【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、総務省、ミリ波帯チャネル高度有効利用適応技術に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の各実施形態の内容に至る経緯>
先ず、本開示に係る無線通信装置及び指向性制御方法の実施形態を説明する前に、他装置からの干渉が発生した場合の指向性制御の課題について説明する。
【0013】
前述した特許文献1には、通信装置間の見通しが遮断され、リンク品質が悪化した場合にリンクを再確立する技術が開示されている。しかし、特許文献1では、通信相手からのパケットによりリンク品質を判定しており、通信相手以外の送信信号による干渉は考慮されていない。
【0014】
また、特許文献2には、通信装置においてデータパケット交換中にアンテナウエイトベクトルを少しずつ変化させ、ビームトラッキングさせる技術が開示されている。しかし、特許文献2では、通信相手からのパケットによりリンク品質を判定しており、他装置からの干渉は考慮されていない。
【0015】
また、特許文献3には、指向性パターンによって指向性を有する通信中に受信エラーが検出された場合に、無指向性パターンに切り替える技術が開示されている。しかし、特許文献3では、受信エラーの要因推定は行っておらず、例えば干渉発生時にエラー要因に応じた指向性制御は困難である。
【0016】
上記のように、従来では、通信中に他装置からの干渉が発生した場合に、適切な指向性制御を行えず、通信品質の確保が困難である。また、干渉を考慮した指向性制御を行うためには、装置規模またはプロトコルのオーバーヘッドが大きくなる課題が生じる。
【0017】
上記課題を鑑み、本開示では、無線通信においてアンテナ指向性を制御する場合に、データ通信中の干渉を考慮した少ないオーバーヘッドにより自律的な干渉回避を行う無線通信装置及び指向性制御方法の例を以下に示す。
【0018】
<本開示の実施形態>
以下、図面を参照しながら本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において用いる図について、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(無線通信システムの概略構成)
図1は、指向性制御を行う複数の無線通信装置を含む無線通信システムの概略構成を示す模式図である。
【0020】
無線通信システムは、第1のアクセスポイント(AP1)101、第2のアクセスポイント(AP2)103と、第1の端末局(STA1)102、第2の端末局(STA2)104とを有する。アクセスポイント101、103、及び端末局102、104は、それぞれ送受信の指向性を制御し、無線通信を行う無線通信装置である。アクセスポイント101、103、及び端末局102、104は、指向性アンテナを有し、複数のビームパターンから通信相手に適したビームパターンを選択して通信を行う。
【0021】
以降では、第1のアクセスポイント(AP1)101をアクセスポイントAP1、第1の端末局(STA1)102を端末局STA1、第2のアクセスポイント(AP2)103をアクセスポイントAP2、第2の端末局(STA2)104を端末局STA2と称する。
【0022】
ここで、アクセスポイントAP1と端末局STA1とが通信を行い、他にアクセスポイントAP2と端末局STA2とが通信を行う場合を想定する。アクセスポイントAP1及び端末局STA1と、アクセスポイントAP2及び端末局STA2とは、独立したネットワークであり、互いに非同期状態での通信となる。以下では、アクセスポイントAP1と端末局STA1との間の通信について説明する。
【0023】
図1において、無線信号107は、アクセスポイントAP1から端末局STA1へ伝送される所望波の信号、無線信号108−1は、アクセスポイントAP2から端末局STA2へ伝送される所望波の信号である。また、干渉信号108−2は、アクセスポイントAP2から端末局STA2への無線信号が端末局STA1に干渉として届く干渉波の信号である。
【0024】
アクセスポイントAP1は、指向性制御によって複数のビームパターン105を設定可能である。端末局STA1は、指向性制御によって複数のビームパターン106を設定可能である。
【0025】
例えば、アクセスポイントAP1はビームパターン105の中から実線により表したビームパターン105−1を選択し、端末局STA1はビームパターン106の中から実線により表したビームパターン106−1を選択して通信を行う。同様にアクセスポイントAP2は端末局STA2と通信を行っている。
【0026】
アクセスポイントAP1及び端末局STA1が無線信号107によって通信中に、アクセスポイントAP2及び端末局STA2が無線信号108−1によって通信を行うと、無線信号108−1の方向以外にも電波は放射されるため、端末局STA2宛ての無線信号が端末局STA1の方向にも放射される。
【0027】
端末局STA1にとっては、アクセスポイントAP2からの無線信号108は自局宛の信号ではないため、干渉信号108−2として受信される。
図1では、端末局STA1が受信中での干渉の一例を示しているが、干渉は、アクセスポイントAP1、端末局STA1、アクセスポイントAP2、端末局STA2のどの組み合わせにおいて生じる。他局からの干渉の状態は、各無線通信装置の距離、位置によって異なるが、電波の反射によって複数経路にて無線信号が伝搬し、干渉波が他局との間の見通し方向でなく、複数方向から到来する場合がある。
