【実施例】
【0019】
実施例に係る自動製氷機10について、その運転方法を、
図1のフローチャートおよび
図2のタイミングチャートを参照して説明する。
図1に示すように、自動製氷機10を起動すると(ステップS1)、製氷機構部14における製氷運転が開始される(ステップS2)。これにより自動製氷機10では、前述したように製氷運転と除氷運転とのサイクルが反復され、製氷運転において製氷部20の各製氷室18で生成された氷塊Mが、除氷運転において貯氷室16へ放出され、氷塊Mが貯氷室16に次第に貯留される。
【0020】
製氷部20に設けた温度センサ42は、前述したように該製氷部20の温度を監視しており、製氷室18の温度が製氷完了温度に達したことを温度センサ42が確認すると(ステップS3)、制御回路は、製氷運転を終了し(ステップS4)、除氷運転を開始する(ステップS5)。除氷運転が開始されると、各製氷室18を閉塞していた水皿24は、製氷姿勢から除氷姿勢に向けて下降を開始して製氷室18を開放する。
【0021】
除氷運転が開始されると、製氷室18は、氷塊Mとの融解を促進するため蒸発管22を介してホットガスにより加温し、また氷塊Mの放出により熱負荷を失って温度が上昇する。これにより、製氷室18に形成された多数の氷塊Mは、水皿24上に落下した後、該水皿24上を滑落して貯氷室16に放出される。製氷室18の温度上昇を検知する温度センサ42は、全ての氷塊Mの放出により除氷完了温度に達したことを確認すると(ステップS6)、第1条件としての第1信号を、制御回路に出力する(ステップS7)。また、ステップS6において、温度センサ42が除氷完了温度に達したことを確認すると、制御回路は、アクチュエータを逆駆動する制御を開始して、除氷姿勢となっていた水皿24を製氷姿勢に向けて上昇移動させる。
【0022】
(第2信号)
一方、ステップS5で除氷運転の開始が確認されると、ステップS6、S7と並行に走るフローチャートが機能を開始し、貯氷室16中の貯氷検知スイッチ40がON動作したか(氷塊Mを検知したか)否かを確認する(ステップS8)。ステップS8で貯氷検知スイッチ40のON動作が確認されると、制御回路に内蔵または接続されたタイマTmが計時を開始する(ステップS9)。前記タイマTmには、所定の設定時間(例えば、実施例では10秒)T1の時限が設定してあり、次のステップS10でタイマTmが所定時間T1をカウントアップしたか否かを確認する。ステップS10での判定結果が肯定の場合(タイマTmが所定時間T1をカウントした場合)に、貯氷検知スイッチ40がON状態である場合には(ステップS11)、該貯氷検知スイッチ40から第2条件としての第2信号が制御回路に入力される(ステップS12)。
【0023】
そして、前記制御回路は、ステップS13において、ステップS7において入力される第1信号およびステップS12において入力される第2信号の入力有無を確認する。ステップS13においては、(a)第1信号および第2信号の両方が入力された、(b)第1信号のみが入力された(第2信号は入力されていない)、の2種類のパターンの何れかが成立することになる。ここで、制御回路は、ステップS13において、当該の除氷運転に際して第1信号および第2信号が入力可能な時間が経過した時点で、第1信号および第2信号の入力有無の判定を行うようになっている。
【0024】
(第1信号および第2信号の両方が入力された場合)
前記ステップS13において、前記(a)パターンと判定した場合、すなわち第1信号の入力および第2信号の入力による第1条件および第2条件のアンド条件が成立した場合に、制御回路は、水皿24のアクチュエータを停止する制御を行い、該水皿10を移動途中の位置に停止保持する(ステップS14)。すなわち、製氷部20が除氷完了温度に達して第1信号が入力された後に、適宜時間差をおいてタイマTmが設定時間T1をカウントアップして第2信号が入力された場合には、該第2信号が入力された時点で、アクチュエータの駆動により水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢に向けて既に上昇し始めている。従って制御回路は、アクチュエータの駆動を停止する制御を行い、水皿24を上昇途中で停止させる。そして、水皿24の停止後に自動製氷機10の運転が停止される。
【0025】
ステップS14において上昇途中で停止した自動製氷機10は、貯氷解除されるまで停止した状態に保持される(ステップS15)。ここで、「貯氷解除」とは、貯氷室16内の氷塊Mが満杯状態から減ることで貯氷検知スイッチ40が氷塊Mを検知しなくなってOFF動作した時点から、所定の判定時間(例えば、実施例では80秒)T2の経過時点でも当該貯氷検知スイッチ40のOFF状態が継続している状態を意味する。すなわち、実施例の自動製氷機10は、貯氷検知スイッチ40が判定時間T2に亘って連続OFF状態となっていることで、貯氷室16が氷塊Mで満杯ではないと判定するようになっている。
【0026】
前記ステップS15において、貯氷解除が確認されると、制御回路は、水皿24のアクチュエータを駆動する制御を行い、該水皿24を、上昇途中に停止した位置から除氷姿勢に向けて下降させる(ステップS16)。そして、制御回路は、水皿24が除氷姿勢となると共に、製氷部20が除氷完了温度になっていることを条件として、該水皿24を除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇させると共に、ステップS2に戻って製氷運転を再開する。
