(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0010】
[1]電気自動車の概略構成
本実施形態に係る乗り物(Vehicle)の一例である電気自動車EVについて、
図1を参照して説明する。電気自動車EVは、車両本体EVaと、VCU(車両制御ユニット:vehicle control unit)1と、バッテリ(直流電源)2と、駆動装置3とを備える。
【0011】
バッテリ2は、直流電力を充放電可能な二次電池である。バッテリ2としては、例えば、リチウムイオンバッテリが挙げられる。駆動装置3は、車両本体EVaの車軸EVb(負荷)に接続されている。駆動装置3は、車軸EVbを駆動することにより、車軸EVbの両端に設けられた駆動輪EVcを回転させる。これにより、電気自動車EVが走行(前進又は後退)する。
【0012】
[2]駆動装置の回路構成
続いて、
図2を参照して、駆動装置3の回路構成を中心に説明する。駆動装置3は、インバータ部(電力変換部)10と、キャパシタ12と、モータ14と、巻線切替部16と、制御部18とを備える。
【0013】
インバータ部10は、バッテリ2から入力される直流電力を3相(U相、V相及びW相)の交流電力に変換してモータ14に出力するように構成されたインバータ回路(電力変換回路の一例)を含む。インバータ部10は、バッテリ2に接続される端子TP1,TN1と、モータ14に接続される端子TU1,TV1,TW1とを有する。インバータ部10の端子TP1,TN1には、それぞれ、キャパシタ12の端子TP2,TN2が接続されている。キャパシタ12は、バッテリ2からインバータ部10に入力される直流電力をより安定化させる機能を有する。
【0014】
インバータ部10は、電力変換用のスイッチ素子Q1〜Q6を有する。スイッチ素子Q1,Q2は、U相の電力変換を行う。スイッチ素子Q3,Q4は、V相の電力変換を行う。スイッチ素子Q5,Q6は、W相の電力変換を行う。スイッチ素子Q1〜Q6は、それぞれ、例えば半導体により構成されている。
【0015】
モータ14は、インバータ部10から供給される3相の交流電力に基づいて回転駆動する。モータ14は、高速駆動用の3相の巻線14a(第1の巻線、高速駆動用巻線)と、低速駆動用の3相の巻線14b(第2の巻線、低速駆動用巻線)とを含む。
【0016】
巻線14a,14bは、電気的に直列に接続されている。巻線14aの一端側には、各相(U相、V相及びW相)に対応した端子TU2,TV2,TW2が接続されている。端子TU2,TV2,TW2はそれぞれ、インバータ部10の端子TU1,TV1,TW1と接続されている。
【0017】
巻線14bの一端側には、各相(U相、V相及びW相)に対応した端子TU4,TV4,TW4が接続されている。巻線14aの他端側と巻線14bの他端側とは、各相(U相、V相及びW相)同士が電気的に接続されている。巻線14aの他端側と巻線14bの他端側との間には、各相(U相、V相及びW相)に対応した端子TU3,TV3,TW3が接続されている。
【0018】
巻線切替部16は、ダイオードブリッジDB1,DB2と、スイッチ素子SW1,SW2とで構成された巻線切替回路を含む。ダイオードブリッジDB1は、スイッチ素子SW1と電気的に並列に接続されている。ダイオードブリッジDB1は、モータ14の端子TU3,TV3,TW3にそれぞれ接続される端子TU5,TV5,TW5を有する。
【0019】
ダイオードブリッジDB1は、モータ14の端子TU3,TV3,TW3から出力される3相(U相、V相及びW相)の交流を整流するための6つのダイオードD11〜D16により構成されている。ダイオードD11,D12は、U相の交流を整流する。ダイオードD13,D14は、V相の交流を整流する。ダイオードD15,D16は、W相の交流を整流する。
【0020】
ダイオードブリッジDB2は、スイッチ素子SW2と電気的に並列に接続されている。ダイオードブリッジDB2は、モータ14の端子TU4,TV4,TW4にそれぞれ接続される端子TU6,TV6,TW6を有する。
【0021】
ダイオードブリッジDB2は、モータ14の端子TU4,TV4,TW4から出力される3相(U相、V相及びW相)の交流を整流するための6つのダイオードD21〜D26により構成されている。ダイオードD21,D22は、U相の交流を整流する。ダイオードD23,D24は、V相の交流を整流する。ダイオードD25,D26は、W相の交流を整流する。
【0022】
スイッチ素子SW1は、モータ14の端子TU3,TV3,TW3を短絡させるための高速巻線切替用のスイッチとして機能する。スイッチ素子SW2は、モータ14の端子TU4,TV4,TW4を短絡させるための低速巻線切替用のスイッチとして機能する。スイッチ素子SW1,SW2は、例えば半導体により構成されている。
【0023】
スイッチ素子SW1により端子TU3,TV3,TW3が短絡されると、巻線14aのうち、端子TU2,TU3間の導線と、端子TV2,TV3間の導線と、端子TW2,TW3間の導線とが結線される。スイッチ素子SW2により端子TU4,TV4,TW4が短絡されると、巻線14a,14bのうち、端子TU2,TU4間の導線と、端子TV2,TV4間の導線と、端子TW2,TW4間の導線とが結線される。すなわち、巻線切替部16は、モータ14の巻線14a,14bの接続状態を切り替える機能を有する。
【0024】
制御部18は、VCU1に接続されている。制御部18は、インバータ部10および巻線切替部16に制御信号(インバータ制御信号、高速巻線切替制御信号及び低速巻線切替制御信号)を出力するように構成された制御回路を含む。制御部18は、インバータ部10のスイッチ素子Q1〜Q6のスイッチングを制御するとともに、巻線切替部16のスイッチ素子SW1,SW2のスイッチングを制御する。
【0025】
[3]駆動装置の具体的な構成
続いて、駆動装置3の具体的な構成について、
図3〜
図13を参照して説明する。駆動装置3は、モータ収容部100と、巻線切替収容部200と、インバータ収容部300とを備える。
【0026】
[3.1]モータ収容部
モータ収容部100は、
図3〜
図8に示されるように、収容筐体(第1の収容部)102と、モータ14とを有する。収容筐体102は、本体部104と、連結部(第1の連結部)106とを含む。本体部104は、略円筒形状を呈する筒体104aと、筒体104aの一端側に配置された端壁104bと、筒体104aの他端側に配置された端壁104cとを含む(
図4、
図7及び
図8参照)。収容筐体102(本体部104)は、筒体104a及び端壁104b,104cで囲まれる収容空間内に、モータ14を収容する。
【0027】
図7に示されるように、筒体104aの内壁には、モータ14のステータ14cが固定されている。
図4、
図7及び
図8に示されるように、端壁104b,104cのそれぞれには、本体部104の中心軸と交差する領域に貫通孔H1が形成されている。
