【文献】
J. Med. Chem.,2012年,55,pp.2711-2723
【文献】
J. Med. Chem.,2013年,56,pp.7821-7837
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態においては、一般式1を有する化合物、
【化2】
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物あるいは前駆薬あるいは立体異性体あるいは互変異性体あるいは代謝物を提供する。
(但し、R
1は水素基、C
1−C
6アルコキシ基、F、Cl又はCF
3であり、
R
2はC
1−C
6アルキル基又は−C(O)R
3であり、
R
3はC
1−C
6アルキル基であり、
条件としては、R
1がC
1−C
6アルコキシ基である場合、R
2は−C(O)R
3ではない。)
【0012】
ある実施の形態において、R
1は水素基である。別の実施の形態において、R
2はメチル基又はエチル基である。他の実施の形態において、R
3はメチル基である。ある実施の形態において、R
1はメトキシ基であり、かつR
2はメチル基又はエチル基である。別の実施の形態において、一般式1の化合物の重水素の存在量が約1%である。別の実施の形態において、ある選定される化合物の重水素の存在量が少なくとも1%である。
【0013】
ある実施の形態において、本発明は、以下の群より選ばれるが、それらに限定されない化合物:
【化3】
【化4】
等、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物あるいは前駆薬あるいは代謝物を提供する。ある実施の形態において、これらの選定される化合物は薬学的に許容される塩として存在する。ある実施の形態において、これらの選定される化合物は溶媒として存在する。他の実施の形態において、これらの選定される化合物は代謝物として存在する。ある実施の形態において、これらの選定される化合物は立体異性体として存在する。別の実施の形態において、これらの選定される化合物は互変異性体として存在する。他の実施の形態において、これらの選定される化合物は前駆薬として存在する。別の実施の形態において、これらの選定される化合物の重水素の存在量が約1%である。別の実施の形態において、これらの選定される化合物の重水素の存在量が少なくとも1%である。
【0014】
ある実施の態様では、本発明は、本発明の一般式1を有する化合物と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある実施の態様では、これらの組成物はプロテインキナーゼによりコントロールされる一種類の疾病を治療するためのものである。ある実施の態様では、これらの組成物は高い増殖性の症例を治療するためのものである。別の実施の態様では、前記医薬組成物は経口投与、非経口投与又は静脈投与に適する。
【0015】
ある実施の形態において、一般式1を有する化合物は当該化合物を医薬組成物とすることで被験者を治療するためのものである。このために、一実施の形態において、これらの化合物は1種又は複数種の薬学的に許容される賦形剤と結合して、担体、希釈剤又は助剤を含む好適な組成物を形成させる。これらはここで詳しく説明される。
【0016】
ある実施の形態において、本発明は、哺乳動物被験者に、治療に有効な量の一般式1を有する化合物を投与することを備えるキナーゼシグナル伝達を調整するための方法を提供する。
【0017】
他の実施の形態において、本発明は、哺乳動物被験者に、治療に有効な量の一般式1を有する化合物を投与することを備えるHERキナーゼ(すべての変異キナーゼを含む)により媒介される症例を治療又は予防するための方法を提供する。
【0018】
別の側面において、本発明はここで、哺乳動物被験者に、治療に有効な量の一般式1を有する化合物を投与することを備えるEGFRキナーゼを阻害する方法を提供する。
【0019】
別の実施の形態において、本発明は、治療が必要とされる哺乳動物被験者に、治療に有効な量の一般式1を有する化合物を投与することを備える腫瘍を治療するための方法を提供する。ある実施の態様では、前記腫瘍は肝臓がん、皮膚がん、白血病、結腸がん、腎細胞がん、胃腸間質性腫瘍、固型腫瘍、骨髄腫、乳がん、膵臓がん、非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、肝細胞がん、甲状腺がん、膀胱がん、結直腸がんと前立腺がんより選ばれるものである。ある実施の態様では、前記がんは非小細胞肺がんである。ある実施の形態において、前記方法は1種又は複数種の抗腫瘍製剤を投与することをさらに備える。
【0020】
他の実施の形態において、本発明は、哺乳動物被験者に、治療に有効な量の一般式1を有する化合物を投与することを備える高い増殖性の症例を治療又は予防するための方法を提供する。
【0021】
下記の定義はここで説明される本発明を理解することに寄与している。
【0022】
用語「アルキル基」は、直鎖状、分岐状及び環状の炭化水素基を含むことを図り、これらが単一のC−C結合のみを含み、非置換であってもよく、もしくは任意に一つ又は複数の官能基に置換されてもよい。アルキル基は、好ましくは鎖長が1から6の炭素原子である。C
1−C
6アルキル基はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5とC
6アルキル基を含むことを図る。アルキル基は、置換、もしくは非置換でもよい。典型的な置換アルキル基はシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ハロゲン、カルボニル基、チオカルボニル基、O−カルバモイル基、N−カルバモイル基、O−チオカルバモイル基、N−チオカルバモイル基、C−アミド基、N−アミド基、C−カルボキシル基、O−カルボキシル基、ニトロ基、シリル基、アミノ基と−NR
XR
Yを含む。なかでも、R
XとR