【0028】
(無線通信装置の構成)
図2は、アクセスポイント101、103、及び端末局102、104に用いられる無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
無線通信装置は、MAC(Media Access Control)部201、ブロック符号化部211、送信部202、指向性制御部203、送信側の指向性切替部204、送信アンテナ205、受信アンテナ206、受信側の指向性切替部207、受信部208、受信品質推定部209、ブロック復号部212、ブロック誤り推定部213を有する。
【0030】
無線通信装置は、複数の送信アンテナ205を用いて複数の送信ビームパターン215のいずれかによって無線信号を送信し、受信アンテナ206を用いて複数の受信ビームパターン216のいずれかによって無線信号を受信する。
【0031】
なお、
図2では、送信側の指向性切替部204と受信側の指向性切替部207、送信アンテナ205と受信アンテナ206は、それぞれ別々に有する構成を図示したが、送受共用としてそれぞれ1つ有する構成にしてもよい。
【0032】
無線通信装置の送信時には、送信データがMAC部201に入力されると、MAC部201は、通信プロトコルに従って送信タイミング制御を行い、送信データをフレーム化してブロック符号化部211にデータフレームを出力する。
【0033】
また、MAC部201は、通信相手に応じた送信指向性を決定し、指向性制御部203に通知する。指向性制御部203は、決定された送信指向性を設定するための指向性パターン情報を指向性切替部204に出力する。
【0034】
ブロック符号化部211は、データフレームを所定サイズのブロックに分割し、ブロック毎に誤り訂正符号化を行う。送信部202は、物理層のフォーマットに従って、例えば、ブロック符号化されたデータフレームの信号変調、プリアンブル付加をして送信パケット化する。
【0035】
指向性切替部204は、送信パケット化された送信信号を無線送信に適した高周波信号に周波数変換し、指向性制御部203からの指向性パターン情報に基づいて、送信信号の周波数変換、振幅制御及び位相制御を実施する。このため、複数のビームパターン215の中から選択されたビームパターンを用いて送信することができる。複数の送信アンテナ205は、周波数変換、振幅制御及び位相制御が実施された送信信号を送信する。
【0036】
図3は、送信データの符号化の手順を示す模式図である。ブロック符号化部211に入力される送信データのデータフレームはビット列であり、ブロック符号化部211は、データフレームを符号化サイズにしたがってブロック901−1からブロック901−Jに分割する。符号化サイズは、誤り訂正符号と符号化率によって決められる。例えばIEEE802.11ad規格では、コードワードサイズ672ビットのLDPC符号が用いられ、符号化率1/2では、データビット数は336ビットとなる。つまり、データフレームのビット列は336ビット毎のブロックに分割する。
【0037】
ブロック符号化部211は、分割されたブロック901−1からブロック901−Jに対して、それぞれブロック符号化を施し、誤り訂正符号(パリティ符号)902−1〜902−Jをそれぞれ付加する。例えばIEEE802.11ad規格において、符号化率1/2では、ブロック901−1はデータビット数336ビット、誤り訂正符号902−1は672−336=336ビットとなる。
【0038】
ブロック符号化部211は、ブロック901−1〜901−Jと誤り訂正符号902−1〜902−Jとを連結し、ブロック符号化データ903−1〜903−Jとして出力する。ブロック符号化データ903−1は、ブロック901−1と誤り訂正符号902−1とを連結したものである。
【0039】
ブロック符号化部211においてブロック符号化されたデータフレームは、送信部202に入力される。送信部202は、入力されるブロック符号化データを、所定の変調方式にしたがって、例えばBPSK、QPSK、16QAM、OFDMによって変調し、送信パケットのペイロード部904とする。
【0040】
また、送信部202は、例えば同期検出に用いる既知パターンであるプリアンブル905をペイロード部904の前に付加し、送信パケットとして出力する。
【0041】
無線通信装置の受信時には、MAC部201は、受信タイミングを制御し、受信処理を開始する。また、MAC部201は、通信相手に応じた受信指向性を決定し、指向性制御部203に通知する。指向性制御部203は、決定された受信指向性を設定するための指向性パターン情報を指向性切替部207に出力する。
【0042】
指向性切替部207は、指向性制御部203からの指向性パターン情報に基づいて、複数の受信アンテナ206によって受信された受信信号の振幅及び位相を制御し、受信部208が受信処理を行うのに適した周波数帯に周波数変換する。
【0043】
