特許第6256144号(P6256144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6256144
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 37/00 20060101AFI20171227BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   B65G37/00 A
   B65G49/06 Z
   H01L21/68 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-64057(P2014-64057)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-182886(P2015-182886A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 悟
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−233855(JP,A)
【文献】 特開2004−103947(JP,A)
【文献】 特開平3−242952(JP,A)
【文献】 特開2001−335990(JP,A)
【文献】 特開昭48−74674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 35/00−37/02
B65G 49/00−49/08
H01L 21/677
B23P 19/00−21/00
G05B 19/418
B23Q 37/00−41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物に対して、それぞれの加工処理を施す複数の個別ラインと、
前記複数の個別ラインで加工処理される被搬送物に対して、共通の加工処理を行う共用ラインと、を備え、
前記個別ラインは、それぞれ、
始点から、前記共用ラインへ被搬送物を搬出する個別搬出口まで、の前半ラインと、
前記個別ラインにおける、前記前半ラインを除く処理が行われる後半ラインと、
前記個別搬出口から、前記後半ラインまで、の接続ラインと、を有し、
前記共用ラインは、前記個別ラインからの前記被搬送物を搬入する共用搬入口から、前記個別ラインへ前記被搬送物を搬出する共用搬出口まで、のラインであり、
前記個別ラインの個別搬出口と、前記共用ラインの共用搬入口とは、搬入ラインとで結ばれ、
前記個別ラインにおける、前記共用ラインより搬出された前記被搬送物を搬入する個別搬入口と、前記共用ラインの共用搬出口とは、搬出ラインで結ばれている搬送装置であって、
1つの個別ラインが前記共用ラインを利用する場合の、前半ラインと、搬入ラインと、共用ラインと、搬出ラインと、後半ラインと、を結ぶ第1全体ラインが、該第1全体ライン自身と交差していること、
を特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記1つの個別ラインとは異なる個別ラインのうちの少なくとも一つの個別ラインが前記共用ラインを利用する場合の、前半ラインと、搬入ラインと、共用ラインと、搬出ラインと、後半ラインとを結ぶ、第2全体ラインと、前記第1全体ラインとが、交差していること、
を特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送装置であって、
前記個別ラインは、前記前半ラインと、前記接続ラインと、前記後半ラインと、でコの字型を形成していること、
を特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記個別ラインのうちの少なくとも1つにおける、前記接続ラインと、
前記個別ラインと異なる他の個別ラインの1つにおける、前記搬入ラインとが、上下方向でオーバーラップしていること、
を特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記個別ラインの搬入ラインと、
前記個別ラインと異なる他の個別ラインの1つにおける、前記搬出ラインと
が上下方向でオーバーラップしていること、
を特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記搬入ライン又は前記搬出ラインは、ロボットハンドを含むこと、
を特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記共用ラインは、前記接続ラインのうちの一つと平行に配置されていること、
を特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等を、各種処理を行いながら搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の搬送路を有し、それらの搬送路間で被搬送物の受け渡しを行う搬送装置がある(特許文献1参照)。