(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aから
図5C、以下に説明されるもの、および、この明細書(patent document)において本開示の本質を説明するために使用される種々の実施例は、説明目的だけとしてのものであり、そして、如何様にも、本開示の範囲を限定するものと理解されるべきではない。当業者であれば、本開示の本質は、あらゆるタイプの適切に構成されたデバイスまたはシステムにおいて実施され得ることが理解されよう。
【0009】
ハイパワーエレクトロニクスのための電子機器筐体は、典型的には、真空ろう付けされた「冷たい壁」を使用して構築される。「冷たい壁」は、内部チャネル(channel)を伴うプラナー金属プレートを通じて密封した流れ(hermetic flow)を形成するものである。これらの冷却プレートは、次に、筐体の端および筐体の底部を形成する同様なプレートに対して、一般的にアセンブリされる。完成したアセンブリは、実質的に直方体の箱形状であって、上面と底面の構造体として冷却用の冷たい壁、および、メカニカルなエンドプレートを伴なうものである。
【0010】
そうした筐体のためのデザインは、一般的に、従来の引き算的な製造(subtractive manufacturing)構造体(例えば、フライス加工(milling)、ドリル加工(drilling)、等によって形成される構造体)、および、一般的なプラナーに限定される。取り込まれた特殊な製造プロセスのせいで、そうした筐体は、製造と実施のための長いリードタイム(例えば、6カ月以上)を必要とし得る。加えて、そうした筐体は、典型的には、大量の締め具、アダプタプレート、および付属品を用いてアセンブリされる。これらの特性は、特には少量生産またはプロトタイプについての、筐体コスト、および、類似/リユースの多いデザインでさえも、新たな筐体を製作するためのリードタイム、について、著しいインパクトを持ち得るものである。大量のプレート、ガスケット、および付属品からは、品質問題も、また、結果として生じ得る。例えば、流体インターフェイスにおいてはリークについてかなり多くの機会が存在している。
【0011】
真空ろう付けされた冷たい壁の製造に係る制限は、また、新たなミッションまたはシステム要求に対して既存の筐体を迅速に再構成するのをチャレンジングなものにし得る。拡大縮小(scaling)と再構成は、かなりの開発費(non−recurring expense、NRE)とリードタイムを課すものである。このことは、変化している脅威に対して迅速に適合するために迅速な再構成を必要とする現在および将来の防衛システムにとって、許容できないものであり得る。
【0012】
こうした問題を取り扱うために、本開示に係る実施例は、複数のメタルレーザ支援の付加製造(additive manufacturing)プロセスのうちのあらゆる一つまたはそれ以上を使用して形成されるモノリシック筐体を提供する。そうしたプロセスは、選択的レーザ溶融(Slective Laser Melting、SLM)を含んでよい。特定的な実施例として、選択的レーザ溶融は、Direct Metal Laser Sintering(DMLS)という商品名を伴うものといったプロセスを使用して実行されてよい。ここにおいて使用されるように、「モノリシック(”monolithic”)」は、僅かな、継ぎ目(seam)、接合(joint)、またはアタッチメント、もしくは、それらが無く、一体的に形成されている一体型(one piece)の筐体を示すものである。SLMまたはDMLSプロセスの最中に、流体チャネルが形成され、そして、僅かな密封(seal)または継ぎ目を伴って、もしくは、それらが無く、筐体の中にエンベッドされており、そして、筐体を通じて仮想的にあらゆる3次元(3D)のパス(path)を流れることができる。従って、複雑な熱構造体(thermal structure)が3次元において利用可能である。流体チャネルは、信頼性よく、モジュール/筐体のインターフェイスまで直接的に持って行かれ得るものであり、これによって、改善された熱伝達(heat transfer)特性を提供している。
【0013】
