【実施例】
【0154】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」、「%」とは「重量部」、「重量%」を意味する。
【0155】
また、顔料の平均一次粒子径、および樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下の通りである。
【0156】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0157】
(樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK−GEL SUPER HZM−Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0158】
<バインダー樹脂の製造方法>
(バインダー樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0159】
(バインダー樹脂溶液2の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0160】
(バインダー樹脂溶液3の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、グリセロールモノメタクリレート8.5部及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイオキシルエチルイソシアネート6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液3を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0161】
(バインダー樹脂溶液4の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100モル%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。
更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100モル%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させカルボキシル基と、共重合体溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液4を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0162】
<微細化顔料の製造方法>
(青色微細化顔料(P−1):PB15:6)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー株式会社「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の青色微細化顔料(P−1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0163】
(紫色微細化顔料(P−2):PV23)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(Clariant社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(P−2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26.4nmであった。
【0164】
(赤色微細化顔料(P−3):PR254)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(P−3)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は24.8nmであった。
【0165】
(黄色微細化顔料(P−4):PY150)
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 150(ランクセス社製「E−4GN」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、95部の黄色微細化顔料(P−4)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は39.2nmであった。
【0166】
(緑色微細化顔料(P−5):PG36)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(トーヨーカラー株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部の緑色微細化顔料(P−5)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は32.6nmであった。
【0167】
(赤色微細化顔料(P−6):PR177)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(P−6)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は38.9nmであった。
【0168】
<顔料ペーストの製造方法>
(顔料ペーストPP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(PP−1)を作製した。
微細化顔料(P−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :35.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部
樹脂型分散剤 :15.0部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」の20%PGMAc溶液)
【0169】
(顔料ペーストPP−2〜6の作製)
表1に記載した微細化顔料の種類に変更した以外は、顔料ペースト(PP−1)と同様に顔料ペースト(PP−2〜6)を得た。
【0170】
表1
【表1】
【0171】
<カチオン性シアニン系染料の合成方法>
以下カチオン性シアニン系染料はJ. Org. Chem.,1995,60(8), pp 2411-2422、J. Am. Chem. Soc.,2011,133(40), pp 15870-15873を参考にした。
下記反応スキーム1〜2に従って、本発明におけるカチオン性シアニン系染料A−1〜4、B−1〜4、C−1〜5、D−1〜4、E−1〜4及びF−1〜4をそれぞれ合成した。
【0172】
(カチオン性シアニン系染料A−1の合成)
カチオン性シアニン系染料A−1は、まず中間体A−1を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−1を合成した。(反応スキーム1)
【0173】
反応スキーム1
【化13】
【0174】
(中間体A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100mL4口フラスコに2,3,3−トリメチルインドレニン 5g、1−ヨードエタン 7.35g、アセトニトリル 10mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40mL加え、洗浄し吸引ろ過した。8.61gの生成物を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0175】
