(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255507
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを切断し配置するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20171218BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-552625(P2016-552625)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-535681(P2017-535681A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015055865
(87)【国際公開番号】WO2017065786
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2016年8月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハウデ、アジャ・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、デイビッド・ラマー
(72)【発明者】
【氏名】パンペリン、マーク・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ネイサン・クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ジョセフ・ピー
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−512104(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0251210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A41H 42/00
A62B 7/00 − 7/04
A62B 18/02
A62D 7/00 − 7/02
A61M 16/06
B65H 67/00 − 67/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスク製造ラインにおいてノーズワイヤを個々のノーズワイヤに切断し配置するための方法であって、
前記フェイスマスク製造ラインの切断ステーションに供給源からの連続ワイヤを供給するステップと、
前記切断ステーションにおいて、前記ワイヤを一組の被駆動フィードローラに係合させ、前記ワイヤを第1の速度で切断ローラに前進させるステップであって、前記ワイヤは、前記切断ローラによって個々のノーズワイヤに切断される、該ステップと、
前記切断ローラからの前記個々のワイヤを一組の供給ローラに係合させ、前記個々のワイヤを移動するキャリアウェブの上に置くステップとを含み、
前記供給ローラが、前記フィードローラ及び前記切断ローラに対して独立して駆動されて、前記切断ローラからの前記ノーズワイヤが初めに加速され、前記第1の速度より速い第2の速度で前記切断ステーションから離れる方向に輸送され、次に減速されて、前記第1の速度より遅い第3の速度で前記キャリアウェブの上に動かされることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記フィードローラが、前記切断ローラ及び前記供給ローラに対して独立して駆動されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記切断ローラが、前記フィードローラ及び前記供給ローラに対して独立して駆動されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記フィードローラ、前記切断ローラ、及び前記供給ローラは、制御器によって独立して制御可能なそれぞれの駆動部を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記ワイヤが、前記フィードローラの駆動部から独立した駆動部を有する被駆動ロール源から供給され、
前記被駆動ロール源の前記駆動部は、前記被駆動ロール源と前記フィードローラの間に前記ワイヤの蓄積部分を形成するべく、前記ワイヤを前記第1の速度より速い第4の速度で前記フィードローラに輸送するために、前記制御器によって制御されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記制御器に接続されたセンサによって、前記フィードローラの回転速度及び前記供給ローラの回転速度を検出するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、そのようなフェイスマスクの製造プロセスにおいてノーズワイヤを切断し配置するための方法及びシステムに関する。
[関連出願のファミリー]
尚、本出願は、以下の本出願と出願日が同日である国際特許出願とその発明主題によって関連付けられている。