ここにおいて開示される実施例は、流体フロースルー(flow−thru)筐体を提供するためのリードタイムを大幅に削減する。加えて、開示される実施例は、モノリシック構造体において示されるように、締め具および付属品を取り除くことによって、筐体のパーツの数量を著しく削減する。このことは、流体インターフェイスにおける漏れ(leakage)といった、品質問題をかなり低減する。さらに、開示された実施例は、流体チャネルの中に含まれる複雑な熱伝達の形状を提供する。他の製造方法を使用しては達成できないであろうものである。
【0014】
本開示に係る実施例は、ここにおいて説明される機能のうちあらゆる一つ、一つ以上、または、全てを含んでよいことが理解されよう。加えて、この開示の実施例は、追加的または代替的に、ここにおいてリストされていない他の機能を含んでよい。
【0015】
図1Aと
図1Bは、本開示に従って、モノリシック筐体の一つの実施例について異なる斜視図を示している。
図1Aと
図1Bにおいて示される筐体100の実施例は、説明目的のためのだけのものである。他の実施例が、この開示の範囲から逸脱することなく使用され得るであろう。
【0016】
図1Aと
図1Bに示されるように、筐体100は、複数の壁102、第1端104、および第2端106を含んでいる。それぞれの壁102は、複数の取り付けレール108を含んでいる。第1端104は、冷却流体のための一つまたはそれ以上のインターフェイス110と、他のインターフェイスのための一つまたはそれ以上の開口部112を含んでいる。複数の取り付けポイント114が、壁102と端104、106のエッジに沿って見い出される。
【0017】
壁102は、冷たい壁であり、筐体100とともに一体的に形成された3次元的なチャネル(図示なし)が一緒にエンベッドされている。特に、チャネルは、カードレール108の中に、または、その近傍にあるように形成されている。それぞれの取り付けレール108は、電子コンポーネントを受け入れ、かつ、固定するように構成されている。筐体100が使用中であり、冷却コンフィグレーションにおいて動作している間に、冷却流体は、チャネルを通過し、そして、レールに取り付けられた電子機器といった、発熱コンポーネントからの熱を受け取る。発熱コンポーネントから熱を受け取り、そして、熱を消散させることによって、チャネルの中の冷却流体は、発熱コンポーネントを冷却するように動作する。
【0018】
従来の冷たい壁構造において、冷却チャネルは、たいてい、それぞれのチャネルの壁を含む、複数の平坦な、スタンプされた、もしくは、そうでなければ、成形されたピース(例えば、シートメタル)を一緒に結合することによって形成される。従来の冷却チャネルは、線形(1次元)または平面(1次元)構成において配置されている。そうしたチャネルは、複数のコンポーネントと密封された筐体を形成するための一つまたはそれ以上の継ぎ目(seam)を必ず含んでいる。例えば、複数のピースが、密封されたチャネルを形成するために一緒に真空ろう付けさ得る。
【0019】
そうした冷却チャネルと対照的に、それぞれの壁102の中にエンベッドされたチャネルは、SLMまたはDMLSプロセスの最中に、壁102と共にモノリシックに形成または「成長(”grow”)」される。それぞれの壁102の中のチャネルは、また、あらゆるコンフィグレーションにおいて形成されてよく、そして、3次元におけるあらゆる方向に延びてよい。これは、3次元的な曲線、コイル、らせん、複数の平面、これらの組み合わせ、などを含んでいる。
【0020】
図1Aと
図1Bに示される実施例において、第1端104は、冷却流体が筐体100に入る、及び/又は、出るための一つまたはそれ以上のインターフェイス110を含んでいる。第1端は、また、他のインターフェイスのための一つまたはそれ以上の開口部112も含んでいる。電気的接続、データ接続、または、筐体100または筐体100の中にマウントされているコンポーネントに対する、あらゆる他の適切なタイプのインターフェイス、といったものである。取り付けポイント114は、カバーを、筐体100に取り付けられるように構成されている。
【0021】
図1Aと
図1Bは、モノリシック筐体100に係る一つの実施例を示しているが、
図1Aと