図7に示されるように、これらの貫通孔H1には、ベアリング104dを介して、モータ14のモータ軸14dが取り付けられている。そのため、モータ軸14dは、本体部104の中心軸と略同一方向に延びている。以下では、モータ軸14dの延びる方向を「X軸方向」と称することがある。
【0028】
モータ軸14dのうち端壁104b側の端部E1(
図4〜
図7参照)は、端壁104bの貫通孔H1から本体部104の外方に露出している。モータ軸14dの端部E1は、電気自動車EVの車軸EVbと接続されている。そのため、モータ軸14dの端部E1は、車軸EVbや駆動輪EVc等の外部の負荷が接続される負荷側の端部である。一方、モータ軸14dのうち端壁104c側の端部E2(
図7参照)は、負荷とは反対側の端部である。モータ軸14dの周りには、ロータ14eが固定されている。ロータ14eは、ステータ14cの内側に位置している。
【0029】
筒体104aは、
図3、
図5及び
図8に示されるように、冷却液が流通する流路(第1の冷却部)104eを有する。流路104eは、モータ14を取り囲むように筒体104aの壁内に形成されている。筒体104aには、流路104eと外部とを連通する貫通孔H2,H3が形成されている。貫通孔H2は、冷却管CP1と接続されている。駆動装置3が電気自動車EVに搭載された状態において、冷却管CP1は、例えば、電気自動車EVのラジエータに接続される。貫通孔H3は、筒体104aの周壁に設けられた流路104gに接続されている。流路104gは、X軸方向において巻線切替収容部200に向けて延びている。
【0030】
筒体104aの外周面には、
図3〜
図8に示されるように、複数の支柱104fが設けられている。支柱104fは、インバータ収容部300を支持するための部材である。支柱104fは、筒体104aの外周面のうちモータ軸14dの端部E1側に位置している。支柱104fは、X軸方向と直交する方向で且つインバータ収容部300に向かう方向に延びている。以下では、支柱104fが延びる方向を「Z軸方向」と称する。
【0031】
端壁(ブラケット)104cには、
図7に示されるように、貫通孔H4,H5が形成されている。端壁104cにおいて、貫通孔H4,H1,H5は、Z軸方向においてこの順に並んでいる。すなわち、貫通孔H1は、貫通孔H4,H5の間に位置している。貫通孔H4は、貫通孔H1よりもインバータ収容部300寄りに位置している。貫通孔H5は、貫通孔H1よりもインバータ収容部300から離れる側に位置している。
【0032】
連結部106は、
図3〜
図8に示されるように、筒体104aの外周面に設けられている。連結部106は、筒体104aの外周面のうち、モータ軸14dの端部E2側で且つインバータ収容部300側に位置している。連結部106は、有底筒状を呈しており、外方に向けて開放された開口部(第1の開口部)106a(
図7及び
図8参照)を有する。連結部106は、X軸方向において、端壁104cよりも端部E1とは反対側に突出している。
【0033】
連結部106の底壁には、本体部104の内部と連通する連通孔H6(同図参照)が形成されている。連通孔H6には、巻線14aの各相(U相、V相及びW相)に対応した巻線の一端(図示せず)がそれぞれ挿通される。連通孔H6に挿通されたこれらの巻線の一端は、連結部106内まで引き出されている。
【0034】
連結部106の底壁には、端子ユニット400(同図参照)が設けられている。端子ユニット400は、台座402と、3つのバスバー(導電部材)404U,404V,404Wとを含む。バスバー404U,404V,404Wはいずれも、金属平板で構成されており、バスバー404U,404V,404Wの主面と平行な方向から見てクランク状を呈している。バスバー404U,404V,404Wは、台座402上に取り付けられている。バスバー404U,404V,404Wは、X軸方向及びZ軸方向の双方に直交する方向に並んでいる。以下では、バスバー404U,404V,404Wが並ぶ方向を「Y軸方向」と称する。
【0035】
バスバー404U,404V,404Wの一端は、連通孔H6の近傍に位置している。バスバー404U,404V,404Wの一端は、連結部106内に引き出された巻線14aの一端とそれぞれ接続されている。具体的には、バスバー404Uの一端は、巻線14aのうちU相に対応した一端と接続されている。バスバー404Vの一端は、巻線14aのうちV相に対応した一端と接続されている。バスバー404Wの一端は、巻線14aのうちW相に対応した一端と接続されている。
【0036】
バスバー404U,404V,404Wの他端は、インバータ収容部300側に向けてZ軸方向に延びている。そのため、バスバー404U,404V,404Wの他端は、連結部106の外部に露出している。
【0037】
連結部106の底壁には、
図8に示されるように、コネクタ108,110が設けられている。コネクタ108,110は、連結部106の外部に露出している。コネクタ108、端子ユニット400及びコネクタ110は、Y軸方向においてこの順に並んでいる。すなわち、端子ユニット400は、コネクタ108とコネクタ110との間に位置している。
【0038】
コネクタ108は、レゾルバ信号線SG1(
図2参照)により、モータ14の回転角を検出するレゾルバ(図示せず)と接続されている。レゾルバは、本体部104内に配置されている。そのため、レゾルバ信号線SG1は、連通孔H6を通じて連結部106から本体部104内へと延びている。コネクタ110は、巻線切替信号線SG2(
図2参照)により、巻線切替部16と接続されている。
【0039】
[3.2]巻線切替収容部
巻線切替収容部200は、
図3〜
図8に示されるように、筒体104aのうち端壁104c側の端部に、ボルト(
図3、
図5及び
図6参照)により固定されている。そのため、巻線切替収容部200は、モータ収容部100に対して、取り外し可能に一体的に結合されている。
【0040】
巻線切替収容部200は、モータ収容部100の外方で且つモータ軸14dの端部E2側に配置されている。巻線切替収容部200は、X軸方向においてモータ収容部100と重なり合っている。巻線切替収容部200は、収容筐体(第3の収容部)202と、巻線切替部16とを有する。
【0041】
収容筐体202は、本体部204と、蓋部206とを含む。本体部204は、一方が開放された有底筒状を呈している。すなわち、本体部204は、外方に向けて開放された開口部204a(
図7〜
図9参照)と、平板状を呈する底壁204bと、底壁204bの周縁に沿って延びるように設けられた側壁204cとを含む。
【0042】
開口部204aは、側壁204cの開放端側の端縁により構成されている。開口部204aには、開口部204aを閉塞する蓋部206がボルト(
図3、
図5及び
図6参照)により固定されている。開口部204aに蓋部206が取り付けられた状態において、本体部204と蓋部206とで囲まれる空間が、巻線切替部16を収容する収容空間となる。
【0043】
