(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の調理器は、エラー内容及びエラー発生時の調理コースのみを表示部に表示させるものであり、エラー発生原因を特定するとき、エラー発生前の正常時のデータを用いてエラー発生原因を特定することができない。このため、エラー発生原因を正確に特定することが困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、従来よりもエラー発生原因を正確に特定することができる加熱調理器及び加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理システムは、加熱調理器とサーバとがネットワークを介して接続された加熱調理システムであって、前記加熱調理器は、該加熱調理器の本体情報が順次入力され、入力された前記本体情報を前記サーバに順次送信する
無線通信用入出力部、および近距離通信用入出力部と、報知部と
、加熱部と、を備え、前記サーバは、データベースを備え、
前記サーバは、前記
無線通信用入出力部から送信される前記本体情報を前記データベースに順次記憶させ、前記データベースに記憶された前記本体情報に基づいて前記加熱調理器の異常の有無を判定し、異常であると判定した場合に、前記データベースに記憶された異常発生前の前記本体情報及び異常発生以後の前記本体情報に基づいて異常の原因を解析する解析処理を行い、前記解析処理の結果に応じた
異常の原因を含む報知内容を前記加熱調理器に送信
するものであり、前記加熱調理器は、前記サーバから前記報知内容を受信すると、前記報知内容を前記報知部から出力させ
、さらに近距離通信用入出力部を介して所定の近距離無線通信状態が確立した情報通信端末機器に対し、前記本体情報と前記サーバから送信された前記報知内容とを送信可能とするものである。
【0007】
本発明の加熱調理器は、異常判定を行うサーバに対しネットワークを経由して接続された加熱調理器であって、前記加熱調理器
の本体情報が順次入力され、入力された前記本体情報を前記サーバに順次送信する無線通信用入出力部、および近距離通信用入出力部と、報知部と
、加熱部と、を
それぞれ備え
、加熱調理動作中において前記本体情報を順次記憶する記憶部
と、前記サーバによって異常判定処理を行うために、
前記加熱調理動作中において前記本体情報を前記無線通信用入出力部から前記サーバへ送信
するコントローラと、を更に備え、前記コントローラは、前記サーバから
、異常ありと判定した際の異常発生前の前記本体情報及び異常発生以後の前記本体情報に基づく解析処理の結果に応じた異常の原因を含む報知内容を受信すると、当該報知内容を前記報知部
に出力させ
ると共に、近距離通信用入出力部を介して所定の近距離無線通信状態が確立した情報通信端末機器に対し、前記記憶部に記憶された前記本体情報と前記サーバから
送信された
前記報知内容とを送信可能とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱調理システムによれば、データベースを備えたサーバにおいて、加熱調理器から送信される本体情報を前記データベースに順次記憶させ、データベースに記憶された本体情報に基づいて加熱調理器の異常の有無を判定し、異常であると判定した場合に、データベースに記憶された異常発生前の本体情報及び異常発生以後の本体情報に基づいて異常の原因を解析する解析処理を行い、解析処理の結果に応じた報知内容を報知部から出力させるようにコントローラを制御する。このように、加熱調理器に異常が生じたとき、データベースに格納されている加熱調理器の異常以後の本体情報に加え、データベースに格納されている加熱調理器の異常前の本体情報も利用して、異常原因を解析するため、従来よりも異常原因をより正確に特定することができる。
【0009】
本発明の加熱調理器によれば、加熱調理動作中において本体情報を順次記憶する記憶部を有し、外部のサーバによって異常判定処理を行うために、加熱調理動作中において前記本体情報を前記無線通信用入出力部から当該サーバへ送信させるから、前記サーバから異常発生を示す報知内容を受信すると、当該報知内容を加熱調理器の報知部から出力させて使用者に異常を報知し、さらに近距離通信用入出力部を介して所定の近距離無線通信状態が確立した情報通信端末機器に対し、前記記憶部に記憶された前記本体情報と前記サーバから報知された報知内容とを送信可能とするので、その情報通信端末機器を利用して使用者が異常内容を認識できるという利便性がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の加熱調理器100及び加熱調理システム1000について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明の加熱調理器100は、トッププレート上に置かれた被加熱物を誘導加熱する加熱部と、グリル調理を行うグリル加熱室とを備えた加熱調理器を例に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理システム1000を示す概略図である。
