とを備え、
前記接着シートは、前記第2接着面が第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状とされ、
前記押圧手段の押圧面には、前記テーパ形状を維持可能なテーパ形状維持手段が設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する供給手段と、
前記供給手段で供給された前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、押圧面によって前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する押圧手段とを備え、
前記押圧手段の前記押圧面には、第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状となるように、前記第2接着面を変形可能なテーパ形状形成手段が設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
前記第2接着面における前記テーパ形状部分と前記押圧面とで形成される領域を減圧可能な減圧手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
第1接着面と第2接着面とを有し、前記第2接着面が第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状とされた接着シートを供給する工程と、
前記テーパ形状を維持可能なテーパ形状維持手段が押圧面に設けられた押圧手段を用い、前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、前記テーパ形状維持手段によって前記テーパ形状を維持しつつ、前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する工程とを備えていることを特徴とするシート貼付方法。
【請求項5】
第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する工程と、
第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状となるように、前記第2接着面を変形可能なテーパ形状形成手段が押圧面に設けられた押圧手段を用い、前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、前記テーパ形状形成手段によって前記第2接着面をテーパ形状に変形させつつ、前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する工程とを備えていることを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という場合がある)に接着シートを貼付するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシート貼付装置は、直径が両端に向かうにしたがって小さくなるテーパを有するテーパローラを備え、テープ(接着シート)が当該テーパローラに押し付けられることによって、接着シート幅方向のテンションが与えられるとともに、接着シート幅方向中央付近がウエハ(被着体)に対して突出し、テープ貼り付けローラ(押圧手段)によって接着シートが被着体の中心線付近から当該被着体の周辺へ順次貼付されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−124500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の装置では、接着シートが第1接着面と第2接着面とを有する両面接着シートの場合、押圧手段によって第2接着面側から押圧されて第1接着面が第1被着体に貼付されるため、当該貼付後の接着シートの第2接着面は平坦形状となってしまい、当該第2接着面に第2被着体を貼付する際に、当該第2接着面と当該第2被着体との接着界面に気泡が形成されてしまうという不都合がある。このような不都合を解消するために、接着シートの第2接着面と第2被着体とを真空雰囲気下で貼付することも考えられるが、真空雰囲気を作り出す機構を設ける必要があり、装置が大型化したり、制御が複雑化したりするという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、装置の大型化および制御の複雑化を招くことなく、第2接着面との間に気泡が形成されないように第2被着体を貼付可能な状態として、接着シートを第1被着体に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のシート貼付装置は、第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する供給手段と、前記供給手段で供給された前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、押圧面によって前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する押圧手段とを備え、前記接着シートは、前記第2接着面が第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状とされ、前記押圧手段の押圧面には、前記テーパ形状を維持可能なテーパ形状維持手段が設けられている、という構成を採用している。