【実施例】
【0041】
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳述するが、本発明がこれらの例に限定されることはない。
[実施例1]緑茶種子抽出物の製造
緑茶種子2kgにヘキサン6lを入れ、常温で3回攪拌抽出して脱脂させた後、脱脂された緑茶種子1kgに50%のエタノール4lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間浸漬させた。次いで、ろ過布を用いたろ過及び遠心分離を行って残渣及びろ液を分離し、分離されたろ液を減圧濃縮して得たエキスを水に懸濁した後、エーテル1lで5回抽出して色素を除去し、水層を1−ブタノール500mlで3回抽出した。これから得られた全体の1−ブタノール層を減圧濃縮して1−ブタノールエキスを得、これを少量のメタノールに溶かした後、大量のエチルアセテートに追加して、生成された沈殿物を乾燥させて、緑茶種子抽出物(サポニン粗抽出物)300gを得た。
【0042】
[実施例2]酸加水分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[2−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1N HCl−50%メタノール溶液(v/v)を加えて、80℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌させた後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.55gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0043】
[2−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M H
2SO
4−30%水溶液(v/v)を加えて、90℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.59gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0044】
[2−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M HNO
3−10%水溶液(v/v)を加えて、90℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.39gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0045】
[実施例3]塩基加水分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[3−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを乾燥ピリジン(500ml)に溶かし、ここにナトリウムメトキシド(sodium methoxide)粉末10gを加えて、油浴上において8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.35gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0046】
[3−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M NaOH−20%水溶液(v/v)を加えて80℃で8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.31gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0047】
[3−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M KOH−20%水溶液(v/v)を加えて80℃で8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.25gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0048】
[実施例4]酵素分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[4−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlの0.1Mの酢酸緩衝溶液(pH4.5)に溶解させ、ここに酵素2.5g(ヘスペリジナーゼ0.5g、ナリンギナーゼ0.5g、セルラーゼ0.5g、β−グルクロニダーゼ0.2g、β−ガラクトシダーゼ0.5g、アミログルコシダーゼ0.3g;シグマ社製)を添加して37℃の水浴上において48時間攪拌させながら、薄層クロマトグラフィーで定期的に確認して、緑茶サポニンが消失すると、熱水(80〜100℃)中において10分間加熱して反応を終えた。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、1.02gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0049】
[4−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlの0.1Mの酢酸緩衝溶液(pH6.5)に溶解させ、ここに酵素3.5g(グルコシダーゼ1g、アラビノシダーゼ0.5g、ラムノシダーゼ1g、キシロシダーゼ0.5g、ペクチナーゼ0.5g)を添加して27℃の水浴上において48時間攪拌させながら、薄層クロマトグラフィーで定期的に確認して、緑茶サポニンが消失すると、熱水(80〜100℃)中において10分間加熱して反応を終えた。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、1.53gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0050】
[実施例5]微生物を活用した21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[5−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して30℃まで冷却した後に予め培養されたアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)KCCM 11885を液体量に対して5〜10%接種して30℃で5日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.72gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0051】
[5−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたリゾプスオリーゼ(rhizopus oryzae)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で5日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.92gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0052】
[5−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたバチルスサブティリス(bacillus subtilis)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.72gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0053】
[5−4]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたリューコノストックメゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.52gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0054】
[5−5]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.52gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0055】
[5−6]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.42gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0056】
