(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255295
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電気機器取付金具
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20171218BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20171218BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20171218BHJP
【FI】
G08G1/095 C
H02G7/00
E01F9/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-72322(P2014-72322)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194896(P2015-194896A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】富内 誠
【審査官】
白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−221284(JP,A)
【文献】
実開平07−023010(JP,U)
【文献】
実開昭56−059738(JP,U)
【文献】
特開昭63−295029(JP,A)
【文献】
特開昭50−007769(JP,A)
【文献】
米国特許第04489910(US,A)
【文献】
実開平4−82799(JP,U)
【文献】
特開平6−348993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
H02G 7/00
G08G 1/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、
前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、
前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、
前記一対の止着リングは、上側止着リングと、下側止着リングとであり、
前記上側止着リングは、
前記回動・傾斜自在部材の前記上部筒部の外径よりも大で、かつ、当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の最大外径よりも小の内径を有する円形開口部を有すると共に、ボルト孔を有しており、その円形開口部に当該回動・傾斜自在部材の前記上部筒部を挿入して、その円形開口部周縁に当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部における外周面の上半分に当接する一方、
前記下側止着リングは、
前記回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の底部の外径よりも大で、かつ、当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の最大外径よりも小の内径を有する円形開口部を有すると共に、ボルト孔を有しており、その円形開口部周縁に当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部における外周面の下半分に当接することを特徴とする電気機器取付金具。
【請求項2】
電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、
前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、
前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、
前記電気機器は、歩行者用信号灯器であり、
さらに、
前記歩行者用信号灯器の上部に取り付けられ、前記上部筒部の内径よりも小さい外径を有し、かつ、前記歩行者用信号灯器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通す電線挿通部材と、
前記回動・傾斜自在部材の上端部に設けられ、中央に前記電線を通す受部側円形開口部が設けられたばね受面と、そのばね受面の両側からほぼ垂直に起立する一対の起立側面とを有し、前記ばね受面でコイルばねを受ける上部開放のコ字形状のコイルばね受部とを備え、
前記回動・傾斜自在部材は、
前記球形筒部の下端部の前記円形開口部に前記電線挿通部材を内挿した状態で前記一対の止着リングにより挟まれて、前記歩行者用信号灯器に対し回動かつ傾斜可能に取付けられることを特徴とする電気機器取付金具。
【請求項3】
電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、
前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、
前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、
前記回動・傾斜自在部材は、
複数枚の金属板をそれぞれ前記回動・傾斜自在部材を縦方向に複数に分割した形状の型枠にプレスして前記回動・傾斜自在部材を複数に分割した形状の部品を形成し、その後、それら部品同士を接合することにより製造したことを特徴とする電気機器取付金具。
【請求項4】
電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、
前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、
前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、
前記回動・傾斜自在部材は、
