(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6257687
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】ディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 3/02 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
G08G3/02
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84611(P2016-84611)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-212849(P2016-212849A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年4月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0061044
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515356557
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】オ ジェヨン
【審査官】
倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/027037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 3/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運航中の船舶の船舶情報及び港湾領域情報を含む海上交通情報をリアルタイムで提供するVTS(Vessel Traffic Service)センターと、
前記VTSセンターで提供する海上交通情報をリアルタイムで格納する海上交通情報データベース部と、
前記海上交通情報データベース部から所定の範囲の前記海上交通情報の提供を受け、ディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用して船舶状態及び領域状態を判断する管制基準情報を生成する海上交通管制学習部と、
リアルタイムで格納される前記海上交通情報と前記管制基準情報とを比較分析して、船舶状態情報及び領域状態情報を含む海上管制情報をリアルタイムで生成する海上交通管制分析部と、
生成された前記海上管制情報を電子海図を介して表示する海上交通管制情報表示部とを含んでなり、
前記管制基準情報は船舶状態基準情報及び領域状態基準情報を含み、
前記海上交通管制学習部は、
一定期間の前記船舶情報の提供を入力データとして受け、船舶の正常状態または非正常状態を区分する前記船舶状態基準情報を生成する航跡情報学習モジュールと、
一定間隔のグリッドで分けられた前記港湾領域情報の提供を入力データとして受け、領域の危険状態を区分する前記領域状態基準情報を生成する港湾情報学習モジュールとを含むことを特徴とする、ディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項2】
前記海上交通管制学習部は、前記海上交通情報データベース部からリアルタイムで格納される新しい海上交通情報の提供を受け、生成された前記管制基準情報をアップデートし、アップデートされた管制基準情報を前記海上交通管制分析部に提供することを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項3】
前記航跡情報学習モジュールは、事故船舶を除いた残りの船舶の情報を入力データとして使用することを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項4】
前記船舶情報は、船舶名、船舶種類、船舶諸元、時間による船舶の位置情報、時間による船舶の速度情報、時間による船舶の針路情報、事故履歴情報及び船積貨物情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項5】
前記港湾領域情報は事故多発位置情報及び危険地域位置情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項6】
前記海上交通管制分析部は、前記船舶の事故履歴情報と船積貨物情報に対する加重値を追加して前記船舶状態情報を生成することを特徴とする、請求項4に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項7】
前記海上交通管制情報表示部は前記船舶状態情報及び領域状態情報を段階別色相でそれぞれ表示することを特徴とする、請求項1に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム。
【請求項8】
海上交通管制専門家システムの制御方法において、
VTS(Vessel Traffic Service)センターが運航中の船舶の船舶情報、港湾領域情報及び気候情報を含む海上交通情報をリアルタイムで受信する段階と、
海上交通情報データベース部が前記VTSセンターを介してリアルタイムで受信する前記海上交通情報を格納する段階と、
海上交通管制学習部が所定の範囲の前記海上交通情報の提供を受け、船舶状態及び領域状態を判断するようにディープラーニング(Deep Learning )アルゴリズムを利用して船舶状態基準情報及び領域状態基準情報を含む管制基準情報を生成する段階と、
海上交通管制分析部が、リアルタイムで格納される前記海上交通情報と前記管制基準情報とを比較分析して、船舶状態情報及び領域状態情報を含む海上管制情報をリアルタイムで生成する段階と、
海上交通管制情報表示部が生成された前記海上管制情報を表示する段階とを含んでなり、
前記管制基準情報の生成段階で、
前記海上交通管制学習部は、
一定期間の前記船舶情報の提供を入力データとして受け、船舶の正常状態または非正常状態を区分する前記船舶状態基準情報を生成し、
