特許第6255852号(P6255852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6255852
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】ドアチェック装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/22 20060101AFI20171227BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   E05C17/22 A
   B60J5/04 K
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-204620(P2013-204620)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-68101(P2015-68101A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】今富 康夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 覚
(72)【発明者】
【氏名】夏目 貴史
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−087593(JP,A)
【文献】 米国特許第05862570(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体または車体に開閉可能に連結された車両ドアのいずれか一方に取り付けられるケースと、
一方端が前記車体または前記車両ドアのいずれか他方に揺動可能に連結され、前記ケース内を挿通するとともに、車両ドアの開閉動作に伴って前記ケースに対して軸方向に相対移動する棒状部材と、
前記棒状部材の軸方向に沿って前記ケース内の第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるように前記ケース内に配設され、前記第1の位置にあるときに前記棒状部材を保持するように構成された保持部材と、
前記ケース内に配設され、前記保持部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動に連動して作動することにより前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材による前記棒状部材の保持を解除する解除部材と、
前記保持部材が前記第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材を前記第1の位置に戻す方向への復元力を前記保持部材に付与する制動力付与部材と、
前記復元力により前記保持部材が前記第2の位置から前記第1の位置に移動するときにその移動に対する抵抗力であって前記復元力よりも弱い反力を前記保持部材に付与する反力付与部材と、を備える、ドアチェック装置。
【請求項2】
車体または車体に開閉可能に連結された車両ドアのいずれか一方に取り付けられるケースと、
一方端が前記車体または前記車両ドアのいずれか他方に揺動可能に連結され、前記ケース内を挿通するとともに、車両ドアの開閉動作に伴って前記ケースに対して軸方向に相対移動する棒状部材と、
前記棒状部材の軸方向に沿って前記ケース内の第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるように前記ケース内に配設され、前記第1の位置にあるときに前記棒状部材を保持するように構成された保持部材と、
前記ケース内に配設され、前記保持部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動に連動して作動することにより前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材による前記棒状部材の保持を解除する解除部材と、
前記保持部材が前記第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材を前記第1の位置に戻す方向への復元力を前記保持部材に付与する制動力付与部材と、
を備え、
前記解除部材は、
前記ケース内に回動可能に設けられ、前記保持部材の移動に伴って前記ケース内を移動するとともに、前記保持部材が前記第1の位置にあるときに回転位置が第1の回転位置であるように構成される解除レバーと、
前記ケース内に設けられ、前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記解除レバーの回転位置が前記第1の回転位置から回動した第2の回転位置となるように、前記保持部材の前記第1の位置から前記第2の位置までの移動中に前記解除レバーに係合する係合部材と、
前記解除レバーに連結されるとともに前記保持部材に接触可能に配置され、前記解除レバーの回転位置が前記第1の回転位置であるときに前記保持部材により前記棒状部材が保持され、前記解除レバーの回転位置が前記第2の回転位置であるときに前記保持部材による前記棒状部材の保持が解除されるように、前記解除レバーの回転位置に応じて前記保持部材との接触状態が変化するカム部材と、
を備える、ドアチェック装置。
【請求項3】
請求項に記載の車両用ドアチェック装置において、
前記解除部材は、
前記ケース内に回動可能に設けられ、前記保持部材の移動に伴って前記ケース内を移動するとともに、前記保持部材が前記第1の位置にあるときに回転位置が第1の回転位置であるように構成される解除レバーと、
前記ケース内に設けられ、前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記解除レバーの回転位置が前記第1の回転位置から回動した第2の回転位置となるように、前記保持部材の前記第1の位置から前記第2の位置までの移動中に前記解除レバーに係合する係合部材と、
前記解除レバーに連結されるとともに前記保持部材に接触可能に配置され、前記解除レバーの回転位置が前記第1の回転位置であるときに前記保持部材により前記棒状部材が保持され、前記解除レバーの回転位置が前記第2の回転位置であるときに前記保持部材による前記棒状部材の保持が解除されるように、前記解除レバーの回転位置に応じて前記保持部材との接触状態が変化するカム部材と、
を備える、ドアチェック装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のドアチェック装置において、
前記係合部材が、前記ケースの内壁からケース内に突出した係合突起である、ドアチェック装置。
【請求項5】
車体または車体に開閉可能に連結された車両ドアのいずれか一方に取り付けられるケースと、
一方端が前記車体または前記車両ドアのいずれか他方に揺動可能に連結され、前記ケース内を挿通するとともに、車両ドアの開閉動作に伴って前記ケースに対して軸方向に相対移動する棒状部材と、
前記棒状部材の軸方向に沿って前記ケース内の第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるように前記ケース内に配設され、前記第1の位置にあるときに前記棒状部材を保持するように構成された保持部材と、
前記ケース内に配設され、前記保持部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動に連動して作動することにより前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材による前記棒状部材の保持を解除する解除部材と、
前記保持部材が前記第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記第2の位置にあるときに前記保持部材を前記第1の位置に戻す方向への復元力を前記保持部材に付与する制動力付与部材と、
を備え、
前記棒状部材は、前記車両ドアの開作動に伴って前記ケースに対して一方の軸方向に相対移動するとともに前記車両ドアの閉作動に伴って前記ケースに対して他方の軸方向に相対移動するように構成され、
前記保持部材は、前記車両ドアの開作動時には前記棒状部材の一方の軸方向に沿って前記第1の位置から前記車両ドアの開作動時における前記第2の位置である開作動位置に移動するとともに、前記車両ドアの閉作動時には前記棒状部材の他方の軸方向に沿って前記第1の位置から前記車両ドアの閉作動時における前記第2の位置である閉作動位置に移動するように構成され、
前記制動力付与部材は、前記保持部材が前記第1の位置から前記開作動位置に移動するときに前記抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記開作動位置に位置しているときに前記復元力を前記保持部材に付与する第1制動力付与部材と、前記保持部材が前記第1の位置から前記閉作動位置に移動するときに前記抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記閉作動位置に位置しているときに前記復元力を前記保持部材に付与する第2制動力付与部材とを有する、ドアチェック装置。
【請求項6】
請求項に記載のドアチェック装置において、
前記棒状部材は、前記車両ドアの開作動に伴って前記ケースに対して一方の軸方向に相対移動するとともに前記車両ドアの閉作動に伴って前記ケースに対して他方の軸方向に相対移動するように構成され、
前記保持部材は、前記車両ドアの開作動時には前記棒状部材の一方の軸方向に沿って前記第1の位置から前記車両ドアの開作動時における前記第2の位置である開作動位置に移動するとともに、前記車両ドアの閉作動時には前記棒状部材の他方の軸方向に沿って前記第1の位置から前記車両ドアの閉作動時における前記第2の位置である閉作動位置に移動するように構成され、
前記制動力付与部材は、前記保持部材が前記第1の位置から前記開作動位置に移動するときに前記抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記開作動位置に位置しているときに前記復元力を前記保持部材に付与する第1制動力付与部材と、前記保持部材が前記第1の位置から前記閉作動位置に移動するときに前記抵抗力を前記保持部材に付与するとともに前記保持部材が前記閉作動位置に位置しているときに前記復元力を前記保持部材に付与する第2制動力付与部材とを有し、
