(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材の内壁には、少なくとも前記カップ部材の側面の一部を覆うとともに、前記カップ部材の底板よりも前記非着火端側に延びる熱伝導部材が配置されることを特徴とする請求項1に記載の香味吸引器。
燃焼型熱源を保持するとともに、複数の香味片によって構成される香味源を収容しており、前記燃焼型熱源及び前記香味源を備える香味吸引器に適用されるカップ部材であって、
カップ形状を有する本体部と、
前記本体部の側壁の内壁面から前記本体部の内側に突出する爪部を有しており、
前記爪部は、少なくとも、前記燃焼型熱源の非着火端側の端面を係止する係止部分を有し、
前記爪部は、前記係止部分に加えて、前記燃焼型熱源の側面を保持する保持部分を有しており、
前記係止部分は、前記保持部分に連続しており、
前記保持部分は、前記係止部分に向かうにつれて前記カップ部材の内側に入り込むテーパ形状を有することを特徴とするカップ部材。
【発明の概要】
【0005】
第1の特徴は、着火端から非着火端に向かう所定方向に沿って延びる筒状の保持部材を備える香味吸引器であって、前記着火端に設けられる燃焼型熱源と、前記所定方向において前記燃焼型熱源に対して前記非着火端側に隣接しており、複数の香味片によって構成される香味源と、前記燃焼型熱源を保持するとともに、前記香味源を収容しており、カップ形状を有するカップ部材とを備え、前記カップ部材は、前記非着火端側に前記カップ部材の底板が配置されるとともに前記着火端側に向けて開口する向きで、前記保持部材に挿入されており、前記カップ部材は、前記カップ部材の側壁の内壁面から前記カップ部材の内側に突出する爪部を有しており、前記爪部は、少なくとも、前記燃焼型熱源の非着火端側の端面を係止する係止部分を有することを要旨とする。
【0006】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記爪部は、前記係止部分に加えて、前記燃焼型熱源の側面を保持する保持部分を有しており、前記係止部分は、前記保持部分に連続することを要旨とする。
【0007】
第3の特徴は、第2の特徴において、前記保持部分は、前記着火端側から前記非着火端側に向けて前記カップ部材の内側に入り込むテーパ形状を有することを要旨とする。
【0008】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかにおいて、前記カップ部材は、前記カップ部材の開口の外周から前記カップ部材の外側に張り出すフランジを有することを要旨とする。
【0009】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかにおいて、前記保持部材の内壁には、少なくとも前記カップ部材の側面の一部を覆うとともに、前記カップ部材の底板よりも前記非着火端側に延びる熱伝導部材が配置されることを要旨とする。
【0010】
第6の特徴は、第1の特徴乃至第5の特徴のいずれかにおいて、前記カップ部材は、熱伝導部材によって一体成形されていることを要旨とする。
【0011】
第7の特徴は、第6の特徴において、前記熱伝導部材は、ステンレス鋼であることを要旨とする。
【0012】
第8の特徴は、第1の特徴乃至第7の特徴のいずれかにおいて、前記カップ部材の側壁の厚みは、0.1mm以下であることを要旨とする。
【0013】
第9の特徴は、第1の特徴乃至第8の特徴のいずれかにおいて、前記燃焼型熱源は、前記所定方向に沿って延びる貫通孔を有しており、前記カップ部材の底板には、通気孔が設けられており、前記通気孔は、前記所定方向に直交する投影面において、前記貫通孔と重複しない位置に配置されることを要旨とする。
【0014】
第10の特徴は、燃焼型熱源を保持するとともに、複数の香味片によって構成される香味源を収容しており、前記燃焼型熱源及び前記香味源を備える香味吸引器に適用されるカップ部材であって、カップ形状を有する本体部と、前記本体部の側壁の内壁面から前記本体部の内側に突出する爪部を有しており、前記爪部は、少なくとも、前記燃焼型熱源の非着火端側の端面を係止する係止部分を有することを要旨とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
[実施形態の概要]
