特許第6255320号(P6255320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255320
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電気化学的なシリコン膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/08 20060101AFI20171218BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20171218BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   C23C24/08 C
   C01B33/02 D
   H01M4/38 Z
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-165908(P2014-165908)
(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公開番号】特開2015-38244(P2015-38244A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2014年8月18日
【審判番号】不服2016-8986(P2016-8986/J1)
【審判請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0097739
(32)【優先日】2013年8月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0092967
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500002490
【氏名又は名称】コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペ、サン ウン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン−ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、ジ−ウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク、テ−ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、キュソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ヨン−ケン
【合議体】
【審判長】 池渕 立
【審判官】 長谷山 健
【審判官】 河本 充雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−11012(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/048797(WO,A1)
【文献】 特表2013−532385(JP,A)
【文献】 特開2007−16293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/02, C23C 3/66, C25D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階を含むシリコン薄膜の製造方法:
(a)シリコン酸化物溶液を基板に塗布及び焼結してシリコン酸化物薄膜を製造する段階、
ここで、前記段階(a)のシリコン酸化物溶液には炭酸塩又は硝酸塩が添加されており、
及び
(b)上記のシリコン酸化物薄膜を液体電解質内で電気化学的に還元させて多孔性のシリコン膜を形成する段階、
ここで、前記液体電解質は高温溶融塩である。
【請求項2】
(c)前記の多孔性のシリコン膜を再焼結して平らなシリコン薄膜を製造する段階をさらに含む請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記の段階(a)でシリコン酸化物溶液にホウ素(B)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、硫黄(S)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、セレン(Se)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、またはこれらの酸化物をさらに添加することを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記の段階(b)の以降に、760Torr未満の低圧容器内で液体電解質を沸かしたりまたは水溶液で洗浄して、液体電解質を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記の段階(a)のシリコン酸化物溶液は、砂、ガラス、石英、岩、シリカ(SiO)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル、または、シリコンアルコキシを溶かしたことを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記の段階(a)のシリコン酸化物溶液は、砂、ガラス、石英、岩、シリカ(SiO)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル、または、シリコンアルコキシを水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、珪酸ナトリウム、エタノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、または炭酸プロピレンに溶かしたことを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記の段階(a)の基板は金属、炭素、またはシリコンであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記の段階(a)の塗布はスピンコーティング、インクジェットコーティング、キャスティング、筆づかい、ディッピング(dipping)、物理蒸着、または化学蒸着を利用することを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項9】
