【実施例】
【0042】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、表中の数字は重量部を表す。
【0043】
[製造例1〜6]防滑性印刷インキの製造
表1の配合に従い、顔料、アルカリ可溶型水溶性樹脂、必要に応じて水をサンドミルにて練肉した後、他の樹脂および添加剤を混合、粘度が離合社製ザーンカップ#4で20秒となるように水で調整し、防滑性印刷インキ NSインキ1〜NSインキ6とした。ただし、表1中の重量部は固形部を示す。
LIONOLBLUE−FG7330:トーヨーカラー社製・フタロシアニン系藍顔料
JSR0548:JSR社製・スチレン−ブタジエン共重合体 Tg−49℃
JSR0568:JSR社製・スチレン−ブタジエン共重合体 Tg−23℃
JSR0569V:JSR社製・スチレン−ブタジエン共重合体 Tg−4℃
ジョンクリル74J:BASF社製・スチレン−アクリルエマルジョン Tg28℃
LUCIDENE361:ダウケミカル社製・スチレン−アクリルエマルジョン Tg75℃
LUCIDENE370:ダウケミカル社製・スチレン−アクリルエマルジョン Tg100℃
ミズカシルP−526:水澤化学工業社製・シリカ粉 粒径3μm
スミカフレックス400HQ:住化ケムテックス社製・エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン
Tg0℃
ジョンクリル63J:BASF社製・アルカリ可溶型水溶性樹脂 Tg73℃ 酸価213
ケミパールW900:三井化学社製・ポリエチレンワックス 粒径0.6μm
DOWCORNING 65 ADDITIVE:東レ社製・シリコーン消泡剤
【0044】
[製造例7〜10]シート方式用防滑性ワニスの製造
表2の配合に従い、樹脂等を混合、粘度が離合社製ザーンカップ#4で25秒となるように水で調整し、シート方式用防滑性ワニス NSワニスS1〜NSワニスS4とした。ただし、表2中の重量部は固形部を示す。
LUCIDENE604:ダウケミカル社製・スチレン−アクリルエマルジョン Tg−20℃
LUCIDENE605:ダウケミカル社製・スチレン−アクリルエマルジョン Tg−40℃
【0045】
[製造例11]プレプリント方式用防滑性ワニスの製造
4つ口フラスコに、表3に示す組成の活性剤、コロイダルシリカおよび水を入れ、窒素ガスで置換したのち60℃に加熱し、重合性モノマーを混合して滴下ロートから2時間かけて滴下した。この間、反応温度は60〜75℃に保った。重合性モノマーの滴下を終了後、75℃で2時間熟成し、プレプリント方式用防滑性ワニス NSワニスP1を得た。なお、重合開始剤としては、NSワニスP1 100部に対して、有機過酸化物(t−ブチルハイドロパーオキサイド)0.08部と、還元剤(ロンガリット)0.07部とを組み合わせて用いた。ただし、表3中のコロイダルシリカ量は固形部である。
スノーテックスST−CM:日産化学工業社製・コロイダルシリカ 平均粒径20〜25nm
エマルゲンA−60:花王社製・非イオン性活性剤
アクワロンHS−10:第一工業製薬社製・反応性活性剤
【0046】
[インキ/インキ面またはワニス/ワニス面の滑り角度測定]
製造例1〜9で得られたNSインキ1〜NSインキ5および普通インキは、粘度が離合社製ザーンカップ#4で15秒となるように水で調整、NSワニスS1〜NSワニスS3、NSワニスP1および普通ワニスは、粘度が離合社製ザーンカップ#4で20秒となるように水で調整し、各々ミヤバーにて段ボールライナー紙の表面にベタ状に塗布量2g/m
2(乾燥重量)となるように塗工した。傾斜式滑り角測定器(日本TMC社製)を用い、インキ/インキ面またはワニス/ワニス面の滑り角度を測定した。測定は段ボール業界規格T0005に従い、繰り返し5回行い、平均値をとった。測定環境は23℃、50%RH。表4に結果を示す。
普通インキ:東洋インキ社製「アクワコンテNEO」
普通ワニス:東洋インキ社製「LOX撥水OPワニスSK」
段ボールライナー紙:特種東海製紙社製「KBNライナー」
【0047】
[実施例1]
段ボールライナー紙の表面にベタ状に塗布量2g/m
2(乾燥重量)となるように、それぞれ天面相当部にNSインキ1を、地面相当部にNSワニスS3をミヤバー#4にて塗工し、段ボール1を得た。
【0048】
[実施例2〜10]
実施例1と同様の方法で、表5に示したNSインキおよびNSワニスをミヤバー#4にて塗工し、段ボール2〜11を得た。
【0049】
[比較例1〜3]
実施例1と同様の方法で、表5に示した普通インキ、NSインキ、普通ワニスおよびNSワニスをミヤバー#4にて塗工し、段ボール12〜14を得た。
【0050】
[比較例4]
段ボールライナー紙の表面の天面相当部にベタ状に普通インキをミヤバー#4にて塗布した直後、インラインを想定し、NSワニスS3をベタ状に塗布量2g/m
2(乾燥重量)となるようにミヤバー#4にて塗布した。また、地面相当部にはNSワニスS3を塗布し、段ボール15を得た。
【0051】
[指触乾燥性]
シート方式での段ボールシートへの印刷を想定し、インラインで塗工できるかどうかの検討のため、上記段ボール1〜14の作製後、3秒後、6秒後、9秒後、12秒後に指触し、何秒後に乾燥しているかを評価した。
◎:6秒後以下で乾燥している
△:6〜9秒後で乾燥している(これ以上を実用水準とする)
×:9〜12秒後で乾燥している、または12秒後でも乾燥していない
【0052】
[防滑性]
傾斜式滑り角測定器(日本TMC社製)を用い、天面相当部/地面相当部面の滑り角度を測定した。測定は段ボール業界規格T0005に従い、繰り返し5回行い、平均値をとった。測定環境は常温(23℃、50%RH)、低温(5℃、30%RH)、高温(40℃、60%RH)の3点で行った。
◎:滑り角度が45°以上
○:滑り角度が40°〜45°
△:滑り角度が35°〜40°(これ以上を実用水準とする)
△×:滑り角度が30°〜35°
×:滑り角度が30°以下
【0053】
[耐ブロッキング性]
天面相当部/地面相当部面を重ね合わせ、40℃、80%RHの環境下で1kg/cm
2の荷重を掛け、24時間放置したのち剥離し、塗膜面の状態を目視で観察した。なお、比較例1〜3については、滑り角度が、実用水準に満たないため、耐ブロッキング性の評価は実施していない。
◎:抵抗なく剥離し、紙剥けおよびインキ取られは認められない
○:指で押すと剥離し、紙剥けおよびインキ取られは認められない
△:剥離時にやや抵抗があるが、紙剥けおよびインキ取られは認められない
△×:剥離時に抵抗があり、一部紙剥けおよびインキ取られが認められる
×:剥離時に抵抗があり、全面紙剥けする
【0054】
評価結果を表5にまとめる。実施例1〜11の段ボール箱包装体は比較例1〜3に比べて、防滑性が良好であり、防滑性印刷インキにスチレン−ブタジエン共重合体(A)を含有する場合には、防滑性がさらに良好であった。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】