背景技術で触れた香味吸引器において、燃焼型熱源が熱伝導性を有するコンテナ(以下、カップ部材)へ挿入される長さ(挿入長)及び香味源の充填密度や充填層の長さは、ユーザに供給される香味に大きな影響を及ぼす。詳細には、燃焼型熱源の挿入長及び香味源の充填密度や充填層の長さは、燃焼型熱源からカップ部材を介した香味源への伝導伝熱挙動に大きな影響を及ぼす。また、香味源の充填密度や充填層の長さは、香味吸引器の通気抵抗、すなわち、ユーザが吸引を行う際における吸引し易ささや香味源からの香味成分の発生量にも大きな影響を及ぼす。従って、これらパラメータを適切にコントロールすることが重要である。
【0019】
しかしながら、上述したコンテナでは、コンテナに挿入される燃焼型熱源の挿入長を適切にコントロールすることが難しい。特に、香味源が複数の香味片によって構成される場合には、燃焼型熱源の挿入長によって香味源のかさ(体積)が可変となるため、香味源を構成する香味片の充填密度や充填層の長さを適切にコントロールすることが難しい。
【0020】
実施形態に係る香味吸引器は、着火端から非着火端に向かう所定方向に沿って延びる筒状の保持部材を備える。香味吸引器は、前記着火端に設けられる燃焼型熱源と、前記所定方向において前記燃焼型熱源に対して前記非着火端側に隣接しており、複数の香味片によって構成される香味源と、前記燃焼型熱源を保持するとともに、前記香味源を収容しており、カップ形状を有するカップ部材とを備える。前記カップ部材は、前記非着火端側に前記カップ部材の底板が配置されるとともに前記着火端側に向けて開口する向きで、前記保持部材に挿入される。前記カップ部材は、前記カップ部材の側壁の内壁面から前記カップ部材の内側に突出する爪部を有する。前記爪部は、少なくとも、前記燃焼型熱源の非着火端側の端面を係止する係止部分を有する。
【0021】
実施形態では、カップ部材は、燃焼型熱源の非着火端側の端面を係止する係止部分を少なくとも有する爪部を有する。従って、燃焼型熱源の挿入長を適切にコントロールすることが可能であり、香味源を構成する香味片の充填密度や充填層の長さを適切にコントロールすることができる。これによって、ユーザに対して安定的に香味を提供することができる。
【0022】
[第1実施形態]
(香味吸引器)
以下において、第1実施形態に係る香味吸引器について説明する。
図1は、第1実施形態に係る香味吸引器100を示す図である。
図2は、第1実施形態に係るカップ部材50を示す図である。
【0023】
図1に示すように、香味吸引器100は、保持部材30と、カップ部材50と、燃焼型熱源70と、香味源90とを有する。第1実施形態において、香味吸引器100は、香味源の燃焼を伴わない香味吸引器であることに留意すべきである。
【0024】
保持部材30は、着火端から非着火端に向かう所定方向に沿って延びる筒状の形状を有する。例えば、保持部材30は、円筒形状又は角筒形状を有する。詳細には、保持部材30は、空洞31と、本体部材32と、熱伝導部材33とを有する。
【0025】
空洞31は、所定方向に沿って延びる。本体部材32は、例えば、矩形形状の厚紙を円筒状に湾曲させて厚紙の両側縁部を合わせることによって形成された紙管である。熱伝導部材33は、少なくともカップ部材50の側面の一部を覆うように配置される。好ましくは、熱伝導部材33は、カップ部材50の側面の少なくとも一部を覆うとともに、カップ部材50の非着火端側の端面(後述する底板52)よりも非着火端側に延びている。すなわち、熱伝導部材33は、カップ部材50の側面の少なくとも一部を覆うとともに、空洞31に露出することが好ましい。熱伝導部材33は、熱伝導性に優れた金属材料によって形成されることが好ましく、例えば、アルミニウムによって構成される。
【0026】
第1実施形態において、保持部材30は、本体部材32と熱伝導部材33を積層することによって形成されている。具体的に、保持部材30は、本体部材32である厚紙と熱伝導部材33であるアルミニウムとを備え、厚紙とアルミニウムとを円筒状に湾曲させることによって形成されたアルミ貼合紙によって構成されている。言い換えると、本体部材32及び熱伝導部材33の双方が筒状の形状を有しており、本体部材32の内壁の全体に亘って熱伝導部材33が設けられている。但し、実施形態は、これに限定されるものではなく、熱伝導部材33は、少なくともカップ部材50の側面の一部を覆っていればよい。すなわち、熱伝導部材33は、必ずしも筒状の形状を有していなくてもよい。
【0027】
カップ部材50は、