これらの搬送装置において、複数のラインが設けられている場合、広いスペースが必要になってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−173617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、スペース効率の良い搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、被搬送物(W,Wh)に対して、それぞれの加工処理を施す複数の個別ライン(10,20)と、前記複数の個別ライン(10,20)で加工処理される被搬送物(W,Wh)に対して、共通の加工処理を行う共用ライン(30)と、を備え、前記個別ライン(10,20)は、それぞれ、始点(10S,20S)から、前記共用ライン(30)へ被搬送物(W,Wh)を搬出する個別搬出口(10PO,20PO)まで、の前半ライン(10A,20A)と、前記個別ライン(10,20)における、前記前半ライン(10A,20A)を除く処理が行われる後半ライン(10B,20B)と、前記個別搬出口(10PO,20PO)から、前記後半ライン(10B,20B)まで、の接続ライン(110,200)と、を有し、前記共用ライン(30)は、前記個別ライン(10,20)からの前記被搬送物(W,Wh)を搬入する共用搬入口(30PI)から、前記個別ライン(10,20)へ前記被搬送物(W,Wh)を搬出する共用搬出口(30PO)まで、のラインであり、前記個別ライン(10,20)の個別搬出口(10PO,20PO)と、前記共用ライン(30)の共用搬入口(30PI)とは、搬入ライン(300,220,420)とで結ばれ、前記個別ライン(10,20)における、前記共用ライン(30)より搬出された前記被搬送物(W,Wh)を搬入する個別搬入口(20PI)と、前記共用ライン(30)の共用搬出口(30PO)とは、搬出ライン(410)で結ばれている搬送装置(1)であって、1つの個別ライン(10)が前記共用ライン(30)を利用する場合の、前半ライン(10A)と、搬入ライン(300,320,330,310)と、共用ライン(30)と、搬出ライン(400,410,111)と、後半ライン(10B,20B)と、を結ぶ第1全体ラインが、該第1全体ライン自身と交差していること、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送装置(1)であって、前記1つの個別ライン(10)とは異なる個別ライン(20)のうちの少なくとも一つの個別ライン(20)が前記共用ライン(30)を利用する場合の、前半ライン(20A)と、搬入ライン(300,330,310)と、共用ライン(30)と、搬出ライン(400,410,420)と、後半ライン(20B)とを結ぶ、第2全体ラインと、前記第1全体ラインとが、交差していること、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の搬送装置(1)であって、
前記個別ライン(10,20)は、前記前半ライン(10A,20A)と、前記接続ライン(110,200)と、前記後半ライン(10B,20B)と、でコの字型を形成していること、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置(1)であって、前記個別ラインのうちの少なくとも1つ(20)における、前記接続ライン(200)と、前記個別ライン(20)と異なる他の個別ラインの1つ(10)における、前記搬入ライン(300)とが、上下方向でオーバーラップしていること、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置(1)であって、前記個別ライン(10)の搬入ライン(300)と、前記個別ライン(10)と異なる他の個別ラインの1つ(20)における、前記搬出ライン(420)と、が上下方向でオーバーラップしていること、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置(1)であって、前記搬入ライン(300,420)又は前記搬出ライン(410)は、ロボットハンドを含むこと、を特徴とする搬送装置(1)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送装置(1)であって、前記共用ライン(30)は、前記接続ラインのうちの一つ(200)と平行に配置されていること、を特徴とする搬送装置(1)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スペース効率の良い搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る搬送装置の一実施形態を適用した搬送装置の平面図である。
図2】搬送装置における加工品の経路を説明する概念斜視図である。
図3】第1ラインの加工品を孔加工ラインで孔加工する搬送経路を説明する個別ラインの平面図である。
図4】第2ラインの加工品を孔加工ラインで孔加工する搬送経路を説明する個別ラインの平面図である。
図5図1におけるA−A矢視に相当する図である。
図6図1におけるB−B矢視に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る搬送装置の一実施形態を適用した搬送装置1の平面図である。図2は、搬送装置1における加工品経路を説明する概念斜視図である。図3は、第1ライン10の加工品Wを孔加工ライン30で孔加工する搬送経路を説明する搬送装置1の平面図である。図4は、第2ライン20の加工品Wを孔加工ライン30で孔加工する搬送経路を説明する搬送装置1の平面図である。
【0009】
なお、以下の各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、加工品Wを搬送装置1に投入する方向(後述するガラス投入工程21から切断・折割工程23へ向かう方向)をYマイナス方向、これと同一水平面内で平面図上において直交する右方向をXプラス方向、X−Y平面と直交して上側(紙面手前側)に向かう方向をZプラス方向とする。
