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特許6255703オーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255703
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】オーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20171227BHJP
   H04R 5/02 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H04S7/00
   H04S7/00 310
   H04R5/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-86875(P2013-86875)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-212400(P2014-212400A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】須山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太郎
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−529213(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0013075(US,A1)
【文献】 特開平07−184180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 5/02
H04S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、オーディオ信号処理装置とを有し、
前記端末装置は、
複数のスピーカの各方向を測定する方向測定部と、
利用者が指示を入力可能な入力部と、
前記オーディオ信号処理装置と通信する第1通信部と、
当該端末装置を前記複数のスピーカのいずれかに向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように前記方向測定部を制御し、前記方向測定部によって測定された前記複数のスピーカの各方向を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御する第1制御部とを備え、
前記オーディオ信号処理装置は、
基準位置から前記複数のスピーカまでの各距離と、前記複数のスピーカの各方向とに基づいて、前記複数のスピーカの各位置を算出する算出部と、
前記複数のスピーカの各位置に基づいて、入力オーディオ信号に音響効果を付与した出力オーディオ信号を前記複数のスピーカの各々について生成する信号生成部と、
前記端末装置と通信する第2通信部と、
前記第2通信部が前記複数のスピーカの各方向を受信すると、受信した前記複数のスピーカの各方向を前記算出部に供給する第2制御部とを備え
前記方向測定部は、基準に対する角度を前記方向として出力し、
前記信号生成部は、
前記算出部が算出した前記複数のスピーカの各位置に基づいて、仮想音源の方向である指定方向と前記仮想音源までの距離である指定距離とから定まる指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を、前記複数のスピーカの各々について生成可能であり、
前記第1制御部は、
前記複数のスピーカの各方向及び前記指定方向の特定において、前記基準となる目標物に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットするように前記方向測定部を制御し、
前記指定方向に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記目標物を基準とする角度を前記指定方向として出力するように前記方向測定部を制御し、
前記方向測定部から出力された前記指定方向及び前記指定距離で特定される前記指定位置を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御し、
前記第2制御部は、
前記第2通信部を用いて前記指定位置を受信すると、前記指定位置を前記信号生成部に供給して、前記指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を前記複数のスピーカの各々について生成するように前記信号生成部を制御する、
ことを特徴とするオーディオ信号処理システム。
【請求項2】
端末装置と、オーディオ信号処理装置とを有し、
前記端末装置は、
複数のスピーカの各方向を測定する方向測定部と、
基準位置から前記複数のスピーカまでの各距離と、前記複数のスピーカの各方向とに基づいて、前記複数のスピーカの各位置を算出する算出部と、
利用者が指示を入力可能な入力部と、
前記オーディオ信号処理装置と通信する第1通信部と、
当該端末装置を前記複数のスピーカのいずれかに向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように前記方向測定部を制御し、前記方向測定部で測定した前記複数のスピーカの各方向と前記第1通信部を用いて受信した前記複数のスピーカの各距離とに基づいて前記複数のスピーカの各位置を算出するように前記算出部を制御し、前記算出部が算出した前記複数のスピーカの各位置を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御する第1制御部とを備え、
前記オーディオ信号処理装置は、
前記複数のスピーカの各位置に基づいて、入力オーディオ信号に音響効果を付与した出力オーディオ信号を記複数のスピーカの各々について生成する信号生成部と、
前記複数のスピーカの各距離を記憶する記憶部と、
前記端末装置と通信する第2通信部と、
前記記憶部から読み出した前記複数のスピーカの各距離を前記端末装置に送信するように前記第2通信部を制御し、前記第2通信部を用いて受信した前記複数のスピーカの位置各を前記信号生成部に供給する第2制御部を備え
前記方向測定部は、基準に対する角度を前記方向として出力し、
前記信号生成部は、
前記算出部が算出した前記複数のスピーカの各位置に基づいて、仮想音源の方向である指定方向と前記仮想音源までの距離である指定距離とから定まる指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を、前記複数のスピーカの各々について生成可能であり、
前記第1制御部は、
前記複数のスピーカの各方向及び前記指定方向の特定において、前記基準となる目標物に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットするように前記方向測定部を制御し、
前記指定方向に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記目標物を基準とする角度を前記指定方向として出力するように前記方向測定部を制御し、
前記方向測定部から出力された前記指定方向及び前記指定距離で特定される前記指定位置を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御し、
前記第2制御部は、
前記第2通信部を用いて前記指定位置を受信すると、前記指定位置を前記信号生成部に供給して、前記指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を前記複数のスピーカの各々について生成するように前記信号生成部を制御する、
ことを特徴とするオーディオ信号処理システム。
【請求項3】
