(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255487
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】高電圧広帯域幅の増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 3/26 20060101AFI20171218BHJP
H03F 1/42 20060101ALI20171218BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
H03F3/26
H03F1/42
H03F3/68 A
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-517407(P2016-517407)
(86)(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公表番号】特表2016-532339(P2016-532339A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】US2014047743
(87)【国際公開番号】WO2015047524
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】14/041,157
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】オルティズ,ジョー エー.
【審査官】
緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−079925(JP,A)
【文献】
特開平11−069844(JP,A)
【文献】
特表2013−510440(JP,A)
【文献】
特開2001−068661(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0067348(US,A1)
【文献】
米国特許第06008602(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00− 3/45、3/50− 3/52、
3/62− 3/64、3/68− 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゲート駆動回路によって駆動される第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と、
第2のゲート駆動回路によって駆動される第2のMOSFETと、
前記第1のゲート駆動回路へ直接に結合される出力を有するエラー増幅器と、
前記第2のゲート駆動回路へ結合される第1の光カプラと
を有し、
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETは、第1の出力電圧を駆動し、
前記第1のゲート駆動回路は、高電位と低電位との間に結合された第1のnpnトランジスタ及び第1のpnpトランジスタの第1の直列接続と、前記高電位及び前記低電位との間に結合された第2のpnpトランジスタ及び第2のnpnトランジスタの第2の直列接続とを有し、前記第1の直列接続の接合部は前記エラー増幅器の出力へ結合され、前記第2の直列接続の接合部は前記第2のMOSFETのゲートへ結合され、前記第1のnpnトランジスタ及び前記第1のpnpトランジスタのベースは基準電位へ結合され、前記第2のpnpトランジスタのベースは前記高電位へ結合され、前記第2のnpnトランジスタのベースは前記低電位へ結合され、
前記第1の光カプラは、前記高電位と前記低電位との間に結合された第3のnpnトランジスタ及び第3のpnpトランジスタの第3の直列接続の接合部へ結合されるアノードと、前記基準電位へ結合されるカソードとを有し、前記第3のnpnトランジスタ及び前記第3のpnpトランジスタのベースは前記エラー増幅器の出力へ結合される、
高電圧増幅器。
【請求項2】
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETは、前記第1の出力電圧として10キロボルト(kV)まで供給するよう構成されるシリコンカーバイド(SiC)MOSFETである、
請求項1に記載の高電圧増幅器。
【請求項3】
前記エラー増幅器の出力は、前記第1のMOSFETがオフであるときに前記第2のMOSFETを駆動するよう、前記第1の光カプラに、前記第2のゲート駆動回路に信号を送らせる、
請求項1又は2に記載の高電圧増幅器。
【請求項4】
前記エラー増幅器の出力は、前記第2のMOSFETがオフであるときに、前記第1のゲート駆動回路に、前記第1のMOSFETを駆動させる、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の高電圧増幅器。
【請求項5】
前記第1の光カプラは、1メガヘルツ(MHz)よりも大きい帯域幅を有する、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の高電圧増幅器。
【請求項6】
第3のゲート駆動回路によって駆動される第3のMOSFET及び第4のゲート駆動回路によって駆動される第4のMOSFETと、
前記第4のゲート駆動回路へ結合される第2の光カプラと
を更に有し、
