(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ポリマーを製造するためのコストが増大することによって、複合ポリマー材料中の充填剤のより高いレベルを提供するための方法の開発が推進されている。充填剤はしばしば、炭酸カルシウム、チョーク、石灰石、大理石、ドロマイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレーまたはマイカのような天然または合成鉱物から選択される。
【0003】
複合ポリマー材料を製造するための従来の方法では、ポリマー材料および充填材料は、ポリマーのドライブレンドを形成するために、ホット−コールドミキサーで混合することができる。ポリマーのドライブレンドは、その後、通常は空気圧で、複合ポリマー材料がその中で形成される配合機、典型的には押出機に搬送される。
【0004】
増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料および前記複合ポリマー材料を製造するための方法は、従来技術から知られている。
【0005】
欧州特許出願公開第1584650号明細書は、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂に配合された、2から60重量%の白色燃焼触媒を含むマスターバッチペレットを開示する。このマスターバッチペレットは燃焼促進効果を発揮する熱可塑性樹脂組成物を製造するのに適している。
【0006】
アイルランド特許出願公開第930545号明細書は、押出装置の特大の材料のリサイクルラインに添加することができるマスターバッチ材料の使用を開示する。
【0007】
欧州特許第1421136号明細書は、少なくとも1つの塩素化ポリオレフィン、少なくとも1つのアクリル系加工助剤、少なくとも1つのアクリル系耐衝撃性改良剤を混合し、このブレンドを成形体に形成することを含む、マスターバッチ担体の製造方法を開示する。特に、この方法は、ポリ塩化ビニルの着色に使用するのに適したマスターバッチを提供するための方法に向けられている。前記マスターバッチはさらに充填剤を含むことができる。
【0008】
米国特許出願公開第2003/0144423号明細書は、改善された衝撃強さを有するポリ塩化ビニル組成物に関する。この組成物は、塩化ビニルポリマー、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンコポリマーおよび少なくとも1つのランダム塩素化オレフィンポリマーを含むことができる。場合により、この組成物は、5から50重量部の無機充填剤レベルを有することができる。
【0009】
国際公開第2010/049530号は、少なくとも40重量部、好ましくは少なくとも60重量部の天然に存在する無機充填剤、および50から58のk−値を有するポリ塩化ビニルを含む発泡ポリ塩化ビニルから作られたプロファイルに関連する。この充填剤は好ましくはタルクおよび/またはマイカであり、より好ましくはタルクである。この公報は2つの工程、即ち第1および第2の混合工程が、分離および品質低下等の問題を低減するために使用される方法をさらに開示する。充填剤の大部分は、180℃よりも高い温度で実施される第2の混合工程で添加される。
【0010】
Kunststoffe International 12/2006、62−66におけるH. M▲u▼ller氏によれば、ポリ塩化ビニルを含む炭酸カルシウムが開示され、前記炭酸カルシウムは直接添加技術により、押出機の直前にポリ塩化ビニルドライブレンドに添加される。この方法によれば、5から50重量部の炭酸カルシウムを添加できる。
【0011】
しかし、増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料の製造に適用した場合、複合ポリマー材料を製造するための当技術分野で公知の従来の方法にはいくつかの欠点がある。典型的には、複合ポリマー材料を製造するための従来の方法の問題点は20から30重量部を超える充填剤含量で生じ始める。
【0012】
例えば、従来の方法を適用した場合、増加した量、即ち、20から30重量部を超える量の充填剤材料をポリマーに加えると、混合時間が増加する。
【0013】
増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料の製造に従来の方法を適用した場合の別の欠点は、ホット−コールドミキサーの壁上に充填剤材料の堆積物が形成されることである。
【0014】
増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料の製造に従来の方法を適用した場合のさらに別の欠点は、ホット−コールド混合から得られたドライブレンドを空気圧で配合機に搬送する際の、ドライブレンド中のポリマー材料および充填剤材料の分離である。これはひいては、製造された複合ポリマー材料の不均一な充填剤含量をもたらす。
【0015】
前記に鑑みると、増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料を提供するための方法を改善することは、依然として当業者にとって関心がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、費用がかかり、エネルギー集約的な混合時間を短縮することができる方法を提供することが目的である。直接添加技術を介して導入される無機充填剤材料は、必ずしも加熱工程およびその後の冷却工程を必要としないという事実により、例えば、ホット−コールド混合中の電気エネルギーの消費を減らすことができる。
【0019】
ホット−コールドミキサー内での充填剤材料の堆積物の形成を回避できる方法を提供することがさらなる目的である。
【0020】
ホット−コールドミキサーから得られたドライブレンドを空気圧で配合機へ搬送する時の分離の問題を回避できる方法を提供することがさらなる目的である。
【0021】
ポリマー製品に組み込まれてもよく、それによって前記ポリマー製品の充填剤含量を増加させることができる、増加した充填剤含量を有する複合ポリマー材料を提供することがさらなる目的である。