Yは、それぞれ独立して水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、アセチル基、スルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基及び結合される5員又は6員のヘテロ脂環より選ばれるものである。説明される置換アルキル基はフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、2−フルオロエチルと2−メトキシエチル等を含むが、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルコキシ基」とは、一つの−O−(アルキル基)と一つの−O−(非置換のシクロアルキル基)をいう。C
1−C
6アルコキシ基はC
1−C
6アルキル基を含み、なかでも、C
1−C
6アルキル基の定義は前述のとおりである。代表的な実施例は、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、ブドキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブドキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されない。
【0024】
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0025】
本発明は、本発明に係る化合物の同位体標識化合物をさらに含み、なかでも、一つ又は複数の原子が、同じ原子番号を有するが原子質量又は質量数と自然界に広く発見される原子質量又は質量数とは異なる原子に置換される。本発明に係る化合物に含まれることに適する同位体の実施例は、水素(例えば重水素)と炭素(例えば
13C)の同位体を含む。本発明のある同位体標識の化合物、例えば、それらの1種の放射性同位体を含む化合物が医薬及び/又はマトリクス組織の分布研究では非常に有用である。重い同位体(例えば重水素)で置換されることは、一定の治療効果を提供する可能性がある。これはより大きな代謝の安定性によるものであり、例えば、生体内半減期の増加または投与量要求の低減のため、ある場合、より好ましくなる。本発明における同位体標識の化合物は、一般に当業者に周知の従来の方法あるいはここで表される方法と同様の手順で作製し、用いられる非標識の試薬の代わりに1種の好適な同位体標識の試薬を用いることができる。
【0026】
用語「含む」とは、開放性のことを言い、示される成分を含むが、他の元素を除外しない。
【0027】
一般式1を有する化合物に用いられる場合、用語「薬学的に許容される」とは、当該化合物のこのような形を言い、この形で被験者への投与が安全である。例えば、本発明に係る化合物の遊離塩基、塩の形態、溶媒和物、水和物、前駆薬もしくは誘導体の形態は薬学的に許容され、これらはすでに政府機関あるいは監督機関(例えば米国食品医薬品局FDA)により、経口投与あるいは他の投与経路を介して哺乳動物に用いられることが認可された。
【0028】
用語「誘導体」は、ここで広く解釈され、且つ本発明に係る化合物の塩の形態、本発明に係る化合物のエステルの形態、またはいずれかの他の化合物を含む。患者へ当該他の化合物を投与する場合、(直接又は間接に)本発明に係る化合物、または本発明に係る化合物の代謝物又は残留物を提供し、あるキナーゼ活性をコントロールする能力で特徴付けることができる。
【0029】
ここに用いられる用語「代謝物」とは、1種の新型の化合物を哺乳動物被験者へ投与する場合、当該化合物の代謝による生理活性化合物をいう。当該分野の従来技術で化合物の代謝物を同定できる。
【0030】
ここに用いられる用語「前駆薬」は、一種の化合物を表し、当該化合物を被験者へ投与する場合、(直接又は間接に)本発明に係る化合物を提供することができる。医薬前駆体の実施例はエステル化あるいは水酸基化される化合物を含み、なかでも、前記エステル基あるいは水酸基は生体内、例えば腸道内に解裂し、一般式1に基づく化合物を生成することができる。ここに用いられる「薬学的に許容される医薬前駆体」とは、薬学的に許容できる医薬前駆体を言う。
【0031】
ここに用いられる用語「賦形剤」は、活性医薬成分(API)以外のいかなるの薬学的に許容される添加剤、担体、助剤又は他の好適な補助材料を言い、通常、製剤化及び/又は投与の目的でそれを含む。「希釈剤」と「助剤」は以下に説明される。
【0032】
ここに用いられる用語「治療(treat)」、「治療のため(treating)」、「治療(treatment)」と「治療(therapy)」とは、治療を言い、根治的治療、予防的治療と防止性治療を含むが、これらに限定されない。予防的治療は、一般に患者において疾病が同時に発生することや後発症状の臨床前の著しい段階の発作を含む。
【0033】
用語「治療に有効な量」とは、各薬剤の使用量の数量化をいう、この使用量の治療を介して疾病の重症度と発生頻度の面で改善の目標を達成するとともに、典型的な代替医療に関する副作用を回避することができる。一実施の態様では、前記有効な量は、単回投与の形または複数回投与の形で投与される。
【0034】
基準参考書には、保護基による官能基保護、保護基そのもの及び保護基の除去反応(通常、「脱保護」と言われる)、例えば、J. F. W. McOmieの「有機化学における保護基」、NAM出版社、ロンドンとニューヨーク(1973)と、T. W. Greeneの「有機合成における保護基」、ワイリー、ニューヨーク(1981)と、「ポリペプチド」、第三巻、E. GrossとJ. Meienhofer編集、Academic Press社、ロンドンとニューヨーク(1981)とが開示されている。
【0035】
ここに開示されているすべての合成工程は既知の反応条件で行うことができ、好ましくはここに開示されている工程で行い、溶剤あるいは希釈剤が存在しないまたは存在する(通常の場合)条件で行う。
【0036】
本発明は「中間体」化合物をさらに含み、最終的に所望する化合物が得られる前に、開示される合成工程を介して発生した構造を含み、分離の有無に関わらない。一時の出発原料を取り扱う工程から発生した構造、開示される方法中のいずれかの段階の分岐が発生した構造、及び反応条件で出発原料が形成される構造はすべて本発明の「中間体」に含まれるものとする。さらには、活性誘導体又は塩の形態の出発原料で発生した構造、あるいは本発明の方法により得られる化合物が発生した構造、及びインサイチュで本発明に係る化合物を取り扱い発生した構造はすべて本発明の保護の範囲内にある。
【0037】
