(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電圧を加える方向に沿って、n型金属酸化物半導体粒子の層と金属粒子の層が交互に積層され、金属とn型金属酸化物半導体の結晶粒子とが互いに接触することにより、金属とn型金属酸化物半導体の結晶粒子との接触部に接触電位が発生しており、かつn型金属酸化物半導体の結晶粒子の表面電子濃度の変化と前記接触電位とが、周囲のガスにより変化する金属酸化物半導体ガスセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、高感度な金属酸化物半導体ガスセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電圧を加える方向に沿って、n型金属酸化物半導体粒子の層と金属粒子の層が交互に積層され、金属とn型金属酸化物半導体の結晶粒子とが互いに接触することにより、金属とn型金属酸化物半導体の結晶粒子との接触部に接触電位が発生しており、かつn型金属酸化物半導体の結晶粒子の表面電子濃度の変化と前記接触電位とが、周囲のガスにより変化する金属酸化物半導体ガスセンサにある
。
【0007】
金属酸化物半導体ガスセンサでは、n型金属酸化物の微小な結晶粒子の多孔質集合体がガス感応体(抵抗体)として用いられる。結晶粒子同士は接触界面を通じて連なっており、そのネットワークが集合体全体にひろがっている。容易にわかるように、導電の隘路は接触界面であり、接触界面での導電パスの抵抗がセンサ全体の電気抵抗を決める。接触界面の抵抗は結晶の表面電子濃度[e]
Sと移動度の積に反比例し、表面電子濃度[e]
Sはバンド構造における電子伝導帯下端Ecとフェルミ準位E
Fとのエネルギー差によって決まる。従来のセンサで行われていたように、均質均一な結晶が用いられた場合、移動度は常に一定に保たれるので接触界面の抵抗は結局表面電子濃度[e]
Sのみに依存し、したがってセンサの電気抵抗も表面電子濃度[e]
Sにのみ依存する(
図1参照)。酸素吸着によって、フェルミ準位E
Fは酸素吸着がない場合(フラットバンド)の位置(E
F(0))からpkT(pはフェルミ順位のシフト幅,kはボルツマン定数、Tは絶対温度)だけ下がって、E
Fとなる。両粒子とも同じフェルミ準位E
Fであるので、接触界面にはなんら特筆すべきことは起こらない。接触界面の抵抗はexp(p)に比例する。
【0008】
一方、サイズやドナー密度などが異なる結晶を接触させた場合、これとは違った状態が発生する。同じ酸化物でサイズのみが異なる2種類の結晶の接触を例にとって、これを説明する。サイズの小さな結晶粒子を(A)、大きな結晶粒子を(B)とする。サイズが小さな結晶粒子は酸素吸着の影響を強く受け、接触前には粒子(A)のフェルミ準位は粒子(B)よりも深い位置にあるので、これらを接触させてフェルミ準位E
Fを合致させると、バンド構造に電子伝導帯下端のずれdEC(band edge difference:ここでは接触バリアと呼ぶことにする)が生じるとともに、接触前のフェルミ準位E
Fの差を補償するための分極(接触電位,conntact potential)δ
pが発生する(
図2参照)。
【0009】
接触バリアδ
ECは、接触界面を挟んでの交換電流が粒子(A)から粒子(B)への方向でもその逆の方向でも等しい大きさで起こり、動的な平衡が達成されることを担保する。一方接触電位δ
pは、界面を横切って電子が遠くへ移動する際の静電障壁を提供する。すなわち電子のエネルギーがこれに満たない場合は散乱し、それを上回るエネルギーの電子だけを透すフィルターの役割を果たす。これは電子の移動度を下げることに他ならない。静電障壁には方向性があり、粒子(A)から粒子(B)への移動には、障壁がない。これに対して粒子(B)から粒子(A)への移動には障壁が存在する。そのため、後者では移動度が