図1に示されるように、加熱調理システム1000は、加熱調理器100と、サーバ60とを備える。加熱調理器100は、加熱調理器部10と、インターネット等のネットワーク50に接続して通信を行うための通信部であるネットワーク通信処理部30とを備えている。ネットワーク通信処理部30は、ターミナルアダプタ40等の通信端末を介してインターネット50に接続され、サーバ60との間で通信を行う。
【0013】
加熱調理器部10は、操作部11と、電流検出部12と、温度検出部13と、電源制御部15と、コントローラ21と、加熱部22と、報知部23と、近距離通信(「NFC」という)用入出力部24と、をそれぞれ備える。
【0014】
前記操作部11は、加熱調理の選択や各種設定の入力を行うものであり、電源スイッチ11a及び操作パネル11bを備えている。操作パネル11bは、例えば、グリル加熱室(図示せず)の内部空間を加熱するグリルヒーター(図示省略)による加熱調理(「グリル調理」ともいう。例えば魚焼きを含む)の開始操作をするスイッチ(図示省略)及び前記グリル加熱室の空焼きの開始操作をするスイッチ(図示省略)を備えている。
【0015】
前記電流検出部12は、例えば、誘導加熱源となる加熱コイル(図示省略)に流れる駆動電流、あるいは当該駆動電流の発生源であるインバータ回路(図示省略)に入力される入力電流の大きさを検出する。前記電源制御部15は、ネットワーク通信処理部30への電源供給の制御を行う。電源制御部15は、電源スイッチ11aの入力に応じてネットワーク通信処理部30に対する電源の供給あるいは停止を行う。
【0016】
前記温度検出部13は、例えば、鍋等の被加熱物の温度、あるいは前記グリル加熱室の内部の温度を検出する温度検出素子(図示省略)を備えており、検出結果に基づく信号をコントローラ21に出力する。温度検出部13は、例えばサーミスタ等の接触式の温度センサである。
【0017】
前記コントローラ21は、操作部11、温度検出部13、電流検出部12などから出力される情報を、ネットワーク通信処理部30へ送信する。また、コントローラ21は、操作部11、電流検出部12、温度検出部13から出力される情報(以下、この情報を「本体情報」と称することがある)に基づいて、加熱部22、報知部23の駆動制御を行う。コントローラ21は、例えば、この機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、又はマイコン若しくはCPUなどの演算装置上で実行されるソフトウェアで構成される。なお、以後の説明において、「本体情報」と単に記載したときには、加熱調理器100の本体情報を指すものとする。また、コントローラ21は、サーバ60から送信された報知内容に基づいて、報知部23の駆動制御を行う。報知部23は、例えば文字若しくはアイコンを表示する液晶表示装置、又は警告メッセージ音声若しくは警報音を出力するスピーカーで構成される。
【0018】
報知部23は、例えば、グリル調理の運転回数が所定回数(例えば5回)以上となるまでに「空焼き」が行われない場合に、「空焼き」を行うように使用者に報知する、あるいは「空焼き」を行うまで調理が出来ないようにすることを使用者に報知する。なお「空焼き」とは、グリル加熱室の内側壁面あるいはグリルヒータに付着した魚などの油を焼ききるために、グリルヒータを強制的に通電してグリル加熱室の内部空間を所定温度以上に加熱することを指す。
【0019】
前記ネットワーク通信処理部30は、通信コントローラ31と、記憶部32と、駆動用の電源回路35とを備え、加熱調理器100に内蔵あるいは外付けされている。
【0020】