前記反力付与部材は、前記第1制動力付与部材の復元力によって前記保持部材が前記開作動位置から前記第1の位置に移動するときに前記反力を前記保持部材に付与する第1反力付与部材と、前記第2制動力付与部材の復元力によって前記保持部材が前記閉作動位置から前記第1の位置に移動するときに前記反力を前記保持部材に付与する第2反力付与部材と、
を備える、ドアチェック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるドアチェック装置は、車両ドアの開閉動作に対する抵抗力(以下、この力を制動力と呼ぶ)を発生する。ドアチェック装置によって、例えば坂道にて車両ドアを所定の開度で開放している時に車両ドアが意に反して閉じてしまったり、あるいは風などに煽られて車両ドアが所望の開度からさらに大きく開いてしまうなどの、車両ドアの意に反する開閉動作が防止できる。
【0003】
一般的なドアチェック装置は、車両ドアが所定の開度で開いているときに制動力を発生するように構成される。例えば車両ドアの開度が30°および60°であるときに制動力が発生するようにドアチェック装置が構成される。しかし、乗員の体格、車両の周囲環境(例えば隣接する車両との間の距離)により、制動力を発生させるべき最適な開度は異なる。そこで、ユーザが車両ドアの開閉動作を停止した任意の開度で制動力を発生させることができるドアチェック装置が求められる。特許文献1は、圧電素子を利用することによって任意の開度で制動力を発生させることができるドアチェック装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−97482号公報
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
上記特許文献1に記載のドアチェック装置によれば、圧電素子への通電を制御するための制御装置が必要である。よって、制御が複雑化するとともにコストアップを生じる。本発明は、比較的安価に構成され、且つ任意の開度で車両ドアの制動力を発生させることができるドアチェック装置を提供することを目的とする。
【0006】
(課題を解決するための手段)
本発明は、車体または車体に開閉可能に連結された車両ドアのいずれか一方に取り付けられるケースと、一方端が車体または車両ドアのいずれか他方に揺動可能に連結され、ケース内を挿通するとともに、車両ドアの開閉動作に伴ってケースに対して軸方向に相対移動する棒状部材と、棒状部材の軸方向に沿ってケース内の第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるようにケース内に配設され、第1の位置にあるときに棒状部材を保持するように構成された保持部材と、ケース内に配設され、保持部材の第1の位置から第2の位置への移動に連動して作動することにより保持部材が第2の位置にあるときに保持部材による棒状部材の保持を解除する解除部材と、保持部材が第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力を保持部材に付与するとともに保持部材が第2の位置にあるときに保持部材を第1の位置に戻す方向への復元力を保持部材に付与する制動力付与部材と、を備える、ドアチェック装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、保持部材がケース内の第1の位置に位置しているときには、保持部材は棒状部材を保持している。このとき車両ドアを開閉すると、その開閉動作に連動して棒状部材が軸方向移動し、さらに棒状部材の軸方向移動に伴って棒状部材を保持している保持部材がケース内で第1の位置から第2の位置に向かって移動する。保持部材が第1の位置から第2の位置に移動するときに、保持部材は制動力付与部材の抵抗力によって第1の位置に戻ろうとする方向に付勢される。斯かる抵抗力が制動力として車両ドアに作用する。つまり、保持部材が第1の位置にあるときに制動力が発生する。このような制動力に抗して車両ドアを開閉させて保持部材を第1の位置から第2の位置に移動させた場合、保持部材の第1の位置から第2の位置までの移動動作に応じて解除部材が作動することにより、保持部材による棒状部材の保持が解除される。保持が解除された場合、保持部材を付勢している制動力付与部材からの力は棒状部材に作用しない。つまり、保持部材が第2の位置にあるときには、棒状部材および車両ドアに制動力が発生しない。このためスムーズに車両ドアを開閉することができる。そして、任意の開度位置で車両ドアの開閉動作を停止した場合、第2の位置に位置していた保持部材が制動力付与部材からの復元力により第2の位置から第1の位置に戻される。これにより再び制動力が発生する。つまり、車両ドアの開閉動作が任意の開度で停止された場合、その停止位置にて制動力が発生する。
【0008】
このように、本発明に係るドアチェック装置によれば、開閉動作中に保持部材を第2の位置に位置させることによりスムーズに車両ドアの開閉がなされるとともに、任意の開度で車両ドアの開閉動作を停止した場合には保持部材が制動力付与部材からの復元力で第2の位置から第1の位置に戻されるために制動力を発生させることができる。また、車両ドアの開閉動作、すなわちチェック棒の移動動作に連動した機械的な解除部材の作動および保持部材の移動により任意の開度で制動力を発生させることができるので、制御装置等を要せず、且つ複雑な制御を要しない。このため比較的安価に構成され、且つ任意の開度で制動力を発生させることができるドアチェック装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明のドアチェック装置は、前記復元力により保持部材が第2の位置から第1の位置に移動するときにその移動に対する抵抗力であって復元力よりも弱い反力を保持部材に付与する反力付与部材を備えるとよい。これによれば、反力付与部材によって保持部材が第2の位置から第1の位置まで戻るために要する時間が増加する。つまり、保持部材が棒状部材の保持を解除している状態から棒状部材を保持する状態に移行するタイミング、換言すれば、保持部材が制動力を発生していない状態から制動力を発生する状態に移行するタイミングが遅延される。そのため車両ドアの開閉動作中に保持部材が第1の位置に復帰して制動力が突然発生することにより車両ドアの開閉動作に支障を来すことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るドアチェック装置の車両への取り付け状態を示す概略図である。
図2】実施形態に係るドアチェック装置の部分断面概略図である。
図3】他の例に係るドアチェック装置の部分断面概略図である。
図4】保持状態である保持部材を示す部分断面概略図である。
図5】解除状態である保持部材を示す部分断面概略図である。
図6A】初期状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6B】初動状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6C】解除レバー作動開始状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6D】解除開始状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6E】解除維持状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6F】保持開始状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図6G】初期状態にあるドアチェック装置の部分断面概略図である。
図7】本実施形態に係るドアチェック装置を使用して車両ドアを全閉状態から一定の速度で開作動させた場合における、車両ドアの開度と制動力との関係を示すグラフである。
図8】他の例に係る保持部材および解除部材を示す斜視図である。
図9図8のIX−IX断面図である。
図10】保持状態である保持部材および解除部材を示す図である。
図11】解除状態である保持部材および解除部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係るドアチェック装置1の車両への取り付け状態を示す概略図である。図1に示す車両Vは車体Bおよび車両ドアDRを備える。車体Bの側方部に乗降用の開口OPが形成される。開口OPの車両前方縁FEに一対のドアヒンジH,Hが上下方向に沿って取り付けられる。一対のドアヒンジH,Hを介して車両ドアDRが車体Bに揺動可能(開閉可能)に連結される。すなわち車両ドアDRは車体Bに形成された開口OPを開閉可能である。この車両ドアDR内に、本実施形態に係るドアチェック装置1が取り付けられる。
【0012】
図2は、本実施形態に係るドアチェック装置1の部分断面概略図である。図2に示すように、ドアチェック装置1は、ケース2、チェック棒(棒状部材)3、内側ケース4、一対の保持部材5a,5b、解除部材6、一対のバネ(制動力付与部材)7a,7b、一対のオイルダンパ(反力付与部材)8a,8b、を備える。なお、図2および後述の図3図4図5図6A図6Gは、チェック棒3の軸線を通る平面でドアチェック装置1を切断した場合における、ドアチェック装置1の部分断面概略図である。
【0013】
ケース2は車両ドアDRに取り付けられる。ケース2は具体的には車両ドアDRを構成するドアパネルの内部空間内に配設される。ケース2は中空の直方体形状をなし、長手方向が車両ドアDRの前後方向(水平方向)に一致するように車両ドアDRに取り付けられる。チェック棒3は、図1に示すように、一方端が車体Bの開口OPの車両前方縁FEに揺動可能に取り付けられるように構成される。一方端が車体Bに取付けられたチェック棒3は車両ドアDR内(ドアパネル内)に延出され、その延出部分がケース2内に挿通される。チェック棒3の揺動軸方向は、一対のドアヒンジH,Hの揺動軸方向と同一方向、すなわち上下方向である。したがって、車両ドアDRの開閉に応じてチェック棒3が揺動する。