【0010】
図1に示す搬送装置1は、ガラス素材板を加工して所定形状の自動車用窓ガラスを成形するものである。搬送装置1は、X軸方向に並設された二つの個別ライン(第1ライン10,第2ライン20)と、そのY軸マイナス側に配置された一つの孔加工ライン(共用ライン)30と、を備えている。
第1ライン10と第2ライン20は、たとえば、サイズや形状が異なる加工品W(自動車用窓ガラス)に対応しており、備える工程設備は両者とも略同一である。
【0011】
ガラス搬送装置1によって加工成形される加工品としての自動車用窓ガラスには、孔加工を必要としない孔無し加工品と、リアワイパー装着するための孔加工を必要とする孔有り加工品と、がある。
孔無し加工品と孔有り加工品とはロット毎にまとめられてガラス搬送装置1によって加工成形される。同一ロットに孔無し加工品と孔有り加工品とは混在しない。
【0012】
本構成のガラス搬送装置1では、孔無し加工品は、第1ライン10または第2ライン20のみで加工が完了する。
一方、孔有り加工品の場合には、第1ライン10または第2ライン20から孔加工ライン30に乗り換え、孔加工終了後に第1ライン10または第2ライン20に戻って加工が完了する。
【0013】
すなわち、ガラス搬送装置1は、第1ライン10と第2ライン20とが一つの孔加工ライン30を共用して、孔有り加工品の孔加工を行うように構成されている。
なお、以下の説明では、孔加工が終了した孔有り加工品を加工品Whと表示し、その他の加工品(ガラス素材板,孔無し加工品および孔加工前の加工品)は、加工品Wと表示する。
【0014】
第1ライン10と第2ライン20は、それぞれガラス素材板から自動車用窓ガラスを成形加工する工程設備を備える。
前述したように、第1ライン10と第2ライン20とは、略同一の工程設備を備える。すなわち、ガラス投入工程11,21、パウダー除去工程12,22、切断・折割工程13,23、研磨工程14,24、洗浄工程15,25、および検査・積み込み工程16,26)である。
【0015】
第1ライン10と第2ライン20は、それぞれ、始点10S及び20Sよりスタートする。
第1ライン10と第2ライン20は、それぞれ、前半ライン10A,20Aと、後半ライン10B,20Bとを備える。
【0016】
前半ライン10A,20Aは、それぞれ、ガラス投入工程11,21、パウダー除去工程12,22,切断・折割工程13,23及び研磨工程14,24を備える、
ガラス投入工程11,21では、パレットに積層状態で搭載されたガラス素材板(加工品W)を一枚ずつラインに投入する。
パウダー除去工程12,22では、パレットへの積層搭載時において相互の接触を避けるためにガラス素材板(加工品W)の間に介装されたパウダーを除去する。
切断・折割工程13,23では、ガラス素材板(加工品W)の周囲を加工(切断・折割)して所定の形状に成形する。
研磨工程14,24では、成形されたガラス板(加工品W)の周側端面のエッジを研磨する。
【0017】
後半ライン10B,20Bは、それぞれ、洗浄工程15,25及び検査・積み込み工程16,26を備える。
洗浄工程15,25では、成形されたガラス板(加工品W)を洗浄し、切り屑等を除去する。
検査・積み込み工程16,26では、成形されたガラス板(加工品W)を検査して、搬出パレットに積み込む。
上記の工程設備は、加工品Wを搬送可能なコンベア,リフトまたはロボット等によって接続されている。
【0018】
つぎに、ガラス搬送装置1における各工程設備の配置と加工品Wの搬送経路について説明する。
第1ライン10は、前半ラインとして、ガラス投入工程11,パウダー除去工程12および切断・折割工程13がYマイナス方向に直列に配置され、さらに前半ラインとして切断・折割工程13のXプラス側に研磨工程14が配置されている。
研磨工程14のXプラス側には、研磨工程14から洗浄工程15に向けて加工品WをYプラス方向に搬送する第1コンベア(第1接続ライン)110が設けられている。この第1コンベア110は、第1ライン10の前半ライン10Aから孔加工ライン30へ加工品Wを搬出する個別搬出口10POと、第1ライン10の後半ライン10Bと、を接続している。
そして、第1コンベア110のYプラス側に、後半ラインとして、洗浄コンベア111と、洗浄工程15と、検査・積み込み工程16とがYプラス方向に直列に配置されている。
【0019】
上記構成の第1ライン10は、図1中矢印で示すと共に図2中L1で示すように、概略コの字状の経路で加工品Wを搬送して加工を行う。そのコの字状の経路の底辺部分に、研磨工程14が配置されている。
なお、第1コンベア110は、加工品WをYプラスマイナス両方向に搬送可能となっており、孔加工を要する加工品WをYマイナス方向に後述する孔加工ライン30への移載位置まで搬送するようにも作用する。
【0020】
第2ライン20は、前半ラインとして、ガラス投入工程21,パウダー除去工程22,切断・折割工程23および研磨工程24がYマイナス方向に直列に配置される。
そして、後半ラインとして、Xマイナス側に洗浄工程25と検査・積み込み工程26がYプラス方向に向かって直列に配置されている。
洗浄工程25のYマイナス側には、加工品Wを研磨工程24から洗浄工程25に向けてXマイナス方向に搬送する第2接続ライン200が設けられている。