【0022】
また、ポリマー製品の充填剤含量を所定値に適応させることを可能にし、また正確かつ均一に添加することができる複合ポリマー材料を提供することが望ましい。
【0023】
上記およびその他の目的は、独立請求項において定義される主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一態様によれば、
(a)無機充填剤材料を提供する工程;
(b)ポリマー材料を提供する工程;
(c)工程(a)の無機充填剤材料および工程(b)のポリマー材料を配合機に搬送する工程;
(d)前記配合機内で複合ポリマー材料を形成する工程
を含み、工程(a)の無機充填剤材料は工程(b)のポリマー材料に、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が60から900重量部の範囲であるような量で添加され、前記添加は直接添加技術を用いて行われる、複合ポリマー材料を製造する方法が提供される。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、本発明の方法によって得られる複合ポリマー材料を提供することに関する。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、無機充填剤材料およびポリマー材料を含む複合ポリマー材料であって、複合ポリマー材料が4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を有する粒子の形態であり、複合ポリマー材料中の充填剤含量が60から900重量部の範囲である複合ポリマー材料が提供される。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の複合ポリマー材料を含むポリマー製品が提供される。
【0028】
本発明の別の態様は、複合材料が好ましくはマスターバッチとして使用される、ポリマー製品中での本発明の複合ポリマー材料の使用に関する。
【0029】
本発明の方法の有利な実施形態は対応する従属請求項に定義される。
【0030】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量は、150から800重量部の範囲、好ましくは160から700重量部の範囲、より好ましくは170から600重量部の範囲である。
【0031】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(d)の複合ポリマー材料は、2から8mm、好ましくは3から7mm、より好ましくは4から6mmの範囲の平均粒径を有する顆粒の形態で製造される。
【0032】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、得られた複合ポリマー材料は、4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を得るために微粒子化される。
【0033】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料は無機充填剤材料を含み、ポリマー材料中の無機充填剤材料の含量は、好ましくは1から70重量部、好ましくは5から60重量部、より好ましくは10から50重量部の範囲である。
【0034】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料はリサイクルポリマー材料を含み、リサイクルポリマー材料は、好ましくは、微粒子化リサイクルポリマー材料を含む。
【0035】
本発明の方法の別の実施形態によれば、前記配合機は押出機であり、ポリマー溶融物の温度は、好ましくは205℃未満に維持される。
【0036】
本発明の方法の別の実施形態によれば、無機充填剤材料は、炭酸カルシウム、チョーク、石灰石、大理石、ドロマイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレーまたはマイカ、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記無機充填剤材料は、好ましくは、炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトである。
【0037】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、無機充填剤材料は、粉砕ドロマイト、重質炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、またはこれらの混合物から選択される。
【0038】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、ポリマー材料は、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、塩素化ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、ポリマー材料は好ましくはビニルポリマーおよび/またはビニルコポリマーを含み、より好ましくはポリマー材料はポリ塩化ビニルである。
【0039】
本発明の複合ポリマー材料の別の実施形態によれば、複合ポリマー材料の無機充填剤含量は、150から800重量部の範囲、好ましくは160から700重量部の範囲、より好ましくは170から600重量部の範囲である。
【0040】
本発明の複合ポリマー材料のさらに別の実施形態によれば、無機充填剤材料は、炭酸カルシウム、チョーク、石灰石、大理石、ドロマイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレー、もしくはマイカ、およびこれらの混合物からなる群から選択され、無機充填剤材料は、好ましくは、炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトである。
【0041】
