(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動枠の固有振動周波数faと前記バネ部材の固有振動周波数fbが135Hz以上の差を有していることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光軸後側に設けたピボットによって可動モジュールを揺動可能に支持した構成の場合、比較的小さな振れには対応可能であるが、大きな振れには十分に対応することができない。
【0005】
そこで、本願発明者は、バネ性を有する可動枠を用いたジンバル機構によって可動モジュールを揺動可能に支持するとともに、可動モジュールおよび支持体に接続したバネ部材によって可動モジュールの姿勢を保持することを検討している。しかしながら、バネ性を有する2つの部材(可動枠およびバネ部材)を用いると、可動モジュールが複数の固有振動周波数を有することになる。その結果、光学モジュールを自動車やラジコンヘリコプター等の移動体に搭載した際、移動体の振動周波数帯域に可動モジュールの固有振動周波数(可動枠の固有振動周波数、およびバネ部材の固有振動周波数)が重なってしまい、移動体の振動によって可動モジュールが共振してしまうという問題点がある。
【0006】
例えば、
図10(b)に示すように、バネ部材は、可動モジュールの姿勢を保持することから、約60Hzのチルト方向(揺動方向)の固有振動周波数fb′を有しており、光学ユニットは、チルト方向の固有振動周波数より低い周波数帯域に振れ補正の高いゲインを有している。また、可動枠は、約120Hzの光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数fa1′と、約330Hzの光軸方向に直交する横シフト方向の固有振動周波数fa2′を有している。従って、固有振動周波数fb′と固有振動周波数fa1′との間には60Hzの差がある。従って、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体が移動しながら光学ユニットによって撮影する際の振動周波数帯域fw′の幅が50Hz程度であれば、バネ部材のチルト方向(揺動方向)の固有振動周波数fb′(約60Hz)や可動枠の光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数fa1′(約120Hz)と重ならない。しかしながら、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体は加減速しながら光学ユニットによって撮影するため、振動周波数帯域fw′の幅が65Hzとなることがある。このような場合、移動体の振動周波数帯域fw′がバネ部材のチルト方向(揺動方向)の固有振
動周波数fb′(約60Hz)や可動枠の光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数fa1′(約120Hz)と重なってしまい、可動モジュールが共振する。
【0007】
かかる共振を防止する方法としては、光学モジュールを緩衝部材や緩衝機構等を介して移動体に搭載する対策があるが、かかる対策の場合、光学モジュールを移動体に搭載するのに多大な手間がかかるという問題点がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体に搭載した場合でも、移動体の振動によって可動モジュールが共振することを光学ユニット自身で抑制することのできる振れ補正機能付き光学ユニットにおける共振防止方法、および振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、光学素子を保持する可動モジュールと、該可動モジュールの周りを囲む胴部を備えた支持体と、前記可動モジュールと前記支持体との間において、バネ性を有する可動枠をもって前記可動モジュールを揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動モジュールおよび前記支持体に接続されて前記可動モジュールの姿勢を保持するバネ部材と、前記可動モジュールを揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有する振れ補正機能付き光学ユニットを移動体に搭載した際の前記可動モジュールの共振を防止する方法であって、前記可動枠の固有振動周波数をfaとし、前記バネ部材の固有振動周波数をfbとし、前記支持体が搭載される移動体の振動周波数帯域をfwとしたとき、前記可動枠の固有振動周波数faおよび前記バネ部材の固有振動周波数fbを、前記移動体の振動周波数帯域fwからずらしておくことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を保持する可動モジュールと、該可動モジュールの周りを囲む胴部を備えた支持体と、前記可動モジュールと前記支持体との間において、バネ性を有する可動枠をもって前記可動モジュールを揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動モジュールおよび前記支持体に接続されて前記可動モジュールの姿勢を保持するバネ部材と、前記可動モジュールを揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記可動枠の固有振動周波数をfaとし、前記バネ部材の固有振動周波数をfbとし、前記支持体が搭載される移動体の振動周波数帯域をfwとしたとき、前記可動枠の固有振動周波数faおよび前記バネ部材の固有振動周波数fbが、前記移動体の振動周波数帯域fwからずれていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、支持体と可動モジュールとの間には、バネ性を有する可動枠およびバネ部材が介在するが、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数fbは、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体の振動周波数帯域fwからずれている。このため、振れ補正機能付き光学ユニットを移動体に搭載しても、可動モジュールに共振が発生しにくい。
【0012】
本発明は、前記バネ部材の固有振動周波数fb、および前記移動体の振動周波数帯域fwは、以下の関係
fb<fw
を満たしている場合に適用すると効果的である。すなわち、振れ補正機能付き光学ユニットは、バネ部材のチルト方向の固有振動周波数より低い周波数帯域に振れ補正の高いゲインを有しているため、移動体の振動周波数帯域fwがバネ部材の固有振動周波数fbより高い場合には、振れ補正を効果的に行うことができないが、それでも、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数fbが移動体の振動周波数帯域fwからずれているため、振れ補正機能付き光学ユニットを移動体に搭載しても、可動モジュールに共振が発生しにくい。
【0013】
本発明において、前記可動枠の固有振動周波数fa、前記バネ部材の固有振動周波数fb、および前記移動体の振動周波数帯域fwは、以下の関係
fb<fw<fa
を満たしていることが好ましい。すなわち、バネ部材の固有振動周波数fbを低周波数側にシフトさせ、可動枠の固有振動周波数faを高周波数側にシフトさせて、可動枠の固有振動周波数faとバネ部材の固有振動周波数fbとの差を広げ、可動枠の固有振動周波数faとバネ部材の固有振動周波数fbとの間に移動体の振動周波数帯域fwが位置することが好ましい。かかる構成によれば、バネ部材の固有振動周波数fbを低周波数側にシフトさせる結果、バネ部材のバネ係数が小さくなるので、振れ補正用駆動機構が可動モジュールを揺動させるのに必要なトルクが小さくて済むという利点がある。
