(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255378
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】会計学習教材及び会計学習教材の使用方法
(51)【国際特許分類】
G09B 19/18 20060101AFI20171218BHJP
G09B 3/04 20060101ALI20171218BHJP
G09B 1/36 20060101ALI20171218BHJP
G09B 1/38 20060101ALI20171218BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20171218BHJP
【FI】
G09B19/18
G09B3/04
G09B1/36
G09B1/38
G06Q10/00
【請求項の数】6
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-257730(P2015-257730)
(22)【出願日】2015年12月30日
(65)【公開番号】特開2017-120353(P2017-120353A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】315016701
【氏名又は名称】世利 裕四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】世利 裕四郎
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−51588(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3176596(JP,U)
【文献】
特開2006−113512(JP,A)
【文献】
特開昭56−19078(JP,A)
【文献】
特表2012−500420(JP,A)
【文献】
米国特許第3889395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/18
G09B 1/00 − 3/12
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
借方の勘定科目名及び金額枠が表示された借方の科目カードと、貸方の勘定科目名および金額枠が表示された貸方の科目カードと、から組構成された科目カードの組を、複数組ずつ含む科目カードのセットと、
各科目カードをシート面に仮定着可能な台紙シートと、
プレーヤーの操作によっていずれかの科目カードの組をランダムに選択し得るランダム選択器と、から構成され、
前記借方の科目カード及び貸方の科目カードの各々は、会計処理を伴う各組内共通のイベント番号名と当該イベント番号名の会計処理に対応した勘定科目名と当該勘定科目名に対応した金額欄とが、各科目カードの組内で対応して表示され、
前記複数の科目カードの組は、各組間で異なるイベント番号名ないし異なる会計処理が表示されると共に、予め定められた所定の順番で各組ずつ上下に初期配置され、
また、前記台紙シートは、各科目カードの配置面積を有する期中取引枠が表示されると共に、特定の一または複数の勘定科目グループの金額の小計を表示する集計枠を有するものであり、
前記各科目カードは、共通する勘定科目名ごと、又は、勘定科目名によって分類される共通の種別ごとのグループで、正面視上下左右方向のいずれかに相互連結可能な、又は、厚さ方向に重ね合わせ可能な連結構造を有しており、
前記台紙シートの期中取引枠の枠内には、前記連結構造によって相互連結され又は重ね合わせられた状態の複数の科目カードを仮定着可能な仮定着構造を有しており、
前記複数の科目カードのグループは、連結構造によって相互連結又は重ね合わせられた状態で、前記台紙シートの会計処理枠の枠内に仮定着され得ることを特徴とする、会計学習教材。
【請求項2】
前記各科目カードには、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれかからなる勘定科目種別の各々を互いに識別可能な第一識別表示(下地色又は模様)が施されると共に、
借方の科目カード及び貸方の科目カードには、それぞれ「借方」及び「貸方」のいずれかからなる借貸種別の各々を識別可能な第二識別表示が施され、
前記会計処理枠の集計枠は、配置された科目カードのうち、共通する第一識別表示に対応した各位置に表示された小集計枠を含む、請求項1記載の会計学習教材。
【請求項3】
前記各科目カードは、互いに同形状であると共に、他の科目カードを正面視上下又は左右のうちいずれか特定の平面方向に同一量ずつずらした他の科目カードとの対向位置に、相互連結又は重ね合わせて連結し得る連結構造を有してなる、請求項1又は2記載の会計学習教材。
【請求項4】
初期配置された複数の科目カードの組のイベント番号名に対応して、各組内の科目カードの金額を決定するための金額設定方法又は金額指示が表示されるルールボードをさらに有し、
前記科目カードは、金額欄に、任意の金額を繰り返し記入ないし消去可能な記入面を有する、請求項1、2、又は3のいずれか記載の会計学習教材。
【請求項5】
各科目カードの表面には、「現金」「売掛金」「売上原価」「減価償却費」のいずれかと、前記いずれかに対応する「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」を含む勘定科目のいずれかの表示が施されると共に、
このうち「現金」の表示が施された科目カードは他の科目カードに対して識別可能な識別表示が施され、
さらに、「現金」の表示が表面に施された科目カードの裏面には、
「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」のいずれかに対応するキャッシュフロー科目名(D)が記載されると共に、
「営業キャッシュフロー」、「投資キャッシュフロー」、及び「財務キャッシュフロー」の3種類の勘定科目からなるキャッシュフロー種別の各々を互いに識別可能なキャッシュフロー科目識別表示(C)が施されてなり、
各科目カードは、表面側及び裏面側それぞれに、台紙シートへ仮定着可能な定着構造を有してなる、請求項1、2、3、又は4のいずれか記載の会計学習教材。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、又は5のいずれかの会計学習教材を用いた会計学習教材の使用方法であって、
ランダム選択器を操作し、初期配置された科目カードのセットから、前記ランダム選択器の選択値に基づくイベント番号名の科目カードの組を選択する選択ステップと、
前記選択されたイベント番号名の科目カードの組を、台紙シートの期中取引枠内へ選択された順に仮定着させて配置する配置ステップと、
からなる各ステップを、予め設定された選択回数だけ繰り返し、次いで、
前記仮定着させて配置した複数の科目カードの組を、勘定科目種別ごとにまとめて、台紙シートの前記期中取引枠又はこれと異なる期中取引枠内に仮定着させて配置変更する再配置ステップと、
台紙シートの会計処理枠へ、配置変更後の金額を集計する集計ステップと、からなる各ステップを具備し、
前記再配置ステップにおいては、共通する勘定科目名が表示された複数の科目カード同士、又は、勘定科目名によって分類される共通の種別が表示された複数の科目カード同士を、互いに連結し又は重ね合わせた相互連結状態で仮定着させることを特徴とする、会計学習教材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複式簿記の仕組みを学習するための会計学習教材、及びこの会計学習教材の使用方法に関する。特に借方・貸方をあらわす各カードを利用し、ゲーム式に競争し遊戯するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレーニング用カードに仕訳を行い、その借方貸方を示す左右の区分を縦に切り取り二分した半片を同じ科目ごとに集めたトレーニング用カードが開示される(特許文献1参照)。これは、取引の借方貸方勘定科目、金額等を記載する標題欄を予め印刷し、その標題欄の下の部分に縦の長さを5乃至20に等分した横線を施した紙製の長方形のトレーニング用カードに仕訳を行い、その借方貸方を示す左右の区分を縦に切り取り二分した半片を同じ科目ごとに集め、左部分は左、右部分は右に寄せて全ての科目を机上に配置すれば、その配置の総体が合計試算表となり、各科目の左右の差額部分を埋めるトレーニング用カードを作れば残高試算表が作成され、さらに、貸借対照表と損益計算書を作るにはその残高試算表を二分する仕訳を行えば可能となる簿記の原理を視覚的に学習する、とされる。
【0003】
また従来、会計用教具として、資金の使用カラムと資金の供給源カラムを有する開始シートを利用したものが開示される(特許文献2参照)。この会計用教具は、使用カラムと供給源カラムを有する開始シートを含み、前記使用カラムは「資産」という標識が付けられる少なくとも一つの区分に分割され、前記供給源カラムも「負債」という標識が付けられる少なくとも一つの区分に分割される、等と説明されている。
【0004】
しかしながら、前記トレーニング用カードは、カードの内容の正誤を判別するなど会計の初級知識を問うものであるため、会計の初級者にとって利用しづらく、また遊戯性に欠けるものであった。
【0005】
また、前記会計用教具は、カードの並び替えによって財務諸表の各表の欄を埋めていくものであっても、どのような科目が金額のどの部分に反映されるのかなど、実際の勘定科目の金額への反映が利用者によっては難解であり、科目と金額との関係を直感的に理解できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登実-03176596号公報
【特許文献2】特公表2012-500420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複式簿記は、事業活動において貨幣価値の観点からみた「原因」と「結果」を同時に、記録・集計し、さらに「一定の期間(日次、月次、年次等)」で両者の増減差額が一致することを確認しながら、ステークホールダーに「利益」を中心とした会計情報を提供する為の仕組である。複式簿記の仕組を支える「原因と結果を同時に記録し、両者をカテゴリー別に集計する」という記録・分析方法は、「原因結果複式同時記録法」と呼ぶことができ、会計の分野に留まることなく「対象物の増減」について「原因」と「結果」の両面からのデータ分析をする為には非常に有効な記録方法ということができる。例えば、ダイエットに挑戦する人が、「原因結果複式同時記録法」でダイエットによる体重の増減(成果)と、ダイエットの手法(複数の手法)を日々記録する事で、「一定の期間」における「ダイエット手法(原因)」ごとの「成果(結果)」計算が容易に出来るのである。
【0008】
本発明では、いわゆる「原因結果複式同時記録法」の代表例である複式簿記の仕組を、会計に関わる人のみならずビジネス社会で生きる人々に、解りやすく、利用しやすく、応用しやすく、また比較的高い遊戯性と学習性とを有した教材として提供すること、また、このような教材を用いた会計学習教材の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明では以下の〔1〕〜〔6〕の手段を講じてなる。なお、以下において各構成名称の後に括弧付きで表した数字ないし記号は、実施例として示す各構成を、図面を参照して理解するために便宜的に付した符号であり、各構成自体の内容を特定したり実施例の表示に限定したりするものではない。
〔1〕本発明に係る会計学習教材は、
借方の勘定科目名及び金額枠が表示された借方の科目カード(11)と、貸方の勘定科目名および金額枠が表示された貸方の科目カード(12)と、から組構成された科目カード(1)の組を、複数組ずつ含む科目カード(1)のセットと、
各科目カード(1)をシート面に仮定着可能な台紙シート(2)と、
プレーヤーの操作によっていずれかの科目カード(1)の組をランダムに選択し得るランダム選択器(3)と、
から構成され、
前記借方の科目カード(11)及び貸方の科目カード(12)の各々は、会計処理を伴う各組内共通のイベント番号名(I)と当該イベント番号名の会計処理に対応した勘定科目名(A)と当該勘定科目名(A)に対応した金額欄(M)とが、各科目カード(1)の組内で対応して表示され、
前記複数の科目カード(1)の組は、各組間で異なるイベント番号名ないし異なる会計処理が表示されると共に、予め定められた所定の順番で各組ずつ上下に初期配置され、
また、前記台紙シート(2)は、各科目カードの配置面積を有し、かつ、ランダム選択器(3)によって選択された各科目カード(1)を仮定着させて配置可能な期中取引枠(21)が表示されると共に、
期中取引枠内に仮定着させて配置した期中取引枠内の科目カード(1)を、
共通する勘定科目名(A)ごとにまとめて配置変更する会計処理枠(22)が表示されてなり、
前記会計処理枠(22)は、配置変更された科目カード(1)のうち、特定の一または複数の勘定科目のグループの金額の小計を表示する集計枠(22T)を有するものであり、