(A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに中間体A−1 8.61g、無水酢酸15mL加え、そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 4.05g滴下し、加熱還流させた。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、6.16gの生成物を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0176】
(カチオン性シアニン系染料A−2の合成)
【化14】
【0177】
中間体A−1の1−ヨードエタンを1−ヨードブタンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.49gの生成物(中間体A−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体A−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.68gの生成物(A−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0178】
(カチオン性シアニン系染料A−3の合成)
【化15】
【0179】
中間体A−1の1−ヨードエタンを1−ヨード−2−エチルヘキサンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.79gの生成物(中間体A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体A−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.92gの生成物(A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0180】
(カチオン性シアニン系染料A−4の合成)
【化16】
【0181】
中間体A−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.04gの生成物(中間体A−4)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=200.28(分子量200.14)で目的物であることを確認した。中間体A−4 を用い、反応温度を80 ℃に変更した以外は、A−1と同様に合成した。4.60gの生成物(A−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0182】
(カチオン性シアニン系染料B−1の合成)
【化17】
【0183】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3−トリメチル−4,5−ベンゾ−3H−インドールに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.59gの生成物(中間体B−1)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体B−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.79gの生成物(B−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0184】
(カチオン性シアニン系染料B−2の合成)
【化18】
【0185】
中間体B−1の1−ヨードエタンを2−ヨードプロパンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.27gの生成物(中間体B−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体B−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.33gの生成物(B−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0186】
(カチオン性シアニン系染料B−3の合成)
【化19】
【0187】
中間体B−1の1−ヨードエタンを1−ヨードヘキサンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.56gの生成物(中間体B−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体B−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.48gの生成物(B−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0188】
(カチオン性シアニン系染料B−4の合成)
【化20】
【0189】
中間体B−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、4.96gの生成物(中間体B−4)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体B−4を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.68gの生成物(B−4)を得た。収率は64%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0190】
(カチオン性シアニン系染料C−1の合成)
【化21】
【0191】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−ブロモ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.53gの生成物(中間体C−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行な、目的物であることを確認した。中間体C−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.89gの生成物(C−1)を得た。収率は92%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0192】
(カチオン性シアニン系染料C−2の合成)
【化22】
【0193】
中間体C−1の1−ヨードエタンを1−ヨードブタンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、7.80gの生成物(中間体C−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体C−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.04gの生成物(C−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0194】
(カチオン性シアニン系染料C−3の合成)
【化23】
【0195】
中間体C−1の1−ヨードエタンを1−ヨードヘキサンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、8.04gの生成物(中間体C−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体C−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.14gの生成物(C−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0196】
(カチオン性シアニン系染料C−4の合成)
【化24】
【0197】
