特許第6255283号(P6255283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255283
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】自動製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/04 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   F25C1/04 301B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-39416(P2014-39416)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-163825(P2015-163825A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 直樹
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−098453(JP,A)
【文献】 特開昭53−062261(JP,A)
【文献】 特開昭54−123759(JP,A)
【文献】 特開平04−060361(JP,A)
【文献】 特開2008−095997(JP,A)
【文献】 特開2008−133976(JP,A)
【文献】 特開2006−234368(JP,A)
【文献】 特開2005−282971(JP,A)
【文献】 特開2008−175440(JP,A)
【文献】 特開2012−225616(JP,A)
【文献】 特開2013−029292(JP,A)
【文献】 特開2013−217555(JP,A)
【文献】 特開2014−185806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/04
F25C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向きに開口する多数の製氷室(18)を有する製氷部(20)と、前記製氷室(18)の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿(24)と、前記水皿(24)の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンク(26)と、前記製氷水タンク(26)の下方に位置して、前記水皿(24)の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパン(36)と、前記製氷部(20)から放出される氷塊(M)を貯留する貯氷室(16)と、前記貯氷室(16)に貯留された氷塊の満杯を検知する貯氷検知手段(40)とを備え、前記水皿(24)は、前記製氷室(18)で氷塊(M)を生成する製氷運転時には該製氷室(18)を閉塞する製氷姿勢に保持され、前記製氷室(18)での氷塊(M)の生成完了後の除氷運転時には下方へ傾動して製氷室(18)を開放した除氷姿勢になる自動製氷機において、
前記貯氷検知手段(40)が前記貯氷室(16)の氷塊(M)の満杯を確認した時点で計時を開始するタイマ(Tm)を備え、
前記除氷運転において前記水皿(24)が前記除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、前記タイマ(Tm)が所定の設定時間(T1)をカウントアップした際に、前記水皿(24)を上昇途中で停止保持させるようにした
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】
下向きに開口する多数の製氷室(18)を有する製氷部(20)と、前記製氷室(18)の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿(24)と、前記水皿(24)の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンク(26)と、前記製氷水タンク(26)の下方に位置して、前記水皿(24)の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパン(36)とが配設された製氷機構部(14)が、上下に複数配置されると共に、前記製氷部(20)から放出される氷塊(M)を貯留する貯氷室(16)と、前記貯氷室(16)に貯留された氷塊の満杯を検知する貯氷検知手段(40)とを備え、前記各製氷機構部(14)の水皿(24)は、前記製氷室(18)で氷塊(M)を生成する製氷運転時には該製氷室(18)を閉塞する製氷姿勢に保持され、前記製氷室(18)での氷塊(M)の生成完了後の除氷運転時には下方へ傾動して製氷室(18)を開放した除氷姿勢になる自動製氷機において、