前記各科目カード(1)は、共通する勘定科目名(A)ごと、又は、勘定科目名(A)によって分類される共通の種別ごとのグループで、正面視上下左右方向のいずれかに相互連結可能な、又は、厚さ方向に重ね合わせ可能な連結構造(4)を有しており、
前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内には、前記連結構造(4)によって相互連結され又は重ね合わせられた状態の複数の科目カード(11/12)を仮定着可能な仮定着構造を有しており、
共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)のグループは、連結構造(4)によって相互連結又は重ね合わせられた状態で、仮定着構造によって前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内に仮定着され得ることを特徴とする。
【0010】
前記構成であれば、共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)が連結構造(4)によって相互連結又は重ね合わせられ、平面方向又は厚さ方向に纏まった状態となって、会計処理枠(22)の枠内に仮定着される。共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)の連結または重ね合わせ枚数が多いほど、平面方向又は厚さ方向に嵩んだ状態で仮定着される。これにより、共通する勘定科目の科目カード(1)がどれだけの量だけ動き、どれだけの量だけ会計処理として処理されたのかを直感的に認識することができる。
【0011】
ここで、本発明にいう「連結構造」とは、複数の科目カード(1)を相互連結させるか又は相互に重ね合わせて、一時的に連結させた相互連結状態にする構造をいい、特に、前記相互連結状態を繰り返し解除し又は再現できる構造を言う。例えば、後述の実施例1〜7のように相互誘引磁極の磁性体によるものの他、後述の実施例5のようにクリップ(40)で挟着するもの、後述の実施例6や実施例7のように対応する係止突起(41T)及び係止窪み(41D)からなる係止構造が含まれる。
【0012】
また、本発明にいう「仮定着構造」とは、台紙シートの会計処理枠に科目カード(1)を取り外し可能、及び再定着可能に定着させ得る構造をいい、後述の実施例1〜7のように相互誘引磁極の磁性体によるものの他、対応するピン及びピン孔、対応するフック及びフック孔など、任意の係止手段によるものが含まれる。後述の各実施例では、科目カード(1)の裏面寄りに第一の磁着体である永久磁石を埋め込むと共に、台紙シートのシート面の下部に第二の磁着体である鉄板を埋設させ、これら第一、第二の磁着体同士が相互誘引するものとしている。
【0013】
連結構造及び仮定着構造の例として、実施例1(
図1〜
図2)、実施例2(
図3〜
図5)、及び実施例4(
図11〜
図14)では、科目カード(1)の周面及び下面、並びに台紙シートのシート面の内側に永久磁石を内蔵してなり、科目カード(1)の隣接辺同士、並びに科目カード(1)の下面と台紙シートとのシート面とが、それぞれ相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。
図1(実施例1)、
図3(実施例2)、
図11〜
図14(実施例4)に示すように、前記各実施例では方形の科目シートが縦横方向に並べられて隣接し、平面状に拡がった相互連結状態となる。
【0014】
また、連結構造及び仮定着構造の他の例として、実施例3(
図6〜
図10)では、二重の板で構成された科目カード(1)の上下各板内、及び、各台紙シートのシート面の内側に永久磁石ないし磁性体を内蔵してなり、同じ勘定科目名(A)の科目カード(1)同士が相互誘引磁極によって磁着するものとなっている。また、異なる勘定科目(A)の種別の科目カード(1)は反発磁極によって互いに反発して磁着不可能となっている。各科目カード(1)は、
図10に示すように、表板(11F)と裏板(11R)との2枚が、磁性体からなる枢支軸(11C)によって枢支され、互いにずらし回転可能に重ね合わせられてなる。枢支軸(11C)の磁極によって、同じ種別の科目カード(1)同士は、
図6や
図7に示すように、横長矩形の科目カード(1)を正面視上方向に縦半幅ずつずらして厚さ方向に重ねられた相互連結状態(11S,12S)となる。相互連結状態の科目カード(11S,12S)は、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ下方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図6,
図7)。この相互連結状態の科目カード(11S,12S)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。
【0015】
また、連結構造及び仮定着構造の他の例として、実施例5(
図15)では、科目カード(1)の左端のみを可撓性の突出薄片で構成すると共に、この突出片をまとめて挟み込む圧挟式のクリップ(40)を具備してなる。実施例5では複数の各科目シートが重ねられ、各左端の突出薄片同士が厚さ方向に重ねられてクリップ(40)でまとめられ、高さ方向に重ねられた相互連結状態となる。また実施例5(
図15)では、仮定着構造として、クリップの下面及び台紙シートのシート面の内側に、相互誘引磁極に設定した永久磁石を内蔵してなる。
【0016】
また後述の実施例6(
図16〜
図17)では、科目カード(1)の上下面及び台紙シートのシート面の内側に永久磁石を内蔵してなり、相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。また、各科目カード(1)の左右には係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、横長矩形の科目カード(1)を横半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ側方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図7)。この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部として使用される。
【0017】
後述の実施例7(
図18)では、実施例3と同様に、科目カード(1)の上下面及び台紙シートのシート面の内側に永久磁石(14)を内蔵してなり、相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。また、各科目カード(1)の上下に係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、横長矩形の科目カード(1)を正面視下方向に縦半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ下方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図18)。この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部として使用される。
【0018】
〔2〕前記会計学習教材において、各科目カード(1)の表面には、
「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」からなる勘定科目種別の各々を互いに識別可能な第一識別表示(F1,F2,F3,F4・・・)(枠色、枠模様、または文字色の差異表示)が施されると共に、
借方の科目カード(11)及び貸方の科目カード(12)には、それぞれ「借方」及び「貸方」からなる借貸種別の各々を識別可能な第二識別表示(枠色、枠模様、または文字色の差異表示)が施され、
前記会計処理枠(22)の集計枠(22T)は、配置変更された科目カード(1)のうち、共通する第一識別表示ごと、又は共通する第一識別表示における第二識別表示ごとの金額の小計を表示する小集計枠(23T)を含むことが好ましい。
【0019】
前記第一識別表示(F1,F2,F3,F4・・・)によって、勘定科目の種別、すなわち「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれに該当するかが直感的に判別可能となり、また、第二識別表示によって、取引における借方科目、貸方科目のいずれかに該当するかが直感的に判別可能となる。例えば色ごとに種別を分けると、特定の勘定科目がどの種類に属するのかを容易に理解することができる。
【0020】
〔3〕前記いずれかの会計学習教材において、共通する勘定科目名(A)が表示された各科目カード(1)は、互いに同形状であると共に、他の科目カード(1)を正面視上下又は左右のうちいずれか特定の平面方向に同一量ずつずらした連結対向位置又は重ね合わせ対向位置に、相互連結又は重ね合わせする他の科目カード(1)への連結構造(4)を有してなることが好ましい。
【0021】
このような構成であれば、共通する勘定科目名の科目カード(1)は、同一方向へ同一量ずつずらして連結または重ね合わせをして纏めることとなり、連結枚数をそのずらされた量によって直感的に理解することが可能となる。特にずらして重ね合わせを行う連結構造においては、共通する勘定科目名の表示部分、或いは金額表示部分を重ね合わせることで、重ね合わせ状態の科目カード(1)群が形成する平面領域をコンパクトにすることができる。例えば後述の実施例3(
図6、
図7)や実施例7(
図18)では、正面視高さ方向へずらして重ね合わせられるように、科目カード(1)の上下いずれかの半部の下面に、他の科目カード(1)への誘引磁性を有する磁性体(14)を埋め込んでいる。また後述の実施例6(
図16、
図17)では右方向へ半幅ずつずらして重ね合わせられるように、科目カード(1)の右半部の下面に、他の科目カード(1)への誘引磁性を有する磁性体(14)を埋め込んでいる。また、実施例6(
図16、
図17)や実施例7(
図18)では、科目カード(1)が、係止突起(41)とこの係止突起(41)に対応した係止窪み(41D)とからなる連結構造(4)を具備してなり、この連結構造(4)によって、上下又は左右にずらした相互連結状態を確実に維持できるものとなっている。このようにずらして重ね合わせた相互連結状態では、各金額欄(M)が部分的に確認できるため、コンパクトなスペース内で合計金額を確認することもできる。また、重ね合わせた最上枚の空白部分に合計金額を追記載することもできる。
【0022】
なお、前記いずれかの会計学習教材において、各科目カード(1)は、異なる勘定科目名(A)同士、ないし異なる勘定科目種別同士で、連結対向面又は重ね合わせ対向面に対して相互に相反力を付与させる相反手段を有してなるものとしてもよい。この相反手段は例えば、異なる勘定科目種別の科目カード(1)同士で、互いに相反磁極となる磁性体を埋め込んでなる。相反手段によって、異なる勘定科目種別同士が連結不可能となることで、勘定科目種別の学習をすることができる。
【0023】
〔4〕前記いずれかの会計学習教材においては、
初期配置された複数の科目カード(1)の組のイベント番号名に対応して、選択された組内の科目カード(1)の金額指示、ないし当該金額を決定するための金額設定方法又は金額指示が表示されるルールボードと、
前記ルールボードの指示に従った金額を前記科目カード(1)の金額欄(M)に記入し得る記入手段と、をさらに有し、
前記科目カード(1)の金額欄(M)に、ルールボードの金額指示ないし金額設定方法又は金額指示に従った任意の金額を繰り返し記入ないし消去可能な記入面を有することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、金額欄(M)は繰り返し記入、消去可能な変動欄であり、ルールボードによって表示された金額を記入手段によって記入することとなる。このような金額欄、ルールボード、記入手段を採用することで、特定のイベントでありながら金額が変動することとなり、ゲーム性が向上する。
【0025】
なお上記のような金額欄(M)としては、イレイサーによって接触消去できる一時的な文字定着板(例えばホワイトボード、黒板等)、或いは電子表示部が挙げられる。また上記のようなルールボードは、イベントごとの記入金額をランダム選択手段の選択内容に応じて特定する、いわゆるルールカードが挙げられる。これは例えば、数字のランダム選択手段を利用して、選ばれたイベントの金額を再選択するものである。また記入手段はホワイトボード用の記入ペン、鉛筆、チョーク等の消去可能な文字筆記具のほか、電子表示部への数字の電気的な入力手段が挙げられる。
【0026】
〔5〕前記いずれかの会計学習教材において、
対応する借方、貸方の各科目カード(1)の表面には、
「現金」「売掛金」「売上原価」「減価償却費」のいずれかと、前記いずれかに対応する「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」を含む勘定科目のいずれかの表示が施されると共に、