前記上部筒部となる金属パイプのいずれか一方の開口端部を球形に拡開または膨張させる加工を行うことにより当該金属パイプのいずれか一方の開口端部に前記球形筒部を設けることを特徴とする電気機器取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱や支柱等の柱から延びる腕金に各種機器を取り付けるための電気機器取付金具に関し、特に、歩行者用信号灯器を取り付けるための電気機器取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、歩行者用信号灯器等の歩行者用信号灯器の取付金具として、例えば、支柱に設けた腕金に着脱自在に吊設する、中空筒状の金具基枠の下面に、金具基枠の内外を連通する開口部を形成し、その開口部を通じて金具基枠内に配した信号灯器に取付ける接続枠の上端に、開口部の縁部に掛止する掛止部片を設け、その掛止部片とその掛止部片に相対する金具基枠の構成材に、これらの間に介在させたコイルばねを圧接させたもの等を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−180879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の従来の電気機器取付金具では、歩行者用信号灯器等の歩行者用信号灯器にトラック等が衝接して、腕金に対し歩行者用信号灯器が傾いた場合、コイルばねでその衝撃を吸収するように構成しているが、電柱や支柱等の柱の傾きに対し歩行者用信号灯器の傾きを簡単かつ自在に修正できるようには構成されていなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題に着目してなされたもので、電柱や支柱等の柱の傾きに対し腕金に吊り下げた電気機器の傾きを簡単かつ自在に修正できるようにした電気機器取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る実施形態の電気機器取付金具は、電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付ける
ように構成されており、前記一対の止着リングは、上側止着リングと、下側止着リングとであり、前記上側止着リングは、前記回動・傾斜自在部材の前記上部筒部の外径よりも大で、かつ、当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の最大外径よりも小の内径を有する円形開口部を有すると共に、ボルト孔を有しており、その円形開口部に当該回動・傾斜自在部材の前記上部筒部を挿入して、その円形開口部周縁に当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部における外周面の上半分に当接する一方、前記下側止着リングは、前記回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の底部の外径よりも大で、かつ、当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部の最大外径よりも小の内径を有する円形開口部を有すると共に、ボルト孔を有しており、その円形開口部周縁に当該回動・傾斜自在部材の前記球形筒部における外周面の下半分に当接することを特徴とする。
また、本発明に係る実施形態の電気機器取付金具は、電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、前記電気機器は、歩行者用信号灯器であり、さらに、前記歩行者用信号灯器の上部に取り付けられ、前記上部筒部の内径よりも小さい外径を有し、かつ、前記歩行者用信号灯器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通す電線挿通部材と、前記回動・傾斜自在部材の上端部に設けられ、中央に前記電線を通す受部側円形開口部が設けられたばね受面と、そのばね受面の両側からほぼ垂直に起立する一対の起立側面とを有し、前記ばね受面でコイルばねを受ける上部開放のコ字形状のコイルばね受部とを備え、前記回動・傾斜自在部材は、前記球形筒部の下端部の前記円形開口部に前記電線挿通部材を内挿した状態で前記一対の止着リングにより挟まれて、前記歩行者用信号灯器に対し回動かつ傾斜可能に取付けられることも特徴とする。
また、本発明に係る実施形態の電気機器取付金具は、電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、前記回動・傾斜自在部材は、複数枚の金属板をそれぞれ前記回動・傾斜自在部材を縦方向に複数に分割した形状の型枠にプレスして前記回動・傾斜自在部材を複数に分割した形状の部品を形成し、その後、それら部品同士を接合することにより製造したことも特徴とする。
また、本発明に係る実施形態の電気機器取付金具は、電柱や支柱等の柱から延びる腕金に電気機器を任意の角度で取り付けるための電気機器取付金具であって、前記電気機器に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通すため中空の上部筒部と、その上部筒部の下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部を有する中空の球形筒部とを有する回動・傾斜自在部材を有し、前記回動・傾斜自在部材の球形筒部を一対の止着リングにより挟んだ状態で、その一対の止着リング同士をボルトおよびナットにより締付けて、前記回動・傾斜自在部材を前記電気機器に対し回動かつ傾斜可能に取付けるように構成されており、前記回動・傾斜自在部材は、前記上部筒部となる金属パイプのいずれか一方の開口端部を球形に拡開または膨張させる加工を行うことにより当該金属パイプのいずれか一方の開口端部に前記球形筒部を設けることも特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気機器取付金具では、上側止着リングと下側止着リングとにより回動・傾斜自在部材の球形筒部を挟んだ状態で上側止着リングと下側止着リングとをボルトおよびナットにより締付けて連結するため、上側止着リングと下側止着リングを介して回動・傾斜自在部材を回動かつ傾け自在に支持することが可能なり、電柱や支柱等の柱に対する電気機器の方向や、柱の傾きに対する歩行者用信号灯器の傾きなどを簡単かつ自在に調節や修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を使用して鉛直な柱から延びる腕金に信号灯器を取り付けた状態を示す正面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を使用して傾斜した柱から延びる腕金に信号灯器を取り付けた状態を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を使用して傾斜した柱から延びる腕金に信号灯器を取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図5】