本発明の複合ポリマー材料の別の実施形態によれば、ポリマー材料は、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、塩素化ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、ポリマー材料は好ましくはビニルポリマーおよび/またはビニルコポリマーを含み、より好ましくはポリマー材料はポリ塩化ビニルを含む。
【0042】
本発明の複合ポリマー材料の別の実施形態によれば、ポリマー材料のk−値は30から100、好ましくは45から70、最も好ましくは50から68の範囲であり、ポリマー材料は好ましくはポリ塩化ビニルである。
【0043】
好ましい実施形態によれば、ポリマー製品は、顆粒、ウィンドウプロファイル、管、技術的プロファイル、壁パネル、天井パネル、クラッドパネル、ワイヤまたはケーブル絶縁材、フィルム、シート、繊維、または不織布である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
なお、本発明の目的に対し、以下の用語は以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0045】
本発明の意味における用語「無機充填剤材料」は無機物由来の物質を意味し、これは、より高価な材料の消費を低減するためにおよび/または製品の技術的特性を強化するために、紙、ポリマー、ゴム、塗料または接着剤のような材料に添加することができる。当業者はそれぞれの分野で使用される典型的な充填剤を熟知している。
【0046】
本明細書で使用する用語「無機物」は、秩序原子構造を有する非生物起源の固形物を包含する。
【0047】
本願で使用される「ポリマー材料」は、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、異相コポリマーおよびランダム異相コポリマーならびにそれらのポリマーブレンド、改変および混合物を含む。本明細書で使用される用語のポリマー材料は、同様に、例えばリサイクルポリマー材料、例えば、リサイクルポリ塩化ビニルを含むことができる。ポリマー材料中のリサイクルポリマー材料の含量は、0.1から100重量%の範囲であってよい。
【0048】
本願で使用される「複合ポリマー材料」は、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの無機充填剤材料を含む材料である。
【0049】
本発明によれば、「配合機」は、1つ以上の添加剤、例えば、無機充填剤材料、を有する1つ以上のポリマー材料の配合に適した任意の装置であってよい。配合機は、無機充填剤材料およびポリマー材料が実際にその中で配合される配合セクションを含む。そのような装置は当技術分野で知られている。
【0050】
本明細書で使用される用語「直接添加技術」は、配合機の配合セクションの上流の直接添加装置中でポリマー材料へ無機充填剤材料を添加および混合することを含み、直接添加装置は配合機の配合セクションに直接接続されており、好ましくは配合機の配合セクションの上部にあり、配合セクションへの、得られた混合物の空気輸送が関与しない。
【0051】
本願で使用される用語「顆粒」は、造粒法により得られた製品を指す。顆粒は、明確な形状、例えば、ペレット、球体、真珠、ビーズ、プリル、フレーク、チップまたはスラグ、明確でない形状、例えば、砕かれたものを有することができ、または顆粒は明確なおよび明確でない形状の複合ポリマー材料の両方の混合物であってもよい。造粒は、例えば、切断ナイフを備えたダイを通してポリマー溶融物をプレスすることにより、上記に定義した配合機で実施することができ、顆粒のサイズが、適用された圧力および/または切断速度によって調節されてもよい。しかし、顆粒を製造するのに適した任意の他のシステムが使用されてもよい。
【0052】
用語「微粒子化」は、顆粒のサイズ減少のための方法を指す。平均粒径を低減するためのそのような方法には、製粉、強打および粉砕ならびに超臨界流体を含む方法が挙げられるが、これらに限定されない。微粒子化された顆粒は100から4000μmの範囲の平均粒径を有することができる。
【0053】
複合ポリマー材料の「平均粒径」は重量メジアン粒径であり、即ち、全粒子の50重量%がこの平均粒径より大きいかまたは小さい。粒径は、ISO 3310−1:2000(E)に従って篩い分けすることによって決定される。
【0054】
本明細書で使用される単位「重量部(phr)」(百樹脂当たりの部)は、基準ポリマーの乾燥重量100部当たりの成分の乾燥重量部を指す。
【0055】
「k−値」は、ポリマー溶液の粘度の測定に基づく、ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニルの分子量の尺度である。これは通常30から100に及ぶ。低いk−値は、(加工しやすいが、劣った性質を有する)低分子量を暗示し、高いk−値は(加工は困難であるが、優れた特性を有する)高分子量を暗示する。
【0056】
用語「マスターバッチ」は、ポリマー製品の製造に使用されるポリマー複合材料を指す。マスターバッチは、無機充填剤マスターバッチを使用した場合、例えば、より高い充填剤含量を達成するために、例えば、押出前にポリマー製品に添加してもよい。
【0057】
本発明の意味における「重質炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰石、大理石、カルサイト、またはチョーク等の天然源から得られ、粉砕、篩分けおよび/または、例えば、サイクロンまたは分級機による分別のような湿式および/または乾式処理によって処理された炭酸カルシウムである。
【0058】
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に、水性環境中で二酸化炭素および水酸化カルシウム(消石灰)の反応後の沈殿または水中でのカルシウムおよび炭酸塩源の沈殿によって得られた合成材料である。また、沈降炭酸カルシウムは、例えば、水性環境中で、カルシウムおよび炭酸塩、塩化カルシウム並びに炭酸ナトリウムを導入する製品とすることもできる。PCCは、バテライト、カルサイトまたはアラゴナイトであってもよい。PCCは、例えば、欧州特許出願公開第2447213号明細書、同第2524898号明細書、同第2371766号明細書または未公開の欧州特許出願番号第12164041.1に記載されている。