(a)「フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを継続導入するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055858
(b)「フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを継続導入するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055861
(c)「フェイスマスク製造ラインにおいて保存ノーズワイヤを導入するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055863
(d)「フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを配置するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055867
(e)「フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを配置するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055871
(f)「フェイスマスク製造プロセスにおいてノーズワイヤを配置するための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055872
(g)「フェイスマスク製造ラインにおけるパッケージングのためのフェイスマスクのラッピング及び準備のための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055876
(h)「フェイスマスク製造ラインにおけるラッピングされたフェイスマスクの自動化された積み重ね及び箱詰めのための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055878
(i)「フェイスマスク製造ラインにおけるラッピングされたフェイスマスクの自動化された積み重ね及び箱詰めのための方法及びシステム」という名称の国際特許出願PCT/US2015/055882
【背景技術】
【0002】
使い捨てフィルタリング・フェイスマスクまたは保護マスクの種々の形態が知られており、「フェイスマスク」、「保護マスク(レスピレータ)」、「フィルタリング保護レスピレータ」等の種々の名称で呼ばれている。本開示の目的のために、そのようなデバイスを、包括して「フェイスマスク」と称するものとする。
【0003】
自然災害時または他の惨事の発生時に、救援関係者、救急隊員、及び一般大衆に保護用フェイスマスクを供給する能力は重要である。例えば、パンデミックが生じた際、フィルタを通した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や回復措置の重要な側面である。この理由のために、国や他の自治体は、通常、緊急時の即時使用のためのフェイスマスクの準備備蓄を維持している。しかし、フェイスマスクは、一定の貯蔵寿命しか有しておらず、備蓄品は、有効期限と補給のために継続してモニタリングされなければならない。これは非常にコストの嵩む仕事である。
【0004】
最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックや他の災害時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量生産することが実現可能か否かについての調査が始められている。例えば、2013年、米国保健社会福祉省の災害危機対応を専?に扱う副?官とその危機準備室(ASPA)内の生物医学先端研究開発局(BARDA)が、米国でのパンデミック時には最大1億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を回避するために一日当たり150万〜200万個のフェイスマスクを大量生産することによって、この需要が満たされるか否かについての研究を提案した。これは、1分当たり約1500個のマスクの生産に換算される。現状のフェイスマスク製造ラインは、技術と装置による限界のために1分当たり約100個のマスクしか生産できず、これは推定された目標値に遠く及ばない。従って、パンデミック時の「オンデマンド」フェイスマスクの目標値を現実化する場合には、生産及び製造プロセスの進歩が必要である。
【0005】
