(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
(1.電源パック)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源パック1の構成を示す斜視図であり、
図2は一部を分解した状態で模式的に示す斜視図である。
【0014】
電源パック1は、
図1に示すように、ポリプロピレン等の合成樹脂製の開口箱状の容器本体10及び蓋部20から構成される、外形六面体のハウジングを備え、蓋部20の上面に露出した、図示しない外部負荷と接続するための極の電極端子21a及び正極の電極端子21b、並びにハウジングの内部空間と連通する排気筒22を有する。
【0015】
図2に示すように、電源パック1は、ハウジングの容器本体10内部に、後述する電源モジュール本体30を収容している。電源モジュール本体30の両側面には後述する、複数の単電池を配列してなるセルスタックからのガスが排出される排気口31が設けられている。ハウジング全体が気密性を有することにより、排気口31から排出されたガスはハウジングの内部に滞留した後に蓋部20の排気筒22から電源パック1の外部へ排気される。
【0016】
電源モジュール本体30の最外層であって蓋部20に対向する位置には、後述する第1の電装品サブユニット30bが設けられている。
【0017】
なお、電源モジュール本体のセルスタックにおける単電池の配列方向は、
図1に示すX軸、Y軸及びZ軸の直交座標系においてX軸と平行な直線上にあり、電源パック1を構成するハウジング、電源モジュール本体30等の各面は、おおよそX軸、Y軸及びZ軸とそれぞれ平行に位置するものとして定める。更に、以下の説明に際しては、図中矢印の方向を基準に、X軸方向を右から左、X軸方向を奥から手前、及びZ軸方向を下から上と定める。
【0018】
更に、蓋部20は、容器本体10の開口を直接閉塞するとともに、その上部に形成された隔壁20a4を隔てて、その内側に配置されている、電源パック1の充放電の制御、温度等の状態管理、及び電源パック1が接続される機器との通信を行うためのBMU(Battery Management Unit)20a1、電源パックの電力経路上に配置されるヒューズ20a2、及びBMU20a1と電源パック1が接続される機器との通信等を行うための通信コネクタ20a3その他の電装品を備えてなる第2の電装品サブユニット20aと、隔壁20a4の輪郭に沿った形状を有し、第2の電装品サブユニット20aを覆うとともに、排気筒22が備え付けられた上蓋部20bを備える。上蓋部20bの天板は、パネル23a及び23bとして蓋部20から脱着自在な構成を有する。
【0019】
第2の電装品サブユニット20aと、電源モジュール本体30の側面の第1の電装品サブユニット30bとは、第1の電装品サブユニット30bに設けられた後述するハーネス及びボルトにより電気的に接続される。
【0020】
(2.電源モジュール本体)
図3は、電源モジュール本体30の構成の一部を分解した状態で模式的に示す斜視図である。電源モジュール本体30は、
図3に示すように、非水電解質二次電池等の単電池を配列、締結してなるセルスタック32、セルスタック32の各単電池を電気的に接続するためのバスバーアセンブリユニット33、及びバスバーアセンブリユニット33と電気的に接続された第1の電装品サブユニット30bを備える。
【0021】
セルスタック32は、複数の単電池が、負極の電極端子320a3、正極の電極端子320a4、及び安全弁320a5が上面となるよう配列された、後述するセルスタック本体320、セルスタック本体320の表面を覆う絶縁性のカバー32a、及びセルスタック本体320及びカバー32aの表面に設けられ、これら部品の一定形状を保持する保持具32bとを備える。
【0022】
カバー32aの上面には、単電池の電極端子320a3及び320a4、並びに安全弁320a5を外部へ露出させるため開口がそれぞれ設けられている。なお図中には安全弁320a5を露出させる開口32xのみを符号を付して示した。
【0023】