中間体C−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、4.43gの生成物(中間体C−4)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体C−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.50gの生成物(C−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0198】
(カチオン性シアニン系染料C−5の合成)
カチオン性シアニン系染料A−1は、まず中間体C−5を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料C−5を合成した。(反応スキーム2)
【0199】
反応スキーム2
【化25】
【0200】
(中間体C−5の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに中間体C−1a 5g、無水酢酸15mL加え、加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてN,N'-ジフェニルホルムアミジン 3.08g滴下した。1時間後、室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30mL加え30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、ジエチルエーテル 30mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.80gの生成物を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0201】
(C−5の合成)
中間体C−5aを温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100mL4口フラスコに加えた。そこへさらにエタノール 30mL、トリエチルアミン 0.5mL、中間体A−1 4g加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30mL加え、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、2.76gの生成物を得た。収率は35%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0202】
(カチオン性シアニン系染料D−1の合成)
【化26】
【0203】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.12gの生成物(中間体D−1)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
中間体D−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.15gの生成物(D−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0204】
(カチオン性シアニン系染料D−2の合成)
【化27】
【0205】
中間体D−1の1−ヨードエタンを1−ヨードブタンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、8.58gの生成物(中間体D−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体D−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44gの生成物(D−2)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0206】
(カチオン性シアニン系染料D−3の合成方法)
【化28】
【0207】
中間体D−1の1−ヨードエタンを1−ヨードヘキサンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、9.11gの生成物(中間体D−3)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体D−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.85gの生成物(D−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0208】
(カチオン性シアニン系染料D−4の合成方法)
【化29】
【0209】
中間体D−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、5.60gの生成物(中間体D−4)を得た。収率は60%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体D−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.91gの生成物(D−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0210】
(カチオン性シアニン系染料E−1の合成方法)
【化30】
【0211】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3,5−テトラメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.46gの生成物(中間体E−1)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体E−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.32gの生成物(E−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0212】
(カチオン性シアニン系染料E−2の合成方法)
【化31】
【0213】
中間体E−1の1−ヨードエタンを1−ヨードブタンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.07gの生成物(中間体E−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体E−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44gの生成物(E−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0214】
(カチオン性シアニン系染料E−3の合成方法)
【化32】
【0215】
中間体E−1の1−ヨードエタンを1−ヨードヘキサンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.34gの生成物(中間体E−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体E−3を用いた以外は、A−1と同様に合成した。6.25gの生成物(E−3)を得た。収率は79%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0216】
(カチオン性シアニン系染料E−4の合成方法)
【化33】
【0217】
中間体E−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、6.11gの生成物(中間体E−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体E−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.93gの生成物(E−4)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0218】