フィルタフェイスマスクの種々の形態のなかには、よく知られているように、ユーザの鼻にフェイスマスクの形状を合わせ、使用時にフェイスマスクを所定の位置に保持するのを助けるために、フィルタパネルの上側の縁部に沿って「ノーズワイヤ」として知られる可撓性と順応性を有する金属片を備えるものがある。ノーズワイヤは、異なるサイズ及びマスク形状の間で異なる長さ及び幅を有し得るが、一般的には、連続的インライン製造プロセス、切断及び波形化プロセスにおいてスプールから切り出され、次いで、完成品のマスクの上側縁部になる縁部に沿って、移動するキャリア不織ウェブ(複数の不織布層を含むものであり得る)上に直接置かれる。その後、縁部はバインダ材料で密封され、このバインダ材料がノーズワイヤを封入し、永久的に上側縁部の所定位置に保持する。個々のノーズワイヤの切断/波形化ステーションからキャリアウェブへの輸送及び配置は、完成品のマスクにおけるノーズワイヤの正しい配置を確実にするように正確に行わなければならない。上述のスループットでの大量生産のためには、切断/波形化ステーションからの個々のノーズワイヤの製造速度(スループット)及びキャリアウェブの輸送速度は、従来の製造ラインと比較して非常に高くすることが必要となる。その結果、密封プロセスの前にノーズワイヤの適切な配置を確実に行うために、より精度の高いノーズワイヤの切断/波形化ステーションからキャリアウェブへの制御及び配置が必要になると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこの必要性を扱うものであり、フェイスマスクのインライン製造プロセスの中においてノーズワイヤの切断と、移動するキャリアウェブ上への配置を高速で行うための方法及びシステムを提供する。
【0007】
本発明の目的及び利点は、以下の説明に記載されたものであるか、または説明の記載内容から自明のことであるか、または本発明の実施の際に認識できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの態様によれば、フェイスマスク製造ラインにおいて、従来の製造ラインと比較して著しく速い速度で、連続して供給されたワイヤを個々のノーズワイヤに切断し、キャリアウェブ上に配置するための方法が提供される。本発明の切断及び配置方法は、従来の製造ラインより少なくとも1桁大きい、1つの製造ラインにおけるフェイスマスク製造速度をサポートすると考えられる。
【0009】
本発明の方法は、ノーズワイヤを備えるフェイスマスクのいかなる特定のスタイルまたは形状、若しくはフェイスマスク製造ラインのいかなる下流工程にも限定されないことを理解されたい。
【0010】
この方法は、前記フェイスマスク製造ラインの切断ステーションに供給源からの連続ワイヤを供給するステップを含む。前記切断ステーションにおいて、前記ワイヤは一組の被駆動フィードローラに係合され、前記ワイヤは第1の速度で切断ローラに前進させられる。前記切断ローラにおいて、前記ワイヤは、前記切断ローラによって所定の長さを有する個々のノーズワイヤに切断される。前記切断ローラから現れた前記個々のノーズワイヤは、一組の供給ローラに係合され、供給ローラは、前記個々のワイヤを前進させて、移動するキャリアウェブの上に置く。本発明の態様によれば、前記供給ローラが、前記フィードローラ及び前記切断ローラに対して独立して駆動されて、前記切断ローラからの前記ノーズワイヤが初めに加速され、前記第1の速度より速い第2の速度で前記切断ステーションから離れる方向に輸送される。次に前記個々のノーズワイヤは前記供給ローラにより減速されて、前記第1の速度より遅い第3の速度で前記キャリアウェブの上に動かされる。
【0011】
特定の実施形態では、前記フィードローラが、前記切断ローラ及び前記供給ローラに対して独立して駆動される。加えて、前記切断ローラが、前記フィードローラ及び前記供給ローラに対して独立して駆動され得る。前記フィードローラ、前記切断ローラ、及び前記供給ローラは、制御器によって独立して制御可能なそれぞれの駆動部を有してもよい。
【0012】
特定の実施形態では、
前記ワイヤが、前記フィードローラの駆動部から独立した駆動部を有する被駆動ロール源から供給され、前記被駆動ロール源の前記駆動部は、前記
被駆動ロール源と前記フィードローラの間に前記ワイヤの蓄積部分を形成するべく、前記ワイヤを前記第1の速度より速い第4の速度で前記フィードローラに輸送するため
に、前記制御器によって制御される。
【0013】
この蓄積部分は、フィードローラにおける引きずりを防止し、フィードローラによるワイヤの切断ローラへの輸送速度を正確な速度にすることを可能にする。
【0014】
上述の速度差を達成するために、前記方法は、前記制御器に接続されたセンサによって、前記フィードローラの回転速度及び前記供給ローラの回転速度を検出するステップを更に含み得る。
【0015】
本発明はまた、本明細書に記載した本発明の方法によってフェイスマスク製造ラインにおいて連続して供給されたワイヤを個々のノーズワイヤに切断し、キャリアウェブ上に配置するための種々のシステムの実施形態を包含する。
【0016】
本発明の他の特徴及び態様は、後述の記載のなかで詳述する。
【0017】
本発明の当業者にとって完全で実施可能な開示(最良の実施形態を含む)は、添付の図面を参照し、明細書の残部でより具体的に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ユーザに着用された、フェイスマスクをユーザの顔に倣った形にするノーズワイヤを組み込んだ従来型の呼吸用フェイスマスクの斜視図である。
【
図2】折り畳まれた状態にある
図1の従来型のフェイスマスクの上面図である。