次に、バスバーアセンブリユニット33は、、ポリプロピレン等の、絶縁性及び電解液による腐食への耐性を有する合成樹脂等の部材であって、セルスタック32の上面の外形に対応した枠体330a、枠体330a上に形成され、セルスタック32上に露出する電極端子320a3及び320a4並びに安全弁320a5の位置に対応して形成された開口を有する。なお、枠体330aの材料としては、PBT樹脂等の、絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂を用いるようにしてもよい。
【0024】
電極端子320a3及び320a4に対応する開口は、各電池の電気的接続に対応して電極端子間の結線パターンを制御するように、隣接する電極間を跨って形成されるよう寸法が定められている。各開口には電極端子320a3及び320a4と接続される金属製のバスバー332a、332b及び332cが埋め込まれる。なお、バスバー332a及び332bはセルスタック32の端子同士の接続並びに電源パック1の電極端子21a及び21bへの接続に用いられ、バスバー332cはセルスタック32の端子同士の接続に用いられる。
【0025】
一方、安全弁320a5に対応する開口330cは、セルスタック本体320を構成する電池の個数に対応して個別に設けられる。
【0026】
枠体330aにおいて開口330cの位置には、枠体330aの表面から見て二段の段差を有し、両端が枠体330aの両端まで達する溝部330xが形成されている。溝部330xは安全弁320a5の配列方向に沿って延伸し、開口330cが設けられている下段面330bと、下段面330bの縁に設けられた中段面330dとから構成される。
【0027】
更に、溝部330xの上部には遮熱体331が位置している。遮熱体331は、セルスタック32からの放熱を遮蔽してバスバーアセンブリユニット33の上方に位置する第1の電装品サブユニット30bその他の電装品への熱的影響を低減するとともに、電源モジュール本体30を補強する手段である。遮熱体331は、バスバーアセンブリユニット33の溝部330xの外形に対応した矩形状の金属製の遮熱本体板331aから構成され、溝部330xの中段面330dに嵌り込む。
【0028】
遮熱体331は、遮熱本体板331aの表面に開口された貫通孔331bを介して、バスバーアセンブリユニット33の枠体330aに設けられた取付孔330eに取付ネジ331cによりネジ止めされることにより、バスバーアセンブリユニット33に固定される。
【0029】
次に、第1の電装品サブユニット30bは、バスバーアセンブリユニット33の枠体330a同様の合成樹脂製のベース上に、バスバー332a及び332bを経由した電力経路を構成する電装品として、電力経路の開閉を行うリレー30b4、シャント抵抗等により実現される抵抗器30b5、及びバスバー332bに接続される、配線の一部であるバスバー30b6を備える。更に、第1の電装品サブユニット30bは、一端がバスバーアセンブリユニット33上のバスバー332a、332b及び332cに接続され、他端が第2の電装品サブユニット20aに接続されるハーネス30b7等を、電装品として備える。
【0030】
第1の電装品サブユニット30bとバスバーアセンブリユニット33との電力経路の接続は、バスバー332a及び332bにそれぞれ設けられた取付孔332a1及び332b1に対して、第1の電装品サブユニット30bの上面からボルト30b1及び30b1をそれぞれ装着することにより行われる。また、第1の電装品サブユニット30bの信号経路であるハーネス30b7とバスバーアセンブリユニット33との接続は、バスバー332cにそれぞれ設けられた取付孔332c1に対して、第1の電装品サブユニット30bの上面から取付ネジ30b3をそれぞれ装着することにより行われる。
【0031】
(3.セルスタック)
図4は、セルスタック32の構成を、保持具32bを分解した状態で示す斜視図であり、
図5はセルスタック本体320を分解した状態で示す斜視図である。
【0032】
図4に示すように、セルスタック32において、一体化した状態にあるセルスタック本体320及びカバー32aは、セルスタック本体320を構成する単電池の配列方向に沿って、スタックの両端にそれぞれ配置された一対のエンドプレート321aに挟持される。
