(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6257651
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】時計部品、及びこのような時計部品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
G04B 19/12 20060101AFI20171227BHJP
G04B 5/16 20060101ALI20171227BHJP
G04B 19/06 20060101ALI20171227BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
G04B19/12 A
G04B5/16
G04B19/06 Q
A44C27/00
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-556519(P2015-556519)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公表番号】特表2016-513247(P2016-513247A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2014052497
(87)【国際公開番号】WO2014122296
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】00419/13
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515217203
【氏名又は名称】レ・ザトリエ・オルロジェ・ディオール・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】レブレトン・エティエンヌ
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−141668(JP,U)
【文献】
特開昭60−169570(JP,A)
【文献】
国際公開第98/021630(WO,A1)
【文献】
特表2011−527198(JP,A)
【文献】
特開2000−275359(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3127202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 5/16,19/06,19/10−19/12,45/00A44C 17/02,27/00
C23C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1つの着色透明色石(10)と、
・前記着色透明色石(10)を収容するための少なくとも1つの開口部(200)を有する1つの支持台(20)とから構成されている時計部品(1)であって、前記支持台は、陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作されている当該部品において、
・前記着色透明色石(10)の高さ(h)と幅(L)との間の比は、50%未満であること、
・前記着色透明色石は、半貴石又は貴石、自然石又は合成宝石のカット石であることを特徴とする当該部品。
【請求項2】
前記開口部を規定する表面(26、27、28)も、陽極酸化されている請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記部品は、陽極酸化されているか又は前記支持台(20)と同じ色である複数のはめ込み要素(300)を有する請求項1又は2に記載の部品。
【請求項4】
前記支持台(20)は、1mm未満、好ましくは0.8mm未満、例えば0.6mmの厚さ(e)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品。
【請求項5】
前記着色透明色石(10)は、第1の色であり、前記支持台(20)は、この第1の色を強調するように選択された第2の色である請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品。
【請求項6】
前記第1の色は、前記第2の色に等しい請求項5に記載の部品。
【請求項7】
前記開口部(200)は、貫通開口部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の部品。
【請求項8】
前記時計部品は、ダイアルから構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の部品。
【請求項9】
前記時計部品は、1つの回転錘から構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の部品。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の時計部品を製造するための方法において、当該方法は、
・少なくとも1つの開口部(200)を1つの支持台(20)内に製作するステップと、
・その高さ(h)と幅(L)との間の比が50%未満である1つの着色透明色石(10)を前記開口部(200)内に設置するステップと、