前記目標物は、前記複数のスピーカのうち所定のスピーカであり、
前記第1制御部は、前記所定のスピーカに前記端末装置が向いていることを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットして当該所定のスピーカの方向を基準として他のスピーカの角度を出力するように前記方向測定部を制御する、
ことを特徴とする請求項又はに記載のオーディオ信号処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカで合成音像による音場を形成するオーディオ信号処理装置が知られている。例えば、オーディオソースにはDVD(Digital Versatile Disc)のように5.1チャンネル等のマルチチャンネル音声信号が記録されているものがある。そして、このようなオーディオソースを再生するオーディオ信号処理装置が一般家庭でも普及しつつある。リスニングルーム内の推奨位置に各スピーカが配置されていれば、オーディオ信号処理装置を用いてオーディオソースを再生すると、サラウンドなどの音響再生効果が得られる。一方、スピーカの配置が推奨位置と異なる場合には、音像定位が不適切になる可能性があった。そこで、スピーカから出た音をマイクロフォンで収音することで、スピーカの位置のずれを算出し、算出結果に基づいてスピーカが出す音を補正することにより、所望の音場を形成する技術が知られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−354300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のオーディオ信号処理装置では、スピーカの三次元的な位置を特定するためには、マイクロフォンが4個必要となる。高さ方向のずれを無視することとしても、スピーカの二次元的な位置を特定するためには、マイクロフォンが3個必要となる。いずれにしても、オーディオシステムが高価になるという課題がある。
さらに、1個のマイクロフォンを移動させて4回あるいは3回測定すれば、1個のマイクロフォンでスピーカの位置を特定できるが、測定に時間がかかるという課題がある。また、マイクロフォンを正確に移動させるため、台座などが必要になるといった課題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、スピーカの位置が理想的な位置からずれている場合であっても、所望の音響効果を実現することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係るオーディオ信号処理装置は、複数のスピーカの各方向を取得する取得部と、基準位置から前記複数のスピーカまでの各距離と、前記複数のスピーカの各方向とに基づいて、前記複数のスピーカの各位置を算出する算出部と、 前記複数のスピーカの各位置に基づいて、入力オーディオ信号に音響効果を付与した出力オーディオ信号を記複数のスピーカの各々について生成する信号生成部とを備える。
【0007】
この発明によれば、算出部は、距離と方向といった2つの要素に基づいて、複数のスピーカの各位置を算出するので、基準位置から複数のスピーカまでの各距離が既知の場合、複数のスピーカの各方向を取得するだけで複数のスピーカの各位置を特定することができ、特定した複数のスピーカの各位置に基づいて音響効果を付与することができる。複数のスピーカまでの各距離は簡易な構成で測定することができるので、複数のスピーカが理想位置からずれている場合でも、簡易な方法で、所望の音響効果を付与することができる。
【0008】
なお、取得部が取得する複数のスピーカの各々の方向は、距離の基準となる基準位置から見た方向であってもよいし、所定位置から見た方向であってもよい。また、所定位置から見た方向である場合は、取得部は、所定位置から見た複数のスピーカの方向及び所定位置と基準位置との相対位置とを取得し、算出部は、相対位置と、所定位置から見た複数のスピーカの方向と、複数のスピーカの各々と基準位置との間の距離とに基づいて、複数のスピーカの各々の位置を算出ればよい。より具体的には、算出部は、相対位置に基づいて、所定位置から見た前記複数のスピーカの方向を基準位置から見た複数のスピーカの方向に変換し、変換結果と複数のスピーカの各々と基準位置との間の距離とに基づいて、複数のスピーカの各々の位置を算出してもよい。
【0009】
本発明に係るオーディオ信号処理システムは、複数のスピーカの各方向を測定する方向測定部と、基準位置から前記複数のスピーカまでの各距離と、前記複数のスピーカの各方向とに基づいて、前記複数のスピーカの各位置を算出する算出部と、前記複数のスピーカの各位置に基づいて、入力オーディオ信号に音響効果を付与した出力オーディオ信号を記複数のスピーカの各々について生成する信号生成部と、を備えることを特徴とする。
複数のスピーカまでの各距離は簡易な構成で測定することが可能であるところ、この発明によれば、算出部は、距離と方向といった2つの要素に基づいて、複数のスピーカの各位置を算出するので、複数のスピーカが理想位置からずれている場合でも、簡易な方法で、所望の音響効果を付与することができる。
【0010】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、端末装置と、オーディオ信号処理装置とを有し、前記端末装置は、前記方向測定部と、利用者が指示を入力可能な入力部と、前記オーディオ信号処理装置と通信する第1通信部と、当該端末装置を前記複数のスピーカのいずれかに向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように前記方向測定部を制御し、前記方向測定部によって測定された前記複数のスピーカの各方向を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御する第1制御部とを備え、前記オーディオ信号処理装置は、前記算出部と、前記信号生成部と、前記端末装置と通信する第2通信部と、前記第2通信部が前記複数のスピーカの各方向を受信すると、受信した前記複数のスピーカの各方向を前記算出部に供給する第2制御部とを備えることが好ましい。
この発明によれば、端末装置において測定した複数のスピーカの各方向をオーディオ信号処理装置に送信するので、複数のスピーカまでの各距離が既知である場合に、複数のスピーカが理想位置からずれている場合でも、実際の複数のスピーカの各位置をオーディオ信号処理装置において算出し、所望の音響効果を付与することができる。また、利用者は、方向の測定において、目標とするスピーカに端末装置を向けて入力部を操作するだけでよいので、簡単に複数のスピーカの方向を測定することができる。
【0011】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、端末装置と、オーディオ信号処理装置とを有し、前記端末装置は、前記方向測定部と、前記算出部と、利用者が指示を入力可能な入力部と、前記オーディオ信号処理装置と通信する第1通信部と、当該端末装置を前記複数のスピーカのいずれかに向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように前記方向測定部を制御し、前記方向測定部で測定した前記複数のスピーカの各方向と前記第1通信部を用いて受信した前記複数のスピーカの各距離とに基づいて前記複数のスピーカの各位置を算出するように前記算出部を制御し、前記算出部が算出した前記複数のスピーカの各位置を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御する第1制御部とを備え、前記オーディオ信号処理装置は、前記信号生成部と、前記複数のスピーカの各距離を記憶する記憶部と、前記端末装置と通信する第2通信部と、前記記憶部から読み出した前記複数のスピーカの各距離を前記端末装置に送信するように前記第2通信部を制御し、前記第2通信部を用いて受信した前記複数のスピーカの位置各を前記信号生成部に供給する第2制御部を備えることが好ましい。