【0033】
単電池の配列方向を軸として、当該軸に対して対称を成すようにセルスタック本体320の図中Z−X平面に平行な側面にスタックバー322a及び322bが配置され、当該軸の下方、すなわち図中Y−X平面に平行な平面となるセルスタック本体320の底面にスタックバー322cが配置される。
【0034】
スタックバー322a〜322cは保持具32bにおける配置を除いて同一の構成を有する部材である。以下、スタックバー322aを例に取り構成を説明する。
【0035】
スタックバー322aは、一対のエンドプレート321aにそれぞれ対向する平板状の一対の締結部322a1と、締結部322a1同士を繋ぎ、単電池の配列方向に沿って形成された渡り部322a2とを有する。スタックバー322aの基材は断面が略コの字となり、周縁にフランジが形成されるように鋼板等をプレス加工等されており、一例として、締結部322a1及び渡り部322a2は単一の基材を屈曲させることにより作成される、
【0036】
スタックバー322aとエンドプレート321aは、エンドプレート321aの周囲に開口された取付孔321a1に、締結部322a1の貫通孔322a0を重ね、締結ボルト323aで締結することにより固定される。スタックバー322b及び322cとエンドプレート321aとの固定も、締結ボルト323b、323cを用いて同様に行われる。
【0037】
なお、エンドプレート321aの下方には上下方向に沿って開口された取付孔321a2が設けられており、取付孔321a2には、ハウジングの外側から挿入されるボルト11が装着され、電源モジュール本体30とハウジングの容器本体10との固定に用いられる。
【0038】
次に、
図5に示すようにセルスタック本体320を構成する複数の単電池320aは、電極体及び電解液が封入されている、例えばアルミニウム又はステンレスを例とする、金属製の開口箱状の外装本体部320a1と、電極端子320a3及び320a4、安全弁320a5、並びに電解液注入口を封止する封止栓320a6が設けられ、外装本体部320a1の開口をレーザ溶接等により閉塞している、外装本体部320a1と同一の材料からなる蓋部320a2とを備え、蓋部320a2の表面及びその対向面である外装本体部320a1の底面を上下底面とした外形が扁平な角柱の形状を有する。なお、単電池320aにおいて、外装本体部320a1の表面はそのまま露出してもよいし、底面以外の側面が絶縁性のフィルムによって被覆される構成であってもよい。
【0039】
単電池320aにおいて各側面のうち面積の最も大きい面を主面Sとし、隣接する単電池320aの主面S同士が、間にスペーサ320bを介して対向して配列されることにより、セルスタック本体320が構成される。
【0040】
スペーサ320bは合成樹脂等の絶縁性材料により作成される部材であり、単電池320aの主面Sに挟み込まれる主板部320b1と、主板部320b1の周囲に形成され、単電池320aの配列方向に沿って双方に突出し、単電池320aの蓋部320a2の表面並びに他の側面を覆う側板部320b2とを有する。側板部320b2において、単電池320aの安全弁320a5と重なる部分には切り欠き320b3として、電極端子320a3又は320a4と干渉する部分は切り欠き320b4としてそれぞれ切り欠きが設けられる。
【0041】
これにより、単電池320aとスペーサ320bとがセルスタック本体320を構成するよう配列された状態において、電極端子320a3及び320a4はセルスタック本体320の上面に露出するとともに、対向する一対の切り欠き320b3は開口32xを構成して、安全弁320a5をセルスタック本体320の上面に露出させる。
【0042】
なお、セルスタック本体320において両端に位置する単電池320aの表面は、スペーサ320bの主板部320b1と同一形状の主板部320c1と、互いに対向する向きにのみ突出して形成された側板部320c2とを有するスペーサ320cにより覆われる。両端の単電池320aは、スペーサ320cの側板部320c2に設けられた切り欠き320c3及び320c4と、スペーサ320cに隣接するスペーサ320bの側板部320b2に設けられた切り欠き320b3及び320b4とにより、電極端子320a3及び320a4並びに安全弁320a5をセルスタック本体320の上面に露出させている。