この第2接続ライン200は、第2ライン20の前半ライン20Aから孔加工ライン30へ加工品Wを搬出する個別搬出口20POと、第2ライン20の後半ライン20Bと、を接続している。
【0021】
第2接続ライン200は、Xマイナス方向に加工品Wを搬送する横送りコンベア240と、洗浄工程25のYマイナス側に配置されてYプラス方向に加工品を搬送する縦送りコンベア220と、横送りコンベア240から縦送りコンベア220に加工品Wを移載する移載シャトル機構230と、を備えている。この第2接続ライン200については、後に詳述する。
上記構成の第2ライン20は、図1中矢印で示すと共に図2中L2で示すように、概略コの字状の経路で加工品Wを搬送して加工を行う。そのコの字状の経路の底辺部分は、第2接続ライン200により構成されている。
【0022】
上記のような第1ライン10と第2ライン20とは、Y軸と平行な対称軸で略線対称に配置されている。第1ライン10のコの字状の底辺を構成する経路は、第2ライン20のコの字状の底辺経路(第2接続ライン200)よりYプラス側に設定されている。
【0023】
孔加工ライン30は、第2ライン20の底辺を構成する経路(第2接続ライン200)のYマイナス側に、Xマイナス方向に加工品Wを搬送して孔加工を行う孔加工工程31を備えている。
また、搬送装置1は、第1ライン10の搬出口10POまたは第2ライン20の搬出口20POから孔加工工程31の搬入口30PIに加工品Wを導く導入機構(搬入ライン)300と、孔加工工程31による孔加工が終了した加工品Wh(図3,4参照)の搬出口30POから、第1ライン10の搬入口10PIまたは第2ライン20の搬入口20PIに戻す返還機構(搬出ライン)400と、を備えている。
【0024】
さらに、搬送装置1は、第1ライン10における第1コンベア(110)と、導入機構300における後述するスライド移送機構320との角部に、振分ロボット301を備えている。
振分ロボット301は、先端に加工品W,Wh(図3,4参照)を保持可能な吸着装置を有する多関節アームを備えるロボットであって、導入機構300と返還機構400の両方の構成要素として機能する。
すなわち、振分ロボット301は、第1ライン10(第1コンベア(110))から導入機構300(スライド移送機構320)への加工品Wの移載と、返還機構400における後述する搬出機構410の搬出スライダ411からリターン搬送機構420への加工品Wh(図4参照)の移載と、の2つの作用を行うものである。
【0025】
導入機構300は、個別搬出口10PO,20POと、共用ライン30の共用搬入口30PIとを接続している。
導入機構300は、孔加工工程31のXプラス側に配置された導入コンベア310と、孔加工工程31のYプラス側にX方向に延設されたスライド移送機構320と、スライド移送機構320のXプラス側の端部近傍に配置された移載ロボット330と、を備えている。
スライド移送機構320は、第2ラインにおける第2接続ライン200および後述する返還機構400におけるリターン搬送機構420の上側(平面図において重なる位置)に配置されている。
【0026】
移載ロボット330は、先端に加工品Wを保持可能な吸着装置を有する多関節アームを備えている。移載ロボット330は、第2ライン20の横送りコンベア240に載置された加工品Wと、スライド移送機構320によってそのXプラス側の端部(移載部)に搬送された加工品Wとを、吸着保持して導入コンベア310に移載する。
【0027】
そして、導入機構300は、図3中矢印で示すように、第1ライン10の第1コンベア110から振分ロボット301によってスライド移送機構320に載置された第1ライン10の加工品Wを、スライド移送機構320によって移載部(Xプラス側の端部)に搬送する。そして、その加工品Wを、移載ロボット330で導入コンベア310に移載して、孔加工工程31に導入させる。
【0028】
また、導入機構300は、図4中矢印で示すように、第2ライン20における第2接続ライン200の横送りコンベア240に載置された第2ラインの加工品Wを、移載ロボット330で保持して導入コンベア310に移載して孔加工工程31に導入させる。
【0029】
返還機構400は、共用搬出口30POと、個別搬入口10PI,20PIとを接続している。
返還機構400は、孔加工工程31のXマイナス側に配置された搬出機構410と、搬出機構410のXプラス側に配置されたリターン搬送機構420と、を備えている。
搬出機構410は、詳しくは後述するが、Yプラス方向に直列に配置された、搬出スライダ411、第1リターンローダ412、第1リターンスライダ413および移載リフタ414等を備えている。
搬出機構410の第1リターンローダ412と第1リターンスライダ413とは、第1ライン10における第1コンベア110の上側(平面図において重なる位置)に配置されている。
【0030】
リターン搬送機構420は、詳しくは後述するが、Xプラス方向に直列に配置された、第2スライダ421と、第2トラバーサ422と、を備えている。リターン搬送機構420は、導入機構300におけるスライド移送機構320の下側(平面図において重なる位置)に配置されている。
このリターン搬送機構420は、振分ロボット301によって移載された第2ライン20の加工品Wh(図4参照)をXプラス方向に搬送して、第2ライン20における第2接続ライン200の縦送りコンベア220に移載する。
【0031】
そして、返還機構400は、図3中矢印で示すように、孔加工工程31によって孔加工が終了した第1ライン10の加工品Whを搬出機構410によってYプラス方向に搬送して洗浄コンベア111に移載し、第1ライン10の後半ライン(洗浄工程15の前)に戻す。