【0014】
本発明では、前記可動枠の固有振動周波数faと前記バネ部材の固有振動周波数fbが135Hz以上の差を有していることが好ましい。かかる構成によれば、例えば、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体の加減速によって、撮像期間中、移動体の振動周波数帯域fwが±65Hzの幅(130Hzの幅)を有している場合でも、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数は、移動体の振動周波数帯域fwからずれることになる。また、可動枠の固有振動周波数とバネ部材の固有振動周波数とを135Hz以上離すと、可動モジュールの姿勢の保持等に対するマイナス面が大きいが、移動体の振動周波数帯域fwの幅130Hz(±65Hz)に対して5Hz程度の余裕を有することになるので、可動モジュールの共振を防止しつつ、可動モジュールの姿勢の保持等を適正に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を保持する可動モジュールと、該可動モジュールの周りを囲む胴部を備えた支持体と、前記可動モジュールと前記支持体との間において、バネ性を有する可動枠をもって前記可動モジュールを揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動モジュールおよび前記支持体に接続されて前記可動モジュールの姿勢を保持するバネ部材と、前記可動モジュールを揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記可動枠の固有振動周波数をfaとし、前記バネ部材の固有振動周波数をfbとしたとき、前記可動枠の固有振動周波数faと前記バネ部材の固有振動周波数fbが135Hz以上の差を有していることを特徴とする。
【0016】
本発明では、例えば、例えば、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体の加減速によって、撮像期間中、移動体の振動周波数帯域fwが±65Hzの幅(130Hzの幅)を有している場合でも、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数は、移動体の振動周波数帯域fwからずれることになる。また、可動枠の固有振動周波数とバネ部材の固有振動周波数とを135Hz以上離すと、可動モジュールの姿勢の保持等に対するマイナス面が大きいが、移動体の振動周波数帯域fwの幅130Hz(±65Hz)に対して5Hz程度の余裕を有することになるので、可動モジュールの共振を防止しつつ、可動モジュールの姿勢の保持等を適正に行うことができる。
【0017】
本発明は、前記可動枠の固有振動周波数fa、および前記バネ部材の固有振動周波数fbは、以下の関係
fb<fa
を満たしている場合に適用すると効果的である。すなわち、光学ユニットは、バネ部材のチルト方向の固有振動周波数より低い周波数帯域に振れ補正の高いゲインを有しているため、移動体の振動周波数帯域fwがバネ部材の固有振動周波数fbより高い場合には、振れ補正を効果的に行うことができないが、それでも、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数fbを移動体の振動周波数帯域fwからずらせば、振れ補正機能付き光学ユニットを移動体に搭載しても、可動モジュールに共振が発生しにくい。
【0018】
本発明において、前記可動枠の固有振動周波数faのうち、光軸方向の固有振動周波数をfa1とし、光軸に直交する方向の固有振動周波数をfa2としたとき、
固有振動周波数fa1および固有振動周波数fa2とは、
以下の関係
fa1<fa2
を満たしていることが好ましい。かかる構成によれば、可動枠の固有振動周波数faのうち、光軸方向の固有振動周波数fa1を移動体の振動周波数帯域fwより高周波数側に設定すれば、光軸に直交する方向の固有振動周波数fa2も、移動体の振動周波数帯域fwより高周波数側に設定することができる。
【0019】
本発明において、前記可動枠は、同一形状の板材が複数枚、光軸方向で貼り合わされてなることが好ましい。かかる構成によれば、可動枠を金属板に対するエッチングにより形成する場合でも、形状や幅寸法の精度を高めることができる。
【0020】
本発明において、前記バネ部材は、光軸方向に厚さ方向を向ける板状バネからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、支持体と可動モジュールとの間には、バネ性を有する可動枠およびバネ部材が介在するが、可動枠の固有振動周波数faおよびバネ部材の固有振動周波数fbは、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体の振動周波数帯域fwからずれている。このため、振れ補正機能付き光学ユニットを移動体に搭載しても、可動モジュールに共振が発生しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、撮像用の光学モジュールの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向と
し、光軸L(レンズ光軸/光学素子の光軸)に沿う第1方向をZ軸方向とし、Z軸方向(第1方向)に交差する第2方向をY軸方向とし、Z軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)に交差する第3方向をX軸方向とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸方向の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸方向の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸方向の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)には+Zを付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)には−Zを付して説明する。
【0024】
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを、自転車やラジコンヘリコプター等の移動体に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【0025】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、自転車やラジコンヘリコプター等の移動体1000に搭載されるカメラであって、移動体1000のシャーシに支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器2000に振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、Z軸方向に沿って光軸Lが延在する光学モジュール1を備えた可動モジュール10を支持体20内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(振れ検出センサ)によって手振れを検出した結果に基づいて、可動モジュール10を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。光学ユニット100には、光学モジュール1や振れ補正用駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板1800、1900が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板1800、1900は、上位の制御部等に電気的に接続されている。可動モジュール10において、光学モジュール1は、光学素子として、Z軸方向に沿って光軸Lが延在するレンズ1aを備えている。本形態において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1aは円形であるが、可動モジュール10および光学モジュール1は角形である。