・前記支持台(20)を陽極酸化するステップとから成る当該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品に関し、例えば限定はしないが、ダイアル又は回転錘に関する。また、本発明は、このような部品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、金属製の腕時計、特に高級時計は、貴石、半貴石又は合成宝石をはめ込まれている。貴石の例では、例えば、及び、限定はしないが、ダイアモンド、サファイア、エメラルド及びルビーが含まれる。半貴石の例では、例えば、限定はしないが、スピネル、アメシスト、トルマリン、シトリン及びクオーツが含まれる。
【0003】
貴石又は半貴石は、多くの場合に透明である。
【0004】
これらの石のテーブル、すなわち当該石の上部は、様々な形を有し得る。当該上部は、例えば、円形、楕円形、正方形、ハート形等でもよい。一般に、これらの石は、当該輝きを最適化するためにカットされている。
【0005】
上記石の全幅とその高さとの間の比が、非常に重要である。例えば、薄すぎるか又は厚すぎる石は、輝きの相当な減少を引き起こす。また、当該選択される比は、石の種類、特にその材料の屈折率によって決まる。しかしながら、上記の材料で製作された従来の石は、65%〜80%の幅に対する高さの比を有する。したがって、当該高さは、石の幅の65%〜80%である。
【0006】
これに関連して、石の高さと石の幅との間の比が、50%より低いときに、当該石は、扁平と定義される。
【0007】
腕時計及び置時計の製造業では、ここ数十年にわたって、扁平な石、例えば、ロシアンカットと呼ばれる石のカットの使用が、次第に停止されつつある。これは、扁平な石が輝きの不足を呈するからである。当該輝きの不足自体は、様々な方法で証明されていて、一般に石の外面又は内面の輝きの減少を伴う。当該不足は、「フィッシュアイ」と呼ばれる。
【0008】
したがって、宝石をはめ込まれた腕時計及び宝飾品の輝きを最大にするため、前から見たときの石の寸法(すなわち、テーブルの寸法)が最大にされている。したがって、上記の比率の制約(65%〜80%)の結果として、当該石、したがって当該石の支持台が、より厚い。このため、宝石を高密度にはめ込んだ商業的に入手可能な時計部品では、一般に、ブレスレット又はベゼルのような時計部品における複数の宝石が、より幅広である。この場合、当該厚さの制約は、ダイアルの制約よりも緩やかである。
【0009】
同様に商業的に入手可能であるその他の腕時計は、例えば、40%〜45%の幅に対する高さの比を呈する扁平な複数の貴石を有する。しかしながら、これらの石は、非扁平な石の輝きよりも明らかに悪い輝きを有する。
【0010】
−貴石、半貴石、自然石又は合成宝石でもよい−「色彩に富んでいる」又は色付きの透明な石が、光の全てのスペクトルを反射しないが、可視領域内の幾つかのスペクトルだけを反射する特徴を有する。したがって、色彩に富んだ各石は、発光刺激に対する固有の1つの応答スペクトルを有する。
【0011】
反射光、すなわち輝きの強度及び分布を最大にすることが重要である色彩に富まない石(又は「無色の」石)とは対照的に、色付きの石にとっては、当該石の着色を最大にすることも重要である。一般に、石の色の彩度が高いほど、当該石の満足度は、より大きい。
【0012】
可能な限り高い彩度の石を得るためには、当該石の幅に対する当該石の高さを最大にすることが重要である。したがって、色付きの石は、常に従来のカットを施されている。
【0013】
歴史的には、貴石又は半貴石は、金、白金又は銀のような貴金属から製作された支持支持台にはめ込まれる。現在では、鋼又は真鍮を使用することも一般的であり、チタン又はアルミニウムを使用することもある。
【0014】
多くの場合、腐食に対する保護を得るため、輝きを最大にするため、石がはめ込まれた後に、チタン又はアルミニウムがメッキされる。
【0015】
チタン又はアルミニウムから製作された支持台が、特に従来のダイアモンド(すなわち、扁平でない石)を有する部品を設置するために使用される。石の輝きとチタン又はアルミニウムの外観とのコントラストが、当該石を引き立たせる。したがって、チタン又はアルミニウムから製作されたこのような支持台は、当該石の輝きを強調するために厚い厚さを有する。
【0016】
米国特許出願公開第2009229307号明細書は、石を収容するための開口部を有するチタン又はアルミニウム製の支持台から構成された時計部品、例えば時計ケースを記載している。
【0017】
仏国特許出願公開第2855947号明細書は、金属、例えばチタンから製作された構成要素に石をはめ込むための方法に関する。工具が、石のガードル上に縁部を形成するために金属部品の表面に対して使用される。この縁部は、当該石を当該金属部品の孔内に固定させる。インプリントを当該金属部品の表面上に形成することも、当該工具によって可能である。当該表面は、ファセットを有してもよい。当該石に隣接して設置されたインプリントは、当該石を保持させ、その他のインプリントは、光を反射する機能を有する。
【0018】