この発明によれば、複数のスピーカの各距離をオーディオ信号処理装置から端末装置に送信して、端末装置において測定した複数のスピーカの各方向と受信した各距離に基づいて、複数のスピーカの各位置を算出するので、オーディオ信号処理装置は算出部を備える必要がなく、オーディオ信号処理装置の構成を簡素化することができる。
【0012】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記方向測定部は、基準に対する角度を前記方向として出力し、前記第1制御部は、前記基準となる目標物に前記端末装置が向いていることを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットするように前記方向測定部を制御することが好ましい。
この発明によれば、方向測定部として、相対的な方向を検出する加速度センサやジャイロセンサを用いる場合に、目標物を基準として角度をリセットするので、目標物を基準として複数のスピーカの角度を得ることができる。
【0013】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記信号生成部は、前記算出部が算出した前記複数のスピーカの各位置に基づいて、仮想音源の方向である指定方向と前記仮想音源までの距離である指定距離とから定まる指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を、前記複数のスピーカの各々について生成可能であり、前記第1制御部は、前記複数のスピーカの各方向及び前記指定方向の特定において、前記基準となる目標物に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットするように前記方向測定部を制御し、前記指定方向に前記端末装置を向けたことを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記目標物を基準とする角度を前記指定方向として出力するように前記方向測定部を制御し、前記方向測定部から出力された前記指定方向及び前記指定距離で特定される前記指定位置を前記オーディオ信号処理装置に送信するように前記第1通信部を制御し、前記第2制御部は、前記第2通信部を用いて前記指定位置を受信すると、前記指定位置を前記信号生成部に供給して、前記指定位置から音が出ているように聞こえる前記出力オーディオ信号を前記複数のスピーカの各々について生成するように前記信号生成部を制御する、ことを特徴とする。
この発明によれば、端末装置を用いて仮想音源が位置する指定方向を入力する場合に、複数のスピーカの方向の測定において基準とした目標物と同一の目標物を基準として指定方向を入力する。従って、仮想音源の基準に対する角度をスピーカの基準に対する角度と同じように取り扱うことができ、信号生成部において仮想音源の配置処理を簡素化することができる。また、同じ目標物を基準とすることによって、スピーカと仮想音源との相対的な角度誤差を低減することができる。
【0014】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記目標物は、前記複数のスピーカのうち所定のスピーカであり、前記第1制御部は、前記所定のスピーカに前記端末装置が向いていることを前記利用者が前記入力部を用いて入力すると、前記角度をリセットして当該所定のスピーカの方向を基準として他のスピーカの角度を出力するように前記方向測定部を制御することが好ましい。この発明によれば、目標物を所定のスピーカとすることによって、基準を入力する手間を簡略化できるといった利点がある。
ここで、前記利用者が前記入力部を用いて前記複数のスピーカの各方向を指定する順番は予め定められており、前記目標物は、前記複数のスピーカのうち第1番目に指定するスピーカであってもよい。この場合は、第2番目以降のスピーカの方向は、第1番目のスピーカを基準とする角度として与えられる。また、所定のスピーカは任意の順番のスピーカであってもよい。この場合は、他のスピーカの角度から所定のスピーカの角度を減算して複数のスピーカの各方向を特定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るオーディオ信号処理システム1Aの構成例を示すブロック図である。
図2】リスニングルーム内のスピーカSP1〜SP5の配置を示す平面図である。
図3】端末装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】ジャイロセンサで測定される角度を説明するための説明図である。
図5】オーディオ信号処理装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図6】スピーカSP1〜SP5の距離を測定する際のマクロフォンMの配置を示す平面図である。
図7】複数のスピーカSP1〜SP5と基準位置Prefとの間の距離の測定処理の内容を示すフローチャートである。
図8】距離の測定結果によって分かるスピーカの位置を示す説明図である。
図9】方向測定処理の処理内容を示すフローチャートである。
図10】方向測定処理において表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図11】方向測定処理において表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図12】スピーカSP3の位置を算出の一例を示す説明図である。
図13】仮想音源の位置の指定処理の内容を示すフローチャートである。
図14】仮想音源の位置の指定処理において表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図15】仮想音源の位置の指定処理において表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図16】オーディオ信号処理システム1Aの機能構成を示す機能ブロック図である。
図17】オーディオ信号処理システム1Bの機能構成を示す機能ブロック図である。オーディオ信号処理装置20の機能ブロックの一例を示す図。
図18】所定位置から見たスピーカの角度を基準位置から見た角度に変換する方法を説明するための説明図である。
図19】3次元にスピーカSP1〜SP7を配置した例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<オーディオ信号処理システムの構成>
図1に、第1実施形態に係るオーディオ信号処理システムの構成例を示す。オーディオ信号処理システム1Aは、スマートフォンなどの端末装置10と、オーディオ信号処理装置20と、スピーカSP1〜SP5とを備える。端末装置10は、例えば、スマートフォンなどの通信機器であり、オーディオ信号処理装置20と通信可能である。通信の形態は無線又は有線のいずれであってあってもよいが、例えば、無線LAN(Local Area Network)を介して通信が可能である。また、端末装置10は、インターネット上の所定のサイトからアプリケーションプログラムをダウンロードすることができる。そのようなアプリケーションプログラムには、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を測定するために用いるプログラムが含まれる。
【0017】
オーディオ信号処理装置20は、いわゆるマルチチャネルアンプである。オーディオ信号処理装置20は、入力オーディオ信号IN1〜IN5に音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成し、OUT1〜OUT5をスピーカSP1〜SP5に供給する。スピーカSP1〜SP5は、オーディオ信号処理装置20と有線又は無線にて接続されている。