図1に示す状態の電気機器取付金具などの拡大断面図である。
【
図6】
図3に示す状態の電気機器取付金具などの拡大断面図である。
【
図7】
図2に示す状態の電気機器取付金具などの拡大断面図である。
【
図8】
図4に示す状態の電気機器取付金具などの拡大断面図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を構成する回動・傾斜自在部材と上側止着リングと下側試着リングとの関係などを示す正面図である。
【
図10】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を構成する回動・傾斜自在部材と上側止着リングと下側試着リングとの関係などを示す左側面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を構成する回動・傾斜自在部材と上側止着リングと下側試着リングとの関係などを示す平面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を構成する回動・傾斜自在部材と上側止着リングと下側試着リングとの関係などを示す底面図である。
【
図13】本発明に係る実施形態の電気機器取付金具を構成する回動・傾斜自在部材の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる電気機器取付金具1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電気機器取付金具1により取り付ける電気機器として、歩行者用信号灯器を一例に説明するが、本発明では、歩行者用信号灯器に限定されるものではない。
【0010】
本実施形態の電気機器取付金具1は、
図1〜
図4に示すように、電柱や支柱等の柱2から延びる腕金3に歩行者用信号灯器4として歩行者用信号灯器4を任意の角度で取り付けるためのもので、電線挿通部材11と、回動・傾斜自在部材12と、コイルばね受部13と、上側止着リング14と、下側止着リング15等を有する。なお、腕金3は、周知の締付バンド3aやボルト3b等によって柱2に対しほぼ垂直に取り付けられる。
【0011】
電線挿通部材11は、
図5〜
図8に示すように、歩行者用信号灯器4の上部にリング状(円環状)座金など介して下側止着リング15と共にボルト16aおよびナット16bにより固定されるもので、歩行者用信号灯器4に対し電源や信号を送る電源供給線や信号線等の各種電線を通す小径円筒部11aと、その小径円筒部11aの下端部から水平に広がるフランジ部11bとを有している。
【0012】
回動・傾斜自在部材12は、電線挿通部材11の外径よりも大径の円形開口部12b1を下端部に有し、前記電線挿通部材11を内挿するもので、電線挿通部材11の小径円筒部11aの外径よりも大で、コイルばね受部13の後述するばね受面13aに形成されたばね受面側開口部13a1の直径とほぼ同一の直径を有し、その上端部がばね受面13aのばね受面側開口部13a1に溶接等により接合された上部筒部12aと、その上部筒部12aの下端部から球形に膨張し、底部に円形開口部12b1を形成した中空の球形筒部12bとを有する。
【0013】
ここで、回動・傾斜自在部材12は、回動・傾斜自在部材12を平面視その直径方向で縦方向に複数(ここでは、説明の便宜上、2つとするが、3つ以上でも勿論良い。)に割った形状の型枠に2枚の金属板をそれぞれプレスして、
図13に示すように回動・傾斜自在部材12の半分の形状を有する部品である半回動・傾斜自在部材121,121を形成し、その後、半回動・傾斜自在部材121,121の対向する端面121a,121a同士を溶接等によって接合することにより製造している。そのため、中空の球形筒部12bを有する回動・傾斜自在部材12であっても簡単に製造することができる。
【0014】
コイルばね受部13は、回動・傾斜自在部材12の上端部に設けられ、中央に各種電線を通す円形開口部13a1が設けられたばね受面13aと、そのばね受面の両側からほぼ垂直に起立する一対の起立側面13b,13bとを有し、ばね受面13aでコイルばね51を受ける上部開放のコ字形状に形成されている。
【0015】
コイルばね受部13の一対の起立側面13b,13bには、それぞれ、
図10等に示すように、腕金3に固定されたコイルばね押付け部52に対しボルト等により連結されると共に、歩行者用信号灯器4が走行車輌等の外部から衝撃を受けた際、歩行者用信号灯器4を揺動させるための一対の揺動用長孔13b1,13b1が形成されている。
【0016】
上側止着リング14は、
図10等に示すように回動・傾斜自在部材12の上部筒部12aの外径R1よりも大で、かつ、当該回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの最大外径R2よりも小の内径R3を有する円形開口部14aを有する平面視円環状の形状であり、
図11等に示すように複数(ここでは、例えば、3つとする。)のボルト孔14bを有しており、円形開口部14aに回動・傾斜自在部材12の上部筒部12aを挿入して、その円形開口部14a周縁で回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bにおける外周面の上半分に当接して、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bを下側止着リング15との間で挟み付けるように構成されている。
【0017】
なお、上側止着リング14は、
図9等に示すように、その断面が下方開口とするコ字形状に形成されている。
【0018】
下側止着リング15は、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの底部の外径R4よりも大で、かつ、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの最大外径R2よりも小の内径R5を有する円形開口部15aを有する平面視円環状の形状であり、上側止着リング14と同様に複数(ここでは、例えば、3つとする。)のボルト孔15bを有しており、その円形開口部15a周縁に回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bにおける外周面の下半分に当接して、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bを上側止着リング14との間で挟み付けるように構成されている。