【0026】
(光学ユニット100の概略構成)
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた説明図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニット100を被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニット100の分解斜視図である。
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側とは反対側(Z軸方向の一方+Z)からみた説明図であり、
図3(a)、(b)は、光学ユニット100を被写体側とは反対側からみたときの斜視図、および光学ユニット100の分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の断面構成を示す説明図であり、
図4(a)、(b)は、光学ユニット100のYZ断面図、および光学ユニット100のZX断面図である。
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の内部をさらに細かく分解したときの分解斜視図である。なお、
図4(a)では、第1帯状部1860において第2帯状部1870と対応する部分にかっこ書きで符号を示してある。
【0027】
図2、
図3、
図4および
図5において、本形態の光学ユニット100は、支持体20と、可動モジュール10と、可動モジュール10が支持体20に対して揺動可能に支持された状態とする支持機構としてのジンバル機構30(
図4参照)と、可動モジュール10と支持体20との間で可動モジュール10を支持体20に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500(
図4参照)とを有している。
【0028】
支持体20はケース1200を備えている。ケース1200は、可動モジュール10の周りを囲む角筒状の胴部1210と、胴部1210のZ軸方向の他方側−Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の端板部1220とを備えており、端板部1220には矩形の窓1221が形成されている。また、支持体20は、ケース1200のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバー1600と、カバー1600のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバーシート1700とを有している。カバー1600は、ケース1200の端板部1220に重なる板状の枠部1610と、枠部1610の内縁からZ軸方向の一方側+Zに屈曲した角筒状の側板部1620とを備えており、側板部1620は、ケース1200の開口部1221からケース1200の内側に差し込まれている。側板部1620のZ軸方向の一方側+Zの端部の4つの角部分には、三角形の板状の連結部1630が形成されており、連結部1630には、後述する矩形枠25を固定するための穴1632が形成されている。なお、カバーシート1700には被写体からの光を光学モジュール1に導く窓1710が形成されている。
【0029】
(振れ補正用駆動機構500の構成)
図4および
図5に示すように、振れ補正用駆動機構500は、板状の磁石520とコイル560とを利用した磁気駆動機構である。コイル560は、可動モジュール10に保持され、磁石520は、ケース1200の胴部1210の4つの側板部1211、1212、1213、1214の内面に保持されている。本形態において、磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石520は、光軸L方向に2つに分極されており、コイル560の側に位置する磁極が光軸L方向で異なるように着磁されている。このため、コイル560は、上下の長辺部分が有効辺として利用される。なお、4つの磁石520は、外面側および内面側に対する着磁パターンが同一である。このため、周方向で隣り合う磁石520同士が吸着し合うことがないので、組み立て等が容易である。
【0030】
ケース1200は磁性材料から構成されており、磁石520に対するヨークとして機能する。ケース1200の端板部1220では、Z軸方向からみたとき磁石520のコイル560と対向する面より径方向外側に開口縁が位置する窓1221が形成されている。このため、光軸L方向の前側において磁石520の磁力線がケース1200(ヨーク)の端板部1220の側に向かうことを抑制することができる。
【0031】
(可動モジュール10の構成)
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の可動モジュール10を分解した様子を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図である。
図7は、
図6に示す可動モジュール10に用いた光学モジュール1等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図であり、
図7(a)、(b)、(c)は、光学モジュール1とフレキシブル配線基板1800とを分解した様子の分解斜視図、光学モジュール1等をさらに分解した様子の分解斜視図、および撮像素子1b等の説明図である。
【0032】
図4、
図5および
図6に示すように、可動モジュール10は、レンズ1a(光学素子)を備えた光学モジュール1と、ウエイト5とを有しており、光学モジュール1は、レンズ1aを保持するホルダ4と、ホルダ4を保持するフレーム1110とを有している。
【0033】
図4、
図5、
図6および
図7において、ホルダ4は、例えば、直方体形状の本体部101と、本体部101からZ軸方向の他方側−Zに突出した円筒部102とを有しており、ホルダ4の内側には、レンズ1aやフォーカシング駆動用のアクチュエータ(図示せず)等が設けられている。また、本体部101に対してZ軸方向の一方側+Zの端部には撮像用回路モジュール1090が設けられており、撮像用回路モジュール1090は、U字状に折り曲げられた可撓性の実装基板103を有している。実装基板103においてZ軸方
向の他方側−Zに位置する部分103aのZ軸方向の他方側−Zに向く面には撮像素子1bが実装され、Z軸方向の一方側+Zに位置する部分103bの他方側−Zに向く面には、b−to−bコネクタのプラグ105が実装されている。実装基板103においてZ軸方向の他方側−Zに位置する部分103aのZ軸方向の一方側+Zに向く面には補強板107が貼付され、Z軸方向の一方側+Zに位置する部分103bの一方側+Zに向く面にも補強板108が貼付されている。
【0034】
このように構成した光学モジュール1において、ホルダ4は、後述するフレーム1110の内側に保持され、この状態で、Z軸方向の一方側+Zから保護板109によって覆われる。保護板109は、フレーム1110をZ軸方向の一方側+Zから覆う矩形の端板部109aと、矩形の端板部109aの4つの辺のうち、Y軸方向の一方側+Yを除く3つの辺からZ軸方向の他方側−Zに突出した側板部109bとを有している。
【0035】
(信号出力用のフレキシブル配線基板1800の構成)
図4、
図5、
図6および