図1Bに対しては、種々の変更がなされ得るものである。例えば、冷却チャネルは、端104、106といった、筐体100の他のコンポーネントの中にエンベッドされてよい。インターフェイス110と開口部112は、また、第1端、第2端における追加的または代替的な場所、もしくは、あらゆる他の適切な場所に置かれてよい。さらに、筐体100の見栄えと構成は、説明目的だけのためのものである。特定の必要性に応じて、コンポーネントが、あらゆる他のコンフィグレーションにおいて、追加され、除外され、結合され、または、置かれてよい。
【0022】
図2は、本開示に従った、モノリシック筐体の一つの実施例に係る斜視図である。筐体200は、筐体200のいくつかのコンポーネントをより上手く説明するために、透明な形式で示されている。
図2に示される筐体200の実施例は、説明目的ためだけのものである。この開示の範囲から逸脱することなく、他の実施例が使用され得るであろう。いくつかの実施例において、筐体200は、
図1Aと
図1Bにおいて示された筐体100を表してよい。
【0023】
図2に示されるように、筐体200は、筐体100と同様に、複数の壁202を含み、そして、それぞれの壁202は、複数の取り付けレール208を含んでいる。筐体200は、また、冷却流体が筐体200に入る、及び/又は、出るための複数のインターフェイス210aと210bも含んでいる。
【0024】
筐体100における壁102と同様に、壁202は、冷たい壁であり、筐体200とともに一体的に形成された冷却チャネルが一緒にエンベッドされている。断面図「A」に示されるように、冷却チャネルは、それぞれの取り付けレール208の中に集中されており、そして、レールの長さに沿って通じている。これは、冷却機能の大部分は、それぞれの熱源(例えば、カードマウントされた電子機器)がそれぞれのレール208に対して結合されたところで発生するからである。
【0025】
図2の影付された部分によって表されるように、冷却チャネル22は、複数の接続通路205によって、インターフェイス210aと210bに対して、および、相互に対して接続されている。オペレーションの一つの態様において、冷却流体は、インターフェイス210aにおいて筐体200に入り、そして、冷却チャネル220まで接続通路205を通過していく。冷却流体は、冷却チャネル220を循環し、それによって、取り付けレール208の上にマウントされた発熱する電子機器から熱を吸収し、そして、取り除いている。次に、冷却流体は、インターフェイス210bにおいて筐体から出る。いくつかの実施例において、接続通路205は、冷却チャネル220の一部であると考えられ得る。一体的に形成された冷却チャネル220が、マルチプラナー(multi−planar)において構成され、そして、複数の冷たい壁を通じて連続的に冷却流体を運搬するようにである。
【0026】
筐体200において、冷却の大部分または全ては、取り付けレール208に沿って、そして、その中で生じ得る。しかしながら、他の実施例において、筐体200の構造は、異なり得るであろう。例えば、他のまたは追加の冷却チャネルが、筐体200の他の部分に置かれてよく、そして、冷却がそうした場所において発生し得るであろう。平行な、断面図「A]において示されるような実質的に長方形のチャネル、の代わりに、冷却チャネル220は、また、一つまたはそれ以上のらせん構造といった、異なる形状も含み得るであろう。モノリシック筐体200を形成するための付加製造プロセスにより、冷却チャネルおよび関連する構造体のデザインと場所において、大きな変更ができる。
【0027】
図3Aと
図3Bは、本開示に従って、モノリシック筐体の一つの実施例に係る製造プロセスの異なるステージを示している。
図3Aと
図3Bにおいて示される筐体300の実施例は、説明目的のためのだけのものである。他の実施例が、この開示の範囲から逸脱することなく使用され得るであろう。いくつかの実施例において、筐体300は、
図1Aと
図1Bにおいて示された筐体100または
図2において示された筐体200を表してよい。
【0028】
図3Aに示されるように、筐体300は、SLMまたはDMLSといった、付加製造プロセスを使用して形成されてきている。
