特許第6257644号(P6257644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6257644アルコキシシランおよびシルセスキオキサン樹脂を含む化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6257644
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】アルコキシシランおよびシルセスキオキサン樹脂を含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20171227BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20171227BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20171227BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20171227BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20171227BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20171227BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   A61K8/58
   A61K8/23
   A61K8/365
   A61K8/36
   A61K8/891
   A61K8/31
   A61Q5/06
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-548434(P2015-548434)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-503766(P2016-503766A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】EP2013076848
(87)【国際公開番号】WO2014095821
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】13/719,958
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ベイル・オーガスティン
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ズ
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−083892(JP,A)
【文献】 特開平04−230312(JP,A)
【文献】 特開2009−203232(JP,A)
【文献】 特表2013−510151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1相であって、
i. 前記第1相の総重量を基準として、0.01〜30重量%の、少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシラン、
ii. 前記第1相の総重量を基準として、0.01〜20重量%の、少なくとも1種の水溶性金属塩、
iii. 少なくとも1種の酸性化剤ならびに
iv. 少なくとも1種の化粧料として許容される水含有担体
を含む第1相と、
(b)第2相であって、
i. 前記第2相の総重量を基準として、0.01〜35重量%の、少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂および
ii. 少なくとも1種の揮発性溶剤
を含む第2相と
を含む、整髪用組成物。
【請求項2】
(a)(i)が3−アミノプロピルトリエトキシシランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)(i)が、前記第1相の総重量を基準として、0.1〜25重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)(ii)が、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)(ii)が、前記第1相の総重量を基準として、0.05〜10重量%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(a)(iii)が、乳酸、クエン酸、酢酸およびこれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)(iii)が、前記第1相の重量を基準として、0.01〜40重量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)(iv)が少なくとも1種の揮発性または不揮発性溶剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)(iv)が、前記第1相の重量を基準として、1〜99重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(b)(i)がポリプロピルシルセスキオキサン樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(b)(i)が、前記第2相の総重量を基準として、0.1〜25重量%の量で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(b)(ii)が、イソドデカン、イソヘキサデカン、トリシロキサンおよびこれらの混合物から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(b)(ii)が、前記第2相の総重量を基準として、0.01〜99重量%の量で存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(b)が、少なくとも1種の不揮発性溶剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