新しい出発原料及び/又は中間体、及びそれらの作製方法は同様に本発明の課題である。選ばれる実施の態様では、これらの出発原料と選ばれる反応条件により所望の化合物が得られる。
【0038】
本発明の出発原料は既知のものであり、又は市販できるものであり、または当該分野に周知の方法と同様な方法で合成され得るものである。多くの出発原料は既知の方法により作製することができ、特に実施例で開示される方法にて作製することができる。合成される出発原料において、ある場合、官能基は必要時に好適な保護基で保護される。以上に保護基の説明と除去が開示されている。
【0039】
ある実施例では、本発明に係る化合物は、さらに複数の互変異性体として表示される。本発明はすべてのここに開示される互変異性体の形を明確に含む。
【0040】
一実施の態様における化合物は、さらに、シス−又はトランス−、E−又はZ−2重結合異性体として存在するものである。すべてのこのような化合物の前記異性体の形はいずれも本発明の保護範囲内に明確に含まれる。
【0041】
適応症
本発明は、1種又は複数種のシグナル伝達経路をコントロールすることができる化合物を提供し、EGFR及び/又はそのすべての変異体を含むが、これらに限定されず、例えばEGFR−T790Mである。
【0042】
用語「コントロール」とは、前記経路(あるいは経路の一部)の機能活性は、一般式1を有する化合物が前記化合物のない場合のその通常の活性に比べ変化したことをいう。このような作用はコントロールされるいずれかの特性又は程度の変化を含み、増加、興奮、補強、強化、促進、刺激、低減、阻害、抑制、減少、減衰、拮抗等を含む。
【0043】
本発明に係る化合物は、1種又は複数種の下記手順をさらにコントロールすることができ、例えば、細胞成長(例えば、分化、細胞生存、及び/又は増殖を含む)、腫瘍細胞成長(例えば、分化、細胞生存、及び/又は増殖を含む)、腫瘍退縮、内皮細胞成長(例えば、分化、細胞生存、及び/又は増殖を含む)、血管新生(血管成長)、リンパ血管新生(リンパ血管成長)、及び/又は血細胞生成(例えば、T−又はB−細胞の発育、樹状細胞の発育等)を含むが、これらに限定されない。
【0044】
いかなる理論又は作用機構に束縛されようとしないが、本発明に係る化合物はキナーゼ活性をコントロールする能力を有することがすでに発見された。しかし、本発明の方法は、いずれかの具体的機構、あるいはこれらの化合物が如何にそれらの治療効果を実現するかに制限されるものではない。用語「キナーゼ活性」とは、γ−リン酸基がアデノシン三リン酸(ATP)からタンパク質基質における1種のアミノ酸残基(例えば、セリン、スレオニン又はチロシン)に転移する触媒活性をいう。化合物キはナーゼ活性をコントロールすることができ、例えば、直接にATPと前記キナーゼのATP結合ポケットを競争することでキナーゼ活性を阻害し、酵素の構造上で一つの配座変化を生じることにより、その活性に影響し(例えば、生物活性を有する三次元構造を破壊することにより)、結合して封鎖することにより、前記キナーゼが非活性配座にあるようになる。
【0045】
以上のように、本発明に定義される化合物が生物活性を有する。これらの特性を評価することができ、例えば以下に示す1種又は複数種の工程を介して評価することができる。
【0046】
化合物の合成
当業者にとっては、一般式1を有する化合物は以下に開示される方案中の工程に従い合成を行うことができ、なかでも、特に断りのない限り、置換基が上記の一般式1に定義される通りである。下記の合成方法は実施の態様のみであり、その上、本発明に係る化合物は、さらに当業者の理解に基づき置き換えルートにより合成することができる。
【0047】
本発明においては、一般式1を有する化合物の合成が方案1に開示されている。化合物Aの合成はすでに文献(WO2012061299)に開示される方法と同様な方法で作製されると報告されている。化合物Bは商業的に又は文献の方法により直接作製されるものである。化合物AとBは溶剤(例えばジオキサン)において、酸(例えばHCl又はトリフルオロ酢酸)と反応し、一般式1を有する化合物を生成する。
(方案1)
【化5】
【0048】
一般式1を有する化合物の合成を置き換える方法は、方案2に開示される反応により得られる。商業的出発原料CとDのアルコール類溶剤、例えばt−ブタノールにおける反応で化合物Dが得られる。化合物Eで化合物D中の塩素を置き換えると一般式1を有する化合物が得られる。
(方案2)
【化6】
【0049】
化合物Bの合成が方案3に記載される。化合物4で化合物Gのフッ素を置き換えると化合物Hが得られる。化合物Hのニトロ基が金属、例えば鉄の還元により化合物Bが得られる。
(方案3)
【化7】
【0050】
(具体的実施の形態の説明)
これらの具体的開示は、ただ説明するために開示されるものであり、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0051】
プロトンNMRスペクトル
特に断りがない限り、すべての
1H NMRスペクトルがバリアンシリーズ(Varian series)のMercury 300と400の機器、又はブルックシリーズ400MHzの機器で操作される。以下のように同定する。示される好適な溶剤には、すべての観測されるプロトンがいずれもテトラメトキシシラン(TMS)又は他の内部標準から低磁場まで、百万分の一(ppm)として記録される。
【0052】
略称
DMFはN,N−ジメチルホルムアミドである。
DCMはジクロロメタンである。
DCEはジクロロエタンである。
DIPEAはジイソプロピルエチルアミンである。
THFはテトラヒドロフランである。
TEAはトリエチルアミンである。
TFAはトリフルオロ酢酸である。
EAは酢酸エチルである。
RTは室温を表す。
【0053】
(実施例1)
4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシアニリン(化合物1)の作製。
【化8】
工程1、1−エチルピペラジン(1.6g、14.0mmol)と炭酸カリウム(3.2g、23.4mmol)のDMF(10mL)の溶液に4−フルオロ−2−メトキシ−1−ニトロベンゼン(2.0g、11.7mmol)を加えた。反応混合物を100℃で3日間撹拌した後、室温まで冷却させ、H