前記の高温溶融塩はLiCl、KCl、NaCl、RbCl、CsCl、FrCl、CaCl、MgCl、SrCl、BaCl、AlCl、ThCl、LiF、KF、NaF、RbF、CsF、FrF、CaF、MgF、SrF、BaF、AlF、ThF、LiPF、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、FrBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、またはFrIよりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記の段階(a)の焼結は100℃以上で1秒以上加熱することによって行われることを特徴とする請求項1に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記の段階(c)の再焼結は1350℃以上で1秒以上加熱することにより行われることを特徴とする請求項2に記載のシリコン薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン薄膜の製造方法、これによって製造されたシリコン薄膜、前記のシリコン薄膜を含む電子素子に関するものである。より具体的には、シリコン酸化物を基板に塗布してシリコン酸化物薄膜を形成した後、電気化学的に還元させて多孔性のシリコン膜を形成して焼結する段階を含むシリコン薄膜の製造方法、これにより製造されたシリコン薄膜、前記のシリコン薄膜を含む素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
21世紀に入って、IT産業の急激な発展によりシリコン半導体産業が最大の好況を享受している。これらのシリコン半導体は自然に存在する砂のようなシリカ、つまり、シリコン酸化物を電解還元の工程を経て生産するのに、具体的にその工程がポリシリコンの製造、単結晶インゴットの製造、切削を通じたシリコンウェハーの製造、表面の研磨、パターンの製造などの多くの工程を通じて製造される。
【0003】
しかし、このような従来の工程は多くのエネルギーが消費されて、大きい設備を要求するだけではなく、半導体製造工程が多重の工程でなるので、多くの時間と費用が必要である。半導体はシリコン薄膜を利用するので、砂のような原材料から容易にシリコン薄膜を作られるのであれば、所要される多くの工程と製造費用を減らすことができるだろう。
【0004】
一方、最近高い石油価格及び環境問題の影響で新再生エネルギーに対する関心が高まっている。太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換素子である太陽電池は他のエネルギー源と違って無限であり、環境親和的なので、時間が経つほどその重要性が増している。太陽電池は半導体に使用されるウェハーを利用する結晶質太陽電池と透明基板のような基板に蒸着技術を利用した薄膜太陽電池で分けられる。現在は結晶質の太陽電池が高いマーケットシェアを持っているが、今後高効率化及び低価で薄膜太陽電池のマーケットシェアが高くなると予想されている。
【0005】
太陽電池に使用されるシリコンなどの薄膜の製造方法は砂成分であるシリカを高温で溶融させて電気化学的にシリコン酸化物を還元させてシリコンを作って、これをインゴット形態に製造した後、好きな大きさにカットして必要な大きさのシリコンウェハーまたは薄膜を作っておく。また、物理的な蒸着のような方法を利用してシリコン薄膜を作っている。しかし、このような工程は高い温度が必要となるだけでなく、前処理工程など多くの段階を経て成り立つので高費用と多くの時間が消耗して、シリコンが原材料で使われる太陽電池、半導体などの原価を高めて価格競争力を低くする問題がある。
【0006】
2000年度初め以後溶融塩の内でシリカを電気化学的に還元してシリコンに変換する研究が進行されたことはあるが、これを実際の応用した報告や特許はなかった。また、従来には、石英やガラスをシリコンに、シリカパウダーを電気化学的にシリコンパウダーに変える技術や、シリコン粒子を有機溶媒に溶解した後シリコン基板に塗布した後熱処理を通じてシリコン量子点薄膜を製造する技術や、スピンコーティング後過酸化水素を含有した液状溶液に露出(浸漬)させてシリコン酸化膜を形成する技術が知られているが、本発明のように塗布過程を経た後、直接高温溶融塩に還元させる技術は報告されたことがない。
【0007】
また、このような電気化学的な薄膜の製造技術は多様な分野に応用できるが、例えば原子力分野の研究用の原子炉に使われる薄膜核燃料の製造に使うことができる。このような薄膜核燃料はUMo,USiなどで構成されているが、製造する工程が複雑で出発材料費が高い。 したがって、電気化学的な方法を利用して簡単に薄膜核燃料を製作できるならば、研究用の原子炉の運営費だけでなく、研究用の原子炉で生産して抗癌剤などで使われる放射性同位体の原価を低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1196224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、(a)シリコン酸化物溶液を基板に塗布及び焼結してシリコン酸化物薄膜を製造する段階、及び(b)上記のシリコン酸化物薄膜を液体電解質内で電気化学的に還元させて多孔性のシリコン膜を形成する段階を含むシリコン薄膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一具現例として、本発明の製造方法は段階(b)の以降に、(c)多孔性のシリコン膜を再焼結して平らなシリコン薄膜を製造する段階をさらに含むことができる。
【0011】
本発明の一具現例として、本発明の製造方法は、前記の段階(a)のシリコン酸化物溶液に炭素酸化物を添加したり、前記の段階(b)の液体電解質に炭素酸化物を添加することで、炭素を電着する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の違う具現例として、前記の段階(a)でシリコン酸化物溶液にホウ素(B)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、硫黄(S)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、セレン(Se)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、またはこれらの酸化物をさらに添加することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の具現例として、本発明の製造方法は、前記の段階(b)の以降に、760Torr未満の低圧容器内で液体電解質を沸かしたりまたは水溶液で洗浄して、液体電解質を除去する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の違う具現例として、前記の段階(a)のシリコン酸化物は、砂、ガラス、石英、岩、セラミックス、シリカ(SiO)、 オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル、 シリコンアルコキシ、または四塩化硅素であることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の具現例として、前記の段階(a)のシリコン酸化物溶液は、砂、ガラス、石英、岩、セラミックス、シリカ(SiO)、 オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル、 シリコンアルコキシ、または四塩化硅素を水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム 、水酸化ルビジウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、珪酸ナトリウム、エタノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、 シクロヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、または炭酸プロピレンに溶かしたことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の具現例として、前記の段階(a)の基板は金属、炭素、またはシリコンであることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の具現例として、前記の段階(a)の塗布はスピンコーティング、インクジェットコーティング、キャスティング、 筆づかい、ディッピング(dipping)、物理蒸着、または化学蒸着を利用することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の具現例として、前記の段階(b)の液体電解質は高温溶融塩であることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の具現例として、前記の高温溶融塩はLiCl、KCl、NaCl、RbCl、CsCl、FrCl、CaCl、MgCl、SrCl、BaCl、AlCl、ThCl、LiF、KF、NaF、RbF、CsF、FrF、CaF2、MgF、SrF、BaF、AlF、ThF、LiPF、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、FrBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、またはFrIよりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の具現例として、前記の段階(b)の液体電解質は、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラフルオロホウ酸(tetrafluoroborate)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1−butyl−3−methylimidazolium chloride)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1-butyl-1-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethlylsulfonyl)imide)、1−ブチルピリジニウムクロリド(1-butylpyridinium chloride)、 コリンクロリド(choline chloride)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1-butyl-3-methylimidazolium chloride)、 ジメチルエチルフェニルアンモニウムブロミド(dimethylethylphenylammonium bromide)、 ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、 ジメチルスルホン (dimethyl sulfone)、 ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、 炭酸エチレン(ethylene carbonate)、 炭酸ジメチル(dimethyl carbonate)、 炭酸エチルメチル(ethyl-methyl carbonate)、 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム (ethylene-diaminetetra-acetic acid tetrasodium)、エチレングリコール (ethlyene glycol)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(1-ethyl-3-methylimidazolium)、1−オクチル−1−メチル-ピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1-octyl-1-methyl-pyrrolidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、ヘキサフルオロリン酸塩(hexafluorophosphate)、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム 塩化物 (1-propyl-3-methylimidazolium chloride)、 トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(trihexyl-tetradecyl-phosphonium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、塩化テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(tetrabutylammonium chloride bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、テトラヒドロフラン (tetrahydrofuran)、 及びトリメチルフェニルアンモニウムクロリド(trimethylphenylammonium chloride)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の具現例として、前記の段階(a)の焼結は100℃以上で1秒以上加熱することによって行われて、前記の段階(c)の再焼結は1350℃以上で1秒以上加熱することにより行われることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の具現例として、前記のシリコン酸化物はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、 硼素(B)、 炭素 (C)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、 鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、 銅(Cu)、 亜鉛 (Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、 砒素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、 銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、 白金(プラチナ、Pt)、 金(Au)、 水銀(Hg)、タリウム(Tl)、 鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)及びキュリウム(Cm)よりなる群から選択される一つ以上の酸化物で代替されることを特徴とする。