受信部208は、周波数変換された受信信号について、例えば、物理層のフォーマットに従って、受信パケットのプリアンブル検出、周波数同期、シンボル同期、信号復調を行い、ブロック復号部212に復調ビット列を出力する。受信品質推定部209は、主にプリアンブルの既知パターンを用いて、受信信号の受信品質を推定する。受信品質推定部209において推定する受信品質としては、例えば受信レベル、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、SNR(Signal to Noise Ratio)、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)、チャネルインパルスレスポンス、ノイズレベルを含む、種々の信号品質指標を用いる。
【0044】
ブロック復号部212は、復調ビット列を所定サイズのブロックに分割し、ブロック毎に誤り訂正復号化を行い、復号後のビット列をデータフレーム化してMAC部201に出力する。また、ブロック復号部212は、誤り訂正の情報をブロック誤り推定部213に出力する。ブロック誤り推定部213は、受信データ内のブロック誤りを推定し、推定結果をMAC部201に通知する。MAC部201は、受信データフレームから受信データを取り出す。
【0045】
図4は、受信データの復号化の手順を示す模式図である。受信部208に入力される受信パケットは、プリアンブル1005、ペイロード1004を有する。受信部208は、既知パターンであるプリアンブル1005の特徴を用いて、例えば、AGC(Automatic Gain Control)、プリアンブル検出、周波数同期、シンボル同期、チャネル推定を行い、ペイロード1004の信号等化及び復調を行う。
【0046】
ブロック復号部212は、復調ビット列を送信時の符号化サイズに従って、ブロック1003−1〜1003−Jに分割する。例えばIEEE802.11ad規格の例では、ブロック1003−1〜1003−Jは672ビットごとのブロックに分割する。
【0047】
ブロック復号部212は、分割された各ブロックに対して誤り訂正復号化を施し、誤り訂正されたデータビット1001−1〜1001−Jと、不要になった誤り訂正符号1002−1〜1002−Jと、に分割する。ブロック復号部212は、誤り訂正されたデータビット1001−〜1001−Jを取り出して連結し、受信データのデータフレームとして出力する。
【0048】
図5は、指向性切替部204の構成の一例を示すブロック図である。指向性切替部204は、高周波(RF:Radio Frequency)部301、位相テーブル302、複数の移相器(移相器1〜N)303を有する。
図5の構成は、高周波帯において信号の移相を行って指向性を設定するアナログビームフォーマーの一例である。
【0049】
高周波部301は、入力される送信信号を無線送信に適した高周波信号に周波数変換する。例えば、送信信号をベースバンド帯域の信号とし、高周波信号はミリ波帯の60GHz帯へとアップコンバートする。あるいは、送信信号を中間周波数(IF)帯の信号、例えば5GHz帯の信号とし、高周波信号はミリ波帯の60GHz帯へとアップコンバートする構成でもよい。アップコンバートされた高周波信号は、複数の移相器303に分配されて入力される。
【0050】
移相器303は、高周波信号の位相または振幅、あるいは位相及び振幅をそれぞれ所定の値に設定して出力し、各送信アンテナ205から送出する。各移相器303の位相、振幅の設定値は、位相テーブル302からの設定パラメータによって設定される。位相テーブル302は、指向性制御部203から入力される指向性パターン情報に対応した設定パラメータとして、セクタ番号、パターン番号を出力する。セクタ番号、パターン番号については後述する。
【0051】
図6は、指向性切替部204の構成の他の例を示すブロック図である。指向性切替部204は、複数の移相器(移相器1〜N)401、位相テーブル402、複数の高周波部(RF部1〜N)403を有する。
図6の構成は、ベースバンド帯において信号の移相を行って指向性を設定するデジタルビームフォーマーの一例である。
【0052】
入力される送信信号は複数の移相器401に分配される。複数の移相器401は、アップコンバート前の信号、例えばベースバンド帯域の信号の位相または振幅、あるいは位相及び振幅をそれぞれ所定の値に設定し、高周波部403に出力する。各移相器401の位相、振幅の設定値は、位相テーブル402からの設定パラメータによって設定される。位相テーブル402は、指向性制御部203から入力される指向性パターン情報に対応した設定パラメータとして、セクタ番号、パターン番号を出力する。
【0053】
複数の高周波部403は、それぞれ、各移相器401からの出力信号を無線送信に適した高周波信号に周波数変換して出力し、各送信アンテナ205から送信する。
【0054】
なお、
図5及び
図6では送信側の指向性切替部204の構成例を示したが、受信側の指向性切替部207についても、信号の入出力の向きを逆にした構成によって実施可能である。
【0055】
図7は、位相テーブル302または402の一例を示す図である。
図8は、指向性パターン情報に対応するビームパターンを示す図であり、
図8(a)はセクタ番号に対応したビームパターンの一例、
図8(b)はパターン番号に対応したビームパターンの一例を示している。
【0056】
セクタ番号は、ビームパターンのうちの粗い方向を決定する。例えば
図8(a)において、セクタ番号の1番から5番の各方向にメインビームが向く5つの指向性パターンと、無指向性に近い特性をもつ0番の擬似オムニ(Quasi Omni)パターンを設定する。パターン番号は、各セクタ番号のビームの方向を細かく微調整した指向性のビームを示す。
【0057】