前記貯氷検知手段(40)が前記貯氷室(16)の氷塊(M)の満杯を確認した時点で計時を開始するタイマ(Tm)を備え、
前記製氷機構部(14)では、前記除氷運転において前記水皿(24)が前記除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、前記タイマ(Tm)が所定の設定時間(T1)をカウントアップした際に、当該水皿(24)を上昇途中で停止保持させるようにした
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項3】
前記水皿(24)が上昇途中で停止した後に、前記貯氷検知手段(40)が前記貯氷室(16)の氷塊(M)を検知しなくなった時点から所定の判定時間(T2)が経過すると、前記水皿(24)を除氷姿勢へ移動させて下降させて前記製氷運転を再開する請求項1または2記載の自動製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷室の下面を閉塞した水皿から製氷水を供給して氷塊を生成する製氷運転と、前記水皿を製氷室から開放して氷塊を貯氷室へ放出する除氷運転とを反復する自動製氷機において、前記除氷運転で開放した水皿や、ドレンパンに載り移った氷塊を水皿の復帰上昇または再下降動作により所謂氷噛みが生ずるのを確実に防止し得る自動製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動製氷機で氷塊を自動的に生成する方式は、縦に配置した製氷板に製氷水を流下させて氷結させる流下式や、製氷室の下方に傾動自在に配置した水皿が、該製氷室を下から閉塞して水を噴射供給する噴射式や、冷凍シリンダ中でオーガを回転させて氷を削り取るオーガ式等に分類できる。本発明は、噴射式製氷機(例えば特許文献1参照)に関するものであるので、図5および図6を参照して噴射式製氷機の概略を説明する。
【0003】
図5は、従来技術に係る噴射式自動製氷機の縦断側面図であり、水皿が製氷部を下方から閉塞した製氷運転中の状態を示している。図6は、図5に示す自動製氷機10において、前記水皿24が製氷部20から斜め下方へ開放し、生成した氷塊Mを貯氷室16へ放出する除氷運転中の状態を示している。図5の自動製氷機10は、筐体12の内部が製氷機構部14と、該製氷機構部14から放出される氷塊Mを貯留する貯氷室16とに上下に分かれている。製氷機構部14には、下向きに開口する製氷室18を碁盤目状に多数画成した製氷部20が水平に配設され、前記製氷部20の上面には冷凍系(図示せず)に接続する蒸発管22が蛇行状に密着配置されている。
【0004】
前記製氷部20の各製氷室18は、夫々の製氷室18に対応する噴射孔(図示せず)を多数開設した水皿24により下方から閉塞されて、前記噴射孔から各製氷室18へ製氷水が噴射供給される。前記水皿24の下部には、外部水道系から供給される製氷水を貯留する製氷水タンク26が配設され、該製氷水タンク26の側部に設けた循環ポンプ28が前記製氷水をホース30を介して前記水皿24へ循環供給するようになっている。前記水皿24および製氷水タンク26は、前記製氷室18を支持している支持体32の側部に軸34で枢支されている。そして、図示しないアクチュエータにより正逆駆動されて、前記製氷部20を水皿24で閉塞する製氷姿勢(図5)と、斜め下方へ傾動して前記水皿24を前記製氷部20から開放する除氷姿勢(図6)とに移動するようになっている。
【0005】
前記製氷水タンク26の直下には、所要のスペースを空けてドレンパン36が水平に配設され、除氷運転で傾動した前記製氷水タンク26から放出される製氷水を該ドレンパン36で受けて、ドレン管38から外部へ放出するようになっている。前記貯氷室16には、貯氷検出手段として例えば貯氷検知スイッチ40が設けられ、前記製氷室18から放出されて該貯氷室16に貯留された氷塊Mの量が所定レベルに達した満杯を検知して、図示しない制御回路へ信号を送るようになっている。また製氷部20には、サーミスタ等の温度センサ42が設けられて該製氷部20の温度を監視し、製氷運転中は製氷完了温度を検出して製氷運転の終了信号を前記制御回路へ送り、また除氷運転中は貯氷完了温度を検出して除氷運転の終了信号を制御回路へ送るようになっている。
【0006】