図3Aに示されるステージにおいて、筐体300は、実質的に固体の(solid)ブロックのように見える。筐体の中間部302は、実質的に、サポート材料によって満たされている。サポート材料は、筐体300が形成されている際に筐体300の全体的な形状を維持するために、SLMまたはDMLSの最中に筐体300と共に形成されるものであり、そして、筐体300が完成する以前に最終的には取り除かれるものである。いくつかの実施例においては、筐体の形状に応じて、そうしたサポート材料が、SLMまたはDMLSプロセスにおいて必要ではなく、または、含まれなくてもよい。サポート材料の大部分が取り除かれた後で、筐体300は、
図3Bにおいて示されるように見える。参照番号305を用いて特定される材料といった、いくらかの残余のサポート材料が、筐体300の隣接する取り付けレール308の間に保持されている。後の製造ステップにおいても、また、残余のサポート材料が取り除かれ、
図1Aと
図1Bにおける取り付けレール108に外見において類似している取り付けレール308が残っている。
【0029】
SLMは、選択的レーザ焼結(slective laser sintering)のコンセプトに基づくものである。SLMにおいては、3次元構造体のモデルが、コンピュータ支援デザイン(CAD)ソフトウェアまたは他のソフトウェアを使用して開発されている。一旦開発されると、3次元構造体のデザインは、SLMマシンの中にロードされ、そして、後に、金属パウダーといった材料を使用して3次元においてレイヤ(layer)ごとに構造体が構築される。SLMは、一度に一つのレイヤを、非常に薄いレイヤにおいて3次元構造体を生成する付加製造プロセスなので、複雑な3次元形状、および、構造体の中に欠け(void)を生成することが可能である。例えば、
図3Bにおいて取り付けレール308が固体であるように見えるが、取り付けレールは、実際には、
図2に示されるチャネル220といった、エンベッドされた冷却チャネルを含んでいる。そうしたチャネルは、DMLSプロセスの最中に、それぞれの取り付けレール308の中に容易に形成される。他のチャネルも、また、
図2において示されるものと同様に、筐体300の全体を通じて存在してよい。
【0030】
モノリシック電子機器筐体、筐体300といったもの、は、接合の継ぎ目または機械的な密封なく形成され得るものであり、そして、複数の電子機器モジュールのための統合された取り付け機能を収容している。そうした筐体は、付加製造のプロセスのおかげで締め具の実質的な削減を特徴とする。筐体は、また、マルチプラナーで(つまり、3次元)、エンベッドされ、連続的で、密封された冷却チャネルも特徴とする。ここにおいて使用されるように、「マルチプラナー(”multi−planar”)」は、それぞれの冷却チャネルが実質的に2次元または平面の構成において単に配置されているのではなく、複数のプラナーを横切り、及び/又は、全ての3次元において、曲がり、カーブし、または、角度が付いてよいこと、そして、筐体の複数の隣接する壁を通じて連続的に横断してよいことを示している。いくつかの実施例において、冷却チャネルは、筐体のモノリシックな性質のおかげで、補助的な流体密封なく、電子機器取り付けレールに対して直接的にルート(route)され得る。そうした筐体は、また、真空ろう付けといったプロセスを使用しては製造され得ない、新規で複雑な流体流れ又は熱伝達構造体も包含し得る。いくつかの新規な熱伝達が、以下により詳細に説明される。
【0031】
エンベッドされた冷却チャネルに加えて、筐体300は、SLM製造プロセスのおかげで可能な他の構造的機能を含んでよい。例えば、筐体300は、実質的に固体の壁(
図3Aと
図3Bにおいては見えない、エンベッドされた冷却チャネルを除く)からできているように見えるが、SLMの使用は、完全には固体(solid)ではなく、代わりに数多くの欠けを含んでいる、筐体300の一つまたはそれ以上の部分の形成を促進する。例えば、筐体300の一つまたはそれ以上の壁は、格子、クモの巣、または網目タイプの構造体として形成されてよい。そうした壁は、いまだに構造的な支えとなるように十分に強いであろうが、固体の壁よりも軽く、そして、いっそう少ない材料を必要とするであろう。いくつかの実施例において、格子構成は、規則正しく、周期的な欠けを伴う、明確なものであり得るだろう。他の実施例において、格子構成は、ランダムな間隔でおかれた欠けを伴う、不規則なものであり得るだろう。一般的に、SLMの使用により、筐体300のデザインからあらゆる材料を容易に取り除くことができる。構造的な支えのため、冷却チャネルの整合性のため、もしくは、電磁干渉(EMI)プロテクションのために必要とされないものについてである。