例えば、セクタ番号は150°の範囲において30°間隔の方向を決定し、パターン番号はセクタ番号の方向を中心として±15°間隔の方向を決定するようにしてもよい。セクタ番号による指向性の設定角度間隔、設定角度範囲、パターン番号による指向性の調整角度間隔、調整角度範囲は、任意に適宜定義できる。また、ビームの方向でなく利得の大小をつけるような設定としてもよい。
【0058】
位相テーブルによって、ビームの指向性をセクタ番号とパターン番号を用いて定義し、所望のビームパターンが得られるように各移相器に設定する位相、振幅を示す設定パラメータθをあらかじめ定義する。
【0059】
指向性制御部203から指向性パターン情報としてセクタ番号とパターン番号が通知されると、位相テーブルは、
図7のようなパラメータテーブルからセクタ番号とパターン番号に対応する各移相器の設定パラメータθを取り出し、各移相器に出力して位相、振幅を設定する。
【0060】
なお、上述したMAC部201、ブロック符号化部211、指向性制御部203、受信品質推定部209、ブロック復号部212、ブロック誤り推定部213は、プロセッサ及びメモリを含む集積回路による情報処理回路ブロック又はコンピュータを用いて実現できる。情報処理回路ブロック又はコンピュータにおいて、所定のプログラムを実行して処理を行うことにより、各部の該当する機能を実現する。
【0061】
(通信開始前の動作)
上記のような指向性制御部及び指向性切替部を有する無線通信装置同士が通信を行う前に、互いの指向性を合わせるビームフォーミングトレーニングを実行する。ビームフォーミングトレーニングの一例として、セクタレベルスイープ(SLS:Sector Level Sweep)がある。
【0062】
SLSでは、一方の無線通信装置がビームパターンのセクタを切り替えて所定のパケットを送信または受信し、他方が擬似オムニ指向性にてパケットを受信または送信し、どのセクタから送信または受信されたパケットの通信品質が良かったかをフィードバックする。上記の手順を送受それぞれの組み合わせにおいて行うことによって、互いの指向性を通信相手局の無線通信装置に合わせる。ビームフォーミングトレーニングにより決定された互いの指向性パターンを用いて、無線通信装置は、通信相手局との間のデータ通信を開始する。
【0063】
(受信パケットに発生するブロック誤りの状態)
互いの指向性が通信相手局と合っている状態においてデータ通信を行うと、受信レベルが良好な状態が維持され、通信パケット内のデータ誤りの発生が抑制された通信を実行できる。しかし、例えば端末の向き、位置が変化して、適合状態から指向性がずれると、受信レベルが急激に低下する。
【0064】
図9は、受信レベルが低下した場合のデータ誤りの発生の様子を示す模式図である。
図9では、受信側の無線通信装置において時系列に受信した受信パケット1004−1〜1004−4、及びこれらの受信パケット1004−1〜1004−4のそれぞれの受信レベルを模式的に示している。
図9において、各受信パケットの下に示したブロックは、各パケット内のブロック符号化されたブロック毎のブロック誤りの有無を示している。各符号化ブロックにおいて、白はブロック内において誤り無し、網目ハッチングはブロック内において誤り有りの状態を示す。
【0065】
例えば、初めの受信パケット1004−1では受信レベルが良好な状態であり、全てのブロックにおいて誤りは発生していない。時間が経過するにつれて指向性がずれるため、受信パケット1004−2から受信パケット1004−4へと受信レベルが低下する。このため、受信レベル低下による信号対白色雑音比の増加により、パケット内にはランダムなブロック誤りが発生する。
【0066】
図10は、他の無線通信装置からの干渉がある場合のデータ誤りの発生の様子を示す模式図である。
図10では、アクセスポイントAP1から端末局STA1に対して時系列にパケットが送信され、端末局STA1において受信した受信パケット1104−1〜1104−4、及びこれらの受信パケット1104−1〜1104−4のそれぞれの受信レベルを模式的に示している。また、アクセスポイントAP2から端末局STA2に送信され、端末局STA1に非同期に到来する干渉パケット1105−1〜1105−4を示している。
【0067】
アクセスポイントAP1と端末局STA1との間において、指向性のずれが発生していない場合、受信パケット1104−1〜1104−4の受信レベルは良好である。しかし、非同期に到来する干渉パケット1105−1〜1105−4が、受信パケット1104−1〜1104−4と衝突している。受信パケット1104−1〜1104−4において、ブロック誤りは、干渉パケット1105−1〜1105−4が衝突した部分において連続的に発生する。
【0068】
上記のような異なる要因によるブロック誤りが発生する状況下において、本実施形態に係る指向性制御を用いて、通信相手局以外からの干渉信号を考慮するビームフォーミングトレーニングの動作を以下に説明する。
【0069】
(本実施形態の通信開始後の指向性制御動作)
図11は、本実施形態の無線通信装置における通信開始後の指向性制御の動作手順を示すフローチャートである。
図11に示す手順は、無線通信装置における指向性制御部203が主体的に処理を実行する。
【0070】
無線通信装置は、パケットの受信を開始すると、受信品質推定部209により受信パケットの受信レベルを測定し、指向性制御部203のメモリに値を保持する(ステップS601)。次いで、無線通信装置は、受信部208により受信パケットの復調を行い、ブロック復号部212によりブロック誤りの検出を行う(ステップS602)。