【
図3】
図2に示された線に沿って切った
図2のフェイスマスクの断面図である。
【
図4】ウェブにおいて交互に配置されたパネルの縁部にノーズワイヤが組み込まれる、複数のフェイスマスクパネルが画定されたウェブの上面図である。
【
図5】後でフェイスマスクパネルに組み込むためのノーズワイヤの供給、切断、及び配置に関連する本発明のいくつかの態様によるフェイスマスク製造ラインの部分を概略的に示す図である。
【
図6】本発明による、稼働中の製造ラインのなかへノーズワイヤを切断し配置するための態様の概略を示す図である。
【
図7】本発明による、稼働中の製造ラインのなかへノーズワイヤを切断し配置するための別の態様の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の種々の実施形態について以下に詳述する。1つ以上の実施例についても記す。各実施形態・実施例は、本発明の例示の意図で提示されるものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、本発明の種々の改変形態及び変更形態が実施可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示または記載された特徴を、他の実施形態で用いて、更に別の実施形態を生み出すことができる。従って、本発明は、特許請求の範囲の各請求項の技術内容及びその均等物の範囲に入るそのような改変形態及び変更形態も包含することが想定されている。
【0020】
上述のように、本発明は、供給されているノーズワイヤが欠乏する前にフェイスマスク製造ラインのなかに保存ノーズワイヤ供給体を導入することに関する。フェイスマスク製造の下流工程は、本発明の態様を限定するものではなく、従って、本明細書中では詳細に説明しない。
【0021】
また、本開示は、製造ラインを通してのフェイスマスクの一定の構成要素の搬送または輸送について言及しているか、またはそれを非明示的に言及するものである。物品搬送器(例えば、ロータリコンベヤまたはリニアコンベヤ)、物品配置器(例えば、真空ピックプレイサ)、及び輸送装置の任意の方式または組み合わせは、物品搬送産業においてよく知られており、本明細書に記載の目的で使用され得ることは容易に理解されよう。本発明の方法の理解及び把握のためには、これらの既知の装置やシステムの詳細な説明をすることは不要である。
【0022】
フラットプリーツ付きフェイスマスクを含む、ノーズワイヤを組み込んだフェイスマスクの種々のスタイルや形態はよく知られているが、本発明の方法は、これらの従来のマスクのための製造ラインにおいて有用であり得る。単なる例示を目的として、本発明の方法の態様を、本明細書においては、
図1に示すような当分野で「カモノハシ型」マスクと称される特定のタイプの呼吸用フェイスマスクを参照して説明する。
【0023】
図1〜
図3を参照すると、代表的なフェイスマスク11(例えば、カモノハシ型フェイスマスク)が、着用者12の顔の上に示されている。マスク11は、弾性で伸縮性のストラップ即ち固定部材16及び18によって着用者12に固定されるフィルタ本体14を備える。フィルタ本体14は、上側部分20及び下側部分22を備え、両方の部分が補完的な台形の形状を有し、好ましくは、熱及び/または超音波シール等によって3つの辺縁に沿って相互に接合される。この方式で接合することで、マスク11に対し重要な構造上の完全性が加わる。
【0024】
マスク11の第4の辺縁は開放され、上側縁部24及び下側縁部38を備え、これらの縁部は互いに協働して着用者の顔に接触するマスクの周囲部分を画定する。上側縁部24は、平坦な金属のリボンまたはワイヤの形(本明細書では「ノーズワイヤ」と称する)の細長い順応性の部材26(
図2及び
図3)を受容するように構成される。ノーズワイヤ26は、マスク11の上側縁部24が着用者12の鼻や頬の外形に近接してフィットするべく構成され得るように設けられる。ノーズワイヤ26は、典型的には、矩形の断面形状を有するアルミニウムのストリップから構築される。マスクの上側部分20の上側縁部24に沿って配置されたノーズワイヤ26を有する点を除き、上側部分20と下側部分22は同形であり得る。
【0025】
図1に示すように、マスク11は、概ね、着用者12の顔に付けられたときカップまたは円錐形の形状を有し、従って着用者12が使用前にマスク11をポケットに入れて持ち運びすることを容易にしつつ、成形された円錐形のマスクの「顔から離れる」利点を提供する。「顔から離れる」スタイルのマスクは、着用者の顔のかなりの部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比較して大きい呼吸室を提供する。従って、「顔から離れる」マスクは、より低温で楽な呼吸を可能にする。
【0026】
着用者12の通常の呼吸に関連するブローバイ(吹き抜け)は、ノーズワイヤ26の上側縁部26に対する位置や寸法を適切に選択することによって実質的に取り除かれる。ノーズワイヤ26は、好ましくは上側縁部24の中央に位置し、上側縁部24の全長さの50%〜70%の範囲の長さを有する。
【0027】