【0018】
図2に、オーディオ信号処理システム1Aのリスニングルーム内のスピーカSP1〜SP5の配置例を示す。この例では、5つのスピーカSP1〜SP5がリスニングルーム内に配置されているが、スピーカの数は、5つに限らず、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。この場合、入力オーディオ信号の数は、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。例えば、サブウーハのスピーカを追加することによって、いわゆる5.1サラウンドシステムとしてもよい。
【0019】
利用者Aは、あらかじめ定められた位置(以下「基準位置Pref」と称する。)で、スピーカSP1〜SP5から放音された音を視聴する。この例では、スピーカSP1は利用者Aの正面に配置され、スピーカSP2は利用者Aの右斜め前方に配置され、スピーカSP3は利用者Aの右斜め後方に配置され、スピーカSP4は利用者Aの左斜め後方に配置され、スピーカSP5は利用者Aの左斜め前方に配置される。利用者Aは、スピーカSP1〜SP5から放音された音を同時に聞くことにより、特定の位置に音源があるかのように利用者Aには聞こえる。
【0020】
オーディオ信号処理装置20は、複数のスピーカSP1〜SP5が配置された位置に基づいて、所望の位置から音が出ているように聞こえる出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成し、出力する。複数のスピーカSP1〜SP5の各位置は、あらかじめ測定しておく。
【0021】
図3に、端末装置10のハードウェア構成の一例を示す。端末装置10は、装置全体の制御中枢として機能するCPU100、アプリケーションプログラムなどのプログラムを記憶したりCPU100の作業領域として機能するメモリ110、利用者が指示を入力する操作部120、操作内容などを表示する表示部130、外部と通信を行う通信インターフェース140、ジャイロセンサ151、加速度センサ152、及び方位センサ153を備える。
【0022】
ジャイロセンサ151は、図4に示すように端末装置10の姿勢を直交するX軸、Y軸、及びZ軸の回転角であるピッチ角(pitch)、ロール角(roll)、及びヨー角(yaw)を出力する。これらの角度から、端末装置10の向いている方向を特定することができる。加速度センサ152は、端末装置10に加えられた加速度の成分を直交するX軸、Y軸、及びZ軸について測定する。この場合、加速度センサ152が測定する加速度は、三次元ベクトルで表わされ、三次元ベクトルに基づいて端末装置10の向いている方向を特定することができる。方位センサ153は、例えば、地磁気を検出することにより、方位を測定する。この方位により、端末装置10の向いている方向を特定することができる。但し、ジャイロセンサ151及び加速度センサ152が出力する信号は、端末装置10の有する3軸の座標系であって、リスニングリームに固定の座標系では無い。従って、ジャイロセンサ151及び加速度センサ152で測定される方向は相対的なものとなる。即ち、リスニングルーム内に固定されている何らかの目標物を基準とし、基準に対する角度が相対的な方向として得られる。一方、方位センサ153が出力する信号は、地球上の方位であり、絶対的な方向を示す。
【0023】
CPU100は、アプリケーションプログムを実行することによって、ジャイロセンサ151、加速度センサ152、及び方位センサ153のうち少なくとも一つの出力を用いて、端末装置10を向けた方向を測定する。この例の端末装置10は、ジャイロセンサ151、加速度センサ152、及び方位センサ153を備えるが、このうちの少なくとも一つを備えるものであってもよい。ジャイロセンサ151及び加速度センサ152は、角度を出力する。角度はなんらかの基準に対する値である。基準は、リスニングルーム内の目標物であればどのようなものであってもよいが、この例では、複数のスピーカSP1〜SP5のうち第1番目に方向を測定するスピーカとする。この点の詳細は、後述する。
一方、方位センサ153を用いて、複数のスピーカSP1〜SP5の方向を測定する場合は、基準の方向の入力は不要である。方位センサ153からは、絶対的な方向を示す値が出力されるからである。
【0024】
図5に示されるオーディオ信号処理装置20は、装置全体の制御中枢として機能するCPU210、外部と通信を実行する通信インターフェース220、プログラムやデータを記憶するとともにCPU210の作業領域として機能するメモリ230、マイクロフォンなどの外部装置からの信号を入力してCPU210に供給する外部インターフェース240、基準信号Sr1〜Sr5を生成する基準信号生成回路250、選択回路260及びm個の処理ユニットU1〜Umを備える。m個の処理ユニットU1〜Um及びCPU210は、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置に基づいて、入力オーディオ信号IN1〜IN5に音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を複数のスピーカSP1〜SP5の各々について生成する。
【0025】
ここで、j(jは1≦j≦mを満たす任意の自然数)番目の処理ユニットUjは、仮想音源化部300、周波数補正部310、ゲイン分配部320、及び加算器331〜335を有する。なお、他の処理ユニットU1、U2、…Uj-1、Uj+1、…Umは、処理ユニットUjと同様に構成されている。
【0026】
仮想音源化部300は、入力オーディオ信号IN1〜IN5に基づいて、仮想音源のオーディオ信号を生成する。この例では、m個の処理ユニットU1〜Umを備えるので、m個の仮想音源に対応した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成することができる。仮想音源化部300は、5個のスイッチSW1〜SW5とミキサ301とを備える。CPU210は仮想音源化部300を制御する。より具体的には、CPU210は、メモリ230にm個の仮想音源を管理する仮想音源管理テーブルを記憶しておき、仮想音源管理テーブルを参照して仮想音源化部300を制御する。仮想音源管理テーブルには、各仮想音源について、どの入力オーディオ信号IN1〜IN5をミキシングすればよいかを表わすデータ(例えば、ミキシングするチャネルを示すチャネル識別子や、それぞれのチャネルについてミキシングするか否かを表わす論理値など)が格納されている。そして、CPU210は、仮想音源管理テーブルを参照して入力オーディオ信号IN1〜IN5のうちミキシングの対象となる入力オーディオ信号に対応するスイッチを順次にオンにして、ミキシングの対象となる入力オーディオ信号を取り込む。例えば、ミキシングの対象となる入力オーディオ信号がIN1、IN2及びIN5である場合、まず、CPU210は、入力オーディオ信号IN1に対応するスイッチSW1をオンにし、他のスイッチSW2〜SW5をオフにする。次に、CPU210は、入力オーディオ信号IN2に対応するスイッチSW2をオンにし、他のスイッチSW1、SW3〜SW5をオフにする。その次に、CPU210は、入力オーディオ信号IN5に対応するスイッチSW5をオンにし、他のスイッチSW1〜SW4をオフにする。
【0027】
周波数補正部310は、仮想音源化部300の出力信号に周波数補正を施す。具体的には、CPU210の制御の下、周波数補正部310は、仮想音源の位置から基準位置Prefまでの距離にしたがって、距離が遠いほど、高域の周波数成分を大きく減衰させるように周波数特性を補正する。これは、仮想音源から基準位置Prefまでの距離が大きいほど、高周波成分の減衰量が大きくなるという音響特性を再現するためである。