前述した自動製氷機10では、製氷運転と除氷運転とが反復されて貯氷室16に多数の氷塊Mが貯留されて一定レベルに達すると、前記貯氷検知スイッチ40が氷塊Mの満杯を検知してON状態になる。しかし、貯氷検知スイッチ40がON状態になっても、直ちに満氷として前記制御回路により除氷運転を終了させるのではなく、タイマによる所定時間を経過した後に満氷検知を行うようになっている。すなわち、製氷運転から除氷運転に切り替わって、前記水皿24が斜め下方へ傾動して製氷室18を開放した後に、貯氷室16における氷塊Mの満杯を前記貯氷検知スイッチ40が検知してON動作すると、制御回路におけるタイマが所定の設定時間(例えば10秒)のカウントを開始する。そして、タイマが所定のカウントを終了してタイムアップすると、貯氷検知スイッチ40の誤検知ではないと判断して(貯氷室16の満氷を確認)、除氷運転を停止させる。このように水皿24の完全下降を確認するのは、該水皿24が何等かの理由、例えば下降途中で停止すると、氷塊Mが該水皿24に残留してしまうことがあるからである。なお、図示しないセンサにより前記アクチュエータモータの回転位置を検出し、これにより前記水皿24の位置を間接的に検知することで、該水皿24が完全に下降したことを検出する。
【0007】
なお、貯氷検知スイッチ40のONによりタイマが所定時間をカウントしている間に、前記製氷部20に設けた温度センサ42が除氷完了温度を検知すると、製氷運転に向けて該水皿24は上昇し始める。ここで前記タイマがタイムアップすると、上昇中であった前記水皿24は再下降に切り替わり、前記水皿24は完全に下方へ開いた状態で除氷運転を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−60361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の噴射式の自動製氷機における前記タイマは、貯氷検知スイッチ40がON動作すると所定時間のカウントを開始する。しかし諸般の状況によっては、前記水皿24が下降し切った状態で、前記タイマがタイムアップする前に、前記温度センサ42が前記製氷部20の除氷完了温度を検出して、前記水皿24を上昇させ始めることがある。この場合は、前記タイマが所定時間をタイムアップした時点で、前記水皿24を再下降させた後に除氷運転を停止させる。
【0010】
しかしながら、除氷運転中で下降していた前記水皿24が上昇し始めたことで、前記貯氷室16に堆積した氷塊Mの一部が該水皿24に載ってしまったり、前記ドレンパン36の側に崩れて該ドレンパン36の上に載ってしまったりすることがある。例えば、図6に示すように、水皿24が斜め下方へ傾動して製氷室18を開放し、該製氷室18の氷塊Mが貯氷室16に偏在的に堆積してしまった場合に、何等かの理由により前記水皿24が、図7に示すように上昇し始めることがある。この場合に、上昇に転じた水皿24が貯氷室16に堆積している氷塊Mに接触して、一部の氷塊Mが前記水皿24に載り移ってしまうことがあり得る。このように一部の氷塊Mを載せたまま水皿24が上昇すると、該水皿24と製氷部20との間で氷塊Mを挟んでしまい(氷噛み)、アクチュエータに過負荷を生じたり、製氷部20や水皿24を損傷する。すなわち、水皿24に氷塊Mが移載されたまま上昇すると、前記タイマがカウントアップする前に前記貯氷検知スイッチ40の除氷温度検知が解除された場合、該水皿24は下降することなく上昇してしまい、前記のように製氷部20との間で氷噛みを生じてしまう危険性がある。
【0011】
また、図6に示すように、貯氷室16に多量の氷塊Mが堆積している状態で水皿24が突如上昇すると、図7に示すように該水皿24が氷塊Mに接触し、一部の氷塊Mがドレンパン36の上に載り移ってしまうことがある。このように一部の氷塊Mがドレンパン36に載った状態で、前記水皿24が再下降すると、該水皿24の下部に設けた製氷水タンク26の裏面が前記ドレンパン36上に散乱している氷塊Mを挟んでしまい、前記ドレンパン36に割れを生じたり破砕したりする。
【0012】
本発明は、従来の技術に係る自動製氷機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、水皿の移動による氷噛み現象を防止し得る自動製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