exp (q δ
p /kT) に反比例して小さくなる。その結果、粒子(A)から粒子(B)への移動度の逆数は exp(p
A) に比例するのに対して粒子(B)から粒子(A)への移動度の逆数は
exp(p
A)exp (q δ
p/kT) に比例する。つまり後者では接触電位δ
pの分だけ抵抗が高いことになる。従って、BA方向の電子の流れでは、接触界面の抵抗に対し、表面電子濃度と移動度の両者が影響を与えることになる。
【0010】
注目すべきは、この両者の影響が相乗的におこることである。たとえば周辺の還元性ガス濃度を増加させたとき、両結晶の表面電子濃度[e]
SA,[e]
SBが増大するが、それとともにフェルミ準位の差も縮小するので接触電位δ
pが縮小し、結局移動度も増大する。つまり接触界面の抵抗は、表面電子濃度[e]
Sの増大と移動度の増大という二重の要因によって減少する。均一な結晶の接触では接触バリアδ
ECも接触電位δ
pも生じないので、接触界面の抵抗は表面電子濃度[e]
Sによってしか変化しない。しかし結晶粒子径が異なる場合、このように接触電位による増幅が起こる。したがって、B→Aの導電パスの抵抗が効果的にセンサの電気抵抗に反映されるように結晶粒子(A),(B)の充填構造(複合構造)を設計すれば、接触電位δ
pによって増感された高感度センサが実現できる。
【0011】
例えば粒子(A)と粒子(B)がランダムに連なった一次元の鎖(
図3参照)のセンサを想定する。
図3の構造では、必ず界面BAが導電パスに含まれる(図中の上下の矢印の位置)ことになり、これがセンサの増感に寄与する。しかし、粒子(A),(B)を単純混合した三次元集合体では、後述のように界面BAの寄与はほとんど現れない。なお図を簡明にするため、以後吸着酸素は省いて表示する。右から左への電子の流れに対して、界面BAが2箇所(上下の矢印位置)に存在する。逆方向の流れに対しては、別の位置に界面BAが存在する。これらが接触電位δ
pによる増感の基礎である。ただしこのような一次元鎖の作製は現実的でない。
【0012】
以上のように、
(1)接触電位δ
pがなるべく大きくなるように2種の結晶粒子(A)およびBを選択すること、および
(2)B→Aの導電パスがセンサ電気抵抗に効果的に寄与する充填構造(複合構造)を構築するの2つにより、接触電位δ
pにより増感された高感度金属酸化物半導体ガスセンサが得られる。
【0013】
(1)に関しては、結晶粒子サイズ、ドナー密度、仕事関数、などの性状の違いが接触電位δ
pに関係するので、結晶(A)は一般に高抵抗で、サイズあるいはドナー密度が小さく、また仕事関数が大きいものが望ましく、一方結晶(B)は一般に低抵抗で、逆にサイズあるいはドナー密度が大きく、また仕事関数が小さいものが望ましい。結晶(A),(B)には、同種の金属酸化物にいろいろなプロセシング処理や原子価制御処理を加え性状を大きく変えたものを使用しても良く、またSnO
2-In
2O
3あるいはSnO
2-WO
3のように異種の酸化物の組み合わせでも良い。このような異種酸化物の組み合わせでは、電子伝導帯下端とドナー準位とのエネルギー差や、仕事関数が異なるため、それらの結晶の接触界面には一般に接触バリアδ
ECと接触電位δ
pが発生する(
図4参照)。結晶(A),(B)が接触する前の状態では、ドナー密度が低い結晶(A)は吸着酸素の影響をドナー密度が高い結晶(B)よりも強く受け、結晶(A)のフェルミ準位E
FA(f)は結晶(B)のフェルミ準位E
FB(f)よりも下方に存在する。そのため、結晶(A),(B)が接触するとフェルミ順位E