【0028】
メモリ230は、減衰量テーブルをあらかじめ記憶している。減衰量テーブルには、仮想音源から基準位置Prefまでの距離と各周波数成分の減衰量との関係を表わすデータが格納されている。一方、仮想音源管理テーブルには、それぞれの仮想音源の位置を表わすデータが格納されている。仮想音源の位置は、例えば、基準位置Prefを原点とする三次元直交座標、二次元直交座標、あるいは極座標などによって表わされる。
【0029】
CPU210は、第1に、メモリ230が記憶した仮想音源管理テーブルの内容を読み出し、読み出した仮想音源管理テーブルの内容に基づいて、それぞれの仮想音源から基準位置Prefまでの距離を算出し、第2に、減衰量テーブルを参照して算出した基準位置Prefまでの距離に応じた各周波数の減衰量を取得し、第3に、取得した減衰量に応じた周波数特性が得られるように周波数補正部310を制御する。
【0030】
ゲイン分配部320は、CPU210の制御の下、周波数補正部310の出力信号を各スピーカSP1〜SP5に分配して、分配した複数のオーディオ信号Aj[1]〜Aj[5]を出力する。各スピーカSP1〜SP5に対するオーディオ信号のゲインは、スピーカSP1〜SP5と仮想音源との間の距離が遠いほど小さくなる。これにより、あたかも仮想音源の位置として設定された場所から音が放射されているかような音場を形成することができる。例えば、各スピーカSP1〜SP5に対するオーディオ信号Aj[1]〜Aj[5]のゲインは、スピーカSP1〜SP5と仮想音源との間の距離の逆数に比例する。あるいは、ゲインが、スピーカSP1〜SP5と仮想音源との間の距離の二乗あるいは四乗の逆数に比例する構成であってもよい。なお、仮想音源との間の距離がほぼ0であるスピーカSP1〜SP5が存在する場合は、それ以外のスピーカSP1〜SP5に対するオーディオ信号Aj[1]〜Aj[5]のゲインを0にする。
【0031】
メモリ230は、例えば、スピーカ管理テーブルを記憶している。スピーカ管理テーブルには、各スピーカSP1〜SP5の識別子と対応づけて位置を示すデータ及び基準位置Prefとの間の距離を示すデータが格納される。スピーカSP1〜SP5の位置は、例えば、基準位置Prefを原点とする三次元直交座標や、極座標などによって表わされる。
【0032】
CPU210は、第1に、メモリ230に格納した仮想音源管理テーブルとスピーカ管理テーブルとを参照して、各スピーカSP1〜SP5と各仮想音源との間の距離を算出し、第2に、算出した距離に基づいて各スピーカSP1〜SP5に対するオーディオ信号のゲインを算出し、ゲインを指定する制御信号を各処理ユニットU1〜Umに供給する。
【0033】
処理ユニットUjの加算器331〜335は、ゲイン分配部320から出力されるオーディオ信号Aj[1]〜Aj[5]と、前段の処理ユニットUj-1から供給されるオーディオ信号Oj-1[1]〜Oj-1[5]とを加算して、オーディオ信号Oj[1]〜Oj[5]を出力する。これにより、処理ユニットUmから出力されるオーディオ信号Om[k](kは1から5までの任意の自然数)は、Om[k]=A1[k]+ A2[k]+…+Aj[k]+…+Am[k]となる。
【0034】
基準信号生成回路250は、CPU210の制御の下、基準信号Sr1〜Sr5を生成して選択回路260に出力する。CPU210は、複数のスピーカSP1〜SP5の各距離を測定する際に、基準信号Sr1〜Sr5を生成するように基準信号生成回路250を生成する。また、CPU210は、複数のスピーカSP1〜SP5の各距離を測定する場合に基準信号Sr1〜Sr5を選択する一方、音響効果を付与する場合にオーディオ信号Om[1]〜Om[5]を選択して得た出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を複数のスピーカSP1〜SP5の各々に供給するように選択回路260を制御する。
【0035】
<オーディオ信号処理システムの動作>
次に、オーディオ信号処理システムの動作を、スピーカの位置の特定と、仮想音源の位置の指定とに分けて説明する。
<スピーカの位置の特定処理>
スピーカの位置の特定処理では、第1に、複数のスピーカSP1〜SP5と基準位置Prefとの間の各距離を測定し、第2に、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を測定し、第3に、測定された距離及び方向に基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を特定する。
【0036】
距離の測定においては、図6に示すようにマイクロフォンMを基準位置Prefに配置し、マイクロフォンMをオーディオ信号処理装置20に接続する。マイクロフォンMの出力信号は外部インターフェース240を介してCPU210に供給される。図7に、オーディオ信号処理装置20のCPU210が実行する複数のスピーカSP1〜SP5と基準位置Prefとの間の距離の測定処理の内容を示す。
【0037】
まず、CPU210は、測定が終了していないスピーカを一つ特定する(S1)。次に、CPU210は、基準信号Sr1〜Sr5を生成するように基準信号生成回路250を制御すると共に、基準信号Sr1〜Sr5を順次選択して各出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を複数のスピーカSP1〜SP5の各々に出力するように選択回路260を制御する(S2)。この後、CPU210はマイクロフォンMの出力信号に基づいて、測定対象となるスピーカと基準位置Prefとの間の距離を算出し、スピーカの識別子と対応づけて算出した距離をスピーカ管理テーブルに記録する(S3)。次に、CPU210は、全てのスピーカについて測定が終了したか否かを判定する(S4)。測定が終了していないスピーカがある場合には、CPU210は処理をステップS1に戻し、全てのスピーカについて測定が終了するまで、ステップS1からステップS4までの処理を繰り返す。このようにして、基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの距離が測定される。
【0038】
例えば、基準位置PrefからスピーカSP1までの距離がLであったとする。この場合、図8に示すようにスピーカSP1は、基準位置Prefから半径Lの円上に存在することが分かるが、その位置は不明である。そこで、本実施形態では、端末装置10を用いて、基準位置Prefから見たスピーカSP1の方向を測定することによって、スピーカSP1の位置を特定する。
【0039】
図9に端末装置10のCPU100が実行する方向測定処理の処理内容を示す。この例では、ジャイロセンサ151及び加速度センサ152の少なくとも一方を用いて複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を特定するものとする。上述したようにジャイロセンサ151及び加速度センサ152は角度を出力する。この例の角度の基準は、第1番目に方向を測定するスピーカとする。
【0040】
方向測定処理のアプリケーションが起動されると、CPU100は、利用者に第1番目のスピーカに端末装置10を向けて設定操作を行うように促す画像を表示部130に表示させる(S20)。例えば、スピーカSP1の方向を第1番目に設定する場合、CPU100は、図10に示すようにスピーカSP1に向けた矢印を表示部130に表示する。
次に、CPU100は、利用者によって設定操作がなされたか否かを判定する(S21)。具体的には、図10に示す設定ボタンB(上述した操作部120の一部)を利用者が押下したか否かを判定する。設定操作がなされていない場合は、CPU100は、設定操作がなされるまで判定を繰り返し、設定操作がなされると測定角度をリセットする(S22)。即ち、基準位置PrefからスピーカSP1に向かう方向を0度とする。