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本発明の他のシート貼付装置は、第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する供給手段と、前記供給手段で供給された前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、押圧面によって前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する押圧手段とを備え、前記押圧手段の前記押圧面には、第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状となるように、前記第2接着面を変形可能なテーパ形状形成手段が設けられている、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記第2接着面における前記テーパ形状部分と前記押圧面とで形成される領域を減圧可能な減圧手段を備えている、ことが好ましい。
【0009】
一方、本発明のシート貼付方法は、第1接着面と第2接着面とを有し、前記第2接着面が第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状とされた接着シートを供給する工程と、前記テーパ形状を維持可能なテーパ形状維持手段が押圧面に設けられた押圧手段を用い、前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、前記テーパ形状維持手段によって前記テーパ形状を維持しつつ、前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する工程とを備えている、という構成を採用している。
【0010】
また、本発明の他のシート貼付方法は、第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給する工程と、第2被着体に点接触可能または線接触可能な頂部を有するテーパ形状となるように、前記第2接着面を変形可能なテーパ形状形成手段が押圧面に設けられた押圧手段を用い、前記接着シートの第1接着面を第1被着体に当接させ、前記テーパ形状形成手段によって前記第2接着面をテーパ形状に変形させつつ、前記第2接着面側から前記第1被着体方向に押圧力を付与して当該接着シートを前記第1被着体に貼付する工程とを備えている、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0011】
以上のような本発明によれば、接着シートの第2接着面に設けられていたテーパ形状をテーパ形状維持手段で維持しつつ、または、テーパ形状形成手段で第2接着面にテーパ形状を形成しつつ、接着シートを第1被着体に押圧して貼付することができる。このように第1被着体に貼付された接着シートは、第2接着面の頂部を第2被着体に当接させ、そのまま第2被着体に押圧するという1の動作によって、第2接着面と第2被着体との貼付領域を頂部から徐々に外縁側に広げ、空気を追い出すようにして貼付することができ、真空雰囲気を作り出す機構等が必要なくなり、装置の大型化および制御の複雑化を招くことなく、第2接着面との間に気泡が形成されないように第2被着体を貼付可能な状態として、接着シートを第1被着体に貼付することができる。
【0012】
この際、第2接着面におけるテーパ形状部分と押圧面とで形成される領域を減圧可能な減圧手段を設ければ、第2接着面の接着剤をテーパ形状維持手段やテーパ形状形成手段内に引き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
図2】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
図3】(A)、(B)、(C)は本発明の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各実施形態での同様の構成および動作については、詳細な説明を省略する。
また、以下において、基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥といった方向を示した場合は、全て図1を正規の方向(付した番号が適切な向きとなる方向)から観た場合を基準とし、上、下、左、右方向が紙面に平行な方向であり、前が紙面に直交する手前方向、後が紙面に直交する奥側方向とする。
【0015】