前記通信コントローラ31は、通信ケーブルあるいは無線によって前記コントローラ21と通信可能に接続される。通信コントローラ31は、例えば、コントローラ21との通信処理、ターミナルアダプタ40を介したインターネット50への接続、サーバ60との通信処理、およびコントローラ21から取得した本体情報を記憶部32に格納する処理を行う。通信コントローラ31は、例えば、この機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、又はマイコン若しくはCPUなどの演算装置上で実行されるソフトウェアで構成される。
【0021】
前記記憶部32は、書き換え消去可能な不揮発性のものであり、本体情報を記憶する。記憶部32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリの記憶媒体で構成される。電源回路35は、電源制御部15によって制御され、通信コントローラ31を運転させ又は運転を停止させるものである。
【0022】
前記NFC用入出力部24は、情報通信端末機器(図示せず)が所定の距離(例えば、100mm)以下まで接近した場合に自動的に近距離無線通信状態を確立するため、当該情報通信端末機器を接近又は接触させ易い位置に設けてあり、例えば加熱調理器100の外郭を構成するとケース(図示せず)やトッププレートの一部に配置されている。前記操作パネル11bに設けても良い。
【0023】
前記ターミナルアダプタ40は、ISDN回線等を介して外部機器との通信を行うことを可能にするための装置である。サーバ60は、インターネット50を介して供給された本体情報を記憶するデータベース60aを備える。
【0024】
なお、以降の説明において「故障」状態とは例えば、前記温度検出部13の温度検出素子が短絡、断線し、加熱調理器100を使用するに際して不都合が生じる状態である。また、「異常」状態とは例えば、機器で想定されない電流値又は温度値が検出され、「故障」が発生する前兆を示す状態である。異常の1例としては、前記インバータ回路の入力側回路で異常に高い又は低い電流値が検出された状態や、前記誘導加熱源となる加熱コイルや被加熱物である金属製の鍋が異常に高い温度になったことが検出された状態をいう。
【0025】
図2は本発明の実施の形態1に係る加熱調理システム1000の処理を示すフローチャートである。以下に、
図2の処理を順に説明する。
【0026】
(ステップS101〜ステップS103)
まず、使用者が、操作部11の電源スイッチ11aをオンすると(ステップS101)、電源制御部15を介してネットワーク通信処理部30に電源が供給され、通信コントローラ31が起動される。通信コントローラ31は、ターミナルアダプタ40の通信状態の確認を行い(ステップS102)、ステップS103に移行する。通信コントローラ31は、通信が確立されたか否かを確認し(ステップS103)、通信が確立されれば(ステップS103でYes)、ステップS104に移行する。なお、ステップS103で、通信が確立されなければ(ステップS103でNo)、ステップS102に戻る。
【0027】
(ステップS104)
コントローラ21は、コントローラ21に順次入力された本体情報をサーバ60に順次送信する(ステップS104)。すなわち、コントローラ21からサーバ60への本体情報の送信は繰り返し行われる。このとき、コントローラ21は、通信コントローラ31を介して、本体情報を記憶部32に順次記録させる。
【0028】
(ステップS201、S202)
サーバ60は、コントローラ21から送信された本体情報をデータベース60aに格納する(ステップS201)。そして、サーバ60は、コントローラ21から送信された本体情報に基づいて、加熱調理器100の異常の有無を判定する(ステップS202)。具体的な判定内容については後述する。
【0029】
(ステップS203)
サーバ60は、異常ありと判定すると(ステップS203でYes)、ステップS204に移行する。一方、サーバ60は、異常なしと判定すると(ステップS203でNo)、ステップS202に戻る。
【0030】
(ステップS204、S205)
サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の本体情報及び加熱調理器100の異常発生以後の本体情報をデータベース60aから読み出す(ステップS204)。そして、サーバ60は、加熱調理器100の異常の原因を解析し、報知部23に報知させる報知内容をコントローラ21に送信する(ステップS205)。具体的な解析内容については後述する。
【0031】
(ステップS105、S106)