【0071】
そして、無線通信装置の指向性制御部203は、ブロック誤りが発生した場合、ブロック誤り推定部213の誤り推定結果に基づき、パケット内において所定数以上の連続したブロックによりブロック誤り(連続ブロック誤り)が生じたか、ランダムなブロックによりブロック誤り(ランダムブロック誤り)が生じたかの判定を行う(ステップS603)。例えば、所定のkブロック以上連続してブロック誤りが生じた場合に連続ブロック誤りと判定すればよい。
【0072】
連続ブロック誤りが発生した場合、無線通信装置の指向性制御部203は、受信品質推定部209の測定結果に基づき、受信レベルが低下したか否かの判定を行う(ステップS604)。ここで、受信レベルが所定値以上低下していないと判定した場合、指向性制御部203は、自局の通信の指向性のずれではなく、干渉衝突によるブロック誤りと判定し、ステップS605に移る。
【0073】
無線通信装置の指向性制御部203は、ステップS605において、指向性切替部207に通知する指向性パターン情報のパターン番号を変更してセクタ内においてビームパターンを細かく変更し、干渉レベルが低減するようにビーム指向性の判定を行う。
【0074】
そして、指向性制御部203は、干渉レベル低減方向に指向性を微調整するために、指向性パターン情報のパターン番号を設定変更し、ビームパターンを切り替える(ステップS606)。指向性の微調整を行う場合、例えば、複数のパターン番号のビームパターンを順番に切り替えて干渉の影響が小さい最良のパターン番号を選択する、あるいは、干渉レベルが所定閾値以下となるパターン番号を選択する、といった方法を用いる。その後、無線通信装置は、次のパケットの受信に備える。
【0075】
一方、ステップS604において、受信レベルが所定値以上低下したと判定した場合、指向性制御部203は、自局の通信の指向性がずれているために、受信レベルが低下したことによるブロック誤りと判定し、ステップS608に移る。
【0076】
無線通信装置の指向性制御部203は、ステップS608において、指向性切替部207に通知する指向性パターン情報のパターン番号を変更して、セクタ内においてビームパターンを細かく変更し、受信レベルが増加するようにビーム指向性の判定を行う。
【0077】
そして、指向性制御部203は、受信レベル増加方向に指向性を微調整するために、指向性パターン情報のパターン番号を設定変更し、ビームパターンを切り替える(ステップS606)。指向性の微調整を行う場合、例えば、複数のパターン番号のビームパターンを順番に切り替えて受信レベルが大きい最良のパターン番号を選択する、あるいは、受信レベルが所定閾値以上となるパターン番号を選択する、といった方法を用いる。その後、無線通信装置は、次のパケットの受信に備える。
【0078】
また、ステップS603において、連続ブロック誤りではなく、ランダムブロック誤りが発生したと判定した場合、指向性制御部203は、受信品質推定部209の測定結果に基づき、受信レベルが低下したか否かの判定を行う(ステップS607)。ここで、受信レベルが所定値以上低下していると判定した場合、指向性制御部203は、自局の通信の指向性ずれによる受信レベル低下と判定し、ステップS608、S606に移り、受信レベル増加方向に指向性を微調整するよう、ビームパターンを切り替える。
【0079】
一方、ステップS607において、受信レベルが所定値以上低下していないと判定した場合、ステップS609に移り、無線通信装置のMAC部201は、通信パラメータの再設定を行う。例えば、温度変化による白色雑音のノイズレベルの上昇、待ち受け時のゲイン設定のずれ、を一例とする通信環境の変化が推定される。よって、MAC部201は、例えば、高いノイズレベルに強い変調方式又は符号化率に変更する、RF部の再キャリブレーションを行う、周波数チャネルを切り替える、を一例とするパラメータ変更を行い、通信パラメータを再設定する。
【0080】
図12は、アクセスポイントAP1と端末局STA1間において通信している場合のパケット交換と指向性の時系列変化を示す模式図である。ここでは、自局を端末局STA1とし、通信相手局をアクセスポイントAP1とする一例を示す。
【0081】
図12では、図中上から下に時間が流れ、パケット701〜708は矢印により送信パケットの方向を示し、アクセスポイントAP1と端末局STA1のそれぞれがどのビームパターンを用いて送受信を行ったかを示す。
【0082】
アクセスポイントAP1と端末局STA1は、通信開始前に初期のビームフォーミングトレーニングは終了しているものとし、アクセスポイントAP1はセクタ番号3、端末局STA1はセクタ番号3を選択している。
【0083】
まず、アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてパケット701を送信する。端末局STA1は、セクタ番号3のビームパターンを用いて受信待ち受けをしており、パケット701を受信する。
【0084】
端末局STA1は、受信したパケット701を誤りなく復調できた場合、ACKパケット702をセクタ番号3のビームパターンを用いて送信する。アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてACKパケット702を受信し、パケット701の通信が成功したことを検出する。