【0014】
ここで、車両ドアDRの開閉時には車両ドアDRが車体Bに対して回転変位するため、車体B側に一端が連結されたチェック棒3と車両ドアDR側に取り付けられたケース2との相対的位置関係も変化する。つまり、車両ドアDRの開閉時には、チェック棒3が揺動しながらケース2の長手方向に沿ってケース2に相対的に軸方向移動する。なお、ケース2は車体B側に揺動可能に取付けられていてもよい。この場合には、チェック棒3の一端側が車両ドアDR側に揺動可能に取り付けられる。
【0015】
なお、車両ドアDRの揺動中心位置(ヒンジHの回転中心位置)とチェック棒3の揺動中心位置は異なるので、車両ドアDRの開閉に伴ってチェック棒3が揺動するに従い、車両上方側から見た車両ドアDRの開き方向とチェック棒3の軸方向とのなす角度が変化する。この角度変化を許容しつつチェック棒3がケース2に対して相対的に軸方向移動することを可能とするために、ケース2が車両ドアDRに対して揺動可能に取付けられているとよい。
【0016】
図2に示すように、ケース2内に、内側ケース4、一対の保持部材5a,5b、解除部材6および一対のバネ(第1バネ7a,第2バネ7b)が収容される。図2に示すように、チェック棒3がケース2をその長手方向に貫通している。チェック棒3はケース2内で内側ケース4にも挿通する。内側ケース4内に、一対の保持部材5a,5bが配設される。一対の保持部材5a,5bはそれぞれ向かい合うように内側ケース4内でチェック棒3の長手方向に沿って配置される。一対の保持部材5a,5bは、それぞれ内側ケース4の対向する側壁面(図2において左右の側壁の内面)に接するように配置される。また、解除部材6は一対の保持部材5a,5bの間に配設される。内側ケース4はチェック棒3の軸方向に沿ってケース2内を移動可能である。したがって、内側ケース4内の一対の保持部材5a,5bおよび解除部材6も、チェック棒3の軸方向に沿ってケース2内を移動可能である。
【0017】
チェック棒3は、内側ケース4内で一対の保持部材5a,5bにも挿通される。一対の保持部材5a,5bは、チェック棒3を保持することができ、また、その保持を解除することができるように構成される。したがって、一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持しているとき、つまり保持状態であるときは、チェック棒3は一対の保持部材5a,5bと一体的に動作する。一方、一対の保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除されているとき、つまり解除状態であるときは、チェック棒3は一対の保持部材5a,5bとは無関係に(つまり別々に)動作する。
【0018】
解除部材6は、カム部材61、解除レバー62、および後述する一対の係合突起(第1係合突起63a,第2係合突起63b)を備える。解除レバー62は、内側ケース4の内壁から図2の紙面に垂直な方向に立設された支持軸4aにその一端が支持される。支持軸4aは、図2の紙面に垂直な方向から内側ケース4を見たときに、内側ケース4内の一対の保持部材5a,5bの間の位置に形成される。解除レバー62は支持軸4aを中心として、図2の紙面に平行な平面内を回動可能に構成される。また、解除レバー62の一端にカム部材61が取り付けられる。カム部材61は内側ケース4内にて一対の保持部材5a,5bの間に設けられ、保持部材5a,5bに接触可能に配置される。カム部材61は図2の紙面に垂直な方向から見て長円形状を呈する。カム部材61は、解除レバー62と一体的に回転するように解除レバー62に連結される。解除レバー62の他端側は、内側ケース4の図2において上面に形成されているスリット(図示省略)から上方に突出している。このスリットは、内側ケース4を挿通するチェック棒3の軸方向に沿って延設される。解除レバー62が回動したときに解除レバー62の他端側は上述のスリット内を移動する。
【0019】
解除レバー62の回動に伴ってカム部材61が図2に示す状態から回動すると、カム部材61と一対の保持部材5a,5bとの当たり面(接触状態)が変化することによって一対の保持部材5a,5bの内部要素がカム部材61により押圧される。本実施形態の保持部材5a,5bは、解除レバー62およびカム部材61の回動に起因した押圧動作によって、チェック棒3を保持する保持状態と、チェック棒3の保持が解除された解除状態とを取り得るように構成される。
【0020】
図4は、本実施形態に係る保持部材の一例を示す部分断面概略図である。図4に示す一対の保持部材5a,5bは、それぞれ本体51と、リテーナ52と、ボール53と、内部バネ54とを備える。一対の保持部材5a,5bの間に解除部材6が配設される。
【0021】
本体51は、チェック棒3の外周を覆うようにリング状に形成される。本体51の一方端面511寄りの内周側には、一方端面511に近づくにつれて径が小さくなるようなテーパ面51aが形成される。また、本体51の他方端面512からは径内方に延びたフランジ部51bが形成される。
【0022】
本体51の内周面とチェック棒3の外周面との間に、リテーナ52、ボール53および内部バネ54が配設される。リテーナ52はチェック棒3の外周を覆うようにリング状に形成される。リテーナ52には周方向に沿って複数の穴(図示省略)が形成され、穴内に複数のボール53が周方向に沿って保持される。複数のボール53は、リテーナ52の穴内に保持された状態でチェック棒3の外周面に接触している。ボール53がチェック棒3の外周面上を滑る(あるいは転動する)ことによって、リテーナ52がチェック棒3の軸方向に沿って移動することができるように構成される。
【0023】
内部バネ54は、本体51のフランジ部51bとリテーナ52との間に配設される。内部バネ54はリテーナ52に併設されるようにチェック棒3の外周を覆っており、その一方端がリテーナ52の側面に係止され、他方端が本体51のフランジ部51bに係止される。内部バネ54は、その両端が係止された状態で常に伸長力を発生するように構成される。したがって、内部バネ54の伸長力によって、リテーナ52が本体51の一方端面511側に付勢される。上述したように本体51の一方端面511寄りの内周にはテーパ面51aが形成されているので、リテーナ52に保持された複数のボール53は内部バネ54の伸長力によってテーパ面51aに押し付けられる。この押し付け力に対する反力がテーパ面51aからボール53に伝達され、さらにボール53からチェック棒3に伝達される。つまり、内部バネ54の伸長力に起因した保持力よりチェック棒3が保持部材5a,5bに締め付けられる。このようにして、保持部材5a,5bがチェック棒3を保持する。図4はチェック棒3が保持部材5a,5bにより保持されている状態(保持状態)を示す。
【0024】
図4に示すように、一対の保持部材5a,5bのそれぞれの本体51の一方端面511同士が向き合い、それぞれのリテーナ52によりカム部材61が挟まれるように、一対の保持部材5a,5bが内側ケース4内に配設される。また、図4に示す保持状態では、解除レバー62が鉛直方向に延びている。解除レバー62の回転位置がこのような直立位置である場合、長円形状のカム部材61の短径方向がチェック棒3の軸方向に一致する。このときリテーナ52はカム部材61に押圧されていない。そのため、図4に示す状態では、一対の保持部材5a,5bの保持状態が維持される。
【0025】
解除レバー62を図4に示す回転位置から回動させた場合、リテーナ52,52に対するカム部材61の当たり面が変化する。このためそれぞれのリテーナ52,52にカム部材61から押圧力が加えられ、リテーナ52,52は互いに離間するようにチェック棒3の軸方向に沿って移動する。このようなリテーナ52,52の互いに離間する方向への移動によって、リテーナ52に配設されている複数のボール53が本体51のテーパ面51aから離間する。このためボール53および本体51を介してチェック棒3に作用していた内部バネ54の伸長力がチェック棒3に伝えられることが妨げられる。その結果、保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除される。図5は、保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除されている状態(解除状態)を示す。
【0026】
上記の例から明らかなように、本実施形態で用いられる保持部材5a,5bは、解除部材6の作動、具体的には解除レバー62の回動動作により保持状態と解除状態とを切り換えることができるように構成される。
【0027】
図2に示すように、ケース2内に一対の仕切り板(第1仕切り板9a,第2仕切り板9b)が設けられる。一対の仕切り板9a,9bはケース2内の内側ケース4を両側から挟むようにケース2内に配設される。一対の仕切り板9a,9bには貫通孔が形成されており、チェック棒3はこの貫通孔を挿通する。一対の仕切り板9a,9bはケース2内でチェック棒3の軸方向に移動可能に構成される。また、それぞれの仕切り板9a,9bの上側部分には、ケース2の図2において上面に形成されているスリット(図示省略)から突出した突出部91a,91bが形成される。ケース2の上面に形成されたスリットは、ケース2内を挿通するチェック棒3の軸方向に沿って延設される。したがって、それぞれの仕切り板9a,9bがケース2内でチェック棒3の軸方向に移動したときに、それぞれの仕切り板に対応する突出部91a,91bがケース2の上面に形成されたスリット内を移動する。
【0028】
図2に示すように、一対のバネ7a,7bが、内側ケース4を挟んで対向するようにケース2内に配設される。一対のバネ7a,7bのうち図2の左側の第1バネ7aの一方端がケース2の左端面を形成する側壁の内面に係止され、他方端が第1仕切り板9aに係止される。一対のバネ7a,7bのうち図2の右側の第2バネ7bの一方端がケース2の右端面を形成する側壁の内面に係止され、他方端が第2仕切り板9bに係止される。それぞれのバネ7a,7bは、それぞれ両端が係止された状態で伸長力を発生するように構成される。したがって、第1仕切り板9aは第1バネ7aによって内側ケース4に近づく方向に付勢され、第2仕切り板9bは第2バネ7bによって内側ケース4に近づく方向に付勢される。