下向きに開口する多数の製氷室を有する製氷部と、前記製氷室の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿と、前記水皿の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンクと、前記製氷水タンクの下方に位置して、前記水皿の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパンと、前記製氷部から放出される氷塊を貯留する貯氷室と、前記貯氷室に貯留された氷塊の満杯を検知する貯氷検知手段とを備え、前記水皿は、前記製氷室で氷塊を生成する製氷運転時には該製氷室を閉塞する製氷姿勢に保持され、前記製氷室での氷塊の生成完了後の除氷運転時には下方へ傾動して製氷室を開放した除氷姿勢になる自動製氷機において、
前記貯氷検知手段が前記貯氷室の氷塊の満杯を確認した時点で計時を開始するタイマを備え、
前記除氷運転において前記水皿が前記除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、前記タイマが所定の設定時間をカウントアップした際に、前記水皿を上昇途中で停止保持させるようにしたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、除氷運転おいて、水皿が除氷姿勢から製氷姿勢へ移動中に、貯氷室中の氷塊が満杯となってタイマが設定時間を計時した場合には、水皿を移動途中の位置で停止保持するため、ドレンパンの上に載った氷塊を該ドレンパンと製氷水タンクとで挟む氷噛みや、水皿の上に載った氷塊を該水皿と製氷部とで挟む氷噛みを防止し得る。従って、氷噛みが発生しないので、水皿を動作させる機構や、製氷部、水皿またはドレンパンが損傷することを回避し得る。
【0014】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、
下向きに開口する多数の製氷室を有する製氷部と、前記製氷室の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿と、前記水皿の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンクと、前記製氷水タンクの下方に位置して、前記水皿の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパンとが配設された製氷機構部が、上下に複数配置されると共に、前記製氷部から放出される氷塊を貯留する貯氷室と、前記貯氷室に貯留された氷塊の満杯を検知する貯氷検知手段とを備え、前記各製氷機構部の水皿は、前記製氷室で氷塊を生成する製氷運転時には該製氷室を閉塞する製氷姿勢に保持され、前記製氷室での氷塊の生成完了後の除氷運転時には下方へ傾動して製氷室を開放した除氷姿勢になる自動製氷機において、
前記貯氷検知手段が前記貯氷室の氷塊の満杯を確認した時点で計時を開始するタイマを備え、
前記製氷機構部では、前記除氷運転において前記水皿が前記除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、前記タイマが所定の設定時間をカウントアップした際に、当該水皿を上昇途中で停止保持させるようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、何れかの製氷機構部における水皿が除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇中に、これとは別の製氷機構部の製氷部が除氷完了温度になると共に、当該別の製氷機構部の製氷部から放出された氷塊により貯氷検知手段が氷塊の満杯を確認して、タイマが設定時間をカウントアップすると、除氷姿勢から製氷姿勢に移動していた水皿が上昇途中で停止保持される。これにより、最も下に配設された製氷機構部では、ドレンパンの上に載った氷塊を該ドレンパンと製氷水タンクとで挟む氷噛みや、水皿の上に載った氷塊を該水皿と製氷部とで挟む氷噛みを防止し得る。従って、氷噛みが発生しないので、水皿を動作させる機構や、製氷部、水皿またはドレンパンが損傷することを回避し得る。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記水皿が上昇途中で停止した後に、前記貯氷検知手段が前記貯氷室の氷塊を検知しなくなった時点から所定の判定時間が経過すると、前記水皿を除氷姿勢へ移動させて下降させて前記製氷運転を再開することを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、水皿を移動途中で停止させた後に、貯氷室に貯留された氷塊が減った場合に、貯氷検知手段がOFF動作してから判定時間が経過した後に水皿を除氷姿勢へ移動させる。このため、規定時間が経過する間にドレンパンの上に載った氷塊が適度に融けるため、水皿が除氷姿勢へ移動しても、製氷水タンクとドレンパンにより氷塊が挟まれ難くなって氷噛みの発生を抑制し得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動製氷機によれば、水皿の移動による氷噛み現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例に係る自動製氷機の運転方法を示すフローチャートである。
