特許第6256102号(P6256102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6256102
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】印刷インキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/03 20140101AFI20171227BHJP
   C09D 11/102 20140101ALI20171227BHJP
   C09D 11/106 20140101ALI20171227BHJP
   C09D 11/08 20060101ALI20171227BHJP
   B05D 7/04 20060101ALI20171227BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20171227BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   C09D11/03
   C09D11/102
   C09D11/106
   C09D11/08
   B05D7/04
   B05D7/24 302T
   B32B27/40
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-39020(P2014-39020)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-160948(P2015-160948A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡村 賢
(72)【発明者】
【氏名】竹中 信貴
(72)【発明者】
【氏名】新保 雄基
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕香
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽一
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−118855(JP,A)
【文献】 特開2001−152066(JP,A)
【文献】 特開2007−270025(JP,A)
【文献】 特開2012−136582(JP,A)
【文献】 特開2005−225932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00−54
B05D 7/04
B05D 7/24
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肪酸(a)と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、アミン価が1.5〜13.0mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(b)、および塩化ビニル酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種であり、
脂肪酸(a)が、C18モノカルボン酸0〜10重量%、C36ダイマー酸70〜98重量%、およびC54トリマー酸0〜30重量%からなる重合脂肪酸類(a−3)であることを特徴とする印刷インキ組成物。
【請求項2】
更に、ロジン(c−1)および/またはロジン誘導体(c−2)を含有することを特徴とする請求項記載の印刷インキ組成物。
【請求項3】
更に、イソシアネート系硬化剤(d)を含有することを特徴とする請求項1または2記載の印刷インキ組成物。
【請求項4】
プラスチックフィルムに、請求項1〜いずれか記載の印刷インキ組成物を、グラビア印刷機を用いて印刷してなる印刷物。
【請求項5】
請求項記載の印刷物と、基材とを、ラミネート接着剤を介して、ラミネートしてなる積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷インキ組成物に関し、更に詳細には各種プラスチックフィルムに対し優れたラミネート適性を有する印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品などに使われる軟包装材料には、グラビア印刷やフレキソ印刷を用いて、美粧性、機能性を付与させている。これら軟包装材料の高性能化に対応するため、一般にラミネート加工という後加工が施される。そのため、印刷インキには高度なラミネート適性や、ボイル・レトルト適性等が要求されている。
【0003】
ラミネート適性やボイル・レトルト適性に対する検討は以前から盛んに行われており、例えば特許第2507787号公報、特公平7−113100号公報、特開平8−20621号公報のように、種々の印刷インキ用バインダー樹脂や、それを用いた印刷インキが開発されてきた。
【0004】
一般に、ラミネート適性の指標であるラミネート強度は、ラミネート加工後ある強度に収束するための時間が必要であるが、近年は、作業工程の効率化が進み、インキ印刷工程とラミネート加工工程との間隔や、ラミネート加工工程と製袋工程との間隔が以前より短くなっている。そのため、ラミネート加工工程直後から高いラミネート強度を有する、つまりラミネート強度の立ち上がりの速さが求められているが、前記文献では加工直後のラミネート強度は必ずしも満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2507787号公報
【特許文献2】特公平7−113100号公報
【特許文献3】特開平8−20621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、印刷インキ組成物であって、各種プラスチックフィルムに対してラミネート加工直後から高いラミネート強度を有する、つまりラミネート強度の立ち上がりが速い印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記状況を鑑み鋭意検討を重ねた結果、炭素数が9以上の脂肪酸を含有する印刷インキ組成物は、ラミネート加工直後から高いラミネート強度を発現することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、