【0029】
また、ケース2の内壁面に一対のストッパ(第1ストッパ21,第2ストッパ22)が形成される。一対のストッパ21,22は、ケース2の内壁面のうちチェック棒3の軸方向に直交する断面に表わされる内壁面から内方に突出するようにフランジ状に形成される。第1バネ7aに付勢された第1仕切り板9aが、一対のストッパ21,22のうち図2の左側の第1ストッパ21に当接することにより、第1仕切り板9aの移動が規制される。同様に、第2バネ7bに付勢された第2仕切り板9bが、一対のストッパ21,22のうち図2の右側の第2ストッパ22に当接することにより、第2仕切り板9bの移動が規制される。一対のストッパ21,22間の距離は内側ケース4の横方向長さとほぼ等しい。一対のストッパ21,22により一対の仕切り板9a,9bの位置が規制されているときに、一対の仕切り板9a,9b間に内側ケース4が位置される。位置規制されている一対の仕切り板9a,9b間に内側ケース4が位置されている場合における保持部材5a,5bの位置、すなわち図2に示す保持部材5a,5bの位置を、本明細書では「第1の位置」と呼ぶ。なお、第1の位置にて内側ケース4の両側壁と一対の仕切り板9a,9bとは接触しているが、微小の隙間が形成されるように構成されていてもよい。
【0030】
一対のオイルダンパ(第1オイルダンパ8a,第2オイルダンパ8b)は、内部にオイルが充填されているシリンダボディ81と、シリンダボディ81に対して伸縮可能なロッド82と、ロッド82の一方端(基端)に設けられたピストン83を備える。ピストン83がシリンダボディ81内に収容される。一対のオイルダンパ8a,8bのうち図2の左側の第1オイルダンパ8aのロッド82の他方端(先端)は第1仕切り板9aに形成された突出部91aに連結される。また、一対のオイルダンパ8a,8bのうち図2の右側の第2オイルダンパ8bのロッド82の他方端(先端)は第2仕切り板9bに形成された突出部91bに連結される。第1オイルダンパ8aのシリンダボディ81の底面がケース2の左端面を形成する側壁から上方に突出した第1突出板23に固定される。第2オイルダンパ8bのシリンダボディ81の底面がケース2の右端面を形成する側壁から上方に突出した第2突出板24に固定される。
【0031】
一対のオイルダンパ8a,8bは、それぞれ、ロッド82を収縮させる際に必要な力(圧縮荷重)が小さく、ロッド82を伸長させる際に必要な力(伸び荷重)が大きくなるように構成される。この場合、例えばピストン83により区分けされるシリンダボディ81内の2つの油圧室を2つの通路で連通し、一方の通路には絞り開度の大きいバルブを、他方の通路には絞り開度の小さいバルブを、それぞれ介装しておく。そして、ロッド82の収縮時には絞り開度の大きいバルブが介装された通路をシリンダボディ81内のオイルが流れ、ロッド82の伸長時には絞り開度の小さいバルブが介装された通路をシリンダボディ81内のオイルが流れるように、オイルダンパ8a,8bを構成する。このように構成することにより、圧縮荷重が小さく伸び荷重が大きいワンウェイダンパを構成することができる。
【0032】
なお、本実施形態に係るドアチェック装置1を、図3に示すように構成することもできる。図3に示すドアチェック装置1においては、一対のオイルダンパ8a,8bがケース2内に設けられる。そして、それぞれのオイルダンパ8a,8bのロッド82の先端がケース2内にて一対の仕切り板9a,9bに連結され、シリンダボディ81がケース2の両端面を構成する側壁の内面に固定される。このようにすれば、一対の仕切り板9a,9bに突出部91a,91bを形成しなくてもよく、さらに、突出部91a,91bのためのスリットをケース2に形成しなくてもよい。
【0033】
また、図2に示すように、ケース2の上壁の内面には、前述した一対の係合突起(第1係合突起63a,第2係合突起63b)が形成される。一対の係合突起63a,63bは、ケース2内にて一対のストッパ21,22の間に配設される。また、一対の保持部材5a,5bが図2に示す第1の位置にあるとき、一対の係合突起63a,63bは、解除レバー62を挟んで対向配置する。一対の保持部材5a,5bが第1の位置にある場合において、解除レバー62の上端部分から第1係合突起63aまでの距離は、解除レバー62の上端部分から第2係合突起63bまでの距離に等しい。また、チェック棒3の軸方向から見た一対の係合突起63a,63bの位置は一致する。さらに、チェック棒3の軸方向から見た一対の係合突起63a,63bの位置と解除レバー62の上端部分の位置は一致する。つまり、一対の係合突起63a,63bは、解除部材6が内側ケース4および保持部材5a,5bとともにケース2内でチェック棒3の軸方向に移動したときに、解除レバー62の上端部分に係合する位置に形成される。
【0034】
このような構成のドアチェック装置1の作動について説明する。車両ドアDRが開作動した場合、それに伴ってチェック棒3がケース2に対して一方の軸方向に相対移動する。また、車両ドアDRが閉作動した場合、車両ドアDRの閉作動に伴ってチェック棒3がケース2に対して他方の軸方向に相対移動する。車両ドアDRの開作動時におけるチェック棒3の相対移動方向は、車両ドアDRの閉作動時におけるチェック棒3の相対移動方向と反対の方向である。本実施形態においては、車両ドアDRの開作動時におけるチェック棒3の相対移動方向が、図2の矢印A方向(左方向)であり、車両ドアDRの閉作動時におけるチェック棒3の相対移動方向が、図2の矢印B方向(右方向)である。
【0035】
(初期状態)
図6Aは、車両ドアDRが開閉動作を停止している状態であるときにおける、ドアチェック装置1の部分断面概略図である。なお図6Aは、図2と同じ図である。車両ドアDRが開閉動作を停止しているときには、第1仕切り板9aが第1バネ7aの伸長力により付勢されて第1ストッパ21に接触して第1のストッパ21で位置規制され、第2仕切り板9bが第2バネ7bの伸長力により付勢されて第2ストッパ22に接触して第2のストッパ22で位置規制される。位置規制された一対の仕切り板9a,9bの間に内側ケース4が配設される。したがって、内側ケース4内の一対の保持部材5a,5bは第1の位置に位置する。保持部材5a,5bが第1の位置にあるときにおけるドアチェック装置1の動作状態を、初期状態と呼ぶ。
【0036】
初期状態では、解除レバー62は、図6Aに示す方向から見てチェック棒3の軸方向に直交する方向に延びるように直立配置している。すなわち解除レバー62の回転位置が直立位置(第1の回転位置)である。解除レバー62の回転位置が直立位置である場合、上述したようにカム部材61は保持部材5a,5bの内部要素を押圧していない。したがって、保持部材5a,5bはチェック棒3を保持する。すなわち、ドアチェック装置1の動作状態が初期状態であるとき(すなわち保持部材5a,5bが第1の位置にあるとき)、保持部材5a,5bは保持状態である。
【0037】
(初動状態)
ドアチェック装置1の動作状態が図6Aに示す初期状態であるときに車両ドアDRを開作動させた場合、車両ドアDRの開作動に伴ってチェック棒3がケース2に対して相対的に軸方向移動する。このとき図6Aに矢印A1で示す左方向にチェック棒3が軸方向移動する。なお、車両ドアDRが閉作動した場合、チェック棒3は図6Aに矢印B1で示す右方向に移動する。
【0038】
初期状態では上述したようにチェック棒3が保持部材5a,5bに保持されているので、初期状態であるときに車両ドアDRを開作動させた場合、チェック棒3と共に保持部材5a,5bがケース2内で図6Aの矢印A1で示す左方向に移動する。また、保持部材5a,5bは内側ケース4の両側壁に接するように内側ケース4内に収容されており、内側ケース4は保持部材5a,5bと一体的に移動する。したがって、保持部材5a,5bの移動に伴い内側ケース4も図6Aの左方向に移動する。さらに、保持部材5a,5bに挟まれている解除部材6も、保持部材5a,5bの移動に伴って、ケース2内で図6Aの左方向に移動する。解除部材6が左方移動することにより、解除レバー62が第1係合突起63aに近づく。このようなドアチェック装置1の動作状態、すなわち、初期状態から車両ドアDRを開作動させた場合であって解除レバー62が第1係合突起63aに近づいているが接触していない位置にあるような状態を、「初動状態」と呼ぶ。図6Bに、ドアチェック装置1の動作状態が初動状態である場合におけるドアチェック装置1の部分断面概略図を示す。
【0039】
初動状態では、図6Bに示すように解除レバー62の回転位置が直立位置であり、保持部材5a,5bはチェック棒3の保持を維持しているので、チェック棒3の移動に伴って一対の保持部材5a,5bおよび一対の保持部材5a,5bに挟まれた解除部材6ならびにこれらを収容する内側ケース4(以下、内側ケース4および内側ケース4に収容されている一対の保持部材5a,5bおよび解除部材6を、内側ケースユニットと呼ぶ)が図6Bの矢印A1で示す左方向に向かってケース2内を移動する。このため保持部材5a,5bは第1の位置から左方に移動する。
【0040】
この場合において、内側ケース4の側壁のうち、移動方向前方側の側壁(すなわち図6Bにおいて左側の側壁)が第1仕切り板9aに接触しており、また第1仕切り板9aには第1バネ7aの伸長力が作用しているので、初動状態であるときに、第1バネ7aの伸長力が第1仕切り板9aを介して内側ケースユニットに作用する。
【0041】
内側ケースユニットに作用する第1バネ7aの伸長力の作用方向は、図6Bにおいて矢印B1で示す右方向である。したがって、第1バネ7aの伸長力によって内側ケースユニットの左方への移動が阻害される。つまり、第1バネ7aは、保持部材5a,5bが第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力(伸長力)を保持部材5a,5bに付与する。このため保持部材5a,5bは第1バネ7aにより第1の位置に戻ろうとする方向に付勢される。保持部材5a,5bに付与された第1バネ7aの伸長力(抵抗力)は保持部材5a,5bに保持されているチェック棒3にも作用する。したがって、車両ドアDRの開作動に伴うチェック棒3の左方への移動に対して第1バネ7aの伸長力が抵抗力として作用する。よって、ドアチェック装置1の動作状態が初動状態であるときには、車両ドアDRを開く際に、第1バネ7aの伸長力よりも大きな力が必要である。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が初動状態であるときには、第1バネ7aの伸長力が制動力として車両ドアDRに作用する。