【0027】
(第1信号のみ入力された場合)
一方、前記ステップS13において、前記(b)パターンと判定した場合、すなわち、第1信号のみの入力により第1条件および第2条件のアンド条件が未成立の場合は、製氷部20が除氷完了温度まで上昇して除氷完了となっても、貯氷室16が満杯となっていない。従って、制御回路は、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇中である場合に、アクチュエータの駆動をそのまま継続して、該水皿24を製氷姿勢まで上昇させ(ステップS17)、ステップS2に戻って製氷運転を開始する。
【0028】
次に、自動製氷機10における一連の運転方法を、
図2のタイミングチャートで追認する。製氷室18の温度を監視する温度センサ42が、製氷完了温度を検出すると製氷運転が終了し、製氷室18を閉塞していた水皿24は、製氷姿勢から除氷姿勢に向けて下降を開始する。そして、前記水皿24を除氷姿勢へ下降させると共に製氷室18を加熱することで、各製氷室18に生成された氷塊Mが該製氷室18から放出されて、水皿24上を滑落して貯氷室16内に落下する。製氷室18からの氷塊Mの放出が完了して、温度センサ42が除氷完了温度を検出すると、除氷運転から製氷運転に移行する。また、温度センサ42が除氷完了温度を検出すると、水皿24が、除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇を開始する。そして、温度センサ42から制御回路に向けて第1信号が入力される。
【0029】
除氷運転により貯氷室16内が氷塊Mで満杯となると、貯氷検知スイッチ40が該氷塊Mを検知してON動作する。なお、
図2では、温度センサ42が除氷完了温度を検出する前のタイミングで、貯氷検知スイッチ40がON動作した状態を示している。すなわち、水皿24が除氷姿勢に停止している状態で、貯氷検知スイッチ40がON動作する。
【0030】
前記貯氷検知スイッチ40のON動作と同期して、設定時間T1として10秒に予め設定したタイマTmが計時を開始する。そして、タイマTmが10秒をカウントアップすると、該タイマTmから制御回路に向けて第2信号が入力される。制御回路に、温度センサ42からの第1信号およびタイマTmからの第2信号が入力されて、第1条件および第2条件のアンド条件が成立する。ここで、
図2では、タイマTmが設定時間T1をカウントアップする前に製氷部20が除氷完了温度に達するため、タイマTmが10秒をカウントアップした時点では、水皿24が既に除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇を開始している。従って、制御回路は、タイマTmが設定時間T1をカウントアップすると同時にアクチュエータの駆動を停止する制御を行い、水皿24を上昇途中で停止保持させる。また、水皿24が停止保持されたら、自動製氷機10の運転が停止される。
【0031】
自動製氷機10の運転停止中に貯氷室16から氷塊Mが取り出されて、貯氷量16内の氷塊Mの貯氷量が減ることで、該氷塊Mが貯氷検知スイッチ40から離れると、該貯氷検知スイッチ40がOFF動作する。そして、貯氷検知スイッチ40がOFF動作してから前記規定時間T2が経過するまで該貯氷検知スイッチ40がOFF状態に維持されると、自動製氷機10が再起動される。自動製氷機10の再起動により、制御回路は、水皿24のアクチュエータを駆動する制御を行い、除氷姿勢と製氷姿勢との間で停止していた水皿24を、当該停止位置から除氷姿勢に向けて下降させる。そして、水皿24が除氷姿勢となると、制御回路は、アクチュエータを逆駆動する制御を行い、水皿24を除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上方へ移動させると共に、製氷運転を再開させる。
【0032】
従って、実施例の自動製氷機10によれば、除氷運転により、製氷部20からの氷塊Mの放出が完了して該製氷部20が除氷完了温度になった第1条件と、貯氷室16の貯氷検知スイッチ40がON動作して設定時間T1が経過した第2条件とのアンド条件が成立した際に、製氷部20が除氷完了温度となることで除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇し始めていた水皿24を、上昇途中で即時に停止させるようにした。すなわち、第1条件および第2条件のアンド条件が成立した際に、除氷姿勢と製氷姿勢との間に位置した水皿24を、除氷姿勢へ再下降させたり、停止させずに製氷姿勢まで上昇させない。従って、水皿24が除氷姿勢に向けて下降しないので、貯氷室16に満杯状態に貯留された氷塊Mの一部がドレンパン36の上に載っていたとしても、製氷水タンク26とドレンパン36とで該ドレンパン36の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20、水皿24またはドレンパン36が損傷することを回避し得る。また、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇しないので、貯氷室16に氷塊Mが満杯状態に貯留されて氷塊Mの一部が当該水皿24の上に載ったままとなったとしても、水皿24と製氷部20とで該水皿24の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20または水皿24が損傷することを回避し得る。