【0032】
また、返還機構400は、図4中矢印で示すように、孔加工工程31によって孔加工が終了して搬出機構410における後述する搬出スライダ411によって搬出され、振分ロボット301によってリターン搬送機構420に移載された第2ライン20の加工品Whを、リターン搬送機構420によってXプラス方向に搬送し、第2ライン20における第2接続ライン200の縦送りコンベア220に移載する。これにより、第2ライン20の加工品Whを、第2ライン20(洗浄工程25の前)に戻す。
【0033】
上記構成のガラス搬送装置1は、第1ライン10,第2ライン20および第3ライン(孔加工ライン)30に各々下記のような経路で加工品を搬送して加工成形を行う。
孔加工を要さない加工品Wの場合には、前述したように、第1ライン10または第2ライン20のみで加工が完了する。すなわち、第1ライン10は、図1中矢印で示すと共に図2中L1で示すように、概略コの字状の経路で加工品Wを搬送して加工を行う。また、第2ライン20は、図1中矢印で示すと共に図2中L2で示すように、概略コの字状の経路で加工品Wを搬送して加工を行う。
【0034】
一方、孔加工が必要な加工品Wの場合には、第1ライン10または第2ライン20から加工品Wを孔加工ライン30に乗り換えさせ、孔加工工程31で孔加工を行って、孔加工終了後の加工品Whを第1ライン10または第2ライン20に戻す。
すなわち、第1ライン10の加工品Wの場合は、図3中矢印で示すと共に図2中LH1で示すように、第1ライン10の研磨工程14から第1コンベア110でYマイナス側に搬送された加工品Wを、振分ロボット301で導入機構300におけるスライド移送機構320に移載し、スライド移送機構320によってXプラス側に搬送する。
ついで、移載ロボット330でスライド移送機構320の加工品Wを導入機構300の導入コンベア310に移載し、孔加工工程31に導入する。孔加工工程31を終えた加工品Whは、搬出機構410によって第1ライン10の洗浄コンベア111に移載し、第1ライン10の後半ライン(洗浄工程15の前)に戻す。
【0035】
第2ライン20の加工品Wの場合には、図4中矢印で示すと共に図2中に矢印LH2で示すように、第2ライン20の研磨工程24から第2接続ライン200の横送りコンベア240に載置された加工品Wを、移載ロボット330で導入機構300の導入コンベア310に移載し、孔加工工程31に導入する。孔加工工程31を終えた加工品Whは、搬出機構410の搬出スライダ411から振分ロボット301で保持してリターン搬送機構420に移載する。
そして、リターン搬送機構420でXプラス側に搬送して第2ライン20における第2接続ライン200の縦送りコンベア220に移載し、第2ライン20(洗浄工程25の前)に戻す。
【0036】
上記のように構成されたガラス搬送装置1では、コの字状の経路で加工品Wを搬送して孔加工を要さない加工品Wの加工を完結させることのできる第1ライン10と第2ライン20とが並設されると共に、その底辺ラインに沿って孔加工ライン30が配置されている。
そして、孔加工が必要な加工品Wを、第1ライン10または第2ライン20の途中から孔加工ライン30に導入して、孔加工終了後に第1ライン10または第2ライン20に戻すように構成されている。
これにより、第1ライン10または第2ライン20のそれぞれに孔加工工程を行う設備を備える必要がなく、合理的な設備構成にできると共に、効率良い稼働が可能となる。
【0037】
また、第1ライン10の孔加工が必要な加工品Wは、導入機構300(スライド移送機構320)によって孔加工工程31の第1ライン10側を当該第1ライン10とは反対側に搬送されて孔加工工程31に導入され、孔加工後の加工品Whは、搬出機構410によって導入時における経路と交差する経路で搬送されて第1ライン10に戻される。
すなわち、第1ライン10が孔加工ライン30を利用する場合の、前半ライン10Aと、スライド移送機構320と、移載ロボット330と、導入コンベア310と、孔加工ライン30と、搬出ライン410と、後半ライン10Bと、洗浄コンベア111とを結ぶ第1全体ラインは、その第1全体ライン自身と交差(自己交差)している。
【0038】
また、孔加工後の第2ライン20の加工品Whは、第1ライン10の加工品Wの搬送経路(スライド移送機構320)の下側に重なって構成されたリターン搬送機構420によって第2ライン20に戻される。
【0039】
そして、第2ライン20が孔加工ライン30を利用する場合の、前半ライン20Aと、移載ロボット330と、導入コンベア310と、孔加工ライン30と、搬出ライン410と、リターン搬送機構420と、後半ラインとを結ぶ、第2全体ラインと、上述の第1全体ラインとは交差している。
これにより、ガラス搬送装置1全体をコンパクトに構成できる。
【0040】
さらに、孔加工後の加工品Whは、孔加工ライン30から第1ライン10および第2ライン20における各々洗浄工程15,25の前に戻されるため、孔加工による切削屑を孔加工ライン30において洗浄する必要がなく、合理的なライン構成が可能となる。
【0041】
つぎに、図5および図6を参照して、第1ライン10における第1コンベア110、第2ライン20における第2接続ライン200、孔加工ライン30の導入機構300および返還機構400等の構成と作用について詳細に説明する。
図5は、図1におけるA−A矢視に相当する図である。図6は、図1におけるB−B矢視に相当する図である。