図2】実施例に係る自動製氷機のタイミングチャートの一例である。
図3】製氷機構部を上下2段で備えたスタックオンタイプの自動製氷機における製氷部を示す縦断側面図である。
図4図3に示すスタックオンタイプの自動製氷機のタイミングチャートの一例である。
図5】従来の噴射式の自動製氷機を、製氷運転において水皿が製氷姿勢となっている状態を示す縦断側面図である。
図6】従来の噴射式の自動製氷機を、除氷運転において水皿が除氷姿勢となっていいる状態で示す縦断側面図である。
図7】水皿が製氷姿勢に復帰する際に、該水皿と製氷部との間で氷噛みが生じたり、水皿が除氷姿勢へ復帰する際に、該水皿とドレンパンとの間に氷噛みが生じることを示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る自動製氷機について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、本発明は自動製氷機に関するものであり、実施例では図5および図6に例示した自動製氷機と基本的に同一構成の自動製氷機を例示することとし、実施例が適用される噴射式の自動製氷機10の構成に関しては、図5および図6を引用して述べた前記説明を援用する。
【実施例】
【0019】
実施例に係る自動製氷機10について、その運転方法を、図1のフローチャートおよび図2のタイミングチャートを参照して説明する。図1に示すように、自動製氷機10を起動すると(ステップS1)、製氷機構部14における製氷運転が開始される(ステップS2)。これにより自動製氷機10では、前述したように製氷運転と除氷運転とのサイクルが反復され、製氷運転において製氷部20の各製氷室18で生成された氷塊Mが、除氷運転において貯氷室16へ放出され、氷塊Mが貯氷室16に次第に貯留される。
【0020】
製氷部20に設けた温度センサ42は、前述したように該製氷部20の温度を監視しており、製氷室18の温度が製氷完了温度に達したことを温度センサ42が確認すると(ステップS3)、制御回路は、製氷運転を終了し(ステップS4)、除氷運転を開始する(ステップS5)。除氷運転が開始されると、各製氷室18を閉塞していた水皿24は、製氷姿勢から除氷姿勢に向けて下降を開始して製氷室18を開放する。
【0021】
除氷運転が開始されると、製氷室18は、氷塊Mとの融解を促進するため蒸発管22を介してホットガスにより加温し、また氷塊Mの放出により熱負荷を失って温度が上昇する。これにより、製氷室18に形成された多数の氷塊Mは、水皿24上に落下した後、該水皿24上を滑落して貯氷室16に放出される。製氷室18の温度上昇を検知する温度センサ42は、全ての氷塊Mの放出により除氷完了温度に達したことを確認すると(ステップS6)、第1条件としての第1信号を、制御回路に出力する(ステップS7)。また、ステップS6において、温度センサ42が除氷完了温度に達したことを確認すると、制御回路は、アクチュエータを逆駆動する制御を開始して、除氷姿勢となっていた水皿24を製氷姿勢に向けて上昇移動させる。
【0022】
(第2信号)
一方、ステップS5で除氷運転の開始が確認されると、ステップS6、S7と並行に走るフローチャートが機能を開始し、貯氷室16中の貯氷検知スイッチ40がON動作したか(氷塊Mを検知したか)否かを確認する(ステップS8)。ステップS8で貯氷検知スイッチ40のON動作が確認されると、制御回路に内蔵または接続されたタイマTmが計時を開始する(ステップS9)。前記タイマTmには、所定の設定時間(例えば、実施例では10秒)T1の時限が設定してあり、次のステップS10でタイマTmが所定時間T1をカウントアップしたか否かを確認する。ステップS10での判定結果が肯定の場合(タイマTmが所定時間T1をカウントした場合)に、貯氷検知スイッチ40がON状態である場合には(ステップS11)、該貯氷検知スイッチ40から第2条件としての第2信号が制御回路に入力される(ステップS12)。
【0023】
そして、前記制御回路は、ステップS13において、ステップS7において入力される第1信号およびステップS12において入力される第2信号の入力有無を確認する。ステップS13においては、(a)第1信号および第2信号の両方が入力された、(b)第1信号のみが入力された(第2信号は入力されていない)、の2種類のパターンの何れかが成立することになる。ここで、制御回路は、ステップS13において、当該の除氷運転に際して第1信号および第2信号が入力可能な時間が経過した時点で、第1信号および第2信号の入力有無の判定を行うようになっている。