図7に示すように、光学モジュール1には、撮像素子1bで得られた信号を出力するための信号出力用のフレキシブル配線基板1800が接続されている。なお、光学モジュール1の内部にフォーカシング駆動用のアクチュエータ(図示せず)が設けられている場合、かかるアクチュエータへの駆動電流の供給は、フレキシブル配線基板1800を利用して行われる。
【0036】
フレキシブル配線基板1800は、実装基板103のZ軸方向の一方側+Zに位置する部分103bと他方側−Zに位置する部分103aとの間に配置された矩形の第1接続部1810と、第1接続部1810のY軸方向の他方側−Yの端部で光軸L方向の後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する湾曲部1820と、湾曲部1820にY軸方向の一方側+Yで繋がる矩形の第2接続部1830と、第2接続部1830から外部に引き回された引き回し部1840とを有している。
【0037】
第1接続部1810においてZ軸方向の一方側+Zに向く面には、プラグ105と係合するソケット115が実装されている。また、引き回し部1840のY軸方向の一方側+Yの端部1880において、Z軸方向の一方側+Zの面にはコネクタ117が実装されている。従って、撮像素子1bで得られた信号は、実装基板103、b−to−bコネクタ(プラグ105およびソケット115)、フレキシブル配線基板1800、およびコネクタ117を介して出力される。なお、端部1880のZ軸方向の他方側−Zの面には補強板118が貼付されている。
【0038】
フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の他方側−Zの面は、保護板109のZ軸方向の一方側+Zの面に接着剤によって固定されている。このため、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17(Z軸方向の一方側+Zの端面)は、フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の一方側+Zの面によって構成されている。本形態では、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17(フレキシブル配線基板1800の第2接続部1830のZ軸方向の一方側+Zの面)には、ジャイロスコープ13およびキャパシタ等の電子部品14が実装されている。
【0039】
本形態において、引き回し部1840は、Y軸方向に延在するスリット1850によってX軸方向で並列する第1帯状部1860と第2帯状部1870とに分割されており、第1帯状部1860と第2帯状部1870とにおいて、X軸方向の寸法(幅)は等しい。また、第1帯状部1860および第2帯状部1870の幅は、スリット1850の幅より大である。
【0040】
(フレーム1110の構成)
図8は、
図6に示す可動モジュール10に用いたフレーム1110等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図である。
図9は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いたジンバル機構等の説明図であり、
図9(a)、(b)は、ジンバル機構等を被写体側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図、およびジンバル機構の支点の説明図である。
【0041】
図4、
図5、
図6、
図8および
図9に示すように、フレーム1110は、可動モジュール10の外周部分を構成しており、概ね、ホルダ4を内側に保持する筒状のホルダ保持部1120と、ホルダ保持部1120のZ軸方向の一方側+Zの端部で拡径する肉厚のフランジ部1130とを有している。
【0042】
図9に示すように、フレーム1110において、ホルダ保持部1120の径方向外側には、ジンバル機構30の可動枠32が配置される可動枠配置空間1140と、コイル560を可動枠配置空間1140の外側で保持するコイル保持部1150とが設けられている。コイル保持部1150は、可動枠配置空間1140の径方向外側でフランジ部1130の外縁からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した部分からなり、周方向の4個所に形成されている。本形態において、4つのコイル保持部1150のうち、X軸方向に位置するコイル保持部1150は、Y軸方向で2つの凸部に分割され、Y軸方向に位置するコイル保持部1150は、X軸方向で2つの凸部に分割されている。コイル560は空芯コイルであり、空芯コイルの開口部にコイル保持部1150が嵌った状態でコイル保持部1150に接着されている。この状態で、コイル保持部1150は、コイル560の外面(磁石520と対向する面)から一部が突出している。
【0043】
(給電用のフレキシブル配線基板1900の構成)
図5、
図6および
図8に示すように、可動モジュール10において、可動モジュール10のZ軸方向の一方側+Zの端部には、コイル560に対する給電用のフレキシブル配線基板1900が接続されている。フレキシブル配線基板1900は、フレーム1110のZ軸方向の一方側+Zで、フレーム1110の外縁に沿って延在する矩形枠部分1910と、矩形枠部分1910から延在する帯状の引き回し部1920とを有しており、矩形枠部分1910には4つのコイル560が接続されている。
【0044】
本形態において、引き回し部1920の幅は、フレキシブル配線基板1800のスリット1850の幅よりわずかに小であり、Z軸方向からみたとき、引き回し部1920は、スリット1850の内側で延在し、フレキシブル配線基板1800の端部1880に接続されている。このため、コイル560への給電は、コネクタ117を介して行われる。また、引き回し部1920の幅は、第1帯状部1860および第2帯状部1870の幅より小である。
【0045】
(支持体20の詳細構成)
図2、
図3、
図4および
図5に示すように、支持体20は、ケース1200のZ軸方向の一方側+Zを覆う矩形の第1底板1400を有している。本形態において、第1底板1400には、フレキシブル配線基板1800の引き回し部1840およびフレキシブル配線基板1900の引き回し部1920を外部に引き出すための開口部1410が形成されており、かかる開口部1410は、第1底板1400に対してZ軸方向の一方側+Zから重なる第2底板1500によって覆われている。第1底板1400は、矩形の底板部1420と、底板部1420の4つの角からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した側板部1440とを備えている。
【0046】
また、支持体20は、可動モジュール10の周りを囲むように配置された矩形枠状の板状ストッパ1300を有している。本形態において、板状ストッパ1300の内周側に位
置する部分は、可動モジュール10のフレーム1110のうち、フレキシブル配線基板1900の矩形枠部分1910が接着されている部分に対してZ軸方向の一方側+Zで重なる。このため、板状ストッパ1300は、可動モジュール10のZ軸方向の一方側+Zへの可動範囲を規定している。
【0047】
板状ストッパ1300において各辺の外周縁には外側に向けて突出した凸部1310が形成されている。このため、第1底板1400とケース1200とをZ方向で重ねた際、第1底板1400の側板部1440とケース1200の側板部1211、1212、1213、1214との間に板状ストッパ1300の凸部1310が挟まった状態となる。このため、第1底板1400の側板部1440、ケース1200の側板部1211、1212、1213、1214、および板状ストッパ1300の凸部1310を溶接等によって接合すれば、第1底板1400、板状ストッパ1300およびケース1200を一体化することができる。