前記第3のMOSFET及び前記第4のMOSFETは、第2の出力電圧を駆動する、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の高電圧増幅器。
【請求項7】
第1の側で前記第1の出力電圧を受け、該第1の側と反対にある第2の側で前記第2の出力電圧を受けるよう構成される負荷を更に有する
請求項6に記載の高電圧増幅器。
【請求項8】
前記第1の出力電圧は、第1のコマンド信号に基づき制御され、前記第2の出力電圧は、第2のコマンド信号に基づき制御される、
請求項7に記載の高電圧増幅器。
【請求項9】
前記第1の出力電圧及び前記第2の出力電圧は、正及び負の両方の出力電圧極性を前記負荷へ与えるよう制御される、
請求項8に記載の高電圧増幅器。
【請求項10】
高電圧増幅器を組み立てる方法であって、
第1のゲート駆動回路によって駆動されるよう第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を配置するステップと、
第2のゲート駆動回路によって駆動されるよう第2のMOSFETを配置するステップと、
前記第1のゲート駆動回路へ直接にエラー増幅器の出力を出力するよう該エラー増幅器を配置するステップと、
前記第2のゲート駆動回路へ結合されるよう第1の光カプラを配置するステップと、
前記第1の光カプラへ前記エラー増幅器の出力を出力するよう該エラー増幅器を配置するステップと
を有し、
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETは、第1の出力電圧を駆動し、
前記第1のゲート駆動回路は、高電位と低電位との間に結合された第1のnpnトランジスタ及び第1のpnpトランジスタの第1の直列接続と、前記高電位及び前記低電位との間に結合された第2のpnpトランジスタ及び第2のnpnトランジスタの第2の直列接続とを有し、前記第1の直列接続の接合部は前記エラー増幅器の出力へ結合され、前記第2の直列接続の接合部は前記第2のMOSFETのゲートへ結合され、前記第1のnpnトランジスタ及び前記第1のpnpトランジスタのベースは基準電位へ結合され、前記第2のpnpトランジスタのベースは前記高電位へ結合され、前記第2のnpnトランジスタのベースは前記低電位へ結合され、
前記第1の光カプラは、前記高電位と前記低電位との間に結合された第3のnpnトランジスタ及び第3のpnpトランジスタの第3の直列接続の接合部へ結合されるアノードと、前記基準電位へ結合されるカソードとを有し、前記第3のnpnトランジスタ及び前記第3のpnpトランジスタのベースは前記エラー増幅器の出力へ結合される、
方法。
【請求項11】
前記エラー増幅器の出力が、前記第1のMOSFETがオフであるときに前記第2のMOSFETを駆動するように前記第2のゲート駆動回路に信号を送るよう前記第1の光カプラを制御するステップを更に有する
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エラー増幅器の出力が、前記第2のMOSFETがオフであるときに前記第1のMOSFETを駆動するように前記第1のゲート駆動回路を制御するステップを更に有する
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
第3のゲート駆動回路によって駆動されるよう第3のMOSFETを配置するステップと、
第4のゲート駆動回路によって駆動されるよう第4のMOSFETを配置するステップと、
前記第4のゲート駆動回路へ結合されるよう第2の光カプラを配置するステップと
を有し、
前記第3のMOSFET及び前記第4のMOSFETは、第2の出力電圧を駆動する、
請求項10乃至12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1の側で前記第1の出力電圧を受け、該第1の側と反対にある第2の側で前記第2の出力電圧を受けるよう負荷を配置するステップを更に有する
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1のコマンド信号に基づき前記第1のゲート駆動回路及び前記第1の光カプラを制御し、第2のコマンド信号に基づき前記第3のゲート駆動回路及び前記第2の光カプラを制御するステップを更に有する
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のゲート駆動回路及び前記第1の光カプラを制御し、前記第3のゲート駆動回路及び前記第2の光カプラを制御するステップは、正及び負の両方の出力電圧極性を前記負荷へ与える、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
高電圧増幅器の作動方法であって、
第1のゲート駆動回路により第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を駆動するステップと、
第2のゲート駆動回路により第2のMOSFETを駆動するステップと、
前記第1のゲート駆動回路へ直接にエラー増幅器の出力を結合するステップと、
前記第2のゲート駆動回路へ結合される第1の光カプラを結合するステップと、
前記第1の光カプラへ前記エラー増幅器の出力を結合するステップと、
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETにより第1の出力電圧を駆動するステップと