【0085】
続いて、アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてパケット703を送信する。ただし、端末局STA1の向きが変化し、セクタ番号3のビームパターンでは指向性がずれた状態になっている。
【0086】
このため、端末局STA1における受信レベルが低下し、端末局STA1の受信パケットに復調誤りが発生する。復調誤りが発生し、正常な受信パケットの復調が困難であるため、端末局STA1は、ACKパケットを送信しない。アクセスポイントAP1は、ACKパケットの受信がないため、パケット703の通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット704を送信する。
【0087】
端末局STA1では、ビームパターンの指向性がずれた状態であるため、受信レベルが低下し、受信パケットに復調誤りが発生する。パケット703と同様、端末局STA1は復調誤りのためACKパケットを送信しない。
【0088】
ここで、端末局STA1は、
図11に示した手順に従い、ブロック誤りがパケット内において連続的に発生したかどうかを判定する。端末局STA1は、受信レベル低下によるランダムなブロック誤りであると判定すると、受信レベルが増加する方向へ指向性を微調整する。微調整の結果、端末局STA1は、受信レベルが増加する方向へ指向性としてパターン番号3−2を選択し、次のパケットの受信に備える。
【0089】
また、アクセスポイントAP1は、再送パケット704に対するACKパケットが送信されないため、再送パケット704の通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット705を送信する。
【0090】
端末局STA1は、パターン番号3−2のビームパターンを用いて再送パケット705を受信する。端末局STA1は、受信した再送パケット705のブロック誤りの発生具合から指向性調整の可否を判定する。なお、端末局STA1は、指向性の微調整が完了するまで、ACKパケットを送信しない。
【0091】
端末局STA1は、さらにビームパターンの指向性を微調整する。ここでは、端末局STA1は、ランダムブロック誤りの判定により、受信レベルが増加する方向へ指向性をさらに微調整するためのパターン番号3−1を選択し、次のパケットの受信に備える。
【0092】
アクセスポイントAP1は、再送パケット705に対するACKパケットが送信されないため、再送パケット705の通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット706を送信する。
【0093】
端末局STA1は、パターン番号3−1のビームパターンを用いて再送パケット706を受信する。端末局STA1は、受信した再送パケット706のブロック誤りの発生具合から指向性調整の可否を判定する。端末局STA1は、受信レベルが増加する方向への指向性調整として、他のパターン番号のビームパターンがなく、受信パケットの復調誤りがなくなった場合、微調整後の指向性のパターン番号を決定する。ここでは、微調整後の指向性としてパターン番号3−1を選択してビームパターンを設定し、次のパケットの受信に備える。
【0094】
アクセスポイントAP1は、再送パケット706に対するACKパケットが送信されないため、再送パケット706の通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット707を送信する。
【0095】
端末局STA1は、パターン番号3−1のビームパターンを用いて再送パケット707を受信する。端末局STA1は、受信した再送パケット707を復調できた場合、ACKパケット708をパターン番号3−1のビームパターンを用いて送信する。アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてACKパケット708を受信し、再送パケット707の通信が成功したことを検出する。
【0096】
以降、アクセスポイントAP1はセクタ番号3のビームパターンを用いてパケットを送信し、端末局STA1はパターン番号3−3のビームパターンを用いて受信する。
【0097】
以上により、端末局STA1は、パケット内のランダムなブロック誤り発生を検出した場合、指向性がずれて受信品質の所定値以上の低下、例えば受信レベルが低下したことによる復調誤りであると判定し、受信品質が向上する方向、例えば受信レベルが増加する方向にビームパターンを微調整して指向性をトラッキングする。
【0098】
図13は、アクセスポイントAP1と端末局STA1と間において通信中にアクセスポイントAP2からの干渉信号が衝突する場合のパケット交換と指向性の時系列変化を示す模式図である。ここでは、自局を端末局STA1とし、通信相手局をアクセスポイントAP1、干渉局をアクセスポイントAP2とする一例を示す。
【0099】
図13では、
図12と同様、図中上から下に時間が流れ、パケット801〜808は矢印により送信パケットの方向を示し、アクセスポイントAP1と端末局STA1のそれぞれがどのビームパターンを用いて送受信を行ったかを示す。また、図中破線により示したパケット803B〜806Bは、アクセスポイントAP2から送信された干渉信号であり、アクセスポイントAP1から送信されたパケット803A〜806Aと時間的に重なって端末局STA1に受信される。