【0042】
まず、図5を参照して、第1ライン10の第1コンベア110と、返還機構400における搬出機構410と、について説明する。
第1ライン10の第1コンベア110は、ローラコンベアであって、第1ライン10の洗浄工程15(図1参照)と、孔加工ライン30の振分ロボット301(図1参照)による加工品保持位置と、を結ぶようにY方向に延設されている。第1コンベア110は、第1ライン10における研磨工程14を終えた加工品Wが移載され、その加工品WをYプラスマイナス両方向に搬送可能となっている。
【0043】
そして、第1コンベア110は、孔加工を要しない加工品Wの場合には、図5(a)中矢印dで示すように、洗浄工程15(洗浄コンベア111)に向けてYプラス方向に搬送する。また、孔加工を要する加工品Wの場合には、図5(b)中矢印eで示すように、振分ロボット301(図1参照)による加工品保持位置に向けてYマイナス方向に搬送する。なお、搬送された加工品Wは、振分ロボット301(図1参照)によって図5(b)中矢印fで示すように導入機構300のスライド移送機構320に移載される。
【0044】
返還機構400における搬出機構410は、前述したように、Yプラス方向に直列に配置された、搬出スライダ411と、第1リターンローダ412と、第1リターンスライダ413と、移載リフタ414と、を備えている。
搬出スライダ411は、孔加工工程31から搬出された孔加工が終了した加工品Whを支持し、その支持位置から、Yプラス方向の移載位置までガイドに沿って移動して加工品Whを搬送する。
【0045】
搬出スライダ411の移載位置には、ピックアップテーブル415が設けられている。ピックアップテーブル415は、搬出スライダ411が支持する加工品Whを、下側から持ち上げて支持する。
第1リターンローダ412は、ピックアップテーブル415が支持する加工品Whを上側から吸着保持すると共に、ガイドに沿って第1リターンスライダ413への移載位置までYプラス方向に移動する。第1リターンローダ412は、図5(b)中に矢印gで示すように、加工品Whを、搬出スライダ411の移載位置から第1リターンスライダ413への移載位置に搬送する。
【0046】
第1リターンスライダ413は、Y方向に延設されたフレーム413Fと、フレーム413Fの下側でその延設方向(Y方向)に所定距離往復(ストローク)可能なスライダ413Sと、スライダ413Sに装着された支持部材413Hと、を備えている。
【0047】
支持部材413Hは、フレーム413Fの上面より突出する支持位置と、フレーム413Fの上面より下側の開放位置と、の間で昇降可能となっている。この支持部材413Hは、支持位置でフレーム413F上に載置された加工品Whを支持し、開放位置で加工品Whをフレーム413Fの上面に載置するように作用する。支持部材413Hは、スライダ413Sの往復移動距離と等しい間隔で2組設けられている。
【0048】
そして、第1リターンスライダ413は、図5(b)中に矢印hで示すように、第1リターンローダ412によってフレーム413FのYマイナス側の端部(載置部)に載置された加工品Whを、支持部材413Hで支持し、スライダ413SをYプラス方向に移動させた後、支持部材413Hを開放位置としてフレーム413に載置する。これにより、加工品Whはスライダ413Sの移動距離分Yプラス方向に移動する。そして、スライダ413SをYマイナス方向に戻し、この動作を繰り返すことで、スライダ413Sの移動距離を1ステップとして加工品Whを移載リフタ414の保持位置まで搬送する。
【0049】
移載リフタ414は、第1ライン10における洗浄工程15に加工品Wを導入する洗浄コンベア111の上側に配置されている。移載リフタ414は、第1リターンスライダ413におけるYプラス方向に移動した支持部材413Hに支持された加工品Whを吸着保持し、第1リターンスライダ413がYマイナス方向に戻った後下降してその保持する加工品Whを洗浄コンベア111に移載する。
【0050】
上記構成の搬出機構410は、孔加工工程31から搬出された孔加工後の加工品Whを、図5(b)中に矢印iで示すように、搬出スライダ411が支持してピックアップテーブル415への移載位置まで搬送し、ピックアップテーブル415で支持する。
【0051】
搬出された(ピックアップテーブル415で支持された)加工品Whが第2ライン20のものの場合には、図5(c)中に矢印jで示すように、加工品Whを振分ロボット301(図1参照)でリターン搬送機構420の第2スライダ421(図1参照)に移載し、第2ライン20に戻す。
【0052】
搬出された(ピックアップテーブル415で支持された)加工品Whが第1ライン10のものの場合には、図5(b)中に矢印g,hで示すように、加工品Whを第1リターンローダ412と第1リターンスライダ413とでYプラス方向に搬送し、移載リフタ414によって洗浄コンベア111に移載する(第1ライン10に戻す)。
【0053】
ここで、搬出機構410における搬出スライダ411は、第1ラインの第1コンベア110と同一の水平レベルに構成されている。
これに対して、搬出機構410における第1リターンローダ412,第1リターンスライダ413および移載リフタ414は、第1ラインの第1コンベア110および洗浄コンベア111の上側に平面図において重なるように配置されている。
つまり、搬出機構410によって第1ライン10に戻される孔加工後の加工品Whの搬送経路は、第1ラインの加工品搬送レベルより高くなっている。