一定間隔のグリッドで分けられた前記港湾領域情報の提供を入力データとして受け、領域の危険状態を区分する前記領域状態基準情報を生成することを特徴とする、ディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの制御方法。
【請求項9】
前記船舶情報は船舶名、船舶種類、船舶諸元、時間による船舶の位置情報、時間による船舶の速度情報、時間による船舶の針路情報、事故履歴情報及び船積貨物情報を含み、
前記港湾領域情報は事故多発位置情報及び危険地域位置情報を含むことを特徴とする、請求項8に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの制御方法。
【請求項10】
前記海上交通管制学習部は、管制基準情報を生成した後、
前記海上交通情報データベース部からリアルタイムで格納される新しい海上交通情報の提供を受け、生成された前記管制基準情報をアップデートし、
アップデートされた管制基準情報を前記海上交通管制分析部に提供することを特徴とする、請求項8に記載のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上交通管制システム(Vessel Traffic Service System、VTS)に係り、より詳しくは、大容量のデータからディープラーニング(Deep Learning)技術を利用して異常状態の船舶を識別し、港湾内の危険領域を探知することにより海洋事故を防止することができる、ディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、海上交通管制システム(VTS)は、船舶の安全な運航のために、レーダーを始めとする様々なセンサーを用いて運航中の船舶に様々なサービスを提供することができる。
【0003】
特に、海上交通管制システムは、海上交通量の暴走、危険貨物の増加及び潜在的な環境汚染の危険などから港湾の安全または港湾運営の効率性を向上させ、海難事故を防止することが可能な通航サービスを提供することができる。
【0004】
具体的に、海上交通管制システムは、VTS区域内で周辺状況や海上交通状況などを適時に提供することにより、船舶での航海意思決定過程に役立つ情報サービスなどを提供することができる。
【0005】
このような海上交通管制システムを利用した情報は、海上交通管制センターに勤める管制士が該当港湾の特性及び時間や通航船舶の特殊性を考慮して提供しているため、管制士の状態及び業務能力に影響を多く受けている。また、専門的な管制能力を備えるまでは多くの経験を必要とし、これに伴う時間及び労力を必要とする。
【0006】
前述したような、管制士の管制業務を支援するためのシステムが多く開発されている。ところが、従来の海上交通管制システムは殆どがルールベース(Rule−base)で動作している。すなわち、システム構築過程で判断基準を設定してシステムを構築している。
【0007】
したがって、定義された規則に反する状況を正確に判断することは難しく、すべての海上交通状況を定義することは不可能であるため、管制士に危険状況を事前に認識させることは困難であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2012−0063769号(船舶管制制御装置及びその方法と船舶管制装置及びその方法)
【特許文献2】韓国登録特許第10−1087680号(船舶の遠隔位置制御を利用した海上交通管理方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、ディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズム(方式)を利用して判断の基準を設定せずに、大容量のデータから船舶及び港湾の状況を自動的に認知することができる、ディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム及びその制御方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明は、海上状態による判断基準を定めず、システムが判断基準を生成することにより、異常(abnormal)状態の船舶を自動的に識別し、港湾内の危険領域を探知することにより、その結果を管制士に通知して海洋事故を効果的に防止することができる、ディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム及びその制御方法を提供することにある。
【0011】
ところが、本発明の目的は上述した目的に制限されず、上述していない他の目的は以下の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係るディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、運航中の船舶の船舶情報及び港湾領域情報を含む海上交通情報をリアルタイムで提供するVTS(Vessel Traffic Service)センターと、前記VTSセンターで提供する海上交通情報をリアルタイムで格納する海上交通情報データベース部と、前記海上交通情報データベース部から所定の範囲の前記海上交通情報の提供を受け、ディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用して船舶状態及び領域状態を判断する管制基準情報を生成する海上交通管制学習部と、リアルタイムで格納される前記海上交通情報と前記管制基準情報とを比較分析して、船舶状態情報及び領域状態情報を含む海上管制情報をリアルタイムで生成する海上交通管制分析部と、生成された前記海上管制情報を電子海図を介して表示する海上交通管制情報表示部とを含んでなり、前記管制基準情報は船舶状態基準情報及び領域状態基準情報を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記海上交通管制学習部が一定期間の前記船舶情報の提供を入力データとして受け、船舶の正常状態または非正常状態を区分する前記船舶状態基準情報を生成する航跡情報学習モジュールと、一定間隔のグリッドで分けられた前記港湾領域情報の提供を入力データとして受け、領域の危険状態を区分する前記領域状