このうち「現金」の表示が施された科目カード(1)は他の科目カード(1)に対して識別可能な識別表示(前記第一識別表示と同様の、下地色又は模様の差異表示)が施され、
さらに、「現金」の表示が表面に施された科目カード(1)の裏面には、
「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」のいずれかに対応するキャッシュフロー科目名(D)が記載されると共に、
「営業CF」、「投資CF」、及び「財務CF」の3種類の勘定科目からなるキャッシュフロー種別の各々を互いに識別可能なキャッシュフロー科目識別表示(C)が施されてなり、
各科目カード(1)は、表面側及び裏面側それぞれに、台紙シート(2)へ仮定着可能な定着構造を有してなることが好ましい。
【0027】
上記構成であれば、科目カード(1)の台紙シートへの定着面側を裏返し、裏面を表側に向けると共に表面を裏側に向けて、台紙シートへ仮定着させることができる。裏返したときには、表面に対応したキャッシュフロー計算上の科目名が表示される。科目カード(1)を裏返し、現金の勘定科目名の科目カード(1)を含む科目カード(1)の組を、共通する第三識別表示ごとにまとめて再配置し台紙シートへ定着させることで、キャッシュフロー計算書に対応したキャッシュフロー会計処理の集計が可能となる。
【0028】
〔6〕本発明の会計学習教材の使用方法は、前記いずれかの会計学習教材を用いて一又は複数のプレーヤーで台紙シート(2)を完成させる方法であり、
ランダム選択器(3)を操作し、初期配置された科目カード(1)のセットから、前記ランダム選択器(3)の選択値に基づくイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を選択する選択ステップと、
前記選択されたイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を、台紙シート(2)の期中取引枠(21)内へ選択された順に仮定着させて配置する配置ステップと、
からなる各ステップを、予め設定された選択回数だけ繰り返し、次いで、
前記仮定着させて配置した複数の科目カード(1)の組を、勘定科目種別ごとにまとめて、台紙シート(2)の前記期中取引枠(21)又はこれと異なる期中取引枠(21)内に仮定着させて配置変更する再配置ステップと、
台紙シート(2)の会計処理枠(22)へ、配置変更後の金額を集計する集計ステップと、からなる各ステップを具備する。
そして、前記再配置ステップにおいては、共通する勘定科目名が表示された複数の科目カード(1)同士、又は、勘定科目名によって分類される共通の種別が表示された複数の科目カード(1)同士を、互いに連結し又は重ね合わせた相互連結状態で仮定着させることを特徴とする。
上記のように、共通する勘定科目名の科目カード(1)のグループを相互連結状態とし、相互連結状態の科目カード(1)を仮定着させて再配置することで、再配置ステップないし集計ステップの際に、共通する勘定科目名の科目カード(1)の選択回数を直感的に認識することができる。
なお、相互連結させる科目カード(1)のグループは、表示された勘定科目名が共通するものの他に、表示された勘定科目名における勘定科目種別が共通するもの、例えば「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のうちいずれかの勘定科目種別が共通するものでもよい。また、表示された勘定科目名におけるキャッシュフロー種別が共通するもの、例えば「営業CF」「投資CF」「財務CF」のうちいずれかのキャッシュフロー種別が共通するものでもよい。また、「借方」「貸方」からなる借方貸方種別が共通するものでもよい。
【発明の効果】
【0029】
上記構成を採用することで、会計に関わる人のみならずビジネス社会で生きる人々に、解りやすく、利用しやすく、応用しやすく、また比較的高い遊戯性と学習性とを有した会計学習教材を提供するものとなった。特に、複式簿記の本質は、「原因結果複式同時記録法」であり、また、原因・結果の集計が「一定の期間(日次、月次、年次等)」で一致することを確認しながら、ステークホールダーに「利益」を中心とした会計情報を提供する仕組であるところ、上記構成による本発明は、一般的には経験を積み重ねながらでないと会得しにくい会計の分野において、比較的高い遊戯性を有しながらも、複式簿記の仕組が、カードの種類ごとに記録・集計される過程を「見える化」することでより直感的に理解でき、会計に関わる人のみならず、現代のビジネス社会を生き抜く人々にとってもよりよく理解できる学習教材として提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例1に係る会計学習教材の構成を示す説明図である。
【
図2】実施例1に係る会計学習教材の選択後状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施例2に係る会計学習教材の構成を示す説明図である。
【
図4】実施例2に係る会計学習教材の選択後状態を示す説明図である。
【
図5】実施例2に係る会計学習教材の選択後の再配置状態を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る会計学習教材のうち第一台紙シート(201)の配置例である。
【
図7】実施例3に係る会計学習教材のうち第二台紙シートの配置例である。
【
図8】実施例3に係る会計学習教材のうち第三台紙シートの配置例である。
【
図9】実施例3に係る第三台紙シートの別配置例において、科目カード(1)をずらし回転させた状態である。
【
図10】実施例3に係る科目カード(1)の表面表示例、裏面表示例、及び裏面表示におけるずらし回転させた状態の例である。
【
図11】本発明の実施例4に係る会計学習教材の構成を示す説明図である。
【
図12】実施例4に係る初期配置状態の初期台紙シートの拡大図である。
【
図13】実施例4に係る配置状態の第二台紙シートの拡大図である。
【
図14】実施例4に係る再配置状態の第二台紙シートの拡大図である。
【
図15】本発明の実施例5に係る会計学習教材の第二台紙シート及び第三台紙シートの再配置状態例である。
【
図16】本発明の実施例6に係る会計学習教材の第二台紙シート及び第三台紙シートの再配置状態例である。
【
図17】実施例6に係る会計学習教材の相互連結状態の科目カード(1)の斜視図である。
【
図18】本発明の実施例7に係る会計学習教材の相互連結状態の科目カード(1)の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態につき、実施例として示す各図とともに説明する。なお、以下において各構成名称の後に括弧付きで表した数字ないし記号は、図面を参照して各構成を理解するために便宜的に付した符号であり、各構成の内容を特定するものでもなく、或いは実施例の表示に限定するものでもない。
【0032】
図1〜
図2に示す実施例1の会計学習教材は、人生ゲームの内容のイベントを単式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、単式簿記における現金出納帳の内容が反映される。
図3〜
図5に示す実施例2の会計学習教材は、実施例1と同じ人生ゲームの内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。
図6〜
図10に示す実施例3の会計学習教材は、ビジネスゲームの内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。これら実施例1〜3の会計学習教材は、共通する人生ゲームの内容、ないし共通する表示枠態様を有してなり、これらを組み合わせた会計学習教材セットとして、実施例1、実施例2、実施例3の順にゲーム試行することで、単式簿記、複式簿記の仕組みを段階的に学習することができる。
【0033】
また、
図11〜
図14に示す実施例4の会計学習教材は、人生ゲームの内容のイベントを2人のプレーヤーで複式簿記的に処理して競技するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。
図15に示す実施例5の会計学習教材は、第二台紙シート及び第三台紙シートを上下に配置してクリップからなる連結構造(4)で連結した例である。
図16、
図17に示す実施例6の会計学習教材は、実施例5の第二台紙シート及び第三台紙シートにおいて、科目カード(1)を横方向にずらして重ね合わせて連結できるようにした例である。
図18に示す実施例7の会計学習教材は実施例5の第二台紙シート及び第三台紙シートにおいて、科目カード(1)を縦方向にずらして重ね合わせて連結できるようにした例である。
【0034】
ところで、複式簿記の本質は、「原因結果複式同時記録法」であり、また、原因・結果の集計が「一定の期間(日次、月次、年次等)」で一致することを確認しながら、ステークホールダーに「利益」を中心とした会計情報を提供する仕組である。本発明では、このような複式簿記の本質を会計に関わる人のみならずビジネス社会で生きる人々に、解りやすく、利用しやすく、応用しやすく、また比較的高い遊戯性と学習性とを有した会計学習教材を提供することを目的とする。以下、各実施例に基づいて本発明の会計学習教材の遊戯性と学習性について説明する。
【実施例1】
【0035】
図1〜
図2に示す実施例1の会計学習教材は、人生における現金取引に関する内容のイベントを単式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、単式簿記における現金出納帳の内容が反映される。実施例1の会計学習教材は具体的には、
図1に示すように、40枚の科目カード(1)からなる科目カード(1)のセットと、期中取引枠(21)及び集計枠(22T)を有した台紙シート(2)と、ランダム選択器(3)とから構成される。科目カード(1)のセットは、カード裏面及び台紙シート(2)の表面に施された相互誘引磁性によって、
図1に示す初期配置状態のように、台紙シート(2)に仮定着されてなる。この
図1の状態から、ランダム選択器(3)たるサイコロによる選択の有無の実行により、
図2に示す選択後状態として移動して配置される。
【0036】
実施例1の科目カード(1)のセットは、「単−1」ないし「単−20」からなる20種類のイベント番号名(N)が表示された、2枚一組の科目カード(1)の組からなる。各組の科目カード(1)の組は、各表枠の左側に配置される借方の科目カード(11)と、各表枠の右側に配置される貸方の科目カード(12)と、からなる。各組の借方、貸方の各科目カード(1)には、現金取引に関する勘定科目名(A)が、借方と貸方で一つの現金取引のイベントに対応した内容で表示される。このうち「現金」の勘定科目名(A)が表示された科目カード(1)には、同勘定科目名(A)に続く金額欄(M)に、当該イベントでの現金の取引金額が予め表示される。
例として、「単−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組について説明する(
図1)。「単−1」のイベント番号名(N)の借方の科目カード(11)には、イベント番号名(N)「単−1」に続く勘定科目名(A)として「現金」が表示され、勘定科目名(A)に続く金額欄(M)として「5」が表示される。これに対応する同イベント番号名(N)の貸方の科目カード(12)には、イベント番号名(N)「単−1」に続く勘定科目名(A)として「誕生祝」が表示される。この「誕生祝」との勘定科目名(A)は、同組内すなわち同イベント番号名(N)の借方の科目カード(11)の「現金」「5」に対応しており、つまり「単−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組は、誕生祝として現金5万ドルを得たというイベントを示している。この「単−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組は、借方の科目カード(11)と貸方の科目カード(12)とが各カードの左右端部に内蔵した永久磁石によって左右に隣接し連結した状態で、初期台紙シート(200)の初期配置枠の最上部に初期配置される(
図1)。
【0037】
また、実施例1の台紙シート(2)は、
図1又は
図2に示すように、横方向へ隣接配置された初期台紙シート(200)、第一台紙シート(201)、第二台紙シート(202)からなる。これらは横長に一体成型され、所定の設置手段によって、掲示して設置することができる。
【0038】
(初期台紙シート(200))
初期台紙シート(200)には、「単式簿記の基本シート」との表題表示の下に、初期配置枠(20)が、イベント数20行の2列の表枠で表示され、また、この初期配置枠の各行に対応した選択表示枠(21S)が初期配置枠(20)に隣接表示される。初期配置枠(20)は各科目カード(1)の形状・大きさに対応した枠形状・枠の大きさを有しており、科目カード(1)を仮定着させ得るように表面に誘引磁性を施してなる。選択表示枠(21S)は繰り返し記入/消去可能な枠表示となっている。