肪酸(a)と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含有する印刷インキ組成物であって、バインダー樹脂が、アミン価が1.5〜13.0mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(b)、および塩化ビニル酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種であり、
脂肪酸(a)が、C18モノカルボン酸0〜10重量%、C36ダイマー酸70〜98重量%、およびC54トリマー酸0〜30重量%からなる重合脂肪酸類(a−3)であることを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明は、
バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂(b)を含有することを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、
更に、ロジン(c−1)および/またはロジン誘導体(c−2)を含有することを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明は、
更に、イソシアネート系硬化剤(d)を含有することを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【0013】
さらに、本発明は、
プラスチックフィルムに、印刷インキ組成物を、グラビア印刷機を用いて印刷してなる印刷物に関する。
【0014】
さらに、本発明は、
印刷物と、基材とを、ラミネート接着剤を介して、ラミネートしてなる積層体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、ラミネート加工直後から高いラミネート強度を有する印刷インキ組成物の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の印刷インキ組成物について説明する。
【0017】
本発明の印刷インキ組成物は、飽和脂肪酸(a−1)、不飽和脂肪酸(a−2)、重合脂肪酸類(a−3)から選択される一以上の、炭素数が9以上の脂肪酸(a)を含有する。脂肪酸とは、カルボキシル基を1個持つ鎖式の化合物であって、疎水性の炭素鎖と、親水性のカルボキシル基とを含有する。このため印刷インキ中に脂肪酸を含むことで、フィルムとインキ(とりわけ印刷インキ組成物中のバインダー樹脂)の密着効果に寄与すると考えられ、ラミネート強度の立ち上がりが速くなる。炭素鎖が長くなるほど良好であり、特に、重合脂肪酸類(a−3)を含有する場合の効果が一番高い。
【0018】
本発明において、炭素数が9以上の脂肪酸(a)は、印刷インキ組成物中、ラミネート強度の観点から0.1重量%以上、ボイル・レトルト適性の観点から5重量%以下含有することが好ましい。
【0019】
本発明において、炭素数が9以上の飽和脂肪酸(a−1)とは、炭素鎖に二重結合または三重結合を有しない脂肪酸のことであり、例えば、ノナン酸(C9:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミスチリン酸(C14:0)、ペンタデシル酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0:0)、マルガリン酸(C17:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)等挙げられるが、炭素数16(C16)以上がより好ましい。炭素数が長いほどラミネート強度向上の効果が高くなる。また、炭素鎖に水酸基を有していてもよく、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0020】
本発明において、不飽和脂肪酸(a−2)とは、炭素鎖に1つ以上の二重結合または三重結合を有す脂肪酸のことであり、例えば、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、バクセン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)等が挙げられる。
【0021】
本発明において、重合脂肪酸類(a−3)とは、重合体脂肪酸あるいはダイマー酸とも呼ばれ、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の炭素数18(C18)の不飽和脂肪酸、乾性油脂肪酸または半乾性油脂肪酸、およびこれらの脂肪酸の低級モノアルコールエステルを触媒の存在化または非存在化に二分子重合させたもの(二量体)であり、重合脂肪酸類は、未反応の単量体、主成分である二量体およびその他の高次重合体からなる混合物である。代表的なものとしては、C18モノカルボン酸0〜10重量%、C36ダイマー酸70〜98重量%、およびC54トリマー酸0〜30重量%からなるものがある。また、必要があれば、真空蒸留または溶剤抽出法等の適当な分別手段によって高濃度化したものを使用することも可能である。市販品としては、ヘンケルジャパン社製のバーサダイム216、バーサダイム288、築野食品工業社製のツノダイム205、ツノダイム216、ツノダイム228、ツノダイム395、ハリマ化成社製のハリダイマー200、ハリダイマー250、ハリダイマー270S等がある。
【0022】
本発明において、炭素数が9以上の脂肪酸(a)は、印刷インキ組成物中に直接添加して使用する。炭素数が9以上の脂肪酸(a)を添加することで、ラミネート強度の立ち上りが良化する。また、炭素数が9以上の脂肪酸(a)を印刷インキ組成物中に添加する場合には、分散前に添加しても、分散後に添加しても良いが、分散後に添加する方がさらに好ましい。
【0023】
本発明において、印刷インキ組成物に使用されるバインダー樹脂としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている樹脂を挙げることができる。バインダー樹脂の例としては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。樹脂の含有量(固形分換算)は、インキの総重量に対して4〜25重量%が好ましく、更に好ましくは6〜20重量%である。
【0024】
上記樹脂のうち、好適なのはポリウレタン樹脂(b)である。ポリウレタン樹脂(b)は、ラミネート加工用インキの樹脂として広く一般的に用いられている。