欧州特許出願公開第2327323号明細書は、複数の石とこれらの石を互いに固定するための1つの装置とから構成された装飾部品、例えば時計部品に関する。この固定装置は、これらの石を互いに結び付けさせる単一の支持台を有する。当該単一の支持台は、少なくとも2つの層から構成される。当該支持台の第1層は、チタン又はアルミニウムから成る。
【0019】
仏国特許出願公開第2889423号明細書は、装飾品を必要とすることなしに、カスタマイズされた最終目的とする1つの装飾品に創作又は改造するために使用され得る取り外し可能な1つの装飾品に関する。この装飾品は、1つ以上の石又は複数の真珠がはめ込まれている1つのスリーブから構成され、且つばねを有するキャップが挿入され得る1つの開口部を有する1つの可動装置を備える。当該スリーブ及び当該キャップは、チタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作され得る。
【0020】
国際公開第2008102957号パンフレットは、様々な複数の層、特に、石本体の裏面上に形成された1つのアルミニウム被覆(めっき)層と、このアルミニウム被覆層の底面上に形成された1つのホットメルト部分と、当該石本体の上面上に形成されていて且つ印刷インク吸着固定剤を含む1つのコーティング層と、1つの紫外線コーティング層と、1つの印刷層とから構成された1つの装飾石に関する。
【0021】
特開昭57−101782号公報は、ダイアルをチタンシートから製造するための方法に関する。
【0022】
しかしながら、複数の有色石をはめ込まれた、より薄い時計部品、例えば、限定はしないが、ダイアル、回転錘、時計の針等が要求される。しかし、当該時計部品では、石のより薄い厚さが、当該石の色合いに不利に作用しない。
【0023】
換言すれば、薄い厚さの部品に有色石をはめ込むための方法が要求される。
【0024】
これに関して、表現「薄い厚さ」は、1mm未満、好ましくは0.8mm未満、例えば0.6mmの厚さを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009229307号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2855947号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2327323号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2889423号明細書
【特許文献5】国際公開第2008102957号パンフレット
【特許文献6】特開昭57−101782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の1つの課題は、公知の部品に少なくとも或る程度制限されることなしに、時計部品を提供することにある。
【0027】
本発明のもう1つの課題は、有色石をはめ込まれ且つ薄い厚さを有する時計部品を提供することにある。当該時計部品では、当該石は、可能な限り有色である。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、この課題は、特に、請求項1に記載の時計部品、及び請求項
10に記載の時計部品を製造するための方法によって解決される。
【0029】
本発明による時計部品は、
・少なくとも1つの着色透明色石と、
・当該石を収容するための少なくとも1つの開口部を有する1つの支持台とから構成されている。
【0030】
上記の石の高さと幅との間の比は、約50%未満である。当該着色透明色石は、扁平な石である。好ましくは、上記の支持台は、陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作されている。特に、これらの材料は、良好な光学挙動を有する。何故なら、これらの材料は、全ての光を反射しないからである。
【0031】
陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作された支持台が公知である。しかしながら、扁平な石と結合させて当該支持台を使用することは期待されていない。何故なら、扁平な石は、一般にはあまり美しくないと考えられていて、腕時計及び置時計の製造業では、数十年間廃棄されていたからである。
【0032】
特に、着色透明色石を使用することは意外である。何故なら、扁平な石によって良好な着色効果を得ることは可能でないという長年の先入観が、腕時計及び置時計の製造業及び装飾品製造業においてあったからである。
【0033】
さらに、着色透明色石をチタン又はアルミニウムの支持台と結合させて使用することは、全く期待されていない。何故なら、当業者が、このような結合を想起したとしても、当該当業者は、他方では、当該扁平な石はあまり輝かず、フィッシュアイの欠陥を避けられず、当該支持台とのコントラストが良くないことを経験的に予想するからである。
【0034】
しかしながら、全ての予想に反して、試験は、陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作された支持台に着色透明色石を結合させると、当該石の薄い厚さにもかかわらず、顕著な色合いを成す石が得られることを示した。何故なら、陽極酸化工程によって当該支持台に付与された色が、当該扁平な石の色に影響を及ぼすからである。すなわち、当該扁平な石の色が、強調される。したがって、当該色合いが良くなる。