コントローラ21は、ステップS205でサーバ60から送信された報知内容を報知部23から報知させる(ステップS105)。ステップS106でNFCの読出し有無を判定する。読出しありの場合、情報を送信し(ステップS109)終了する(ステップS110)。読出しが無い場合、加熱停止処理を行う(ステップS107)。加熱停止処理後、再度ステップS108でNFCの読出し有無を判定する。読出しありの場合、情報を送信し(ステップS109)終了する(ステップS110)。読出しが無い場合、加熱停止処理を行う(ステップS110)。
なお、報知部23による報知は、報知内容を表示画面に表示することで使用者に注意喚起するものであってもよいし、報知内容を音声で出力して使用者に注意喚起するものであってもよい。
【0032】
以下に、本体情報が、(a)電流検出部12で検出される電流値、(b)温度検出部13で検出される温度値、(c)電流検出部12で検出される電流値及び温度検出部13で検出される温度値、であった場合の本体情報の解析について説明する。以後の説明では、上述したステップS104、S105、S201〜S205と適宜関連づけて説明する。
【0033】
まず、本体情報が、「(a)電流検出部12で検出される電流値」である場合について説明する。ここでは、電流検出部12が、加熱コイルに流れる駆動電流を検出するものとする。電流検出部12は、検出した電流値に関する情報をコントローラ21に出力する。コントローラ21は、電流検出部12から出力された情報をサーバ60に送信する(ステップS104)。このとき、コントローラ21は、通信コントローラ31を介して、電流検出部12から出力された情報を記憶部32に順次記録させる。
【0034】
サーバ60は、コントローラ21から送信された情報をデータベース60aに格納する(ステップS201)。サーバ60は、コントローラ21から送信された情報に基づいて、加熱調理器100の異常の有無を判定する(ステップS202)。なお、サーバ60は、異常を判定するための閾値電流(異常電流判定の基準電流値)の情報を保持しており、コントローラ21から送信された情報(電流)がこの閾値電流を超えれば異常ありと判定し、コントローラ21から送信された情報(電流)がこの閾値電流以下であれば異常なしと判定する。
【0035】
サーバ60は、異常ありと判定すると(ステップS203でYes)、ステップS204に移行する。一方、サーバ60は、異常なしと判定すると(ステップS203でNo)、ステップS202に戻る。
【0036】
サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の電流値及び加熱調理器100の異常発生以後の電流値をデータベース60aから読み出す(ステップS204)。そして、サーバ60は、加熱調理器100の異常の原因を解析し、報知部23に報知させる報知内容をコントローラ21に送信する(ステップS205)。具体的には例えば、サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の電流値と加熱調理器100の異常発生以後の電流値との差、閾値電流を超える電流値が断続的に発生した回数等を考慮して、使用者が「鍋ふり」を行っていると判定し、使用者に「鍋ふり」を止めるように促す報知内容をコントローラ21に送信する。なお、「鍋ふり」とは、使用者がトッププレート上で鍋を上下に動かすことを指す。誘導加熱調理器では、トッププレート上の所定位置に被加熱物となる金属製の鍋が置かれた状態で加熱調理をするのが平常状態であり、「鍋ふり」は非平常状態、例外的状態と言える。
【0037】
コントローラ21は、ステップS205でサーバ60から送信された報知内容を報知部23から報知させる(ステップS105)。このように加熱調理器100は、「鍋ふり」が行われても、使用者に「鍋ふり」を止めるように促す。このため、トッププレートがガラス製であっても、トッププレートの上面に鍋の一部が勢いよく当たって損傷することを抑制することができる。また、電流値が閾値電流を超えることを抑制できるため、加熱調理器100内部の回路を保護することができる。
【0038】
次に、本体情報が、「(b)温度検出部13で検出される温度値」である場合について説明する。ここでは、温度検出部13が、鍋等の被加熱物の温度を検出するものとする。温度検出部13は、検出した温度値に関する情報をコントローラ21に出力する。コントローラ21は、温度検出部13から出力された情報をサーバ60に送信する(ステップS104)。このとき、コントローラ21は、通信コントローラ31を介して、温度検出部13から出力された情報を記憶部32に順次記録させる。
【0039】