【0048】
(ジンバル機構30の構成)
本形態の光学ユニット100において、手振れを補正するには、可動モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1(
図2(a)参照)回りに揺動可能に支持するとともに、可動モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2(
図2(a)参照)回りに揺動可能に支持する必要があるため、可動モジュール10と支持体20との間には、以下に説明するジンバル機構30(支持機構)が構成されている。
【0049】
図9に示すように、本形態では、ジンバル機構30を構成するにあたって、矩形枠25を介してカバー1600(
図2(b)参照)に固定された矩形の可動枠32を用いる。可動枠32は、光軸L周りに第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324を有しており、第1角部321と第2角部322との間、第2角部322と第3角部323との間、第3角部323と第4角部324との間、および第4角部324と第1角部321との間に第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329を有している。本形態において、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部326a、327a、328a、329aを有している。従って、可動枠32はバネ性を有している。
【0050】
ここで、可動枠32の第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324の内側には金属製の球体38が溶接等によって固定されており、かかる球体38は、径方向内側に半球状の凸面を向ける突部を構成している。
【0051】
また、ケース1200(支持体20)の端板部1220にはカバー1600が固定されているとともに、カバー1600の連結部1630には矩形枠25が固定されている。矩形枠25は、光軸L周りに第1角部251、第2角部252、第3角部253および第4角部254を有しており、第1角部251と第2角部252との間、第2角部252と第3角部253との間、第3角部253と第4角部254との間、および第4角部254と第1角部251との間に第1辺部256、第2辺部257、第3辺部258および第4辺部259を有している。第1角部251、第2角部252、第3角部253および第4角部254にはZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した凸部251a、252a、253a、254aが形成されており、矩形枠25は、カバー1600の連結部1630に形成されている穴1632に凸部251a、252a、253a、254aが嵌った状態でカバー1600に固定される。
【0052】
また、矩形枠25は、第2角部252および第4角部254からZ軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)に突出した支持板部255を有している。本形態において、支持
板部255の径方向外側の面には、周方向の両脇で対向する壁面255a、255bと、Z軸方向の一方側+Zに向く壁面255cとが形成されており、壁面255a、255bの間は、径方向外側に向かって開口する凹部になっている。
【0053】
ここで、壁面255a、255bの間には、L字形状に折り曲げられた板状部材33が固定されている。本形態において、板状部材33は、Z軸方向に延在する第1板部331と、第1板部331のZ軸方向の一方側+Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部332とを有しており、第1板部331が矩形枠25に形成された支持板部255の壁面255cおよび壁面255a、255bに固定されている。従って、矩形枠25の第2角部252および第4角部254では、板状部材33の第2板部332と、支持板部255の壁面255a、255b、255cによって周囲が囲まれて径方向外側に向けて開口する凹部が形成され、かかる凹部の径方向内側に板状部材33の第1板部331が位置する。本形態では、第1板部331の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部330が形成されている。
【0054】
また、フレーム1110において、Z軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)からZ軸方向の他方側−Z(光軸L方向の一方側)に向けて突出したホルダ保持部1120の外周側には、X軸方向の一方側+XかつY軸方向の他方側−Y、およびX軸方向の他方側−XかつY軸方向の一方側+Yに凹部1160が形成されている。
【0055】
ここで、凹部1160を径方向外側から塞ぐように、L字形状に折り曲げられた板状部材34が固定されている。本形態において、板状部材34は、Z軸方向に延在する第1板部341と、第1板部341のZ軸方向の他方側−Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部342とを有している。本形態では、第1板部341の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部340が形成されている。
【0056】
このように構成した矩形枠25、可動枠32、球体38、板状部材33、34、およびフレーム1110を用いて、可動モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1周りに揺動可能に支持するとともに、可動モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2周りに揺動可能に支持する。より具体的には、可動枠32の第2角部322と矩形枠25の第2角部252との揺動支持部、および可動枠32の第4角部324と矩形枠25の第4角部254との揺動支持部では、板状部材33が可動枠32の第2角部322および第4角部324の内側に位置することにより、球体38が受け部330で支持される。その結果、可動枠32において第1軸線L1上に位置する第2角部322および第4角部324が矩形枠25(支持体20)の第2角部252および第4角部254に揺動可能に支持される。
【0057】
また、可動枠32の第1角部321とフレーム1110との揺動支持部、および可動枠32の第3角部323とフレーム1110との揺動支持部では、フレーム1110に設けた板状部材34が、可動枠32の第1角部321および第3角部323の内側に位置することにより、球体38が受け部340で支持される。その結果、可動枠32において第2軸線L2上に位置する第1角部321および第3角部323は、フレーム1110(可動モジュール10)を揺動可能に支持する。
【0058】
このようにして、可動モジュール10は、ジンバル機構30に用いた可動枠32を介して、支持体20に第1軸線L1周りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸線L2周りに揺動可能に支持される。
【0059】
ここで、可動枠32および板状部材33、34はいずれも、コイル保持部1150と同じ高さ位置(Z軸方向における同一の位置)にある。このため、光軸L方向に対して直交
する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。特に本形態では、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられている。