2Oで希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過と濃縮をした。粗生成物1−エチル−4−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピペラジンはさらに精製する必要がなく、そのまま次の工程に用いられた。
工程2、1−エチル−4−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピペラジンとNH
4Cl(1.3g、23.4mmol)をエタノール(20mL)と水(20mL)に溶解させた。反応混合物を50℃まで加熱した後、鉄(2.6g、46.8mmol)を加えた。得られた反応混合物を4時間加熱還流し、50℃まで冷却させ、ろ過後、エタノールで残留物を洗浄した。回収された濾液を真空下で蒸発させ、ある溶剤(少なくとも半分)を除去した。得られた溶液のpHを8−9に調整し酢酸エチルで抽出した(6×30mL)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシアニリン(720mg)が得られた。
【0054】
(実施例2)
4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン(化合物2)の作製。
【化9】
1−エチルピペラジン(2.1g、18.0mmol、1.2eq)と炭酸カリウム(2.1g、18.0mmol、1.2eq)のDMF(10mL)の溶液に1−ブロモ−4−ニトロベンゼン(3.0g、15.0mmol、1.0eq)反応混合物を加え、100℃で3日間撹拌した後、室温まで冷却させ、H
2Oで希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過と濃縮をした。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、黄色油状の1−エチル−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(3.2g)が得られた。
1−エチル−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(3.2g、11.9mmol、1.0eq)とNH
4Cl(1.3g、23.8mmol、2.0eq)をエタノール(30mL)と水(30mL)に溶解させた。反応混合物を50℃まで加熱した後、鉄(2.7g、47.6mmol、4.0eq)を加えた。得られた反応混合物を3時間加熱還流し、50℃まで冷却させ、ろ過後、エタノールで残留物を洗浄した。回収された溶液の溶剤の大部分を真空下で蒸発させた後、得られた溶液のpHを8−9に調整した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン(1.2g)が得られた。
【0055】
(実施例3)
1−(4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(化合物3)の作製方法。
【化10】
1−(ピペラジン−1−イル)エチルケトン(2.3g、18.0mmol、1.2eq)と炭酸カリウム(4.2g、30.0mmol、2.0eq)のDMF(10mL)の溶液に1−ブロモ−4−ニトロベンゼン(3.0g、15.0mmol、1.0eq)を加えた。反応混合物を100℃で3日間撹拌した後、室温まで冷却させ、H
2Oで希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過と濃縮をした。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、黄色油状の1−(4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(1.8g)が得られた。回収された溶液の溶剤の大部分を真空下で蒸発させた後、得られた溶液のpHを8−9に調整した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。
1−(4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(1.8g、7.2mmol、1.0eq)とNH
4Cl(770mg、14.4mmol、2.0eq)をエタノール(35mL)と水(35mL)に溶解させた。反応混合物を50℃まで加熱した後、鉄(1.6g、28.8mmol、4.0eq)を加えた。得られた反応混合物を4時間加熱還流し、50℃まで冷却させ、ろ過後、エタノールで残留物を洗浄した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、1−(4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(1.2g)が得られた。
【0056】
(実施例4)
4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロアニリン(化合物4)の作製。
【化11】
2,4−ジクロロ−1−ニトロベンゼン(2.0g、12.6mmol、1.0eq)を1−エチルピペラジン(1.7g、15.1mmol、1.2eq)と炭酸カリウム(3.5g、25.2mmol、2.0eq)のDMF(10mL)溶液に加えた。反応混合物を100℃で3日間撹拌した後、室温まで冷却させ、H
2Oで希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過と濃縮をした。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、黄色油状の1−エチル−4−(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン(2.9g)が得られた。
1−エチル−4−(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン(2.9g、11.5mmol、1.0eq)とNH
4Cl(1.2g、23.0mmol、2.0eq)をエタノール(15mL)と水(15mL)に溶解させた。反応混合物を50℃まで加熱した後、鉄(2.6g、45.8mmol、4.0)を加えた。得られた反応混合物を3時間加熱還流し、50℃まで冷却させ、ろ過後、エタノールで残留物を洗浄した。回収された溶液の溶剤の大部分を真空下で蒸発させた後、得られた溶液のpHを8−9に調整した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロアニリン(1.3g)が得られた。