底壁204bは、筒体104aのうち端壁104c側の端部に対して、ボルト(
図3、
図5及び
図6参照)により固定されている。そのため、底壁204bの一方の主面204dは、
図10に示されるように、駆動装置3の完成状態において、モータ収容部100の端壁104cと対向している。底壁204bの他方の主面204eには、
図7及び
図9に示されるように、凹部204fが形成されている。凹部204fは、開口部204aとは離れる側、すなわち主面204d側に向けて窪んでいる。凹部204fの長辺は、Y軸方向に沿って延びている。
【0044】
底壁204bは、
図9に示されるように、冷却液が流通する流路204g,204hを有する。流路204g,204hは、底壁204bの壁内に形成されており、Y軸方向に沿って延びている。
【0045】
流路204gの一端は、凹部204fのうちY軸方向の一端側の領域と連通している。流路204gの他端は、
図3、
図5及び
図8に示されるように、駆動装置3の完成状態において、流路104gと接続されている。流路204hの一端は、凹部204fのうちY軸方向の他端側の領域と連通している。流路204hの他端は、
図4及び
図6に示されるように、駆動装置3の完成状態において、冷却管CP2と接続されている。
【0046】
底壁204bには、貫通孔H7,H8が形成されている。貫通孔H7、凹部204f及び貫通孔H8は、Z軸方向においてこの順に並んでいる。そのため、凹部204fは、貫通孔H7と貫通孔H8との間に位置している。貫通孔H7は、凹部204fよりもインバータ収容部300寄りに位置している。貫通孔H8は、凹部204fよりもインバータ収容部300から離れる側に位置している。
【0047】
駆動装置3の完成状態において、
図7に示されるように、貫通孔H7は、モータ収容部100の貫通孔H4と対向し且つ連通している。これらの貫通孔H4,H7には、モータ14のうちモータ軸14dの端部E2側から引き出された端子TU3,TV3,TW3(
図2参照)が挿通される。端子TU3,TV3,TW3の先端は、収容筐体202内まで引き出されている。
【0048】
駆動装置3の完成状態において、
図7に示されるように、貫通孔H8は、モータ収容部100の貫通孔H5と対向し且つ連通している。これらの貫通孔H5,H8には、モータ14のうちモータ軸14dの端部E2側から引き出された端子TU4,TV4,TW4(
図2参照)が挿通される。端子TU4,TV4,TW4の先端は、収容筐体202内まで引き出されている。
【0049】
巻線切替部16は、
図8及び
図9に示されるように、ボルト(図示せず)により底壁204bに固定されている。巻線切替部16は、
図10に示されるように、平板状を呈する回路本体部16aと、フィン16bとを含む。本実施形態では、回路本体部16aとフィン16bとが一体化されているが、これらが一体化されていなくてもよい。あるいは、巻線切替部16は、回路本体部16aと、フィン16bを有するヒートシンクとが一体的に接続された(モジュール化された)ものであってもよい。すなわち、回路本体部16a(巻線切替部16)の水冷方式は、直接水冷方式でもよいし、間接水冷方式でもよい。
【0050】
回路本体部16aは、上述の巻線切替回路を内蔵している。回路本体部16aは、巻線切替信号線SG2により、コネクタ110と接続されている。回路本体部16aの一方の主面16cには、
図9に示されるように、Y軸方向に沿って、3つの端子TU5,TV5,TW5と、3つの端子TU6,TV6,TW6とが配置されている。
【0051】
端子TU5,TV5,TW5は、回路本体部16aの周縁のうちインバータ収容部300寄りに位置している。端子TU5,TV5,TW5は、端子TU3,TV3,TW3の先端とそれぞれボルト(図示せず)により電気的且つ物理的に接続されている。端子TU6,TV6,TW6は、回路本体部16aの周縁のうちインバータ収容部300とは離れた側に位置している。端子TU6,TV6,TW6は、端子TU4,TV4,TW4の先端とそれぞれボルト(図示せず)により電気的且つ物理的に接続されている。
【0052】
回路本体部16aの他方の主面16dは、
図9に示されるように、凹部204fと対向し且つ凹部204fを覆っている。そのため、回路本体部16aと凹部204fとで囲まれる空間により、冷却液が流通する流路(第3の冷却部)16g(
図7参照)が構成される。
【0053】
流路16gは、凹部204fが延びる方向と同一方向(Y軸方向)に延びている。流路16gの一端は、流路204gに接続されている。流路16gの他端は、流路204hに接続されている。流路16gは、回路本体部16aとモータ収容部100との間に位置している。
【0054】
フィン16bは、回路本体部16aの他方の主面16dから外方に向けて突出している(
図7及び
図10参照)。フィン16bは、巻線切替部16が底壁204bに取り付けられた状態において、流路16g内に位置している。流路16gに冷却液が流れると、流路16g内に位置しているフィン16bに冷却液が接触し、フィン16b(回路本体部16a)からの熱の放散が促進される。すなわち、フィン16bは、回路本体部16aの熱を外部に放散するための部材として機能する。
【0055】
[3.3]インバータ収容部
インバータ収容部300は、
図3〜
図8に示されるように、モータ収容部100上に搭載されている。インバータ収容部300は、モータ収容部100の連結部106及び複数の支柱104fによって支持されている。インバータ収容部300は、収容筐体(第2の収容部)500と、制御部18と、キャパシタユニット600と、インバータ部10と、端子ユニット700とを有する。
【0056】
収容筐体500は、
図11及び
図12に示されるように、駆動装置3の完成状態において、モータ収容部100側に向けて開放された開口部(収容口)500aと、モータ収容部100とは反対側に向けて開放された開口部500b〜500dとを含む。収容筐体500は、
図11に示されるように、本体部502と、蓋部504,508とを含む。本体部502は、第1〜第3の部分502A〜502Cにより構成されている。第1〜第3の部分502A〜502Cは、X軸方向においてこの順に並んでおり、一体化されている。
【0057】
第1の部分502Aは、
図4に示されるように、駆動装置3の完成状態において、モータ軸14dの端部E1側で且つ端部E1の上方に位置している。第1の部分502Aは、
図11及び
図12に示されるように、モータ収容部100とは離れる側に向けて窪んだ凹部をなしている。すなわち、第1の部分502Aは、底壁510と、底壁510からモータ収容部100側に向けて突出するように底壁510に設けられた側壁512とで構成されている。底壁510には、開口部500bが形成されている。側壁512の端縁(第1の部分502Aの開放端)は、開口部500aの一部を構成している。
【0058】