Fが等しくなり、界面には前図と同様、接触バリアδ
ECと接触電位δ
pが発生する。粒子(B)から粒子(A)への電子の移動抵抗は、粒子(A)から粒子(B)への移動に比べて接触電位δ
pの分だけ大きい。
【0014】
Bのドナー密度を極端に大きくした場合は、接触バリアδ
EC、接触電位δ
pともにきわめて大きくなる(
図5(a)参照)。粒子(B)に金属粒子あるいは金属の薄層を用いた場合は、さらにこれが助長される(
図5(b)参照)。いずれの場合にも、大きな接触バリアδ
ECと大きな接触電位δ
pが発生するので、接触電位δ
pによる増感が顕著になることがわかる。
【0015】
金属では多数の自由電子が電子伝導帯に存在し、フェルミ準位はその上端の電子準位に固定され、ガス吸着などによって影響されない。金属酸化物半導体結晶(A)と金属(B)を接触させると、接触バリアδ
ECと接触電位δ
pがともに発生するが、とくにこの場合、ガス濃度の変化に伴う接触電位δ
pの変化量は結晶(A)の仕事関数の変化量に等しくなる。したがって、接触界面の抵抗変化には電子濃度の変化と移動度の変化が同等に寄与することになり、至適充填構造のセンサでは接触電位δ
pによる増感が最大限に発揮される。また金属のかわりに金属的な伝導性を示すIn
2O
3-SnO
2固溶体(ITO)などを用いても良い。
【0016】
(2)に関しては、性状が異なる結晶粒子(AおよびB)からなる2種の金属酸化物を単に混合分散したのでは、ほとんど効果がない。電子が結晶粒子(A)から結晶粒子(B)へ移動するときをAB,逆方向に移動するときをBA,同種結晶粒子間で移動するときをAA, BBと記すと、各接触界面の抵抗は、BB < AA = AB < BA の順に大きくなる。界面ABと界面BAで抵抗の大きさが異なるのは接触電位δ
pが方向性を持つためである。単に混合分散したのでは、高抵抗な界面BAの寄与は、並列な低抵抗の界面AAなどに埋没して、センサの電気抵抗値に有効に寄与することができない。有効に寄与させるためには電子が界面BAを必ず通るような充填構造、たとえばバイアス方向に結晶粒子(A)のみの薄層と結晶粒子(B)のみの薄層とを交互に積層した層状充填構造である(
図6参照)。
図6の構造では、ELは電極で、B層からA層への導電パスが直列につながっており接触電位δ
pによる抵抗増加を効果的に捉えることができる。特にA層、B層を薄くすれば、それをますます顕在化させることが原理的に可能である。
【0017】
図6において、界面BAを通る導電パスと直列につながる界面AAのパスや界面BBのパスの抵抗を抑えるため、一般にはA層、B層を薄くすることが望ましい。特にA層をたとえば1結晶層の厚みにすれば、界面AAのパスの寄与を取り除くことができる。B層に金属もしくは金属に近い伝導性の金属金属酸化物を用いるときには、界面BBのパスの抵抗は無視できるのでB層の厚みは大きくても良い。結晶層が広く発達した層状充填構造は原理的にはスパッタリングなどの乾式成膜法を用いて、あるいはスピンコートなどの湿式成膜法を用いて作製することができるが、A層を数結晶層程度に制御するのは必ずしも容易ではない。
【0018】
一方、層状構造は必ずしもセンサ全体に広がっている必要はなく、局所的であってもよく、このような充填構造は比較的容易に実現できる。たとえば、先ず大きな結晶粒子(B)に微細な結晶粒子(A)を1,2層堆積した複合粒子を湿式法で作製し、次にこの複合粒子を基板上に堆積してセンサとしても良い(
図7参照)。
図7の構造では、大径の結晶粒子(B)の表面が小径の結晶粒子(A)で被覆されて複合粒子となり、複合粒子が互いに接触している。なおELは電極である。