【0043】
以上のような構成を有する電源パック1において、ハウジングは本発明のハウジングに相当し、容器本体10は本発明のハウジング本体に相当し、単電池320aは本発明の蓄電素子に相当し、セルスタック32は本発明のセルスタックに相当する。
【0044】
また、第1の電装品サブユニット30bは本発明の第1のサブユニットに相当し、リレー30b4、抵抗器30b5、バスバー30b6、及びハーネス30b7は本発明の第1の電装品に相当する。第2の電装品サブユニット20aは本発明の第2のサブユニットに相当し、BMU20a1、ヒューズ20a2、及び通信コネクタ20a3は本発明の第2の電装品に相当する。
【0045】
このような構成を有する本実施の形態1の電源パック1は、電源モジュール本体30と蓋部20にそれぞれ含まれるセルスタック32、第1の電装品サブユニット30b、及び第2の電装品サブユニット20aが、この順で下から上へ積層された構成を有することを特徴とする。
【0046】
すなわち、セルスタック32と協働するBMUその他の電装品が、図中X−Y平面に平行な電源モジュール本体30のバスバーアセンブリユニット33の上側へ積層されていることにより、ハウジング及びセルスタックの形状、寸法の制約を最小限に抑制して、効率的に電装品を組み込むことができ、電源パックの生産性を高めることが可能となる。
【0047】
更に、本実施の形態1によれば、電源モジュール本体30におけるセルスタック32及びバスバーアセンブリユニット33と第1の電装品サブユニット30bとの電気的接続は、ボルト30b1及び30b2並びに取付ネジ30b3による固定により行われる。
【0048】
同様に、
図6の部分断面図に示すように、第1の電装品サブユニット30bと第2の電装品サブユニット20aとの接続は、電極端子21bと第1の電装品サブユニット30bとを繋ぐボルト21b1によりなされ(図中死角に位置する電極端子21aも同様)、第1の電装品サブユニット30bのハーネス30b7と第2の電装品サブユニット20aの通信コネクタ20a3及びBMU20a1との接続は、第2の電装品サブユニット20aの隔壁20a4内の領域に設けられた開口を介してなされている。
【0049】
すなわち、セルスタック32、第1の電装品サブユニット30b及び第2の電装品サブユニット20a間の配線は、電力経路及び信号経路の双方とも各ユニットの積層面内に組み込まれており、電源モジュール本体30において、ハウジングの内壁と対向する面に露出することがない。
【0050】
これにより、セルスタック32と協働するBMUその他の電装品同士の配線は、ハウジングとセルスタックの位置、形状、寸法等の制約とは無関係になされることとなり、効率的に電装品を組み込むことができ、電源パックの生産性を高めることが可能となる。更に、配線をハウジング内に引き回していないため電力経路及び信号経路のいずれも短縮することができ、発熱、損失等を抑制することが可能となる。更に、ハウジングに対して電力経路及び信号経路が露出しないため、外部からの衝撃の影響が各経路にハウジングを介して及ぶ恐れを低減することが可能となる。
【0051】
また、セルスタック32の他の側面は保持具32bその他の、電源モジュール本体30の機械的構造を保持するための部品のみより構成することができ、容器本体10内のデッドスペースを削減して、電源パックの小型化を実現することができる。
【0052】
更に、本実施の形態1の電源パック1は、
図7のブロック図に示すように、第1の電装品サブユニット30bを、電池本体であるセルスタック32からの電力経路上にあるリレー30b4及び抵抗器30b5、当該電力経路を構成するバスバー30b6、並びにBMU20a1に接続される信号経路の配線であるハーネス30b7により構成し、第2の電装品サブユニット20aを、セルスタック32からの電力経路上にあるヒューズ20a2、BMU20a1、及び通信コネクタ20a3から構成し、セルスタック32上に完成済みの各サブユニットを順に積層することにより電源パック1が組立てられるようにしている。これにより、組立て時の作業性を向上させ、電源パックの生産性を高めることが可能となる。