【0023】
本発明の他の具現例として、前記の炭素酸化物は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、 硼素(B)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、 鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、 銅(Cu)、 亜鉛 (Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、 砒素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、 銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、 白金(プラチナ、Pt)、 金(Au)、 水銀(Hg)、タリウム(Tl)、 鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)及びキュリウム(Cm)よりなる群から選択される一つ以上の酸化物で代替されることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の具現例として、前記の電気化学的還元は−2.5ないし0Vで行うことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は下記の段階を含むシリコン膜の製造方法を提供する。
(a)砂、ガラス、石英、岩、セラミックス、シリカ(SiO)、 オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチルまたはシリコンアルコキシを溶媒に溶かしてシリコン酸化物溶液を得る段階;
(b)前記のシリコン酸化物溶液を蒸発、乾燥、抽出または濾過することによって、シリカ、フッ化シリカ、またはフッ化水酸化シリカパウダーを製造する段階;及び
(c)前記のシリカ、フッ化シリカ、またはフッ化水酸化シリカパウダーを液体電解質内で電気化学的に還元させて基板に電着する段階。
【0026】
本発明の一具現例として、前記の段階(a)の溶媒は水、フッ酸、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、及び水酸化バリウムよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする。
【0027】
本発明の別の具現例として、前記の段階(c)の液体電解質にウラン(U)、トリウム(Th)、プルトニウム(Pu)、炭素 (C)、硼素(B)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、燐(P)、硫黄(S)、ガリウム(Ga)、 砒素(As)、セレン(Se)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)またはこれらの酸化物をさらに添加することを特徴とする。
【0028】
本発明の別の具現例として、前記の段階(c)の液体電解質はLiCl、KCl、NaCl、RbCl、CsCl、FrCl、CaCl、MgCl、SrCl、BaCl、AlCl、ThCl、LiF、KF、NaF、RbF、CsF、FrF、CaF、MgF、SrF、BaF、AlF、ThF、LiPF、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、FrBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、及びFrIよりなる群から選ばれる一つ以上の高温溶融塩であることを特徴とする。
【0029】
本発明の別の具現例として、前記の段階(c)の液体電解質は、アセトニトリル(acetonitrile)、テトラフルオロホウ酸(tetrafluoroborate)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1−butyl−3−methylimidazolium chloride)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1-butyl-1-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethlylsulfonyl)imide)、1−ブチルピリジニウムクロリド(1-butylpyridinium chloride)、 コリンクロリド(choline chloride)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1-butyl-3-methylimidazolium chloride)、 ジメチルエチルフェニルアンモニウムブロミド(dimethylethylphenylammonium bromide)、 ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、 ジメチルスルホン (dimethyl sulfone)、 ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、 炭酸エチレン(ethylene carbonate)、 炭酸ジメチル(dimethyl carbonate)、 炭酸エチルメチル(ethyl-methyl carbonate)、 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム (ethylene-diaminetetra-acetic acid tetrasodium)、エチレングリコール (ethlyene glycol)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(1-ethyl-3-methylimidazolium)、1−オクチル−1−メチル-ピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1-octyl-1-methyl-pyrrolidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、ヘキサフルオロリン酸塩(hexafluorophosphate)、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム 塩化物 (1-propyl-3-methylimidazolium chloride)、 トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(trihexyl-tetradecyl-phosphonium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、塩化テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(tetrabutylammonium chloride bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、テトラヒドロフラン (tetrahydrofuran)、及びトリメチルフェニルアンモニウムクロリド(trimethylphenylammonium chloride)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする。