図1に示す初期配置状態において、初期配置枠(20)の枠内には、イベント数20行の表枠内に、20組の科目カード(1)の組が仮定着状態で配置される。また、
図2に示す選択後状態において、選択されたイベントの各科目カード(1)が、初期配置枠(20)の枠外である第一台紙シート(201)ないし第二台紙シート(202)へ移動して配置されると共に、選択表示枠(21S)内に、選択されたイベントであることを示す「○」が記入される。
【0039】
(第一台紙シート(201))
第一台紙シート(201)には、「単式簿記のゲーム結果1」との表題表示の下に、選択された現金科目表示用の第一期中取引枠(211)が、イベント数20行の2列の表枠で表示される。また、この第一期中取引枠(211)の下部に、集計枠(22T)が「収入計」「支出計」「現金増加残」の3つの枠名で表示される。各枠名の隣には繰り返し記入/消去可能な金額欄(M)が設けられる。
図1に示す初期配置状態において、第一期中取引枠(211)内には何も配置されず、集計枠(22T)内には初期配置枠(20)の枠内の金額欄(M)には何も記入されていない。これに対し、
図2に示す選択後状態において、選択されたイベントの科目カード(1)の組のうち、勘定科目名(A)を「現金」とする各科目カード(1)が、第一期中取引枠(211)内に移動して移動して配置される。第一期中取引枠は、収入を示す左枠と、支出を示す右枠と、からなる左右2列の隣接枠を有する。
図2に示す選択後状態において、借方の科目カード(11)、貸方の科目カード(12)は、収入を示す左枠、支出を示す右枠のそれぞれへ移動して配置されることで、第一期中取引枠のうち左枠の下部に表示した「収入計」の集計枠(22T)の金額欄(M)へ、現金の収入合計額が記入される。
図2の実施例では左枠に「単−1」「単−3」「単−5」「単−10」「単−15」「単−18」の6つの借方の科目カード(11)が配置されることで、集計枠(22T)の右枠である「収入計」枠には、これらのイベントの金額欄(5,8,25,30,40,50)を集計した「158」が記入される。また
図2の実施例では右枠に「単−7」「単−9」「単−11」「単−12」「単−14」の5つの貸方の科目カード(12)が配置されることで、集計枠(22T)の左枠である「支出計」枠には、これらのイベントの金額欄(10,8,10,8,15)を集計した「51」が記入される。そして集計枠(22T)の下枠である「現金増加残」枠には、収入計と支出計の各金額欄(158,51)の差額である「107」が記入される。このようにして形成された第一期中取引枠(211)は、現金の収支のみが示されており、単式簿記の現金出納帳と同じ内容となっている。
【0040】
(第二台紙シート(202))
第二台紙シート(202)には、簿記のゲーム結果2」との表題表示の下に、選択された現金科目に対応する科目表示用の第二期中取引枠(212)が、イベント数20行の2列の表枠で表示される。
図1に示す初期配置状態において、第二期中取引枠(212)内には何も配置されていない。これに対し、
図2に示す選択後状態において、選択されたイベントの科目カード(1)の組の各科目カード(1)のうち、「現金」に対応する勘定科目名(A)の科目カード(1)が第二期中取引枠(212)へ移動して配置される。このようにして形成された第二期中取引枠(212)は、現金の収支に対応する選択された勘定科目の内容のみが示されており、単式簿記の現金出納帳における、いわゆる「摘要欄」と同じ内容となっている。
【0041】
上記の実施例1では、人生ゲームにおいて選択されたイベントの収支の結果が、会計処理枠(22)としての集計枠(22T)内に表示されている。第一期中取引枠(211)及び集計枠(22T)には収支金額の内訳及び結果が表されており、各金額に関する原因の情報は表示されていないことが理解される。また第二期中取引枠(212)には選択されたイベントのうち、現金に対応する勘定科目名(A)が科目カード(1)の移動後の配置によって示されているものの、各科目カード(1)には、勘定科目名(A)に対応する金額欄の表示自体が存在しない。このため、第二期中取引枠(212)の内容では選択されたイベントの原因情報を参考に示すのみであり、金額と共にこの原因を分析することができないものとなっている。これは単式簿記における現金出納帳の内容を示しており、単式簿記では現金増減の結果の記録作業にとどまる、ということを学習できる。
【実施例2】
【0042】
図3〜
図5に示す実施例2の会計学習教材は、実施例1と同じように、人生における現金取引に関する内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シート(
図4、
図5)には、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。実施例2の会計学習教材は具体的には、
図3に示すように、40枚の科目カード(1)からなる科目カード(1)のセットと、期中取引枠(21)及び集計枠(22T)を有した台紙シート(2)と、ランダム選択器(3)とから構成される。但し、
図3に示す初期配置状態の科目カード(1)は、表面に同一の内容が施された表板と裏板(11Fと11F、12Fと12R)とが相互誘引磁極の磁着によって重ねられ、さらに、カード裏面及び台紙シート(2)の表面に施された相互誘引磁性によって、台紙シート(2)に仮定着されてなる。この
図3の初期配置状態から、ランダム選択器(3)たるサイコロによる選択の有無の実行により、初期台紙シート(200)に初期配置された科目カード(1)のセットから、選択された所定のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を選択する選択ステップを行う。
【0043】
そして、選択ステップによって選択された科目カード(1)のうち、表板(11F,12F)のみを、第一期中取引枠(211)及び第二期中取引枠(212)のそれぞれへ選択された順に仮定着させて配置する配置ステップを行う。このとき、裏板(11R,12R)は初期台紙シート(200)に定着したまま初期配置状態で残されたものとなっている(
図14左部分)。また、この配置ステップにおいて、勘定科目(A)名を「現金」とする借方の科目カード(11)、勘定科目(A)名を「現金」とする貸方の科目カード(12)を第一期中取引枠(211)の左枠内及び右枠内にそれぞれ配置し、前記「現金」とする科目カード(1)の組に対応する貸方の科目カード(12)、借方の科目カード(11)を、前記第一期中取引枠(211)に隣接させた第二期中取引枠(212)の左枠内及び右枠内にそれぞれ配置する。なお、この配置ステップの際、初期台紙シート(200)の初期配置枠(20)に隣接して選択数値表示枠(21S)が表示されており、この隣接表示された選択数値表示枠(21S)の枠内に、ランダム選択器(3)による選択の有無を示すマルのマークを順に記入していく(
図4左部分)。
【0044】
前記配置ステップの後、会計処理枠(22)の配置後の「現金」「費用」「収益」の各勘定科目種別それぞれの総収支金額を算出し、第一台紙シート(201)及び第二台紙シート(202)の各下部に設けた集計枠(2T)内へ記入する集計ステップを行い、
図4に示す集計後状態とする。
【0045】
そして、前記集計ステップの後に、前記配置ステップで配置された複数の科目カード(1)の組を、台紙シートの会計処理枠(22)に仮定着させて配置変更する再配置ステップを行い、
図5に例示するような、科目カード(1)の第一台紙シート(201)及び第二台紙シート(202)への再配置状態とする。この再配置の際に、特定の勘定科目種別のグループの科目カード(1)同士を、縦横に一平面内に連結した相互連結状態とする(
図5)。本実施例の「特定の勘定科目種別のグループ」は具体的には、
図5の第二台紙シート(202)の第二期中取引枠(212)に示すように、勘定科目名(A)を「アルバイト」又は「給料」とする、いわゆる「労働所得」の勘定科目種別のグループと、勘定科目名(A)を「所得税」又は「住民税」又は「消費税」とする、いわゆる「税金支出」の勘定科目種別のグループと、勘定科目名(A)を「教育費」とする、いわゆる「教育支出」の勘定科目種別のグループと、勘定科目名(A)を「国内旅行」又は「海外旅行」関連とする、いわゆる「旅行支出」の勘定科目種別のグループと、勘定科目名(A)を「カードローン」とする、いわゆる「借入金支出」の勘定科目種別のグループと、からなるものとしている。なお
図5では、再配置後の借方の科目カード(11)、貸方の科目カード(12)を、それぞれ符号(11F´)、(12F´)を付して示している。
【0046】
また、この再配置ステップの際、初期台紙シート(200)の初期配置枠(20)に残された科目カード(1)の裏板(11R)(12R)のうち、ランダム選択器(3)によって選択されなかった非選択の科目カード(1)の裏板(11R)(12R)を取り外し、選択された科目カード(1)の裏板(11R)(12R)のみが初期台紙シート(200)の初期配置枠(20)内に定着されたまま残った状態とする。さらに、隣接して表示された選択数値表示枠(21S)の枠内のうち、前記取り外した初期配置枠内の科目カード(1)の位置に対応した枠内に、ランダム選択器(3)によって選択されなかったことを示す×のマークを順に記入していく(
図4左部分)。
【0047】
実施例2の科目カード(1)のセットは、「複−1」ないし「複−20」からなる20種類のイベント番号名(N)が表示された、2枚一組の科目カード(1)の組からなり、さらに、同じ内容が表示された2枚ずつの各科目カード(1)からなる。
図3に示す初期配置では同じ科目カード(1)はカード面に形成した相互誘引磁性によって重ねられて相互定着してなり、
図4に示す選択後状態では、二重に重ねられた同一の科目カード(1)のうち、選択された上側の一枚のみが第一台紙シート(201)又は第二台紙シート(202)へ移動して配置される。
【0048】
各組の科目カード(1)の組は、各表枠の左側に配置される借方の科目カード(11)と、各表枠の右側に配置される貸方の科目カード(12)と、からなると共に、各科目カード(1)は、表面に同一の内容が施された表板と裏板(11Fと11F、12Fと12R)とが相互誘引磁極によって繰り返し分離ないし磁着可能に重ねられた、同一の2枚構成のカードからなる。各組の借方、貸方の各科目カード(1)には、現金取引に関する勘定科目名(A)が、借方と貸方で一つの現金取引のイベントに対応した内容で表示される。また、すべての科目カード(1)には、同勘定科目名(A)に続く金額欄(M)に、当該イベントでの現金の取引金額が予め表示される。なお、実施例1では「現金」の勘定科目名(A)の科目カード(1)にのみ金額欄(M)への取引金額が表示されるのに対し、実施例2では「現金」以外の勘定科目名(A)の科目カード(1)にも金額欄(M)への取引金額が表示される。
【0049】
例として、「複−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組について説明する(
図3)。「複−1」のイベント番号名(N)の借方の科目カード(11)には、イベント番号名(N)「複−1」に続く勘定科目名(A)として「現金」が表示され、勘定科目名(A)に続く金額欄(M)として「5」が表示される。これに対応する同イベント番号名(N)の貸方の科目カード(12)には、イベント番号名(N)「複−1」に続く勘定科目名(A)として「誕生祝」が表示され、勘定科目名(A)に続く金額欄(M)として「5」が表示される。この「誕生祝」との勘定科目名(A)は、同組内すなわち同イベント番号名(N)の借方の科目カード(1)の「現金」「5」に対応しており、つまり「複−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組は、誕生祝として現金5万ドルを得たというイベントを示している。この「複−1」のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組は、借方の科目カード(11)と貸方の科目カード(12)とが、各カードの左右端部に内蔵した永久磁石によって左右に隣接し連結した状態で、初期台紙シート(200)の初期配置枠の最上部に初期配置される(
図3)。
【0050】
実施例2の台紙シート(2)は、
図3〜
図5に示すような、横方向に隣接された初期台紙シート(200)、第一台紙シート(201)、及び第二台紙シート(202)からなる。これらは横長に一体成型され、所定の設置手段によって、掲示して設置することができる。
【0051】
(初期台紙シート(200))
初期台紙シート(200)には、「複式簿記の基本シート」との表題表示の下に、初期配置枠(20)が、イベント数20行の2列の表枠で表示され、また、この初期配置枠の各行に対応した選択表示枠(21S)が初期配置枠(20)に隣接表示される。初期配置枠(20)は各科目カード(1)の形状・大きさに対応した枠形状・枠の大きさを有しており、科目カード(1)を仮定着させ得るように表面に誘引磁性を施してなる。選択表示枠(21S)は繰り返し記入/消去可能な枠表示となっている。