【0042】
(解除レバー作動開始状態)
ドアチェック装置1の動作状態が図6Bに示す初動状態であるときからさらに車両ドアDRが開作動した場合、チェック棒3の移動に伴って保持部材5a,5bを含む内側ケースユニットがさらにケース2に対して左方に相対移動し、やがて、図6Cに示すように解除レバー62の上端部が第1係合突起63aに当接する。このため第1係合突起63aによって解除レバー62が回される。解除レバー62の回動に伴いカム部材61も回動する。すると、一対の保持部材5a,5bへのカム部材61の当たり面が変化し、カム部材61により保持部材5a,5bの内部要素(リテーナ52)が押圧され始める。しかしながら、図6Cに示す状態では、カム部材61による保持部材5a,5bの内部要素の押し込み量が不十分であるので、保持部材5a,5bはチェック棒3を保持した状態を維持する。図6Cに示すように解除部材6の作動(解除レバー62の回動)が開始されているが保持部材5a,5bによりチェック棒3が保持されているようなドアチェック装置1の動作状態を、「解除レバー作動開始状態」と呼ぶ。
【0043】
解除レバー作動開始状態では、車両ドアDRの開作動に伴うチェック棒3の左方移動に連動して内側ケースユニットおよび第1仕切り板9aが図6Bに示す状態からさらに左方に移動することにより、第1バネ7aがさらに収縮する。このため第1バネ7aの伸長力が仕切り板9aを介して内側ケース4および保持部材5a,5bに作用し、さらに保持部材5a,5bに保持されているチェック棒3にも作用する。したがって、チェック棒3の左方への移動に対して第1バネ7aの伸長力が抵抗力として作用する。
【0044】
また、解除レバー62が回される場合には、カム部材61により一対の保持部材5a,5b内の内部バネ54が圧縮される。このため内部バネ54の伸長力がカム部材61に作用する。カム部材61に作用した内部バネ54の伸長力はカム部材61を介して保持部材5a,5bおよび内側ケース4に作用し、さらに保持部材5a,5bに保持されているチェック棒3にも作用する。内部バネ54の伸長力の作用方向は、解除レバー62の回転位置が図6Cに示すような回転位置から図6Aに示すような直立位置に戻るように内側ケース4および一対の保持部材5a,5bが右方に移動する方向、すなわち一対の保持部材5a,5bを第1の位置に戻そうとする方向である。この方向は、チェック棒3の左方への移動方向とは反対の方向である。したがって、車両ドアDRの開作動に伴うチェック棒3の左方移動に対して内部バネ54の伸長力が抵抗力として作用する。
【0045】
すなわち、ドアチェック装置1の動作状態が解除レバー作動開始状態であるときには、車両ドアDRを開閉する際に大きな力、具体的には第1仕切り板9aに作用する第1バネ7aの伸長力と内部バネ54の伸長力との和よりも大きな力が必要である。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が解除レバー作動開始状態であるときには、第1バネ7aの伸長力および内部バネ54の伸長力が制動力として車両ドアDRに作用する。
【0046】
(解除開始状態)
ドアチェック装置1の動作状態が図6Cに示す解除レバー作動開始状態であるときからさらに車両ドアDRが開作動した場合、内側ケースユニットがさらにケース2に対して左方に相対移動するとともに、解除レバー62が第1係合突起63aによってより大きく回される。そして、図6Dに示す位置まで内側ケースユニットが移動したときに、解除レバー62の回転位置が所定の回転位置(第2の回転位置)に達する。解除レバー62の回転位置が第2の回転位置に達した時に、カム部材61によって保持部材5a,5bの内部要素が十分に押し込まれて保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除される。保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持の解除が開始されたときにおけるドアチェック装置1の動作状態を「解除開始状態」と呼ぶ。また、解除開始状態である場合におけるケース2内での一対の保持部材5a,5bの位置を「第2の位置」と呼ぶ。特に、車両ドアDRの開作動時における第2の位置(図6Dに示す一対の保持部材5a,5bの位置)を、「開作動位置」と呼ぶ。すなわち、本実施形態に係るドアチェック装置1の保持部材5a,5bは、第1の位置でチェック棒3を保持し、開作動位置でチェック棒3の保持を解除するように構成される。
【0047】
図6Dは、解除開始状態であるときにあるときにおけるドアチェック装置1の部分断面概略図である。解除開始状態では、チェック棒3が一対の保持部材5a,5bに保持されていないので、チェック棒3は一対の保持部材5a,5bと一体的に動かない。すなわち一対の保持部材5a,5bとチェック棒3がそれぞれ別々に移動することができる。また、解除開始状態では、一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持していないため、第1バネ7aの伸長力および一対の保持部材5a,5b内の内部バネ54の伸長力はチェック棒3に伝達されない。したがって、ドアチェック装置1の動作状態が解除開始状態であるときには小さな力で車両ドアDRを開くことができる。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が解除開始状態であるときには、車両ドアDRに制動力がほとんど作用しない。
【0048】
なお、上記図6A図6Dに示す一連の動作が進行する過程では、第1オイルダンパ8aのロッド82が収縮される。この場合において、前述したようにロッド82の圧縮荷重は小さいため、ロッド82の収縮動作が車両ドアDRの開作動(すなわちチェック棒3の移動動作)に影響することはない。
【0049】
(解除維持状態)
ドアチェック装置1の動作状態が図6Dに示す解除開始状態、すなわち一対の保持部材5a,5bが開作動位置(第2の位置)にある状態では、上述したようにチェック棒3が一対の保持部材5a,5bに保持されていない。したがって、車両ドアDRの開作動に伴いチェック棒3が左方に移動しても、その移動に追従して一対の保持部材5a,5b、解除部材6および内側ケース4は動作しない。また、一対の保持部材5a,5bが開作動位置(第2の位置)にあるときでも、第1バネ7aの伸長力は第1仕切り板9aを介して内側ケース4および保持部材5a,5bに作用する。このため、ドアチェック装置1の動作状態が解除開始状態とされた場合に、内側ケースユニットは第1バネ7aによって図6Dの矢印B1で示す右方向に移動する。これにより一対の保持部材5a,5bは第1バネ7aの伸長力により開作動位置から第1の位置向かって図6Dの右方に移動する。つまり、第1バネ7aは、保持部材5a,5bが開作動位置(第2の位置)にあるときに、保持部材5a,5bを第1の位置に戻す方向への復元力(伸長力)を保持部材5a,5bに付与する。
【0050】
また、解除レバー62に一対の保持部材5a,5b内に設けられた内部バネ54の伸長力が作用することによって、解除レバー62は図6Dにおいて反時計周り方向に回動しようとするため、内側ケースユニットが右方向に移動している場合であっても解除レバー62と第1係合突起63aとの係合が維持される。係合を維持しながら内側ケースユニットが図6Dの右方に移動すると、解除レバー62の回動位置が直立位置に近づくように反時計周り方向に回転する。しかしながら、解除開始後しばらくの間は、解除レバー62の直立位置からの回動角度が大きい。解除レバー62の回動角度が大きい場合には、一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持するための保持力が弱いので、実質的にチェック棒3の保持の解除が維持される。このようなドアチェック装置1の動作状態、すなわち解除開始状態以降の状態であって一対の保持部材5a,5bがチェック棒3の保持を実質的に解除している動作状態を「解除維持状態」と呼ぶ。図6Eは、解除維持状態におけるドアチェック装置1の部分断面概略図である。
【0051】
解除維持状態では、一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持していないため、第1バネ7aの伸長力および保持部材5a,5b内の内部バネ54の伸長力はチェック棒3に実質的に伝達されない。したがって、ドアチェック装置1の動作状態が解除維持状態であるときには小さな力で車両ドアDRを開くことができる。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が解除維持状態であるときには、車両ドアDRに制動力がほとんど作用しない。
【0052】
また、解除維持状態であるときに第1バネ7aの伸長力により第1仕切り板9aが図6Eにおいて矢印B1方向(右方向)に移動すると、第1仕切り板9aに接続された第1オイルダンパ8aのロッド82が伸ばされる。このためロッド82の伸び荷重が減衰力として第1仕切り板9aに作用する。第1仕切り板9aに作用する第1オイルダンパ8aからの減衰力の作用方向は、第1仕切り板9aに作用する第1バネ7aの伸長力(復元力)の作用方向と反対方向である。解除維持状態であるときにおける第1バネ7aの伸長力は一対の保持部材5a,5bが開作動位置から第1の位置に移動する際にその移動を促進するように保持部材5a,5bに作用する。したがって第1オイルダンパ8aからの減衰力は、一対の保持部材5a,5bが開作動位置から第1の位置に移動する際にその移動に対する抵抗力(反力)として、保持部材5a,5bに作用する。
【0053】