【0059】
本発明の意味における「改質炭酸カルシウム」(MCC)は、内部構造改質を有する天然の重質または沈降炭酸カルシウムまたは表面反応生成物、即ち、表面反応炭酸カルシウムであることを特徴付け得る。
【0060】
本明細書全体を通じて、充填剤材料の「粒径」は、粒子サイズのその分布によって記述される。値d
xは、その直径に対して粒子のx重量%がd
x未満の直径を有する直径を表す。これはd
20値は全粒子の20重量%がその粒径においてより小さい粒径であり、d
98値は全粒子の98重量%がその粒径においてより小さい粒径であることを意味する。d
98値は、「トップカット」としても指定される。したがって、d
50値は重量メジアン粒径であり、即ち、全粒子の50重量%がこの粒径よりも大きいかまたは小さい。本発明の目的に対し、特に断りのない限り、粒径は重量メジアン粒径d
50として特定される。重量メジアン粒径d
50値またはトップカット粒径d
98値を決定するために、米国の会社MicromeriticsからSedigraph 5100または5120装置を使用することができる。
【0061】
単数名詞を参照するときに不定冠詞または定冠詞、例えば、「a」、「an」または「the」が使用される場合、何か他のことが具体的に述べられていない限り、これはその名詞の複数形を含む。
【0062】
用語「含む」が本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、それは他の要素を排除しない。本発明の目的に対し、用語「からなる」は、用語「含む」の好ましい実施形態であると考えられる。以下で、グループが少なくとも特定の数の実施形態を含むように定義されている場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなるグループを開示するものと理解されるべきである。
【0063】
「得ることが可能な」または「定義可能な」および「得られた」または「定義された」のような用語は互換的に使用される。これは、例えば、文脈が特に明確に指示しない限り、用語「得られた」は、例えば、1つの実施形態が用語「得られた」に続く工程の順序で得られなければならないことを示すことを意味しない(ただし、そのような限定された理解が、好ましい実施形態としての用語「得られた」または「定義された」によって常に含まれる)。
【0064】
本発明によれば、複合ポリマー材料の製造方法は、
(a)無機充填剤材料を提供する工程;
(b)ポリマー材料を提供する工程;
(c)工程(a)の無機充填剤材料および工程(b)のポリマー材料を配合機に搬送する工程;
(d)配合機内で複合ポリマー材料を形成する工程;
を含み、ステップ(a)の無機充填剤材料は工程(b)のポリマー材料に、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が60から900重量部の範囲にあるように添加され、前記添加は直接添加技術を用いて行われる。
【0065】
以下では、複合ポリマー材料を製造するための本発明の方法の好ましい実施形態がより詳細に記載される。これらの技術的な詳細および実施形態は、また本発明の複合ポリマー材料および前記本発明の複合ポリマー材料の使用に適用されることが理解されるべきである。
【0066】
前述したように、複合ポリマー材料を製造するための本発明の方法は、工程(a)、(b)、(c)および(d)を含む。以下では、本発明の方法のさらなる詳細、特に本発明の方法の上述の工程について言及される。
【0067】
工程(a)の特徴付け:
本発明の方法の工程(a)により、無機充填剤材料が提供される。
【0068】
本発明の意味における無機充填剤材料は、バインダーのようなより高価な材料の消費を低減するために、または製品の技術的特性を強化するために、プラスチックのような材料に添加することができる無機物由来の物質を指す。当業者はそれぞれの分野で使用される典型的な充填剤を熟知している。本明細書に記載される無機充填剤は、炭酸カルシウム、チョーク、石灰石、大理石、ドロマイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレー、またはマイカ、およびこれらの混合物のような天然または合成無機物を包含し、無機充填剤材料は好ましくは炭酸カルシウムおよび/またはドロマイトである。
【0069】
本発明に従った無機充填剤材料は、0.001μmから100μm、好ましくは0.5から5μmの範囲のメジアン粒径d
50を有し得る。
【0070】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、無機充填剤材料は、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、表面改質炭酸カルシウム、ドロマイト、またはこれらの混合物から選択される。
【0071】
本発明の意味における重質炭酸カルシウム(GCC)は、例えば、粉砕、篩分けおよび/または湿式および/または乾式による分別、例えば、サイクロンまたは分級機によって処理することができる天然源から得られた炭酸カルシウムである。好ましくは、天然炭酸カルシウムは、チョーク、石灰石、大理石、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0072】
天然または重質炭酸カルシウムは、結晶多形の3種類、即ち、カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトとして存在することが知られている。カルサイト、即ち、最も一般的な結晶多形は、炭酸カルシウムの最も安定な結晶形態であると考えられている。アラゴナイトはあまり一般的でなく、個別のまたはクラスタ化された針斜方晶系の結晶構造を有する。バテライトは最も希な炭酸カルシウムの多形体であり、一般的に不安定である。