図1において、シート貼付装置10は、第1接着面FA1と第2接着面FA2とを有する接着シートとしての両面接着シートATを供給する供給手段20と、供給手段20で供給された両面接着シートATの第1接着面FA1を第1被着体WK1の被着面WA1に当接させ、押圧面31によって第2接着面FA2側から第1被着体WK1方向に押圧力を付与して当該両面接着シートATを第1被着体WK1に貼付する押圧手段としての押圧ローラ30と、第1被着体WK1を支持して当該第1被着体WK1と押圧ローラ30とを相対移動させる支持手段40とを備えている。
【0016】
供給手段20は、両面接着シートATの第1接着面FA1が帯状の第1剥離シートRL1上に仮着されるとともに第2接着面FA2に枚葉状の第2剥離シートRL2が仮着された原反RSを支持する支持ローラ21と、原反RSを案内する複数のガイドローラ22と、第1剥離シートRL1を折り返し当該第1剥離シートRL1から両面接着シートATを剥離する剥離手段としての剥離板23と、駆動機器としての回動モータ24によって駆動する駆動ローラ25との間に第1剥離シートRL1を挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動機器によって駆動し、第1剥離シートRL1を回収する回収ローラ27とを備え、その全体が図示しないフレームに支持されている。
【0017】
ここで、両面接着シートATは、図1中符号AAで示すように、略四角板状の接着剤AD層により構成され、第1接着面FA1は平坦面とされるとともに、第2接着面FA2は2つの面が所定の角度で繋がり、当該繋がり部によって図示しない第2被着体の被着面に線接触可能な頂部TLを有するテーパ形状とされている。
接着剤AD層および第1、第2剥離シートRL1、RL2としては、何ら制限はなく、接着剤AD層は、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着剤で構成されたものが例示でき、第1、第2剥離シートRL1、RL2は、紙、樹脂、ゴムなどにシリコーン系剥離剤、アルキルペンダント系剥離剤、縮合ワックス系剥離剤、フッ素系剥離剤、ポリエステル系剥離剤などの剥離剤を積層したものや、シリコーン樹脂、アルキルペンダント樹脂、縮合ワックス樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂などそのものからなるものが例示でき、第1、第2剥離シートRL1、RL2は、同じ材質でも、異なる材質でもよい。
なお、接着剤AD層および第1、第2剥離シートRL1、RL2の厚みは、技術常識に照らし合わせてどのような厚みでもよい。特に、本発明の接着シートとしての両面接着シートATは、当該両面接着シートATを第2被着体に貼付するときに、当該両面接着シートATと第2被着体の被着面との接着界面に気泡が混入しないように、両面接着シートATまたは第2被着体を折り曲げて空気を追い出すようにして貼付することができない場合にも効果を発揮する。また、接着剤AD層の第2接着面FA2における頂部TLの高さHTは、当該第2接着面FA2の最下部に比べて1μm〜5mm高くなっているものが例示できるが、それ以上の高低差でもよいしそれ以下の高低差でもよい。
また、接着剤AD層は、第2被着体に押圧するときに流動性があることが好ましく、第2被着体に押圧するときに、当該接着剤AD層のテーパ形状が押し均されて厚みが略一様(略均等)になるとよい。なお、接着剤AD層は、加熱または冷却等の外力を加えることで流動性を発揮するものや流動性が向上するものでもよい。また、被着面側が変形可能なものである場合、接着剤AD層は、被着体に押圧するときに流動性が低くてもよいし流動性がなくてもよい。
【0018】
押圧ローラ30の押圧面31には、テーパ形状を維持可能な2つのテーパ形状維持手段32が押圧ローラ30の回転方向に沿って設けられている。テーパ形状維持手段32は、第2剥離シートRL2が仮着された両面接着シートATの形状に対応し、頂部TL、第2接着面FA2および側面FBのそれぞれの形状を維持する頂部維持部32A、接着面維持部32Bおよび側面維持部32Cを備えている。テーパ形状維持手段32の深さは、第2剥離シートRL2および両面接着シートATが当該テーパ形状維持手段32に変形することなく収容された際に、第1接着面FA1側部分が押圧面31から若干突出する深さに設定され、第1接着面FA1が第1被着体WK1に貼付されるようになっている。なお、押圧によって押圧ローラ30(押圧面31)が圧縮変形する場合、テーパ形状維持手段32の深さは、上記と同じ条件下で、第1接着面FA1側部分が押圧面31から突出しない深さに設定してもよい。また、テーパ形状維持手段32は、第2接着面FA2に形成されたテーパ形状を維持可能であればよいので、当該テーパ形状に対応した形状(同じ形状)でもよいし、対応しない形状(異なる形状)であってもよい。テーパ形状維持手段32がテーパ形状に対応しない形状の場合、両面接着シートATを第1被着体WK1に押圧する際、テーパ形状部と押圧面31とで形成される領域を加圧する加圧ポンプやタービン等の加圧手段を設けてもよい。