図2に示すように、側壁51と、底板52と、フランジ53と、爪部54とを有する。カップ部材50は、側壁51及び底板52によって構成されるカップ形状を有しており、燃焼型熱源70を保持するとともに、香味源90を収容する。カップ部材50は、非着火端側にカップ部材50の底板52が配置されるとともに着火端側に向けて開口する向きで、保持部材30に挿入される。
【0028】
側壁51は、筒状の形状を有しており、底板52は、側壁51によって構成される1対の開口の一方を塞ぐ。底板52には、通気孔52Aが設けられる。例えば、底板52には、4つの通気孔52Aが設けられる。通気孔52Aのサイズは、香味源90を構成する香味片のサイズよりも小さいことが好ましい。通気孔52Aは、所定方向に直交する投影面において、後述する燃焼型熱源70に設けられる長手空洞71と重複しない位置に配置されることが好ましい。
【0029】
フランジ53は、カップ部材50の開口の外周からカップ部材50の外側に張り出す形状を有する。フランジ53は、カップ部材50が保持部材30に挿入された状態において、保持部材30の開口の外周に係止される。
【0030】
爪部54は、カップ部材50の側壁51の内壁面からカップ部材50の内側に突出する形状を有する。爪部54は、係止部分54Aと、保持部分54Bとを有する。
【0031】
係止部分54Aは、燃焼型熱源70の非着火端側の端面を係止する。係止部分54Aは、底板52と略平行の傾きを有する板状の部分であり、保持部分54Bに連続している。
【0032】
保持部分54Bは、燃焼型熱源70の側面を保持する。保持部分54Bは、カップ部材50の側壁51の内壁面に設けられる。保持部分54Bは、着火端側から非着火端側に向けてカップ部材50の内側に入り込むテーパ形状を有することが好ましい。
【0033】
爪部54は、特に限定されるものではないが、互いに対向する1対の爪部によって構成されることが好ましい。但し、実施形態は、これに限定されるものではなく、爪部54は、3つ以上の爪部によって構成されてもよい。或いは、爪部54は、カップ部材50の側壁51の内壁面の全周に亘って連続していてもよい。
【0034】
第1実施形態において、カップ部材50(すなわち、側壁51、底板52、フランジ53及び爪部54)は、熱伝導部材によって構成される。また、カップ部材50は、熱伝導部材によって一体形成されることが好ましい。熱伝導部材としては、例えば、ステンレス鋼を用いることが好ましい。ステンレス鋼としては、例えば、SUS430を用いることができる。カップ部材50がステンレス鋼によって構成される場合に、カップ部材50の側壁51の厚みは、0.1mm以下であることが好ましい。
【0035】
燃焼型熱源70は、
図3に示すように、着火端70Aeから非着火端70Beに向かう第1方向D1に沿って延びる形状を有する。燃焼型熱源70は、長手空洞71と、側壁72と、面取り部73と、溝74(溝74A及び溝74B)とを有する。
【0036】
長手空洞71は、着火端70Aeから非着火端70Beに向かう第1方向D1に沿って延びる。長手空洞71は、第1方向D1に直交する直交断面において、燃焼型熱源70の略中央に設けられることが好ましい。すなわち、第1方向D1に直交する直交断面において、長手空洞71を構成する壁体(側壁72)の厚みが一定であることが好ましい。
【0037】
第1実施形態において、燃焼型熱源70に形成される長手空洞71の数は単数であることが好ましい。長手空洞71は、第1方向D1に直交する直交断面において第1断面積を有する。長手空洞71の第1断面積は、1.77mm
2以上である。
【0038】
第1実施形態において、長手空洞71は、所定方向に沿って延びる貫通孔の一例である。カップ部材50の底板52に設けられる通気孔52Aは、所定方向に直交する投影面において、長手空洞71と重複しない位置に配置されることが好ましい。
【0039】
燃焼型熱源70は、可燃性の物質によって構成される。例えば、可燃性の物質は、炭素材料、不燃添加物、バインダ(有機バインダ又は無機バインダ)及び水を含む混合物である。炭素材料としては、加熱処理等によって揮発性の不純物を除去したものを用いることが好ましい。
【0040】
燃焼型熱源70は、燃焼型熱源70の重量を100重量%とした場合に、30重量%〜70重量%の範囲の炭質材料を含むことが好ましく、35重量%〜45重量%の範囲の炭質材料を含むことがより好ましい。燃焼型熱源70が上記好ましい範囲の炭素材料を含むことで、熱量の供給や、灰締り等の燃焼特性をより好適なものとすることができる。
【0041】