第2の部分502Bは、X軸方向において、第1の部分502Aと第3の部分502Cとの間で且つ筒体104aの上方に位置している。第2の部分502Bは、側壁514と、側壁514の内側に配置された中間壁516とで構成されている。側壁514のうちモータ収容部100とは離れる側の端縁は、開口部500cを構成している。側壁514のうちモータ収容部100寄りの端縁は、開口部500aの一部を構成している。
【0059】
側壁514は、X軸方向において対向する一対の壁部514a,514bと、Y軸方向において対向する一対の壁部514c,514dとを含む。壁部514a,514bは共に、壁部514c,514dと隣り合っている。中間壁516は、Z軸方向に直交する方向に拡がるように、Y軸方向に沿って延びている。中間壁516は、壁部514b〜514dと接続されているが、壁部514aとは接続されていない。
【0060】
壁部514cには、
図3及び
図11に示されるように、第2の部分502Bの内外を貫通する貫通孔H9,H10が形成されている。貫通孔H9は、壁部514cのうち壁部514a寄りに位置している。貫通孔H9には、気体(例えば空気)を通過させるが液体(例えば水)を通過させない防水通気フィルタFが取り付けられている(
図3及び
図5参照)。貫通孔H10は、壁部514cのうち壁部514b寄りに位置している。貫通孔H10には、冷却管CP3が接続されている(
図3及び
図5参照)。駆動装置3が電気自動車EVに搭載された状態において、冷却管CP3は、例えば、電気自動車EVのラジエータに接続される。
【0061】
壁部514dには、
図4及び
図12に示されるように、第2の部分502Bの内外を貫通する貫通孔H11,H12が形成されている。貫通孔H11は、壁部514dのうち壁部514a寄りに位置している。貫通孔H11には、配線用出入口GRが取り付けられている(
図4及び
図6参照)。貫通孔H12は、壁部514dのうち壁部514b寄りに位置している。貫通孔H12には、冷却管CP4が接続されている(
図4及び
図6参照)。冷却管CP4は、巻線切替収容部200の冷却管CP2と、冷却管CP5により接続されている。
【0062】
中間壁516は、モータ収容部100とは離れる側に向けて窪んだ凹部DPをなしている。すなわち、中間壁516は、
図11及び
図12に示されるように、底壁516aと、底壁516aからモータ収容部100側に向けて突出するように底壁516aに設けられた側壁516bと、モータ収容部100側に向けて開放された開口部516cとで構成されている。開口部516cは、側壁516bのうちモータ収容部100側の端縁により構成されている。中間壁516がなす凹部DPは、Y軸方向に沿って壁部514cと壁部514dとの間において延びている。中間壁516がなす凹部DP内には、貫通孔H10,H12が連通している(
図12参照)。
【0063】
第3の部分502Cは、
図4に示されるように、駆動装置3の完成状態において、モータ軸14dの端部E2側で且つ連結部106の上方に位置している。第3の部分502Cは、
図11及び
図12に示されるように、モータ収容部100とは離れる側に向けて窪んだ凹部をなしている。すなわち、第3の部分502Cは、底壁518と、底壁518からモータ収容部100側に向けて突出するように底壁518に設けられた側壁520とで構成されている。底壁518には、開口部500cが形成されている。側壁520の端縁(第3の部分502Cの開放端)は、開口部500aの一部を構成している。
【0064】
蓋部504は、
図11に示されるように、開口部500c,500dを閉塞するように、ボルト(
図3〜
図6参照)により開口部500c,500dに固定されている。蓋部(カバー部)508は、開口部500aを閉塞するように、ボルト(図示せず)により開口部500aに固定されている。そのため、蓋部504,508は、本体部502に対して、取り外し可能に一体的に結合されている。本体部502と蓋部504,508とで囲まれる空間が、制御部18、キャパシタユニット600、インバータ部10、及び端子ユニット700を収容する収容空間(収容筐体500の内部空間)となる。
【0065】
蓋部508のうちモータ軸14dの端部E2側の領域は、
図11に示されるように、連結部(第2の連結部)522を構成している。連結部522は、駆動装置3の完成状態において、ボルト(
図3〜
図6参照)により連結部106に固定されている。連結部522には、開口部(第2の開口部)508aが形成されている。開口部508aは、Z軸方向において、開口部500dと対向している。開口部508aは、後述する流路10hよりもモータ軸14dの端部E2側に位置している。
【0066】
開口部508aは、駆動装置3の完成状態において、開口部106aと対応している。具体的には、
図7に示されるように、Z軸方向において、開口部508aは、開口部106aと重なり合うように位置しており、開口部106aと対向している。そのため、連結部106の外方に露出しているバスバー404U,404V,404Wの他端及びコネクタ108,110は、開口部508aを通って収容筐体500(第3の部分502C)内に位置している。
【0067】
蓋部508のうち連結部522以外の部分(蓋部508のうち連結部522よりもモータ軸14dの端部E1側の部分)524は、ボルト(
図3〜
図6参照)により支柱104fに固定されている(同参照)。
【0068】
部分524は、Z軸方向において収容筐体102と重なり合っている。部分524は、支柱104fの存在により収容筐体102とは離間している。そのため、Z軸方向における部分524と収容筐体102との間には、
図5〜
図7に示されるように、空間Vが存在している。
【0069】
制御部18は、上述の制御回路を内蔵している。制御部18は、
図11に示されるように、底壁516aのうち蓋部504側の主面上に配置されている。すなわち、制御部18は、Z軸方向において、開口部508aとは重なり合っていない。制御部18の主面上には、信号入出力部18aが設けられている。信号入出力部18aは、外部と制御回路との間で信号の授受を媒介する部材である。信号入出力部18aは、制御部18の主面のうち、壁部514a寄り、すなわちX軸方向においてモータ軸14dの端部E2寄りに位置している。
【0070】
信号入出力部18aには、信号線SG3(
図2参照)が接続されている。そのため、制御部18は、信号入出力部18a及び信号線SG3を介して、VCU1と接続されている。信号線SG3は、貫通孔H11に取り付けられた配線用出入口GRを通じて、収容筐体500の内外に延びている。
【0071】
制御部18は、コネクタ108を介して、レゾルバ信号線SG1によりモータ14のレゾルバと電気的に接続されている。レゾルバ信号線SG1は、収容筐体500において、制御部18から開口部508aに向けて延びている。制御部18は、レゾルバからレゾルバ信号を受信する。
【0072】