【0019】
支持手段40は、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の吸引手段によって第1被着体WK1を吸着保持可能な支持面41を有するテーブル42と、テーブル42をスライダ43Aで支持する駆動機器としてのリニアモータ43とを備えている。
【0020】
以上のシート貼付装置10において、第1被着体WK1に両面接着シートATを貼付する手順を説明する。
先ず、作業者が原反RSを図1に示すようにセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の入力手段を介して運転開始の信号を入力すると、供給手段20が回動モータ24および図示しない駆動機器を駆動し、原反RSを繰り出す。そして、両面接着シートATの繰出方向先端部が剥離板23によって所定量剥離されたことが図示しない検知手段に検知されると、供給手段20が回動モータ24および図示しない駆動機器の駆動を停止し、スタンバイ状態となる。
【0021】
そして、人手または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が支持面41上に第1被着体WK1を載置すると、支持手段40が図示しない吸引手段を駆動し、第1被着体WK1を吸着保持した後、リニアモータ43を駆動し、テーブル42を図1中実線で示す初期位置から左方向に搬送する。そして、第1被着体WK1が所定の位置に到達したことが図示しない検知手段に検知されると、供給手段20が回動モータ24および図示しない駆動機器を駆動し、第1被着体WK1の搬送速度に合わせて両面接着シートATを繰り出す。これにより、図1中符号ABで示すように、両面接着シートATの繰出方向先端部をテーパ形状維持手段32の内部に入り込ませ、当該両面接着シートATの繰出方向先端部を押圧面31によって第1被着体WK1の左端部に押圧して貼付する。その後も第1被着体WK1の搬送と両面接着シートATの繰り出しとが継続されることで、テーパ形状維持手段32内に両面接着シートATが順次収容され、第2接着面FA2のテーパ形状を維持した状態で、両面接着シートATを第1被着体WK1に押圧し、同図中二点鎖線で示すように、両面接着シートAT全体を第1被着体WK1に貼付する。
なお、押圧手段は、押圧ローラ30を回転可能な図示しない駆動機器を備えてもよく、この場合、両面接着シートATの繰出方向先端部がテーパ形状維持手段32の内部に入り込み、図1中符号ABで示した状態になった後、押圧手段が図示しない駆動機器を駆動し、第1被着体WK1の搬送速度に合わせて押圧ローラ30を回転させてもよい。
【0022】
その後、両面接着シートATが貼付された第1被着体WK1は、人手または図示しない搬送手段によって次工程へ搬送され、テーブル42が初期位置に復帰し、以降上述と同様の動作が繰り返される。
なお、第1被着体WK1に貼付された両面接着シートATを図示しない第2被着体に貼付するときには、両面接着シートATから第2剥離シートRL2を剥離した後、所定の平面からなる支持面を備えた支持手段で第1被着体WK1側から支持する。その後、第2被着体の被着面と両面接着シートATを支持した支持面とを略平行に配置し、支持面に略直交する方向に支持手段と第2被着体とを相対移動させて押圧する。これにより、初めに頂部TLが被着面に当接し、その後もそれらの相対移動により第2接着面FA2が徐々に外縁に向かって貼付されてゆく。すなわち、第2接着面FA2の頂部TLを第2被着体に当接させ、そのまま第2被着体に押圧するという1の動作によって、第2接着面FA2と第2被着体との貼付領域を頂部TLから徐々に外縁側に広げ、空気を追い出すようにして貼付することができる。このような貼付は、両面接着シートATが貼付された第1被着体WK1をテーブル42で支持した状態で行ってもよい。
【0023】
以上のような第1実施形態によれば、装置の大型化および制御の複雑化を招くことなく、第2接着面FA2との間に気泡が形成されないように第2被着体を貼付可能な状態として、両面接着シートATを第1被着体WK1に貼付することができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図2において、シート貼付装置10Aは、第1接着面FA11と第2接着面FA12とを有する接着シートとしての両面接着シートATAを供給する供給手段50と、供給手段50で供給された両面接着シートATAの第1接着面FA11を第1被着体WK1の被着面WA1に当接させ、押圧面71によって第2接着面FA12側から第1被着体WK1方向に押圧力を付与して当該両面接着シートATAを第1被着体WK1に貼付する押圧手段60と、支持手段40とを備えている。
ここで、両面接着シートATAは、図2中符号BBで示すように、略四角板状の接着剤AD層により構成され、第1、第2接着面FA11、FA12が第1被着体WK1、図示しない第2被着体にそれぞれ線接触可能な第1、第2頂部TL1、TL2を有するテーパ形状とされている。なお、第1、第2頂部TL1、TL2も頂部TLと同様、2つの面が所定の角度で繋がり、当該繋がり部によって形成される。