【0073】
本発明の意味における沈降炭酸カルシウム(PCC)は、水性環境中で二酸化炭素および水酸化カルシウム(消石灰)の反応後に沈殿させることによって、または水中でのカルシウムおよび炭酸塩源の沈殿によって一般的に得られた合成材料である。さらに、沈降炭酸カルシウムは、例えば、水性環境中で、カルシウムおよび炭酸塩、塩化カルシウムならびに炭酸ナトリウムを導入する製品とすることもできる。PCCはバテライト、カルサイトまたはアラゴナイトであってもよい。
【0074】
沈降炭酸カルシウム(PCC)の合成は、最も一般的には、水酸化カルシウムの溶液と二酸化炭素を接触させる工程を含む合成沈殿反応によって生じ、後者はほとんどの場合、生石灰としても知られる酸化カルシウムの水性懸濁液を形成する際に提供され、該懸濁液は、一般的に石灰乳として知られている。反応条件に応じて、このPCCは、安定および不安定な多形の両方を始めとする、様々な形で出現し得る。実際、PCCは、多くの場合、熱力学的に不安定な炭酸カルシウム材料を表す。本発明との関連で言及するとき、PCCは、水中における細かく分割された酸化カルシウム粒子に由来するとき、通常石灰のスラリーまたは石灰乳として当該技術分野において呼ばれる水酸化カルシウムのスラリーの炭酸化により得られた合成炭酸カルシウム製品を意味すると理解されるべきである。好ましい合成炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライトもしくはカルサイトの鉱物結晶形またはそれらの混合物を含む沈降炭酸カルシウムである。
【0075】
本発明の意味における改質炭酸カルシウム(MCC)は内部構造改質を有する天然重質もしくは沈降炭酸カルシウム、または表面反応生成物、即ち、表面反応炭酸カルシウムを特徴付け得る。
【0076】
用語PCCは、同様に、超微細PCCまたはナノPCCとも呼ばれるナノメートルの範囲の粒径を有するPCCを含む。より正確には、本明細書中で使用される用語ナノPCCは1から約70nmの範囲の重量メジアン粒径d
50を有するPCCを指し、一方、超微細PCCは70から1000nmの範囲の重量メジアン粒径d
50を有するPCCを指す。
【0077】
本発明の好ましい実施形態によれば、炭酸カルシウムは、表面処理または被覆された炭酸カルシウム、即ち、例えば、脂肪酸、界面活性剤、シロキサン、ポリマー、またはこれらの混合物による処理またはコーティングを含む重質、沈降または改質炭酸カルシウムである。
【0078】
本発明の別の実施形態によれば、充填剤材料は粉砕ドロマイトである。
【0079】
工程(b)の特徴付け:
本発明の方法の工程(b)により、ポリマー材料が提供される。
【0080】
本願において使用されるポリマー材料は、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、異相コポリマーおよびランダム異相コポリマーならびにそのポリマーブレンド、改質および混合物を含むことができる。本明細書に場合により使用されるポリマー材料は、当業者に周知されている1つ以上の添加剤を含有してもよい。
【0081】
このような添加剤としては、無機充填剤、繊維、潤滑剤、可塑剤、安定剤(例えば、熱安定剤またはUV安定剤)、補助安定剤、1パック剤、加工助剤、衝撃改質剤、難燃剤、酸化防止剤、殺生物剤、発泡剤、および煙抑制剤が挙げられるが、これに限定されない。このような添加剤は100重量部までの量、好ましくは0.1から10重量部の量で存在することができる。
【0082】
当技術分野において、特にポリ塩化ビニルの分野において、1パック剤とも呼ばれる安定剤および潤滑剤を含む混合物が利用可能である。典型的な安定剤は、鉛安定剤、カルシウム−亜鉛安定剤、有機系安定剤、有機カルシウム系安定剤または錫安定剤を含むことができる。典型的な潤滑剤は、脂肪族アルコール、ジカルボン酸エステルもしくは酸化ポリエチレンワックスのような内部潤滑剤、パラフィンワックスもしくはポリエチレンワックスのような外部潤滑剤、またはエステルワックスもしくは脂肪酸エステルのような内部および外部特性を有する潤滑剤を含むことができる。
【0083】
ポリマー材料は、ニートまたはバージンポリマー材料であってもよいし、工程(a)について上で定義した実施形態から選択することができる無機充填剤材料を含んでいてもよい。しかし、任意の他の適切な無機充填剤材料を用いてもよい。
【0084】
1つの実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料中に存在する無機充填剤材料は、工程(a)で提供される無機充填剤無機物材料と同じである。
【0085】
別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料中に存在する無機充填剤材料は、工程(a)で提供される無機充填剤材料とは異なる。
【0086】
別の実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料中に存在する無機充填剤材料は、工程(a)で提供されるポリマー材料中に既に存在する無機充填剤とは異なる。
【0087】
本発明の方法の一実施形態によれば、工程(b)で提供されるポリマー材料は無機充填剤材料を含み、ポリマー材料中の無機充填剤材料の含量は1から70重量部、好ましくは5から60重量部、より好ましくは10から50重量部の範囲であることが好ましい。
【0088】
工程(b)で提供されるポリマー材料は、上記で定義された無機充填剤材料および/または添加剤をポリマー材料に添加することができるホット−コールドミキサー内で製造することができる。ホット−コールド混合の第1の工程では、例えば、120℃の温度に到達するまでホットミキサー中でポリマー材料を1つ以上の前記無機充填剤材料および/または添加剤と混合することができる。第2の工程では、混合物は、次いで、コ−ルドミキサー内で、例えば、約50℃まで冷却することができる。
【0089】