態基準情報を生成する港湾情報学習モジュールとを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記海上交通管制学習部が前記海上交通情報データベース部からリアルタイムで格納される新しい海上交通情報の提供を受け、生成された前記管制基準情報をアップデートし、アップデートされた管制基準情報を前記海上交通管制分析部に提供することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記航跡情報学習モジュールが事故船舶を除いた残りの船舶の情報を入力データとして使用することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記船舶情報が船舶名、船舶種類、船舶諸元、時間による船舶の位置情報、時間による船舶の速度情報、時間による船舶の針路情報、事故履歴情報及び船積貨物情報を含み、前記港湾領域情報は事故多発位置情報及び危険地域位置情報を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記海上交通管制分析部が前記船舶の事故履歴情報と船積貨物情報に対する加重値を追加して前記船舶状態情報を生成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムは、前記海上交通管制情報表示部が前記船舶状態情報及び領域状態情報を段階別色相でそれぞれ表示することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る海上交通管制専門家システムの制御方法は、VTS(Vessel Traffic Service)センターが運航中の船舶の船舶情報、港湾領域情報及び気候情報を含む海上交通情報をリアルタイムで受信する段階と、海上交通情報データベース部が前記VTSセンターを介してリアルタイムで受信する前記海上交通情報を格納する段階と、海上交通管制学習部が所定の範囲の前記海上交通情報の提供を受け、船舶状態及び領域状態を判断するようにディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用して船舶状態基準情報及び領域状態基準情報を含む管制基準情報を生成する段階と、海上交通管制分析部がリアルタイムで格納される前記海上交通情報と前記管制基準情報とを比較分析して、船舶状態情報及び領域状態情報を含む海上管制情報をリアルタイムで生成する段階と、海上交通管制情報表示部が生成された前記海上管制情報を表示する段階とを含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム及びその制御方法によれば、人工知能(AI)としてディープラーニング(Deep Learning)方式を使用することにより、システム構築の際に危険状況に対する判断の基準を予め設定せず、リアルタイムで格納される大容量のデータから船舶及び港湾の状況を自動的に認知することができるという利点がある。
【0021】
また、本発明によれば、判断基準を定めずに、システムが判断基準を自ら生成して異常(abnormal)状態の船舶を自動的に識別するだけでなく、港湾内の危険領域を探知し、その結果を管制士に通知することができるため、管制士が未だ発見していない危険状況を事前に認識して措置することにより、海洋事故を効果的に防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの制御方法を示す流れ図である。
【
図3】本発明によって提供される海上交通管制情報を例示的に示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明を説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0024】
本発明の概念による実施形態は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができる。よって、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書または出願に詳細に説明しようとする。ところが、これは本発明の概念による実施形態を特定の開示形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物及び代替物を含むものと理解されるべきである。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの構成を概略的に示すブロック図、
図2は本発明の実施形態に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システムの制御方法を示す流れ図、
図3は本発明によって提供される海上交通管制情報を例示的に示す例示図である。
【0026】
図示の如く、 本発明に係るディープラーニングアルゴリズムを利用した海上交通管制専門家システム100は、VTS(Vessel Traffic Service)センター110、海上交通情報データベース部120、海上交通管制学習部130、海上交通管制分析部140、及び海上交通管制情報表示部150を含んで構成できる。
【0027】
このような構成を介して海上交通管制専門家システム及びその制御方法を説明すると、まず、VTS(Vessel Traffic Service)センター110は、具体的に示してはいないが、多数の地域に設置され、運航中の船舶の船舶情報及び港湾領域情報を含む海上交通情報をリアルタイムで提供する(S101)。
【0028】
一般的に、VTSセンター110では、各船舶に設置される船舶自動識別装置(Automatic Identification System、AIS)と陸地(陸上)に設置されるレーダー(radar)装置を用いて海上交通状況を把握することができる。
【0029】
このとき、AISは、当該船舶の船舶名、船舶種類、諸元、位置及び速度などの情報を含んでいる。
【0030】
海上交通情報データベース部120は、VTSセンター110からリアルタイムで提供される海上交通情報を格納する(S102)。
【0031】