(a)対(b)の重量比が、10:90〜90:10の範囲にある、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が2相系の外観を呈する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が乳化剤を含まない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
整髪方法であって、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物を前記毛髪に接触させることを含む、整髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有するアルコキシシラン、水溶性金属塩、酸性化剤ならびにシルセスキオキサン樹脂を含む整髪用組成物ならびに整髪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の消費者は、機能性を犠牲にすることなく、優れた塗布感および使用感の両方が得られる多機能の新製品を積極的に模索している。この種の組成物の重要な機能的要素の1つが、毛髪が重みで潰れないようにしながら髪型を整える能力である。多くの消費者は、毛束に厚い皮膜を付着させる(それによって毛髪が重みで潰れ、多くの場合、脆いバリバリした膜が生じる)ことなく、非常に優れた形状記憶、美容性およびツヤを付与する毛髪用製品を求めている。塗布後に得られる毛髪の感触および質感はこの種の商品の重要な要素である。整髪製品関連の市場には様々な技術および製品が存在するが、この分野は今も尚改善が求められている。
【0003】
上市されている従来の毛髪化粧処理組成物には様々な形態のものがある。これらは、溶液、フォーム、ジェル、クリーム、ワックス、セラムからエアゾールに至るあらゆる形態にあり、毛髪の状態に応じて様々な程度のコンディショニング効果を付与することができる。しかしながら、これらの従来の化粧料組成物には弱点があり、その分、消費者へのアピール力が低下する。このような弱点としては、製品の粘つきや油っぽさ、頭皮への刺激、毛髪上に形成される厚い皮膜や油っぽい皮膜を挙げることができ、それによって形状記憶性が低下したり、髪のボリュームが失われたり、清潔感が損なわれたりする。したがって、毛髪処理製品としての感覚的見地および機能的見地の両方において革新的な配合物を消費者に提供するために、現時点において上市されている商品を改善することが今も尚求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2789896号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1216023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、毛髪に好ましいツヤ、ボリュームおよび優れた形状記憶を付与するが、それによって毛髪に堆積物が付着したり、厚付き感、バリバリ感または脆く砕けるような感触を残したりすることのない毛髪用組成物を利用した、整髪用組成物および整髪方法に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシラン、少なくとも1種の水溶性金属塩、少なくとも1種の酸性化剤ならびに少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂を含む2相系を用いる整髪用組成物および整髪方法により有利な整髪性が得られることが見出された。この毛髪処理組成物はまた、乳化剤を含まない。
【0007】
したがって本発明は:
(a)i.少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシラン、
ii.少なくとも1種の水溶性金属塩、
iii.少なくとも1種の酸性化剤ならびに
iv.化粧料として許容される水を含む担体
を含む第1相と、
(b)i.少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂および
ii.少なくとも1種の揮発性溶剤
を含む第2相と
を含む、毛髪を処理するための化粧料組成物を対象とする。
【0008】
本発明はまた、毛髪に上述の組成物を接触させることを含む整髪方法も対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有するアルコキシシラン(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、「APTES」)(水中、1重量%)で処理した毛髪表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。この画像から、乾燥後の毛髪表面上にAPTESの固形物が多量に付着していることが分かる。