【0041】
この後、CPU100は、次のスピーカに端末装置10を向けて設定操作を行う設定操作を行うように促す画像を表示部130に表示させる(S23)。例えば、スピーカSP2の方向を第2番目に設定する場合、CPU100は、図11に示すようにスピーカSP2に向けた矢印を表示部130に表示させる。
【0042】
次に、CPU100は、利用者によって設定操作がなされたか否かを判定する(S24)。具体的には、図11に示す設定ボタンBを利用者が押下したか否かを判定する。設定操作がなされていない場合は、CPU100は、設定操作がなされるまで判定を繰り返し、設定操作がなされると、測定対象のスピーカの基準に対する角度を記憶するメモリ110に記憶する(S25)。
【0043】
この後、CPU100は、全てのスピーカについて測定が終了したか否かを判定する(S26)。測定が終了していないスピーカがある場合には、CPU100は処理をステップS23に戻し、全てのスピーカについて測定が終了するまで、ステップS23からステップS26までの処理を繰り返す。そして、全てのスピーカについて方向の測定が終了すると、CPU100は、通信インターフェース140を用いて測定結果をオーディオ信号処理装置20に送信する。このようにして、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向が測定される。なお、上述した例では測定結果をまとめてオーディオ信号処理装置20に送信したが、一つのスピーカの方向が測定される度に、測定結果をオーディオ信号処理装置20に送信してもよい。但し、第1番目の測定対象であるスピーカSP1の方向は、他のスピーカSP2〜SP5の角度の基準となり、角度は0度であるので、測定結果の送信を省略してもよい。
【0044】
このように複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を基準に対する角度として特定する場合に、基準を複数のスピーカSP1〜SP5の一つとすることで、利用者の負担を軽減することができる。仮に、角度の基準が複数のスピーカSP1〜SP5のいずれにも該当せず、リスニングルーム内に配置されている何らかの目標物であるとすれば、利用者は当該目標物に端末装置10を向けて、所定の操作を行うことにより、角度のリセットを実行し、端末装置10を複数のスピーカSP1〜SP5の各々に向けて所定の操作を行うことにより、方向の指定を行う必要がある。即ち、目標物に端末装置10を向けることが必要となるが、目標物を複数のスピーカSP1〜SP5のいずれか一つにすることによって、入力操作を簡略化できる。
【0045】
次に、オーディオ信号処理装置20のCPU210は、通信インターフェース220を用いて複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を取得すると、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向と各距離に基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出する。即ち、CPU210及び通信インターフェース220は、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を取得する取得部として機能する。
例えば、図12に示すようにスピーカSP3の方向が角度θであって、距離がL3であるとする。この場合,CPU210は、以下に示す式に従ってスピーカSP3の座標(x3,y3)を算出する。
(x3,y3)=(L3sinθ,L3cosθ)
なお、他のスピーカSP1,SP2,SP4,SP5についても同様に座標(x,y)を計算する。
CPU210は、基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの各距離と、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向とに基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出する。
【0046】
<仮想音源の位置の指定処理>
次に、仮想音源の位置の指定処理について説明する。本実施形態では、端末装置10を用いて仮想音源の位置の指定を行う。
図13に、端末装置10のCPU100が実行する仮想音源の位置の指定処理の内容を示す。まず、CPU100は、表示部130に仮想音源の対象となるチャンネルの選択を促す画像を表示させ、利用者がチャネルを選択するとこれを取得する(S30)。例えば、CPU100は、図14に示す画面を表示部130に表示させる。この例では、仮想音源数は5個であり、「1」〜「5」の番号が割り当てられている。チャネルはプルダウンメニューによって選択できるようになっている。図14では仮想音源番号5に対応するチャネルをプルダウンメニューで表示している。チャネルとしては、センタ、右フロント、左フロント、右サラウンド、左サラウンドがある。利用者がプルダウンメニューを選択すると、CPU100は選択されたチャネルを取得する。
【0047】
次に、CPU100は、目標物に端末装置を向けて設定操作を行うように促す画像を表示部130に表示させる(S31)。ここで、目標物は、スピーカの位置の特定処理においてスピーカの角度の基準と一致させることが好ましい。具体的には、第1番目に設定を行うスピーカSP1である。この場合、CPU100は図10に示す画面を表示部130に表示させ、利用者に設定操作を促す。
【0048】
次に、CPU100は、利用者によって設定操作がなされたか否かを判定する(S32)。具体的には、図10に示す設定ボタンBを利用者が押下したか否かを判定する。設定操作がなされていない場合は、CPU100は、設定操作がなされるまで判定を繰り返し、設定操作がなされると測定角度をリセットする(S33)。即ち、基準位置PrefからスピーカSP1(目標物)に向かう方向を0度とする。
【0049】
この後、CPU100は、端末装置を仮想音源を配置したい方向に向けて設定操作を行うように促す画像を表示部130に表示させる。例えば、CPU100は、図15(A)に示す画面を表示部130に表示させる(S34)。
次に、CPU100は、利用者によって設定操作がなされたか否かを判定する(S35)。具体的には、図15(A)に示す設定ボタンBを利用者が押下したか否かを判定する。設定操作がなされていない場合は、CPU100は、設定操作がなされるまで判定を繰り返し、設定操作がなされると、仮想音源の基準に対する角度をメモリ110に記憶する(S36)。
【0050】
次に、CPU100は、仮想音源の距離の入力を受け付ける(S37)。例えば、CPU100は、図15(B)に示す画面を表示部130に表示させ、利用者に仮想音源までの距離の入力を促す。利用者が入力ボックスFに距離を入力して設定ボタンBを押下すると、CPU100は基準位置Prefから仮想音源までの距離を取得する。
【0051】
この後、CPU100は、仮想音源の方向と距離を設定結果としてオーディオ信号処理装置20に送信する(S38)。オーディオ信号処理装置20のCPU210は、通信インターフェース220を用いて、設定結果を受信すると、スピーカの方向と距離からスピーカの絶対位置を算出したのと同様に仮想音源の位置を算出する。そして、仮想音源の位置と複数のスピーカSP1〜SP5の位置に基づいて、仮想音源の位置から音が聞こえるように処理ユニットU1〜Umを制御する。この結果、端末装置10を用いて、指定したチャネルの音が、仮想音源の位置から聞こえるように出力オーディオ信号OUT1〜OUT5が生成される。なお、この例では、仮想音源の方向と距離を仮想音源の位置を特定する指定位置として、端末装置10からオーディオ信号処理装置20に送信したが、端末装置10において指定位置の座標を算出し、これをオーディオ信号処理装置20に送信してもよい。要は、指定位置を特定できるのであれば、どのような形式の情報を端末装置10からオーディオ信号処理装置20に送信してもよい。