有機バインダとしては、例えば、CMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アルギン酸塩、EVA、PVA、PVAC及び糖類の少なくとも1つを含む混合物を使用することができる。
【0042】
無機バインダとしては、例えば、精製ベントナイト等の鉱物系、又は、コロイダルシリカや水ガラスやケイ酸カルシウム等のシリカ系バインダを使用することができる。
【0043】
例えば、香味の観点から、バインダは、燃焼型熱源70の重量を100重量%とした場合に、1重量%〜10重量%のCMC−Naを含むことが好ましく、1重量%〜8重量%のCMC−Naを含むことが好ましい。
【0044】
不燃添加物としては、例えば、ナトリウムやカリウムやカルシウムやマグネシウムやケイ素等からなる炭素塩又は酸化物を使用することができる。燃焼型熱源70は、燃焼型熱源70の重量を100重量%とした場合に、40重量%〜89重量%の不燃添加物を含んでもよい。さらに、不燃添加物として炭酸カルシウムを使用する場合において、燃焼型熱源70は、45重量%〜60重量%の不燃添加物を含むことが好ましい。
【0045】
側壁72は、燃焼特性を改善する目的で、燃焼型熱源70の重量を100重量%とした場合に、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩を1重量%以下の割合で含んでもよい。
【0046】
面取り部73は、着火端70Aeの外周に沿って設けられており、第1方向D1に直交する直交断面に対して傾きを有する。
【0047】
溝74は、着火端70Aeに形成されており、長手空洞71と連通する。溝74は、溝74A及び溝74Bによって構成されており、溝74A及び溝74Bは、互いに交差しており、直線状の形状を有する。
【0048】
第1実施形態において、第1方向D1における燃焼型熱源70のサイズ(
図3に示すLt)は、5mm以上かつ30mm以下であることが好ましく、10mm以上かつ20mm以下であることがさらに好ましい。また、第1方向D1と直交する第2方向D2における燃焼型熱源70のサイズ(
図3に示すR)は、3mm以上かつ15mm以下であることが好ましい。
【0049】
第1実施形態において、保持部材30から燃焼型熱源70が露出する長さ(突出長)は、5mm以上かつ15mm以下であることが好ましく、5mm以上かつ10mm以下であることがさらに好ましい。一方で、保持部材30に対する燃焼型熱源70の挿入長は、2mm以上かつ10mm以下であることが好ましく、2mm以上かつ5mm以下であることがさらに好ましい。
【0050】
ここで、燃焼型熱源70が円筒形状を有している場合には、第2方向D2における燃焼型熱源70のサイズは、燃焼型熱源70の外径である。燃焼型熱源70が円筒形状を有していない場合には、第2方向D2における燃焼型熱源70のサイズは、第2方向D2における燃焼型熱源70の最大値である。
【0051】
香味源90は、所定方向において燃焼型熱源70に対して非着火端側に隣接する。香味源90は、複数の香味片によって構成される。香味源90としては、例えば、たばこ原料を用いることができる。このような場合に、複数の香味片は、シガレット(紙巻きたばこ)に使用される一般的な刻みたばこであってもよく、嗅ぎたばこに使用される粒状たばこであってもよい。また、香味源90は、たばこ原料に加えてグリセリンやプロピレングリコールなどのエアロゾル源を含んでもよく、所望の香料を含んでもよい。
【0052】
(作用及び効果)
第1実施形態では、カップ部材50は、燃焼型熱源70の非着火端側の端面を係止する係止部分54Aを少なくとも有する爪部54を有する。従って、燃焼型熱源70の挿入長を適切にコントロールすることが可能であり、香味源90を構成する香味片の充填密度や充填層の長さを適切にコントロールすることができる。これによって、ユーザに対して安定的に香味を提供することができる。
【0053】
第1実施形態では、爪部54は、係止部分54Aに加えて、保持部分54Bを有する。これによって、燃焼型熱源70の脱落を抑制することができる。さらに、保持部分54Bは、着火端側から非着火端側に向けてカップ部材50の内側に入り込むテーパ形状を有する。これによって、燃焼型熱源70の外形にバラツキがあっても、燃焼型熱源70の脱落を抑制することができる。
【0054】