図2】APTESを1重量%および乳酸を、0.6重量%を水中に含む組成物で処理した毛髪表面を示すSEM画像である。毛髪表面に固形物の付着は認められない。この画像は、乳酸およびAPTESを組み合わせることによって毛髪表面でのAPTESの重合および/または付着が低減または阻止され、したがって、毛髪繊維内へのAPTESの浸透が改善されたことを示している。
図3】APTESを5重量%および乳酸を、3重量%を水中に含む組成物で処理した毛髪表面を示すSEM画像である。毛髪表面上に固形物は付着していない。この画像は、乳酸およびAPTESを組み合わせることによって毛髪表面におけるAPTESの重合が低減または阻止され、したがって、毛髪繊維内へのAPTESの浸透が改善されたことを示している。
図4】水のみで処理した毛髪繊維表面のSEM画像である。
図5】本発明の組成物で処理した毛髪繊維表面のSEM画像である。この画像は、第1相および第2相を含む本発明の組成物で処理した毛髪上に皮膜が形成されていることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例を除いて、または特段の指定がない限り、成分の量および/または反応条件を表す全ての数字は、全ての例において、提示された数字の10%〜15%の範囲内にあることを意味する「約」という後で修飾されているものと理解すべきである。
【0011】
本明細書において用いられる「含む(comprising)」という語(およびその文法的変化形)は、「有する(having)」または「含む(including)」という包含的な意味で使用され、「のみからなる(consisting only of)」という排他的な意味で使用されるものではない。本明細書において用いられる「1の(a)」および「その(the)」は、単数形だけでなく複数形も包含すると理解される。
【0012】
本明細書において用いられる「少なくとも1種の」は、1種以上を意味し、したがって、個々の構成要素に加えて混合物/組合せも含む。
【0013】
本明細書において用いられる「水溶性金属塩」という語は、有機または無機金属塩の25摂氏度における水への溶解性が0.2グラムを超えることを意味すると理解される。
【0014】
本明細書において用いられる「乳化剤を含まない」という語は、組成物中に乳化剤が存在しないことが好ましいが、その量が本発明の組成物の有利な特性の少なくとも1つ、好ましくはほとんどの有利な特性に大きな影響を及ぼさないのであれば、本発明の組成物中にごく少量の乳化剤を存在させることが可能であることを意味する。具体的には、乳化剤を含まない」とは、組成物中に、組成物全体の総重量を基準として、0.25重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、さらに好ましくは0重量%の量で存在してもよいことを意味する。したがって、特に好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は乳化剤を一切含まない。
【0015】
本発明の組成物および方法は、本発明に記載する本発明の必須の構成要素および制限に加えて、本明細書に記載する追加のもしくは任意選択的な成分、構成要素もしくは制限のいずれかまたは毛髪に適用することが意図されているパーソナルケア組成物中に含まれる有用な成分のいずれかを、含むか、またはこれらからなるか、またはこれらから基本的になることができる。
【0016】
本発明はまた、毛髪等のケラチン性物質を処理するための方法にも関する。
【0017】
驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明の組成物が、組成物の機能的利点を犠牲にすることなく、毛髪のボリュームを増し、清潔感、ツヤおよびスタイリング性を付与することにより審美的外観を高めることを見出した。
【0018】
驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明の組成物は、従来の毛髪処理製品および整髪製品よりも、形状記憶性が高く、「ナチュラルで保持力がある(invisible hold)」ため髪型をより自在に形付けることができ、望ましい薄付きとなり、手触りが良く、ツヤが増し、美容性を大幅に向上させることも見出された。
【0019】
第1相
アルコキシシラン
本発明によれば、少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランを含む組成物が提供される。
【0020】
本明細書において用いられる「少なくとも1種の可溶化官能基」という語は、アルコキシシランを本組成物の溶剤または溶剤の組合せ(例えば、水、水−アルコール混合物、有機溶剤、極性溶剤および非極性溶剤から選択される溶剤)への溶解を促進する任意の化学的官能基を意味する。
【0021】
本開示内容に従い使用するのに適した可溶化官能基としては、これらに限定されるものではないが、1級、2級および3級アミン、芳香族アミン、アルコール、カルボン酸、スルホン酸、無水物、カルバメート、尿素、グアニジン、アルデヒド、エステル、アミド、エポキシ、ピロール、ジヒドロイミダゾール、グルコンアミド、ピリダイル(pyridyle)およびポリエーテル基が挙げられる。
【0022】
本組成物中に存在する少なくとも1種のアルコキシシランは、同一であっても異なっていてもよい、上に定義したもの等の少なくとも1種の可溶化官能基を含む。
【0023】
本開示の組成物中に含まれる少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、少なくとも1個のケイ素原子、好ましくは1個のケイ素原子を含む。