【0057】
(実施例5)
1−(4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)ピペリジン−1−イル)エチルケトン(化合物5)の作製。
【化12】
2,4−ジクロロ−1−ニトロベンゼン(2.0g、12.5mmol、1.0eq)を1−(ピペラジン−1−イル)エチルケトン(1.6g、12.5mmol、1.0eq)と炭酸カリウム(3.5g、25.0mmol、2.0eq)のDMF(20mL)溶液に加えた。反応混合物を100℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却させ、H
2Oで希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過と濃縮をした。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、黄色油状の1−(4−(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(2.4g)が得られた。
1−(4−(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(2.4g、8.96mmol、1.0eq)とNH
4Cl(961mg、17.9mmol、2.0eq)を溶解させたエタノール(35mL)と水(35mL)に溶解させた。反応混合物を50℃まで加熱した後、鉄(2.0g、35.8mmol、4.0eq)を加えた。得られた反応混合物を4時間加熱還流し、50℃まで冷却させた後珪藻土でろ過した。濾過ケークをエタノールで洗浄した。得られた溶液の溶剤の大部分を真空下で除去した。その後溶液のpHを8−9に調整し酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。得られた粗製品をフラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて精製し、1−(4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)ピペリジン−1−イル)エチルケトン(1.0g)が得られた。
【0058】
(実施例6)
2−クロル−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン(化合物6)の作製。
【化13】
表題化合物は実施例4と同様な方法で作製され、出発原料は1−(3−クロル−4−ニトロフェニル)−4−エチルピペラジンと1−エチルピペラジンに置き換えられた。
【0059】
(実施例7)
1−(4−(4−アミノ−3−クロルフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(化合物7)の作製。
【化14】
表題化合物は実施例5と同様な方法で作製され、出発原料として、2−クロル−4−フルオロ−1−ニトロベンゼンと1−(ピペラジン−1−イル)エチルケトンを用いた。
【0060】
(実施例8)
N−[3−[[2−[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物8)の作製。
【化15】
0℃で2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン(325.5mg、1.5mmol、1.0eq)のDCE/t−BuOH(8mL/1mL)溶液にZnCl
2のエチルエーテル(1.0M、3.3mL、3.3mmol、2.2eq)溶液を加えた。反応混合液を0℃で1時間撹拌した後、1−(4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトン(400mg、1.84mmol、1.2eq)のDCE/t−BuOH(2mL/2mL)溶液を加え、その後DIPEA(213mg、1.65mmol、1.1eq)を滴下した。反応物を室温で二日間撹拌しTLCにて監視した。減圧条件で溶剤を除去した後、残留物を水/エタノール(26mL、25%)に溶解させ、90℃まで加熱した。溶液を室温まで2時間以上冷却させ、ろ過し乾燥し、1−[4−[4−[[4−クロル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル]アミノ]フェニル]ピペラジン−1−イル]エチルケトン(560mg)が得られた。
0℃で1−[4−[4−[[4−クロル−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル]アミノ]フェニル]ピペラジン−1−イル]エチルケトン(400mg、1.0mmol、1.0eq)とN−(3−メチルフェニル)−2−プロペンアミド(192mg、1.0mmol、1.0eq)の1、4−ジオキサン(10mL)溶液にTFA(触媒量)を加えた。反応混合物を室温まで加熱し一晩撹拌した。水で反応をクエンチした。反応混合物のpHを8−9に調整した後、酢酸エチル(3×50mL)で混合物を抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにてEAで粗製品を精製し、粗製品240mgが得られた。粗製品はエタノールで(20mL)洗浄され、N−[3−[[2−[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(160mg)が得られた。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ10.20ppm(s,1H),9.51(s,1H),8.73(s,1H),8.32(s,1H),7.74(s,1H),7.63−7.65(d,J=8.4Hz,1H),7.33−7.40(m,3H),7.13(s,1H),6.68(s,1H),6.44−6.48(m,1H),6.25−6.29(d,J=16.4Hz,1H),5.76−5.78(d,J=10.0Hz,1H),3.55−3.56(m,4H),2.92−2.99(m,4H),2.04(s,3H).MS m/z 526[M+1].