(カチオン性シアニン系染料F−1の合成方法)
【化34】
【0219】
中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−メトキシ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.03gの生成物(中間体F−1)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体F−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.06gの生成物(F−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0220】
(カチオン性シアニン系染料F−2の合成方法)
【化35】
【0221】
中間体F−1の1−ヨードエタンを1−ヨードブタンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、8.58gの生成物(中間体F−2)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体F−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.36gの生成物(F−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0222】
(カチオン性シアニン系染料F−3の合成方法)
【化36】
【0223】
中間体F−1の1−ヨードエタンを1−ヨードヘキサンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、9.01gの生成物(中間体F−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体F−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.61gの生成物(F−3)を得た。収率は86%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0224】
(カチオン性シアニン系染料F−4の合成方法)
【化37】
【0225】
中間体F−1の1−ヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、6.23gの生成物(中間体F−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。中間体F−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、3.17gの生成物(F−4)を得た。収率は61%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0226】
<硫酸アニオン>
硫酸アニオン(G−1)、硫酸アニオン(G−2)は市販品を使用した。
【化38】
【0227】
<硫酸アニオンの製造>
硫酸アニオンの製造は、硫酸化合物を製造する工程と、得られた硫酸化合物を塩にする工程とからなる。
以下硫酸化合物の製造について示す。硫酸化合物の製造は欧州特許出願公開第2287146号明細書を参考にした。
下記反応スキーム1〜3に従って、本発明における硫酸化合物G−3〜G−10をそれぞれ合成した。
【0228】
(硫酸化合物G−3の合成方法)
反応スキーム1
【化39】
【0229】
200mLナスフラスコに2−エチル−1−ヘキサノール 10g、ピリジン 130mL、三酸化硫黄ピリジン錯体18.33gを加え20℃で24時間撹拌させた。エバポレーターにて減圧下で溶剤を留去し、固形物を取り出した。真空乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、10.33gの生成物を得た。収率は64%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0230】
(硫酸化合物G−4の合成方法)
【化40】
【0231】
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを2−[2−(2−エチルーヘキシルオキシ)−エトキシ]−エタノールに変更した以外はG−3と同様に合成し、8.88gの生成物を得た。収率は65%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0232】
(硫酸化合物G−5の合成方法)
【化41】
【0233】
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールに変更した以外はG−3と同様に合成し、9.95gの生成物を得た。収率は64%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0234】
(硫酸化合物G−6の合成方法)
【化42】
【0235】
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールをシクロドデカノールに変更した以外はG−3と同様に合成し、10.04gの生成物を得た。収率は70%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0236】
(硫酸化合物G−7の合成方法)
【化43】
【0237】
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを4,4'−ビシクロヘキサノールに変更した以外はG−3と同様に合成し、9.50gの生成物を得た。収率は66%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0238】
(硫酸化合物G−8の合成方法)
【化44】
【0239】
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを4−フェニルブチルアルコールに変更した以外はG−3と同様に合成し、10.58gの生成物を得た。収率は69%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0240】
(硫酸化合物G−9の合成方法)
硫酸化合物C−9は、まず中間体C−9を合成した後に、次のステップで目的物である硫酸化合物C−9を合成した。(反応スキーム2)
【0241】
反応スキーム2
【化45】
【0242】
(中間体G−9の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口に2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール 10g、DMAc100mL、水酸化ナトリウム 3.04g加え、80℃で加熱撹拌させた。そこへ滴下ろうとを用いて1−ブロモ−2−エチルヘキサンを 16.77 g滴下した。6時間後、室温まで冷却し、酢酸エチルを 50mL、水500mL加え、分液操作を行い、有機層を抽出した。エバポレーターにて減圧下で溶剤を留去し、16.49gの生成物を得た。収率は91%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0243】
(G−9の合成)
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを中間体G−9に変更した以外はG−3と同様に合成し、15.45gの生成物を得た。収率は71%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0244】