【0054】
これにより、第1ラインの第1コンベア110からスライド移送機構320に移送される孔加工前の加工品Wの搬送経路と、搬出機構410によって第1ライン10に戻される孔加工後の加工品Whの搬送経路とが、立体的に交差して干渉しないようになっている。また、両搬送経路が上下に重なっていることから、スペース効率が良い。
【0055】
つぎに、図6を参照して、第2ライン20における第2接続ライン200と、孔加工ライン30における導入機構300のスライド移送機構320と、返還機構400におけるリターン搬送機構420と、について説明する。
【0056】
前述したように、第2ライン20における第2接続ライン200は、横送りコンベア240と、縦送りコンベア220と、移載シャトル機構230とを、備えている。
横送りコンベア240は、ローラコンベアであって、加工品を支持してXマイナス方向に搬送可能に配置されている。また、横送りコンベア240は、研磨工程24から加工品Wが搬送される位置に、加工品受けテーブル211を備えている。
【0057】
加工品受けテーブル211は、横送りコンベア240のローラの間からする支持位置と、ローラより下側に位置する退避位置と、の間で昇降可能に構成されている。そして、支持位置で研磨工程24から搬送されて来る加工品Wを支持し、退避位置で加工品Wを横送りコンベア240のローラ上に載置する。本実施形態では、加工品Wは研磨工程24から2列で搬送される構成となっており、加工品受けテーブル211はこれと対応してX方向に一対配置されている。
【0058】
縦送りコンベア220は、ローラコンベアであって、加工品Wを支持してYプラス方向に洗浄工程25(図1参照)まで搬送可能に配置されている。
移載シャトル機構230は、ベルトコンベア231と、ベルトコンベア231の上側に設けられた加工品回転機構232と、支持シャトル233と、を備えている。
【0059】
ベルトコンベア231は、横送りコンベア240によって搬送される加工品Wを支持してXマイナス方向に加工品回転機構232の下側まで搬送する。
加工品回転機構232は、ベルトコンベア231に支持された加工品Wを吸着保持し、鉛直軸(Z軸)周りに(すなわち水平面内で)90°回転させる。この回転は、加工品Wの姿勢を後工程に対応させるためのものである。
【0060】
支持シャトル233は、ベルトコンベア231の加工品支持面および縦送りコンベア220のローラの間から支持アームを突出させる支持位置と、支持アームがローラより下側に位置する退避位置と、の間で昇降可能に構成されている。また、支持シャトル233は、支持アームで加工品を支持してX方向のガイドに沿ってベルトコンベア231から縦送りコンベア220と対応する位置に移動可能となっている。
【0061】
そして、第2接続ライン200は、第2ライン20における研磨工程24(図1参照)から搬送される加工品Wを、図6(a)中矢印k,nで示すように、Xマイナス方向に縦送りコンベア220まで搬送する。また、その搬送途中において、図6(a)中矢印mで示すように、移載シャトル機構230の加工品回転機構232によって加工品を水平平面内で回転させる。
【0062】
なお、第2ライン20における研磨工程24(図1参照)から、横送りコンベア240に孔加工を要する加工品Wが搬送された場合には、その加工品Wは、図6(c)中矢印uで示すように、移載ロボット330によって導入機構300の導入コンベア310に移載する(図4参照)。
【0063】
孔加工ライン30における導入機構300のスライド移送機構320は、X方向に延設されたフレーム321と、フレーム321の下側でその延設方向(X方向)に所定距離で往復駆動(ストローク)可能なスライダ322と、スライダ322に装着された支持部材323と、を備えている。
【0064】
支持部材323は、フレーム321の上面より突出する支持位置と、フレーム321の上面より下側の開放位置と、の間を昇降移動可能となっている。この支持部材323は、支持位置でフレーム321上に載置された加工品Wを支持し、開放位置で加工品Wをフレーム321の上面に載置するように作用する。支持部材323は、スライダ322の往復移動距離と等しい間隔で複数(図では4組)設けられている。
【0065】
そして、スライド移送機構320は、振分ロボット301(図1参照)によってフレーム321のXマイナス側の端部(載置部)に載置された第1ライン10(図1参照)の加工品Wを、支持位置の支持部材323で支持し、スライダ322をXプラス方向に移動させた後、支持部材323を開放位置としてフレーム321に載置する。これにより、図6(b)中矢印pで示すように、加工品Wはスライダ322の移動距離分Xプラス方向に移動する。
【0066】
そして、スライダ322をXマイナス方向に戻し、この動作を繰り返すことで、スライダ322の移動距離を1ステップとして加工品WをXプラス方向の端部の移載位置までステップ搬送する。
【0067】
図示構成のスライド移送機構320は、支持部材323を4組備えているため、スライダ322の4ストローク(ステップ)で加工品Wを載置部から移載部に搬送する。
移載部に搬送された加工品Wは、図6(b)中矢印qで示すように、移載ロボット330によって導入コンベア310(図1参照)に移載される。
【0068】
返還機構400におけるリターン搬送機構420は、第2スライダ421と、第2トラバーサ422と、を備えている。第2スライダ421と、第2トラバーサ422とは、Xプラス方向に直列に配置されている。