【0052】
このように複数のスピーカSP1〜SP5の角度の基準と、仮想音源の角度の基準とを一致させることにより、仮想音源の方向の特定を複数のスピーカSP1〜SP5の各方向の特定と同じ処理で実行することができる。このため、2つの処理を共通化できるので同じプログラムモジュールを用いることが可能となる。また、利用者は共通の目標物(この例では、スピーカSP1)で角度をリセットすることになるので、個別の目標物を記憶しておく必要がない。
【0053】
<オーディオ信号処理システム1Aの機能構成>
上述したようにオーディオ信号処理システム1Aは、端末装置10とオーディオ信号処理装置20とを含んで構成され、各種の機能を分担している。図16にオーディオ信号処理システム1Aにおいて端末装置10とオーディオ信号処理装置20とで分担する機能を示す。
端末装置10は、利用者が指示を入力可能な入力部F11と、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を測定する方向測定部F12と、オーディオ信号処理装置20と通信する第1通信部F13と、第1制御部F14とを備える。ここで、入力部F11は、上述した操作部120に対応しており、第1通信部F13は、上述した通信インターフェース140に対応している。また、方向測定部F12は、ジャイロセンサ151、加速度センサ152、及び方位センサ153、並びにCPU100に対応している。加えて、第1制御部F14はCPU100に対応しており、端末装置10を複数のスピーカSP1〜SP5のいずれかに向けたことを利用者が入力部F11を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように方向測定部F12を制御し(上述したS25)、方向測定部F12によって測定された複数のスピーカSP1〜SP5の各方向をオーディオ信号処理装置20に送信するように第1通信部F13を制御する(上述したS27)。
【0054】
一方、オーディオ信号処理装置20は、端末装置10と通信する第2通信部F23と、基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの各距離と、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向とに基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出する算出部F21と、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置に基づいて、入力オーディオ信号IN1〜IN5に音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を複数のスピーカSP1〜SP5の各々について生成する信号生成部F22と、基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの各距離を記憶した記憶部F25と、第2通信部F23が複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を受信すると、受信した複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を算出部F21に供給すると共に、記憶部F25から読み出した基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの各距離を算出部F21へ供給する第2制御部F24とを備える。
ここで、第2通信部F23は上述した通信インターフェース220に対応しており、算出部F21及び第2制御部F24はCPU210に対応しており、信号生成部F22は、CPU210及び処理ユニットU1〜Umに対応しており、記憶部F25はメモリ230に対応している。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、事前に基準位置Prefから複数のスピーカSP1〜SP5までの各距離を測定しておけば、端末装置10を用いて複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を測定し、測定結果をオーディオ信号処理装置20に送信することによって、オーディオ信号処理装置20の算出部F21で複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出することができる。そして、信号生成部F22は、算出した複数のスピーカSP1〜SP5の各位置に基づいて、音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成するので、複数のスピーカSP1〜SP5が理想的な位置に配置されていなくても、実際の位置を考慮して、仮想音源の配置やサラウンドといった音響効果を実現することができる。
【0056】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各変形例と上述した実施形態は適宜組み合わせることができる。
【0057】
(1)上述した実施形態では、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置をオーディオ信号処理装置20に設けられた算出部F21で生成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置10で複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出してもよい。
図17に変形例に係るオーディオ信号処理システム1Bの構成例を示す。オーディオ信号処理システム1Bは、オーディオ信号処理装置20から算出部F21を削除し、端末装置10に算出部F21を設けた点を除いて、図16に示すオーディオ信号処理システム1Aと同様に構成されている。
【0058】
オーディオ信号処理システム1Bのオーディオ信号処理装置20において、第2制御部F24は、記憶部F25から読み出した複数のスピーカSP1〜SP5の各距離を端末装置10に送信するように第2通信部F23を制御し、第2通信部F23を用いて受信した複数のスピーカSP1〜SP5の位置各を信号生成部F22に供給する。
【0059】
一方、端末装置10において、第1制御部F14は、端末装置10を複数のスピーカSP1〜SP5のいずれかに向けたことを利用者Aが入力部F11を用いて入力すると、当該スピーカの方向を測定するように方向測定部F12を制御し、方向測定部F12で測定した複数のスピーカSP1〜SP5の各方向と第1通信部F13を用いて受信した複数のスピーカSP1〜SP5の各距離とに基づいて複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出するように算出部F21を制御し、算出部F21が算出した複数のスピーカSP1〜SP5の各位置をオーディオ信号処理装置20に送信するように第1通信部F13を制御する。
この変形例によれば、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置の算出を端末装置10で実行することができるので、オーディオ信号処理装置20の処理負荷を軽減することができる。なお、オーディオ信号処理装置20は端末装置10から受信した複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を記憶し、これを以後の音響効果の付与に用いることができる。
【0060】