[試験例1]DPPH生成抑制試験(DPPHテスト)
有機ラジカルであるDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)の還元により(抗酸化剤は酸化される)発生する吸光度の変化を用いて、抗酸化能を評価する方法を用いた。抗酸化度は、DPPHの酸化が抑えられて吸光度が対照群に比べて減少される度合いを測定して、対照群の吸光度に比べて50%以下の吸光度を示す濃度(IC
50)を有効抗酸化濃度と評価した。
【0057】
100μM(エタノール中)のDPPH溶液190μlに、実施例1の緑茶種子抽出物、実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3及び対照試料をそれぞれ10μlずつ混合して反応液を準備した。混合された反応液を37℃で30分間反応した後、540nmにおいて吸光度を測定した。対照試料としては、合成抗酸化剤として汎用されているトロロックス(Trolox)を用いた。それぞれの場合に対するDPPH分析結果は、下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
前記表1の結果から、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は非常に優れた抗酸化能を有し、公知の抗酸化剤であるトロロックスよりも抗酸化能に優れていることが分かる。
【0060】
[試験例2]蛍光物質を用いた活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)生成抑制能試験
試験に供された細胞株は、人間角質形成細胞HaCaT細胞株(Human keratinocytes HaCaT cell line)であり、蛍光測定用96ウェルブラックプレートに各プレート当たり2.0×10
4個分注し、ペニシリン/ストレプトマイシン入りダルベッコ変法イーグル培地〔DMEM:Dulbeccos Modification of Eagles Medium、牛胎児血清(FBS)10%〕を用いて、37℃、5%のCO
2の条件下で1日間培養した後、試験試料を処理した。試験試料としては、実施例1の緑茶種子抽出物、実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3及び対照試料を50ppmずつ用い、対照試料としては、合成抗酸化剤として広く用いられているトロロックス(Trolox)を用いた。次いで、培地としてペニシリン/ストレプトマイシン入り無血清ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(FBSなし)を用いて、37℃、5%のCO
2の条件下で1日間培養した。
【0061】
試験試料を入れて24時間培養した後、HCSS(HEPES緩衝生理食塩水)で洗浄し切れずに残留する培地を除去し、HCSSに20μMで準備されたDCFH−DA(2',7'−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート、モレキューラープローブ社製)を100μl加えた後、37℃、5%のCO
2の条件下で20分間培養し、HCSSで洗浄した。次いで、試料により処理されたHCSSを100μl加えた後、初期に活性酸素種(ROS)により酸化されたDCF(ジクロロフルオレセイン)の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(Ex=485nm、Em=530nm)を用いて測定した。次いで、紫外線B波(UVB)(30mJ/cm
2)を照射し、処理直後及び処理してから3時間後の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(Ex=485nm、Em=530nm)を用いて測定した。
【0062】
ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた場合を対照群とし、これを基準として各試験物質の活性酸素種(ROS)の生成抑制能を求め(対照群の%)、実験結果を下記表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
前記表2の結果から、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は、活性酸素種(ROS)の生成抑制能が良好であり、公知の抗酸化剤であるトロロックスよりも活性酸素種(ROS)の生成抑制能に優れていることが分かる。
【0065】
[試験例3]ラットの色素細胞を用いたメラニン生成抑制効果の測定
C57BL/6マウス由来のラットの色素細胞(Mel−Ab cell)(Dooley, T.P. et al, Skin pharmacol, 7, pp 188−200)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に10%の牛胎盤血清、100nMの2−O−テトラデカノイルホルボール−13−アテート、1nMのコレラトキシンを添加した培地において、37℃、5%のCO
2の条件下で培養した。培養されたMel−Ab細胞を0.25%のトリプシン−EDTAを用いて分離し、24ウェルプレートに10
5細胞/ウェル(cells/well)の濃度で細胞を培養し、2日目から3日間連続的に各試験試料を10ppmずつ添加した。試験試料としては、実施例1の緑茶種子抽出物、実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3及び対照試料を用い、対照試料としては公知の美白剤であるヒドロキノンを用いて陽性対照群とし、試験試料を処理しなかったものを陰性対照群とした。試験試料を添加した後に37℃、5%のCO
2の条件下で1日間培養した後、培養液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて洗浄した後、1Nの水酸化ナトリウムを用いて細胞を溶かして400nmにおいて吸光度を測定した。測定された結果を下記の数式1によりメラニン生成抑制率を計算し、その結果を下記表3に示す〔ドゥーリー(Dooley)の方法〕。
【0066】
[数式1]
メラニンの生成抑制率(%)=100−(各試験物質の吸光度/陰性対照群の吸光度)×100
【0067】
【表3】
【0068】
上記表3の結果から、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は、優れたメラニンの生成抑制率を示し、公知の美白剤であるヒドロキノンよりも優れたメラニンの生成抑制率を示すことが確認される。
【0069】
[試験例4]人体の皮膚に対する皮膚美白効果の試験
前記実施例4において得た21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3に対する人体の皮膚に対する皮膚美白効果を調べるために、下記の実験を行った。
【0070】
まず、健康な12名の男子を対象として被検者の上膊部位に直径1.5cmの穴付き不透明テープを貼り付けた後、各被検者の最小紅斑量(Minimal Erythema Dose)の約1.5〜2倍の紫外線B波(UVB)を照射して皮膚の黒化を誘導した。
【0071】
紫外線B波を照射した後、実施例4−1の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3 1%(溶媒は、1,3−ブチレングリコール:エタノール=7:3)、ヒドロキノン1%及び溶媒(vehicle、ビークル)(陰性対照群)1%をそれぞれ塗布し、一箇所には何も塗布しなかった状態で、10週間に亘って状態の変化を観察した。1週おきに皮膚の色相を色差計CR2002(日本、ミノルタ社製)を用いて測定した。
【0072】
次いで、前記各試験物質の塗布開始時点及び塗布完了時点における皮膚色の差(ΔL
*)を下記の数式2により計算し、これを下記表4に示す。一方、美白効果は、試料塗布部位及び対照群部位のΔL
*を比較して判定し、ΔL
*値が約2である場合には、沈着された色素の美白化が顕著であり、約1.5以上であれば、美白効果があると判定される。
【0073】
[数式2]
ΔL
*=塗布完了時点におけるL
*値−塗布開始時点におけるL
*値
【0074】
【表4】
【0075】
前記表4の結果から、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は、皮膚色を明るくし、公知の美白剤であるヒドロキノンと同じレベルの皮膚色の明るさ度を示すことが確認される。これは、本発明において用いられる21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3が紫外線により生成された色素の沈着を改善して皮膚色を明るくするためであると認められる。