本発明の方法の別の実施形態によれば、ポリマー材料はリサイクルポリマー材料を含むことができ、リサイクルポリマー材料は、好ましくは微粒子化リサイクルポリマー材料を含む。微粒子化リサイクルポリマー材料は、1から4000μmの範囲の平均粒径を有することができる。ポリマー材料中のリサイクルポリマー材料の含量は、0.1から100重量%の範囲とすることができる。
【0090】
別の実施形態によれば、ポリマー材料はリサイクルポリ塩化ビニル(R−PVC)、好ましくは微粒子化リサイクルポリ塩化ビニルを含む。
【0091】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、ポリマー材料は、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、塩素化ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、ポリマー材料は好ましくはビニルポリマーおよび/またはビニルコポリマーを含む。例えば、ビニルポリマーまたはビニルコポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレン−酢酸ビニルであってよい。アクリルポリマーまたはアクリルコポリマーは、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、またはアクリルスチレンアクリロニトリルであってもよい。
【0092】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、ポリマー材料はポリ塩化ビニルを含む。
【0093】
本発明の方法の別の実施形態によれば、ポリマー材料は、懸濁液のポリ塩化ビニル(S−PVC)、塊状ポリ塩化ビニル(M−PVC)、またはエマルジョンポリ塩化ビニル(E−PVC)を含む。
【0094】
別の実施形態によれば、ポリマー材料のk−値は30から100、好ましくは45から70、最も好ましくは50から68の範囲であり、ポリマー材料は好ましくはポリ塩化ビニルである。k−値はポリマーの分子量の尺度である。例えば、ポリ塩化ビニルのk−値は30から100の範囲であり得る。ポリビニルピロリドンのk−値は10から120の範囲であり得る。低いk−値は低分子量(加工が容易であるが、劣った特性を有する)を暗示し、高いk−値は高分子量(加工は困難であるが、優れた特性を有する)を暗示する。
【0095】
工程(c)の特徴付け:
本発明の方法の工程(c)により、工程(a)の無機充填剤材料および工程(b)のポリマー材料が配合機に搬送される。
【0096】
工程(a)の無機充填剤材料および工程(b)のポリマー材料の混合物の配合機の配合セクションへの供給は、搬送スクリュー、好ましくは共回転二軸スクリューを使用して行っても良く、搬送スクリューはさらに装填装置と組み合わせることができる。
【0097】
工程(d)の特徴付け:
本発明の方法の工程(d)により、複合ポリマー材料が配合機内で形成され、工程(a)の無機充填剤材料は工程(b)のポリマー材料に、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が60から900重量部の範囲であるような量で添加され、ポリマー材料への無機充填剤材料の添加は直接添加技術を使用して実施される。
【0098】
本発明の方法に従って使用される配合機はポリマー材料を無機充填剤と配合するのに適した任意の装置とすることができる。そのような装置は当技術分野で知られている。
【0099】
1つの実施形態によれば、配合機は押出機または共混練機であり、例えば、二軸スクリュー押出機、バス共混練機、またはファレルミキサーである。押出機または共混練機では、ポリマー材料は少なくとも部分的に溶融状態、即ち、20℃を超える温度で無機充填剤と配合することができる。場合により、押出機は装填装置を備えることができる。
【0100】
好ましい1つの実施形態によれば、配合機は押出機であり、ポリマー溶融物の温度は、好ましくは205℃未満、好ましくは160と200℃の間に維持される。ポリマー材料がポリ塩化ビニルを含む場合、これは特に重要である。
【0101】
本明細書で使用する用語「直接添加技術」は、配合機の配合セクションの上流の直接添加装置中でのポリマー材料への無機充填剤材料の添加および混合を含み、直接添加装置は配合機の配合セクションに直接接続されており、好ましくは配合機の前記配合セクションの上部に置かれ、配合セクションへの得られた混合物の空気輸送が関与しないようにされる。場合により、配合機の配合セクションへの得られた混合物の供給は、搬送スクリュー、好ましくは共回転二重スクリューの使用により行うことができ、搬送スクリューはさらに装填装置と組み合わせることができる。配合セクションは配合機の一部であり、その中で無機充填剤材料およびポリマー材料が実際に配合される。配合機がスクリュー押出機である場合、例えば、配合セクションは、無機充填剤材料およびポリマー材料が配合される押出機スクリュー(複数可)を含むスクリューシリンダーであろう。
【0102】
配合セクションの上流でのポリマー材料への無機充填剤材料の添加は、少なくとも一つの計量ユニットを用いて行うことができる。1つの実施形態によれば、無機充填剤材料は、計量ユニット、好ましくは容積測定ユニットまたは重量測定ユニットを使用して添加される。
【0103】
配合機は、1つ以上のポリマー材料を、無機充填剤材料を含む1つ以上の添加剤と配合するのに適した任意の装置とすることができる。配合機は配合セクションを含み、その中では無機充填剤材料およびポリマー材料が実際に配合される。そのような装置は当技術分野で知られている。直接添加技術のための混合装置は配合機に接続することができ、好ましくは配合機の配合セクションの上流に位置し、混合装置は好ましくはミキサー、より好ましくはコールドミキサーである。適切な混合装置は当業者に知られている。
【0104】
1つの実施形態によれば、無機充填剤はポリマー材料に、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が150から800重量部の範囲、好ましくは160から700重量部の範囲、より好ましくは170から600重量部の範囲であるような量で添加される。