【0025】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)は、ポリオールとジイソシアネート化合物とを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、有機ジアミンと反応させてなる。つまり、ポリウレタン樹脂(b)の合成法は、まずプレポリマー反応としてポリオールとジイソシアネート化合物を、必要に応じイソシアネート基に不活性な溶媒を用い、また、更に必要であれば触媒を用いて10〜100℃の温度で反応させ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、鎖延長反応としてウレタンプレポリマーと有機ジアミンとを、10〜80℃で反応させる。プレポリマー反応および鎖延長反応の終点は、粘度測定、IR測定によるNCOピ−ク、滴定によるアミン価測定等により判断される。
【0026】
本発明において、ポリウレタン樹脂(b)は炭素数が9以上の脂肪酸(a)のカルボン酸と相互作用を起こすため、アミン価を有するポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂(b)のアミン価は2.0〜13.0mgKOH/gであることが好ましく、この範囲内であると、ラミネート強度が向上する。
【0027】
本発明において、ポリウレタン樹脂(b)のプレポリマー反応でのジイソシアネート化合物のイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比[NCO]/[OH]は1.5〜2.8であることが好ましい。[NCO]/[OH]が1.5〜2.8の範囲内であると、炭素数が9以上の脂肪酸(a)によるラミネート強度の立ち上がりの速さへの向上効果が発揮される。一方、[NCO]/[OH]が1.5未満であると、ポリウレタン樹脂の皮膜が柔らか過ぎるため、耐ブロッキング性が劣る傾向にある。さらに、[NCO]/[OH]が2.8以上であると、ポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなりすぎ、炭素数が9以上の脂肪酸(a)を添加しても、脂肪酸によるラミネート強度の立ち上がりの速さへの向上効果が得られにくい。
【0028】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)の重量平均分子量は10000〜100000であることが好ましい。さらに好ましくは20000〜60000である。重量平均分子量が10000〜100000の範囲内であると、ラミネート強度の立ち上がりの速さおよび耐ブロッキング性が向上する傾向にある。
【0029】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)に使用するポリオールとしては、各種公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトン等を用いることができ、それぞれ1種または2種以上を併用してもよい。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物を脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類、環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類などが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体が挙げられる。ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを併用することが好ましい。
【0030】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)に使用するジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0031】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)に使用する有機ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’ −ジアミンなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの有機ジアミンは単独または2種以上を混合して用いることができるが、イソホロンジアミンが好ましい。さらに、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’−ジアミノジプロピルアミン)、N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン:(スペルミジン)、6,6−イミノジヘキシルアミン、3,7−ジアザノナン−1,9−ジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン等のアミノ基数が3以上の多官能アミンを、上記有機ジアミンと併用することもできる。
【0032】
本発明におけるポリウレタン樹脂(b)に使用される有機溶剤は、エステル系溶剤とアルコール系溶剤の混合溶剤を含む。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど、アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤など公知の溶剤を使用することが好ましい。
【0033】
プレポリマー反応には触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどの3級アミン系の触媒;スズ、亜鉛などの金属系の触媒などが挙げられる。これらの触媒は通常ポリオールに対して0.001〜1モル%の範囲で使用される。
【0034】
鎖延長反応には、反応停止剤を使用してもよい。反応停止剤としては、例えばジ−n−ブチルアミンなどのジアルキルアミン類などの他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等の水酸基を有するアミン類も用いることができる。更に、グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸類も挙げられる。