【0100】
図13では、アクセスポイントAP1と端末局STA1は、通信開始前に初期のビームフォーミングトレーニングは終了しているため、アクセスポイントAP1はセクタ番号3、端末局STA1はセクタ番号3を選択している。
【0101】
まず、アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてパケット801を送信する。端末局STA1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてパケット801を受信する。
【0102】
端末局STA1は、受信したパケット801を復調できた場合、ACKパケット802をセクタ番号3のビームパターンを用いて送信する。アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてACKパケット802を受信し、パケット801の通信が成功したことを検出する。
【0103】
続いて、アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてパケット803Aを送信する。干渉局となるアクセスポイントAP2からもパケット803Bが送信され、時間的にパケット803Aとパケット803Bの少なくとも一部が重なって端末局STA1に受信される。
【0104】
端末局STA1において、複数のパケット803A、803Bが重なった部分では、受信レベルが良好であっても復調誤りが発生する。端末局STA1は、復調誤りが発生し、正常な受信パケットの復調が困難であるため、ACKパケットを送信しない。
【0105】
アクセスポイントAP1は、ACKパケットを受信しないため、パケット803Aの通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット804Aを送信する。なお、アクセスポイントAP2からもパケット804Bが送信され、パケット803Aの場合とは異なるタイミングではあるが、再度、パケット804が時間的に衝突する。
【0106】
このため、端末局STA1において復調誤りが発生する。パケット8003と同様、端末局STA1は復調誤りのためACKパケットを送信しない。
【0107】
端末局STA1は、
図11に示した手順に従い、ブロック誤りがパケット内において連続的に発生したかどうかを判定する。ここで、干渉パケット804Bがパケット804Aと重なった期間では、ブロック誤りが連続して発生する。このため、端末局STA1は、連続ブロック誤りであると判定し、さらに受信レベルが低下したかを判定し、受信レベルが低下していない場合、干渉パケットの衝突による連続的なブロック誤りであると判定する。
【0108】
このため、端末局STA1は、干渉の影響が減少する方向として、干渉レベルが低減する方向へ指向性を微調整する。端末局STA1は、干渉レベルが低減する方向へ指向性を微調整するためのパターン番号3−2を選択し、次のパケットの受信に備える。
【0109】
アクセスポイントAP1は、再送パケット804Aに対するACKパケットが送信されないため、再送パケット804Aの通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット805Aを送信する。なお、アクセスポイントAP2からもパケット805Bが送信され、パケット804Aとは異なるタイミングであるが、再度、パケット805が時間的に衝突する。
【0110】
端末局STA1は、パターン番号3−2のビームパターンを用いて再送パケット805Aを受信する。ここで、端末局STA1は、受信した再送パケット805Aのブロック誤りの発生具合から指向性調整の可否を判定する。なお、端末局STA1は、指向性の微調整が完了するまで、ACKパケットを送信しない。
【0111】
なお、端末局STA1は、さらにビームパターンの指向性を微調整する。ここでは、端末局STA1は、連続ブロック誤りの判定により、干渉レベルが低減する方向へ指向性をさらに微調整するためのパターン番号3−3を選択し、次のパケットの受信に備える。
【0112】
アクセスポイントAP1は、再送パケット805Aに対するACKパケットが送信されないため、再送パケット805Aの通信が失敗したと判定し、端末局STA1に再送パケット806Aを送信する。なお、アクセスポイントAP2からもパケット806Bが送信され、パケット805Aとは異なるタイミングであるが、再度、パケット806が時間的に衝突する。
【0113】
端末局STA1は、パターン番号3−3のビームパターンを用いて再送パケット806Aを受信する。ここで、端末局STA1は、受信した再送パケット806Aのブロック誤りの発生具合から指向性調整の可否を判定する。端末局STA1は、パターン番号3−3のビームパターンでの受信により、再送パケット806Aを復調できたと判断する。
【0114】
このため、端末局STA1は、干渉レベルが低減する方向への指向性調整により、受信パケットの復調誤りがなくなったと判断し、微調整後の指向性のパターン番号を決定する。ここでは、微調整後の指向性としてパターン番号3−3を選択してビームパターンを設定し、次のパケットの受信に備える。
【0115】
そして、端末局STA1は、受信パケットを誤りなく復調できたため、ACKパケット807をパターン番号3−3のビームパターンを用いて送信する。アクセスポイントAP1は、セクタ番号3のビームパターンを用いてACKパケット807を受信し、再送パケット806Aの通信が成功したことを検出する。