【0024】
本組成物中に存在する少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、少なくとも1つの実施形態においては、2または3のアルコキシ基を含むことができる。他の実施形態においては、アルコキシ基はメトキシ基およびエトキシ基から選択される。
【0025】
一実施形態によれば、本開示の組成物中に存在する少なくとも1種の可溶化官能基およびアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、式(I):
【化1】
(式中、
は、OR’基から選択され、
は、OR’’基から選択され、
は、OR’’’基から選択され、
、Rは、水素から選択され、
、R’、R’’、R’’’は、同一であっても異なっていてもよく、場合により少なくとも1種のさらなる化学基を有する、直鎖および分岐の飽和および不飽和炭化水素基から選択され、R’、R’’およびR’’’は水素から選択することもできる)の化合物から選択される。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、R’、R’’およびR’’’基は、C〜C12アルキル、C〜C14アリール、C〜Cアルキル−C〜C14アリールおよびC〜C14アリール−C〜Cアルキル基から選択される。
【0027】
少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する特に好ましいアルコキシシランとしては、シリコーン原子を有するアルコキシシランが挙げられる。好適な例としては、式R(4−n)SiXn(式中、Xは、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ等の加水分解可能な基であり、Rは、1〜12個の炭素原子を含み、メルカプト、エポキシ、アクリリル、メタクリリル、アミノ、尿素等の基を含んでいてもよい1価の有機基であり、nは、1〜4の整数であり、少なくとも1つの実施形態によれば3である)を有するものが挙げられる。有用なアルコキシシランの可能な例としては、仏国特許出願公開第2789896号明細書に記載されている、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランおよびアミノアルキルトリアルコキシシラン(3−アミノプロピルトリエトキシシラン等)が挙げられる。
【0028】
他の実施形態において、本発明の有用なアルコキシシランは、化粧機能を有する基(芳香族ニトロ染料またはアントラキノン、ナフトキノン、ベンゾキノン、アゾ、キサンテン、トリアリールメタン、アジン、インドアニリン、インドフェノール系またはインドアミン染料等);還元作用を有する基(チオール基、スルフィン酸、スルフィン酸塩等)を有する基を有するアルコキシシランであってもよく、これらのアルコキシシランが非加水分解性の可溶化基(アミノ基、カルボン酸、スルホン酸、硫酸塩、第四級アンモニウム、多価アルコール、ポリエーテル、リン酸塩等)を有することも可能である。可能な例としては、アミノプロピル−N−(4,2−ジニトロフェニル)アミノプロピルジエトキシシランが挙げられる。この種の化合物は、例えば、欧州特許出願公開第1216023号明細書に記載されている。
【0029】
本開示のアルコキシシランは、アミノアリールアルコキシシランとすることができる。可能な例としては、これらに限定されるものではないが、次に示す化合物:
式:
【化2】
の3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(GELEST提供)、
式:
【化3】
のp−アミノフェニルトリメトキシシラン(GELEST提供)および
式:
【化4】
のN−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン(GELEST提供)が挙げられる。
【0030】
好ましい実施形態において、少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランはトリアルコキシシランである。
【0031】
特に好ましい実施形態において、本開示の組成物中に存在する少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、3−アミノプロピルトリエトキシシランとしても知られるγ−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0032】
本発明の少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、油にも水にも可溶である。
【0033】
少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランは、本発明の組成物の第1相の総重量を基準として、約0.01〜約30重量%、例えば、約0.1〜約25重量%および約0.5〜約20重量%の範囲の量で用いられる。
【0034】
水溶性金属塩
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は多くの化合物から選択することができ、金属供与体は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Se、Sr、Be、Ba、Ca、Mg、AlおよびMoから選択することができる。
【0035】
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は、2価の金属塩を含む多価金属塩から選択することができる。