【0024】
(第1信号および第2信号の両方が入力された場合)
前記ステップS13において、前記(a)パターンと判定した場合、すなわち第1信号の入力および第2信号の入力による第1条件および第2条件のアンド条件が成立した場合に、制御回路は、水皿24のアクチュエータを停止する制御を行い、該水皿10を移動途中の位置に停止保持する(ステップS14)。すなわち、製氷部20が除氷完了温度に達して第1信号が入力された後に、適宜時間差をおいてタイマTmが設定時間T1をカウントアップして第2信号が入力された場合には、該第2信号が入力された時点で、アクチュエータの駆動により水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢に向けて既に上昇し始めている。従って制御回路は、アクチュエータの駆動を停止する制御を行い、水皿24を上昇途中で停止させる。そして、水皿24の停止後に自動製氷機10の運転が停止される。
【0025】
ステップS14において上昇途中で停止した自動製氷機10は、貯氷解除されるまで停止した状態に保持される(ステップS15)。ここで、「貯氷解除」とは、貯氷室16内の氷塊Mが満杯状態から減ることで貯氷検知スイッチ40が氷塊Mを検知しなくなってOFF動作した時点から、所定の判定時間(例えば、実施例では80秒)T2の経過時点でも当該貯氷検知スイッチ40のOFF状態が継続している状態を意味する。すなわち、実施例の自動製氷機10は、貯氷検知スイッチ40が判定時間T2に亘って連続OFF状態となっていることで、貯氷室16が氷塊Mで満杯ではないと判定するようになっている。
【0026】
前記ステップS15において、貯氷解除が確認されると、制御回路は、水皿24のアクチュエータを駆動する制御を行い、該水皿24を、上昇途中に停止した位置から除氷姿勢に向けて下降させる(ステップS16)。そして、制御回路は、水皿24が除氷姿勢となると共に、製氷部20が除氷完了温度になっていることを条件として、該水皿24を除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇させると共に、ステップS2に戻って製氷運転を再開する。
【0027】
(第1信号のみ入力された場合)
一方、前記ステップS13において、前記(b)パターンと判定した場合、すなわち、第1信号のみの入力により第1条件および第2条件のアンド条件が未成立の場合は、製氷部20が除氷完了温度まで上昇して除氷完了となっても、貯氷室16が満杯となっていない。従って、制御回路は、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇中である場合に、アクチュエータの駆動をそのまま継続して、該水皿24を製氷姿勢まで上昇させ(ステップS17)、ステップS2に戻って製氷運転を開始する。
【0028】
次に、自動製氷機10における一連の運転方法を、図2のタイミングチャートで追認する。製氷室18の温度を監視する温度センサ42が、製氷完了温度を検出すると製氷運転が終了し、製氷室18を閉塞していた水皿24は、製氷姿勢から除氷姿勢に向けて下降を開始する。そして、前記水皿24を除氷姿勢へ下降させると共に製氷室18を加熱することで、各製氷室18に生成された氷塊Mが該製氷室18から放出されて、水皿24上を滑落して貯氷室16内に落下する。製氷室18からの氷塊Mの放出が完了して、温度センサ42が除氷完了温度を検出すると、除氷運転から製氷運転に移行する。また、温度センサ42が除氷完了温度を検出すると、水皿24が、除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇を開始する。そして、温度センサ42から制御回路に向けて第1信号が入力される。
【0029】
除氷運転により貯氷室16内が氷塊Mで満杯となると、貯氷検知スイッチ40が該氷塊Mを検知してON動作する。なお、図2では、温度センサ42が除氷完了温度を検出する前のタイミングで、貯氷検知スイッチ40がON動作した状態を示している。すなわち、水皿24が除氷姿勢に停止している状態で、貯氷検知スイッチ40がON動作する。
【0030】