図3に示す初期配置状態において、初期配置枠(20)の枠内には、イベント数20行の表枠内に、20組の科目カード(1)の組が仮定着状態で配置される。また、
図4に示す選択後状態において、選択されたイベントの科目カード(1)の組の各科目カード(1)が初期配置枠(20)の枠外である第一台紙シート(201)ないし第二台紙シート(202)へ移動して配置されると共に、選択表示枠(21S)内に、選択されたイベントであることを示す「○」が記入される。
【0052】
(第一台紙シート(201))
第一台紙シート(201)には、「現金増減の「結果」の転記作業1」との表題表示の下に、選択された現金科目表示用の第一期中取引枠(211)が、イベント数20行の2列の表枠で表示される。また、この第一期中取引枠(211)の下部に、集計枠(22T)が「収入計」「支出計」「現金増加残」の3つの枠名で表示される。各枠名の隣には繰り返し記入/消去可能な金額欄(M)が設けられる。
【0053】
図3に示す初期配置状態において、第一期中取引枠(211)内には何も配置されず、集計枠(22T)内には初期配置枠(20)の枠内の金額欄(M)には何も記入されていない。これに対し、
図4に示す選択後状態において、選択されたイベントの科目カード(1)の組のうち、勘定科目名(A)を「現金」とする各科目カード(1)が、第一期中取引枠(211)内に移動して再配置される。第一期中取引枠は、収入を示す左枠と、支出を示す右枠と、からなる左右2列の隣接枠を有する。
図4に示す選択後状態において、借方の科目カード(11)、貸方の科目カード(12)は、収入を示す左枠、支出を示す右枠のそれぞれへ移動して配置されることで、第一期中取引枠のうち左枠の下部に表示した「収入計」の集計枠(22T)の金額欄(M)へ、現金の収入合計額が記入される。
図4の実施例では左枠に「複−2」「複−4」「複−5」「複−6」「複−15」「複−18」の6つの借方の科目カード(11)が配置されることで、集計枠(22T)の右枠である「収入計」枠には、これらのイベントの金額欄(10,20,25,10,40,50)を集計した「155」が記入される。また
図4の実施例では右枠に「複−9」「複−11」「複−12」「複−14」「複−16」「複−19」の6つの貸方の科目カード(12)が配置されることで、集計枠(22T)の左枠である「支出計」枠には、これらのイベントの金額欄(8,10,8,15,15,10)を集計した「66」が記入される。そして集計枠(22T)の下枠である「現金増加残」枠には、収入計と支出計の各金額欄(155,66)の差額である「89」が記入される。このようにして形成された第一期中取引枠(211)は、現金の収支のみが示されており、情報としては、実施例1の選択後状態(
図2)の第一台紙シート(201)に示す単式簿記の現金出納帳と同じ内容となっている。
【0054】
(第二台紙シート(202))
第二台紙シート(202)には、「現金増減の「結果」の転記作業2」との表題表示の下に、選択された現金科目に対応する科目表示用の第二期中取引枠(212)が、イベント数20行の2列の表枠で表示され、また、この第一期中取引枠(211)の下部に、集計枠(22T)が「収入計」「支出計」「現金増加残」の3つの枠名で表示される。各枠名の隣には繰り返し記入/消去可能な金額欄(M)が設けられる。
【0055】
図3に示す初期配置状態において、第二期中取引枠(212)内には何も配置されず、集計枠(22T)内には初期配置枠(20)の枠内の金額欄(M)には何も記入されていない。これに対し、
図4に示す選択後状態において、選択されたイベントの科目カード(1)の組の各科目カード(1)のうち、「現金」に対応する勘定科目名(A)の科目カード(1)が第二期中取引枠(212)へ移動して配置される。
【0056】
上記の実施例1では、人生ゲームにおいて選択されたイベントの収支の結果が、会計処理枠(22)としての集計枠(22T)内に表示されている。第一期中取引枠(211)及び集計枠(22T)には収支金額の内訳及び結果が表されており、各金額に関する原因の情報は表示されていないのに対し、実施例2の第二期中取引枠(212)及び集計枠(22T)には収支金額の内訳及び結果も数値と共に表されることが理解される。これは、第二期中取引枠(212)に配置された各科目カード(1)には、勘定科目名(A)に対応する金額欄の表示自体が存在することに基づく。前述した実施例1では、第二期中取引枠(212)の内容は選択されたイベントの原因情報名(勘定科目名(A))のみを参考に示すのみであったのに対し、実施例2では、内容は選択されたイベントの原因情報金額と共にこの原因を分析することができるものとなっている。この
図4の第二台紙シート(202)における第二期中取引枠(211・212)は複式簿記における試算表の内容を示している。
そして、
図5は
図4の選択後状態において第二台紙シート(202)上に配置された科目カード(1)を、第二期中取引枠(212)内で再配置した再配置状態を示す。
図5は、第二期中取引枠(212)内に移動して配置された科目カード(1)群に表示された勘定科目名(A)を、現金増減の原因として捉え、「税金支出」「教育支出」「受賄収入」といった任意のカテゴリーで分類した集計後の状態を示すものである。
図5のような、再配置後の第二期中取引枠(212)´及び集計枠(22T)が、複式簿記における損益計算書に該当する。
図3に示す初期配置状態から、実施例2のイベント選択と同様のイベント選択の後に、
図4に示す選択後状態となり、さらに
図5に示す選択後再配置状態となることで、
図5の第二台紙シートに示す損益計算書の作成までの過程を学習することができる。特に実施例2の会計学習教材は、実施例1の会計学習教材の使用後に続けて使用されることで、複式簿記の会計処理を実施例1の単式簿記の会計処理と比較して学習することができる。
【実施例3】
【0057】
図6〜
図10に示す実施例3の会計学習教材は、ビジネスゲームの内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。
特に実施例3では、実施例2と同様の初期台紙シート(200)たる基本配置シート(表1)と、複数のイベント列のカードセットと、カードを初期配置するための第一台紙シート(201)(
図6)と、正味財産(資産−負債)の増減に関する勘定科目の科目カード(1)を選択し移し替える期中取引枠及び貸借対照表枠を有した第二台紙シート(
図7)と、正味財産(資産−負債)の増減取引に対応する原因の勘定科目の科目カード(1)を移し替える期中取引枠及び損益計算書枠を有した第三台紙シートと、キャッシュフローを計算するためのキャッシュフロー用枠を有した第四台紙シート(
図8)とを具備する。特に第四台紙シートにおいては、科目カード(1)を裏返して再配置することでキャッシュフロー計算書に相当する内容を表示することができる。
【0058】
実施例3の会計学習教材は、
ビジネス業務に関連するイベント内容を、借方の科目カード(1)及び貸方の科目カード(1)からなる科目カード(1)各組に表示した科目カード(1)のセット(表1)と、
前記科目カード(1)のセットを、各科目カード(1)に表示したイベント番号名(N)の順に初期配置状態で仮定着された初期台紙シート(表1)と、
ランダムな数値を表示するランダム選択器(3)(図示せず)と、
貸借対照表を構成する勘定科目の配置枠及び貸借対照表を構成する会計処理枠を有し、初期配置状態の初期台紙シートの科目カード(1)から選択された特定のイベントに対応する科目カード(1)の組の一方を並び替えることで貸借対照表の内容を表示し得る第一台紙シート(201)(
図6)と、
損益計算書を構成する勘定科目の配置枠及び損益計算書を構成する会計処理枠を有し、初期配置状態の初期台紙シートの科目カード(1)から選択された特定のイベントに対応する科目カード(1)の組の他方を並び替えることで損益計算書の内容を表示し得る第二台紙シート(202)(
図7)と、
キャッシュフロー計算書を構成する勘定科目の配置枠及びキャッシュフロー計算書を構成する会計処理枠を有し、初期配置状態の初期台紙シートの科目カード(1)から選択された、「現金」を勘定科目名(A)に含む特定のイベントに対応する科目カード(1)の組を並び替えることでキャッシュフロー計算書の内容を表示し得る第二台紙シート(203)(206)(
図8)と、を具備してなる。
【0059】
(会計学習教材の使用方法)
そして、本実施例の会計学習教材の使用方法は、一又は複数のプレーヤーで台紙シート(2)を完成させる方法であり、
貸借対照表を作成する貸借対照表作成ステップ(
図6)と、
損益計算書を作成する損益計算書作成ステップ(
図7)と、
キャッシュフロー計算書を作成するキャッシュフロー計算書作成ステップ(
図8)と、を行うものとしている。
【0060】
貸借対照表作成ステップ(
図6)は、
ランダム選択器(3)によって表示された選択番号に応じたイベントの科目カード(1)の組を選択し、前記選択された科目カード(1)の組のうちの一方として、「現金」「建物」「資本金」「借入金」「売掛金」「買掛金」「商品」「売買目的有価証券」のいずれかからなる、正味財産の勘定科目名(A)が表示された科目カード(1)を、第一台紙シート(201)に仮定着させ、
その後、第一台紙シートの横枠部分に、前記定着させた各科目カード(1)を「現金残高」「売掛金残高」「売買目的有価証券残高」「商品残高」「建物残高」からなる資産残高のグループごとに連結させて纏めると共に、並び替え配置枠内に並び替え、
さらにその後、金額欄部分を記入式にした貸借対照表枠の各金額欄に、前記連結させた科目カード(1)毎の合計金額を記入し、貸借対照表を作成する。
【0061】
損益計算書作成ステップ(
図7)は、
前記貸借対照表ステップにおいて選択された科目カード(1)の組のうちの他方として、「地代家賃」「給料」「保険料」「支払手数料」「広告宣伝費」「売上原価」「支払利息」「減価償却費」「雑収入」「有価証券売却益」「売上」のいずれかからなる、正味財産増減の原因の勘定科目名(A)が表示された科目カード(1)を、第二台紙シート(202)に仮定着させ、その後、第二台紙シート(202)の横枠部分に、前記定着させた科目カード(1)を「売上原価」「売上」「支払手数料」からなる費用・収益のグループごとに連結させて纏めると共に、並び替え配置枠内に並び替え、
さらにその後、金額欄部分を記入式にした損益計算書枠の各金額欄に、前記連結させた科目カード(1)毎の合計金額を記入し、損益計算書を作成する。
【0062】
キャッシュフロー計算書作成ステップ(
図8)は、
前記貸借対照表ステップにおいて選択された科目カード(1)の組のうちの一方において、「現金」の勘定科目名(A)が表示された科目カード(1)を、第三台紙シート(203)(又は(206))に仮定着させ、その後、第三台紙シートの横枠部分に、前記定着させた科目カード(1)を裏返して、裏面に対応表示された「営業CF」「投資CF」「財務CF」からなる費用・収益のグループごとに連結させて纏めると共に、並び替え配置枠(203´)内に並び替え、
さらにその後、金額欄部分を記入式にしたキャッシュフロー計算書枠の各金額欄に、前記連結させた科目カード(1)毎の合計金額を記入し、キャッシュフロー計算書を作成する。
【0063】
以下の表1〜表5に、本発明の実施例3の会計学習教材のビジネスゲームの各台紙シート及び科目カード(1)の各欄の内容を示す。
【表1】
【0064】
表1は実施例3の初期台紙シート(200)と、初期台紙シート上に初期配置された科目カード(1)のセットを示す。表1に示すように、初期台紙シートは、「ビジネスゲームの基本シート」との表題欄を有し、その下にイベント数に応じた行数の初期配置枠を有する。初期台紙シートの初期配置枠の各行には、イベント番号名(N)として1〜20までの科目カード(1)の組が上方から下方へ順に配置される。各科目カード(1)の組みは、借方の科目カード(11)、貸方の科目カード(12)が左右に並べられる。また、各科目カード(1)の組に共通のイベント番号名(N)が表示されると共に、借方の科目カード(11)と貸方の科目カード(12)夫々に、対応する借方と貸方の各勘定科目名が記載される。例えばイベント番号名(N)が1の科目カード(1)の組は、借方が「現金」、貸方が「資本金」となっている。勘定科目名の右側は繰り返し記入/消去可能な空白の金額欄となっており、ランダム選択器(3)たるさいころの出目とルールボードに従って金額を記入できるようになっている。
【表2】
【0065】
表2は、ビジネスゲームの実施状態として、ランダム選択器(3)とルールボードの指示に基づき、各科目カード(1)の組を初期台紙シート(200)上に配置したまま、借方、貸方それぞれの科目カード(1)の金額欄に金額を記入した集計状態を示す。共通するイベント番号名(N)毎に会計処理金額を記入するため、共通するイベント番号名(N)ごとに借方と貸方の金額の合計は必ず一致する。例えばイベント番号9−1、9−2は有価証券を35万$で売却した際に、売却益15万$が発生したというイベント指示がなされたときの記入例である。この場合、借方の科目カード(11)の「9−1」「現金」の表示の隣の金額欄に「20」を記入し、これの組となる貸方の科目カード(12)の「9−1」「売買目的有価証券」の表示の隣の金額欄に「20」を記入する。また、借方の科目カード(11)の「9−2」「現金」の表示の隣の金額欄に「15」を記入し、これの組となる貸方の科目カード(12)の「9−1」「有価証券売却益」のの表示の隣の金額欄に「15」を記入する。このようにして、すべてのイベントについて金額欄を記入した状態が表2である。