第2スライダ421は、加工品Whを支持して、X方向のガイドに沿って移動する。第2スライダ421は、搬出機構410における搬出スライダ411から振分ロボット301(図1参照)によって移載された第2ライン20の加工品Whを支持し、移載位置に搬送する。
【0069】
第2トラバーサ422は、加工品Whを上側から吸着保持して、X方向のガイドに沿って移動する。第2トラバーサ422は、第2スライダ421によって移載位置に搬送された加工品Whを吸着保持し、第2ライン20における第2接続ライン200(図1参照)の縦送りコンベア220に移載する。
【0070】
そして、リターン搬送機構420は、搬出機構410における搬出スライダ411から振分ロボット301(図1参照)によって図6(c)中矢印rで示すように移載された第2ライン20の加工品Whを、図6(c)中矢印s,tで示すように、第2スライダ421と、第2トラバーサ422と、によって、第2ライン20における第2接続ライン200(図1参照)の縦送りコンベア220に移載する。
【0071】
ここで、第2接続ライン200とリターン搬送機構420は、第1ラインおよび第2ラインの各構成要素と同一の水平レベルに構成されており、導入機構300におけるスライド移送機構320は、その上側に平面図において重なるように配置されている。これにより、コンパクトに構成でき、高いスペース効率が得られる。
【0072】
なお、第1コンベア110(図1参照)からスライド移送機構320への加工品Wの移載、および、スライド移送機構320から導入コンベア310(図1参照)への加工品Wの移載の際には、加工品Wを上下方向に移動させる必要がある。これは、それぞれ多関節のロボット(振分ロボット301,移載ロボット330)によって、ワンアクションで可能となっている。
【0073】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)ガラス搬送装置1は、孔加工を要さない加工品Wの加工を完結させることのできる第1ライン10と第2ライン20とが並設されると共に、その底辺ラインに沿って孔加工ライン30が配置され、孔加工が必要な加工品Wを第1ライン10または第2ライン20の途中から孔加工ライン30に導入して、孔加工終了後に第1ライン10または第2ライン20に戻すように構成されている。
これにより、第1ライン10または第2ライン20のそれぞれに孔加工工程を行う設備を備える必要がなく、合理的な設備構成にできると共に、効率良い稼働が可能となる。
【0074】
(2)第1ライン10の孔加工が必要な加工品Wは、孔加工工程31の第1ライン10側を当該第1ライン10とは反対側に搬送されて孔加工工程31に導入され、孔加工後の加工品Whは、搬出機構410によって導入時における経路と交差する経路で搬送されて第1ライン10に戻される。
すなわち、第1ライン10が孔加工ライン30を利用する場合の、前半ライン10Aと、スライド移送機構320と、移載ロボット330と、導入コンベア310と、孔加工ライン30と、搬出ライン410と、後半ライン10Bと、洗浄コンベア111とを結ぶ第1全体ラインは、その第1全体ライン自身と自己交差している。
これにより、ガラス搬送装置1全体をコンパクトに構成でき、高いスペース効率が得られる。
【0075】
(3)また、孔加工工程31による孔加工後の第2ライン20の加工品Whは、第1ライン10の加工品Wの搬送経路の下側に重なって構成されたリターン搬送機構420によって第2ライン20に戻される。
これにより、第2ライン20が孔加工ライン30を利用する場合の、前半ライン20Aと、移載ロボット330と、導入コンベア310と、孔加工ライン30と、搬出ライン410と、リターン搬送機構420と、後半ラインとを結ぶ、第2全体ラインと、上述の第1全体ラインとを交差させることが可能となる。
これにより、ガラス搬送装置1全体をコンパクトに構成でき、高いスペース効率が得られる。
【0076】
(4)さらに、孔加工後の加工品Whは、孔加工ライン30から第1ライン10および第2ライン20における各々洗浄工程15,25の前に戻される。このため、孔加工による切削屑等を孔加工ライン30において洗浄する必要がなく、合理的なライン構成が可能となる。
【0077】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態は、本発明を自動車用窓ガラスの搬送装置に適用したものである。しかし、本発明はこのような自動車用窓ガラスの搬送装置に限るものではなく、加工品毎に加工の要・不要な箇所を有する他の加工品の搬送装置にも適用可能なものである。
【0078】
(2)搬送装置における各工程は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
(3)本実施形態では、加工が完結する2つのライン(第1ライン10および第2ライン20)に対して、追加加工を行う1つのライン(孔加工ライン30)を備えたものであるが、これに限らず、加工が完結する3つ以上のラインを備える構成に適用しても良い。
【0079】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0080】
1:搬送装置、10:第1ライン、20:第2ライン、30:孔加工ライン、200:接続ライン、300:導入機構、330:移載ロボット、400:返還機構、410:搬出機構、420:リターン搬送機構、301:振分ロボット、W:加工品、Wh:孔加工後の加工品
図1
図2
図3
図4
図5
図6