【0030】
本発明の別の具現例として、前記の段階(c)の電気化学的な還元は−2.5ないし0Vで行うことを特徴とする。
【0031】
また、本発明は前記の方法により製造された膜を提供する。
【0032】
また、本発明は前記の薄膜を含む素子を提供する。
【0033】
本発明の別の具現例として、前記の素子は半導体、太陽電池、二次電池、燃料電池、水分解電池、原子炉核燃料、放射性同位元素の生産用のターゲット、化学反応の触媒、またはセンサーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、半導体、太陽電池、二次電池、燃料電池、水分解電池、原子炉核燃料、放射性同位元素の生産用のターゲット、化学反応の触媒、またはセンサーなどを製造する工程数を大きく減らすことで所要される単価と工程時間を減らすことできるので、製品の価額競争力を高めることができる。
【0035】
従って、本発明は半導体、太陽電池、二次電池のような素子に必要なシリコン薄膜を目的により原材料である酸化物を電極表面にすぐにコーティングした後、電気化学的に還元させて製造することによって、工程数が大幅に減るだけでなく必要とされる費用と製造時間を大きく減らすことができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施例による電気化学的な薄膜の製造方法を図示した流れ図である。
図2】シリカを水酸化ナトリウム溶媒に混合したコーティング剤を現わす写真である。
図3】スピンコーティング法および焼結法を利用して製造されたシリコン酸化物薄膜の電子顕微鏡観察写真である。
図4】シリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れてシリコン薄膜を作る過程のうち測定した循環電圧電流曲線を図示したグラフである。
図5】電気化学的にシリコン酸化物薄膜を還元させたシリコン薄膜の走査電子顕微鏡及びEDX(Energy Dispersive X−ray)測定結果である。
図6】炭酸塩(carbonate)が添加されたシリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れて還元させて製造したシリコン薄膜の炭酸塩濃度にともなう循環電圧電流曲線を図示したグラフである。
図7】硝酸塩(nitrate)が添加されたシリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れて還元させて製造したシリコン薄膜の硝酸塩濃度にともなう循環電圧電流曲線を図示したグラフである。
図8】砂を溶解および加熱して得たシリコン酸化物パウダーを液体電解質(高温溶融塩)内で還元及び電着させて製造したシリコン薄膜の走査電子顕微鏡及びEDX(Energy Dispersive X−ray)測定結果である。
図9】砂を溶解および加熱して得たシリコン酸化物パウダーとウラン酸化物を共に液体電解質(高温溶融塩)内で還元及び電着させて製造したシリコンウラニウム(SiU)薄膜の走査電子顕微鏡およびEDX(Energy Dispersive X−ray)測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、(a)シリコン酸化物溶液を基板に塗布及び焼結してシリコン酸化物薄膜を製造する段階、(b)上記のシリコン酸化物薄膜を液体電解質内で電気化学的に還元させて多孔性のシリコン膜を形成する段階、及び/または(c)上記の多孔性のシリコン膜を再焼結して平らなシリコン薄膜を製造する段階を含むシリコン薄膜の製造方法に関するものである。
【0038】
本発明はシリコン酸化物溶液を基板に塗布した後、焼結してシリコン酸化物薄膜を製造するが、この際に焼結条件には制限がないが、100℃以上で1秒以上加熱することが望ましい。
【0039】
本発明は、前記の段階(a)のシリコン酸化物溶液に炭素酸化物を添加したり、前記の段階(b)の液体電解質に炭素酸化物を添加することで、炭素をさらに電着させることができる。
【0040】
また、本発明は、シリコン酸化物薄膜を液体電解質により電気化学的に還元させる際に、金属酸化物を添加して金属をさらに電着させることができる。この際に、用いられる金属には制限がないが、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、 硼素(B)、 炭素 (C)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、 鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、 銅(Cu)、 亜鉛 (Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、 砒素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、 銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、 白金(プラチナ、Pt)、 金(Au)、 水銀(Hg)、タリウム(Tl)、 鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)及びキュリウム(Cm)の中で選択される一つ以上であることが望ましい。
【0041】
本発明は、原材料であるシリコン酸化物溶液にホウ素(B)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、硫黄(S)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、セレン(Se)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、またはこれらの酸化物を少量さらに添加することができる。これらが添加された状態で塗布することで化学的なシリコン薄膜ドーピングが可能だという長所がある。
【0042】
本発明は、電気化学的な還元の後に、液体電解質を蒸発する段階をさらに含むことができるし、この際に760Torr未満の低圧容器内で液体電解質の沸点より低い温度を加えることが望ましい。
【0043】
本発明で使用するシリコン酸化物は通常使用されるものであれば良くて、特別に制限はないが、シリカを含む自然物質(例えば;砂、ガラス、石英、岩)、シリカ(SiO)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル、シリコンアルコキシ、または四塩化硅素のようなシリコン前駆体であることが望ましい。薄膜の結晶構造を密度あるようにするために、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)のようなシリコン酸化物を利用することによって欠点のない完璧な構造の薄膜を作ることができる。
