【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のエンジンコントロールユニットは、マイクロコントローラが搭載された略長方形のプリント回路基板を備えるエンジンコントロールユニットであって、
前記プリント回路基板の長手方向に沿ったこのプリント回路基板の一つの側縁部は、この側縁部の少なくとも一面側に、前記長手方向に沿って並んで設けられた複数の接続端子を有するコネクタ部とされ、
【0009】
前記コネクタ部には、前記長手方向と直交する方向に沿っ
てスリットが当該長手方向の中央に対してずれた位置にオフセットして設けられ、このスリットを
挟んで前記長手方向の一方側に信号入力用の前記接続端子が設けられ、前記長手方向の他方側に制御出力用の前記接続端子が設けられ、
前記プリント回路基板には、前記長手方向の略中央部に前記マイクロコントローラが設けられ、かつ、前記プリント回路基板の前記長手方向の略中央部を境として前記長手方向の一方側に前記信号入力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される入力インターフェース用部品が設けられ、前記長手方向の他方側に前記制御出力用の前記接続端子に接続されるとともに前記マイクロコントローラに接続される出力インターフェース用部品が設けられ
、
前記スリットは、前記長手方向に沿った幅が前記接続端子が一つ配置可能な長さになっていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、例えばECUのプリント回路基板において、例えば長手方向に沿った一つの側縁部が複数の接続端子が長手方向に沿って並んだコネクタ部となる。この場合、長方形のプリント回路基盤において、例えば、車両等のエンジンを備える装置側のコネクタ装置(エンジン装置側コネクタ装置)に接続されるコネクタ部に沿ったプリント回路基板の長さがそれに直交するプリント回路基板の奥行きより長くなる。
【0011】
したがって、プリント回路基板のエンジン装置側コネクタ装置に接続される部分の幅がプリント回路基板の奥行きより長くなり、長い距離に渡って、プリント回路基板がエンジン装置側コネクタ装置に接続されることにより、振動に対して強い構造になる。すなわち、プリント回路基板を支持する接続部分(コネクタ部)の幅が長く、プリント回路基板の上述の接続部分から離れる方向の距離(奥行き)が短いので、接続部分でのプリント回路基板(ECU)を支持する強度を高めることができるとともに、振動時や衝撃時にECUが振れることにより上述の接続部分に作用する応力を低減できる。なお、ECUは、プリント回路基板が主な構成部品であり、プリント回路基板の縦横の長さにより縦横の長さがほぼ決まることになる。
【0012】
また、プリント回路基板のコネクタ部が、プリント回路基板の長手方向に沿った側縁部に設けられているので、短い方の側縁部にコネクタ部を設けた場合よりも、接続端子を多く設けることができる。これにより、接続端子が不足するのを防止できる。また、余った接続端子を予備の接続端子とすることができ、ECUを複数種設ける場合や、ECUを改良して新たに製造するような場合に、現状より接続端子数の多いコネクタ部が必要となっても、現状の形状のコネクタ部のまま対応することができる。すなわち、現状よりグレードの高いECUを製造したり、改良されたECUを製造したりする際に、必要な接続端子の数が増加してもコネクタ部の形状が変わらないので、ECUが新しくなっても、エンジン装置側コネクタ装置側のコネクタの形状を変更しなくてもよい。
【0013】
また、コネクタ部では、上述のように、スリットを
挟んで前記長手方向の一方側に信号入力用の接続端子が配され、他方側に制御出力用の接続端子が配される。また、プリント回路基板の長手方向の略中央部に信号の入出力を行うマイコンが配置され、センサ等から入力する信号をマイコンに入力させる入力インターフェース用部品が、プリント回路基板の長手方向の一方側に配置され、被制御装置に制御用の信号(や電力)を供給する出力インターフェース用部品がプリント回路基板の長手方向の他方側に配置される。
【0014】
また、これによって、プリント回路基板には、その長手方向の略中央部より一方側に、信号入力用の接続端子と、入力インターフェース用部品と、マイコンとを接続する配線パターンが配置される。また、プリント回路基板には、その長手方向の略中央部より他方側に、制御出力用の接続端子と、出力インターフェース用部品と、マイコンとを接続する配線パターンが配置される。
【0015】
このように、信号の入出力を行うマイコンを中心として、電子部品、接続端子、配線パターンが、入力側と、出力側に分けられることにより、電子部品、配線パターンの配置のスペース効率を最適化することができ、プリント回路基板の面積の低減を図ることができる。これにより、ECUの小型化を図ることができる。
【0016】
また、出力側は、被制御部品に対して比較的大きな電力を供給するので、発熱するとともにノイズが発生し易い状況となっているが、出力側の電子部品および配線パターンと入力側の電子部品および配線パターンが分かれて配置されているので、入力側の電子部品および配線パターンが、出力側の熱やノイズの影響を受けずらい構造とすることができる。
また、上述のように配線パターンのスペース効率が向上していることにより、配線パターンにおける配線の距離が短くなっており、さらにノイズの影響を受けづらい構造になっている。
【0017】
本発明の上記構成において、前記プリント回路基板のコネクタ部を除く部分がトランスファ成形された樹脂により覆われて封止されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、プリント回路基板のコネクタ部を除く部分がトランスファ成形されたモールド樹脂により封止されているので、耐水性、耐薬品性に優れる。また、電子部品がモールド樹脂で覆われることにより、熱がこもり易くなる虞があるが、上述のように出力側の電子部品や配線パターンと、入力側の電子部品や配線パターンとを分けて配置しているので、入力側の信号入力関係の電子部品が熱の影響を受けるのを抑制することができる。
【0019】
また、モールド樹脂は、比較的大きな弾性を有するとともに、成形時に比較的高い収縮率で収縮してひずみが生じることから、成形後に応力が生じる。したがって、モールド樹脂部分の体積が大きいと、成形後に反りが生じる虞がある。そこで、プリント回路基板は、モールド樹脂のサイズを小さくするために、面積が小さいことが好ましく、上述のスペース効率の高い配置とすることによって、プリント回路基板の面積を小さくすることにより、モールド樹脂のサイズを小さくして、反りの発生を抑制することが好ましい。
【0020】
本発明の上記構成において、前記プリント回路基板は、4層以上とされ、前記入力インターフェース用部品が接続される小電力用グラウンドが設けられる層と、前記出力インターフェース用部品が接続される大電力用グラウンドが設けられる層とを分けていることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、4層以上の層を有する基板において、入力インターフェース用部品が接続される小電力用グラウンドが設けられる層と、出力インターフェース用部品が接続される大電力用グラウンドが設けられる層とを分けているので、出力側の熱やノイズが入力側に影響するのを防止できる。