また、第1仕切り板9aに作用する第1オイルダンパ8aの減衰力は、第1仕切り板9aに作用する第1バネ7aの伸長力よりも小さくなるようにされている。すなわち、第1オイルダンパ8aは、保持部材5a,5bが第1バネ7aの伸長力(復元力)によって開作動位置から第1の位置に移動するときに、その移動に対する抵抗力であって、第1バネ7aの伸長力(復元力)よりも弱い反力を保持部材5a,5bに付与する。したがって、解除維持状態であるときに、第1仕切り板9aは、第1バネ7aの伸長力から第1オイルダンパ8aの減衰力を差し引いた力によって、図6Eの矢印B1で示す右方に付勢される。すなわち第1オイルダンパ8aの減衰力によって第1仕切り板9aが図6Eの右方に向かう力が低減される。その結果、図6Eの右方に向かう第1仕切り板9aの移動速度が低下し、第1仕切り板9aおよび内側ケースユニットはゆっくり図6Eの右方に向かって移動する。これにより、一対の保持部材5a,5bの開作動位置から第1の位置への復帰のタイミングが遅延される。つまり、第1オイルダンパ8aが発生する減衰力により、解除維持状態である時間が増大される。
【0054】
(保持開始状態)
ドアチェック装置1の動作状態が図6Eに示す解除維持状態であるときから、さらに内側ケースユニットが第1バネ7aの伸長力により図6Eの右方に移動すると、第1係合突起63aに接触している解除レバー62の回転位置が直立位置により近づく。そして、保持部材5a,5bがチェック棒3を保持し得る程度、逆に言えば保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持の解除を維持し得ない程度に解除レバー62の回転位置が直立位置に近づくと、一対の保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が開始される。一対の保持部材5a,5bによりチェック棒3の保持が開始されたときにおけるドアチェック装置1の動作状態を「保持開始状態」と呼ぶ。図6Fに保持開始状態におけるドアチェック装置1の部分断面概略図を示す。
【0055】
保持開始状態では、一対の保持部材5a,5bによってチェック棒3が保持されているため、車両ドアDRを開作動させた場合には第1バネ7aの伸長力および内部バネ54の伸長力がチェック棒3を介して車両ドアDRに作用する。したがって、ドアチェック装置1の動作状態が保持開始状態であるときに車両ドアDRを開く際には大きな力が必要である。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が保持開始状態であるときには、第1バネ7aの伸長力および内部バネ54の伸長力が制動力として車両ドアDRに作用する。
【0056】
(初期状態)
そして、図6Fに示す状態からさらに内側ケース4および一対の保持部材5a,5bが第1バネ7aの伸長力により図6Fの矢印B1で示す右方向に移動することにより、ドアチェック装置1の動作状態が初期状態に復帰する。図6Gに、動作状態が初期状態に復帰したドアチェック装置1の部分断面概略図を示す。この初期状態では上述したように一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持する。よって、ドアチェック装置1の動作状態が初期状態であるときに車両ドアDRを開く際には大きな力が必要である。換言すれば、ドアチェック装置1の動作状態が初期状態であるときには、第1バネ7aの伸長力が制動力として車両ドアDRに作用する。
【0057】
このように、車両ドアDRを開作動させるときに、ドアチェック装置1の動作状態が、初期状態→初動状態→解除レバー作動開始状態→解除開始状態→解除維持状態→保持開始状態→初期状態、というように順次変化する。なお、車両ドアDRを閉作動させるときにも、ドアチェック装置1の動作状態が上記と同様に順次変化する。
【0058】
車両ドアDRを閉作動させる場合におけるドアチェック装置1の作動について簡単に説明する。車両ドアDRが例えば全開状態で開閉動作を停止しているときは、ドアチェック装置1の動作状態は初期状態であり、一対の保持部材5a,5bの位置は第1の位置である。その状態から車両ドアを閉作動させた場合、チェック棒3が図6Aの右方に移動する。また、初期状態では一対の保持部材5a,5bがチェック棒3を保持しているため、チェック棒3の移動に伴い一対の保持部材5a,5bもケース2内で第1の位置から右方に移動する。保持部材5a,5bの右方への移動により第2バネ7bの伸長力が一対の保持部材5a,5bに作用する。この第2バネ7bの伸長力が、保持部材5a,5bの第1の位置からの移動に対する抵抗力として保持部材5a,5bに作用する。このため車両ドアDRを閉作動させるときに大きな力が必要になる。
【0059】
車両ドアDRの閉作動が進み、一対の保持部材5a,5bが車両ドアDRの閉作動時における第2の位置(閉作動位置)まで第1の位置から右方移動した場合、解除部材6が作動して一対の保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除される。これにより車両ドアDRを小さい力でスムーズに閉作動させることができる。また、一対の保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除された場合でも、一対の保持部材5a,5bには第2バネ7bの伸長力が作用しているため、この伸長力により、一対の保持部材5a,5bが閉作動位置から第1の位置に向かう方向(左方)に付勢される。このとき第2オイルダンパ8bの減衰力が一対の保持部材5a,5bに作用する。第2オイルダンパ8bの減衰力は、第2バネ7bによって一対の保持部材5a,5bが閉作動位置から第1の位置に移動するときに、その移動に対する抵抗力として保持部材5a,5bに作用する。そのため、一対の保持部材5a,5bによりチェック棒3の保持が解除されてから再びチェック棒3を保持するまでの時間が増加される。すなわち保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が開始されるタイミングが遅延される。
【0060】
第2バネ7bの伸長力によりさらに一対の保持部材5a,5bが第1の位置に向かう方向に移動すると、やがて一対の保持部材5a,5bがチェック棒3の保持を開始する。その後、保持部材5a,5bが第1の位置に復帰する。
【0061】
図7は、本実施形態に係るドアチェック装置1を使用して車両ドアDRを全閉状態から一定の速度で開作動させた場合における、車両ドアDRの開度と制動力との関係を示すグラフである。図7に示すように、車両ドアDRの開度が0°のとき、すなわち全閉状態であるときは、ドアチェック装置1の動作状態は初期状態である。初期状態では、上述したように第1バネ7aの伸長力が制動力F1として車両ドアDRに作用している。つまり、開度が0°のときにおける制動力がF1である。
【0062】
また、開度が0°からD1(>0)までの間は、ドアチェック装置1の動作状態は初動状態である。初動状態では、チェック棒3が保持部材5a,5bにより保持されている。また、0°〜D1まで開度が増加するにつれて第1バネ7aの圧縮量が増加するため、第1バネ7aからチェック棒3が受ける伸長力は開度の増加に比例して増加する。そのため、開度が0°からD1まで増加するにつれて、制動力も図7に示すようにF1からF2まで増加する。
【0063】
また、開度がD1〜D2(>D1)までの間は、ドアチェック装置1の動作状態は解除レバー作動開始状態である。解除レバー作動開始状態では、チェック棒3が一対の保持部材5a,5bにより保持されている。また、チェック棒3には、第1バネ7aの伸長力に加え、保持部材5a,5b内の内部バネ54の伸長力も作用する。このため、開度がD1〜D2である範囲における制動力の増加勾配は、開度が0〜D1である範囲における制動力の増加勾配よりも大きい。
【0064】
車両ドアDRの開度がD2に達したときに制動力が最大制動力F3とされる。そして、保持部材5a,5bが開作動位置(第2の位置)に達するとともにドアチェック装置1の動作状態が解除開始状態にされ、その直後にドアチェック装置1の動作状態が解除維持状態にされる。解除開始状態および解除維持状態では保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除されているために、チェック棒3には第1バネ7aからの伸長力および保持部材5a,5b内の内部バネ54の伸長力が伝達されない。そのため、開度D3(>D2)に達したときには制動力がF0(<F1)まで急激に低下する。そのためスムーズに(小さい力で)に車両ドアDRを開くことができる。
【0065】
車両ドアDRの開度がD3からD4(>D3)に達するまでは、ドアチェック装置1の動作状態が解除維持状態である。上述したように、解除維持状態では、第1オイルダンパ8aの減衰力が第1バネ7aの伸長力(復元力)の作用方向とは反対の方向に保持部材5a,5bに作用するため、保持部材5a,5bが開作動位置から第1の位置に移動するまでの時間を遅らせることができる。これにより、車両ドアDRの開作動中に保持部材5a,5bがチェック棒3を保持することによって急に制動力が増大することを防止できる。そして、車両ドアDRの開度がD4に達した時に、ドアチェック装置1の動作状態が保持開始状態とされて、保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が開始される。このため制動力が再び増加する。
【0066】
ここで、車両ドアDRの開度がD3よりも大きくD4よりも小さい開度D5に達したときに、車両ドアDRの開作動を停止させた場合を考える。車両ドアDRの開度がD5に達するときには、一対の保持部材5a,5bがケース2内で開作動位置から第1の位置に移動する途中であり、一対の保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持の解除は維持されている。つまりドアチェック装置1の動作状態が解除維持状態である。したがって、車両ドアDRに作用する制動力は小さい。しかし、その後は、車両ドアDRの開作動が開度D5で停止しているにも係わらず、時間の経過とともに一対の保持部材5a,5bが第1の位置に向かって移動し、やがてドアチェック装置1の動作状態が保持開始状態に移行し、さらに一対の保持部材5a,5bが第1の位置に達して初期状態に戻る。したがって、ドアチェック装置1の動作状態が初期状態に復帰した後に、車両ドアDRの開閉動作を再開したときには、その開閉動作に対して大きな制動力F1を作用させることができるのである。