【0053】
更に、本実施の形態1の電源パック1は、
図6の部分断面図に示すように、第2の電装品サブユニット20aが蓋部20の一部として容器本体10の開口の大部分を閉塞しており、電源モジュール本体30に含まれる第1の電装品サブユニット30bと、蓋部20に含まれる第2の電装品サブユニット20aが、蓋部20の底面20cにより実質的に隔絶された構成となっている。これにより、第2の電装品サブユニット20aはセルスタック32からの放射熱、又は安全弁320a5からの排気ガスの熱の影響が低減され、特に電子部品であるBMU20a1が保護されることとなり、電源パック1の信頼性を高めることが可能となっている。
【0054】
なお、第1の電装品サブユニット30bは蓋部20により閉塞された容器本体10内にて電源モジュール本体30と一体化しているが、第1の電装品サブユニット30bを構成する電装品であるリレー30b4、抵抗器30b5、バスバー30b6はいずれも第2の電装品サブユニット20aの電装品に比して熱の影響を受けにくい。
【0055】
このように、本実施の形態1の電源パック1は、セルスタック32、第1の電装品サブユニット30b、及び第2の電装品サブユニット20aが、この順で下から上へ積層された構成を有することにより、上記の効果に更に加えて、電源パックの電装品が受ける熱的影響を低減することが可能となっている。
【0056】
更に、本実施の形態1の電源パック1は、
図7に示すように、第1の電装品サブユニット30bを、電池本体であるセルスタック32からの電力経路上にあるリレー30b4及び抵抗器30b5、当該電力経路を構成するバスバー30b6、並びにBMU20a1に接続される信号経路の配線であるハーネス30b7により構成し、第2の電装品サブユニット20aを、セルスタック32からの電力経路上にあるヒューズ20a2、BMU20a1、及び通信コネクタ20a3から構成することにより、以下の効果を奏する。すなわち、電源パック1は、使用者の用途に応じて様々な機能又は性能等が要求されるのに対し、これらの要求に応じるにはセルスタック及び種々の電装品を組み合わせる必要があり、設計や製造が煩雑になっていた。
【0057】
これに対し、本実施の形態においては、電装品の組合せを第1の電装品サブユニット30b及び第2の電装品サブユニット20a毎に用意することができ、使用者の要求に迅速に対応することが可能となる。更に、ハウジング又はセルスタック32を共通として、これら部品以外の機能のバリエーションを第1の電装品サブユニット30b及び第2の電装品サブユニット20aのそれぞれにおいて決定することができ、設計における柔軟性を高めることが可能となる。
【0058】
更に、本実施の形態1の電源パック1は、ハウジングをセルスタック32及び第1の電装品サブユニット30bを有する電源モジュール本体30を収容する容器本体10と、第2の電装品サブユニット20aを内蔵する蓋部20より構成し、さらに蓋部20を排気筒22が備え付けられた上蓋部20b及びパネル23a及び23bを有する構成としたことにより以下の効果を奏する。すなわち、電源モジュール本体30は容器本体10にあらかじめ収容された状態として完成させることができ、蓋部20はあらかじめ第2の電装品サブユニット20aに内蔵された状態で完成させることができるため、電源パック1の各部の独立性を高めることができる。これにより各部の製造工程を明確に区切ることができ、製造効率を向上させることが可能となる。
【0059】
また、蓋部20において上蓋部20bを、第2の電装品サブユニット20aによる容器本体10の閉塞後に取り付けることができるため、第1の電装品サブユニット30bと第2の電装品サブユニット20aとの間におけるハーネス30b7の取付を作業性よく行うことができ、製造効率を向上させることが可能となる。
【0060】
また、上蓋部20bに脱着自在なパネル23a及び23bを設けたことにより、第2の電装品サブユニット20aへのアクセスが容易となり、ヒューズ20a2等の電装品の交換を容易に行うことができ、電源パック1の整備を簡素化することが可能となる。