【0035】
したがって、上記の石の輝き及び色合いは、当該石が装着されている支持台に応じて評価される必要があるという着眼点に、本発明は基づく。単体では非常に美しいと考えられている石が、適合しない支持台上でその品質を失い得る。反対に、本発明で使用される方法では、単体ではほとんど価値がないと考えられている石が、特定の支持台上では傑出していると実証され得る。
【0036】
したがって、採用された石が、それ自体で上記の品質を有しないときでも、非常に輝き且つ/又は非常に良好に着色されたアセンブリを得るため、陽極酸化されたアルミニウム又は陽極酸化されたチタンから製作された支持台の選択が、当該支持台の色及び/又は反射率を、はめ込むのに望ましい石の種類に適合させる。
【0037】
特に、少なくとも一部の複数の石が、陽極酸化工程によって支持台に付与された色と同じ色を有するならば、光の一部が、当該石を透過し、その下に設置された金属に到達し、次いで反射される。したがって、当該光線の着色が、当該色彩に富んだ石を透過した複数の波長の減衰によって得られるが、当該金属からの反射によっても得られる。したがって、当該石の着色が、この支持台によって強調される。
【0038】
したがって、本発明の複数の利点のうちの1つの利点は、上記の支持台の(1mm未満、好ましくは0.8mm未満、例えば0.6mmの)薄い厚さにもかかわらず、着色透明色石が意図した色で得られることである。
【0039】
好適な1つの実施の形態では、着色透明色石を収容するための開口部を規定する表面も陽極酸化されている。別の好適な実施の形態では、はめ込み要素、例えば、鉤爪部材又は粒状目詰め剤が、陽極酸化され、支持台と同じ色である。
【0040】
特に、上記石が、第1の色であるならば、上記支持台が、この第1の色を強調するように選択された第2の色である。1つの好適な実施の形態では、この第1の色は、当該第2の色に等しい。
【0041】
換言すれば、上記支持台の色合いを上記着色透明色石の色合いに付加させる相乗効果が、上記第1の色と上記第2の色との間に存在する。複数の石が、上記支持台に存在するならば、その一部の色合いの均一性も向上させる。
【0042】
特に、複数の着色透明色石が、好ましくは様々な直径を成す円形であり、「降雪跡のような配置」である、すなわち互いに可能な限り近くに設置されていて、異なる複数のカットを有する例では、当該複数の石の色を均一にすることは、非常に困難であり、特定の複数の石は、より明るいか若しくはより暗いか又は異なる色で着色される。上記の支持台の陽極酸化は、当該複数の着色透明色石をさらに着色させる結果、当該部品の色の均一性を向上させる。
【0043】
別の実施の形態では、故意の相互の対立にもかかわらず、上記支持台の色と上記着色透明色石の色とを変更することも可能である。
【0044】
別の実施の形態では、複数の透明な石を様々な色で着色すること、及び/又は、当該石の支持台を様々な色で着色することも可能である。
【0045】
本発明の別の利点は、扁平でない石を使用できない薄い厚さの周囲に大量の石を使用することを可能にさせることである。さらに、この利点は、円形又はその他の任意の複雑な形(バゲットカット、マーキーズカット等)さえも有し得るので当該石の形に左右されない。
【0046】
1つの好適な実施の形態では、上記開口部は、貫通開口部である。すなわち、この開口部は、上記支持台を直角に貫通している。
【0047】
また、複数の貫通開口部を各石の下に設置すると、或る程度の透過性を上記部品に付与させる。上記着色透明色石は、扁平なので、このことは、全ての場合に該当する。上記テーブルに対向する端部から来る一部の光が、当該開口部を通過する結果、当該石を後ろから照らす。
【0048】
また、複数の貫通開口部を各石の下に設置すると、「ステンドガラス窓」効果を上記部品に達成させる。その結果、光が、当該設置部品の前から来るときと、光が、当該設置部品の後から来るときとの双方で、着色が維持される。
【0049】
また、各石の下の複数の貫通開口部は、陽極酸化で生成された上記支持台の着色のために、及び当該支持台が着色された後に、処理生成物を洗い落とすために、良好な均一性を取得させる。
【0050】
1つの好適な実施の形態では、本発明による時計部品は、ダイアルから構成されている。別の実施の形態では、当該時計部品は、回転錘から構成されている。
【0051】
また、本発明は、以下の:
・1つの支持台内に少なくとも1つの開口部を製作するステップと、
・その高さと幅との間の比が50%未満である1つの着色透明色石をこの開口部内に設置するステップと、
・上記支持台を陽極酸化するステップとから成る時計部品を製造するための方法に関する。
【0052】
本発明の実施の形態が、添付図面によって示された説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による時計部品の1つの実施の形態の上面の一例を示す。
【
図2】本発明による時計部品の1つの実施の形態の断面の一例を示す。
【
図3】本発明による時計部品の支持台の1つの実施の形態の断面の一例を示す。
【
図4】本発明による時計部品の着色透明色石の1つの実施の形態の断面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