【0044】
また、本発明はシリコン酸化物の変わりに、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、 硼素(B)、 炭素 (C)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、 鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、 銅(Cu)、 亜鉛 (Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、 砒素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、 銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、 白金(プラチナ、Pt)、 金(Au)、 水銀(Hg)、タリウム(Tl)、 鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)及びキュリウム(Cm)よりなる群から選択される一つ以上の酸化物を使用することもできる。
【0045】
本発明ではシリコン酸化物を溶媒に溶かして塗布剤として用いるが、この際に使用する溶媒は通常使用されるものであれば良くて、特に制限はないが、水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸または珪酸ナトリウムのような水溶液と、エタノール、メタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、 シクロヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、炭酸プロピレンのような有機溶媒であることが望ましい。
【0046】
この際に、シリコン酸化物の濃度は0.1wt%から50wt%であることが望ましい。本発明でシリコン酸化物溶液が塗布される基材は金属または炭素のような伝導体やシリコンのような半導体基板であることが望ましい。
【0047】
本発明で塗布は通常使用される方法であれば、特に制限がないが、スピンコーティング、インクジェットコーティング、キャスティング、筆づかい、ディッピング(dipping)、物理蒸着、または化学蒸着を利用することが望ましく、スピンコーティングが最も望ましい。
【0048】
特に、スピンコーティングによる場合、スピンコーターに基板を接着させた後500−10000rpmの速度で回転させて基板の上にスピンコーティング液をピペットを利用して落として酸化物薄膜を負わせることができる。この時、回転速度やスピンコーティング液の濃度を調節することによって薄膜の厚さを調節することができる。
【0049】
本発明では、原材料酸化物をスピンコーティングなどの方法で望む厚さで負わせた後、高温溶融塩と同じ電解質で電気化学的に還元させることによってすぐにシリコン薄膜を製造できるものである。
【0050】
本発明で液体電解質は塩を高温で溶かした溶融塩(高温溶融塩)を用いられる。この際に溶融塩はLiCl、KCl、NaCl、RbCl、CsCl、FrCl、CaCl、MgCl、SrCl、BaCl、AlCl、ThCl、LiF、KF、NaF、RbF、CsF、FrF、CaF、MgF、SrF、BaF、AlF、ThF、LiPF、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、FrBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、またはFrIで選択される一つ以上であることが望ましい。
【0051】
また、液体電解質はアセトニトリル(acetonitrile)、テトラフルオロホウ酸(tetrafluoroborate)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1−butyl−3−methylimidazolium chloride)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1-butyl-1-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethlylsulfonyl)imide)、1−ブチルピリジニウムクロリド(1-butylpyridinium chloride)、 コリンクロリド(choline chloride)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(1-butyl-3-methylimidazolium chloride)、 ジメチルエチルフェニルアンモニウムブロミド(dimethylethylphenylammonium bromide)、 ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、 ジメチルスルホン (dimethyl sulfone)、 ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、 炭酸エチレン(ethylene carbonate)、 炭酸ジメチル(dimethyl carbonate)、 炭酸エチルメチル(ethyl-methyl carbonate)、 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム (ethylene-diaminetetra-acetic acid tetrasodium)、エチレングリコール (ethlyene glycol)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(1-ethyl-3-methylimidazolium)、1−オクチル−1−メチル-ピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1-octyl-1-methyl-pyrrolidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、ヘキサフルオロリン酸塩(hexafluorophosphate)、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム 塩化物 (1-propyl-3-methylimidazolium chloride)、 トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(trihexyl-tetradecyl-phosphonium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、塩化テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(tetrabutylammonium chloride bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)、テトラヒドロフラン (tetrahydrofuran)、 及びトリメチルフェニルアンモニウムクロリド(trimethylphenylammonium chloride)で選択される一つ以上であることが望ましい。