を有し、
前記第1のゲート駆動回路は、高電位と低電位との間に結合された第1のnpnトランジスタ及び第1のpnpトランジスタの第1の直列接続と、前記高電位及び前記低電位との間に結合された第2のpnpトランジスタ及び第2のnpnトランジスタの第2の直列接続とを有し、前記第1の直列接続の接合部は前記エラー増幅器の出力へ結合され、前記第2の直列接続の接合部は前記第2のMOSFETのゲートへ結合され、前記第1のnpnトランジスタ及び前記第1のpnpトランジスタのベースは基準電位へ結合され、前記第2のpnpトランジスタのベースは前記高電位へ結合され、前記第2のnpnトランジスタのベースは前記低電位へ結合され、
前記第1の光カプラは、前記高電位と前記低電位との間に結合された第3のnpnトランジスタ及び第3のpnpトランジスタの第3の直列接続の接合部へ結合されるアノードと、前記基準電位へ結合されるカソードとを有し、前記第3のnpnトランジスタ及び前記第3のpnpトランジスタのベースは前記エラー増幅器の出力へ結合される、作動方法。
【請求項18】
前記第1のMOSFETがオフであるときに前記第2のMOSFETを駆動するように前記第2のゲート駆動回路に信号を送るよう前記第1の光カプラを制御し、前記第2のMOSFETがオフであるときに前記第1のMOSFETを駆動するよう前記第1のゲート駆動回路を制御するステップを更に有する
請求項17に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、国防総省によって授与された契約番号FA8650−12−C−7269の下で政府援助により行われたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、概して、電子増幅器に関係があり、特に、高電圧、広帯域幅の増幅器に関係がある。
【0003】
現在、利用可能な増幅器は、通常、出力電圧振幅範囲、帯域幅、又はその両方において制限される。そのような増幅器の多くは、直列に真空管又は幾つかのトランジスタを使用するが、出力電圧、帯域幅、その両方において依然として制限される。例えば、出力は、200キロヘルツ(kHz)の帯域幅を有しておよそ4キロボルト(kV)又は1kVピークに制限され得る。加えて、高電圧出力要件のために、従来のオーディ増幅器の相補型対称及び準相補型対称は可能でないことがある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態に従って、デバイスは、第1のゲート駆動回路によって駆動される第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と、第2のゲート駆動回路によって駆動される第2のMOSFETと、前記第2のゲート駆動回路へ結合される第1の光カプラとを有し、前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETは、第1の出力電圧を駆動する。
【0005】
他の実施形態に従って、デバイスを組み立てる方法は、第1のゲート駆動回路によって駆動されるよう第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を配置するステップと、第2のゲート駆動回路によって駆動されるよう第2のMOSFETを配置するステップと、前記第2のゲート駆動回路へ結合されるよう第1の光カプラを配置するステップとを有し、前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETは、第1の出力電圧を駆動する。
【0006】
更なる他の実施形態に従って、増幅器デバイスの作動方法は、第1のゲート駆動回路により第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を駆動するステップと、第2のゲート駆動回路により第2のMOSFETを駆動するステップと、前記第2のゲート駆動回路へ結合される第1の光カプラを結合するステップと、前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETにより第1の出力電圧を駆動するステップとを有する。
【0007】
更なる特徴及び利点は、本発明の技術を通じて実現される。本発明の他の実施形態及び態様は、ここで詳細に記載され、請求される発明の一部分と見なされる。利点及び特徴による本発明のより良い理解のために、明細書及び図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解のために、これより、添付の図面及び詳細な説明に関連して挙げられている以下の簡単な説明が参照される。なお、同じ参照符号は、同じ部分を表す。
【0009】
【
図1】実施形態に従う増幅器の略ブロック図である。
【0010】
【
図2】
図1の増幅器の一実施形態に従う高電圧増幅器を説明するより詳細な回路図である。
【0011】
【
図3】
図1の増幅器の他の実施形態に従う高電圧増幅器を説明するより詳細な回路図である。
【0012】
【