【0019】
なお、下側止着リング15は、上側止着リング14と同様、
図9等に示すようにその断面が下方開口とするコ字形状に形成されている。
【0020】
コイルばね受部13と対向するように設けられ、コイルばね51を挟持するコイルばね押付け部52は、
図5〜
図8に示すように、腕金3をボルト55aおよびナット55bにより締付けることによって上下から挟持して固定された一対の腕金挟持金具53,54の下側の腕金挟持金具54にそのボルト55aとナット55cにより締付けて固定されている。また、コイルばね押付け部52には、歩行者用信号灯器4が走行車輌等の外部から衝撃を受けた際、歩行者用信号灯器4を揺動させるための一対の揺動用長孔52a,52aが形成されている。
【0021】
そして、コイルばね押付け部52と、本実施形態の電気機器取付金具1を構成するコイルばね受部13とによりコイルばね51を挟持するため、
図5〜
図8に示すように、コイルばね押付け部52とコイルばね受部13との間に平面視正方形の中継枠部56を設ける。
【0022】
コイルばね押付け部52と中継枠部56との間は、コイルばね押付け部52の一対の揺動用長孔52a,52aと中継枠部56とを揺動ボルト57a,57aにより揺動可能に連結する一方、コイルばね受部13と中継枠部56との間は、コイルばね受部13の一対の揺動用長孔13b1,13b1と中継枠部56とを揺動ボルト58a,58aにより揺動可能に連結する。なお、揺動ボルト57a,57aおよび揺動ボルト58a,58aの先端部には、抜止めピンが挿入されている。
【0023】
従って、本実施形態の電気機器取付金具1では、例えば、走行車両の上部等が腕金3の長手方向に対し平行方向から電気機器取付金具1に衝突して、同方向に衝撃が加わった場合には、コイルばね51が伸縮することにより
図5や
図6等に示すようにコイルばね受部13の一対の起立側面13b,13bの揺動用長孔13b1,13b1で揺動ボルト58a,58aが揺動して、電気機器取付金具1を同方向に揺動させる。
【0024】
これに対し、走行車両の上部等が腕金3の長手方向に対し垂直方向から電気機器取付金具1に衝突して、同方向に衝撃が加わった場合には、コイルばね51が伸縮することにより
図7や
図8等に示すようにコイルばね押付け部52の一対の揺動用長孔52a,52aで揺動ボルト57a,57aが揺動して、電気機器取付金具1を同方向に揺動させる。
【0025】
また、本実施形態の電気機器取付金具1では、
図5等に示すように、上側止着リング14と下側止着リング15とをボルト16aおよびナット16bにより上下方向から締付けることにより、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの中に、電線挿通部材11の小径円筒部11aを挿入させた状態で歩行者用信号灯器2と連結している。
【0026】
そのため、本実施形態の電気機器取付金具1によれば、電気機器取付金具1の回動・傾斜自在部材12は、上側止着リング14と下側止着リング15とを留めているボルト16aとナット16bを多少緩めることにより上側止着リング14に下側止着リング15対し回動自在な状態になる。
【0027】
また、
図3や
図4等に示すように、柱2や腕金3が傾斜していた場合に歩行者用信号灯器4の鉛直状態を確保するために、回動・傾斜自在部材12に対し歩行者用信号灯器4を傾斜させても、
図6や
図8等に示すように回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの外周面上部には上側止着リング14の円形開口部14aの内周縁が当接する一方、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bの外周面下部に下側止着リング15の円形開口部15aの内周縁が常に当接して、回動・傾斜自在部材12に対し歩行者用信号灯器4を傾斜させない時と同様に歩行者用信号灯器4を支持することができる。
【0028】
従って、本実施形態の電気機器取付金具1によれば、球形筒部12bを有する回動・傾斜自在部材12を有し、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bを上側止着リング14と下側止着リング15とにより上下方向から挟んで固定するようにしたため、電柱や支柱等の柱2に対する歩行者用信号灯器4の方向や、柱2の傾きに対する歩行者用信号灯器4の傾きなどを簡単かつ自在に調節や修正することができる。
【0029】
なお、上記実施形態の説明では、上側止着リング14および下側止着リング15は、平面視円環状の形状で説明したが、回動・傾斜自在部材12の球形筒部12bを上下方向から挟んで固定できれば十分であるため、本発明では平面視円環状に限るものではなく、例えば、平面視三角形の三辺の形状でも良いし、正方形の四辺の形状等でも勿論良い。
【0030】
また、上記実施形態の説明では、回動・傾斜自在部材12は、回動・傾斜自在部材12を平面視その直径方向で縦方向に複数に割った形状の型枠に2枚の金属板をそれぞれプレスして、
図13に示すように回動・傾斜自在部材12の半分の形状を有する部品である半回動・傾斜自在部材121,121を形成しその後溶接等により接合することにより製造して説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、上部筒部12aとなる金属パイプのいずれか一方の開口端部を球形筒部12にその内側から拡開(拡径)冶具を挿入して球形に拡開(拡径)または膨張させる加工等を行うことにより金属パイプのいずれか一方の開口端部に球形筒部12の形状を形成するようにしても勿論良い。
【符号の説明】
【0031】
1 電気機器取付金具
11 電線挿通部材
11a 小径円筒部
11b フランジ部
12 回動・傾斜自在部材
121,121 半回動・傾斜自在部材(部品)
12a 上部筒部
12b 球形筒部
12b1 円形開口部
13 コイルばね受部
13a ばね受面
13a1 ばね受面側開口部
13b,13b 起立側面
13b1,13b1 揺動用長孔
14 上側止着リング
14a 円形開口部
14b ボルト孔
15 下側止着リング
15a 円形開口部
15b ボルト孔
16a ボルト
16b ナット
2 柱
3 腕金
4 歩行者用信号灯器
51 コイルばね
52 コイルばね押付け部
53,54 腕金挟持金具
55a ボルト
55b ボルト
55c ナット
56 中継枠部
57a,57a 揺動ボルト
58a,58a 揺動ボルト