【0052】
本発明は、多孔性のシリコン膜を再焼結して高密度の平らなシリコン薄膜を形成することができるが、この際に再焼結の条件には制限がないが、1350℃以上で1秒以上加熱することが望ましい。
【0053】
本発明では前記の電気化学的な還元を−2.5ないし0Vで行える。
また、本発明はシリコン酸化物パウダーを液体電解質に入れて電着反応を行うことによって、シリコン薄膜を製造することができる。
【0054】
本発明ではシリカを含む自然物質(例えば;砂、ガラス、石英、岩)をフッ酸に溶かした後、乾燥または蒸発回収して得たパウダーを液体電解質に入れてシリコン電着反応を行える。
【0055】
本発明ではシリコン酸化物パウダーと一緒にウラン(U)、トリウム(Th)、プルトニウム(Pu)、炭素 (C)、硼素(B)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、燐(P)、硫黄(S)、ガリウム(Ga)、 砒素(As)、セレン(Se)、インジウム(In)、 錫 (スズ、Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)またはこれらの酸化物を液体電解質に入れて電着反応を行うことによって、これらが含まれたシリコン膜を製造することができる。
【0056】
また、本発明は前記の方法によって製造された膜、この膜を含む素子を提供する。この際に、素子には制限がないが半導体、太陽電池、二次電池、燃料電池、水分解電池、原子炉核燃料、放射性同位元素の生産用のターゲット、化学反応の触媒、またはセンサーであることが望ましい。本発明は特に 太陽電池用の曲がるシリコン薄膜またはリチウム二次電池の電極を製造する工程段階で費用や工程数を大きく減らすことができる。
【0057】
以下、本発明の電気化学的なシリコン薄膜製造方法について、図面を参考にしてより詳細に説明する。
【0058】
図1は、本発明の一実施例による電気化学的な薄膜製造工程の流れ図を図示したものである。本発明によれば、金属、炭素、シリコンなどの導体基板の上に多様な濃度のシリコン酸化物(例:シリカ)をスピンコーティング及び焼結などの方法を利用して一度または、何度も繰り返して負わせる。 このような方法を利用して多様な厚さのシリコン酸化物薄膜を製造することができる。 また、このシリコン酸化物薄膜を液体電解質で使った電気化学的なセルに漬けて電気化学的に還元させることによって多孔性シリコン薄膜を製造することができる。 製造した多孔性シリコン薄膜を焼結のような方法で高温処理することによって高密度の平たいシリコン薄膜を製造することができる。
【0059】
図2は、シリカのようなシリコン酸化物を水酸化ナトリウム溶媒に入れて作ったコーティング剤(塗布剤)を現わしたものである。この溶液をスピンコーティング、インクジェットコーティング、キャスティング、筆づかい、ディッピング、物理蒸着、化学蒸着法の材料として使って基板の上にシリカ薄膜を製造することができる。
【0060】
図3は、スピンコーティング法を利用して製造したシリコン酸化物薄膜の電子顕微鏡写真を現わしたものである。コーティング剤の濃度、コーティング剤の種類、コーティング方法、コーティング速度などを調節して適切な厚さの望むシリコン酸化物薄膜を製造することができる。
図4は、製造したシリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れて測定した循環電圧電流曲線を現わしたものである。一番目の走査で絶縁体性質のシリカ薄膜は電流信号を現わさないが、走査回数が増加するにつれ−2.3V近所でリチウムの充電電流が、−2.0 V近所でリチウム放電電流が増加することを見ることができる。7回目走査までリチウムの充放電の電流がずっと増加して8回目走査から電流が一定になることを見せてくれる。これは初期絶縁体であるシリカ薄膜が走査回数が増加するにつれ伝導体であるシリコン薄膜で還元されてリチウムイオンの充放電の電流が測定されることを後押しすることである。
【0061】
図5は、スピンコーティング法、焼結、電気化学的還元、電解質蒸発法を利用して製造したシリコン薄膜の走査電子顕微鏡及びEDX測定結果を現わしたものである。 EDX測定結果を見れば、シリカ薄膜が98%以上シリコンに還元されたことを確認することができた。
【0062】
図6は、シリカコーティング剤に炭酸塩を添加して製造したシリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れて電気化学的に還元した後、測定した循環電圧電流曲線を現わしたものである。炭酸塩の濃度が増加するにつれ−2.3V近所でリチウムの充電電流が増加して、−2.0V近所でリチウム放電電流が増加することを見ることができる。これは還元されたシリコンに、炭酸塩が還元された炭素が添加されることによってシリコンの低い電気伝導度が添加された炭素によって高まったためである。
【0063】
図7は、シリカコーティング剤に硝酸塩を添加して製造したシリコン酸化物薄膜を高温溶融塩に入れて電気化学的に還元した後、測定した循環電圧電流曲線を現わしたものである。硝酸塩の濃度が増加するにつれ−2.3V近所でリチウムの充電電流が増加して、−2.0V近所でリチウム放電電流が増加することを見ることができる。 これは還元されたシリコンに、硝酸塩が還元された窒素が添加されることによって窒素がドーピングされたn−typeのシリコンが作られて電気伝導度が高まったためである。
【0064】
図8は、砂を溶.解及び加熱して得たシリコン酸化物パウダーを液体電解質(高温溶融塩)内で還元及び電着させ製造したシリコン(Si)薄膜の走査電子顕微鏡及びEDX(Energy Dispersive X−ray)測定結果である。電極表面に全体的に電着物が形成されたことを確認できたし、これをEDXでマッピングした結果、表面全体的にシリコンが負わせられていることを確認することができる。これは砂から作った前駆体を高温溶融塩に溶かして電着することによってシリコン薄膜を製造できることを見せるものである。
【0065】
図9は砂を溶解および加熱して得たシリコン酸化物パウダーとウラン酸化物を共に液体電解質(高温溶融塩)内で還元および電着させ製造したシリコンウラン(SiU)薄膜の走査電子顕微鏡およびEDX(Energy Dispersive X−ray)測定結果である。高温溶融塩から電着した薄膜が全体的に成長したことが分かってEDX結果を通じてSiUが電着されたことを確認することができる。
【実施例】
【0066】
実施例1.シリコン薄膜の製造
1−1.シリカ薄膜の製造
まず、シリカパウダー900mgを水酸化ナトリウム溶媒18mlに入れて二日間放置することによってシリカを完全に溶かしてスピンコーティング液を準備した(図2参考)。
【0067】
スピンコーターにタングステン基板の上に、スピンコーティング液をピペットで落としてシリカ薄膜を負わせた。その後、前記塗布されたシリカ薄膜を130℃で1時間加熱して焼結させた。
【0068】