サーバ60は、コントローラ21から送信された情報をデータベース60aに格納する(ステップS201)。サーバ60は、コントローラ21から送信された情報に基づいて、加熱調理器100の異常の有無を判定する(ステップS202)。なお、サーバ60は、異常を判定するための閾値温度(異常温度判定の基準温度値)の情報を保持しており、コントローラ21から送信された情報(温度)がこの閾値温度を超えれば異常ありと判定し、コントローラ21から送信された情報(温度)がこの閾値温度以下であれば異常なしと判定する。
【0040】
サーバ60は、異常ありと判定すると(ステップS203でYes)、ステップS204に移行する。一方、サーバ60は、異常なしと判定すると(ステップS203でNo)、ステップS202に戻る。
【0041】
サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の温度値及び加熱調理器100の異常発生以後の温度値をデータベース60aから読み出す(ステップS204)。そして、サーバ60は、加熱調理器100の異常の原因を解析し、報知部23に報知させる報知内容をコントローラ21に送信する(ステップS205)。具体的には例えば、サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の温度値と加熱調理器100の異常発生以後の温度値との差を算出し、温度上昇値が所定以上であった場合には、例えば「貼付け鍋」のように異常な鍋が使用されていると判定し、使用者に「貼付け鍋」の使用を止めることを促す報知内容をコントローラ21に送信する。なお「貼付け鍋」とは、例えば非磁性金属の鍋(銅やアルミニウムの鍋など)の底に鉄やステンレスなどの磁性金属板を部分的に貼り付けているものをいう。
【0042】
コントローラ21は、ステップS205でサーバ60から送信された報知内容を報知部23から報知させる(ステップS105)。このように加熱調理器100は、「貼付け鍋」が使用されても、使用者に「貼付け鍋」の使用を止めるように促す。このため、(誘導加熱調理器のメーカ側で)使用が想定されてない鍋、推奨されていない鍋により調理が行われても、異常の原因を正確に把握し、加熱調理器が故障してしまう前に、使用者に注意喚起することができる。したがって、市場不具合に対応することができる。
【0043】
次に、本体情報が、「(c)電流検出部12で検出される電流値及び温度検出部13で検出される温度値」である場合について説明する。ここでは、電流検出部12が、加熱コイルに流れる駆動電流を検出し、温度検出部13が、鍋等の被加熱物の温度を検出するものとする。電流検出部12は、検出した電流値に関する情報をコントローラ21に出力し、温度検出部13は、検出した温度値に関する情報をコントローラ21に出力する。コントローラ21は、電流検出部12及び温度検出部13から出力された情報をサーバ60に送信する(ステップS104)。このとき、コントローラ21は、通信コントローラ31を介して、電流検出部12及び温度検出部13から出力された情報を記憶部32に順次記録させる。
【0044】
サーバ60は、コントローラ21から送信された情報をデータベース60aに格納する(ステップS201)。サーバ60は、コントローラ21から送信された情報に基づいて、加熱調理器100の異常の有無を判定する(ステップS202)。なお、サーバ60は、異常を判定するための閾値電流及び閾値温度(異常電流判定の基準電流値と、異常温度判定の基準温度値)の情報をそれぞれ保持しており、コントローラ21から送信された情報(電流又は温度)がこの閾値電流又は閾値温度を超えれば異常ありと判定し、コントローラ21から送信された情報(電流及び温度)がこの閾値電流及び閾値温度以下であれば異常なしと判定する。
【0045】
サーバ60は、異常ありと判定すると(ステップS203でYes)、ステップS204に移行する。一方、サーバ60は、異常なしと判定すると(ステップS203でNo)、ステップS202に戻る。以後のステップS204以降では、コントローラ21から送信された情報(電流)が閾値電流を超えた結果、サーバ60が異常ありと判定した例について説明する。
【0046】
サーバ60は、加熱調理器100の異常発生前の電流値及び温度値並びに加熱調理器100の異常発生以後の電流値及び温度値をデータベース60aから読み出す(ステップS204)。そして、サーバ60は、加熱調理器100の異常の原因を解析し、報知部23に報知させる報知内容をコントローラ21に送信する(ステップS205)。