【0061】
(実施例9)
N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物9)の作製。
【化16】
0℃で、2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン(434mg、2.0mmol、1.0eq)のDCE/t−BuOH(8mL/1mL)溶液にZnCl
2のエチルエーテル(4.4mL、4.4mmol、2.2eq)溶液を加えた。0℃で反応溶液を1時間撹拌し4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン(410mg、2.0mmol、1.0eq)のDCE/t−BuOH(2mL/2mL)溶液を加え、その後トリエチルアミン(222mg、2.2mmol、1.1eq)を滴下した。反応物を室温で一晩撹拌しTLCにて監視した。水で(30mL)反応をクエンチした後、酢酸エチル(3×50mL)で混合物を抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて粗製品を精製し、4−クロル−N−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(200mg)が得られた。
0℃で、4−クロル−N−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(184mg、0.48mmol、1.0eq)とN−(3−アミノフェニル)−2−プロペンアミド(91.5mg、0.48mmol、1.0eq)の1、4−ジオキサン(10mL)溶液にを加えTFA(触媒量)。反応混合物を室温まで加熱し一晩撹拌した。水で反応をクエンチした并反応混合物をのpHを8−9に調整した。得られた溶液用酢酸エチル(3×30mL)抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにてEAで粗製品を精製し、N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(160mg)が得られた。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ10.02ppm(s,1H),9.61(s,1H),8.49(s,1H),8.31(s,1H),7.67(s,1H),7.37−7.29(m,4H),7.04−7.00(m,1H),6.90(d,J=8Hz,2H),6.50−6.43(m,1H),6.28−6.23(m,1H),5.76(d,J=2Hz,1H),4.12−4.08(m,1H),3.19−3.11(m,7H),2.41−2.36(m,2H),1.05(t,J=7.2Hz,3H).MS m/z 512[M+1].
【0062】
(実施例10)
N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物10)の作製。
【化17】
0℃で2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン(434mg、2.0mmol、1.0eq)のDCE/t−BuOH(8mL/1mL)の溶液にZnCl
2のエチルエーテル(4.4mL、4.4mmol、2.2eq)溶液を加えた。反応混合液を0℃で1時間撹拌した後、4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−アニリン(470mg、2.0mmol、1.0eqのDCE/t−BuOH(2mL/2mL)溶液を加え、その後トリエチルアミン(222mg、2.2mmol、1.1eq)を滴下した。反応物を室温で一晩撹拌し、TLCにて監視した。水で(30mL)反応をクエンチし、酢酸エチルで(3×30mL)抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにて粗製品を精製し、4−クロル−N−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−フェニル]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(200mg)が得られた。
0℃で4−クロル−N−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−フェニル]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−アミン(184mg、0.48mmol、1.0eq)とN−(3−アミノフェニル)−2−プロペンアミド(91.5mg、0.48mmol、1.0eq)の1、4−ジオキサン(10mL)溶液にTFA(触媒量)を加えた。反応混合物を室温まで加熱し一晩撹拌した。水で反応をクエンチした。反応混合物のpHを8−9に調整した。得られた混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでシリカゲルカラムにてEAで粗製品を精製し、N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−アニリン]−5−(トリフルオロメチルピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(160mg)が得られた。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.32ppm(s,1H),7.99−8.02(d,J=7.2,1H),7.93(s,1H),7.52(s,1H),7.33−7.37(t,J=8.0,1H),7.22(s,2H),6.88(s,1H),6.55(d,J=2.4,1H),6.45−6.50(m,2H),6.23−6.30(m,1H),5.79−5.82(m,1H),3.89(s,3H),3.19−3.22(t,J=5.0,4H),2.64−2.66(t,J=5.0,4H),2.51−2.53(m,2H),2.04(s,3H),1.15−1.18(t,J=7.2,3H).MS m/z 542[M+1].