【0116】
以降、アクセスポイントAP1は次のパケット808を送信し、端末局STA1はパターン番号3−3のビームパターンを用いて受信する。
【0117】
以上により、端末局STA1は、パケット内の連続的なブロック誤り発生を検出した場合、干渉パケットが衝突したことによる復調誤りであると判定し、ブロック誤りが減少する方向、結果として干渉の影響が減少する方向にビームパターンを微調整して指向性をトラッキングする。
【0118】
上述したように、本実施形態の無線通信装置及び指向性制御方法では、パケット内のブロック誤りによって指向性トラッキングの要否を判定する。例えば、ブロック誤りがランダムに発生している場合は、受信レベル低下(SNR低下)による誤り発生と判定し、受信レベルが増加する方向へ指向性を微調整する。また、ブロック誤りが連続して発生している場合は、干渉パケットの衝突による誤り発生と判定し、干渉の影響が減少する方向へ指向性を微調整する。本実施形態の指向性制御によって、少ないオーバーヘッドにより自律的な干渉回避を行える。
【0119】
また、本実施形態によれば、受信品質が良好となる指向性の判定において、例えば所望波と干渉波が合成され、受信レベルが高くなって干渉が多くなる方向の指向性が誤選択を抑制でき、少ないオーバーヘッドにより自律的な干渉回避を行うことができる。
【0120】
本開示に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
【0121】
本開示の無線通信装置は、複数のアンテナの指向性を設定する指向性制御部と、前記複数のアンテナの指向性を切り替える指向性切替部と、前記複数のアンテナにより受信した受信信号の受信品質を測定する受信品質推定部と、前記受信信号を復号した受信データのブロック誤りを推定するブロック誤り推定部と、を有し、前記指向性制御部は、前記ブロック誤りの推定結果と前記受信品質の測定結果とに基づき、所定数以上の連続ブロック誤りがあり、前記受信品質の低下が所定値以上でない場合に、前記ブロック誤りが減少する方向へ前記指向性を再設定する。
【0122】
また、上記の無線通信装置であって、前記指向性制御部は、さらに、ランダムなブロック誤りがあり、前記受信品質の低下が所定値以上である場合に、前記受信品質が向上する方向へ前記指向性を再設定する、ものであってもよい。
【0123】
また、上記の無線通信装置であって、前記指向性制御部は、前記受信品質の測定結果に基づき、前記複数のアンテナの指向性を設定した後に、前記ブロック誤りの推定結果にブロック誤りが発生した場合に、前記複数のアンテナの指向性を再設定する、ものであってもよい。
【0124】
本開示の無線通信装置の指向性制御方法は、複数のアンテナにより受信した受信信号の受信品質を測定し、前記受信信号を復号した受信データのブロック誤りを推定し、前記ブロック誤りの推定結果と前記受信品質の測定結果とに基づき、所定数以上の連続ブロック誤りがあり、前記受信品質の低下が所定値以上でない場合に、前記ブロック誤りが減少する方向へ指向性を再設定する。
【0125】
また、上記の無線通信装置の指向性制御方法であって、前記指向性の再設定は、さらに、ランダムなブロック誤りがあり、前記受信品質の低下が所定値以上である場合に、前記受信品質が向上する方向へ前記指向性を再設定する、ものであってもよい。
【0126】
また、上記の無線通信装置の指向性制御方法であって、前記指向性の再設定は、前記受信品質の測定結果に基づき、前記複数のアンテナの指向性を設定した後に、前記ブロック誤りの推定結果にブロック誤りが発生した場合に、前記複数のアンテナの指向性を再設定する、ものであってもよい。
【0127】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0128】
上記各実施形態では、本開示を、ハードウェアを用いて構成する場合を例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現可能である。
【0129】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、各機能ブロックの一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称される。
【0130】
また、集積回路化の手法にはLSIに限らず、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続、設定が再構成可能なリコンフィグラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0131】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、別技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0132】
なお、本開示は、無線通信装置において実行される指向性制御方法として表現が可能である。また、本開示は、指向性制御方法を実行する機能を有する装置としての指向性制御装置、あるいは指向性制御方法または指向性制御装置をコンピュータにより動作させるためのプログラムとしての表現も可能である。すなわち、本開示は、装置、方法及びプログラムのうちいずれのカテゴリーにおいても表現可能である。