【0033】
また、実施例の自動製氷機10では、前記第1条件および第2条件によるアンド条件の成立により水皿24を停止させた後に、貯氷検知スイッチ40が判定時間(実施例では80秒)に亘ってOFF状態に維持された貯氷解除となることを条件として、自動製氷機10を再起動して水皿24を除氷姿勢まで下降させるようにした。すなわち、水皿24の停止直後に貯氷検知スイッチ40がOFF状態となった場合でも、判定時間T2が経過してから、水皿24を除氷姿勢に向けて下降させるようになっている。ここで、ドレンパン36上には水皿24から落下した水や製氷水タンク26から排出された水が残留しているので、該ドレンパン36の上に載った氷塊Mは、判定時間T2が経過するまでに適度に融けて、角が取れた丸みを帯びた形状となる。従って、判定時間T2が経過して貯氷解除となったことを条件として水皿24を除氷姿勢に向けて移動させるので、ドレンパン36の上に載った氷塊Mは、該水皿24に押されてドレンパン36の奥側へ滑るようになり、水皿24とドレンパン36とによる氷噛みが起こり難い。
【0034】
(スタックオンタイプの自動製氷機について)
図3は、下向きに開口する多数の製氷室18を有する製氷部20と、製氷室20の夫々を下方から開閉自在に開塞する水皿24と、水皿24の下方に取り付けられ、製氷水を貯留する製氷水タンク26と、製氷水タンク26の下方に位置して、水皿24の開放動作時に放出される製氷水を回収するドレンパン36とが配設された製氷機構部14が、上下に複数(実施例では2基)配置したスタックオンタイプの自動製氷機10を例示したものである。このスタックオンタイプの自動製氷機10は、各製氷機構部14における製氷運転および除氷運転が個別のタイミングで行われるようになっている。そして、各製氷機構部14においては、除氷運転において水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢へ上昇中に、貯氷検知スイッチ40が貯氷室16内の氷塊Mを確認してタイマTmが設定時間T1をカウントアップした際に、当該水皿24を上昇途中で停止保持させるようになっている。
【0035】
前記スタックオンタイプの自動製氷機10は、上段の製氷機構部14の製氷・除氷運転と下段の製氷機構部14の製氷・除氷運転とが独立して行われるため、
図4に示すように、下段の製氷機構部14が上段の製氷機構部14より先に除氷運転が完了することがある。すなわち、下段の製氷機構部14の製氷部20が除氷完了温度になって水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢に向けて上昇中に、上段の製氷機構部14の製氷部20が除氷完了温度になると共に、該上段の製氷部20から放出された氷塊Mにより、貯氷検知スイッチ40がON動作してタイマTmが計時を開始する場合がある。ここで、下段の製氷機構部14の水皿24が除氷姿勢から製氷姿勢まで上昇するのに要する時間が設定時間T1より長くなっており、該水皿24が製氷姿勢へ上昇する前にタイマTmが設定時間T1をカウントアップすることがあり得る。このような場合には、タイマTmが設定時間T1をカウントアップすると、下段の製氷機構部14における水皿24を上昇途中で停止保持するようになっている。
【0036】
従って、前記スタックオンタイプの自動製氷機10では、除氷運転中において貯氷室16が氷塊Mで満杯となると共に設定時間T1が経過した際に、水皿24が除氷姿勢に向けて下降しないので、貯氷室16に満杯状態に貯留された氷塊Mの一部がドレンパン36の上に載っていたとしても、製氷水タンク26とドレンパン36とで該ドレンパン36の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20、水皿24またはドレンパン36が損傷することを回避し得る。また、水皿24が製氷姿勢に向けて上昇しないので、氷塊Mの一部が当該水皿24の上に載ったままとなったとしても、水皿24と製氷部20とで該水皿24の上に載った氷塊Mを挟んでしまう氷噛みを防止することができ、アクチュエータに過負荷が生じたり、製氷部20または水皿24が損傷することを回避し得る。更に、判定時間T2が経過して貯氷解除となったことを条件として水皿24を除氷姿勢に向けて移動させることで、氷塊Mがドレンパン36の上に載っていたとしても、該水皿24に押されて該氷塊Mがドレンパン36の奥側へ滑るようになり、水皿24とドレンパン36とによる氷噛みが起こり難い。
【0037】
(変更例)
本願発明の断熱容器は、実施例に例示したものに限らず、様々に変更が可能である。
(1)タイマTmがカウントする設定時間T1は、実施例で例示した10秒に限らず、自動製氷機毎に適した時間に設定可能である。
(2)貯氷検知スイッチ40のOFF動作から貯氷解除となる規定時間T2は、実施例で例示した80秒に限らず、自動製氷機毎に適した時間に設定可能である。
(3)製氷完了および除氷完了を判定する構成は、実施例で例示した温度センサによる製氷部の温度に基づいて判定するものに限らず、計時手段の計時による判定するものであってもよい。
(4)貯氷検知手段は、実施例のスイッチに限らず、近接センサ、圧力センサまたは赤外線センサ等であってもよい。