【0032】
図4は、本開示に従って、構造体においてエンベッドされ得る冷却チャネルらせん(helix)の一つの実施例を示している。
図4において示される冷却チャネルらせん400の実施例は、説明目的のためのだけのものである。他の実施例が、この開示の範囲から逸脱することなく使用され得るであろう。いくつかの実施例において、冷却チャネルらせん400は、
図2で示された冷却チャネルの一つまたはそれ以上を表わしてよく、または、関連付けされてよい。
【0033】
図4に示されるように、冷却チャネルらせん400は、複数のらせんパターンにおいて構成された複数の個別の冷却チャネル401−408を含んでいる。
図4には8個の冷却チャネルが示されているが、これは単なる一つの例であり、そして、実施に基づいて、より多く又はより少ないチャネルがらせん400において使用されてよい。
【0034】
従来の冷たい壁において、熱源からの熱は、熱源が接触している冷たい壁の一つの側面または領域へと伝導する。冷却流体へ伝導する熱の能力は、冷却効果全体に対する主要コンポーネントの一つである。この伝導能力は、熱伝導率および接触の表面積を含む、多くの要因によって影響される。熱伝導特性のおかげで、熱源の接触ポイントから遠く離れたチャネルの中を流れている冷却流体は、熱源を冷却するための減少した利用可能性を有する。
【0035】
この問題の解決を助けるために、複数の流体チャネルが、冷却チャネルらせん400といった、らせん状に構成され得る。冷却チャネル401−408それぞれは、熱源410との接触ポイントに近く、そして、遠く離れている。オペレーションの最中には、それぞれのチャネル冷却流体が401−408を通じて流れるので、熱は、接触ポイントに近い冷却流体に対して迅速に伝達され、そして、次に、取り除かれる。別の言葉で言えば、それぞれのチャネルにおいて熱源410から遠く離れたポイントからのより冷たい流体が、最終的には熱源410に対してより近くに運ばれ、一方で、より温かい流体が遠く離れたポイントに対して流れている。従って、冷却チャネル401−408それぞれは、熱源410を冷却するために、実質的に等しい機会を有している。
【0036】
冷却チャネル401−408それぞれの断面領域は、長方形チャネル、正方形チャネル、円形チャネル、または、あらゆる他の適切な形状を含み、あらゆる複数の形状であり得るだろう。チャネルの数量、および、それぞれのチャネルの回転の周期(つまり、熱源410との接触に係る隣接するポイント間の距離)も、また、実施例に応じて変動して得るだろう。いくつかの実施例においは、チャネルの内側の壁に対して、より薄い境界レイヤを生成するように流体推進力(fluid momentum)を使用することによって、よりタイトならせんの回転の周期が、熱伝達をさらに増進することができる。
【0037】
図4は、冷却チャネルらせん400の一つの実施例を説明しているが、
図4に対して種々の変更がなされ得る。例えば、らせんの代わりに、冷却チャネル401−408は、他のマルチプラナーおよび3次元の形状と配列において構成され得るだろう。いくつかの実施例において、チャネルに係る異なる可能な形状と長さは、結果として生じる冷却流体の増加された移動と組み合わされて、冷却流体の移流(advective)特性を増加させる。
【0038】
図5Aから
図5Cは、本開示に従って、冷却チャネルの内側における使用のための冷却フィンの異なる実施例を示している。
図5Aから
図5Cにおいて示される冷却フィンの実施例は、説明目的のためのだけのものである。他の実施例が、この開示の範囲から逸脱することなくことなく使用され得るであろう。いくつかの実施例において、冷却フィンは、
図2と
図4において示された冷却チャネルの一つまたはそれ以上の中に包含されてよい。
【0039】
図5Aから
図5Cは、冷却チャネル510、520、530の断面図を示している。いくつかの実施例において、冷却チャネル510、520、530は、