【0035】
さらに、接着性の観点からロジン(c−1)および/またはロジン誘導体(c−2)を用いることが好適である。
【0036】
本発明におけるロジン(c−1)としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。一般的にロジンは松から得られる琥珀色、無定形の樹脂であり、天然から得られるため混合物であるが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラスリトリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸という構成成分ごとに単離して用いても良く、本発明ではこれらもロジンと定義する。
【0037】
本発明におけるロジン誘導体(c−2)は、上記のロジンを変性してなる化合物であり、具体的に以下に列挙する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン: 不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子となる変性である。一般に水添ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理よりは向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:オフセット印刷のインキには、メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることが多い。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリンなどの水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用するこができる。
【0038】
さらに、本発明におけるロジン(c−1)およびロジン誘導体(c−2)の酸価は120mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が120mgKOH/g以上であると、ラミネート強度の初期の立ち上がりがさらに向上する。さらに好ましくは酸価が160mgKOH/g以上である。また、ロジン(c−1)および/またはロジン誘導体(c−2)印刷インキ組成物中固形分重量%で、ラミネート強度の観点から0.2重量%以上、ボイル・レトルト適性の観点から3重量%以下含有することが好ましい。
【0039】
本発明の印刷インキ組成物は、着色剤をバインダー樹脂等により分散機を用いて有機溶剤中に分散し、得られた顔料分散体にバインダー樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を混合して製造できる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。また、本発明においては着色剤を含有しないメジウム等に関しても適用できる。
【0040】
顔料等の着色剤を安定に分散させるには、バインダー樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため顔料分散剤を併用することもできる。顔料分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。顔料分散剤は、インキ安定性の観点から印刷インキ組成物の総重量に対して0.05重量%以上、かつ、ラミネート適性の観点から10重量%以下含まれることが好ましい。さらに、0.1〜3重量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0041】
(表現変えました。体質顔料は無機系着色剤に含まれるカタチで書きました。)
本発明における印刷インキ組成物には、着色剤として無機系着色剤および有機系着色剤を使用できる。無機系着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から、白色着色剤には酸化チタンが好ましく、さらに、顔料表面が塩基性である酸化チタンがより好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムは体質顔料と呼ばれ、流動性、強度、光学的性質の改善のために増量剤として使用される。一方、有機系着色剤としては、一般のインキ、塗料および記録剤などに使用されている有機顔料や染料を挙げることができる。例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などが挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。
【0042】
着色剤は、印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわち印刷インキの総重量に対して1〜50重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの着色剤は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
その他、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワックス、シランカップリング剤、可塑剤、光安定化剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤などの添加剤を含むこともできる。
【0044】
本発明における印刷インキ組成物に使用される有機溶剤としては、ポリウレタン樹脂に使用される有機溶剤と同様に、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤など、公知の溶剤を使用できる。近年、作業環境の観点からトルエン、キシレンといった芳香族有機溶剤や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系溶剤を排除する要望があり、本発明の印刷インキ組成物では、これを排除した溶剤が好適に用いられる。
【0045】
印刷インキ組成物中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0046】