(硫酸アニオンG−10の合成方法)
硫酸化合物C−10は、まず中間体C−10を合成した後に、次のステップで目的物である硫酸化合物C−10を合成した。(反応スキーム3)
【0245】
反応スキーム3
【化46】
【0246】
(中間体G−10の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した200 mL3口に3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸 10g、クロロホルム100mL、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド 5.53g加え、30度で撹拌させた。そこへアミノヘキシルアルコールを 4.68 gを水100mLに溶解させ、滴下ろうとを用いて滴下した。4時間後、クロロホルムを50mL加え、分液操作を行い、有機層を抽出した。エバポレーターにて減圧下で溶剤を留去した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=10/1(容積比))で精製して、7.25 gの生成物を得た。。収率は52%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0247】
(G−10の合成)
G−3の2−エチル−1−ヘキサノールを中間体G−10に変更した以外はG−3と同様に合成し、6.50 gの生成物を得た。収率は73%であった。NMR分析装置(JEOL RESONANCE製ECX−400P)にて
1H‐NMR、および
13C‐NMRで化合物の同定を行ない、目的物であることを確認した。
【0248】
<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(ZC−1))
下記の手順でカチオン性シアニン系染料(D−2)と硫酸アニオン(G−1)とからなる造塩化合物(ZC−1)を製造した。
【0249】
水100 gと、メタノール300g、メチルエチルケトン100g、アセトン100gの混合溶剤に5.43gのドデシル硫酸ナトリウム(G−1)と、10.0gのカチオン性シアニン系染料(D−2)を溶解させ、60 ℃で240分攪拌した。その後、エバポレーターにて減圧下で溶剤を留去し、固形物を取り出した。この固形物に水1000gを加え、25 ℃で180分攪拌し、吸引濾過した。また、400gの水で洗浄し、塩を完全に除去し、乾燥機で乾燥し、9.12gの、カチオン性シアニン系染料(D−1)と硫酸アニオン(G−1)との造塩化合物(ZC−1)を得た。
【0250】
(造塩化合物(ZC−2、ZC−11〜ZC−35、ZC−38〜ZC−40))
カチオン性シアニン系染料と硫酸アニオンの種類と重量部を、表2に示す内容に変更した以外は、造塩化合物(ZC−1)と同様にして、各種カチオン性シアニン系染料と各種硫酸アニオンとからなる造塩化合物(ZC−2、ZC−11〜ZC−35、ZC−38〜ZC−40)を製造した。
【0251】
(造塩化合物(ZC−3))
下記の手順で硫酸化合物(G−3)を硫酸アニオンに調整し、カチオン性シアニン系染料(D−2)とからなる造塩化合物(ZC−3)を製造した。
【0252】
硫酸化合物G−3 3.95 g、水酸化ナトリウムを 0.75 gを水100 gに溶解させ、30分撹拌させ、硫酸化合物G−3のナトリウム水溶液を調整した。この硫酸ナトリウム水溶液にメタノール300g、メチルエチルケトン100g、アセトン100gを加え、混合溶液とし、10.0gのカチオン性シアニン系染料(D−2)を溶解させ、60 ℃で240分攪拌した。その後、エバポレーターにて減圧下で溶剤を留去し、固形物を取り出した。この固形物に水1000gを加え、25 ℃で180分攪拌し、吸引濾過した。また、400gの水で洗浄し、塩を完全に除去し、乾燥機で乾燥し、9.14gの、カチオン性シアニン系染料(D−2)と硫酸化合物(G−3)を硫酸アニオンに調整したものとの造塩化合物(ZC−3)を得た。
【0253】
(造塩化合物(ZC−4〜ZC−10))
カチオン性シアニン系染料と硫酸化合物の種類と重量部を、表2に示す内容に変更した以外は、造塩化合物(ZC−3)と同様にして、各種カチオン性シアニン系染料と各種硫酸アニオンとからなる造塩化合物(ZC−4〜ZC−10)を製造した。
【0254】
(造塩化合物(ZC−36〜ZC−37))
カチオン性シアニン系染料、硫酸アニオンの種類と重量部を、表2に示すカチオン性染料とアニオンの種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZC−1)と同様にして、各種カチオン性染料と各種アニオンとからなる造塩化合物(ZC−36〜ZC−37)を製造した。
<造塩化合物の評価>
得られた造塩化合物について、溶剤溶解性に関する試験を下記の方法で行った。
(溶剤溶解性試験方法)
評価は5wt%の濃度に調製した造塩化合物溶液の溶解状態を観察して行った。溶剤に
はシクロヘキサノンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC
)を用いた。各造塩体溶液は5wt%の濃度に調製後、ミキサーにて攪拌し、さらに1時
間静置させものを評価溶液とした。溶解状態は以下に示す4段階の基準で評価した。試験の結果は表2に示してある。△以下は使用困難なレベルである。
◎:完全溶解
○:殆ど溶解
△:一部溶解
×:不溶
【0255】
本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定の硫酸アニオンの造塩化合物(ZC−1〜35)はPGMAc、シクロヘキサノンいずれの溶剤にも良好な溶解性を示した。
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、硫酸アニオンの造塩化合物(ZC−36〜37)はPGMAc、シクロヘキサノン、いずれの溶剤への溶解性は大きく劣った。
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定ではないアニオンとの造塩化合物(ZC−38〜40)は、PGMAc、シクロヘキサノンいずれの溶剤への溶解性は大きく劣った。
【0256】
表2
【表2】
【0257】
<染料ペーストの製造方法>
[実施例1]
(染料ペーストDP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(DP−1)を作製した。
造塩化合物(ZC−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :50.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部
【0258】
[実施例2〜35、比較例1〜5]
(染料ペースト(DP−2〜DP−40))
表3に示す造塩化合物の種類を変更した以外は、染料ペーストDP−1と同様にして染料ペーストDP−2〜DP−40を作製した。
なお、実施例11〜18、27〜35は参考例である。
【0259】
<染料ペーストの評価>
得られた染料ペースト(DP−1〜40)の経時異物評価に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は表3に示してある。
【0260】
(経時異物試験方法)
染料ペースト(DP−1〜40)を1週間室温(25℃)にて放置し、異物の発生の有無を観測した。×は使用困難なレベルである。
○:異物なし
×:異物が沈殿
【0261】
表3
【表3】
【0262】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定の硫酸アニオンの造塩化合物を含んだ染料ペースト(DP−1〜35)は溶剤への溶解性が高く、経時での安定性も良好なため着色組成物として使用可能である(実施例1〜35)。