例示されている以下の説明では、ダイアルが便宜的に示されている。しかしながら、本発明は、このような部品に限定されない。本発明は、腕時計及び置時計の製造業に限定されず、例えば宝飾品も含む。
【0055】
図1は、本発明によるダイアル1の上面の一例を示す。
【0056】
本発明による時計部品1は、
・少なくとも1つの着色透明色石10と、
・この着色透明色石10を受けるための
図2に示された少なくとも1つの開口部200を有する1つの支持台20とから構成されている。
【0057】
図4に示されたような石10の高さhと幅Lとの間の比は、好ましくは50%未満である。すなわち、当該着色透明色石は、扁平な石である。
【0058】
支持台20は、好ましくは陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウムから製作される。当該陽極酸化は、通常は、当該部品1が設置され研磨された後に実行される。
【0059】
扁平な複数の着色透明色石10が、陽極酸化されたチタン又は陽極酸化されたアルミニウム20から製作された支持台に結合されると、当該支持台20が、(
図3に見て取れるように)薄い厚さeを有するにもかかわらず、当該複数の石10が、意図した色で着色され得る。何故なら、当該陽極酸化によって当該支持台20に付与された色が、当該扁平な複数の石10の色に影響を及ぼすからである。すなわち、当該扁平な複数の石10の色が強調される。したがって、当該色合いが良くなる。
【0060】
特に、少なくとも一部の複数の石10が、陽極酸化工程によって支持台20に付与された色と同じ色を有するならば、光の一部が、当該石を透過し、その下に設置された金属に到達し、次いで反射される。したがって、光線の着色が、当該着色透明色石10を透過した或る波長の減衰によって得られるが、支持台20の金属からの反射によっても得られる。したがって、当該石10の着色が、この支持台20によって強調される。
【0061】
したがって、本発明の複数の利点のうちの1つの利点は、支持台20の(1mm未満、好ましくは0.8mm未満、例えば0.6mmの)薄い厚さeにもかかわらず、又は、どんな場合でも、当該複数の石が設置される複数の開口部の浅い深さにもかかわらず、着色透明色石1が意図した色で着色されることを得ることである。
【0062】
図4に示された着色透明色石10は、テーブル16、すなわち当該石の上部を有する。当該石は、様々な形、例えば、円形、楕円形、正方形、ハート形等でもよい。パビリオン12の高さとクラウン14の高さとの間の比は、石10のカットの種類によって決まる。
【0063】
図3に示された好適な実施の形態では、着色透明色石を受ける開口部200の外側面26,27及び28及び任意的な底部も、陽極酸化され着色されている。好適な実施の形態では、
図2に示されたはめ込み要素300、例えば、鉤爪部材又は粒状目詰め剤が、陽極酸化され、支持台20と同じ色である。
【0064】
特に、石10が、第1の色であるならば、支持台20が、この第1の色を強調するように選択された第2の色である。好適な実施の形態では、この第1の色は、当該第2の色に等しい。複数の石が、当該支持台に存在するならば、この相乗効果は、部品1の着色の均一性を向上させる。
【0065】
複数の着色透明色石10が、様々な直径を成す円形であり、「降雪跡のような配置」である、すなわち互いに可能な限り近くに設置されている
図1の例では、当該複数の石の色を均一にすることは、非常に困難であり、特定の複数の石は、より明るいか若しくはより暗いか又は異なる色で着色されている。したがって、降雪跡のように配置されている当該複数の石の異なるサイズが、異なる複数の色の印象を与える。
【0066】
上記の支持台20の陽極酸化は、着色透明色石10をさらに着色させる結果、部品1の着色の均一性を向上させる。
【0067】
図2の実施の形態では、開口部200は、貫通開口部である。すなわち、この開口部200は、支持台20を直角に貫通している。この場合には、
図2に見て取れるように、上記の複数の石が、この支持台20の厚さeにほぼ等しい高さhを有する。
【0068】
各石の複数の貫通開口部200が、上記の着色工程を当該複数の石10の下の支持台20の外側面26,27,28まで及ぼさせる。また、これらの貫通開口部は、或る程度の透過性を部品1に付与させる。また、各石10の下の複数の貫通開口部200は、「ステンドガラス窓」効果を部品1に達成させる。その結果、光が、当該設置部品の前から来るときと、光が、当該設置部品の後から来るときとの双方で、着色が維持される。
【0069】
また、複数の貫通開口部200は、陽極酸化で生成された上記支持台の着色のために、及び当該支持台が着色された後に、処理生成物を洗い落とすために、良好な均一性を取得する。
【0070】
しかしながら、複数の盲穴に設置された複数の石が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 時計部品
10 着色透明色石
12 パビリオン
14 クラウン
16 テーブル
20 支持台
26 開口部を規定する第1面
27 開口部を規定する第2面
28 開口部を規定する第3面
200 開口部
300 はめ込み要素
e 支持台の厚さ
h 着色透明色石の高さ
L 着色透明色石の幅