(2)上述した実施形態では、複数のスピーカSP1〜SP5の各距離をオーディオ信号処理装置20に設けられた記憶部F25で記憶したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置10に記憶部F25を設けてもよい。この場合、端末装置10は、高校測定部F12で測定した複数のスピーカSP1〜SP5の各方向と、記憶部F25に記憶されている複数のスピーカSP1〜SP5の各距離をオーディオ信号処理装置20に送信する。そして、オーディオ信号処理装置20の算出部F21において、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向及び複数のスピーカSP1〜SP5の各距離に基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置を算出すればよい。
さらに、記憶部F25及び算出部F21を端末装置10に設け、算出部F21で算出した複数のスピーカSP1〜SP5の各位置をオーディオ信号処理装置20に送信してもよい。この場合、複数のスピーカSP1〜SP5の各位置をオーディオ信号処理装置20のメモリ230に記憶し、記憶された複数のスピーカSP1〜SP5の各位置に基づいて音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成してもよい。
【0061】
(3)上述した実施形態では、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向の測定は、利用者Aがリスニングルーム内で視聴する位置を基準位置Prefとした場合、基準位置Prefにおいて測定するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定位置において複数のスピーカSP1〜SP5の各方向を測定してもよい。この場合は、所定位置と基準位置との相対的な位置関係を端末装置10からオーディオ信号処理装置20に送信し、算出部F21において、相対的な位置関係と、所定位置から見た複数のスピーカSP1〜SP5の方向と、複数のスピーカSP1〜SP5の各々と基準位置Prefとの間の距離とに基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各々の位置を算出すればよい。より具体的には、算出部F21は、相対的な位置関係に基づいて、所定位置から見た複数のスピーカ相対的な位置関係の方向を基準位置Prefから見た複数のスピーカSP1〜SP5の方向に変換し、変換結果と複数のスピーカSP1〜SP5の各々と基準位置Prefとの間の距離とに基づいて、複数のスピーカSP1〜SP5の各々の位置を算出してもよい。
【0062】
図18を参照して、角度の変換を説明する。所定位置Pは基準位置Prefから(Δx,Δy)だけ移動した位置にあり、基準位置PrefからスピーカSP1までの距離をL、基準位置PrefからスピーカSP2までの距離をL、基準位置Prefから所定位置Pまでの距離をL、所定位置PからスピーカSP2までの距離をL、基準位置Prefから見てスピーカSP1を基準とするスピーカSP2の角度をθ、所定位置Pから見てスピーカSP1を基準とするスピーカSP2の角度をθ'とする。また、角度θb、θc、θd、及びθeを図18に示すように定める。
【0063】
θは、以下に示す式(1)で与えられる。従って、θe及びθbを既知の値で表すことができれば、θ'をθに変換することができる。
θ=180°-θe-θb …(1)
まず、θaとθcは、以下に示す式(2)、(3)で与えられる。
θa=atan(Δx/(L+Δy))…(2)
θc=atan(Δy/Δx) …(3)
さらに、θb=90°-θcであり、式(3)を代入すると、式(4)が得られる。
θb=90°-atan(Δy/Δx)…(4)
【0064】
また、θb+θc=90°、θa+θd+θc=90°であり、これらから、式(5)が得られる。
θd=θb-θa…(5)
式(5)に式(4)及び式(2)を代入すると式(6)が得られる。
θd =90°-atan(Δy/Δx)- atan(Δx/(L+Δy))…(6)
【0065】
また、Lは、以下に示す式(7)で与えられ、Lについては式(8)が成り立つ。
L=(Δx2+Δy1/2 …(7)
L=L+L+2LLcos(θe) …(8)
式(8)を変形すると、θeは式(9)で表すことができる。
cos(θe)=(L+L-L)/(2LL
θe=acos{(L+L-L)/(2LL)}…(9)
【0066】
さらに、Lについては、式(10)が成り立つ。
L=L+L-2LLcos(θ'+θd)…(10)
式(10)をLについて解くと、式(11)が成り立つ。
L={-b±(b2-4c)1/2}/2…(11)
但し、b=-2Lcos(θ'+θd)、c=L- L
ここで、Lは、正の値となるものを選ぶ。
【0067】
式(11)において、θ'及びLは既知であり、また、式(7)よりLも既知であり、式(6)よりθdも既知である。従って、式(6)及び(7)を式(11)に代入すれば、Lを求めることができる。さらに、式(11)によって算出されたL、式(7)より算出されたL、及び既知のLを式(9)に代入すれば、θeを算出できる。このθeと式(4)で算出されるθbを式(1)に代入することによって、θを得ることができる。
【0068】
なお、Δx、Δyは、所定位置Pから基準位置Prefに至る相対的な座標であるので、端案装置10の3軸の加速度センサ152の出力信号の積分結果と方位センサ153の出力信号を用いることによって得ることができる。具体的には、利用者が所定位置Pにおいて操作部120を用いて開始指示を入力すると積分が開始され、利用者が基準位置Prefに移動した後、利用者が操作部120を用いて終了指示を入力すると積分を終了するようにすればよい。また、利用者が操作部120を用いてΔx及びΔyを入力してもよい。
【0069】
(4)上述した実施形態では、複数のスピーカSP1〜SP5の各方向の測定において、方向測定部F12はスピーカSP1を基準とし、基準に対する角度を方向として出力した。本発明は、これに限定されるものではなく、リスニングルームに配置されているなんらかの目標物を基準とし、基準に対する角度を方向として測定してもよい。
例えば、リスニングルーム内にテレビが配置されている場合に、方向測定部F12は、テレビを目標物とし、目標物を基準とし、基準に対する角度を方向として出力してもよい。この場合、第1制御部F14は、利用者が基準となる目標物たるテレビに端末装置10を向いていることを利用者が入力部F11を用いて入力すると、角度をリセットするように方向測定部F12を制御すればよい。そして、利用者が端末装置10を複数のスピーカSP1〜SP5の各々に向けて入力部F11を操作すると、第1制御部F14は、当該スピーカの方向を測定するように方向測定部F12を制御すればよい。
【0070】
(5)上述した実施形態では、複数のスピーカSP1〜SP5が、2次元に配置されているものとしたが、図19に示すように3次元に複数のスピーカSP1〜SP7を配置してもよい。この例では、基準位置Prefから見て、左前方の斜め上にスピーカSP6が配置され、右前方の斜め上にスピーカSP7が配置されている。このように3次元に複数のスピーカSP1〜SP7が配置されている場合であっても、複数のスピーカSP1〜SP7の各方向を、スピーカSP1を基準として各スピーカSP2〜SP7の角度を測定すればよい。
【符号の説明】
【0071】
1A,1B…オーディオ信号処理システム、10…端末装置、20…オーディオ信号処理装置、F11…入力部、F12…方向測定部、F13…第1通信部、F14…第1制御部、F21…算出部、F22…信号生成部、F23…第2通信部、F24…第2制御部、F25…記憶部。
図1
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