特許第6257974号(P6257974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6257974
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】建具、建具の設置構造及びルーバー構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/08 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   E06B7/08
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-190979(P2013-190979)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55145(P2015-55145A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】村松 浩
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−270303(JP,A)
【文献】 特許第4621277(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3063127(JP,U)
【文献】 米国特許第05120273(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00−7/36
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓部の開口を覆い、前記窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有する建具であって、
前記窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、
前記上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、
前記複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、
前記複数の第2の水平ルーバーは、前記第2の水平ルーバーの横断面における幅方向の中央部を頂点とし、前記頂点から前記横断面における幅方向の両側へ下方に傾斜していることを特徴とする建具。
【請求項2】
上下に隣接する前記第2の水平ルーバーにおいて、上に位置する前記第2の水平ルーバーの前記横断面における幅方向の両端部を結ぶ仮想の直線は、下に位置する前記第2の水平ルーバーと交差あるいは接するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の建具。
【請求項3】
前記第2の水平ルーバーは、前記第1の水平ルーバーよりも剛性が高く、
前記第1の水平ルーバーの長手方向の中間部には、前記複数の第1の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられて上下方向に延在し、
前記連結材の下端は、前記第2の水平ルーバーに支持されている請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
建物の窓部の開口を覆い、前記窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有する建具であって、
前記窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、
前記上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、
前記下部遮視部における前記目隠し機能は、前記上部遮視部よりも前記視認性が低く、
前記上部遮視部における前記通風機能は、前記下部遮視部よりも通風性能が高く、
前記第2の水平ルーバーは、前記第1の水平ルーバーよりも剛性が高く、
前記第1の水平ルーバーの長手方向の中間部には、前記複数の第1の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられて上下方向に延在し、
前記連結材の下端は、前記第2の水平ルーバーに支持されていることを特徴とする建具。
【請求項5】
前記連結材には、前記第1の水平ルーバーに係合する切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建具。
【請求項6】
前記第1及び第2の水平ルーバーは、光を透過させる透光性を有する素材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の建具。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の建具が前記窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、
前記下部遮視部の上端は、室内床面から1500mm〜1700mmの高さに配置されていることを特徴とする建具の設置構造。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか一項に記載の建具が前記窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、
前記窓部は、複数の障子を備え、
前記建具は、前記窓部が開放された際の前記開口に対応した外形の枠体を有し、
前記第1及び第2の水平ルーバーは、前記枠体によって両端部が支持され、
前記建具は、前記窓部の正面視における幅方向に沿ってスライド自在であることを特徴とする建具の設置構造。
【請求項9】
請求項1〜6の何れか一項に記載の建具が前記窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、
前記窓部は、2枚引き違い形式の障子を備え、
前記建具の上端部には上方に延びる支持具が前記窓部の正面視における幅方向に配列され、
前記支持具には、ガイドレールに沿って移動可能なローラーが設けられ、
前記ガイドレールは、前記窓部の幅寸法に対応した長さを有し、前記窓部の上方の室内側壁面に取り付けられ、
前記建具は、前記ガイドレールから吊り下げられ、前記窓部の正面視における幅方向に移動可能であり、
前記窓部の下方の前記室内側壁面には、前記窓部の正面視における幅方向の中央にガイド片が取り付けられ、
前記建具の下端部は、前記ガイド片に対してスライド自在に係合していることを特徴とす建具の設置構造。
【請求項10】
建物の窓部の開口を覆い、前記窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有するルーバー構造であって、
前記窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、