【0047】
コントローラ21は、ステップS205でサーバ60から送信された報知内容を報知部23から報知させる(ステップS105)。このように加熱調理器100は、コントローラ21から送信された情報(電流)が閾値電流を超えた結果、サーバ60が異常ありと判定したとき、加熱調理器100の異常発生前の電流値及び加熱調理器100の異常発生以後の電流値だけでなく、加熱調理器100の異常発生前の温度値及び加熱調理器100の異常発生以後の温度値も考慮して、異常の原因を解析する。このため、市場不具合の発生原因を究明するときに有用である。
【0048】
以上のように、本実施の形態1は、サーバ60が、コントローラ21から送信される本体情報をデータベース60aに順次記憶させ、データベース60aに記憶された本体情報に基づいて加熱調理器100の異常の有無を判定し、異常であると判定した場合に、データベース60aに記憶された異常発生前の本体情報及び異常発生以後の本体情報に基づいて異常の原因を解析する解析処理を行い、解析処理の結果に応じた報知内容を加熱調理器100に送信し、加熱調理器100は、サーバ60から報知内容を受信すると、報知内容を報知部23から出力させる。このように、加熱調理器100に異常が生じたとき、データベース60aに格納されている加熱調理器100の異常発生以後の本体情報に加え、データベース60aに格納されている加熱調理器100の異常発生前の本体情報も利用して、故障原因を解析するため、従来よりも故障原因をより正確に特定することができる。
また、近距離通信用入出力部24を介して所定の近距離無線通信状態が確立した情報通信端末機器(図示せず)に対し、前記記憶部32に記憶された前記運転状態と異常検知手段の異常監視データとを送信可能とすることで故障原因がより分かりやすい。
【0049】
また、本実施の形態1の加熱調理器100は、加熱調理器100が、本体情報を記憶部32に順次記録させる。このため、加熱調理器100がメンテナンスセンターに運ばれたとき、メンテナンスセンターの作業者は、加熱調理器100の記憶部32に格納されている本体情報に基づいて異常の原因の解析を行うことができる。
【0050】
なお、本実施の形態1では、サーバ60が、加熱調理器100の異常判定及び異常の原因を解析する処理を行う例について説明したが、これらの処理をコントローラ21が行うようにしてもよい。この場合には、コントローラ21は、コントローラ21に入力された本体情報を基に異常の判定を行い、加熱調理器100の異常発生前の本体情報及び加熱調理器100の異常発生以後の本体情報を記憶部32から読み出して、読み出した本体情報に基づいて異常の原因を解析する処理を行う。
【0051】
また、本実施の形態1では、コントローラ21が本体情報をサーバ60に送信するとき、本体情報を記憶部32に順次記録させているが、これに限定されず、本体情報を記憶部32に記憶させなくともよい。この場合には、メンテナンスセンターの作業者は、データベース60aに格納された本体情報に基づいて異常の原因の解析を行えばよい。
【0052】
本実施の形態1では、加熱調理器100は、トッププレート上に置かれた被加熱物を誘導加熱する加熱部が1つである誘導加熱調理器の場合について説明したが、金属鍋やフライパン等の被加熱物を複数個同時に使用できるように、前記トッププレートの下方の数か所(例えば左右に離れて2か所)に、加熱部22をそれぞれ設け、これら各加熱部を1つの電源制御部15によって互いに独立して制御して、任意の加熱部22で誘導加熱調理を行うようにしたものでも良い。例えば、2か所の加熱部を備えたものは、2口の誘導加熱調理器と呼ばれている。この場合、報知部23には、前記した全ての加熱部に共通の表示部を設けると、使用者が常にその表示部の表示を注意すれば良いので、使い勝手が良い。また、その表示部は、前記操作部11の操作結果や加熱調理の進捗状況や動作内容を文字や図形等で表示する液晶表示基板等を備えたもので良い。そして前記コントローラ21は、各操作部11、温度検出部13、電流検出部12などから出力される情報を、ネットワーク通信処理部30へ送信する。また、コントローラ21は、各加熱部22に対して、前記電流検出部12と温度検出部13とを設けることにより、各加熱部22からそれぞれ本体情報が出力されるようにする。このように構成すれば、各加熱部における異常発生前の電流値及び異常発生以後の電流値だけでなく、異常発生前の温度値及び異常発生以後の温度値も利用して、全ての加熱部毎に異常の原因を解析することができる。