【0061】
なお、上記の説明においては、第1の電装品サブユニット30bを、電池本体であるセルスタック32からの電力経路上にあるリレー30b4及び抵抗器30b5、当該電力経路を構成するバスバー30b6、並びにBMU20a1に接続される信号経路の配線であるハーネス30b7により構成し、第2の電装品サブユニット20aを、セルスタック32からの電力経路上にあるヒューズ20a2、BMU20a1、及び通信コネクタ20a3から構成するものとしたが、本発明の電源パックは第1の電装品を有する第1のサブユニットに第2の電装品を有する第2のサブユニットが積層された構成であればよく、各電装品の具体的な種類、機能等によって限定されるものではない。
【0062】
しかしながら、蓋部に内蔵され、外部からのアクセスが容易な本発明の第2の電装品は、整備の機会が相対的に第1の電装品より高いことから、交換頻度の高い電装品であることが望ましく、少なくとも、セルスタックの電力経路、又はBMUの動作に関するヒューズを含むことが望ましい。また、点検、整備を容易にするため少なくともBMUを含むようにしてもよい。
【0063】
また、第2の電装品は、セルスタックの動作に起因する熱の影響を第1の電装品より受けにくいことから、耐熱性の低い電装品であることが望ましく、この場合、少なくともBMU又は通信コネクタを含むようにすることが望ましい。
【0064】
同様に、ハウジング内に収容され、セルスタックにより近接した位置にある第1のサブユニットを構成する本発明の第1の電装品は、整備の機会が相対的に第2の電装品より少ないことから、
図7に示すように、セルスタックの電力経路上に配置される電装品又は整備、交換の頻度が相対的に低い電装品であることがより望ましく、少なくとも抵抗器又はリレー30b4のような開閉器(スイッチングトランジスタを含む)であることが望ましい。
【0065】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る電源パック1の構成を、要部を拡大した状態で模式的に示す斜視図である。ただし
図1〜7と同一又は相当する構成については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施の形態2の電源パック2は、
図8に示すように、ハウジングの蓋部20の一部である第2の電装品サブユニット20aの隔壁20a4に第2の電装品としての通信コネクタ20a3が埋め込まれた構成を有することを特徴とする。なお、図中において他の電装品と接続するためのハーネスは省略して示した。なお、通信コネクタ20a3は本発明のコネクタに相当する。
【0067】
ここで「埋め込まれた」とは、通信コネクタ20a3の表面と、第2の電装品サブユニット20aの基材の一部として形成された単一の基材からなる隔壁20a4の表面とが他の介在物及び隙間が無い状態で面接触してなる境界面Bを形成している状態を意味する。すなわち、
図9(a)の
図3中Z−Y平面による断面図及び
図9(a)の
図3中Z−Y平面による断面図に例示するように、通信コネクタ20a3は隔壁20a4に隙間無く固着しており、隔壁20a4又は通信コネクタ20a3のいずれかを破損することなくして、両者が分離不可能な状態で結合している態様である。
【0068】
このような構成を有する本実施の形態2の電源パック1は、以下の効果を奏する。すなわち、電源パックのハウジングは防水性が要求されるところ、ハウジングの内外に両端が露出する必要のある通信コネクタの周囲はいわゆるボトルネックとなっている。
【0069】
一方で、通信コネクタの形状は規格で定められた特定の形状を有しており、この形状に追従するために、蓋部20のようなハウジングへの固定に際しては隙間を防水するための充填剤が必要になるか、隙間が生じないよう別途部品を嵌合又は締結する工程が必要となり、電源パックの製造工程の増加、高コスト化を招くこととなっていた。更には充填剤又は部品の存在自体がハウジングの強度低下を招き、電源パックの信頼性を低下させる恐れがあった。
【0070】