【表3】
【0066】
表3は、「正味財産」の表題を有する第二の会計処理枠に、表2の通り金額欄を記入した各科目カード(1)の一部を再配置した状態を示す。表3では、表2における科目カード(1)のうち貸借対照表を構成する勘定科目の科目カード(1)を、識別表示に従って「(A)正味財産の増加」「(B)正味財産の減少」の各欄に移動させることで分類してなる。この表3のような科目カード(1)の移動により、表2のビジネスゲームの実施状態を正味財産として把握することができる。表3に示す第二の会計処理枠内への科目カード(1)の再配置は、貸借対照表における勘定科目の転記作業に該当する。
【0067】
また表3では、右端の「正味財産増減(A)−(B))」欄に「(A)正味財産の増加」の金額欄の数字から「(B)正味財産の減少」の金額欄の数字を差し引いた数字を記入しており、さらに、「資本金」を貸方の勘定科目のカードとするカード組については別枠の「資本取引欄」に、「資本金」の金額欄の数字を転記している。なお「資本金取引欄」のみ別枠としたのは、資本金の増減自体は「正味財産の増加」であるものの、正味財産の増減要因を企業会計原則(一般原則三 資本取引・損益取引区分の原則)により「資本取引」と「損益取引」とに区分する必要があるためである。
【表4】
【0068】
表4は、「正味財産増減の原因」の表題を有する第三の会計処理枠に、表2の通り金額欄を記入した各科目カード(1)の一部を再配置した状態を示す。表4では、表2における科目カード(1)のうち損益計算書を構成する勘定科目の科目カード(1)を、識別表示に従って「(C)正味財産減少の原因」「(D)正味財産増加の原因」の各欄に移動させることで分類してなる。この表4のような科目カード(1)の移動により、表2のビジネスゲームの実施状態を正味財産増減の原因として把握することができる。この表4の作成は、損益計算書における勘定科目の転記作業に該当する。
【0069】
また表4では、右端の「増加−減少/(D)−(C)」欄に「(D)正味財産増加の原因」の金額欄の数字から「(C)正味財産減少の原因」の金額欄の数字を差し引いた数字を記入している。
プレーヤーすなわち遊技者は、表3に示す第二の会計処理枠内への科目カード(1)の再配置と、表4に示す第三の会計処理枠内への科目カード(1)の再配置とを見比べることで、正味財産増減の合計(表3)が、正味財産増減の原因の差額合計(表4)と対応していることを確認することができる。
【表5】
【0070】
表5は、第四の会計処理枠の左部に、「貸借対照表」の表題付きの会計処理枠を設け、表3の通り貸借対照表を構成する科目カード(1)の再配置状態に基づいて、資産の増加、減少の各集計枠に、勘定科目ごとの増減の合計額を転記した状態である。実際のゲームにおいては、この数値の合計の転記の代わりに、共通する勘定科目の科目カード(1)を連結構造によってまとめて連結させ、資産の増加欄、資産の減少欄にそれぞれ再配置することができる。そして、「貸借対照表」欄の下部に、資産残高の合計額(表5では「302.4」)を記入する
【0071】
また表5では、第四の会計処理枠の中部に「負債・資本」の表題付きの会計処理枠を設け、この上部に、負債に該当する勘定科目、すなわち「借入金」、「買掛金」の勘定科目の科目カード(1)の合計額を転記している。実際のゲームにおいては、前記各金額欄の数値合計の転記の代わりに、「借入金」、「買掛金」の勘定科目の科目カード(1)を本欄に再配置することができる。この際、共通する勘定科目の科目カード(1)が複数ある場合は、連結構造によってまとめて連結させて再配置する。また、「負債・資本」欄の中部に、「資本金」の勘定科目の科目カード(1)の合計額を転記している。実際のゲームにおいては、前記各金額欄の数値合計の転記の代わりに、「資本金」の勘定科目の科目カード(1)を本欄に再配置することができる。この際、共通する勘定科目の科目カード(1)が複数ある場合は、連結構造によってまとめて連結させて再配置する。そして、「負債・資本」欄の下部に、「負債」と「資本」との合計額(表5では「228」)を記入すると共に、左側の枠の資産残高との合計差額を記入する。
【0072】
また表5では、第四の会計処理枠の右部に「貸借対照表」の表題付きの会計処理枠を設け、資産の残高欄に、資産に該当する各勘定科目の合計数値及び資産合計の数値を転記し、負債の残高欄に、負債に該当する各勘定科目の合計数値及び資産合計の数値を転記する。
このようにして、資産合計「302.4」と、負債・資本の部合計「302.4」とが共通することを確認することができる。
【表6】
【0073】
表6は、キャッシュフロー会計を示す第五の会計処理枠への再配置或いは転記状態を示す。第五の会計処理枠は、現金の増減欄、キャッシュフロー計算の科目カード(1)再配置枠、キャッシュフロー計算書の記入欄を有する。キャッシュフロー計算の科目カード(1)再配置枠には、ビジネスゲームの実施例として科目カード(1)を配置した表2の科目カード(1)のそれぞれを、「現金の増加」(G)欄、「現金の減少」(H)欄に、カードを裏返して再配置する。この科目カード(1)は、
図10に示すように、表板(11F)と裏板(11R)との2枚が枢支軸(11C)によって枢支されて、互いにずらし回転可能に重ね合わせられてなる。表面には貸借対照表の勘定科目(
図6では「現金」)が表示されると共に(
図10(a))、その裏面には、キャッシュフロー会計に対応したキャッシュフロー科目分類名(C)、キャッシュフロー科目名(D)が表示されている(
図10(b))。裏返す際に、裏面の金額欄(M)に表面の金額欄(M)と同じ数値を記入する。表板の裏面には予め、表板の表面に対応した「現金の増加」又は「現金の減少」のいずれかの増減表示(E)が施されてなり、裏返した状態で表板(11F)と裏板(11R)のいずれか片方をずらし回転させたときに、
図9ないし
図10(c)に示すように、現金の増減のいずれかを判別できるようになっている。
【0074】
また、実施例3では、科目カード(1)が二重に重ねられた表板(11F/12F)と裏板(11R/12R)とからなる2枚の板で構成されると共に、科目カード(1)の上下各板内、及び、各台紙シートのシート面の内側に永久磁石ないし磁性体を内蔵してなり、同じ勘定科目名(A)の科目カード(1)同士が相互誘引磁極によって磁着するものとなっている。また、異なる勘定科目(A)の種別の科目カード(1)は反発磁極によって互いに反発して磁着不可能となっている。
実施例3の各科目カード(1)は、
図10に示すように、表板(11F)と裏板(11R)との2枚が、磁性体からなる枢支軸(11C)によって枢支され、互いにずらし回転可能に重ね合わせられてなる。この磁性体の枢支軸(11C)が実施例3の連結構造となっており、枢支軸(11C)の磁極によって、同じ種別の複数の科目カード(1)は、
図6や
図7に示すように、正面視横長矩形の科目カード(1)を正面視上方向に縦半幅ずつずらして厚さ方向に重ねることで、相互連結状態の科目カード(11S,12S)となる。相互連結状態の科目カード(11S,12S)は、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ下方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図6,
図7)。この相互連結状態の科目カード(11S,12S)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される(
図6、
図7)。
【実施例4】
【0075】
図11〜
図14に示す実施例4の会計学習教材は、人生に関する内容のイベントを、2人のプレーヤーで複式簿記的に処理するものであり、ゲーム終了後の台紙シートには、複式簿記による各集計処理の内容が反映される。
実施例4の学習教材の会計学習教材の使用方法は、前記いずれかの会計学習教材を用いて複数のプレーヤーで競技得点を競う競技方法であり、以下のステップを含んで実行される。
まず、
図11左図ないし
図12に例示するような、初期台紙シート(200)への初期配置状態の科目カード(1)を用意する。
この初期配置状態から、各プレーヤーがランダム選択器(3)を操作し、前記ランダム選択器(3)の選択値とルールボードの指示とに基づいて、初期台紙シート(200)に初期配置された科目カード(1)のセットから、選択された所定のイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を選択する選択ステップと、
初期配置された科目カード(1)のセットからランダム選択された各科目カード(1)の組を、第一台紙シート(201)の期中取引枠(21)へ選択された順に仮定着させて配置する配置ステップと、
からなる各ステップを、プレーヤーごとに、予め設定された選択回数だけ交互に繰り返す。このようにして、
図11右図ないし
図13に例示するような、科目カード(1)の第一台紙シート(201)への配置状態とする。
【0076】
特に本実施例では第一プレーヤー、第二プレーヤーそれぞれの科目カード(1)のセット(1A)(1B)と、第一プレーヤー、第二プレーヤーそれぞれの初期配置枠を隣接表示した初期台紙シート(200)と、第一プレーヤー、第二プレーヤーそれぞれの期中取引枠(21A)(21B)を隣接表示した第一台紙シート(201)と、を具備しており、各プレーヤーによる競技状況を比較して掲示することができる(
図11)。なお、この配置ステップの際、第一台紙シート(201)の各プレーヤーの期中取引枠(21)に選択数値表示枠(21S)が表示されており、この隣接表示された選択数値表示枠(21S)に、ランダム選択器(3)による選択数値のマーク(S1)(S2)(S3)(S4)(S5)、すなわちサイコロの出目を順に記入していく(
図11右図、
図13)。
【0077】
そして、前記配置ステップを繰り返した後、プレーヤーごとに、前記仮定着配置された複数の科目カード(1)の組を、台紙シートの会計処理枠(22)に仮定着させて配置変更する再配置ステップを行い、
図14に例示するような、科目カード(1)の第一台紙シート(201)への再配置状態とする。ここで、各科目カード(1)は、「資産」「費用」「収益」からなる3種類の勘定科目種別の各々を互いに識別可能なように、互いに異なる枠模様を施した第一識別表示(F1)(F2)(F3)を表面に表示してなる。そして、再配置ステップの際には、複数の科目カード(1)を、共通する枠模様の第一識別表示(F1)(F2)(F3)毎にまとめて縦横に連結した相互連結状態とする(
図14)。
【0078】
そして、前記再配置ステップの後、プレーヤーごとに、会計処理枠(22)の配置変更後の金額を集計して、現金、資産、及び資本の総収支金額を算出し、会計処理枠(22)の集計枠(2T)内へ記入する集計ステップを行い、
その後、プレーヤーごとに、集計枠(2T)の各集計金額に、予めルールボードに規定された総資産利益率、自己資本利益率、及び売上高経常利益率の加点基準値に基づいて、加点分を加点するステップを行う。
そして、これらのステップを経て得られた最終の競技得点をプレーヤーごとに競うものである。
【実施例5】
【0079】
図15に示す実施例5の会計学習教材は、企業経営に関する内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、表1(実施例3)と同様に初期配置された複数の科目カード(1)のうち、ランダム選択器(3)に基づいて所定のイベント番号名(N)の科目カード(1)を選択し、選択された科目カード(1)を、縦方向に並べた第二台紙シート(202)、第三台紙シート(203)のそれぞれへ配置するものである。
図15はその配置途中の状態例を示す。本実施例では、同じ勘定科目名(A)の科目カード(1)が、クリップ(40)からなる連結構造(4)によって重ね合わせ状態で連結されてなる。より具体的には、連結構造(4)として、科目カード(1)の各左端を可撓性の薄片部で構成すると共に、この薄片部をまとめて挟み込む圧挟式のクリップ(40)を具備してなる。同一の勘定科目名(A)同士で重ねられた相互連結状態の科目カード(1)は、クリップ(40)の下面と台紙シート(2)のシート面との相互誘引磁極によって、掲示状態で台紙シート(2)に仮定着される。
また、実施例5のクリップ(40)の表面には、「資産/負債」「費用」「収益」「資本」からなる勘定科目種別にそれぞれ対応した第一識別表示(F1,F2,F3,F4)が施される。各科目カード(1)は、この第一識別表示(F1,F2,F3,F4)の区別毎に、「貸借対照表」との表題表示を有する第二台紙シート(202)の左右の表枠と、「損益計算書」との表題表示を有する第三台紙シート(202)の左右の表枠とに分類して仮定着される。