【0060】
ここで、可動枠32は金属材料等で構成されており、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部326a、327a、328a、329aを有しているため、可動枠32はバネ性を有している。このため、可動枠32は、可動モジュール10の自重では撓まないが、外部から衝撃が加わった際、衝撃を吸収可能なバネ性を有している。また、可動枠32は、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329が各々、内側および外側に弾性変形可能である。このため、第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324のいずれにおいても、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329の弾性によって、球体38と受け部330、340とが弾性をもって接している。従って、球体38と受け部330、340との間にガタつきが発生しない。
【0061】
(バネ部材70の構成)
本形態の可動モジュール10は、可動モジュール10と支持体20とに接続して、振れ補正用駆動機構500が停止状態にあるときの可動モジュール10の姿勢を保持するバネ部材70を有している。本形態において、バネ部材70は、金属板を所定形状に加工したバネ部材70であり、矩形枠状の支持体側連結部71と、円環状の可動体側連結部72と、支持体側連結部71と可動体側連結部72とを連結するアーム部73とを有している。本形態において、アーム部73は、支持体側連結部71の角部分から周方向の一方側から他方側に折り返しながら可動体側連結部72まで延在している。
【0062】
ここで、支持体側連結部71は、矩形枠25のZ軸方向の他方側−Zの面に固定され、可動体側連結部72は、フレーム1110のホルダ保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面に溶接や接着等により固定されている。より具体的には、矩形枠25の凸部251a、252a、253a、254aが支持体側連結部71の穴710に嵌った状態で、支持体側連結部71が矩形枠25に固定されている。また、ホルダ保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面には、凸部1123が形成されており、かかる凸部1123が可動体側連結部72の切り欠き720に嵌った状態で、可動体側連結部72がホルダ保持部1120に固定されている。
【0063】
ここで、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられているのに対して、バネ部材70は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置よりZ軸方向の他方側−Zに位置する。
【0064】
本形態において、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、可動モジュール10にZ軸方向の途中位置に設けている。特に本形態では、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置(中央位置)に設けられている。また、ジンバル機構30および振れ補正用駆動機構500は、Z軸方向において、可動モジュール10のZ軸方向における重心位置と同一の位置に設けられている。ここで、光学モジュール1は、Z軸方向の中間位置よりZ軸方向の一方側+Zに重心がずれているが、本形態では、
図7に示すように、可動モジュール10は、光学モジュール1のZ軸方向の他方側−Zの端部に取り付けられたウエイト5を有している。このため、光軸L方向において、可動モジュール10の重心位置は、ウエイト5によって光学モジュール1の重心位置よりジンバル機構30(支持機構)による支持位置側にシフトしている。従って、可動モジュール10の重心位置は、可動モジュール10のZ軸方向の中間位置
(中央位置)に位置し、かかる重心位置とZ軸方向における同一位置にジンバル機構30が設けられている。
【0065】
(振れ補正用駆動機構500等の構成および基本動作)
このように構成した光学ユニット100において、
図1に示す光学機器2000が振れると、かかる振れはジャイロスコープ13によって検出され、制御用IC(図示せず)は、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープ13で検出した振れを打ち消すような駆動電流をコイル560に供給する。その際、4つのコイル560のうちの一部に通電し、他のコイル560には通電しない。または、4つのコイル560の全てに通電するが、4つのコイル560に供給する電流バランスを制御する。その結果、可動モジュール10は、第1軸線L1周りまたは第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。あるいは、可動モジュール10は、第1軸線L1周りに揺動するとともに、第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。
【0066】
(フレキシブル配線基板1800、1900の引き回し構造)
図3に示すように、本形態の光学ユニット100において、第1底板1400の底板部1420には、開口部1410が形成されており、可動モジュール10に接続されたフレキシブル配線基板1800の引き回し部1840およびフレキシブル配線基板1900の引き回し部1920は、開口部1410を介して光学ユニット100の外部に引き出されている。
【0067】
図4、
図5および
図7に示すように、フレキシブル配線基板1800は、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17のうち、光軸LよりY軸方向の一方側+Yから引き出されている。本形態では、フレキシブル配線基板1800は、可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17のうち、Y軸方向の一方側+Yの端部から引き出されており、第2接続部1830と引き回し部1840との境界部分が引き出し部になっている。本形態では、引き回し部1840が第1帯状部1860と第2帯状部1870とに分割されているが、第1帯状部1860の引き出し部1861および第2帯状部1870の引き出し部1871はいずれも、第2接続部1830と引き回し部1840との境界部分に位置する。
【0068】
また、第1帯状部1860は、引き出し部1861からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1862と、第1延在部1862の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1863と、第1湾曲部1863からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1864とを有している。また、第1帯状部1860は、引き出し部1861と第1延在部1862との間に引き出し部1861から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1866を備えており、第1延在部1862は、第2湾曲部1866から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。
【0069】