【0036】
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、カルボン酸塩及びこれらの混合物から選択することもできる。
【0037】
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は、好ましくは2価の金属塩である。
【0038】
少なくとも1種の水溶性金属塩の例は、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化マンガン、塩化第二銅、塩化カルシウム、二塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸第一鉄、酢酸マンガン、酢酸第二銅、酢酸カルシウム、酢酸コバルト、クエン酸マグネシウム、クエン酸第一鉄、クエン酸マンガン、塩化カルシウム、クエン酸カルシウムおよびこれらの混合物である。
【0039】
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は、好ましくは硫酸マグネシウム等の2価の金属塩化物である。
【0040】
本発明の少なくとも1種の水溶性金属塩は、本発明の組成物の第1相の総重量を基準として、0.01%〜約20重量%、好ましくは約0.05%〜約10重量%、より好ましくは約0.1%〜約5重量%の範囲の量で存在する。
【0041】
酸性化剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の酸性化剤を含む。上記組成物のpHは、少なくとも1種の酸性化剤を用いて所望の値に調整することができる。
【0042】
少なくとも1種の酸性化剤の中でも、これらに限定されるものではないが、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、スルホン酸およびカルボン酸(例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等の無機または有機酸)ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
本発明の少なくとも1種の酸性化剤は、好ましくは乳酸である。
【0044】
本発明の少なくとも1種の酸性化剤は、本発明の組成物の第1相の総重量を基準として、0.01%〜約40重量%、好ましくは約0.05%〜約30重量%、より好ましくは約0.1%〜約20重量%の範囲の量で存在する。
【0045】
化粧料として許容される担体
本発明の組成物は、少なくとも1種の化粧料として許容される、水を含有する担体も含む。
【0046】
化粧料として許容される水を含有する担体は、有機溶剤を含むことができる。したがって、化粧料として許容される担体は、水のみから構成されていてもよいし、または水と、C〜C低級アルコール、ポリオールおよびポリオールモノエーテルから選択される少なくとも1種の有機溶剤との混合物から構成されていてもよい。
【0047】
化粧料として許容される水含有担体は、通常、本発明の組成物の第1相の総重量を基準として、約1%〜約99%、約2%〜約90%または約5.0%〜約80重量%の量で存在する。
【0048】
第2相
シルセスキオキサン樹脂
本発明の組成物は、少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂を含む。
【0049】
本発明のシルセスキオキサン樹脂の例は、一般式RSiO(4−n)/2(式中、Rは、それぞれ独立に、水素およびC〜C10アルキル基から選択され、Rの80モル%超がC〜C10アルキル基を表し、nは1.0〜1.4の値であり、コポリマーの60モル%超がRSiO3/2単位を含む)で表される平均シロキサン単位を有するシルセスキオキサンホモポリマーおよび/またはコポリマーである、アルキルシルセスキオキサン樹脂である。
【0050】
好ましくは、使用されるシルセスキオキサン樹脂は、RがC〜C10、好ましくはC〜Cアルキル基、より好ましくはプロピル基のものである。本発明の好ましいシルセスキオキサン樹脂は、ポリプロピルシルセスキオキサン樹脂またはt−プロピルシルセスキオキサン樹脂(「t−プロピル樹脂」)である。t−プロピル樹脂はDow−CorningからDow Corning(登録商標)670 Fluidの商品名でブレンドとして市販されている。
【0051】
少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂は、本発明の組成物の第2相の総重量を基準として、約0.01%〜約35重量%、例えば、約0.1%〜約25重量%および例えば、約1%〜約15重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0052】
揮発性溶剤
本発明の第2相は、少なくとも1種の揮発性溶剤も含む。
【0053】
「揮発性溶剤」という表現は、毛髪や皮膚等のケラチン性物質と接触すると室温の大気圧下で、1時間未満で蒸発することが可能な任意の非水性媒体を意味する。
【0054】
好適な揮発性溶剤の例としては、揮発性炭化水素系油、例えば、8〜16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素油およびこれらの混合物、特に分岐C〜C16アルカン、例えば、C〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンならびに例えばIsoparまたはPermethylの商品名で販売されている油、すなわちC16分岐エステル(例えば、ネオペンタン酸イソヘキシルまたはイソデシル)、アルコールならびにこれらの混合物等が挙げられる。好ましくは、揮発性炭化水素系油は、引火点が少なくとも40℃である。