さらに、蓋部20と容器本体10とは熱溶着により固定される場合があるが、その場合は、熱の影響により蓋部20が変形し、コネクタの周囲に隙間が生じやすくなる恐れがあった。
【0071】
そこで、本実施の形態2においては、上記のように隔壁20a4に通信コネクタ20a3が埋め込まれた構成としたことにより、通信コネクタ20a3と蓋部20との結合部における防水性を確保することが可能となり、電源パックの信頼性を向上させることを可能としている。
【0072】
なお、通信コネクタ20a3を蓋部20に埋めこむ方法としては、第2の電装品サブユニット20aの基材をインジェクション成形により得る場合において、通信コネクタ20a3をインサート成型により隔壁20a4が形成される位置に固定しておくことができる。また、第2の電装品サブユニット20aの基材をいわゆる3Dプリンタのような造形装置で作成する場合において、通信コネクタ20a3の周囲にフィラメント(合成樹脂)を隔壁20a4の形状となるよう造形することができる。
【0073】
しかしながら、本発明は、通信コネクタがハウジングの一部に上記埋め込まれた構成として固定されていればよく、そのための具体的な手法により限定されるものではない。
【0074】
また、上記の説明においては、蓋部20に埋め込まれるのは通信コネクタ20a3であるとしたが、本発明のコネクタはハウジングに収容される電源モジュールに接続されるとともにハウジングに固定されるものであれば、その用途、種類によって限定されるものではない。一例としては、LIN、CAN等の車載ネットワークその他、任意のプロトコルに対応したインタフェースのコネクタであってもよい。
【0075】
また、上記の説明においては、コネクタは蓋部20に埋め込まれるものとしたが、容器本体10その他ハウジングの任意の位置に埋め込まれる構成であるとしてもよい。
【0076】
更に、本発明は実施の形態1の電源パック1において構成されるものとしたが、任意の構成を有する電源パックにおいて実現するものとしてもよい。すなわち、ハウジングと、前記ハウジングに収納される電源モジュール本体と、前記電源モジュール本体に接続されたコネクタとを備え、前記コネクタは前記ハウジングに埋め込まれていることにより前記ハウジングに固定されている、電源パックであればよく、他の部分の具体的な構成により限定されるものではない。
【0077】
また、上記の各実施の形態においては、本発明のハウジングは、合成樹脂製の容器本体10及び蓋部20から構成される、外形が直方体の容器であるとした。一方で、ハウジングは金属その他の材料及びこれらの組合せとして実現してもよく、更に、3つ以上の部材の組合せとして実現してもよい。更に、ハウジングの外形は立方体、円筒形、または多角柱状の形状であってもよい。要するに、本発明のハウジングはその形状、具体的な材料または構成によって限定されるものではない。しかしながらインジェクション成型によって各部を構成することは、大量生産、軽量化、衝撃耐性において効果的であり、より望ましい。さらにハウジングに設けられる排気筒22は本発明の排気口の例であるが、本発明の排気口は外とハウジング内部との間を連通させることができれば形状、寸法等は任意のものであってよく、本実施の形態の円筒形の排気筒22の形状に限定されるものではない。一例としては、壁体に設けられた高さ(長さ)を有さない開口として実現してもよい。
【0078】
また、上記の各実施の形態においては、セルスタックを構成する単電池としての本発明の蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池であるとしたが、電気化学反応により充放電可能な電池であれば、ニッケル水素電池その他各種の二次電池を用いてもよい。また、一次電池であってもよい。更に、電気二重層キャパシタその他各種のキャパシタであってもよい。要するに、本発明の蓄電素子は電極体と電解液を収納容器内に封入してなる電気を蓄積可能な素子であれば、起電力を発生させるための具体的な方式によって限定されるものではない。
【0079】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。