印刷インキ組成物の粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。なお、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
【0047】
本発明において、1液型印刷インキ組成物として使用してもよいし、イソシアネート系硬化剤(d)を添加し、2液型印刷インキ組成物として使用することもできる。イソシアネート系硬化剤(d)としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の、それぞれアダクト型ポリイソシアネート(アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(ビウレット体)、イソシアヌレート型ポリイソシアネート(イソシアヌレート体)等が使用でき、例えば、トリメチロールプロパン1モルとHDI3モルとの反応から得られるアダクト体、水1モルとHDI3モルとの反応から得られるビウレット体、HDIの環状三量化反応から得られるイソシアヌレート体等が挙げられる。2液型印刷インキとして使用する場合、ポリイソシアネート系硬化剤の添加量はインキに対して、0.5〜5重量%が好ましい。
【0048】
本発明における印刷インキ組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で用いることができる。好ましくは、グラビア印刷である。グラビア印刷では、印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
【0049】
本発明の印刷インキ組成物を適用できる基材としては、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートもしくはポリ乳酸等のポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂もしくはABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンの各種フィルム、セロハン、紙もしくはアルミニウム箔など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものがある。これらの基材は、金属酸化物などを表面に蒸着コート処理および/またはポリビニルアルコールなどコート処理が施されていても良く、例えば、酸化アルミニウムを基材表面に蒸着させた凸版印刷社製GL−AEや、大日本印刷社製IB−PET−PXB等が挙げられる。さらに、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を処理したものや、基材の表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理したものなども使用することができる。
【0050】
本発明における印刷物は、印刷インキ組成物を上記の印刷方式を用いて塗布し、オーブンによる乾燥によって乾燥させて定着することで得られる。乾燥温度は通常40〜60℃程度である。
【0051】
本発明における積層体は、印刷インキ組成物を印刷した印刷物に少なくとも一層のラミネート加工を施すことで得られる。ラミネート加工には様々な加工法があるが、代表的なものとして、(1)押出しラミネート法、(2)ドライラミネート法等が挙げられる。
【0052】
(1)押出しラミネート法とは、得られた印刷物の印刷面に、熱可塑性樹脂を溶融して、Tダイと呼ばれるスリット状のダイからフィルム状に押し出したものを、基材に積層する方法である。印刷物の印刷面には、予めアンカーコート剤を塗布してから、ラミネートすることが多い。また、溶融樹脂を印刷物の印刷面に押し出し、別の巻出し機からシーラントを貼り合わせることもできる。アンカーコート剤としてはイミン系、ブタジエン系、イソシアネート系のアンカーコート剤が使用できる。具体的には、東洋モートン社製・EL−420(イミン系)、EL−452(ブタジエン系)、EL−530A/B(イソシアネート系)、EL−540/CAT−RT32(イソシアネート系)等が挙げられる。溶融樹脂としては低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が使用できる。具体的には、日本ポリエチレン社製ノバテックLD LC600A(低密度ポリエチレン)等が挙げられる。シーラントとしては、基材で用いた前記各種フィルム、セロハン、紙もしくはアルミニウム箔など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものが挙げられる。具体的には、三井化学東セロ株式会社製TUX-FCD(LLDPE)、フタムラ化学社製FCMN(CPP)、麗光社製ダイアラスター(VMPET)等がある。
【0053】
(2)ドライラミネート法とは、接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈して、得られた印刷物の印刷面に塗布し、乾燥後シーラントと圧着して積層する方法である。接着剤としてはポリオール/イソシアネートの2液型が主流であり、具体的には東洋モートン社製・TM−250HV/CAT−RT86L−60、TM−550/CAT−RT37、TM−314/CAT−14B等が挙げられる。シーラントとしては、基材で用いた前記各種フィルム、セロハン、紙もしくはアルミニウム箔など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものが挙げられる。具体的には、三井化学東セロ株式会社製TUX-FCD(LLDPE)、東レ社製ZK93KM(CPP)、麗光社製ダイアラスター(VMPET)、東レ社製2203(VMCPP)等がある。
【0054】
上記の方法で得られた積層体は、シーラント面同士がヒートシールされることで包装袋となる。そのため、包装袋での最も内側に当たるシーラントには、ヒートシール性を付与するためのフィルムが使用される。例えば、無延伸のポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン等が挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表す。
【0056】