【0063】
(実施例11)
N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物11)の作製。
【化18】
表題化合物は実施例8に説明されることと同様な工程で合成を行った。出発原料として、2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジンと1−(4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチルケトンを用いた。
【0064】
(実施例12)
N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−クロル−アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物12)の作製。
【化19】
表題化合物は実施例8に説明されることと同様な工程で合成を行った。出発原料として、2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジンと1−[4−(4−アミノ−3−クロル−フェニル)ピペラジン−1−イル]エチルケトンを用いた。
【0065】
(実施例13)
N−[3−[[2−[2−クロル−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物13)の作製。
【化20】
表題化合物は実施例9に説明されることと同様な工程で合成を行った。出発原料として、2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジンと2−クロル−4−(4−エチルピペラジン−1−イル)アニリンを用いた。
【0066】
(実施例14)
N−[3−[[2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−アニリン]−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]アミノ]フェニル]−2−プロペンアミド(化合物14)の作製。
【化21】
表題化合物は実施例9に説明されることと同様な工程で合成を行った。出発原料として、2,4−ジクロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジンと4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−4−フルオロ−アニリンを用いた。
【0067】
生物学的テスト
以上のように、本発明に定義される化合物は抗増殖活性を有する。これらの特性を評価することができ、例えば、以下に示す1種又は複数種の工程で評価することができる。
【0068】
被験化合物のEGFR(T790M/L858R)キナーゼ活性を阻害する能力を測定する生体外試験
BL21菌株から誘導されるE. coli宿主でキナーゼ標識のT7ファージ菌株を作製した。E. coliを対数期まで成長させT7ファージで感染させた後、分解まで32℃で振とう培養した。遠心して得られたライセートをろ過し細胞破片を除去した。残りのキナーゼがHEK−293細胞で産生し、その後qPCR検出のためにDNAタグをつけた。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズをビオチン化小分子リガンドで室温で30min処理し、キナーゼ検出のための親和性樹脂を生成した。過剰量のビオチンでリガンド磁気ビーズをブロッキングした後、ブロッキング液(SeaBlock(Pierce)、1%BSA、0.05%Tween20、1mM DTT)で洗浄し、結合しないリガンドを除去し非特異的な結合を低減した。1x結合緩衝液(20%SeaBlock、0.17x PBS、0.05%Tween20、6mM DTT)にキナーゼ、リガンド親和性磁気ビーズとテスト化合物と結合することで結合反応を評価した。すべての反応はポリスチレン96ウェルプレートで行い、最終体積が0.135mlであった。テストボードを室温で1h振とう培養した後、洗浄緩衝液(1x PBS、0.05%Tween20)で親和性磁気ビーズを洗浄した。その後、磁気ビーズを再びに溶離緩衝液(1x PBS、0.05%Tween20,0.5μM非ビオチン化の親和性リガンド)に分散させた後、室温で30min振とう培養した。溶出液におけるキナーゼ濃度はqPCRで測定した。
【0069】
各テスト化合物の11点の3倍連続希釈液は100%DMSOにて100倍最終テスト濃度で配合された後、テスト時に1×(最終DMSO濃度=1%)まで希釈された。K
d値は化合物の最高濃度=10,000nMで測定された。初期のK
d測定値<0.5nM(テストの最低濃度)であると、同一シリーズの希釈液で低い最高濃度から再び測定した。K
d値が40,000nMである場合、K
dの測定値>30,000nMであることが判明した。
【0070】
定数(Kds)に合わせてヒルの式で基準投与量反応カーブにより測定した:応答値=背景値+(信号値−背景値)/(1+(K
dヒルスロープ /投与量
ヒルスロープ))。ヒルスロープが−1とされる。非線形最小二乗法でLevenberg−Marquardtアルゴリズムに合わせてカーブフィッティングした。
【0071】
以下の表1には、本発明の代表的な化合物のEGFR(T790M/L858R)テストにおける活性が示された。
EGFR(T790M/L858R)テスト結果
【表1】
【0072】
被検化合物のEGFR又はEGFR(E746−A750del)キナーゼ活性を阻害する能力を測定するための生体外テストは、上記に開示された被検化合物のEGFR(E746−A750del)キナーゼ活性を阻害する能力を測定するための生体外テストと同様な条件で行った。
【0073】
以下の表2には、本発明の代表的な化合物とこれらがEGFRとEGFR(E746−A750del)キナーゼテストにおける活性とが示された。
EGFR(E746−A750del)テスト結果
【表2】
【0074】
細胞増殖試験で代表数量の化合物のがん細胞系NCI−H1975に対する作用を測定した。
1、96ウェルプレートの各孔に100μlの5×10
3個の細胞を含有する培地を接種し、ここに述べられる培地は5%のFBSを含有するものであった。
2、24時間後、各孔に異なる濃度の化合物を含有する100μlの新しい培地を加え、なかでも、ここで加えられた培地はFBSを含まないものであった。
3、これらの化合物で細胞を72時間処理した後、各孔に20μlのMTT(5mg/ml)を加え、その後、前記解析プレートを37℃で4時間再培養した。
4、800gにて前記解析プレートを10min遠心した。培地を吸い取り、各孔に150μl DMSOを加えた。解析プレートを10分間軽く揺らした。