図2と
図4において示された冷却チャネルの一つまたはそれ以上を表わしてよい。冷却チャネル510、520、530は、長方形の断面形状を有するように描かれているが、冷却チャネル510、520、530は、実施例に応じて、あらゆる他の適切な断面形状を有し得るだろう。
【0040】
図5Aに示されるように、冷却チャネル510は、冷却チャネル510の内壁から冷却チャネル510の内部空間の中へ突出する複数のピン形フィン(pin fin)515を含んでいる。オペレーションの一つの態様において、冷却チャネル510の外側の一つまたはそれ以上の熱源からの熱は、冷却チャネル510の壁の中へ伝達され、そして、さらに、ピン形フィン515に沿って内部へ伝導する。冷却流体が冷却チャネル510を通過しているので、冷却流体はピン形フィン515と接触し、そして、ピン形フィン515における熱を吸収する。熱は、冷却チャネル510の外側に置かれた一つまたはそれ以上の熱源から伝達されたものである。
【0041】
ピン形フィンに加えて、研究は、楕円形またはティアドロップ形状のフィンが、冷却チャネルの中の圧力損失を最小化する一方で、熱伝達を増進させ得ることを示している。
図5Bに示されるように、冷却チャネル520は、複数のティアドロップ形状のフィン525を含んでいる。ピン形フィン515と同様に、ティアドロップ形状のフィン525は、熱源から冷却流体へと熱を伝達させるように手助けする。しかしながら、ティアドロップ形状のフィン525は、冷却チャネル520における圧力損失を最小化し得るものである。
【0042】
図5Aと
図5Bにおける冷却チャネルにおいて、2つのフィンが示されているが、それぞれの冷却チャネルにおけるフィンの数量は変動してよい。同様に、それぞれ冷却チャネルの長さに沿ったフィンの構成、位置、および配置は、実施例に応じて変動してよい。
【0043】
図5Cは、冷却チャネルにおける使用のためのフィンに係る異なる形状を示している。
図5Cに示されるように、冷却チャネル530は、冷却チャネル530の内部セクションに拡がるピッグテール(pigtail)形フィン535を含んでいる。ピッグテール形フィン535は、コイルの連続した巻き(turn)の間にスペースを伴ってゆるく(loosely)巻かれたコイルと実質的に類似した形状である。巻きの間のスペースによって、冷却流体が、ピッグテール形フィン535の表面積の全てのポイントの周りを通過することができる。ピン形フィン515と同様に、ピッグテール形フィン535は、熱源から冷却流体へと熱を伝達させるように手助けする。ピン形フィン515と比較して、ピッグテール形フィン535のより大きな全体長は、より大きな表面積を提供し、そこを通じて熱を伝達する。冷却チャネル530において一つのピッグテール形フィン535が示されているが、冷却チャネル530におけるピッグテール形フィン535の数量は、変動してよい。同様に、冷却チャネル530の長さに沿ったピッグテール形フィンの構成、位置、および配置は、実施例に応じて変動してよい。
【0044】
図5Aから
図5Cにおいて示された実施例においては、流体について動き回るためのより大きな表面積および流体境界レイヤについてインタラプト(interrupt)されるより多くの機会を提供するために、種々のフィン515、525、535が冷却流体の中へ突出しており、冷却流体への熱伝達を改善する。他の実施例において、フィンは追加的または代替的に、冷却チャネルから熱源を取り巻くボリューム(volume)の中へ外側に突き出している。
【0045】
大部分の製造プロセスにおいて、上述されたものに類似する熱伝達機能は、成形(cast)されることを要し、縦横比(aspect ratio)、抜き勾配(draft angle)、およびフィンの充填率(packing density)について制限を生成している。いくつかの他の製造プロセス、超音波法または融着(fusion bonding)といったもの、においては、
図5Aから
図5Cにおいて示される強化された熱伝達機能のいくつかを形成することができないことがある。ここにおいて開示される付加製造プロセスは、これらの障壁を取り去るものである。
【0046】