【0263】
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、硫酸アニオンの造塩化合物を含んだ染料ペースト(DP−36〜37)は溶剤への溶解性が低く、異物が発生した(比較例1〜2)。
【0264】
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定ではないアニオンとの造塩化合物を含んだ染料ペースト(DP−38〜40)は溶剤への溶解性が悪く、異物が発生した(比較例3〜5)。
【0265】
[実施例36]
(インキ(DV−1)の製造)
染料ペースト(DP−1)10部にジオキサジンバイオレット顔料(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET FG−6240」)を50部、ポリウレタン系ワニス35部、溶剤(MEKと酢酸プロピルの混合物)を20部、3mmアルミナビーズ150部を混合しペイントコンディショナーで60分間分散し、インキ(DV−1)を得た。
【0266】
[比較例6、7]
比較例として、DP−1をDP−36に変更したインキ(DV−2)、DP−38に変更した(DV−3)を同様に製造した。
【0267】
<インキの評価>
得られたインキ(DV−1〜3)の経時異物評価に関する試験を下記の方法で行った。
【0268】
(試験方法および試験結果)
インキ(DV−1〜3)を、用紙にバーコーターを用いて展色した。
【0269】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定の硫酸アニオンの造塩化合物を含んだインキ(DV−1、実施例36)は、本染料ペーストを添加することで赤味を帯びたバイオレット色となり、分散性が高く、異物の発生もなく展色することが可能であった。
【0270】
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、硫酸アニオンの造塩化合物を含んだインキ(DV−2、比較例6)は染料が沈降、分散性も悪く、用紙上に異物が発生した。
【0271】
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定ではないアニオンとの造塩化合物を含んだインキ(DV−3、比較例7)は染料が沈降し、分散性も悪く、用紙上に異物が発生した。
【0272】
<着色組成物の製造方法>
[実施例37]
(着色組成物(DB−1)の作製)
顔料ペースト(PP−3)と、染料ペースト(DP−1)を乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」C光源)測定においてx=0.66、y=0.32となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合することで、着色組成物(DB−1)を得た。
【0273】
[実施例38〜71、比較例8〜12]
(着色組成物(DB−2〜40)の作製)
表4に示す顔料ペースト、染料ペーストの種類に変更した以外は実施例37と同様にして着色組成物(DB−2〜40)を製造した。
なお、実施例47〜54、63〜71は参考例である。
【0274】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DB−1〜40)について、耐熱性、明度、およびコントラスト比、塗膜異物評価に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は表4に示してある。
【0275】
(塗膜の耐熱性評価方法)
着色組成物(DB−1〜40)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の3段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))
2+ (a*(2)- a*(1))
2+( b*(2)- b*(1))
2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上、5.0以上
【0276】
(塗膜の明度評価方法)
着色組成物(DB−1〜40)を、スピンコーターにて100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にx=0.66になるように塗布し、オーブンにて230℃で30分焼成し、得られた着色組成物の塗布基板を得た。得られた塗布基板を用いて、明度(分光透過率)を測定した。 なお、XYZ表色系色度図における明度(分光透過率)の測定は、分光光度計(OTSUKA LCF―1100M)を用いて行った。
判定基準は以下の通りである。×は使用困難なレベルである。
◎:18.0以上
○:17.6以上18.0未満
×:17.6未満
【0277】
(塗膜のコントラスト比評価方法)
着色組成物(DB−1〜40)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、回転数を変えて、230℃での熱処理後の膜厚が約1.5μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。乾燥条件は、塗布後70℃で20分、さらに230℃で30分であり、それぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。
×は使用困難なレベルである。
◎:CR≧10000以上
○:CR=5000以上、10000未満
△:CR=3000以上、5000未満
×:CR=3000未満
【0278】
(塗膜異物試験方法)
調製直後の着色組成物(DB−1〜40)にて試験基板を作製し、塗膜析出物の数をカウントすることで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、オーブンで230℃、20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5視野にて観測可能な塗膜析出物の数をカウントする。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【0279】
表4
【表4】
【0280】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定の硫酸アニオンの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−1〜35)は耐熱性、コントラスト比、明度の観点で、非常に良好な結果となった(実施例37〜71)。
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、硫酸アニオンの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−36〜37)は非常に大きな蛍光が観測されたためコントラスト比が実施例に比べると大きく劣る結果となった(比較例8、9)。
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定ではないアニオンとの造塩化合物を含んだ着色組成物(DB−38〜40)は、実施例に比べ溶剤への溶解性が悪く、さらに耐熱性も大きく劣るため塗膜が荒れ、その結果、コントラスト比や明度も大きく劣る結果となった(比較例10〜12)。
【0281】
<感光性着色組成物(レジスト材)の製造>
[実施例72]
(レジスト材(R−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−1)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液1 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0282】