図3の断面図に示すように、上側部分20と下側部分22は複数の層を備え、各々が、外側マスク層30と内側マスク層32を有する。外側マスク層30と内側マスク層32との間に、1以上の中間層34が配置されている。この層は、典型的には、メルトブローンポリプロピレン、押出成形ポリカーボネート、メルトブローンポリエステル、またはメルトブローンウレタンから構築される。
【0028】
マスク11の上側縁部24は、マスク11の開放端にわたって延在し、ノーズワイヤ26を覆う縁部バインダ36に面している。同様に、下側縁部38は、縁部バインダ40に包まれている。縁部バインダ36及び40は、上側縁部24に沿ってノーズワイヤ26を置いた後に、それぞれの縁部24、30の上に折り重ねられ、接合される。縁部バインダ36、40は、スパンレース・ポリエステル材料から作製され得る。
【0029】
図4は、上側本体部分20を形成する層を切断するための概ね台形の形状のレイアウトを示す。類似のレイアウトが下側本体部分22について作り出され、これは次にフェイスマスク製造ラインにおいて上側本体部分20と位置合わせされ、接合される。より正確には、
図4のレイアウトは、平坦な材料のシートのそれぞれから上側部分20のための層30及び32を最終的に切断するカッターの概略を表し、このレイアウトは、上側縁部24と下側縁部38によって形成されるマスク11の開放側となる縁部50、52の間の平坦な材料のシート上に交互パターンをなすように配置される。このレイアウトの配置は、材料がマスク11の作製に利用される切断装置(図示せず)を通して供給されるときに連続した切り抜き片が形成され得るような配置である。
図4は、縁部24、38に沿った縁部バインダ36、40の折り畳みと接合の前の、上側縁部24に対応する連続したウェブの部分上に切断されたノーズワイヤ226が配置されているところを示している。
【0030】
図5は、ノーズワイヤ26(
図4)を組み込んだフェイスマスクのための製造ライン106の部分を示す。連続ワイヤ101が、源103からストリップ形状で供給される。特定の実施形態では、この源は、モータ115(
図6)によって回転駆動され得るワイヤのロール104である。連続ワイヤ101は、本発明の方法の態様により特別に構成された切断ステーション108に搬送される。
【0031】
図5及び
図6を参照すると、切断ステーション108は、被駆動ニップを画定するフィードローラ110の組を有し、このときフィードローラの一方は駆動されるローラであるが、他方はアイドラローラでもよい。専用モータ111は、被駆動フィードローラ110とともに動作可能に構成され、制御器128に接続される。フィードローラ110は、移動するノーズワイヤに、ダイヤモンド型パターンのような波形パターンを与える役目も果たし得る。フィードローラ110から、ワイヤ101は、固定的なまたは回転駆動されるアンビル114に対向するように構成された切断ローラ112に供給される。専用モータ113は、切断ローラ112とともに動作可能に構成され、制御器128に接続される。切断ローラ112は、連続ワイヤ101を、所定の長さを有する個々のノーズワイヤ102に切断する。切断ローラ112から、個々のノーズワイヤ102は一対の供給ローラ116に係合され、供給ローラは個々のノーズワイヤ102を切断ステーション108からキャリアウェブ118の上に輸送する。専用モータ117は、被駆動供給ローラ116とともに動作可能に構成され、制御器128に接続される。
図4を参照すると、キャリアウェブ118は、上側及び下側本体部分20、22を画定する連続多層ウェブであり得、個々のノーズワイヤ26は、上側縁部24に対応するキャリアウェブ118の縁部に沿って配置される。また、ノーズワイヤを切断し、
図4に示すウェブの反対側の入れ子状の上側本体部分20の上に配置するための追加の切断ステーションを、切断ステーション108の反対側(及び上流か下流)に動作可能に配置できることを理解されたい。図面には、理解を容易にするために、ただ1つのそのような切断ステーションが示されている。
【0032】
個々のノーズワイヤ104をキャリアウェブ118上の所定の位置に配置した後、バインダウェブ120を、キャリアウェブ118の両縁部に沿って製造ラインに導入する。(
図5には、ただ1つのバインダウェブ120が図示されている。)キャリアウェブ118、ノーズワイヤ26、及びバインダウェブ120の組み合わせは、折り畳みステーション122を通過し、バインダウェブ120は、キャリアウェブの移動する縁部50、52のそれぞれの上に折り畳まれる(
図4)。次に構成要素が接合ステーション124を通過し、バインダウェブ120がキャリアウェブ118に熱的に接合され、それぞれのバインダ36、40で
図3に示す縁部の形態24、38が作り出される。ノーズワイヤ26は、バインダ36によって上側縁部24に対する所定の位置に保持される。
【0033】
接合ステーション124から、バインダ36の下でのキャリアウェブ118とノーズワイヤ102の連続する組み合わせが更に下流の処理ステーション126に搬送され、個々のフェイスマスクが切断、接合され、ヘッドストラップの適用等がなされる。