制御部18は、コネクタ110を介して、巻線切替信号線SG2により巻線切替部16(回路本体部16a)と電気的に接続されている。巻線切替信号線SG2は、収容筐体500において、制御部18から開口部508aに向けて延びている。制御部18は、巻線切替部16(回路本体部16a)に巻線切替信号を送信する。
【0073】
キャパシタユニット600は、
図11及び
図12に示されるように、第1の部分502A内に収容されている。キャパシタユニット600は、キャパシタ12と、バスバー(入力部)604p,606nと、バスバー604u,604v,604w,606u,606v,606wと、バスバー(電源接続部)608,610とを含む。これらのバスバーは、金属平板で構成されている。
【0074】
バスバー604p,604u,604v,604wは、キャパシタ12の正極と接続されている。バスバー606n,606u,606v,606wは、キャパシタ12の負極と接続されている。
【0075】
バスバー604p,606nは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。バスバー604u,604v,604wは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。バスバー606u,606v,606wは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。
【0076】
バスバー608の基端は、バスバー604pの先端と接続されている。そのため、バスバー606,608及びキャパシタ12の正極は、電気的に接続されている。バスバー608は、端子TP1,TP2(
図2参照)として機能する。
【0077】
バスバー610の基端は、バスバー606nの先端と接続されている。そのため、バスバー606,610及びキャパシタ12の負極は、電気的に接続されている。バスバー610は、端子TN1,TN2(
図2参照)として機能する。
【0078】
バスバー608,610の先端は、駆動装置3の完成状態において、
図3〜
図7に示されるように、開口部500bを通じて収容筐体500の外部に露出している。外部に露出したバスバー608,610の先端には、バッテリ2が電気的に接続される。バッテリ2は、例えば、収容筐体500の蓋部504上に搭載される。
【0079】
インバータ部10は、
図11及び
図12に示されるように、第2の部分502B内に収容されている。インバータ部10は、
図12に示されるように、ボルト(図示せず)により中間壁516のうちモータ収容部100側において、固定されている。インバータ部10は、Z軸方向において、開口部508aとは重なり合っていない。インバータ部10は、半導体により構成されるパワーモジュールを含む。このようなパワーモジュールは、例えば、回路本体部10aと、フィン10bとを含む。本実施形態では、回路本体部10aとフィン10bとが一体化されているが、これらが一体化されていなくてもよい。あるいは、インバータ部10は、回路本体部10aと、フィン10bを有するヒートシンクとが一体的に接続された(モジュール化された)ものであってもよい。すなわち、回路本体部10a(パワーモジュール)の水冷方式は、直接水冷方式でもよいし、間接水冷方式でもよい。
【0080】
回路本体部10aは、上述の電力変換回路を内蔵している。回路本体部10aは、U相部(第1相部)10Uと、V相部(第2相部)10Vと、W相部(第3相部)10Wとを含む。U相部10Uは、バッテリ2から入力された直流電力をモータ14のU相の交流電力に変換する。V相部10Vは、バッテリ2から入力された直流電力をモータ14のV相の交流電力に変換する。W相部10Wは、バッテリ2から入力された直流電力をモータ14のW相の交流電力に変換する。U相部10U、V相部10V及びW相部10Wは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。
【0081】
回路本体部10aの一方の主面10dには、Y軸方向に沿って、6つの端子TPU,TNU,TPV,TNV,TPW,TNWがこの順に配置されている。端子TPU,TNU,TPV,TNV,TPW,TNWは、回路本体部10aの周縁のうちキャパシタユニット600寄りに位置している。
【0082】
端子TPU,TNUは、X軸方向においてU相部10Uと隣り合っており、U相部10Uと電気的に接続されている。端子TPUと端子TNUとは、Y軸方向において隣り合っている。端子TPUは、バスバー604のバスバー604uとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。端子TNUは、バスバー606のバスバー606uとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。
【0083】
端子TPV,TNVは、X軸方向においてV相部10Vと隣り合っており、V相部10Vと電気的に接続されている。端子TPVと端子TNVとは、Y軸方向において隣り合っている。端子TPVは、バスバー604のバスバー604vとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。端子TNVは、バスバー606のバスバー606vとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。
【0084】
端子TPW,TNWは、X軸方向においてW相部10Wと隣り合っており、W相部10Wと電気的に接続されている。端子TPWと端子TNWとは、Y軸方向において隣り合っている。端子TPWは、バスバー604のバスバー604wとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。端子TNWは、バスバー606のバスバー606wとボルト(図示せず)により物理的且つ電気的に接続されている。
【0085】
回路本体部10aの一方の主面10c(
図7及び
図12参照)には、Y軸方向に沿って、3つの端子TU1,TV1,TW1がこの順に配置されている。端子TU1,TV1,TW1は、回路本体部10aの周縁のうち端子ユニット700寄りに位置している。
【0086】
端子TU1は、X軸方向においてU相部10Uと隣り合っており、U相部10Uと電気的に接続されている。端子TV1は、X軸方向においてV相部10Vと隣り合っており、V相部10Vと電気的に接続されている。端子TW1は、X軸方向においてW相部10Wと隣り合っており、W相部10Wと電気的に接続されている。
【0087】
回路本体部10aの他方の主面10dは、
図7及び
図12に示されるように、凹部DPと対向し且つ凹部DP(開口部516c)を覆っている。そのため、回路本体部10aと凹部DPとで囲まれる空間により、冷却液が流通する流路(第2の冷却部)10h(
図7参照)が構成される。
【0088】
流路10hは、凹部DPが延びる方向と同一方向(Y軸方向)に延びている。そのため、流路10hが延びる方向は、U相部10U、V相部10V及びW相部10Wが並ぶ方向と略同一である。流路10hの両端はそれぞれ、貫通孔H10,H12に接続されている。流路10hは、回路本体部10aと制御部18との間に位置している。本実施形態では、