[実施例73〜106、比較例13〜17]
(レジスト材(R−2〜40))
以下、着色組成物(DB−1)を表5に示す着色組成物に変更した以外は実施例72と同様にして、アルカリ現像型レジスト材(R−2〜40)を作製した。
なお、実施例82〜89、98〜106は参考例である。
【0283】
[実施例107]
(レジスト材(R−41))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−41)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液2 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0284】
[実施例108]
(レジスト材(R−42))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−42)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液3 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0285】
[実施例109]
(レジスト材(R−43))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−43)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液4 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0286】
<感光性着色組成物(レジスト材)の評価>
得られたレジスト材(R−1〜43)について、耐熱性、明度、コントラスト比、異物評価に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は上記表5に示した。
【0287】
(塗膜の耐熱性評価)
得られたレジスト材(R−1〜43)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
×:ΔEab*が3.0以上、5.0以上
【0288】
(塗膜の明度評価)
得られたレジスト材(R−1〜43)をスピンコーターにてx=0.66になるように、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に塗布し、50mJ/cm
2の露光量で紫外線により露光した後、23℃の0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像し、オーブンにて230℃で30分焼成し、得られた感光性着色組成物の塗布基板を得た。得られた塗布基板を用いて、明度(分光透過率)を測定した。 なお、XYZ表色系色度図における明度(分光透過率)の測定は、分光光度計(OTSUKA LCF―1100M)を用いて行った。
判定基準は以下の通りである。×は使用困難なレベルである。
◎:18.0以上
○:17.6以上18.0未満
×:17.6未満
【0289】
(コントラスト比の評価)
得られたレジスト材(R−1〜43)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、回転数を変えて、230℃での熱処理後の膜厚が約1.5μm前後となるように3枚の基板に塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm
2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで220℃で30分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板のそれぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。
×は使用困難なレベルである。
◎:CR≧10000以上
○:CR=5000以上、10000未満
△:CR=3000以上、5000未満
×:CR=3000未満
【0290】
(塗膜異物試験方法)
得られたレジスト材(R−1〜43)を用いて試験基板を作製し、塗膜析出物の数をカウントすることで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、オーブンで230℃、20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5視野にて観測可能な塗膜析出物の数をカウントする。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【0291】
表5
【表5】
【0292】
着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定のイミド酸アニオンの造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−1〜35、R−41〜43)は耐熱性、コントラスト比、明度の観点で、非常に良好な結果となった。(実施例72〜106)
しかし、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料ではないカチオン染料と、硫酸アニオンの造塩化合物を含んだ感光性着色組成物(R−36〜37)は非常に大きな蛍光が観測されたためコントラスト比が実施例に比べると大きく劣る結果となった(比較13、14)。
また、着色剤として本願特定のカチオン性シアニン系染料と本願特定ではないアニオンとの造塩化合物を含んだ着色組成物(R−38〜40)は実施例に比べ溶剤への溶解性が悪く、さらに耐熱性も大きく劣るため塗膜が荒れ、その結果、コントラスト比や明度も大きく劣る結果となった(比較例15〜17)。
【0293】
<カラーフィルタの製造>
まず、カラーフィルタの作製に使用する青色感光性着色組成物、及び緑色感光性着色組成物の作製を行った。尚、赤色については感光性着色組成物(R−1)を使用した。
【0294】
(青色感光性着色組成物(RB−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物(RB−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−1) 24.0部
顔料ペースト(PP−2) 10.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0295】
(緑色感光性着色組成物(RG−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物(RG−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−4) 17.0部
顔料ペースト(PP−5) 17.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0296】
[実施例110]
(カラーフィルタの作製)
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色感光性着色組成物(R−1)を、膜厚が2.0umになるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色感光性着色組成物(RG−1)を膜厚が2umになるように、青色感光性着色組成物(RB−1)を膜厚が2umになるように、それぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0297】
本発明の赤色感光性着色組成物(R−1)を用いることにより、高コントラスト比、高明度であるカラーフィルタを作製することが可能であった。