この際に、シリカ薄膜の厚さはスピンコーティング液に溶け合っているシリカの濃度に比例して、スピンコーターの回転速度に反比例することを電子顕微鏡を通じて確認した(図3参照)。
【0069】
1−2.シリカ薄膜の電気化学的な還元
スピンコーティング法、焼結法で塗布された薄膜を電気化学的に還元させて多孔性のシリコン薄膜を製造するために、電気化学的なセルを準備した。
【0070】
電気化学的なセルは、LiCl−KCl高温溶融塩を電解質で使用して、シリカ薄膜を作用電極、ガラス状炭素を相手電極、Ag|Agを基準電極で使って構成した。
【0071】
電気化学的循環電圧電流法を行うことにより、負わせたシリカ薄膜は下記の電気化学反応式に従ってシリコンに還元させた。
【0072】
SiO(s) → Si(s) + 2O2−
循環電圧電流曲線測定の結果、図4に現わしたように、循環回数が増加するにつれ−2.3V、−2.0V近所でリチウムイオンのシリコン内部での充放電電流が観測された。これは、シリカがシリコンで還元されたのを証明するものである。
【0073】
1−3.多孔性シリコン膜の再焼結
その後、多孔性のシリコン膜をシリコンの溶ける温度以上である1450℃で1時間加熱して焼結することによって、平たくてきれいなシリコン薄膜を得た(図5参考)。
【0074】
実施例2.炭素が添加されたシリコン薄膜の製造
シリカパウダー900mgと0wt%、0.25wt%、0.5wt%の炭酸カリウムを水酸化ナトリウム溶媒18mlに入れて二日間放置することによってシリカと炭酸カリウムを完全に溶かしてスピンコーティング液を準備した。
スピンコーターにタングステン基板を接着させて、500−10000rpmの速度でスピンコーターを回転させて、タングステン基板の上にスピンコーティング液をピペットで落として炭酸塩が添加されたシリカ薄膜を負わせた。その後、上記の塗布されたシリカ薄膜を130℃で1時間加熱して焼結させた。
【0075】
スピンコーティング法、焼結法で塗布された薄膜を電気化学的に還元させて多孔性のシリコン−炭素薄膜を製造するために、電気化学的セルを準備した。
【0076】
電気化学的セルは、LiCl−KCl高温溶融塩を電解質で使って、炭酸が添加されたシリカ薄膜を作用電極、ガラス状炭素を相手電極、Ag|Agを基準電極で使って構成した。
【0077】
電気化学的循環電圧電流法を行うことにより、負わせた炭酸塩が添加されたシリカ薄膜は下記の電気化学反応式によってシリコン−炭素で還元させた。
【0078】
SiO(s)+KCO(s)→Si−C(s)+5O2−+2K
循環電圧電流曲線測定の結果、図6に現わした通り、添加された炭酸塩の濃度が増加するにつれ−2.3V、−2.0V近所でリチウムイオンの薄膜内部での充放電電流が増加するということが分かった。これは、炭酸塩の濃度が増加するにつれ還元されたシリコンの電気伝導度が添加された炭素によって増加したことを証明することである。
【0079】
その後、多孔性シリコン膜をシリコンの溶ける温度以上の1450℃で1時間加熱して焼結することによって平たくてきれいなシリコン薄膜を得た。
【0080】
実施例3.シリコンドーピング
まず、シリカパウダー900mgと0.05wt%、0.15wt%、0.45wt%の硝酸カリウムを水酸化ナトリウム溶媒18mlに入れて二日間放置することによってシリカと硝酸カリウムを完全に溶かしてスピンコーティング液を準備した。
スピンコーターにタングステン基板を接着させて500−10000rpmの速度でスピンコーターを回転させて、タングステン基板の上にスピンコーティング液をピペットで落として硝酸塩が添加されたシリカ薄膜を負わせた。その後、上記の塗布されたシリカ薄膜を130℃ で1時間加熱して焼結させた。
【0081】
スピンコーティング法、焼結法で塗布された薄膜を電気化学的に還元させて多孔性の窒素がトッピングされたシリコン薄膜を製造するために、電気化学的セルを準備した。
【0082】
電気化学的セルは、LiCl−KCl高温溶融塩を電解質として使って、硝酸塩が添加されたシリカ薄膜を作用電極、ガラス状炭素を相手電極、 Ag|Agを基準電極で使って構成した。
【0083】
電気化学的循環電圧電流法を行うことにより、負わせた硝酸塩が添加されたシリカ薄膜は下記の電気化学反応式によってシリコン−窒素に還元させた。
【0084】
SiO(s)+KNO(s)→ N−doped Si(s)+5O2−+K
循環電圧電流曲線測定の結果、図7に現わしたように、添加された硝酸塩の濃度が増加するにつれ−2.3V、−2.0V近所でリチウムイオンの薄膜内部での充放電電流が増加するということが分かった。これは、硝酸塩の濃度が増加するにつれ還元されたドーピングされた窒素の量が増加して、これに伴い、シリコンの電気伝導度が増加したことを証明することである。
その後、多孔性シリコン膜をシリコンの溶ける温度以上の1450℃で1時間加熱して焼結することによって平たくてきれいなシリコン薄膜を得た。
【0085】
実施例4.砂からシリコン薄膜の製造
砂1.6gを8mlの49%HFに入れて1週間放置して溶解させた後、この溶液に熱を加えて溶媒を蒸発させることで白いパウダー形態のシリコン酸化物を回収した。
その後、回収したシリコン酸化物パウダーをLiCl−KCl高温溶融塩に1.5 wt%の濃度で溶かして、タングステン基板を作用電極、ガラス状炭素を相手電極、 Ag|Agを基準電極で使って電気化学セルを構成した。
【0086】
タングステン基板(作用電極)にシリコン電着反応が起きることができる−1.9Vの定電位を加えてSiを1時間電着させた。定電位法を行うことにつれ高温溶融塩が溶け合っているシリコン酸化物が下記の電気化学反応式によってシリコンに電着された。
【0087】
SiF→Si(s)+xF−+yO2−
還元されたシリコン電着物を走査電子顕微鏡とEDX法を利用して確認した結果、図8に現わしたように、作用電極にSiが電着された。
【0088】
実施例5.シリコン−ウラニウム薄膜の製造
実施例4のような方法でシリコン酸化物パウダーを製造した後、LiCl−KCl高温溶融塩に、このシリコン酸化物パウダー1.5 wt%と塩化ウラニウム1.5 wt%を一緒に溶かして、タングステン基板を作用電極、ガラス状炭素を相手電極、Ag|Agを基準電極で使って電気化学セルを構成した。
【0089】
タングステン基板(作用電極)にシリコンとウラン電着反応が同時に起きることができる−1.9Vの定電位を加えてSiUを1時間の間電着させた。定電位法を行うことにつれ高温溶融塩が溶け合っているシリコン酸化物と塩化ウランが下記の電気化学反応式によってシリコン−ウランに電着された。
【0090】
xSi++yU+→Si(s)
還元されたシリコン−ウラン電着物を走査電子顕微鏡とEDX法を利用して確認した結果、図9に現わした通り、作用電極にSiUが電着された。
【0091】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を持った者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更しなくて他の具体的な形態で簡単に変形が可能だということを理解できるはずだ。したがって以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9