図7に示されるように、モータ14、流路104e、空間V、回路本体部10a、流路10h及び制御部18は、Z軸方向に沿ってこの順で並んでいる。
【0089】
フィン10bは、
図11に示されるように、回路本体部10aの他方の主面10dから外方に向けて突出している。フィン10bは、インバータ部10が中間壁516に取り付けられた状態において、流路10h内に位置している。流路10hに冷却液が流れると、流路10h内に位置しているフィン10bに冷却液が接触し、フィン10b(回路本体部10a)からの熱の放散が促進される。すなわち、フィン10bは、回路本体部10aの熱を外部に放散するための部材として機能する。
【0090】
本実施形態では、インバータ部10に近接してゲート駆動回路GDが設けられている。例えば、ゲート駆動回路GDは、
図12に示されるように、回路本体部10aの主面10d側において取り付けられている。ゲート駆動回路GDは、信号線SG4(
図2参照)により、収容筐体500内において、制御部18と電気的に接続されている。ゲート駆動回路GDには、信号線SG4を介して、制御部18からインバータ制御信号が入力される。ゲート駆動回路GDは、当該インバータ制御信号に基づいて、回路本体部10aの電力変換回路を構成するスイッチ素子Q1〜Q6をオン/オフさせるためのゲート信号を生成する。
【0091】
ゲート駆動回路GDは、回路本体部10aの主面10c側において、回路本体部10aに取り付けられている。ゲート駆動回路GDは、回路本体部10aと電気的に接続されている。ゲート駆動回路GDが生成したゲート信号は、回路本体部10aに送信される。
【0092】
端子ユニット700は、
図12及び
図13に示されるように、台座702と、3つのバスバー(導電部材)704U,704V,704Wと、センサユニット706とを含む。台座702は、
図13に示されるように、バスバー704U,704V,704Wのそれぞれの形状に対応する溝部702a〜702cを含む。溝部702a〜702cは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。
【0093】
バスバー704U,704Wは共に、バスバー704U,704Wの主面と直交する方向から見てクランク状に構成されている。バスバー704U,704V,704Wはそれぞれ、溝部702a〜702c内に収容された状態で台座702上に取り付けられている。そのため、バスバー704U,704V,704Wは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。
【0094】
バスバー704U,704V,704Wの一端はそれぞれ、
図12に示されるように、回路本体部10aの端子TU1,TV1,TW1とボルトにより物理的且つ電気的に接続されている。バスバー704U,704V,704Wの他端はそれぞれ、バスバー404U,404V,404Wの他端とボルトにより物理的且つ電気的に接続されている。そのため、バスバー404U,704Uは、
図2に示される端子TU1と端子TU2との間の導線を構成している。バスバー404V,704Vは、
図2に示される端子TV1と端子TV2との間の導線を構成している。バスバー404W,704Wは、
図2に示される端子TW1と端子TW2との間の導線を構成している。
【0095】
センサユニット706は、
図13に示されるように、直方体形状を呈する。センサユニット706には、X軸方向において貫通する貫通孔706a〜706cが形成されている。貫通孔706a〜706cは、Y軸方向においてこの順に並んでいる。貫通孔706a〜706c内にはそれぞれ、バスバー704U,704V,704Wの一端が挿通されている。
【0096】
センサユニット706の内部で且つ貫通孔706aの近傍には、電流測定部706Uが配置されている。センサユニット706の内部で且つ貫通孔706bの近傍には、電流測定部706Vが配置されている。センサユニット706の内部で且つ貫通孔706cの近傍には、電流測定部706Wが配置されている。電流測定部706U,706V,706Wはそれぞれ、貫通孔706a〜706c内を挿通されたバスバー704U,704V,704Wを流れる電流を測定する非接触式のセンサである。電流測定部706U,706V,706Wが測定した信号は、図示しない信号線により、収容筐体500内において、制御部18と電気的に接続されている。
【0097】
[4]巻線切替部の動作
モータ14の低速駆動状態では、
図14の(a)に示されるように、最大トルクT1は比較的大きいが最高回転数S1は比較的小さい。一方、モータ14の高速駆動状態では、
図14の(b)に示されるように、最大トルクT2は比較的小さいが最高回転数S2は比較的大きい。モータ14の低速駆動状態と高速駆動状態とを巻線切替部16によって切り替えることにより、1つのモータ14によって複数の駆動状態を実現できる。そのため、
図14の(c)に示されるように、モータ14の定トルク領域においてはモータ14により大きなトルクT1を発生させることができると共に、モータ14の定出力領域においてはより大きな回転数S2までモータ14を回転させることができる。
【0098】
[5]作用
以上のような本実施形態では、電気自動車EVのラジエータにおいて冷却された冷却水が、冷却管CP3、貫通孔H10、流路10h(板状部10e及び凹部DP)、冷却管CP4、貫通孔H12、冷却管CP4、冷却管CP5、冷却管CP2、流路204h、流路16g(板状部16e及び凹部204f)、流路204g、流路104g、貫通孔H3、流路104e、貫通孔H2、冷却管CP1の順に流れ、再びラジエータに戻される。従って、本実施形態では、インバータ部10、巻線切替部16、モータ14の順にこれらが冷却される。冷却水が流れる順は、上記と逆順であってもよい。このとき、モータ14、巻線切替部16、インバータ部10の順にこれらが冷却される。インバータ部10、巻線切替部16及びモータ14が冷却される順は特に限定されず、どのような順番であってもよい。
【0099】
本実施形態では、モータ14とインバータ部10との間に流路104eが位置している。そのため、モータ14及びインバータ部10においてそれぞれ発生する熱は、流路104eを流れる冷却液によって吸熱され、相互に作用し難い。従って、熱によるインバータ部10及びモータ14に対する影響を低減することが可能となる。加えて、本実施形態では、インバータ部10が流路10hと流路104eとの間に位置している。そのため、インバータ部10において発生する熱は、流路104e,流路10hを流れる冷却液によって吸熱され、駆動装置3の外部に放出され難い。従って、駆動装置3の外部に対する熱の影響も低減することが可能となる。
【0100】