【0034】
更に
図5〜
図7を参照すると、製造ライン106からの非常に高速のフェイスマスク製造速度をサポートする形で、連続ワイヤ101を切断し、個々のノーズワイヤ102をキャリアウェブ118の上に配置する方法100の態様が示されている。上述のように、この切断・配置方法100は、従来の製造ラインより少なくとも1桁大きい、1つの製造ライン106におけるフェイスマスク製造速度をサポートすると考えられる。
【0035】
切断ステーション108において、連続ワイヤ101は、被駆動フィードローラ110に係合され、第1の速度S
1で切断ローラ112へ前進する。専用フィードローラモータ111は、制御器128によって制御されて、その輸送速度S
1を達成する。前に説明したように、切断ローラ112において、ワイヤは所定の長さを有する個々のノーズワイヤ102に切断される。専用切断ローラモータ113は、制御器138によって決定された回転速度で駆動されて、ノーズワイヤ102の所望の長さを達成する。従って、制御器128を介して移動するワイヤ101に対する切断ローラ112の相対速度を変えることにより、その製造ライン106の異なる速度のための切断ローラ112により(例えば、異なるサイズのフェイスマスクのために)異なるノーズワイヤ長さに切断できることは理解されよう。
【0036】
切断ローラ112から現れる個々のノーズワイヤ102は供給ローラ116に係合され、供給ローラは個々のノーズワイヤ102を前進させ、移動するキャリアウェブ118の上に載せる。供給ローラ116は、フィードローラ110及び切断ローラ112に対して供給ローラのモータ117によって独立して駆動され、それによって切断ローラ112からのノーズワイヤが、初めに加速され、第1の速度S
1より速い第2の速度S
2で切断ローラ112から離れる方向に輸送される。次に個々のノーズワイヤ102が供給ローラ116によって減速され、第1の速度S
1より遅い第3の速度S
3でキャリアウェブ118の上に動かされる。このように個々のノーズワイヤ102を加速し、減速することにより、切断ローラ112のスループットは維持できるが、個々のノーズワイヤ102は減速され、ノーズワイヤ102が第1の速度S
1でキャリアウェブ118の上に載せられる場合より制御された形でキャリアウェブ118の上に配置されることになる。つまり、ノーズワイヤ102は、それらがウェブ118上の所望の相対位置を維持することを目指してキャリアウェブ上に「放出」されるのではなく、減速されて、より制御された形でキャリアウェブ118上に載せられる。
【0037】
特に
図7を参照すると、ロール源と供給ローラとの間にワイヤ101の蓄積部分138(例えば、ループまたは緩み)を形成するように、ロール104を、その専用モータ115により制御器128によって決定された第1の速度S
1より速い第4の速度S
4で独立して駆動することが望ましいこともある。
【0038】
蓄積部分138は、フィードローラにおける引きずりを防止し、フィードローラ110によるワイヤの切断ローラ112への輸送速度を正確な速度にすることを可能にする。
【0039】
図7を参照すると、制御の目的で、かつ上述の速度差を達成するために、方法100は、速度センサ132でフィードローラ110の回転速度を検出し、速度センサ136で供給ローラ116の回転速度を検出するステップを更に含んでもよく、センサ132、136も制御器128に接続される。加えて、速度センサ134は、上述のように個々のノーズワイヤ102の長さを制御するように切断ローラ112とともに構成されてもよい。また、速度センサ130は、上述の蓄積部分138を形成するべくワイヤ101の回転駆動されるロール104とともに構成されてもよい。
【0040】
個々のノーズワイヤ102のキャリアウェブ118上へ配置をよりよく制御するために、キャリアウェブ118の速度と一対の供給ローラ116の配置速度S
3とを制御し協調させて、両者の速度差が最小となるようにするのが望ましいこともあり得る。この目的のため、ウェブ118の移動速度を検知し、そのような速度を制御器128に伝えるウェブ速度センサ133(
図7)が配置されてもよい。制御器128は、キャリアウェブの速度をS
3の関数として制御するためにキャリアウェブ118に関連する駆動または供給メカニズムに接続され得る。
【0041】
前述のように、本発明は、本発明の方法に従って個々のワイヤを切断し、フェイスマスク製造ラインに配置する種々のシステムの実施形態も包含する。そのようなシステムのいくつかの態様は、図面に示され、本明細書中にも記載されている。
【0042】
図示され上記された特定の内容は、本発明の種々の例示的実施形態を示し、教示するためのものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0043】
特許請求の範囲の項に記載のように、本発明の範囲は、当業者には想到可能なそのような改変形態及び変更形態とともに、本明細書に記載した種々の特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションを包含するものである。