【0105】
別の好ましい実施形態によれば、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量は150から800重量部の範囲、200から700重量部の範囲、250から700重量部の範囲、250から600重量部の範囲、350から600重量部の範囲または400から500重量部の範囲内である。
【0106】
場合により、当業者に知られている更なる添加剤が、方法の工程(d)の間に添加されてもよい。そのような添加剤としては、無機充填剤、繊維、潤滑剤、可塑剤、安定剤(例えば熱安定剤またはUV安定剤)、共安定剤、1パック、加工助剤、衝撃改質剤、難燃剤、酸化防止剤、殺生物剤、発泡剤または煙抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような添加剤は100重量部までの量、好ましくは0.1から10質量部の量で存在することができる。
【0107】
1つの実施形態によれば、方法の工程(d)において、複合ポリマー材料は2から8mm、好ましくは3から7mm、より好ましくは4から6mmの範囲の平均粒径を有する顆粒に形成される。
【0108】
造粒を本発明の方法の工程(d)で使用される配合機を用いて実施することができる。例えば、複合ポリマー材料は切断ナイフを備えたダイを通して、配合された無機充填剤材料およびポリマー材料をプレスすることによって顆粒に形成され、顆粒のサイズは、適用される圧力および/または切断速度によって調節することができる。しかし、顆粒を製造するのに適した任意の他のシステムが使用されてもよい。
【0109】
1つの実施形態によれば、本発明の方法の工程(a)から(d)で得られた複合ポリマー材料は、4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を得るために微粒子化される。
【0110】
本発明の別の特に好ましい実施形態によれば、複合ポリマー材料が形成され、無機充填剤材料は、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が60から900重量部の範囲内となる量でポリマー材料に添加され、ポリマー材料への無機充填剤材料の添加は直接添加技術を使用して行われ、得られた複合ポリマー材料は、4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を得るために微粒子化される。
【0111】
本発明のさらに別の特に好ましい実施形態によれば、複合ポリマー材料が形成され、無機充填剤材料は、得られた複合ポリマー材料の無機充填剤含量が60から900重量部の範囲内となる量でポリマー材料に添加され、ポリマー材料への無機充填剤材料の添加および混合は、配合機の配合セクションの上流の直接添加装置内で行われ、直接添加装置は配合機の配合セクションに直接接続され、好ましくは配合機の配合セクションに上部にあり、得られた混合物の配合セクションへの空気輸送が関与せず、得られた複合ポリマー材料は、4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を得るために微粒子化される。
【0112】
複合ポリマー材料は、平均粒径の減少のための当技術分野で公知の方法により微粒子化することができる。そのような方法には、製粉、強打および粉砕ならびに超臨界流体を含む方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
複合ポリマー材料
本発明の1つの態様によれば、本発明の方法によって得ることが可能な複合ポリマー材料が提供される。複合ポリマー材料は、定義された形状、例えば、ペレット、球体、真珠、ビーズ、プリル、フレーク、チップまたはスラグ、定義されない形状、例えば、砕かれたものを有することができ、または複合ポリマーは定義されたおよび定義されない形状の複合ポリマー材料の両方の混合物であってもよい。
【0114】
本発明のさらなる態様によれば、複合ポリマー材料は、4mm未満、好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満の平均粒径を有する粒子の形態で提供される。
【0115】
本発明者は、驚くべきことに、本発明の複合ポリマー材料がいくつかの有利な特性を有することを見出した。
【0116】
本発明の方法は無機充填剤材料によるポリマー材料の置換を可能にする。これはポリマー製品の製造におけるコストの削減につながり得る。
【0117】
さらに、増加した充填剤含量は高E弾性率を有する複合ポリマー材料をもたらすことができ、ひいてはポリマー製品の壁の厚さを減少させることを可能にし得る。本発明の複合ポリマー材料の増加した、より高い熱伝導率のために、ポリマー製品の提供における冷却時間も短縮することができる。
【0118】
本発明の方法により、ホット−コールド混合から得られたドライブレンドを空気圧により配合機に搬送する場合のホット−コールドミキサー内での充填剤の堆積物の形成および分離の問題を回避することができる。
【0119】
さらに、本発明の複合ポリマー材料は、所定の値にポリマー製品の充填剤含量を適応でき、さらに正確かつ均一な用量を可能にする。
【0120】
本発明の複合ポリマー材料の、増加したより高い熱伝導率により、ポリマー製品の提供における冷却時間を短縮することができる。
【0121】
また、ポリマー製品中の充填剤含量を増加させるためにマスターバッチとして複合ポリマー材料を使用するときにダストの形成に関連する問題を回避することができる。
【0122】
別の実施形態によれば、本発明の方法により得ることが可能な複合ポリマー材料はポリマー製品中に使用することができる。好ましい実施形態によれば、本発明の複合ポリマー材料はマスターバッチとしてポリマー製品に使用することができる。
【0123】
別の実施形態によれば、本発明の複合ポリマー材料を含むポリマー製品が提供される。
【0124】