本実施形態では、インバータ部10と制御部18との間に流路10hが位置している。そのため、インバータ部10において発生する熱は、制御部18に作用し難い。従って、インバータ部10による制御部18に対する熱の影響を低減することが可能となる。制御部18が熱の影響を受けて制御を正しく行えなくなってしまうと、駆動装置3の機能が発揮されなくなってしまうが、本実施形態に係る駆動装置3によれば、そのような虞を低減することができるので特に効果的である。加えて、インバータ部10による制御部18に対する熱の影響を低減できるので、インバータ部10と制御部18との離間距離を短くすることができる。そのため、駆動装置3の小型化を図ることが可能となる。
【0101】
本実施形態では、モータ収容部100の収容筐体102とインバータ収容部300の収容筐体500とが、連結部106と連結部522とを介して一体的に結合されており、モータ収容部100とインバータ収容部300とがZ軸方向において並んでいる。そのため、重量物であるモータ14が下方に位置するように駆動装置3を電気自動車EVに対して搭載することで、インバータ収容部300上にバッテリ2をさらに配置したとしても、モータ収容部100によってインバータ収容部300及びバッテリ2を支持することができる。このとき、バッテリ2がインバータ収容部300に隣接するので、バッテリ2とインバータ部10との電気的接続を容易に行うことができる。
【0102】
モータ収容部100とインバータ収容部300とが一体的に結合されておらず、これらの間に信号線及び導電部材を架設してモータ14とインバータ部10とを電気的に接続する場合、これらの信号線及び導電部材をモータ収容部100とインバータ収容部300との間で延ばすためのスペースが必要となる。しかしながら、本実施形態では、モータ収容部100の収容筐体102とインバータ収容部300の収容筐体500とが、連結部106と連結部522とを介して一体的に結合されており、信号線SG1,SG2やバスバー404U,404V,404Wが、連結部106の開口部106aと連結部522の開口部508aとを通じて収容筐体102と収容筐体602との間で延びている。そのため、信号線及び導電部材をモータ収容部100とインバータ収容部300との間で延ばすためのスペースが不要である。従って、駆動装置3を電気自動車EV内に搭載するにあたり、電気自動車EVに対する駆動装置3の設置スペースを減らすことが可能となる。
【0103】
モータ軸14dの端部E1側に負荷が接続される場合、一般的に、モータ軸14dの端部E2側からモータ14の配線が取り出される。そこで、本実施形態では、モータ軸14dの端部E2側において、モータ収容部100の収容筐体102とインバータ収容部300の収容筐体500とが、連結部106と連結部522とを介して一体的に結合されている。この場合、モータ14から取り出される配線は連結部106,522の近傍に位置するので、モータの配線を短く且つ簡略化することができる。
【0104】
本実施形態では、部分524と収容筐体102とは支柱104fの存在により離間している。そのため、Z軸方向において、モータ収容部100とインバータ収容部300との間に空間Vが生じている。従って、モータ収容部100とインバータ収容部300との間に空気層が介在し、モータ14とインバータ部10との間で熱が伝達し難くなる。従って、モータ14及びインバータ部10に対する熱による影響をさらに低減することが可能となる。
【0105】
本実施形態では、モータ収容部100と巻線切替部16との間に流路16gが配置されている。そのため、モータ14及び巻線切替部16においてそれぞれ発生する熱は、相互に作用し難い。従って、熱によるモータ14及び巻線切替部16に対する影響を低減することが可能となる。
【0106】
本実施形態では、X軸方向において、モータ軸14dの端部E1側から端部E2側に向けて、キャパシタユニット600、インバータ部10及び端子ユニット700がこの順に並んでいる。より具体的には、X軸方向において、モータ軸14dの端部E1側から端部E2側に向けて、バスバー608,610と、バスバー604p,606nと、キャパシタ12と、インバータ部10と、バスバー704U,704V,704Wとがこの順に並び且つこの順にこれらが電気的に接続されている。そのため、インバータ収容部300内における各要素間の導電経路を短くすることができる。
【0107】
モータ軸14dの端部E1側に負荷が接続される場合、一般的に、モータ軸14dの端部E2側からモータ14の配線が取り出される。そこで、本実施形態では、モータ軸14dの端部E2側において、インバータ部10とモータ14とが電気的に接続されている。この場合、モータ14から取り出される配線がインバータ部10寄りに位置するので、モータ14からインバータ部10に向けて延びるモータ14の配線、すなわち、モータ14とインバータ部10との間の導電経路が短くなる。以上より、駆動装置3の導電経路が全体として短くなるので、電気抵抗が小さくなる。その結果、電気エネルギーの損失を低減できるので、電気をより効率的にモータ14に供給することが可能となる。
【0108】
本実施形態では、インバータ部10のU相部10U、V相部10V及びW相部10Wが、Y軸方向に沿って並んでいる。すなわち、U相部10U、V相部10V及びW相部10Wが並ぶY軸方向は、キャパシタユニット600、インバータ部10及び端子ユニット700が並ぶX軸方向に直交している。そのため、U相部10Uを経由する導電経路、V相部10Vを経由する導電経路、及びW相部10Wを経由する導電経路のいずれもが、X軸方向に沿って延びている。従って、これらの3つの導電経路がいずれも短くなり、電気抵抗が小さくなる。その結果、モータ14のU相、V相、W相の各相に電力を供給する場合であっても、電気エネルギーの損失を低減できるので、電気をより効率的にモータ14に供給することが可能となる。なお、本実施形態では、Z軸方向から見たときに、バスバー608,610と、キャパシタユニット600のバスバー604,608と、インバータ部10のU相部10U、V相部10V及びW相部10Wと、端子ユニット700のバスバー704U,704V,704Wとが、X軸方向に沿って延びる仮想直線に対して略線対称となっている。
【0109】
本実施形態では、バスバー704U,704V,704Wを流れる電流を測定する電流測定部706U,706V,706Wが、バスバー704U,704V,704Wの一端の近傍に配置されている。これらの電流測定部706U,706V,706Wは、X軸方向において、インバータ部10よりもモータ軸14dの端部E2側に配置されている。そのため、バスバー704U,704V,704Wに電流測定部706U,706V,706Wを配置するために、バスバー704U,704V,704Wを迂回させる必要がない。従って、導電経路のさらなる短縮化を図ることが可能となる。
【0110】
本実施形態では、バスバー608,610の先端が、駆動装置3の完成状態において、開口部500bを通じて収容筐体500の外部に露出している。そのため、バッテリ2をバスバー608,610の先端に対して容易に接続することができる。