【0067】
このように、本実施形態のドアチェック装置1を使用することにより、任意の開度(詳しくは開度D3〜D4の範囲内の任意の開度)で車両ドアDRの開作動を停止した場合、停止した開度位置にて車両ドアDRに制動力F1を作用させることができる。同様に、本実施形態のドアチェック装置1を使用することにより、任意の開度で車両ドアDRの閉作動を停止した場合、停止した開度位置にて車両ドアDRに制動力F1を作用させることができる。
【0068】
また、一般的に、車両のユーザが全閉状態の車両ドアの開作動(または閉作動)を開始してから、所望の開度で車両ドアの開作動(または閉作動)を停止させるまでの時間は概ね0.3秒未満である。したがって、ドアチェック装置1の動作状態が解除開始状態にされてから保持開始状態にされるまでの時間、つまり保持部材5a,5bがチェック棒3の保持を解除している時間(保持解除時間)が0.3秒以上であれば、車両ドアを開いている途中(または閉じている途中)に制動力が急に車両ドアに作用することを防止することができる。また、保持解除時間が長すぎる場合、例えば保持解除時間が0.8秒を越える場合、車両ドアの開作動(または閉作動)を停止してからドアチェック装置1によって車両ドアに制動力を付与するまでの時間が長すぎるため、その間に車両ドアが動くおそれがある。したがって、保持解除時間が長すぎてもよくない。保持解除時間の適切な範囲は、0.3秒以上であり且つ0.8秒以下である。本実施形態では、解除維持状態であるときに第1オイルダンパ8aまたは第2オイルダンパ8bの減衰力を保持部材5a,5bに付与することにより、保持解除時間を約0.5秒に設定している。このため、ユーザが車両ドアを開作動(または閉作動)させている最中に制動力が急に大きくなることを防止できるとともに、開作動(または閉作動)を停止させた後には速やかに制動力を発生させることで、意に反して車両ドアが停止位置から開閉することをも防止することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態にかかるドアチェック装置1は、車体Bに開閉可能に連結された車両ドアDRに取り付けられるケース2と、一方端が車体Bに揺動可能に連結され、ケース2内を挿通するとともに、車両ドアDRの開閉動作に伴ってケース2に対して軸方向に相対移動するチェック棒3と、チェック棒3の軸方向に沿ってケース2内の第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるようにケース2内に配設され、第1の位置にあるときにチェック棒3を保持するように構成された保持部材5a,5bと、ケース2内に配設され、保持部材5a,5bの第1の位置から第2の位置への移動に連動して作動することにより保持部材5a,5bが第2の位置にあるときに保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持を解除する解除部材6と、保持部材5a,5bが第1の位置から移動するときにその移動に対する抵抗力を保持部材5a,5bに付与するとともに保持部材5a,5bが第2の位置にあるときに保持部材5a,5bを第1の位置に戻す方向への復元力を保持部材5a,5bに付与するバネ(第1バネ7a,第2バネ7b)と、を備える。
【0070】
本実施形態に係るドアチェック装置1によれば、保持部材5a,5bは、ケース2内の第1の位置でチェック棒3を保持している。このとき車両ドアDRを開閉すると、チェック棒3の軸方向移動に伴って保持部材5a,5bがケース2内で第1の位置から第2の位置に向かって移動する。保持部材5a,5bの第1の位置から第2の位置への移動に伴い、保持部材5a,5bはバネ7aまたは7bの伸長力(抵抗力)によって第1の位置に戻ろうとする方向に付勢される。斯かる伸長力が車両ドアDRの開閉動作に対する抵抗力(制動力)として車両ドアDRに作用する。つまり、保持部材5a,5bが第1の位置にあるときに制動力が発生する。このような制動力に抗して車両ドアDRを開閉させて保持部材5a,5bを第1の位置から第2の位置(開作動位置または閉作動位置)に移動させた場合、保持部材5a,5bの第1の位置から第2の位置までの移動動作に応じて解除部材6が作動することにより、保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除される。保持が解除された場合、チェック棒3と保持部材5a,5bとの接続が解かれる。そのため保持部材5a,5bを付勢しているバネ7aまたは7bの伸長力がチェック棒3に作用しない。つまり、保持部材5a,5bが第2の位置にあるときには制動力が発生しない。このため小さい力でスムーズに車両ドアDRを開閉することができる。そして、任意の開度で車両ドアDRの開閉動作を停止した場合、保持部材5a,5bがバネ7aまたは7bの伸長力(復元力)により第1の位置に戻される。これにより再び制動力が発生する。つまり、車両ドアDRの開閉動作を任意の開度で停止した場合、その停止位置にて制動力が発生する。
【0071】
このように、本実施形態に係るドアチェック装置1によれば、開閉動作中に保持部材5a,5bを第2の位置に位置させることによりスムーズに車両ドアDRの開閉がなされるとともに、任意の開度で車両ドアDRの開閉動作を停止した場合にはその停止開度にて車両ドアDRに制動力を発生させることができる。また、本実施形態に係るドアチェック装置1によれば、車両ドアDRの開閉動作に連動して機械的に解除部材6が作動することによって保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除されるとともに、保持が解除された後にはバネ7a,7bの復元力で保持部材5a,5bが第1の位置に移動されることにより、再び制動力が発生するように構成される。こうした各部材の連動によって任意の停止開度で制動力を発生させることができるので、制御装置等を必要とせず、且つ複雑な制御も必要としない。このため比較的安価に構成され、且つ任意の開度位置で制動力を発生させることができるドアチェック装置を提供することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るドアチェック装置1は、バネ7aまたは7bの伸長力(復元力)によって保持部材5a,5bが第2の位置(開作動位置または閉作動位置)から第1の位置に移動するときにその移動に対する抵抗力であってバネ7aまたは7bの伸長力(復元力)よりも弱い減衰力(反力)を保持部材5a,5bに付与するオイルダンパ(第1オイルダンパ8a,第2オイルダンパ8b)を備える。これによれば、第1オイルダンパ8aまたは第2オイルダンパ8bによって、保持部材5a,5bが第2の位置から第1の位置まで戻るために要する時間が増加する。つまり、制動力が発生していない状態から制動力が発生している状態に移行するタイミングが遅延される。そのため車両ドアDRの開閉動作中に保持部材5a,5bが第1の位置に近づいて制動力が突然発生することにより車両ドアDRの開閉動作に支障を来すことを防止することができる。
【0073】
また、解除部材6は、解除レバー62と、一対の係合突起63a,63b(係合部材)と、カム部材61とを備える。解除レバー62は、ケース2内に回動可能に設けられ、保持部材5a,5bの移動に伴ってケース2内を移動するとともに、保持部材5a,5bが第1の位置にあるときに回転位置が直立位置(第1の状態)であるように構成される。係合突起63a,63bは、ケース2の内壁からケース2内に突出するようにケース2内に設けられ、保持部材5a,5bが第2の位置にあるときに解除レバー62の回転位置が直立位置から回動した回転位置(第2の回転位置)となるように、保持部材5a,5bの第1の位置から第2の位置までの移動中に解除レバー62に係合する。カム部材61は、解除レバー62に連結されるとともに保持部材5a,5bに接触可能に配置され、解除レバー62の回転位置が直立位置であるときに保持部材5a,5bによりチェック棒3が保持され、解除レバー62の回転位置が直立位置から回動した第2の回転位置であるときに保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持が解除されるように、解除レバー62の回転位置に応じて保持部材5a,5bとの接触状態(当たり面)が変化するように構成される。
【0074】
このように解除部材6を構成することにより、保持部材5a,5bの第1の位置から第2の位置への移動に伴って確実に解除レバー62を回動させて保持部材5a,5bによるチェック棒3の保持を解除することができる。したがって、ドアチェック装置の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、チェック棒3は、車両ドアDRの開作動に伴ってケース2に対して一方の軸方向に相対移動するとともに、車両ドアDRの閉作動に伴ってケース2に対して他方の軸方向に相対移動するように構成される。保持部材5a,5bは、車両ドアDRの開作動時にはチェック棒3の一方の軸方向に沿って第1の位置と車両ドアDRの開作動時における第2の位置である開作動位置との間を移動するとともに、車両ドアDRの閉作動時にはチェック棒3の他方の軸方向に沿って第1の位置と車両ドアDRの閉作動時における第2の位置である閉作動位置との間を移動するように構成される。そして、バネ7a,7bは、保持部材5a,5bが第1の位置から開作動位置に移動するときにその移動に対する抵抗力を保持部材5a,5bに付与するとともに保持部材5a,5bが開作動位置に位置しているときに保持部材5a,5bを第1の位置に戻す方向への復元力を保持部材5a,5bに付与する第1バネ7a(第1制動力付与部材)と、保持部材5a,5bが第1の位置から閉作動位置に移動するときにその移動に対する抵抗力を保持部材5a,5bに付与するとともに保持部材5a,5bが閉作動位置に位置しているときに保持部材5a,5bを第1の位置に戻す方向への復元力を保持部材5a,5bに付与する第2バネ7b(第2制動力付与部材)とを有する。