【実施例6】
【0080】
図16、
図17に示す実施例6の会計学習教材は、企業経営に関する内容のイベントを複式簿記的に処理するものであり、表1(実施例3)と同様に初期配置された複数の科目カード(1)のうち、ランダム選択器(3)に基づいて所定のイベント番号名(N)の科目カード(1)を選択し、選択された科目カード(1)を、縦方向に並べた第二台紙シート(202)、第三台紙シート(203)のそれぞれへ配置するものである。
図16はその配置途中の状態例を示す。本実施例では、同じ勘定科目の科目カード(1)が係止突起及び係止溝からなる連結構造によって横方向にずらした重ね合わせ状態で連結されてなる(
図17)。
実施例6(
図16〜
図17)では、科目カード(1)の上下面及び台紙シートのシート面の内側に永久磁石を内蔵してなり、相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。また、各科目カード(1)の左右には係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、横長矩形の科目カード(1)を横半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ側方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図7)。この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部として使用される。前記以外の特記しない構成及び会計学習教材の使用方法(遊戯方法)は実施例3と同様である。
【実施例7】
【0081】
図18に示す実施例7の会計学習教材は、厚さ方向に階段状に連結可能な科目カード(1)を有してなり、
図18は連結状態の科目カード(1)の連結状態例を示す。実施例7(
図18)では、実施例3と同様に、科目カード(1)の上半部の裏側に相互誘引磁極の永久磁石(14)を内蔵してなり、横長矩形の科目カード(1)を正面視下方向に縦半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ下方へ階段状に伸長して纏まった相互連結状態(
図18)とすることができる。また、各科目カード(1)の上下に係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部としても使用される(
図18)。前記以外の特記しない構成及び会計学習教材の使用方法(遊戯方法)は実施例3と同様である。
【0082】
(本発明の基本構成及び作用効果)
次に、本発明の基本構成及び作用効果を説明する。上記いずれの実施例においても、本発明に係る会計学習教材は、
借方の勘定科目名及び金額枠が表示された借方の科目カード(11)と、貸方の勘定科目名および金額枠が表示された貸方の科目カード(12)と、から組構成された科目カード(1)の組を、科目ごとに複数組ずつ含む科目カード(1)のセットと、
各科目カード(1)をシート面に仮定着可能な台紙シート(2)と、
プレーヤーの操作によっていずれかの科目カード(1)の組をランダムに選択し得るランダム選択器(3)と、
から構成される。
【0083】
(科目カード(1)のセット)
科目カード(1)のセットは、前記借方の科目カード(11)及び貸方の科目カード(12)からなるカード組を複数組有してなる。各々の科目カード(1)の組は、会計処理を伴う各組内共通のイベント番号名(I)と当該イベント番号名の会計処理に対応した勘定科目名(A)と当該勘定科目名(A)に対応した金額欄(M)とが、各科目カード(1)の組内で対応して表示される。
【0084】
前記複数の科目カード(1)の組は、各組間で異なるイベント番号名ないし異なる会計処理が表示されると共に、予め定められた所定の順番で各組ずつ上下に初期配置される(
図1、表1)。
【0085】
また、各科目カード(1)は、積層面に埋め込んだ極性磁性体又は係止構造によって、同一識別表示同士のものが互いにずらして連結または重ね合わせ可能であり、任意数重ね合わせた状態で台紙シートの各表枠内に磁着力又は係止力によって一時固定されることを特徴とする。
【0086】
また各科目カード(1)は、共通する勘定科目名(A)ごとに、上下左右方向のいずれかに相互連結可能な、又は、厚さ方向に重ね合わせ可能な連結構造(4)を有しており、
前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内表面には、前記連結構造(4)によって相互連結され又は重ね合わせられた状態の複数の科目カード(11/12)を仮定着可能な仮定着構造を有しており、
共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)は、連結構造(4)によって相互連結又は重ね合わせられた状態で、仮定着構造によって前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内に仮定着される。
【0087】
(台紙シート(2))
台紙シート(2)は、初期配置用の初期台紙シート(200)、期中取引配置用の第一台紙シート(201)、会計処理枠整理用の第二台紙シート(202)及び第三台紙シート(203)、これらを合わせた総合台紙シート(204)のいずれか一つ以上から構成される。
【0088】
第一台紙シート(201)には、ランダム選択器(3)によって一組ずつ選択された各科目カード(1)を、仮定着させて配置可能な枠形状の期中取引枠(21)が表示される。
第一台紙シート(201)及び第二台紙シートには、期中取引枠内に仮定着させて配置した期中取引枠内の科目カード(1)を、
共通する勘定科目名(A)ごとにまとめて配置変更する会計処理枠(22)が表示されてなる。
前記会計処理枠(22)は、配置変更された科目カード(1)のうち、特定の一または複数の勘定科目グループの金額の小計を表示する集計枠(22T)を有する。
【0089】
前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内表面には、前記連結構造(4)によって相互連結され又は重ね合わせられた状態の複数の科目カード(11/12)を仮定着可能な仮定着構造を有しており、
共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)は、連結構造(4)によって相互連結又は重ね合わせられた状態で、仮定着構造によって前記台紙シート(2)の会計処理枠(22)の枠内に仮定着される。
【0090】
特に実施例3では、複数のイベント列のカードセットと、カードを初期配置するための第一台紙シート(201)(
図6)と、正味財産(資産−負債)の増減に関する勘定科目の科目カード(1)を選択し移し替える期中取引枠及び貸借対照表枠を有した第二台紙シート(
図7)と、正味財産(資産−負債)の増減取引に対応する原因の勘定科目の科目カード(1)を移し替える期中取引枠及び損益計算書枠を有した第三台紙シートと、から構成される。
また実施例3ではさらに、キャッシュフローを計算するためのキャッシュフロー用枠を有した第四台紙シートを具備する(
図8)。科目カード(1)を裏返して再配置することでキャッシュフロー計算書に相当する内容を表示することができる。
【0091】
(ランダム選択器(3))
ランダム選択器(3)は、プレーヤーの操作によって数値をランダムに選択し得る数値選択器である。ランダム選択器(3)の実行によって、いずれのイベントの科目カード(1)の組を選択するかを決定する。或いは、ルールボードの指示に基づくランダム選択器(3)の実行によって、所定のイベントにおいていずれの金額を選択するかを決定する。例えば実施例1ではサイコロ(
図1)がランダム選択器(3)として採用される。このほか、ルーレットなどのランダム表示機を採用してもよい。
【0092】
(第一識別表示、第二識別表示)
各科目カード(1)の表面には、
「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」からなる勘定科目種別の各々を互いに識別可能な第一識別表示(下地色又は模様)が施されると共に、
借方の科目カード(11)及び貸方の科目カード(12)には、それぞれ「借方」及び「貸方」を識別可能な第二識別表示(枠色または文字色)が施され、
前記会計処理枠(22)の集計枠(22T)は、配置変更された科目カード(1)のうち、共通する第一識別表示ごとの金額の小計を表示する第一集計枠(集計枠(22T))を含む。
【0093】
前記第一識別表示で勘定科目の種別、すなわち「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれに該当する科目カード(1)であるかが判別可能となり、また、第二識別表示で取引における借方科目、貸方科目のいずれかが判別可能となる。例えば第二識別表示によって、財務3表において記載される勘定科目の定位置、すなわち右側の貸方、左側の借方のどちらに該当する勘定科目か、を直感的に理解することができる。識別表示は下地色の変化、模様の変化、枠色、又は文字色のいずれかを区別し表示することによって行う。例えば色ごとに種別を分けると、特定の勘定科目がどの種類に属するのかを容易に理解することができる。
【0094】
(科目カード(1)の連結)
前記いずれかの会計学習教材において、共通する勘定科目名(A)が表示された各科目カード(1)は、互いに同形状であると共に、他の科目カード(1)を正面視上下又は左右のうちいずれか特定の平面方向に同一量ずつずらした連結対向位置又は重ね合わせ対向位置に、相互連結又は重ね合わせする他の科目カード(1)への連結構造(4)を有してなる。
【0095】
そして、各科目カード(1)は、共通する勘定科目名(A)ごとに、上下左右方向のいずれかに相互連結可能な、又は、厚さ方向に重ね合わせ可能な連結構造(4)を有してなる。
共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)が連結構造(4)によって相互連結又は重ね合わせられ、平面方向又は厚さ方向に纏まった状態となって、会計処理枠(22)の枠内に仮定着される(
図12〜
図18)。共通する勘定科目名(A)の複数の科目カード(11/12)の連結または重ね合わせ枚数が多いほど、平面方向又は厚さ方向に嵩んだ状態で仮定着される。これにより、共通する勘定科目の科目カード(1)がどれだけの量だけ動き、どれだけの量だけ会計処理として処理されたのかを直感的に認識することができる。
【0096】
特に実施例5(
図15)では、連結構造として、科目カード(1)の左端のみを可撓性の突出薄片で構成すると共に、この突出片をまとめて挟み込む圧挟式のクリップ(40)を具備してなる。実施例1では複数の各科目シートが重ねられ、各左端の突出薄片同士が厚さ方向に重ねられてクリップ(40)でまとめられ、高さ方向に重ねられた相互連結状態となる。また実施例6(
図15)では、仮定着構造として、クリップの下面及び台紙シートのシート面の内側に、相互誘引磁極に設定した永久磁石を内蔵してなる。
【0097】
また実施例7(
図16〜
図17)では、科目カード(1)の上下面及び台紙シートのシート面の内側に永久磁石を内蔵してなり、相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。また、各科目カード(1)の左右には係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、横長矩形の科目カード(1)を横半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ側方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図17)。この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部として使用される。
【0098】
実施例8(
図18)では、他の実施例と同様に、科目カード(1)の上下面及び台紙シートのシート面の内側に永久磁石を内蔵してなり、相互誘引磁極によって磁着する磁着性のものとなっている。また、各科目カード(1)の上下に係止窪み(41D)が対称形成され、科目カード(1)のカード面の中央にはこの係止窪み(41D)の窪み形状に対応した周形状の係止突起(41T)が形成されてなる。複数の科目カード(1)は、横長矩形の科目カード(1)を正面視下方向に縦半幅ずつずらして上方へ重ねて係止することで、厚さ方向に嵩み、かつ重ねた分だけ下方へ階段状に伸長して纏まった状態になる(
図18)。この重ねられて係止された複数の科目カード(1)の最下面が台紙シート(2)の永久磁石と相互誘引して磁着し、仮定着される。前記係止突起(41T)はまた、科目カード(1)を各台紙シートに対して着脱する際のつまみ部として使用される。
【0099】
例えば実施例7(
図17)では右方向へ半幅ずつずらして重ね合わせられるように、科目カード(1)の右半部の下面に、他の科目カード(1)への誘引磁性体(連結構造(4))を埋め込んでいる。また、実施例8(