前記貯氷検知スイッチ40のON動作と同期して、設定時間T1として10秒に予め設定したタイマTmが計時を開始する。そして、タイマTmが10秒をカウントアップすると、該タイマTmから制御回路に向けて第2信号が入力される。制御回路に、温度センサ42からの第1信号およびタイマTmからの第2信号が入力されて、第1条件および第2条件のアンド条件が成立する。ここで、図2では、タイマTmが設定時間T1をカウントアップする前に製氷部20が除氷完了温度に達するため、タイマTmが10秒をカウントアップした時点では、水皿24が既に除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇を開始している。従って、制御回路は、タイマTmが設定時間T1をカウントアップすると同時にアクチュエータの駆動を停止する制御を行い、水皿24を上昇途中で停止保持させる。また、水皿24が停止保持されたら、自動製氷機10の運転が停止される。
【0031】
自動製氷機10の運転停止中に貯氷室16から氷塊Mが取り出されて、貯氷量16内の氷塊Mの貯氷量が減ることで、該氷塊Mが貯氷検知スイッチ40から離れると、該貯氷検知スイッチ40がOFF動作する。そして、貯氷検知スイッチ40がOFF動作してから前記規定時間T2が経過するまで該貯氷検知スイッチ40がOFF状態に維持されると、自動製氷機10が再起動される。自動製氷機10の再起動により、制御回路は、水皿24のアクチュエータを駆動する制御を行い、除氷姿勢と製氷姿勢との間で停止していた水皿24を、当該停止位置から除氷姿勢に向けて下降させる。そして、水皿24が除氷姿勢となると、制御回路は、アクチュエータを逆駆動する制御を行い、水皿24を除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上方へ移動させると共に、製氷運転を再開させる。
【0032】
従って、実施例の自動製氷機10によれば、除氷運転により、製氷部20からの氷塊Mの放出が完了して該製氷部20が除氷完了温度になった第1条件と、貯氷室16の貯氷検知スイッチ40がON動作して設定時間T1が経過した第2条件とのアンド条件が成立した際に、製氷部20が除氷完了温度となることで除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇し始めていた水皿24を、上昇途中で即時に停止させるようにした。すなわち、第1条件および第2条件のアンド条件が成立した際に、除氷姿勢と製氷姿勢との間に位置した水皿24を、除氷姿勢へ再下降させたり、停止させずに製氷姿勢まで上昇させない。従って、水皿24が除氷姿勢に向けて下降しないので、貯氷室16に満杯状態に貯留された氷塊Mの一部がドレンパン36の上に載っていたとしても、製氷水タンク26とドレンパン36とで該ドレンパン36の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20、水皿24またはドレンパン36が損傷することを回避し得る。また、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇しないので、貯氷室16に氷塊Mが満杯状態に貯留されて氷塊Mの一部が当該水皿24の上に載ったままとなったとしても、水皿24と製氷部20とで該水皿24の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20または水皿24が損傷することを回避し得る。
【0033】
また、実施例の自動製氷機10では、前記第1条件および第2条件によるアンド条件の成立により水皿24を停止させた後に、貯氷検知スイッチ40が判定時間(実施例では80秒)に亘ってOFF状態に維持された貯氷解除となることを条件として、自動製氷機10を再起動して水皿24を除氷姿勢まで下降させるようにした。すなわち、水皿24の停止直後に貯氷検知スイッチ40がOFF状態となった場合でも、判定時間T2が経過してから、水皿24を除氷姿勢に向けて下降させるようになっている。ここで、ドレンパン36上には水皿24から落下した水や製氷水タンク26から排出された水が残留しているので、該ドレンパン36の上に載った氷塊Mは、判定時間T2が経過するまでに適度に融けて、角が取れた丸みを帯びた形状となる。従って、判定時間T2が経過して貯氷解除となったことを条件として水皿24を除氷姿勢に向けて移動させるので、ドレンパン36の上に載った氷塊Mは、該水皿24に押されてドレンパン36の奥側へ滑るようになり、水皿24とドレンパン36とによる氷噛みが起こり難い。
【0034】
(スタックオンタイプの自動製氷機について)