また、可動モジュール10の後側端面17には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yに後側端面17に板状のスペーサ18が接着剤によって固定されており、スペーサ18は、後側端面17と第1延在部1862との間に介在している。本形態において、スペーサ18は、略矩形形状の板材であり、Z軸方向の他方側−Zの面には、接着剤によって可動モジュール10の後側端面17と接着する際に接着剤溜まりとして機能する凹部182が形成されている。また、スペーサ18のZ軸方向の一方側+Zの面には、接着剤によって第1帯状部1860、第2帯状部1870および引き回し部1920と接着する際に接着剤溜まりとして機能する凹部181が形成されている。
【0070】
ここで、可動モジュール10の後側端面17には光軸Lの延長線上にジャイロスコープ13が固定されているが、ジャイロスコープ13は、スペーサ18よりもZ軸方向の寸法
(厚さ寸法)が小である。このため、ジャイロスコープ13と第1延在部1862との間には隙間があいている。また、ジャイロスコープ13は、スペーサ18に対してY軸方向の他方側−Yで隣り合う位置に配置されているが、スペーサ18には、Y軸方向の他方側−Yに凹部185が形成されており、ジャイロスコープ13の一部は、スペーサ18の凹部185の内側に位置する。このため、ジャイロスコープ13を光軸Lの延長線上に配置することができる。
【0071】
また、第2延在部1864は、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に固定されている。本形態において、第1帯状部1860の第2延在部1864は、両面テープ等の可撓性のシート19によって第1底板1400に固定され、かかる固定位置が支持体20の固定部1865になっている。ここで、Z軸方向からみたとき、固定部1865は、引き出し部1861と重なる位置に設けられている。
【0072】
第1帯状部1860と同様に、第2帯状部1870は、第1帯状部1860に対してX軸方向の他方側−Xに、引き出し部1871からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1872と、第1延在部1872の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1873と、第1湾曲部1873からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1874とを有している。また、第2帯状部1870も、第1帯状部1860と同様、引き出し部1871と第1延在部1872との間に引き出し部1871から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1876を備えており、第1延在部1872は、第2湾曲部1876から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。また、後側端面17と第1延在部1872との間にはスペーサ18が介在している。また、第2延在部1874は、第2延在部1864と同様、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に可撓性のシート19によって第1底板1400に固定されている。このため、シート19による固定位置が、第2帯状部1870の支持体20への固定部1875になっている。
【0073】
引き回し部1920は、フレーム1110の光軸L方向の後側から引き出されているが、第1帯状部1860および第2帯状部1870と同様に、第1帯状部1860と第2帯状部1870とによってX軸方向で挟まれた位置に、引き出し部1921からY軸方向において光軸Lより他方側−Yまで延在する第1延在部1922と、第1延在部1922の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1923と、第1湾曲部1923からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1924とを有している。また、引き回し部1920も、第1帯状部1860および第2帯状部1870と同様、引き出し部1921と第1延在部1922との間に引き出し部1921から光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1926を備えており、第1延在部1922は、第2湾曲部1926から可動モジュール10の光軸L方向の後側端面17に隙間を介して平行に対向する状態で延在している。また、後側端面17と第1延在部1922との間にはスペーサ18が介在している。また、第2延在部1924は、第2延在部1864、1874と同様、途中から第1底板1400の開口部1410を通って外部に引き出されており、光軸LよりY軸方向の一方側+Yで第1底板1400のZ軸方向の一方側+Yの面に可撓性のシート19によって第1底板1400に固定されている。このため、シート19による固定位置が、引き回し部1920の支持体20への固定部1925になっている。
【0074】
(振動に対する周波数特性)
図10は、振れ補正機能付きの光学ユニットの振動の周波数特性を示す説明図であり、
図10(a)、(b)は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の振動の周波数特性を示す説明図、および参考例に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の振動の周波数特性を示す説明図である。なお、
図10(b)に示す参考例の光学ユニットは、以下の条件
バネ部材70(板状バネ70a)の厚さ=0.1mm
バネ部材70(板状バネ70a)のアーム部73の幅=0.110mm
可動枠32の厚さ=0.25mm
蛇行部326a、327a、328a、329aの幅=0.2mm
とした場合の周波数特性である。なお、
図10では、周波数応答関数のゲイン(gain)を実線Gで示し、フェーズ(phase)を実線Pで示してある。
【0075】
図1に示すように、本形態の光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、自転車やラジコンヘリコプター等の移動体1000に搭載し、かかる移動体1000において光学ユニット100によって撮影する。その際、加減速時を考慮すると、移動体1000の振動周波数帯域fwの幅は、例えば約130Hzとなる。
【0076】
ここで、可動モジュール10のチルト方向(揺動方向)の固有振動周波数は、可動モジュール10の姿勢を保持するバネ部材70(板状バネ70a)の固有振動周波数fbによって規定されている。また、可動モジュール10の光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数は、ジンバル機構30に用いた可動枠32の固有振動周波数faのうち、光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数fa1によって規定されている。また、可動モジュール10の光軸と直交する方向(横シフト方向)の固有振動周波数は、ジンバル機構30に用いた可動枠32の固有振動周波数faのうち、光軸と直交する方向(横シフト方向)の固有振動周波数fa2によって規定されている。
【0077】
そこで、本形態では、バネ部材70(板状バネ70a)の厚さについては0.1mmのまま、アーム部73の幅を0.110mmから0.065mmまで狭めてある。このため、
図10(a)に示すように、可動モジュール10のチルト方向(揺動方向)の固有振動周波数(バネ部材70(板状バネ70a))の固有振動周波数fbは、
図10(b)に示す周波数特性と比較すれば分かるように、約60Hzから約40Hzまで低周波数側にシフトしている。
【0078】