【0025】
供給手段50は、供給手段20と同様の構成であり、供給手段20における付番の先頭2の記号を5に置き換えることで説明ができ、供給手段20の剥離板23が両面接着シートATを左斜め下方向に繰り出すように構成されているのに対し、剥離板53が両面接着シートATAを左方に繰り出すように構成されている点が相違する。
ここで、両面接着シートATAは、第1接着面FA11が帯状の第1剥離シートRL11上に仮着されるとともに第2接着面FA12に枚葉状の第2剥離シートRL2が仮着された原反RSAとして支持ローラ51に支持されている。
また、第1剥離シートRL11には、繰り出し方向に沿って所定間隔で凹部RRが設けられている。凹部RRは、両面接着シートATの第1接着面FA11側の形状に対応し、第1頂部TL1、第1接着面FA11および側面FB2のそれぞれの形状を維持する第1頂部維持部RR1、第1接着面維持部RR2および第1側面維持部RR3を備えている。第1頂部維持部RR1、第1接着面維持部RR2および第1側面維持部RR3のそれぞれ深さは、第1頂部TL1、第1接着面FA11および側面FBが変形することなく凹部RRに両面接着シートATAが収容された際に、両面接着シートATAの第2接着面FA12側の約半分が第1剥離シートRL11から突出する深さに設定されている。
【0026】
押圧手段60は、両面接着シートATAを保持する保持手段70と、保持手段70をその出力軸80Aで支持する駆動機器としての直動モータ80と、直動モータ80をそのスライダ90Aで支持し供給手段50と保持手段70とを相対移動させる駆動機器としてのリニアモータ90とを備えている。
【0027】
保持手段70は、押圧面71を有する保持プレート73と、保持プレート73内に設けられ、押圧面71で保持した両面接着シートATAの接着剤AD層の変形を促進させる変形促進手段74とを備えている。
【0028】
押圧面71には、第2接着面FA12のテーパ形状を維持可能な1のテーパ形状維持手段72と、第2剥離シートRL2を介して第2接着面FA12とテーパ形状維持手段72とで形成される領域を減圧可能な減圧手段としての第1減圧手段85が設けられている。
テーパ形状維持手段72は、テーパ形状維持手段32と同様の構成であり、テーパ形状維持手段32における付番の先頭3の記号を7に置き換えることで説明ができる。テーパ形状維持手段72の深さは、第2剥離シートRL2および両面接着シートATAがテーパ形状維持手段72に変形することなく収容された際に、第1剥離シートRL11から突出する部分の突出寸法と等しいかそれ以下の深さに設定されている。なお、押圧によって保持プレート73(押圧面71)が圧縮変形する場合、テーパ形状維持手段72の深さは、上記と同じ条件下で、第1剥離シートRL11から突出する部分の突出寸法以上に設定してもよい。
第1減圧手段85は、テーパ形状維持手段72の頂部維持部72Aに設けられた孔85Aだけで構成されてもよいし、当該孔85Aを介して強制的に減圧する減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧装置85Bを含んで構成されてもよい。また、テーパ形状維持手段72の接着面維持部72Bには、減圧装置85Bまたは当該減圧装置85Bと同様の構成を有する図示しない第2減圧手段に接続されており、両面接着シートATAを第2接着面FA12側から吸着保持できるようになっている。
【0029】
変形促進手段74としては、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段、ペルチェ素子やヒートパイプの冷却側等の冷却手段、光照射手段、マイクロ波照射手段、紫外線照射手段、赤外線照射手段、マイクロ波照射手段、X線照射手段、超音波振動装置や偏心モータ等の振動付与装置等、接着剤AD層の特性によって適宜選択することができ、接着剤ADを軟化させたり寄せ集めたりすることで、当該接着剤ADが所定形状に変形することを促進させるものであり、本実施形態では、加熱手段が採用されている。なお、変形促進手段74は、保持プレート73の外部に設けてもよい。
【0030】
以上のシート貼付装置10Aにおいて、第1被着体WK1に両面接着シートATAを貼付する手順を説明する。
先ず、作業者が原反RSAを図2に示すようにセットした後、入力手段を介して運転開始の信号を入力すると、供給手段50が回動モータ54および図示しない駆動機器を駆動し、原反RSAを繰り出す。そして、剥離板53の上部に位置する両面接着シートATAが所定位置に到達したことを光学センサや撮像手段等の図示しない検知手段が検知すると、供給手段50が回動モータ54および図示しない駆動機器の駆動を停止し、スタンバイ状態となる。
【0031】