【0055】
好ましい揮発性炭化水素系油の例としては、これらに限定されるものではないが、次の表1に示すものが挙げられる。
【0056】
【表1】
【0057】
揮発性溶剤は、室温下における粘度が6cSt以下であり、2〜7個のケイ素原子を有し、場合により1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基で置換されている、直鎖または環状であってもよい、揮発性シリコーンオイルから選択することもできる。
【0058】
好適な揮発性シリコーンオイルとしては、これらに限定されるものではないが、次の表2に示すものが挙げられる。
【0059】
【表2】
【0060】
他の好適な揮発性溶剤は、トリシロキサン等のシロキサン化合物から選択することができる。
【0061】
本発明の好ましい揮発性溶剤はINEOSから市販されているイソドデカンである。
【0062】
本発明における他の好ましい揮発性溶剤は、供給業者Dow CorningからXIAMETER PMX−200 SILICONE FLUID 1CSの商品名で市販されているトリシロキサンである。
【0063】
少なくとも1種の揮発性溶剤は、好ましくは、本発明の組成物の第2相の総重量を基準として、約0.01%〜約99重量%、例えば、約0.1%〜約75重量%、例えば、約1%〜約60重量%の範囲で用いられる。
【0064】
本開示の組成物の第1相および/または第2相は、不揮発性溶剤も含むことができる。
【0065】
好適な不揮発性溶剤の例としては、これらに限定されるものではないが、極性油および無極性油、例えば:
−グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド含有量が高い炭化水素系植物油(その脂肪酸は様々な鎖長を有していてもよく、これらの鎖は直鎖または分岐であっても飽和または不飽和であってもよい);特に、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア脂、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカデミアナッツ油、アンズ油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種子油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、クロスグリ種子油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、オリーブ油、ライムギ油、紅花油、ククイ油、トウケイソウ油もしくはモスカータバラ油;またはカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社から販売されているものもしくはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812および818の名称で販売されているもの;
−式RCOORで表される合成油またはエステル(式中、Rは、1〜40個の炭素原子(7〜19個の炭素原子等)を含む直鎖または分岐の高級脂肪酸残基を表し、Rは、1〜40個の炭素原子(3〜20個の炭素原子等)を含む分岐炭化水素系鎖を表す);例えば、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸アルキル(C12〜C15)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシルおよびアルコールまたは多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステルまたはリシノレイン酸エステル;水酸化エステル、例えば、乳酸イソステアリルまたはマレイン酸ジイソステアリル;ならびにペンタエリスリトールエステルも含まれる;
−10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル;
−C〜C26脂肪族アルコール、例えば、オレイルアルコール;ならびに
−これらの混合物
が挙げられる。
【0066】
さらに、本発明に使用することができる不揮発性油の例としては、これらに限定されるものではないが、分岐および非分岐炭化水素等の無極性油およびポリオレフィン等の炭化水素ワックス、特に、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクワラン、スクワレン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ポリブテン、鉱油、ペンタヒドロスクワレンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
少なくとも1種の不揮発性溶剤は、本発明の組成物の第2相の第1相の総重量を基準として、0.01%〜約99重量%の範囲の量、例えば約0.1%〜約75重量%、例えば約1%〜約60重量%で用いることができる。
【0068】
本発明の組成物は、第1相および第2相を互いに様々な比率で含むことができる。したがって、第1相対第2相の重量%の比率(すなわち重量比)は、通常は10:90〜90:10の範囲とすることができ、特に次に示す比率:10:90、20:80、50:50、75:25、80:20、90:10とすることができる。
【0069】