また、本形態では、可動枠32の厚さについては0.25mmから0.8mmまで厚くするとともに、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329(蛇行部326a、327a、328a、329a)の幅を0.2mmから0.24mmまで広げてある。ここで、可動枠32は、フォトリソグラフィ技術により金属板をエッチングすることより製造される。このため、可動枠32の厚さを0.8mmまで厚くすると、エッチング後の形状や寸法の精度が低下する。従って、本形態では、同一形状の板材を複数枚、光軸方向(厚さ方向)で貼り合わすことにより、可動枠32が形成されている。本形態では、厚さが0.4mmの同一形状の板材を2枚、光軸方向(厚さ方向)で貼り合わすことにより、可動枠32が形成されている。このため、可動枠32の形状や寸法の精度が高い。
【0079】
このような可動枠32によれば、
図10(a)に示すように、可動モジュール10の光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数(可動枠32の光軸方向(上下シフト方向)の固有振動周波数fa1)は、
図10(b)に示す周波数特性と比較すれば分かるように、約120Hzから約220Hzまで高周波数側にシフトする。また、
図10(a)に示すように、可動モジュール10の光軸に直交する方向(横シフト方向)の固有振動周波数(可動枠32の光軸に直交する方向(横シフト方向)の固有振動周波数fa2)は、
図10(b)に示す周波数特性と比較すれば分かるように、約700Hzまで高周波数側にシ
フトし、目立たなくなっている。
【0080】
その結果、可動枠32の固有振動周波数fa、バネ部材70の固有振動周波数fb、および移動体1000の振動周波数帯域fwは、以下の関係
fb<fw<fa
にあり、可動枠32の固有振動周波数faおよびバネ部材70の固有振動周波数fbは、移動体1000の振動周波数帯域fwからずれている。従って、光学ユニット100を移動体1000に搭載しても、可動モジュール10では共振が発生しにくい。
【0081】
また、本形態では、バネ部材70の固有振動周波数fbを高周波数側にシフトさせるのではなく、以下の式
fb<fw
を満たすように、バネ部材70の固有振動周波数fbを低周波数側にシフトさせてある。その結果、バネ部材70のバネ係数が小さくなっているので、可動モジュール10を揺動駆動する際の駆動力が小さく済む。それ故、振れ補正用駆動機構500に用いた磁石520が薄くてよい等の利点がある。また、可動モジュール10を揺動駆動する際の応答性が向上する等の利点もある。
【0082】
また、可動枠32の固有振動周波数faのうち、光軸方向の固有振動周波数fa1と、光軸に直交する方向の固有振動周波数fa2とは、以下の関係
fa1<fa2
を満たしている。従って、本形態では、可動枠32の固有振動周波数fa(光軸方向の固有振動周波数fa1、および光に直交する方向の固有振動周波数fa2)を低周波数側にシフトさせるのではなく、以下の式
fw<fa
を満たすように、高周波数側にシフトさせてある。このため、可動枠32の固有振動周波数fa(光軸方向の固有振動周波数fa1、および光に直交する方向の固有振動周波数fa2)を低周波数側にシフトさせる場合に比して、可動枠32の固有振動周波数fa(光軸方向の固有振動周波数fa1、および光軸に直交する方向の固有振動周波数fa2)を移動体1000の振動周波数帯域fwからずらすのが容易である。
【0083】
また、可動枠32の固有振動周波数faとバネ部材70の固有振動周波数fbが135Hz以上の差を有しており、かかる範囲であれば、例えば、自動車やラジコンヘリコプター等の移動体1000の加減速によって、撮像期間中、移動体1000の振動周波数帯域fwが±65Hzの幅(130Hzの幅)を有している場合でも、可動枠32の固有振動周波数faおよびバネ部材70の固有振動周波数fbは、移動体1000の振動周波数帯域fwからずれることになる。また、可動枠32の固有振動周波数faとバネ部材70の固有振動周波数fbとを135Hz以上離すと、可動モジュール10の姿勢の保持等に対するマイナス面が大きいが、本形態では、移動体1000の振動周波数帯域fwの幅130Hz(±65Hz)に対して5Hz程度の余裕を有することになるので可動モジュール10の共振を防止しつつ、可動モジュール10の姿勢の保持等を適正に行うことができる。
【0084】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100においては、ジンバル機構30によって可動モジュール10を支持しているため、大きな振れに対しても振れ補正を確実に行うことができる。また、ジンバル機構30が可動モジュール10のZ軸方向の途中位置に設けられており、可動モジュール10は、可動モジュール10のZ軸方向の途中位置を中心に揺動する。このため、可動モジュール10を同一の角度揺動させた場合でも、可動モジュール10が光軸方向後側を中心に揺動する構成より、X軸方向およびY軸方向におい
て光軸方向前側での可動モジュール10の変位量の最大値が小さい。従って、可動モジュール10の周りには、光軸L方向と直交する方向に大きなスペースを確保する必要がないため、光学ユニット100の光軸L方向と直交する方向のサイズを小さくすることができる。
【0085】
ここで、ジンバル機構30によって可動モジュール10を支持する場合、バネ性を有する可動枠32を用いるとともに、バネ部材70(板状バネ70a)によって、可動モジュール10の姿勢を保持する必要がある。その結果、可動モジュール10には、可動枠32の固有振動周波数faに対応する固有振動周波数が存在するとともに、バネ部材70(板状バネ70a)の固有振動周波数fbに対応する固有振動周波数が存在することになる。しかるに、本形態では、
図10(a)を参照して説明したように、可動枠32の固有振動周波数faおよびバネ部材70の固有振動周波数fbを移動体1000の振動周波数帯域fwからずらしてある。従って、光学ユニット100を移動体1000に搭載しても、可動モジュール10の共振を抑制することができる等の
図10を参照して説明した上記の効果を奏する。
【0086】
ここで、可動モジュール10が、可動モジュール10のZ軸方向の途中位置を中心に揺動する場合、可動モジュール10が光軸方向後側を中心に揺動する構成より、光軸方向後側での可動モジュール10の変位量が大きいため、可動モジュール10の光軸方向後側に設けられたフレキシブル配線基板1800、1900の引き回し部1840、1920の変位量も大きくなる。しかるに本形態では、フレキシブル配線基板1800、1900には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yにある引き出し部1861、1871、1921から光軸LよりY軸方向の他方側−Yまで延在する第1延在部1862、1872、1922と、第1延在部1862、1872、1922の先端側で光軸方向後側に向けて湾曲する第1湾曲部1863、1873、1923と、第1湾曲部1863、1873、1923からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1864、1874、1924とが設けられている。また、第2延在部1864、1874、1924において支持体20に接続された固定部1865、1875、1925には、光軸LよりY軸方向の一方側+Yにある。このため、フレキシブル配線基板1800、1900の引き出し部1861、1871、1921から固定部1865、1875、1925までの寸法が長いので、可動モジュール10が揺動した際、フレキシブル配線基板1800、1900から可動モジュール10に加わる力が小さい。それ故、可動モジュール10を適正に揺動させることができるので、手振れ等の振れを適正に補正することができる。