さらに別の実施形態によれば、ポリマー製品は、顆粒、ウィンドウプロファイル、管、技術的プロファイル、壁パネル、天井パネル、クラッドパネル、ワイヤまたはケーブル絶縁材、フィルム、シート、繊維、または不織布とすることができる。そのようなポリマー製品は、押出工程、射出成形、ブロー成形、またはキャスティングを含む方法により製造することができる。
【実施例】
【0125】
本発明の範囲および関心は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図しており、非限定的である以下の実施例に基づいてより良く理解することができる。
【0126】
測定
・K−値
【0127】
ポリマーの分子量の測定はポリマー溶液の粘度の測定値に基づき、以下のように定義される。
【0128】
【数1】
【0129】
一般的に、特定のポリマーのk−値はポリマー生産者に要求することができ、または梱包されるまたは付随する技術データシート上で取得することができる。
【0130】
・無機充填剤材料の粒径
充填剤材料の粒度分布は、米国の企業MicromeriticsからのSedigraph 5120を用いて測定することができる。方法および機器は当業者に知られており、一般に充填剤および顔料の粒径を決定するために使用される。測定は、0.1重量%Na
4P
2O
7を含む水溶液中で行うことができる。試料は高速スターラー及び超音速を用いて分散させた。
【0131】
・複合ポリマー材料の平均粒径
複合ポリマー材料の平均粒径は、重量メジアン粒径であり、即ち、全粒子の50重量%が、この平均粒径より大きいかまたは小さい。粒径は、ISO 3310−1:2000(E)に従って篩い分けすることによって決定される。
【0132】
一般的な手順
本明細書中で使用される成分の量および仕様は実施例1〜4に与えられた表から取得することができる。
【0133】
対応するポリマー材料はホットミキサー内で提供されてもよい。安定剤(S)、潤滑剤(L)、任意の可塑剤(P)、任意の共安定剤(C)、任意の処理添加剤(A)および/または炭酸カルシウム(F1)は、約120℃の温度に達するまで添加して混合することができる。次いで、混合物をコールドミキサー内で約50℃まで冷却することができる。混合物を配合機に搬送することができる。直接添加技術を使用することにより無機充填剤材料としてのさらなる炭酸カルシウム(F2)を添加することができ、得られた混合物は押出機の配合セクションに、好ましくは装填装置と組み合わせた共回転二軸スクリューを使用して供給することができる。場合により、得られた顆粒を、2mm未満の平均粒径を得るために、例えば、パルマンミルを使用して微粒子化することができる。
【0134】
材料
・ポリマー材料:ポリ塩化ビニル(PVC)
ドイツ、Vestolit社から市販されているVestolit(R) P 1982 K、k=65
【0135】
・ポリマー材料:ポリ塩化ビニル(PVC)
ドイツ、Vinnolit社から市販されているVinnolit(R) E 2059、k=59
【0136】
・ポリマー材料:ポリ塩化ビニル(PVC)
ドイツ、INEOS Vinyls ドイツ社から市販されているINEOS S 5730 Suspenion PVC、k=57
【0137】
・ポリマー材料:微粒子化リサイクルポリ塩化ビニル(R−PVC)
ドイツ、T▲o▼nsmeier Kunststoffeから市販されている。平均粒径:0.5から1.0mm。
【0138】
・共安定剤:エポキシ化大豆油(ESBO)
フランス、ARKEMAから市販されているVikoflex(R) 7170。
【0139】
・可塑剤:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DINCH)
ドイツ、BASF SEから市販されているHexamoll(R) DINCH(R)。
【0140】
・充填剤材料:Hydrocarb(R) 95T−OG
スイス、オムヤ社から市販されている重質炭酸カルシウム。粒径d
50:0.8μm;トップカットd
98:5.0μm
【0141】
・充填剤材料:Omyalite(R) 50H−OM
スイス、オムヤ社から市販されている重質炭酸カルシウム。粒径d
50:2.0μm;トップカットd
98:10μm
【0142】
・充填剤材料:Omya BSH(R)−OM
スイス、オムヤ社から市販されている重質炭酸カルシウム。粒径d
50:2.4μm;トップカットd
98:20μm
【0143】
この分野では、特にポリ塩化ビニル(PVC)の分野では、1パックとも呼ばれる安定剤および潤滑剤を含む処理混合物が利用可能である。典型的な安定剤は、鉛安定剤、カルシウム−亜鉛安定剤、有機系安定剤、有機カルシウム系安定剤または錫安定剤を含むことができる。典型的な潤滑剤は、脂肪族アルコール、ジカルボン酸エステルまたは酸化ポリエチレンワックスのような内部潤滑剤、パラフィンワックスまたはポリエチレンワックスのような外部潤滑剤、またはエステルワックスまたは脂肪酸エステルのような内部および外部特性を有する潤滑剤を含むことができる。
【0144】
例えば、好ましい1パックは、以下のものを含む。
3.5重量部 カルシウム−亜鉛安定剤、
0.3重量部 ポリエチレンワックス、
0.25重量部 パラフィンワックス、および
0.2重量部 酸化ポリエチレンワックス。
【0145】
実施例1〜4
以下の例示的な実施例は上記の一般的手順に.従って調製することができる。
【0146】
【表1】
【0147】
実施例5〜8
S−PVC(INEOS 5730、k=57)を炭酸カルシウム(Omyalite(R) 50H−OM)、安定剤(BAEROPAN R 91800 P/1−CC)および共安定剤(ESBO)とドライブレンドした。このブレンドをCoperion ZSK 26/60 MC押出機に充填し、追加の炭酸カルシウム(Omyalite(R) 50H−OM)を別装備の計量ユニットを使用して直接添加することによって添加した。押出製品の再分散品質を異形押出および目視検査を介して制御した。種々の試験の結果が以下の表に記載される。
【0148】
【表2】