ここにおいて開示される実施例は、他の冷却構造体について数多くの利点を提供する。例えば、いくつかの実施例においては、パーツ数量が大きく削減され、結果として、手作業アセンブリの削減および物流トレイル(logistics trail)の削減を生じている。いくつかの実施例は、パーツのインターフェイスを無くしたおかげで、強化された電磁干渉(EMI)パフォーマンスを示している。圧力テストは、この開示に係る冷却チャネルが、実質的に完全な密封性(つまり、漏れがないこと)を示すことを実証した。高性能の熱的にコントロールされた電子機器筐体に典型的に関連する圧力におけるものである。
【0047】
ここにおいて開示される実施例において、熱源は、電子コンポーネントとして特定される。しかしながら、この開示は、それらに限定されるものではない。いくつかの実施例において、熱源は、他の熱源を含んでよい。例えば、熱源は、環境的な暖房負荷(heating load)によるものであってよい。太陽加熱(solar heating)、空力加熱(aerodynamic heating)、等といったものによるものである。開示された冷却チャネルと構造体は、あらゆるそうした加熱環境における熱の除去について適用可能である。
【0048】
追加的または代替的な変更が考えられてきている。開示された付加製造プロセスにおいて、グラディエント合金(gradient alloy)または複数の材料(例えば、金属合金に加えてプラスチック製コンポーネント)の取り込みを含んでいるものである。
【0049】
この明細書の全体を通じて使用されている所定の単語とフレーズの定義を説明することは有利であり得る。用語「接続する(”couple”)」とその派生語は、2つ又はそれ以上のエレメント間のあらゆる直接的または間接的なコミュニケーション(communication)を参照する。これらのエレメントが、総合に物理的に接触しているか否かにかかわらずにである。用語「含む(”include”と”comprise”)」は、それらの派生語も同様に、限定することのない包含(inclusion)を意味するものである。用語「または(”or”)」は、包括的なものであり、「及び/又は(and/or)」を意味している。フレーズ「関連した(”associated with”)」は、その派生語も同様に、含む、中に含まれる、相互に接続する、包含する、中に包含される、接続する、結合する、伝達できる、協力する、インターリーブする、並べる、近くにある、結合されている、有する、性質を有する、関係を持つ、等を意味している。フレーズ「少なくとも一つ(”at leat one of”)」は、アイテムのリストと共に使用されるときに、リストされたアイテムのうち一つまたはそれ以上の異なる組み合わせが使用され得ること、および、リストにおける一つのアイテムだけが必要とされ得ること、を意味している。例えば、「A、B、またはCのうち少なくとも一つ」は、以下のあらゆる組み合わせを含んでいる。A、B、C、AとB、AとC、BとC、および、AとBとC、である。
【0050】
本発明の範囲から逸脱することなく、ここにおいて説明されたシステム、装置、および方法に対して、変更、追加、または省略がなされ得る。システムおよび装置のコンポーネントは、統合され、または、分離されてよい。さらに、システムおよび装置のオペレーションは、より多くの、より少ない、または、他のコンフィグレーションによって実行され得る。方法は、より多くの、より少ない、または、他のステップを含んでよい。加えて、ステップは、あらゆる適切な順序において実行され得る。この文書において使用されるように、「それぞれ(”each”)」は、セットに係るそれぞれのメンバーまたはセットのサブセットに係るそれぞれのメンバーを参照するものである。
【0051】
ここに添付される請求項の解釈において、特許庁(Patent Office)、および、この特許申請について発行されるあらゆる特許に係るあらゆる読者を支援するために、用語「手段(”means for”)」または「段階(”step for”)」が特定の請求項において明確に使用されていなければ、出願日に存在しているからといって、添付の請求項またはクレームエレメントのいずれもが、米国特許法第112条第6パラグラフを行使するように意図されたものではないことを、出願人は、注記したいものである。