5、マイクロプレートリーダーで570nmでの吸光度を測定した。
6、IR%=(WC−WT)/WC*100%であった。
【0075】
以下の表3には、本発明の代表的な化合物とこれらが細胞試験における活性とが示された。
細胞試験結果
【表3】
【0076】
生体内異種移植試験
生体外試験のための典型的な方法は下記の通りとし、皮下A549 NCI−H1975細胞系異種移植モデルを作製するためのものであり、前記化合物の生体内治療効果を評価することに用いられた。NCI−H1975細胞を10%牛胎児血清、1%L−グルタミン酸、100U/mLペニシリンGと100μg/mLストレプトマイシンを含有するRPMI1640で培養した。対数増殖期にある細胞を収穫した後、移植のために再び1×PBSに分散させた。
【0077】
無菌条件で皮下注射により5×10
6/匹で腫瘍細胞をマウスの右脇腹に注射し腫瘍移植を行った。腫瘍が適切な寸法(100−200mm
3)に達する場合、マウスをランダムに6匹ずつ1グループに分けた(対照群は8匹)。ノギスで2次元にて腫瘍、即ち長さ(a)と幅(b)を測定した。腫瘍体積は以下の式により単一の腫瘍の2次元寸法の測定結果に基づき計算した。
腫瘍体積(mm
3)=(a×b
2)/2
【0078】
腫瘍の寸法と動物の体重を週に二回測定した。毎日マウスの臨床症状を観察した。最後に治療後の2時間後血液サンプルを採取し、血漿サンプルを用意し−80℃で保存した。腫瘍組織を分離させ、秤量し、撮影した後で−80℃で保存し、後の分析に用いられた。すべての動物試験は中医大学による動物使用と保護規則に基づき取り扱われた。生体内効力評価のパラメータはSFDAの手順に従い計算した。百分比T/C(%)は以下の式:T/C(%)=(T
RTV/C
RTV)×100%で計算し、なかでも、T
RTVとC
RTVは、それぞれ治療群と溶剤対照群の相対腫瘍体積を表した。相対腫瘍体積(RTV)は以下の式:RTV=Vt/V
0で計算し、中でも、Vtはテスト日の体積、V
0は治療一日目の体積を表した。腫瘍成長阻害率(TGI、%)はTGI(%)=100%−T/C(%)に従って計算した。
【0079】
研究の終点に、血液を採取した後、頸椎脱臼法によりマウスを安楽死させ、まず腫瘍組織を採取した後、腹腔を開け、肝臓と脾臓を切除した後、胆嚢を取り除いた後、それぞれ各器官を秤量した。治療群と対照群の器官の重量を比較した。14日目に、化合物8と化合物9はNCI−H1975同種移植研究において良い治療効果を示した。その上、CO−1686に比べ、化合物9は良い腫瘍成長阻害性を示した。
【0080】
以下の表4には、本発明の代表的な化合物とこれらが上記のヌードマウス皮下NCI−H1975細胞系同種移植における活性とが示された。
NCI−H1975同種移植モデルにおける腫瘍成長阻害率(TGI、%)
【表4】
【0081】
ヌードマウスにおいて皮下A431細胞系同種移植モデルを作製するための生体内試験の代表的プロトコル及びこれらの化合物の生体内治療効果の評価は、上記に開示されたヌードマウス皮下NCI−H1975細胞系同種移植モデルを評価するためのプロトコルと同様であった。7日目に、化合物9は20mg/kg(TGI=48.2%)の投与量でCO−1686の100mg/kg(TGI=38.7%)の投与量よりも良い腫瘍阻害率を表した。
【0082】
以下の表5には、本発明の代表的な化合物とこれらが皮下A431細胞系異種移植モデルにおける活性とが示された。
A431異種移植モデルにおける腫瘍成長阻害率(TGI、%)
【表5】
【0083】
(付記)
(付記1)
一般式1のような化合物:
【化22】
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物あるいは前駆薬あるいは立体異性体あるいは互変異性体あるいは代謝物。
(但し、R
1は水素基、C
1−C
6アルコキシ基、F、Cl又はCF
3であり、
R
2はC
1−C
6アルキル基又は−C(O)R
3であり、
R
3はC
1−C
6アルキル基であり、
条件としては、R
1がC
1−C
6アルコキシ基である場合、R
2は−C(O)R
3ではない。)
【0084】
(付記2)
R
1が水素基とC
1−C
6アルコキシ基からなる群より選ばれることを特徴とする、付記1に記載の化合物。
【0085】
(付記3)
R
1は水素基であることを特徴とする、付記1に記載の化合物。
【0086】
(付記4)
R
1は水素基であり、R
2はC
1−C
6アルキル基であることを特徴とする、付記1に記載の化合物。
【0087】
(付記5)
R
1はC
1−C
6アルコキシ基であり、R
2はC
1−C
6アルキル基であることを特徴とする、付記1に記載の化合物。
【0088】
(付記6)
以下の化合物からなる群より選ばれる化合物:
【化23】
【化24】
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、医薬前駆体あるいは立体異性体あるいは互変異性体あるいは代謝物。
【0089】
(付記7)
付記1〜6の何れか1つに記載の化合物と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0090】
(付記8)
薬剤として使用される付記1〜5の何れか1つに記載の化合物。
【0091】
(付記9)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物の高い増殖性の症例の治療又は予防上の使用。
【0092】
(付記10)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物のキナーゼシグナル伝達の調整上の使用。
【0093】
(付記11)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物のEGFRキナーゼ及び/又はその変異体により媒介される症例の治療又は予防上の使用。
【0094】
(付記12)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物のEGFR−T790Mキナーゼにより媒介される症例の治療又は予防上の使用。
【0095】
(付記13)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物の腫瘍治療上の使用。
【0096】
(付記14)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物の非小細胞肺がんの治療上の使用。
【0097】
(付記15)
付記1〜5の何れか1つに記載の化合物とともに1種又は複数種の抗がん製剤の治療腫瘍上の使用。