なお、水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰のアセチル化試薬にてアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K0070に従って行った値である。アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。なお、GPCの測定溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。また、アミン価の測定方法は、下記の通りである。
【0057】
[アミン価の測定方法]
試料を0.5〜2g精秤する。(試料量:Sg)精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式1)によりアミン価を求めた。
【0058】
計算式1
アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
【0059】
[ポリウレタン樹脂の合成]
[合成例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、分子量2000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンアジペート)ジオール(PMPA2000:水酸基価56.1mgKOH/g)160.41部、分子量2000のポリ(1,2−プロピレングリコール)(PPG2000:水酸基価56.1mgKOH/g)68.75部、イソホロンジイソシアネート50.93部、2−エチルヘキサン酸スズ(II)0.03部、酢酸エチル82.50部を仕込み、窒素気流下に90℃で3時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液362.62部を得た。次いでイソホロンジアミン18.54部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン1.07部、ジ−n−ブチルアミン0.30部、酢酸エチル327.50部、イソプロピルアルコール289.97部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30.0%、重量平均分子量40000、アミン価6.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂(PU01)を得た。
【0060】
[合成例2]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、分子量2000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンアジペート)ジオール(PMPA2000:水酸基価56.1mgKOH/g)160.87部、分子量2000のポリ(1,2−プロピレングリコール)(PPG2000:水酸基価56.1mgKOH/g)68.95部、イソホロンジイソシアネート51.08部、2−エチルヘキサン酸スズ(II)0.03部、酢酸エチル82.50部を仕込み、窒素気流下に90℃で3時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液363.43部を得た。次いでイソホロンジアミン17.79部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン1.03部、ジ−n−ブチルアミン0.28部、酢酸エチル327.50部、イソプロピルアルコール289.97部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30.0%、重量平均分子量85000、アミン価1.5mgKOH/gのポリウレタン樹脂(PU02)を得た。
【0061】
[塩化ビニル酢酸ビニル共重合体の樹脂溶液の調製]
日信化学工業社製ソルバインAL 30部を酢酸エチル70部に溶解させて、固形分30%の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体の樹脂溶液(V1)を得た。
【0062】
[ロジン溶液の調製]
各ロジンまたはロジン誘導体を酢酸エチル80部に溶解させ、固形分20.0%のロジン溶液(R1〜R3)を得た。それぞれのロジンまたはロジン誘導体の酸価は以下の通りである。
R1:ハリエスターMSR−4
(ハリマ化成社製・ロジン誘導体)酸価120〜150mgKOH/g
R2:パインクリスタルKR−612
(荒川化学工業社製・ロジン)酸価165〜175mgKOH/g
R3:ハリマックAS−5
(ハリマ化成社製・ロジン誘導体)酸価185〜210mgKOH/g
【0063】
[白色印刷インキ組成物の調製]
[実施例1]
チタニックスJR−805(テイカ社製・酸化チタン)35.0部、ポリウレタン樹脂(PU01)10.0部、n−プロピルアセテート5.0部、イソプロピルアルコール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂(PU01)30.0部、酢酸エチル8.4部、イソプロピルアルコール5.6部、ノナン酸1.0部を撹拌混合し、白色印刷インキ組成物(W01)を得た。得られた白色印刷インキ組成物100部に、n−プロピルアセテート:イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比75:25)50部を希釈溶剤として添加混合し、希釈インキを得た。
【0064】
[実施例2〜15][比較例1〜6]
実施例1と同様の操作で、表1、表2および表3に記載した仕込み比にて、白色印刷インキ組成物(W02〜15及びW24〜29)を得た。表1および表2中のハリダイマー200およびハリダイマー250は、ハリマ化成社製・重合脂肪酸類である。ただし、比較例1〜6は炭素数が9以上の脂肪酸(a)を含まない。また、実施例1と同様の操作で希釈インキも得た。
【0065】
[実施例16]
チタニックスJR−805(テイカ社製・酸化チタン)35.0部、ポリウレタン樹脂(PU01)10.0部、ハリダイマー250(ハリマ化成社製・重合脂肪酸類)1.0部、n−プロピルアセテート5.0部、イソプロピルアルコール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂(PU01)30.0部、酢酸エチル8.4部、イソプロピルアルコール5.6部を撹拌混合し、白色印刷インキ組成物(W16)を得た。また、実施例1と同様の操作で、得られた白色印刷インキ組成物100部に、n−プロピルアセテート:イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比75:25)50部を希釈溶剤として添加混合し、希釈インキを得た。