第1相の化粧料として許容される水含有担体は、本発明の組成物中に、組成物の総重量を基準として、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%の量(これらの間のあらゆる範囲および下位範囲も含む)の量で存在させることもできる。第1相の、化粧料として許容される水含有担体は、本発明の組成物中に、組成物の総重量を基準として、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の量(これらの間のあらゆる範囲および下位範囲も含む)で存在させることもできる。さらに、本発明の組成物の化粧料として許容される担体の量は、上述のいずれかの値を組み合わせて、例えば、組成物の総重量を基準として、約20%〜約90重量%または約50%〜約60重量%とすることもできる。第1相の、化粧料として許容される水含有担体は、上述の揮発性溶剤の任意の1種または組合せも含むことができる。
【0070】
補助成分
本発明の組成物の第1および第2相はまた、例えば、非網羅的な一覧:乳化剤、レオロジー調整剤、皮膜形成剤、酸化防止剤、界面活性剤、日焼け止め剤、金属イオン封鎖剤、柔軟剤、消泡剤、塩基性化剤、ゲル化剤、湿潤剤、増粘剤、展着剤、分散剤、可塑剤、防腐剤、顔料、タンパク質、セラミド、ビタミン類、無機フィラー、クレー、無機コロイド、真珠層、パール光沢剤、香料、解膠剤、防腐剤、還元剤、酸化剤、永久または一時染料、pH調整剤、固定化用高分子または非固定化用高分子、シリコーン、無機物質、有機油または植物油、植物抽出物、揮発性溶剤、不揮発性溶剤、オキシエチレン化または非オキシエチレン化ワックス、パラフィン、脂肪酸等から選択される補助成分も含むことができる。
【0071】
当業者は、任意選択的な補助成分およびその量を、本開示の第1相、第2相および組成物の特性に悪影響を及ぼさない形で確実に選択するであろう。
【0072】
少なくとも1種の補助成分は、それぞれ、組成物全体の総重量を基準として0.001%〜50重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0073】
本発明による特に好ましい組成物は:
(a)3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.2〜2重量%と、
(b)ポリプロピルシルセスキオキサン樹脂を0.5〜5.5重量%と、
(c)硫酸マグネシウムを0.1%〜1重量%と、
(d)乳酸を0.1〜3重量%と、
(e)水を9%〜85重量%と、
(f)揮発性溶剤を5%〜70重量%と
を含み、重量は全て組成物の総重量を基準とする。
【0074】
本明細書に開示した組成物は、スプレー(ジェルスプレー等)、ジェルまたはローションの形態をとることができる。特に好ましい形態はスプレーである。本組成物は、洗い流すタイプまたは洗い流さないタイプの製品として提供することもできる。
【0075】
本発明の組成物は、例えば、美容業において慣用されているポンプ式ディスペンサーボトルに包装することができる。
【0076】
本明細書に開示する他の実施形態は、毛髪の化粧処理方法、例えば、整髪方法であって、本明細書に開示する組成物を湿ったまたは乾燥した毛髪に有効量適用するステップと、この組成物を任意的な曝露時間または任意的な乾燥ステップを経た後に洗い流すかまたはそのまま放置するステップと、を含む方法である。
【0077】
好ましい一実施形態においては、本組成物は洗い流さないタイプの製品として使用される。
【0078】
本明細書においては、毛髪を形付けするためおよび/または髪型を保持するための本発明の化粧料組成物の使用をさらに開示する。
【0079】
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明の少なくとも1種の酸性化剤は、pHを制御し、重合を阻止する機能を果たすものと考えられる。重合の阻止は、少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランをモノマー形態で毛髪繊維内に浸透させ、そこに固定するために行われる。
【0080】
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明の少なくとも1種のシルセスキオキサン樹脂は、本発明の少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有する少なくとも1種のアルコキシシランと会合して、毛髪繊維上に皮膜を形成していると考えられる。
【0081】
本発明の一実施形態は、少なくとも1種の可溶化官能基および少なくとも1種のアミノ置換基を有するアルコキシシラン、水溶性金属塩、酸性化剤および水を含む第1相と、シルセスキオキサン樹脂および揮発性溶剤を含む第2相とを含む2相系組成物を含む。好ましくは、この2相系組成物は噴霧可能であり、すなわちスプレー形態にある。
【0082】
本発明の好ましい実施形態は、上述の組成物を含む噴霧可能な2相系整髪組成物を含む。
【0083】
本明細書において用いられる「2相の外観」という語は、明らかに異なることが視認される2つの層を有するものとして定義される。
【0084】
本発明の組成物が2相系整髪組成物である場合、この組成物は、2層を一時的に混合するために振盪した後、湿ったまたは乾燥した毛髪に適用される。次いで毛髪を風乾するかまたは熱により整髪する。
【0085】
好ましい一実施形態においては、本発明の組成物は乳化剤を含まない。
【0086】
他の実施形態においては、本発明の組成物は、単相組成物を得るための少なくとも1種の乳化剤を含む。
【0087】