【0111】
本実施形態では、インバータ部10がモータ14と制御部18との間に位置している。すなわち、制御部18は、インバータ部10に対してモータ14とは反対側に位置している。そのため、制御部18がインバータ部10よりも駆動装置3の外側に位置する。従って、制御部18とVCU1とを接続する信号線SG3が、駆動装置3の外方に導出しやすくなるので、制御部18とVCU1とを信号線SG3を用いて容易に接続できる。
【0112】
本実施形態では、X軸方向において、制御部18がバスバー608,610よりもインバータ部10側に位置していると共に、制御部18に設けられている信号入出力部18aが、制御部18のうちX軸方向においてバスバー608,610から離れる側の領域に位置している。すなわち、信号入出力部18aは、制御部18のうち電力が供給されるバスバー608,610から離れた領域に位置している。そのため、信号入出力部18aを介して制御部18に入出力される電気信号にノイズが混入し難くなる。
【0113】
本実施形態では、インバータ収容部300内の部品(キャパシタユニット600、インバータ部10及び端子ユニット700)がX軸方向に沿って並んでいると共に、流路10hがY軸方向に沿って延びている。そのため、インバータ収容部300内の部品の配置方向と流路10hの延在方向とが直交している。従って、インバータ収容部300内の部品と流路10hとの干渉を抑制しつつ、流路10hによってインバータ部10を冷却するために流路10hとインバータ部10とを近接させることができる。その結果、流路10hの長さを短くすることができると共に、インバータ収容部300内の部品を互いに近接させて配置することができる。以上より、駆動装置3のさらなる小型化を図ることができる。
【0114】
本実施形態では、連結部106において、端子ユニット400がコネクタ108とコネクタ110との間に位置している。そのため、コネクタ108,110に接続される信号線SG1,SG2は、端子ユニット400から離間するように配線される。そのため、端子ユニット400のバスバー404U,404V,404Wに高電圧で大電流が流れた場合でも、信号線SG1,SG2を流れる電気信号にノイズが生じ難い。従って、駆動装置3が誤作動する虞を抑制することができる。
【0115】
[6]他の実施形態
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、本実施形態では、乗り物の一例として電気自動車EVについて説明したが、モータの回転力を利用して推進することで陸上、海上、海中又は空中を移動する各種乗り物に本発明に係る駆動装置3を搭載してもよい。陸上を移動する乗り物の例としては、例えば、2つ以上の車輪を有するバイク又は自動車や、無限軌道を軌道輪によって転動させる装軌車両などが挙げられる。海上又は海中を移動する乗り物の例としては、例えば、各種船舶、水上バイク、潜水艇、水中バイクなどが挙げられる。空中を移動する乗り物の例としては、例えば、各種航空機が挙げられる。
【0116】
直流電力を交流電力に変換するインバータ部10を含むインバータ装置(電力変換装置)の代わりに、他の電力変換装置を用いてもよい。他の電力変換装置としては、例えば、入力された交流電力を異なる振幅や周波数の交流電力に変換して出力するマトリクスコンバータ装置や、入力された直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換して出力するDC−DCコンバータ装置や、半導体スイッチ素子等の電子部品によって駆動する電力変換装置などが挙げられる。
【0117】
本実施形態では、駆動装置3が3相交流のモータ14を備えていたが、駆動装置3は単相交流のモータ14を備えていてもよい。この場合、モータ14は、U相、V相、及びW相のうち、いずれか2つの相の交流電力に基づいて回転駆動するので、駆動装置3は、上記の実施形態における使用されない相に関する部材を備えていなくてもよい。
【0118】
本実施形態では、モータ14が高速駆動用及び低速駆動用の2つの巻線14a,14bを含んでいたが、モータ14は一方の巻線のみを含んでいてもよい。
【0119】
駆動装置3は、
図15に示されるように、巻線切替部16を収容する巻線切替収容部200を備えていなくてもよい。
【0120】
巻線切替部16による巻線切替の方式としては、上記の巻線14a,14bが電気的に直列に接続されたものに限られず、その他の方式を採用することができる。巻線切替部16の回路は、例えば6in1型や2in1型等、モジュールとして構成されたものであってもよい。
【0121】
流路10hは、インバータ部10とモータ14との間に位置していてもよい。すなわち、Z軸方向において、モータ14、流路10h及びインバータ部10の順に並んでいてもよい。同様に、流路16gは、巻線切替部16と蓋部206との間に位置していてもよい。すなわち、X軸方向において、巻線切替部16、流路16g及び蓋部206の順に並んでいてもよい。
【0122】
流路10h,16gが延びる方向は、Y軸方向に限定されない。具体的には、流路10h,16gは、直線状であってもよいし、例えば蛇腹状に折れ曲がっていてもよい。
【0123】
流路104eは、円環状以外の形態を呈していてもよい。具体的には、流路104eは、モータ14を取り囲むように、例えば蛇腹状に折れ曲がっていてもよい。
【0124】
インバータ部10、モータ14及び巻線切替部16を冷却するための冷却液としては、例えば、水やその他の液体が挙げられる。
【0125】
本実施形態では、キャパシタ12と、インバータ部10と、モータ14との間を物理的且つ電気的に接続するために、バスバーを用いたが、バスバー以外の導電部材(例えば、導線)を用いてもよい。
【0126】
モータ収容部100の収容筐体102、巻線切替収容部200の収容筐体202、及びインバータ収容部300の収容筐体500のうちから選択される少なくとも2つは、互いに取り外し不可能に一体的に結合されていてもよいし、一体成形されていてもよい。
【0127】
重量物であるモータ14が下方に位置するように駆動装置3が電気自動車EVに対して搭載される場合に、バッテリ2がインバータ収容部300上以外に配置されていてもよい。
【0128】
駆動装置3はバスバー608,610を有していなくてもよい。この場合、例えば、バスバー604p,606nの先端とバッテリ2とが導電ケーブル等で直接接続されていてもよい。
【0129】
開口部500bは、底壁510ではなく、側壁512に形成されていてもよい。この場合、開口部500bは、バスバー604p,606nの先端に対応する位置に形成されていてもよい。
【0130】
本明細書において、「方向」には、厳密に一致する方向のみならず、実質的に一致する方向(おおよその方向)も含まれる。
【0131】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。