第1実施形態において、カップ部材50は、カップ部材50の開口の外周からカップ部材50の外側に張り出すフランジ53を有する。これによって、保持部材30に対するカップ部材50の挿入長を規制する機構を保持部材30に設けなくても、保持部材30に対するカップ部材50の挿入長を一定に保つことができる。さらに、保持部材30に対する燃焼型熱源70の挿入長を一定に保つことができ、保持部材30から燃焼型熱源70が露出する長さ(突出長)も一定に保つことができる。燃焼型熱源70の突出長が一定であることによって、所定のパフ回数を行うための燃焼期間を確保することができ、燃焼型熱源70の燃焼特性を安定化することができる。
【0055】
第1実施形態において、カップ部材50は、熱伝導部材によって一体形成されている。これによって、燃焼型熱源70の熱がカップ部材50の側壁51を介して香味源90に伝達されるため、香味源90を効率的に加熱することができる。さらに、カップ部材50は、ステンレス鋼によって一体形成されているため、カップ部材50の側壁51の厚みを0.1mm以下にしても、カップ部材50の強度を十分に保つことができる。なお、カップ部材50の側壁51の厚みが0.1mm以下であることによって、燃焼型熱源70の熱がカップ部材50の側壁51を介して熱伝導部材33に伝達されやすい。また、カップ部材50がステンレス鋼によって構成されているため、炭素材料を含む燃焼型熱源70に対するカップ部材50の耐腐食性が得られる。
【0056】
第1実施形態において、カップ部材50の底板52に設けられる通気孔52Aは、所定方向に直交する投影面において、長手空洞71と重複しない位置に配置される。これによって、燃焼型熱源70の長手空洞71から吸い込まれた空気が底板52で拡散し、燃焼型熱源70から熱が伝達される経路も拡散するため、香味源90を効率的に加熱することができる。
【0057】
第1実施形態において、熱伝導部材33は、カップ部材50の側面の少なくとも一部を覆うとともに、カップ部材50の非着火端側の端面(後述する底板52)よりも非着火端側に延びている。これによって、燃焼型熱源70の熱がカップ部材50の側壁51を介して熱伝導部材33に伝達されるため、保持部材30の本体部材32への過剰な熱の供給が防止され、本体部材32の燃焼または熱分解を防止しうる。さらに、カップ部材50によって燃焼型熱源70を保持しており、燃焼型熱源70と熱伝導部材33が直接接触しないため、熱伝導性に優れているが炭素材料に対して腐食性を有するアルミニウムのような部材を熱伝導部材33として好適に用いることができる。
【0058】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0059】
実施形態では、爪部54が係止部分54A及び保持部分54Bを有するケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、爪部54は、保持部分54Bを有しておらず、係止部分54Aのみによって構成されていてもよい。
【0060】
実施形態では、燃焼型熱源70が
図3に示す形状を有するケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。燃焼型熱源70は、国際公開第2013/146951号の
図9,10に開示された形状を有していてもよい。具体的には、燃焼型熱源70は、着火端70Aeを有する着火端部分と、着火端部分と一体として形成されており、非着火端70Beを有する本体部分とを有する。上述した長手空洞71は、本体部分に形成されている。着火端部分は、長手空洞71の延長方向において長手空洞71に連続する空隙を有する。空隙は、上述した溝74A及び溝74Bとは別に形成されている。空隙の断面サイズは、長手空洞71の断面サイズと同様である。
【0061】
このようなケースにおいて、長手空洞71及び空隙の断面が円形形状である場合には、長手空洞71及び空隙の直径φは、例えば、1.0mm以上かつ2.5mm以下である。溝74A及び溝74Bの溝幅は、長手空洞71及び空隙の直径φよりも小さく、例えば、0.5mm以上かつ1.5mm以下である。所定方向における燃焼型熱源70の全長(
図3に示すLt)は、例えば、10mm以上かつ20mm以下である。所定方向における着火端部分の長さは、例えば、1mm以上かつ3mm以下である。所定方向において、着火端部分のうち、面取り加工が施される部位の長さは、例えば、0.5mmである。すなわち、所定方向において、着火端部分のうち、面取り加工が施されていない部位の長さは、例えば、2.5mmである。
【0062】
なお、日本国特許出願第2014−101658号(2014年5月15日出願)の全内容が、参照により、本願に組み込まれている。