図4】他の実施形態に従う高電圧増幅器の略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述されたように、現在利用可能な増幅器は、出力電圧、帯域幅、又はその両方において制限される。しかし、特定の用途は、高い電圧出力(例えば、およそ5キロボルト(kV))及び広い帯域幅(例えば、DCから10メガヘルツ(MHz))の両方を必要とする。そのような用途の1つは、例えば、フリンジ・イメージ・テレスコピー(Fringe Image Telescopy)にある。ここで記載される、増幅するためのデバイス及び方法の実施形態は、DCから数メガヘルツの帯域幅を有して高電圧出力を達成するために、プッシュプル構成(トーテムポール構成又はハーフブリッジ構成としても知られる。)において一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を使用することに関係がある。
【0014】
図1は、実施形態に従う増幅器100の略ブロック図である。増幅器は、入力105を受けるエラー増幅器110を有する。エラー増幅器110の出力115は、線形アナログ光カプラ120を通じて上側MOSFET150aへ結合されている。光カプラ120の出力125は、低インピーダンスのゲート駆動回路130aへ供給される。エラー増幅器110の出力115は、下側MOSFET150bのゲート駆動回路130bへ直接に結合されている。語「上側」及び「下側」は、2つのMOSFET150a、150bを区別するために使用されるが、増幅器100の更なる実施形態の配置を制限するよう意図されない。MOSFET150a、150bの両方は、例えば、0ボルトから公称+5kV出力までの範囲が可能な出力を供給するよう、約+5.1kV高電圧(+HV)直流(DC)入力電力140から動作する10kVシリコンカーバイト(SiC)MOSFETであってよい。10kVのDC入力電力140(+HV)によれば、10kV SiC MOSFET150a、150bは、0ボルトから+10kV出力までの範囲が可能な出力160を供給する。
【0015】
図2は、
図1の増幅器の一実施形態に従う高電圧増幅器200を説明するより詳細な回路図である。例となるゲート駆動回路130a、130bは、両方のMOSFET150a、150bが同時にオンでないように配置される。エラー増幅器110の出力115は、光カプラ120の発光ダイオード(LED)が電流により駆動される前に、ダイオード2つ分の電圧降下(すなわち、光カプラ120のLEDの両端での電圧降下及びトランジスタQ3 212のベース−エミッタ接合での電圧降下)よりも大きくなければならない。他方で、エラー増幅器110の出力115は、トランジスタQ9 221及びQ11 222をオンして下側MOSFET150bを遮断するには、ゼロよりもほんのダイオード1つ分の電圧降下だけ大きい必要がある。このように、下側MOSFET150bは、上側MOSFET150aがオンされる前にオフされる。更に、ダイオード2つ分の電圧降下に満たないエラー増幅器110の出力115は、光カプラ120のLEDを遮断し、上側MOSFET150aを遮断させる。他方で、ダイオード1つ分の電圧降下よりも大きく接地を下回るエラー増幅器110の出力115は、トランジスタQ8 223及びQ10 224をオンし、下側MOSFET150bをオンに駆動し始める。すなわち、上側MOSFET150aは、下側MOSFET150bがオンされる前にオフである。結果として、出力MOSFET150a、150bには固有の交差導通(cross-conduction)が存在しない。MOSFET150a、150bを含む増幅器100の構成要素の全てはエラー増幅器110のフィードバックループ内にあるので、エラー増幅器110は、所望の出力電圧160を達成するよう(ループ補償の制限内で)可能な限り堅固に且つ高速にその出力115を駆動する。ループ補償は、増幅利得(すなわち、Vout(出力160)/Vin(入力150))の高い値(例えば、500の利得)を与えるよう設定され得る。
図2に示される増幅器200の実施形態は反転増幅器を有するが、代替の実施形態はこれに関して制限されない。例えば、増幅器200は、非反転増幅器として構成されてよく、フィードバック及びバイアシングは変更されてよく、何らかの回路補償が、高周波で駆動される場合に出力MOSFET150a、150bの交差導通を防ぐために加えられてよい。他の形態及び/又は表現も、ここで記載される実施形態の適用範囲から逸脱することなしに実施されてよい。
【0016】
光カプラ120は、この高電圧増幅器200の動作のための重要な実現要因である。光カプラ120は、例えば、DCから1MHzよりも大きい値(例えば、12MHz、20MHz、又はそれ以上)までの帯域幅について定格されてよい。このように、光カプラ120は、増幅器200の動作に必要な帯域幅を有する。低インピーダンスのゲート駆動回路130a、130bは、MOSFET150a、150bが、増幅器200のための広い帯域幅応答を達成するよう十分に堅固に駆動されることを確かにする。光カプラ120は、上側MOSFET150aを駆動するために必要である。上側MOSFET150aは、例えば、PNPバイポーラトランジスタ又はPチャネルMOSFETのような適切な高電圧部品の欠如に起因して、直接結合構成によって直接に駆動され得ない。上側MOSFET150aは、キャパシタ結合構成が、より低い周波数制限及び高周波制限の両方で回路帯域幅を制限するので、キャパシタ結合構成においても駆動され得ない。これは、下側MOSFET150bのソース230が接地210へ結合されてよく、一方、上側MOSFET150aのソース240が浮いており、出力160の最大電圧(例えば、10kV)まで駆動されてよいためである。従って、エラー増幅器110の出力115を結合する回路は、DCから数メガヘルツまでの帯域幅を有して、高電圧を基準とする出力を駆動することが可能でなければならない。光カプラ120は、DCから数メガヘルツまでの帯域幅を有して、高電圧を基準とする出力を駆動する能力を備えるので、上側MOSFET150aを駆動することを助け、増幅器200に望まれる増幅及び帯域幅は、2つのMOSFET150a、150bにより達成され得る。