【0066】
[実施例17]
チタニックスJR−805(テイカ社製・酸化チタン)30.0部、ポリウレタン樹脂(PU01)10.0部、n−プロピルアセテート5.0部、イソプロピルアルコール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂(PU01)30.0部、酢酸エチル5.7部、イソプロピルアルコール3.8部、ハリダイマー250(ハリマ化成社製・重合脂肪酸類)0.5部、ロジン溶液(R1)5.0部を撹拌混合し、白色印刷インキ組成物(W17)を得た。また、実施例1と同様の操作で、得られた白色印刷インキ組成物100部に、n−プロピルアセテート:イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比75:25)50部を希釈溶剤として添加混合し、希釈インキを得た。
【0067】
[実施例18〜20]
実施例17と同様の操作で、表2に記載した仕込み比にて、白色印刷インキ組成物(W18〜20)を得た。また、実施例1と同様の操作で希釈インキも得た。
【0068】
[実施例21]
チタニックスJR−805(テイカ社製・酸化チタン)30.0部、ポリウレタン樹脂(PU01)10.0部、n−プロピルアセテート5.0部、イソプロピルアルコール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂(PU01)30.0部、ステアリン酸1.0部、酢酸エチル8.4部、イソプロピルアルコール5.6部を撹拌混合し、さらにLPスーパー硬化剤(東洋インキ社製・イソシアネート系硬化剤)3.0部を添加し、白色印刷インキ組成物(W21)を得た。得られた白色印刷インキ組成物103部に、n−プロピルアセテート:イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比75:25)50部を希釈溶剤として添加混合し、希釈インキを得た。
【0069】
[実施例22〜23][比較例7〜8]
実施例21と同様の操作で、表2および表3に記載した仕込み比にて、白色印刷インキ組成物(W22〜23及びW30〜31)を得た。ただし、比較例7〜8は炭素数が9以上の脂肪酸(a)を含まない。また、実施例21と同様の操作で希釈インキも得た。
【0070】
[藍色印刷インキの調製]
[実施例24]
LIONOL BLUE FG−7330(C.Iピグメントブルー15:3)(トーヨーカラー社製)10.0部、ポリウレタン樹脂(PU01)15.0部、n−プロピルアセテート5.0部、イソプロピルアルコール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂(PU01)20.0部、ハリダイマー250 1.0部、酢酸エチル26.4部、イソプロピルアルコール17.6部を撹拌混合し、藍色印刷インキ組成物(C01)を得た。藍色印刷インキ組成物100部に対し、n−プロピルアセテート:イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比75:25)を50部添加混合して希釈インキとした。
【0071】
[比較例9]
実施例24と同様の操作で、表3に記載した仕込み比にて、藍色印刷インキ組成物(C02)を得た。ただし、炭素数が9以上の脂肪酸(a)を含まない。また、実施例24と同様の操作で希釈インキも得た。
【0072】
上記希釈インキを、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機によりコロナ処理OPPフィルム(フタムラ化学社製・FOR #20)、コロナ処理ナイロンフィルム(ユニチカ社製・ON−RT#15)に速度40m/minで印刷して40〜50℃で乾燥し、印刷物を得た。得られた印刷物を用いて以下の試験を行った。
【0073】
[ラミネート強度]
上記のOPPフィルムの印刷物に、イミン系のアンカーコート剤(東洋モートン社製・EL420)をNV1wt%メタノール溶液で塗工し、押し出しラミネート機(ムサシノキカイ社製)によってライン速度100m/minにて溶融ポリエチレン(日本ポリエチレン社製・LC600A)を320℃で溶融させて18μmで積層し、VMPET(麗光社製・ダイアラスター H27 #12)と張り合わせた。さらにその上にCPP(フタムラ化学社製・FCMN #20)を同様に張り合わせた。なお、ラミネート工程は印刷工程後、3時間以内に行う。ラミネート工程後、ラミネート物について長さ150mm、幅15mmに切り出し、インキ−フィルム界面で開き、テンシロン引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定した。測定は、ラミネート工程後、3時間および1日に行う。なお、判定基準は次の通りとした。
◎:1.5 N/15mm以上
○:1.0 N/15mm以上1.5 N/15mm未満
△:0.5 N/15mm以上1.0 N/15mm未満 (これ以上を実用水準とする)
×:0.5 N/15mm未満
[ボイル適性]
上記のナイロンフィルムの印刷物にイソシアネート系のアンカーコート剤(東洋モートン社製・EL530AおよびB)を塗工し、押し出しラミネート機(ムサシノキカイ社製)によってライン速度100m/minにて溶融ポリエチレン(日本ポリエチレン社製・LC600A)を320℃で溶融させて18μmで積層し、LLDPE(三井化学東セロ社製・TUX−FCD #40)、40℃で48時間エージングを行った。その後、LLDPE面を内側としてヒートシールして袋体を作り、得られた袋体に内容物として食酢:サラダ油:トマトケチャップ=1:1:1(重量比)のスープを充填し、85℃30分のボイル処理を行った後のラミ浮きの有無を外観により目視判定した。なお、判定基準は次の通りとした。
○:異常なし
△:一部にブリスターが発生した(これ以上を実用水準とする)
×:デラミネーションが発生した
【0074】
評価結果を表1、表2、および表3に纏める。実施例1〜24の印刷インキ組成物は比較例1〜9に比べて、ラミネート強度は良好であり、特に重合脂肪酸類を含有する場合には、ラミネート加工3時間後に測定したラミネート強度がさらに良好であった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】