図6では、界面BAのパスと並列に界面AAのパスが存在するが、その影響をなるべく抑えるために、粒子(B)のサイズを極力大きくすることおよび粒子(A)同士がなるべく接触しないように粒子(A)の担持量を抑えている。
【0019】
複合粒子の作製にあたっては、特に結晶粒子(A)のサイズを微細かつ均質にするために、超微粒子単分散系を使用することが望ましい。このため例えば逆ミセル法が有効である(特許文献1)。小さな粒子(金属酸化物前駆体としての水酸化物)を析出させた逆ミセルと、大きな粒子(水酸化物)を析出させた逆ミセルとを混合したのち、ミセル破壊、水洗、乾燥、焼成することにより、大きな粒子(B)の周囲に小さな結晶粒子(A)が薄層状に付着した複合粒子が得られる。この複合粒子を用いて一対の電極間を接続するように成膜すると、望ましい充填構造のガスセンサが得られる。また、例えば金属水酸化物ゲルを水熱処理するなどして得られる、金属酸化物コロイド分散系の使用も有効である。高温焼成などにより大きく成長させた金属酸化物をそのままでもしくは破砕して、小さな結晶粒子の金属酸化物半導体を分散させたコロイド系に加えると、大きく成長した結晶粒子の周囲に小さな結晶粒子が付着し、同様の構造の複合体を得ることができる。この複合体粒子を同様に成膜してガスセンサとする。
【0020】
大きな1次粒子と小さな1次粒子との組み合わせの代わりに、原子価制御を施してドナー密度を大きくした金属酸化物粒子(B)と施していない金属酸化物半導体結晶粒子(A)とを組み合わせても良い。そのためには、原子価制御不純物を加えた金属酸化物(B)のコロイド分散系と、原子価制御不純物を加えていない金属酸化物(A)のコロイド分散系を用意する。金属酸化物(B)のコロイド分散系を、サイズが金属酸化物(B)の結晶粒子径よりはるかに大きな絶縁体粒子(シリカボールなど)の分散系に加え、絶縁体粒子上に金属酸化物(B)を層状に固着する。ついで金属酸化物(A)のコロイド分散系を混合して、金属酸化物(B)の上に金属酸化物(A)を薄層状に固着する。このようにして得た絶縁体粒子を担持する複合体を用い、前記と同様に成膜を行えば良い(
図8参照)。これは
図7の粒子(B)を極端に大きな絶縁体粒子とその表面の例えば緻密なB粒子の層とで構成したものに相当する。粒子(B)には原子価制御によって極端にドナー密度を高くした半導体、もしくは金属を用いる。なお金属酸化物(B)の代わりに、金属コロイドの分散系を用いて絶縁体粒子担持複合体を作製しても良い。
【0021】
なお原子価制御を用いる場合でも、
図6の構造を用いることができる。即ち原子価制御によりドナー密度を大きくした金属酸化物粒子の層と、原子価制御を施していない金属酸化物粒子の層とを互いに積層しても良い。この場合、原子価制御を施した金属酸化物粒子と、施していない金属酸化物粒子とは、粒径が同じでも異なっても良い。
【0022】
異種金属酸化物を組み合わせる場合にも、逆ミセル溶液やコロイド系は有用である。たとえば導電性の高い金属酸化物(B)の前駆体(水酸化物)を析出させた第1の逆ミセル溶液と、導電性の低い金属酸化物(A)の前駆体(水酸化物)を析出させた第2の逆ミセル溶液とを調製し、前記と同様にして絶縁体粒子上に粒子(B)の層、粒子(A)の層を順次堆積し、金属酸化物への転換と成膜とを行えばよい。
【0023】
有機溶媒中で有機金属化合物を熱分解すると、表面が有機物で被覆されて凝集性に乏しい金属酸化物半導体結晶粒子を調製できる(特許文献2)。そこで、このようにして得た結晶粒子径の小さな金属酸化物(A)の分散系と、前期のようにして得られる大きな粒子径の金属酸化物(B)の分散系を用意すれば、上記と同様にして望ましい充填構造のセンサを作製することができる。この場合も、結晶粒子径の相違の代わりに、原子価制御の有無、あるいは金属酸化物の種類の相違を利用しても良い。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