そして、人手または図示しない搬送手段が支持面41上に第1被着体WK1を載置すると、支持手段40が支持面41で第1被着体WK1を吸着保持した後、テーブル42を図2中実線で示す初期位置から二点鎖線で示す位置に搬送する。その後、押圧手段60が直動モータ80を駆動し、図2中実線で示す初期位置から保持プレート73を下降させ、第2接着面FA12のテーパ形状を維持したまま、両面接着シートATAが第2剥離シートRL2とともにテーパ形状維持手段72に収容される。
この状態で、保持手段70が図示しない第2減圧手段を駆動し、テーパ形状維持手段72で両面接着シートATAを吸着保持する。さらに、第1減圧手段85が減圧装置85Bを駆動し、第2剥離シートRL2を介して第2接着面FA12とテーパ形状維持手段72とで形成される領域を減圧することで、接着剤ADをテーパ形状維持手段72に強制的に引き込む。これにより、第2接着面FA12のテーパ形状が変形していた場合にでも、当該テーパ形状を適切に再形成することができる。このとき、保持手段70が変形促進手段74を駆動し、接着剤ADを軟化させたり寄せ集めたりすることで、テーパ形状の再形成を促進させることができる。
【0032】
次に、供給手段50および押圧手段60が回動モータ54、図示しない駆動機器およびリニアモータ90を同期させて駆動し、原反RSAを繰り出しながら両面接着シートATAを保持した保持プレート73を左方向に移動させることにより、保持プレート73で第1頂部TL1の形状を維持しかつ両面接着シートATAを保持したまま、当該両面接着シートATAを第1剥離シートRL1から剥離する。
その後、両面接着シートATAが第1被着体WK1の直上の所定位置に到達したことを光学センサや撮像手段等の図示しない検知手段が検知すると、押圧手段60がリニアモータ90の駆動を停止し、直動モータ80を駆動し、図2中二点鎖線で示すように、保持プレート73を下降させ、当該保持プレート73で両面接着シートATAを第1被着体WK1に押圧して貼付する。この貼付の際、先ず、第1接着面FA11の第1頂部TL1を第1被着体WK1に当接させ、そのまま両面接着シートATAを第1被着体WK1に押圧するという1の動作によって、第1接着面FA11と第1被着体WK1との貼付領域が第1頂部TL1から徐々に外縁側に広がり、空気を追い出すように貼付することができる。
【0033】
次に、保持手段70および第1減圧手段85が図示しない第2減圧手段および減圧装置85Bの駆動を停止し、押圧手段60がリニアモータ90および直動モータ80を駆動し、保持プレート73を初期位置に復帰させる。その後、人手または図示しない搬送手段が第1被着体WK1を次工程に搬送し、テーブル42が初期位置に復帰し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0034】
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態の効果を奏することができる。
【0035】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0036】
例えば、第2実施形態において、図2中符号CCに示すような第2接着面FA22が平坦面とされた接着シートとしての両面接着シートATBを貼付対象とするとともに、押圧手段60の押圧面71に、第2被着体に線接触可能な第2頂部TL2を有するテーパ形状となるように、第2接着面FA22を変形可能なテーパ形状形成手段100を設けてもよい。テーパ形状形成手段100は、テーパ形状維持手段72と同様に構成され、頂部維持部72A、接着面維持部72Bおよび側面維持部72Cとそれぞれ同形状の頂部形成部100A、接着面形成部100Bおよび側面形成部100Cを備えている。
このような構成の場合、剥離板53の上部に位置する両面接着シートATBが所定位置に到達すると、押圧手段60が保持プレート73を下降させ、両面接着シートATBに押圧面71のテーパ形状形成手段100を当接させるとともに、保持手段70が両面接着シートATBの接着剤AD層を変形させる。さらに、第1減圧手段85が減圧装置85Bを駆動し、第2接着面FA22とテーパ形状形成手段100とで形成される領域を減圧する。これにより、接着剤ADが移動して頂部形成部100A、接着面形成部100Bおよび側面形成部100Cに強制的に引き込まれることで、二点鎖線で示すように、両面接着シートATBの第2接着面FA22が第2頂部TL2を有するテーパ形状に変形する。このとき、保持手段70が変形促進手段74を駆動し、接着剤ADを軟化させたり寄せ集めたりすることで、テーパ形状に変形することを促進させることができる。
【0037】
さらに、第1実施形態においても、テーパ形状維持手段32の代わりに当該テーパ形状維持手段32と同じ形状のテーパ形状形成手段101を設けて、平坦面の第2接着面を頂部を有するテーパ形状に変形させてもよい。
また、テーパ形状維持手段またはテーパ形状形成手段としては、第2接着面の形状に対応する形であればよく、例えば、図3(A)に示すような第1、第2接着面FA31、FA32を有する接着シートとしての両面接着シートATCを貼付する場合、第1実施形態の押圧ローラ30にテーパ形状維持手段110を設けてもよい。また、第2接着面の形状に合わせて、図3(B)、(C)に示すようなテーパ形状維持手段111、112を、押圧ローラ30に設けてもよい。また、図3(A)、(B)、(C)において、テーパ形状維持手段110、111、112の代わりに、テーパ形状形成手段102、103、104を設けてもよい。