次に示す実施例は本発明を例示することを目的とするものであって、本発明を限定することを目的とするものではない。
【0088】
実施例を除いて、または特段の指定がない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての例において、「約」という語で修飾されていると理解すべきである。したがって、特段の指定がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲における数値パラメータ等は、本発明が達成しようとする所望の特性に応じて変化させることができる近似値である。各数値パラメータは、少なくとも有効数字の桁数および通常の丸め法が考慮されていると見なすべきであるが、これは特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限するものではない。
【0089】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似値であっても、特段の指定がない限り、具体例において説明する数値は可能な限り正確に記載する。
【実施例】
【0090】
実施例1:本発明の水性相および無水相
【0091】
【表3】
【0092】
第1相の作製プロセス:
主ビーカーに水を加え、中程度の速度で混合した。硫酸マグネシウム、乳酸、アミノプロピルトリエトキシシラン、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノールおよびPEG−14ジメチコンを含む材料(処方2)を1種類ずつ主ビーカーに加え、その都度十分に混合した。得られた混合物を、原料が全て完全に溶解するまで撹拌した。
【0093】
【表4】
【0094】
第2相の作製プロセス:
処方3:イソドデカンを主ビーカーに加えた。水添(スチレン/メチルスチレン/インデン)コポリマーを主ビーカー内にゆっくりと分散させ、混合物を45℃に加熱した。原料が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。残りの原料を主ビーカーに1種類ずつ加え、混合物が透明になるまで撹拌した。
【0095】
処方4:原料/成分を1種類ずつ主ビーカーに加え、混合物が透明になるまで撹拌した。
【0096】
実施例2:本発明の組成物に使用するための様々な比率(wt%/wt%)の第1および第2相
【0097】
【表5】
【0098】
実施例1に開示した第1相および第2相を上の表に示したように様々な相対比率で含む組成物は2相の外観を呈した。本発明の組成物の第1相対第2相の比率が変化するに従い、毛髪上での化粧効果および整髪性能が変化することが認められた。組成物の総重量に対し第2相を10重量%とすると、毛髪が軽く、滑らかで、自然な仕上がりになることが認められた。このように無水相の割合が低いものは柔らかい髪質を有する消費者に理想的であることが分かった。組成物の総重量に対し第2相を90重量%とすると、毛髪がよりしっかりと固められたツヤのある仕上がりになり、質感も付与されることが認められた。これは硬い髪質を有する消費者に理想的であることが分かった。したがって、第1相対第2相の比率をこの重量比の幅の範囲内で変化させることにより、あらゆる毛質のそれぞれに適した異なる製品を創製することができる。
【0099】
実施例3:12人のパネリストの頭髪を用いた美容室試験
実施例1の処方1および3を90:10の重量比(第1相対第2相)で混合することにより2相系組成物を得た。
【0100】
容器内の2相が十分に混ざり合うようにスプレーボトルを強く振った。次いで内容物を濡れた髪に噴霧し、毛髪を風乾させるかまたはブロー乾燥させた。髪が乾いたら、カールアイロンまたはフラットアイロンを使用してさらに髪型を整えた。
【0101】
【表6】
【0102】
実施例4:10人の熟練美容師による使用感および性能の評価
実施例1の処方2および4を75:25の重量比(第1相対第2相)で混合することにより2相系組成物を得た。
【0103】
容器内で2相が十分に混ざり合うようにスプレーボトルを強く振った。次いで内容物を湿った髪にスプレーし、髪を風乾させるかまたはブロー乾燥させてスタイリングした。
【0104】
観察された化粧特性:好ましい使用品質(非常に快い香り、外観、毛髪の心地よい感触、適用し易い細かいミスト等)が認められ、現行の市販品と比較して乾燥時間が同程度であるかまたは改善されていた。ブロー乾燥及びアイロンによる仕上げ(必要な場合)が非常に容易であると同時に十分なボリュームも得られる等、良好なスタイリング性が認められた。毛髪にはツヤおよび柔軟性があり、軽く、残留物は存在しなかった。縮れが抑えられていた。
【0105】
上述の記載は本開示を例示および説明するものである。さらに、本開示においては本開示の好ましい実施形態のみを示し説明しているが、上に述べたように、本明細書で表現した概念の範囲内で、上述の教示ならびに/または関連する技術分野に関する技術および知識に対応した変更および修正を行うことが可能であると理解すべきである。本明細書において上に述べた実施形態はさらに、本発明を実施するための分かっている最良の実施態様を説明することと、他の当業者が、このような実施形態または他の実施形態における開示を、本明細書に開示した特定の応用または使用に必要とされる様々な修正を行って利用できるようにすることとを意図している。したがって、本記載は本発明を本明細書に開示した形態に制限することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲は代替的な実施形態を包含するものと見なされることが意図されている。
図1-3】
図4
図5