【0076】
これによれば、チェック棒3が一方の軸方向に移動した場合であっても他方の軸方向に移動した場合においても抵抗力および復元力を保持部材5a,5bに付与することができる。このため車両ドアDRの開作動時と閉作動時とで異なる方向にチェック棒3が移動する場合において、車両ドアDRの開作動時および閉作動時のいずれにおいても、確実に任意の開度で制動力を発生させることができる。
【0077】
また、オイルダンパ8a,8bは、第1バネ7aの伸長力(復元力)によって保持部材5a,5bが開作動位置から第1の位置に移動するときにその移動に対する抵抗力であって第1バネ7aの復元力よりも弱い減衰力(反力)を保持部材5a,5bに付与する第1オイルダンパ8a(第1反力付与部材)と、第2バネ7bの伸長力(復元力)によって保持部材5a,5bが閉作動位置から第1の位置に移動するときにその移動に対する抵抗力であって第2バネ7bの復元力よりも弱い減衰力(反力)を保持部材5a,5bに付与する第2オイルダンパ8b(第2反力付与部材)と、を備える。これによれば、チェック棒3が一方の軸方向に移動して開作動位置に位置している場合であっても他方の軸方向に移動して閉作動位置に位置している場合であっても、バネ7a,7bの復元力に対する反力(減衰力)を保持部材5a,5bに付与することができる。このため車両ドアDRの開作動時および閉作動時のいずれにおいても、確実に制動力が発生するタイミングを遅らせることができる。
【0078】
また、バネ7a,7bは一対の仕切り板9a,9bに係止され、バネ7a,7bの伸長力が一対の仕切り板9a,9bに作用するように構成される。また、バネ7a,7bの伸長力により移動する一対の仕切り板9a,9bの位置を規制する一対のストッパ21,22がケース2内に設けられている。そして、車両ドアDRの開作動時には仕切り板9bがストッパ22に係止され、車両ドアDRの閉作動時には仕切り板9aがストッパ21に係止される。これにより、開作動時には仕切り板9bが位置規制されることにより保持部材5a,5bにバネ7bの伸長力が作用することが防止され、閉作動時に仕切り板9aが位置規制されることにより保持部材5a,5bにバネ7aの伸長力が作用することが防止される。その結果、車両ドアDRの開作動時にバネ7bの伸長力によって制動力が低減されることを防止でき、車両ドアDRの閉作動時にバネ7aの伸長力によって制動力が低減されることを防止できる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、車両ドアDRに制動力を付与する部材としてバネ7a,7bを例示したが、制動力付与部材はバネに限定されない。例えば、ゴムあるいは流体圧を発生する流体圧発生機構等も制動力付与部材として用いることができる。また、上記実施形態では、保持部材5a,5bの第2の位置から第1の位置への移動に対する抵抗力であって復元力よりも弱い反力を保持部材5a,5bに付与する反力付与部材として減衰力を発生するオイルダンパ8a,8bを例示したが、反力付与部材はオイルダンパに限定されない。例えば、バネ、ゴムなどの弾性力を発生する部材、重力を利用した機構、あるいは慣性力を発生する機構等も、反力付与部材として用いることができる。すなわち、制動力付与部材および反力付与部材は、それぞれの機能を果たすように構成されていれば、どのようなものを用いても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、保持部材および解除部材として、図4及び図5に示す構成を例示したが、このような構成に限られない。図8は、他の例に係る保持部材および解除部材を示す斜視図であり、図9は、図8のIX−IX断面図である。図8および図9に示す保持部材5は、クリップ55とバネ56とを備える。また、解除部材6はカム部材61と解除レバー62を備える。
【0081】
クリップ55は、本体部551と、第1平板部552と、第2平板部553とを備える。本体部551は、チェック棒3の外周を覆うように略円筒形状に形成され、軸方向に沿ってスリット状の隙間が形成されている。本体部551は、図9に示すようにその軸方向に直交する平面で切断した断面形状がC字形状となるように形成される。本体部551の周方向に沿った両端部から第1平板部552および第2平板部553がそれぞれ平行に延設される。したがって、第1平板部552と第2平板部553は微小の隙間を隔てて対面する。
【0082】
第2平板部553の内表面(第1平板部552を向いた面)はフラットに形成される。一方、第1平板部552の内表面(第2平板部553を向いた面)には、2つの斜面により構成される窪み部分Cが形成される。窪み部分Cは、本体部551から第1平板部552が延在する方向に直交する平面で第1平板部552を切断した場合に、その断面形状がV字形状となるように形成される。また、窪み部分Cの谷間(谷線)が第1平板部552の延在方向に沿って形成される。
【0083】
第1平板部552にはその内表面から外表面(内表面とは反対側の面)にかけて貫通孔552aが形成され、第2平板部553にはその内表面から外表面にかけて貫通孔553aが形成される。貫通孔552aの中心軸と貫通孔553aの中心軸は一致する。そして、これらの貫通孔内に、カム部材61が挿通される。なお、本実施形態において、第1平板部552の貫通孔552aは、窪み部Cの谷間の一部分に開口するように形成される。
【0084】
カム部材61は、図9に示すように、鉛直部611と水平部612とを有する。鉛直部611は円柱状に形成される。この鉛直部611が貫通孔552aおよび貫通孔553aに挿通される。水平部612は鉛直部611の外表面から鉛直部611の軸方向に直交する方向に延設される。水平部612も円柱状に形成される。また、鉛直部611の図9において下端部分には、鉛直部611の径よりも大きい径を有する拡径部613が形成される。拡径部613は第2平板部553の外表面に係止される。
【0085】
鉛直部611の図9において上端に解除レバー62が固定される。解除レバー62は鉛直部611の軸心を中心として回動可能に構成される。また、鉛直部611のうち第1平板部552から突出した部分を覆うようにバネ56が鉛直部611の周囲に配設される。このバネ56の一端が第1平板部552の外表面に係止され、他端は解除レバー62に係止される。バネ56は、その両端が係止された状態で、常に伸長力を発生するように構成される。したがって、第1平板部552は、バネ56によって、常に第2平板部553に近づく方向に付勢される。
【0086】
カム部材61の水平部612が、第1平板部552と第2平板部553との間の隙間に配置される。水平部612は、解除レバー62が回動した場合に、それに伴って第1平板部552と第2平板部553との間で回動するように構成される。ここで、解除レバー62の回転位置が図8に示す位置、すなわちチェック棒3の軸方向に直交する方向に延在するような回転位置(直立位置)であるときには、水平部612は、第1平板部552の内表面に形成されている窪み部Cの谷間に沿って配置している。この位置に水平部612が配置された場合、バネ56の付勢力によってクリップ55がチェック棒3を締め付ける。このためチェック棒3が保持部材5に保持される。図10は、保持状態における保持部材5および解除部材6を示す図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は正面図である。
【0087】
一方、解除レバー62が図10に示す位置から回動した場合には、その回動に伴いカム部材61の水平部612も回動する。このため水平部612が第1平板部552の内表面の窪み部Cの谷間から窪み部Cを形成している斜面を駆け上がる。すると、水平部612によって第1平板部552と第2平板部553との間の隙間が押し拡げられる。このためクリップ55が開かれて、保持部材5によるチェック棒3の保持が解除される。図11は、解除状態における保持部材5および解除部材6を示す図であり、図11(a)は平面図、図11(b)は正面図である。
【0088】
このように、図8,9に示す保持部材5を用いた場合であっても、解除レバー62の回動動作に応じて保持状態と解除状態を切り換えることができる。
【0089】
また、保持部材を、例えば流体が充填されたシリンダと、シリンダ内に配置されシリンダ内の空間を第1の空間と第2の空間とに区画するピストンを有するように構成してもよい。このように保持部材を構成した場合、チェック棒は、ピストンに連結され、ピストンと一体的に動作するように構成される。また、ピストンにより区画された2つの空間が外部通路で連通され、外部通路中に絞り開度が可変のバルブが介装されるように構成される。そして、解除レバーの回動動作に応じてバルブの絞り開度が変化するように構成される。このように構成しても、解除レバーの回動動作に応じてピストンおよびチェック棒に作用する力を変化させることができるため、本発明に適用することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…ドアチェック装置、2…ケース、3…チェック棒(棒状部材)、4…内側ケース、5,5a,5b…保持部材、51…本体、51a…テーパ面、51b…フランジ部、52…リテーナ、53…ボール、54…内部バネ、55…クリップ、551…本体部、552…第1平板部、553…第2平板部、56…バネ、6…解除部材、61…カム部材、62…解除レバー、63a…第1係合突起(係合部材)、63a,…第2係合突起(係合部材)、611…鉛直部、612…水平部、613…拡径部、7a…第1バネ(制動力付与部材、第1制動力付与部材)、7b…第2バネ(制動力付与部材、第2制動力付与部材)、8a…第1オイルダンパ(反力付与部材、第1反力付与部材)、8b…第2オイルダンパ(反力付与部材、第2反力付与部材)、81…シリンダボディ、82…ロッド、83…ピストン、9a…第1仕切り板、9b…第2仕切り板、21…第1ストッパ、22…第2ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8
図9
図10
図11