さらに、押圧ローラ30の押圧面31に設けるテーパ形状維持手段32、110、111、112、テーパ形状形成手段101、102、103、104は、1でもよいし3以上でもよい。
また、テーパ形状形成手段を設ける構成において、変形促進手段74および第1減圧手段85の少なくとも一方を設けなくてもよい。
さらに、テーパ形状維持手段を設ける構成において、変形促進手段74および第1減圧手段85の少なくとも一方を設けてもよい。
また、第1、第2接着面FA1、FA11、FA2、FA12、FA22は、側面視で湾曲したり、折れ曲がったりした形状の接着面でもよいし、第1、第2被着体に点接触可能な例えば、円錐形状や、角錐形状などの形状であってもよいし、それら錐面が側面視で湾曲したり、折れ曲がったりした形状でもよい。
さらに、テーパ形状維持手段やテーパ形状形成手段は、側面視で湾曲したり、折れ曲がったりした形状で第2接着面FA12、FA22を維持したり形成したりしてもよいし、第2被着体に点接触可能な例えば、円錐形状や、角錐形状などの形状や、それら錐面が側面視で湾曲したり、折れ曲がったりした形状の第2接着面を維持したり形成したりしてもよい。
さらに、第1接着面に設けられる線接触可能または点接触可能な頂部は、1の第1被着体に対して1でもよいし複数でもよい。
また、頂部の位置は、接着シートの中心であってもよいし、当該中心からからずれていてもよいし、第1頂部TL1と第2頂部TL2との形状は同じであってもよいし、異なっていてもよいし、これらのような構成において一方の面に点接触可能な頂部を設け、他方の面に線接触可能な頂部を設けてもよいし、第1頂部TL1の位置と第2頂部TL2の位置は、表裏の位置関係においてずれていてもよい。
【0038】
また、第2実施形態において、移動手段は、供給手段50および保持手段70の両方を移動可能に構成してもよいし、供給手段50のみを移動可能に構成してもよい。
さらに、第2実施形態において、リニアモータ90を設けなくてもよい。
また、各実施形態において、剥離手段は、丸棒やローラ等で構成してもよい。
さらに、第2剥離シートRL2は、複数の両面接着シートAT、ATAに跨るような帯状のものでもよく、この場合、押圧ローラ30に押圧される前や、保持プレート73が当接する前に剥離するとよい。
また、支持手段40は、第1被着体WK1をメカチャック等で挟み込んで当該第1被着体WK1を保持する構成でもよい。
さらに、接着シートは、第1被着体WF1や第2被着体の外縁に沿った形状でもよいし、それらの外縁に沿わない形状例えば、第1被着体WF1、第2被着体からはみ出したり、はみ出さない形状でもよく、例えば、円形、多角形、楕円形等、どのような形状であってもよい。
さらに、両面接着シートAT、ATA、ATB、ATCは、枚葉でなく帯状に形成されていてもよく、第1被着体や第2被着体に貼付する前または貼付した後に、切断刃やレーザカッタ、圧縮エア切断、圧縮水切断等の適宜な切断手段で切断して使用してもよい。
【0039】
さらに、本発明における接着シートとしての両面接着シートおよび被着体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、両面接着シートは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートが採用された場合は、当該接着シートを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプ等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体としては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、両面接着シートを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
【0040】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、供給手段は、第1接着面と第2接着面とを有する接着シートを供給可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0041】
10、10A…シート貼付装置
20…供給手段
30…押圧ローラ(押圧手段)
31、71…押圧面
32、72、110、111、112…テーパ形状維持手段
60…押圧手段
85…第1減圧手段(減圧手段)
100、101、102、103、104…テーパ形状形成手段
AT、ATA、ATB、ATC…両面接着シート(接着シート)
FA1、FA11、FA31…第1接着面
FA2、FA12、FA22、FA32…第2接着面
TL、TL2…頂部
WK1…第1被着体
図1
図2
図3