図18)では下方へ半分の高さずつ、ずらして重ね合わせられるように、科目カード(1)の上半部の下面に、他の科目カード(1)への誘引磁性体(連結構造(4))を埋め込んでいる。このようにずらして重ね合わせた状態では、重ね合わせた最上枚のみに合計金額を記載することも可能となる。
【0100】
なお、前記いずれかの会計学習教材において、各科目カード(1)は、異なる勘定科目名(A)同士の連結対向面又は重ね合わせ対向面に対して相互に相反力を付与させる相反手段(4N)を有してなるものとしてもよい。
【0101】
(金額欄への自由記入)
前記科目カード(1)の金額欄(M)は、繰り返し記入し或いは自由記入/消去可能な欄面になっている。
そして、会計学習教材の構成として、
初期配置された複数の科目カード(1)の組のイベント番号名に対応して、選択された組内の科目カード(1)の金額指示、ないし当該金額を決定するための金額設定方法又は金額指示が表示されたもの、すなわち各イベントの金額の決定方法を指示したルールボードと、
前記ルールボードの指示に従った金額を前記科目カード(1)の金額欄(M)に記入し得る記入手段、すなわち消去可能な金額欄の記入面への筆記具をさらに有する。
すなわち、科目カード(1)の金額欄(M)は、前記ルールボードの金額指示ないし金額設定方法又は金額指示に従った金額を繰り返し記入ないし消去可能な記入面を有してなる。
【0102】
上記構成によれば、金額欄(M)は繰り返し記入、消去可能な変動欄であり、ルールボードによって表示された金額を記入手段によって記入することとなる。このような金額欄、ルールボード、記入手段を採用することで、特定のイベントでありながら金額が変動することとなり、ゲーム性が向上する。
【0103】
なお上記のような金額欄(M)としては、イレイサーによって接触消去できる一時的な文字定着板(例えばホワイトボード、黒板等)、或いは電子表示部が挙げられる。また上記のようなルールボードは、イベントごとの記入金額をランダム選択手段の選択内容に応じて特定する、いわゆるルールカードが挙げられる。これは例えば、数字のランダム選択手段を利用して、選ばれたイベントの金額を再選択するものである。また記入手段はホワイトボード用の記入ペン、鉛筆、チョーク等の消去可能な文字筆記具のほか、電子表示部への数字の電気的な入力手段が挙げられる。
【0104】
(キャッシュフロー計算科目への対応)
各科目カード(1)は表面がBS、PLの会計処理を行うための科目名が記載されており、このうち現金表示が施された科目カード(1)やその組内の科目カード(1)の裏面には、キャッシュフロー計算の会計処理を行うための科目名が記載されている。裏返すことで、キャッシュフロー計算科目への対応が可能となる。
【0105】
具体的には、各科目カード(1)の表面には、
「現金」「売掛金」「売上原価」「減価償却費」のいずれかと、前記いずれかに対応する「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」を含む勘定科目のいずれかの表示が施されると共に、
このうち「現金」の表示が施された科目カード(1)は他の科目カード(1)に対して識別可能な現金識別表示(下地色又は模様)が施され、
さらに、「現金」の表示が表面に施された科目カード(1)の裏面には、
前記「資本金」「借入金」「地代家賃」「建物」「給料」「保険料」「商品」「売掛金」「手数料」のいずれかに対応するキャッシュフロー計算上の科目名が記載されると共に、
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3種類の勘定科目からなるキャッシュフロー種別の各々を互いに識別可能なキャッシュフロー科目識別表示(下地色又は模様)が施されてなり、
各科目カード(1)は、表面側及び裏面側それぞれに、台紙シート(2)へ仮定着可能な定着構造を有してなる。
【0106】
上記構成であれば、科目カード(1)の台紙シートへの定着面側を裏返し、裏面を表側に向けると共に表面を裏側に向けて、台紙シートへ仮定着させることができる。この裏返したときに、現金の勘定科目名の科目カード(12)を含む科目カード(1)の組を、共通する第三識別表示ごとにまとめて配置変更できるようにすることで、キャッシュフロー計算書に対応したキャッシュフロー会計処理の集計が可能となる。
【0107】
例えば表5,6及び
図8に、キャッシュフロー計算書の作成例を示す。この作成例においては、ビジネスゲームの実施例において選択されたイベントの科目カード(1)のうち、現金の増減にのみ関する科目カード(1)を現金の増減欄(E)(F)に転記し、この現金に対応する借方乃至貸方の組内の科目カード(1)を裏返して、キャッシュフロー計算書の現金の増加欄(G)、現金の減少欄(F)に仮定着させる。
【0108】
(会計学習教材の使用方法)
本発明の会計学習教材の使用方法は、一又は複数のプレーヤーで台紙シート(2)を完成させる方法であり、少なくとも以下の各ステップを含む手順からなる。
すなわち、ランダム選択器(3)を操作し、初期配置された科目カード(1)のセットから、前記ランダム選択器(3)の選択値に基づくイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を選択する選択ステップと、
前記選択されたイベント番号名(N)の科目カード(1)の組を、台紙シート(2)の期中取引枠(21)内へ選択された順に仮定着させて配置する配置ステップと、
前記仮定着させて配置した複数の科目カード(1)の組を、勘定科目種別ごとにまとめて、台紙シート(2)の前記期中取引枠(21)又はこれと異なる期中取引枠(21)内に仮定着させて配置変更する再配置ステップと、
台紙シート(2)の会計処理枠(22)へ、配置変更後の金額を集計する集計ステップと、からなる各ステップである。
前記再配置ステップは配置ステップの後に行えばよい。例えば、再配置ステップの後に集計ステップを行ってもよく、或いは集計ステップの後に再配置ステップを行ってもよい。再配置ステップは、配置ステップの際に使用した台紙シートと同じ台紙シートを用いてもよく、或いは、配置ステップの際に使用した台紙シートと異なる別の台紙シートを用いてもよい。集計ステップは、配置ステップの際に使用した台紙シート内に表示した集計枠内で行ってもよく、或いは、配置ステップの際に使用した台紙シートと異なる別の台紙シートに表示した集計枠内で行ってもよい。
【0109】
ここで、前記再配置ステップにおいては、共通する勘定科目名が表示された複数の科目カード(1)同士、又は、勘定科目名によって分類される共通の種別が表示された複数の科目カード(1)同士を、互いに連結し又は重ね合わせた相互連結状態で仮定着させる。上記のように、共通する勘定科目名の科目カード(1)のグループを相互連結状態とし、相互連結状態の科目カード(1)を仮定着させて再配置することで、再配置ステップないし集計ステップの際に、共通する勘定科目名の科目カード(1)の選択回数を直感的に認識することができる。
【0110】
なお、相互連結させる科目カード(1)のグループは、表示された勘定科目名が共通するものの他に、表示された勘定科目名における勘定科目種別が共通するもの、例えば「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のうちいずれかの勘定科目種別が共通するものでもよい。また、表示された勘定科目名におけるキャッシュフロー種別が共通するもの、例えば「営業CF」「投資CF」「財務CF」のうちいずれかのキャッシュフロー種別が共通するものでもよい。また、「借方」「貸方」からなる借方貸方種別が共通するものでもよい。
【0111】
複式簿記は、事業活動において貨幣価値の観点からみた「原因」と「結果」を同時に、記録・集計し、さらに「一定の期間(日次、月次、年次等)」で両者の増減差額が一致することを確認しながら、ステークホールダーに「利益」を中心とした会計情報を提供する為の仕組である。複式簿記の仕組を支える「原因と結果を同時に記録し、両者をカテゴリー別に集計する」という記録・分析方法は、「原因結果複式同時記録法」と呼ぶことができ、会計の分野に留まることなく「対象物の増減」について「原因」と「結果」の両面からのデータ分析をする為には非常に有効な記録方法ということができる。例えば、ダイエットに挑戦する人が、ダイエットによる体重の増減(成果)と、ダイエットの手法(複数の手法)を日々記録する事で、「一定の期間」における「ダイエット手法(原因)」ごとの「成果(結果)」計算が容易に出来るのである。
【0112】
本発明の実施例2,3,4の各会計学習教材は、複式簿記を活用して資産の増減に対する「原因結果複式同時記録法」の代表例である複式簿記の仕組を、会計に関わる人のみならずビジネス社会で生きる人々に、解りやすく、利用しやすく、応用しやすく、また比較的高い遊戯性と学習性とを有した学習教材といえる。
例えば、実施例2の会計学習教材は、複式簿記を活用して「現金」の増減に対する原因を記録し分析することで、「原因結果複式同時記録法」が「原因別・カテゴリー別集計ツール」として有効であることを学習できる。
また、実施例3の会計学習教材では、増減記録の対象物の範囲が、「現金」から一気に「財産全般」(「正味財産(資産−負債)」の増減をとらえる為)にまで拡大し、かつ、目的が「現金残高の増減把握」から「正味財産(資産−負債)」という差額概念の増減把握にまで変化しているが、それでもなお、正味財産を構成する「資産」「負債」の増減原因を「仕訳」という技術で記録・集計することで、「原因結果複式同時記録法」の代表例である複式簿記が「カテゴリー別・原因別集計ツール」として非常に有効であることが学習できる。企業会計においては、月毎又は事業年度毎という一定のタイミングで、貸借対照表の会計記録と財産目録とが一致することを確認する。このとき、月ごと又は年度ごとの一定期間の終了時点の正味財産が確定すると同時に、一定期間のスタート時点の正味財産と比較することで、スタート時点と終了時点の正味財産の増減額、すなわち一定期間利益ないし損失の算出も可能となる。また、正味財産の増減について原因面の会計記録を集計し、その原因面からの一定期間利益ないし損失を計算する。この作業は、
図6,
図7に示す台紙シートの作成を行うことで疑似体験することができる。そして、
図6の貸借対照表に表れる正味財産自体の増減と、
図7の損益計算書に表れる原因面の利益ないし損失とは、個々の仕訳処理の借方・貸方金額が互いに一致している限り、必ず一致することとなる。実施例3で
図6、
図7の台紙シートの作成を行うことで、貸借対照表と損益計算書が対応していることを学習できる。
【0113】
特に上記各実施例の構成によれば、磁着力又は係止力の連結または重ね合わせによって、科目カード(1)の集約数を直感的に理解することができる。
また、実施例4のようにプレーヤー数に応じたキャッシュフロー計算書枠を有し、台紙シートから各プレーヤーのイベントのカードを裏返して移し替えることで、キャッシュフロー計算書を作成することもできる。
【0114】
またいずれか複数のイベントにおいては、イベントに対応して、進度決定器の操作指示と、進度決定結果に応じた複数通りの結果指示とが記載された支持ボードをさらに具備し、
各プレーヤーの進度決定によるイベントごとに、用いるイベントカードのセットが異なるものとしており、前記イベントカードのセットのいずれかには、複式簿記処理の複数のカードセットを用いるものとしている。このようなものであれば、より遊戯性を有し、会計学習教材の取り扱いも容易となる。
【0115】
その他上記構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更、追加、構成要素数の変更、科目内容の調整、台紙カードにおける各表枠、集計枠の配置の変更が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 科目カード
1A 第一プレーヤーの科目カード
1B 第二プレーヤーの科目カード
1F 表板
2F 裏板
11 借方の科目カード
11A 第一プレーヤーの借方の科目カード
11B 第二プレーヤーの借方の科目カード
11S 相互連結状態の借方の科目カード
12 貸方の科目カード
12A 第一プレーヤーの貸方の科目カード
12B 第二プレーヤーの貸方の科目カード
12S 相互連結状態の貸方の科目カード
14 永久磁石
2 台紙シート
20 初期配置枠
21 期中取引枠
211、201A、202A、203A 第一期中取引枠
212、201B、202B、203B 第二期中取引枠
21A 第一プレーヤーの期中取引枠
21B 第二プレーヤーの期中取引枠
21S 選択表示枠
22、201C、202C、203C 会計処理枠
22T 集計枠
23T 小集計枠
200 初期台紙シート
201 第一台紙シート
202 第二台紙シート
203 第三台紙シート
3 ランダム選択器
4 連結構造
40 クリップ
41D 係止窪み
41T 係止突起
(A) 勘定科目名
(F1)(F2)(F3)(F4) 第一識別表示
(C) キャッシュフロー科目識別表示
(D) キャッシュフロー科目名
(M) 金額欄
(N) イベント番号名