【0017】
図3は、
図1の増幅器の他の実施形態に従う高電圧増幅器300を説明するより詳細な回路図である。
図3に示される実施形態に従って、光カプラ120のLED並びにトランジスタQ8 223及びQ9 221は、ゼロ又は接地(例えば、
図2の210を参照。)とは異なるある電圧Vx310を基準とする。一実施形態に従って、Vx310は、単電源オペアンプがエラー増幅器110のために使用され得るように、バイアス供給電圧の半分であってよい。エラー増幅器110の出力115は、光カプラ120のLEDが電流により駆動される前に、ダイオード2つ分の電圧降下よりも大きくVx310を上回らなければならない。なお、エラー増幅器110の出力115は、Q9 221及びQ11 222がオフされ、それによって下側MOSFET150bを遮断するために、Vx310よりもほんのダイオード1つ分の電圧降下だけ大きい必要がある。このように、下側MOSFET150bは、上側MOSFET150aがオンされる前にオフされる。更に、Vx310を上回るのがダイオード2つ分の電圧降下に満たないエラー増幅器110の出力115は、光カプラ120のLEDを遮断し、上側MOSFET150aを遮断させる。ダイオード1つ分の電圧降下よりも大きくVx310を下回るエラー増幅器110の出力115は、トランジスタQ8 223及びQ10 224をオンし、下側MOSFET150bをオンに駆動し始める。すなわち、上側MOSFET150aは、下側MOSFET150bがオンされる前にオフされる。このように、
図2に示される実施形態を参照して論じられたように、上側及び下側のMOSFET150a、150bは、本質的に同時には導通しない。
図2に関して上述されたように、光カプラ120は、
図2に関して論じられた同じ理由のために、この高電圧増幅器300の動作のための重要な実現要因である。
【0018】
図4は、他の実施形態に従う高電圧増幅器400の略ブロック図である。
図4に示される高電圧増幅器400は、ここで記載される実施形態に従う2つの高電圧増幅器400a、400bを有する。増幅器400a、400bは、例えば、DCから数メガヘルツまでの帯域幅を有してゼロ電圧から+10kVまでの電圧の出力460a、460bを供給するよう、高電圧DC入力電力440から動作する2つの低キャパシタンス10kV SiC MOSFETを夫々有してよい。1つの増幅器400a、400bは、フルブリッジ構成において負荷410を駆動するよう、負荷410の夫々の側において使用される。2つの増幅器400a、400bは、1つの正電圧源から正及び負の両方の電圧を供給する。夫々の増幅器400a、400bは、制御エレクトロニクスから夫々波形コマンド405a、405bを受ける。別個の波形コマンド405a、405bを夫々受ける夫々の増幅器400a、400bは、夫々の増幅器400a、400bの出力460a、460bの正確さを維持してよい。代替の実施形態では、高電圧増幅器400は、1つの波形コマンド405しか受けず、そして、2つの別個の波形コマンド405a、405bを得るようコマンド変換計算を実行する回路又はプロセッサを有してよい。2つの増幅器400a、400bの電圧出力460a、460bの中心を供給電圧440の半分に置くことで、等しい電圧が負荷410の夫々の側に印加される。これにより、負荷410の両端で0電圧が得られる。増幅器400aの出力460aを供給電圧の半分よりも大きく上昇させる入力信号405aの印加、及び増幅器400bの出力460bを供給電圧440の半分未満に低下させる入力信号405bの印加は、負荷410の両端で正と定義され得る極性を有する電圧の印加を引き起こす。増幅器400aの出力460aを供給電圧440の半分に未満に低下させる入力信号405aの印加、及び増幅器400bの出力460bを供給電圧440の半分よりも大きく上昇させる入力信号405bの印加は、負荷410の両端で負と定義され得る極性を有する電圧の印加を引き起こす。このように、増幅器400は、1つの正電圧源から正及び負の両方の電圧を負荷410へ供給する。
【0019】
本発明の記載は、実例及び説明のために提供されているのであって、開示されている形態における発明に制限されたり又は網羅的であったりするよう意図されない。多くの変更及び変形は、本発明の適用範囲及び主旨から逸脱することなしに、当業者に明らかであろう。実施形態は、発明の原理及び実際の用途を最もよく説明するために、更には、当業者が、考えられている特定の使用に適する様々な変更を伴った様々な実施形態について発明を理解することを可能にするために、選択されて記載された。
【0020】
本発明の好適な実施形態が記載されてきたが、当業者は、現在及び将来の両方において、続く特許請求の範囲の適用範囲内にある様々な改善及び増強を行ってよいことが理解されるであろう。特許請求の範囲は、最初に記載された発明の適切な保護を維持するよう解釈されるべきである。