図3は、下向きに開口する多数の製氷室18を有する製氷部20と、製氷室20の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿24と、水皿24の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンク26と、製氷水タンク26の下方に位置して、水皿24の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパン36とが配設された製氷機構部14が、上下に複数(実施例では2基)配置したスタックオンタイプの自動製氷機10を例示したものである。このスタックオンタイプの自動製氷機10は、各製氷機構部14における製氷運転および除氷運転が個別のタイミングで行われるようになっている。そして、各製氷機構部14においては、除氷運転において水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、貯氷検知スイッチ40が貯氷室16内の氷塊Mを確認してタイマTmが設定時間T1をカウントアップした際に、当該水皿24を上昇途中で停止保持させるようになっている。
【0035】
前記スタックオンタイプの自動製氷機10は、上段の製氷機構部14の製氷・除氷運転と下段の製氷機構部14の製氷・除氷運転とが独立して行われるため、図4に示すように、下段の製氷機構部14が上段の製氷機構部14より先に除氷運転が完了することがある。すなわち、下段の製氷機構部14の製氷部20が除氷完了温度になって水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇中に、上段の製氷機構部14の製氷部20が除氷完了温度になると共に、該上段の製氷部20から放出された氷塊Mにより、貯氷検知スイッチ40がON動作してタイマTmが計時を開始する場合がある。ここで、下段の製氷機構部14の水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢まで上昇するのに要する時間が設定時間T1より長くなっており、該水皿24が製氷姿勢へ上昇する前にタイマTmが設定時間T1をカウントアップすることがあり得る。このような場合には、タイマTmが設定時間T1をカウントアップすると、下段の製氷機構部14における水皿24を上昇途中で停止保持するようになっている。
【0036】
従って、前記スタックオンタイプの自動製氷機10では、除氷運転中において貯氷室16が氷塊Mで満杯となると共に設定時間T1が経過した際に、水皿24が除氷姿勢に向けて下降しないので、貯氷室16に満杯状態に貯留された氷塊Mの一部がドレンパン36の上に載っていたとしても、製氷水タンク26とドレンパン36とで該ドレンパン36の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20、水皿24またはドレンパン36が損傷することを回避し得る。また、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇しないので、氷塊Mの一部が当該水皿24の上に載ったままとなったとしても、水皿24と製氷部20とで該水皿24の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20または水皿24が損傷することを回避し得る。更に、判定時間T2が経過して貯氷解除となったことを条件として水皿24を除氷姿勢に向けて移動させることで、氷塊Mがドレンパン36の上に載っていたとしても、該水皿24に押されて該氷塊Mがドレンパン36の奥側へ滑るようになり、水皿24とドレンパン36とによる氷噛みが起こり難い。
【0037】
(変更例)
本願発明の断熱容器は、実施例に例示したものに限らず、様々に変更が可能である。
(1)タイマTmがカウントする設定時間T1は、実施例で例示した10秒に限らず、自動製氷機毎に適した時間に設定可能である。
(2)貯氷検知スイッチ40のOFF動作から貯氷解除となる規定時間T2は、実施例で例示した80秒に限らず、自動製氷機毎に適した時間に設定可能である。
(3)製氷完了および除氷完了を判定する構成は、実施例で例示した温度センサによる製氷部の温度に基づいて判定するものに限らず、計時手段の計時による判定するものであってもよい。
(4)貯氷検知手段は、実施例のスイッチに限らず、近接センサ、圧力センサまたは赤外線センサ等であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
14 製氷機構部,16 貯氷室,18 製氷室,20 製氷部,24 水皿
36 ドレンパン,40 貯氷検知手段(貯氷検知スイッチ),M 氷塊,T1 設定時間
T2 判定時間,Tm タイマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7