実施例1
図7の充填構造では、SnO
2等のn型金属酸化物半導体の大きな結晶(B)の周囲に、例えば同じ金属酸化物半導体の小さな結晶(A)が固着した複合粒子が基板上に堆積されている。電極ELは例えば一対有り、その間に粒子(A),(B)の接触界面を通じた導電パスが多数形成されている。大きな結晶(B)の周囲に小さな結晶(A)が分散しており、界面AB間を経由して電子が移動する。
【0027】
図9に、このような複合粒子からなるガスセンサの製造工程を示す。スズ無機塩水溶液の逆ミセルとアルカリ水溶液の逆ミセルを混合するとスズ水酸化物を内包する逆ミセルが得られる。水と有機溶媒との割合RW比を変えると、スズの水酸化物の粒径を変えることができるので、これを利用してスズ水酸化物の粒子径が異なる2種類の逆ミセル溶液を作製する。しかる後両溶液を混合、ミセルを破壊、有機溶媒を水で洗浄、乾燥、仮焼すれば、大きな粒子(B)の周りに小さな粒子(A)が固着した所望の複合粒子系が得られる。また必要に応じて逆ミセルあるいはその破壊後の段階でPt,Pd,Au等の貴金属触媒を担持することができる。複合粒子系をグリセリン等でペースト化し、例えば一対の電極を設けた基板上に塗布して焼成すると、
図7のような充填構造のガスセンサが得られる。
【0028】
図10に示すように、Sb等のドーパントを含まないスズの水酸化物と、Sbを含むスズの水酸化物を各々逆ミセル法で調製し、混合してSbを含むスズの水酸化物粒子の周囲にSbを含まないスズの水酸化物粒子を分散させても良い。以下は
図9と同様にすると、原子価制御の有無を利用してガス感度を増したガスセンサが得られる。
【0029】
図11は、SnO
2結晶粒子とIn
2O
3結晶粒子との組み合わせによるガスセンサの製造方法を示す。逆ミセル法によりスズの水酸化物とインジウムの水酸化物とを調製し、水を加えて混合することにより、インジウムの水酸化物粒子の周囲にスズの水酸化物粒子を析出させる。以下は
図9と同様にして、ガスセンサとする。
【0030】
1次粒子(結晶粒子)が凝集していない金属酸化物分散系は、有機金属化合物を有機溶媒中で熱分解しても調製できる。Snの有機金属化合物を有機溶媒中で熱分解すると、原料濃度や熱分解温度等により、異なった粒子径のSnO
2分散系が得られる。このSnO
2は、表面が有機物で被覆されているため、1次粒子が凝集していない。このようにして得た金属酸化物分散系を出発原料として、
図7に用いる複合粒子系を作製してもよい。
【0031】
実施例2
図8の充填構造では、絶縁体粒子(シリカボールなど)の表面に高導電性の金属酸化物半導体結晶粒子あるいは金属粒子(B)が緻密に堆積し、その上に高抵抗のn型金属酸化物半導体結晶粒子が担持されて複合粒子を構成している。そしてこの複合粒子を充填した構造に、一対の電極が接続されている。絶縁体粒子上への粒子(B)の堆積は、金属酸化物半導体結晶(B)の分散系(逆ミセル系、コロイド系など)に絶縁体粒子を浸漬することによって、あるいは金属有機化合物溶液中に絶縁体粒子を浸漬したのち光分解処理などを施すことによって、実現できる。これを洗浄、乾燥、仮焼して絶縁体粒子への粒子(B)の固着を確かなものにしたのち、粒子(A)の分散系に浸漬してこれを担持する。この複合粒子系を用いて成膜すれば、所望の充填構造が得られる。この充填構造では、複合粒子系内では、粒子(B)の層が導電を担い、複合粒子間では界面BA(および界面AB)が導電を担う。したがって、界面BAの接触電位δ
pによる増感が極めて有効に発現する。