この際、海上交通情報データベース部120は海上交通情報を項目別に分類して格納することができ、具体的に、海上交通情報は船舶の船舶情報及び港湾領域情報を含むことができる。
【0032】
また、船舶情報は、船舶名、船舶種類、船舶諸元、時間による船舶の位置情報、時間による船舶の速度情報、時間による船舶の針路情報、事故履歴情報及び船積貨物情報を含むことができる。
【0033】
また、海上交通情報データベース部120は、海上交通情報以外に、気候情報などの様々な海上情報も含むことができる。
【0034】
その後、海上交通管制学習部130は、海上交通情報データベース部から所定の範囲の海上交通情報の提供を受け(S103)、船舶状態及び領域状態を判断することができるようにディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを利用して管制基準情報を生成することができる。
【0035】
海上交通管制学習部130は、入力される情報を多層レイヤーからなるニューラルネットワークのニューロン学習を介して正常状態または非正常状態を区分することが可能な管制基準情報を生成することができる。
【0036】
また、海上交通管制学習部130は、持続的にリアルタイムで格納される海上交通情報の提供を受け、既存の管制基準情報を新規の管制基準情報にアップデートすることができる。このとき、海上交通管制学習部130は、設定された期間の間アップデートを行うか、或いはリアルタイムでアップデートを行うことができる。
【0037】
また、管制基準情報は、船舶状態基準情報及び領域状態基準情報を含むことができる。
【0038】
具体的に、海上交通管制学習部130は、図示の如く、航跡情報学習モジュール131と港湾情報学習モジュール132を含むことができる。
【0039】
航跡情報学習モジュール131では、一定期間の船舶情報の提供を入力データとして受け、船舶の正常状態または非正常状態を区分する船舶状態基準情報を生成することができる。
【0040】
また、港湾情報学習モジュール132では、一定間隔のグリッドで分けられた港湾領域情報の提供を入力データとして受け、領域(港湾領域)の危険状態を区分することが可能な領域状態基準情報を生成することができる。
【0041】
また、航跡情報学習モジュール131及び港湾情報学習モジュール132は、ディープラーニングアルゴリズムを利用して船舶状態基準情報と領域状態基準情報を持続的に生成及びアップデートすることができる。
【0042】
特に、本発明の海上交通管制学習部130は、人工知能(Artificial Intelligence、AI)方式でディープラーニングアルゴリズムまたは方法を用いて、リアルタイムで入力される情報で判断基準を設定し、持続的にアップデートすることができるという特徴がある。
【0043】
海上交通管制分析部140は、海上交通管制学習部130を介して生成及びアップデートされる管制基準情報の提供を受ける(S105)とともに、海上交通情報データベース部120からリアルタイムで格納される海上交通情報の提供を受ける(S106)。
【0044】
海上交通管制分析部140では、リアルタイムで格納される海上交通情報と管制基準情報またはアップデートされる管制基準情報とを比較分析して、船舶状態情報及び領域状態情報を含む海上管制情報をリアルタイムで生成することができる(S107)。
【0045】
例えば、海上交通管制分析部140は、海上交通管制学習部130を介して生成された結果を用いて船舶別及び領域別の異常状態確率(0.0〜1.0)を求めることができる。
【0046】
このとき、海上交通管制分析部140で船舶の事故履歴情報と船積貨物情報に対する加重値を追加または考慮して船舶状態情報を生成することができる。また、領域別危険度、すなわち領域状態情報は、グリッドで区切られた領域の危険度値を用いることができる。
【0047】
その後、海上交通管制分析部140で生成された海上管制情報は、海上管制情報表示部150に提供され(S108)、別個のディスプレイを介して情報を表示する(S109)。
【0048】
海上管制情報表示部150は、
図3に示すように、海上管制情報を電子海
図151上に船舶別及び領域別に表示することができる。
【0049】
具体的に、海上管制情報表示部150は、船舶状態情報及び領域状態情報を段階別色相(例えば、求められた確率値の一定範囲による色相)で表示するか、或いは別の形態で表示することができる。
【0050】
たとえば、電子海
図151上に船舶は「○」、領域は「□」で表示され、異常または危険は赤色(または斜線)、安全は青色(または太い点)、注意は緑色(細い点)などで表示できる。
【0051】
したがって、海上交通管制専門家システム100を介して異常(abnormal)状態の船舶を自動的に識別し、港湾内の危険領域を探知した後、その結果を電子海
図151に表示することにより、管制士に実時間状態を通知することができる。
【0052】
また、本発明の海上交通管制分析部140は、具体的に図示してはいないが、船舶状態情報及び領域状態情報に対して異常状態に該当する場合、管制士、中央の管理センター及び救助本部などに警報信号を送信して危険状況を認知するようにすることもできる。
【0053】
前述の如く、本発明によれば、ディープラーニング(Deep Learning)方式を用いて情報を処理することにより、リアルタイムで格納されるデータから船舶及び港湾に対する状況を自動的に認知して管制士に提供することができるという特徴がある。
【0054】
前述した本発明の内容は図示した実施形態を参考として説明されたが、これらの実施形態は例示的なものに過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、様々な変形および均等な他の実施が可能であることを理解するだろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0055】
100 海上交通管制専門家システム
110 VTS(Vessel Traffic Service)センター
120 海上交通情報データベース部
130 海上交通管制学習部
131 航跡情報学習モジュール
132 港湾情報学習モジュール
140 海上交通管制分析部
150 海上交通管制情報表示部