前記上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、
前記複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、
前記複数の第2の水平ルーバーは、前記第2の水平ルーバーの横断面において、幅方向の中央部側から前記室内側へ下方に傾斜した片と前記中央部側から室外側へ下方に傾斜した片とを有することを特徴とするルーバー構造。
【請求項11】
建物の窓部の開口を覆い、前記窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有する建具であって、
前記窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、
前記上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、
前記複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、
前記複数の第2の水平ルーバーは、前記第2の水平ルーバーの横断面において、幅方向の中央部側から前記室内側へ下方に傾斜した片と前記中央部側から室外側へ下方に傾斜した片とを有することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
そこで、通風機能を確保すると共にプライバシーを確保することが可能な建具建具の設置構造及びルーバー構造を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
例えば、換気を行うために建物の外壁に開口を設け、この開口に薄板状の複数の水平ルーバーを上下方向に配列した建物がある(例えば特許文献1参照)。この建物では、水平ルーバーの長手方向を水平方向に沿って配置し、水平ルーバーの幅方向において、室内側の端部を上方に、室外側の端部を下方に配置して、水平ルーバーを傾斜させている。このように水平ルーバーを幅方向において傾斜させることで、雨水の室内への侵入を抑制すると共に、水平ルーバー間の隙間を通じて空気を室内に流入させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−148069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、建物の窓部に複数の薄板状の水平ルーバーを上下方向に配列することで、外部からの視線を遮る建具がある。薄板状の水平ルーバーを幅方向において傾斜させて配置した場合には、通風機能を実現することはできるが、外部からの視認性を低下させる機能としては不十分であった。建物外部の人からの視線方向によっては、室内が見えてしまい、プライバシーを確保することが難しかった。具体的には、水平ルーバーの傾斜面に沿う方向から見た場合には、水平ルーバーが線状に配置されているだけであって、視線を遮ることはできず、建物の内部を外部から視認することができる状態となっていた。
【0005】
そこで、通風機能を確保すると共にプライバシーを確保することが可能な建具及び建具の設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、建物の窓部の開口を覆い、窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有する建具であって、窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、複数の第2の水平ルーバーは、第2の水平ルーバーの横断面における幅方向の中央部を頂点とし、頂点から横断面における幅方向の両側へ下方に傾斜している
【0007】
この建具では、下部遮視部は上部遮視部より視認性が低く、上部遮視部は下部遮視部より通風性能が高くなっている。外部の人が窓部を見た場合に下部遮視部によって視線が邪魔されるので、室内の床面や室内の人の体の下部側が見え難くなる。これにより、プライバシーの確保がより重視される下部の遮視(見え難さ)の度合いを高め、下部ほど遮視の度合いが重視されない上部の遮視の度合いを低くしその代わりに通風性能を高めることで、プライバシーの確保と通風機能の確保とを両立させることができる。
【0008】
ここで、複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、複数の第2の水平ルーバーは、第2の水平ルーバーの横断面における幅方向の中央部を頂点とし、頂点から横断面における幅方向の両側へ下方に傾斜してい。この構成では、上部遮視部の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜しているので、第1の水平ルーバーの上面は、室外側へ斜め上方を向く面となる。外部の人が窓部を見た場合には、上部遮視部によって下方への視線が邪魔され、室内の床面や室内の人の下部側が見え難くなる。また、下部遮視部の第2の水平ルーバーは、横断面における幅方向の中央部を頂点として、幅方向の両方の端部へ下方に傾斜しているので、断面がへ字形(逆V字状)を成すように形成され、第2の水平ルーバーの室外側の部分は、室外側へ斜め上方を向く面を形成し、第2の水平ルーバーの室内側の部分は、室内側へ斜め上方を向く面を形成する。第2の水平ルーバーは、横断面における幅方向において屈曲されているので、例えば室外側の部分の隙間を通過した視線は、室外側の部分から折れ曲がるように配置された室内側の部分によって遮られる。第2の水平ルーバーは、室外側の部分と、室内側の部分とによって、遮ることができる視線の角度が異なるので、視線を遮ることができる領域を広げることができる。板状の水平ルーバーを所定の角度で傾斜させた場合には、傾斜角度と平行な視線を遮ることは困難であるが、第2の水平ルーバーを横断面における幅方向において折り曲げて配置することで、視線を遮ることができる領域を広げることができる。そのため、プライバシーの確保がより重視される下部の遮視の度合いを一層高めることができる。
【0009】
さらに、上下に隣接する第2の水平ルーバーにおいて、上に位置する第2の水平ルーバーの横断面における幅方向の両端部を結ぶ仮想の直線は、下に位置する第2の水平ルーバーと交差あるいは接するように配置されていることが好適である。この構成では、上下に隣接する第2の水平ルーバーの間の隙間を通して、視認することが難しく、下部遮視部における視線を確実に遮ることができる。
【0010】
また、第1及び第2の水平ルーバーは、光を透過させる透光性を有する素材によって形成されていてもよい。これにより、光を透過させる水平ルーバーを用いて、上部遮視部及び下部遮視部を構成することができ、目隠し機能及び通風機能を確保しつつ、室内に光を取り入れることができる。下部遮視部においては、第2の水平ルーバーを横断面における幅方向に重ねて配置することで、室内の状態が明確に見えてしまうことが抑制され、上部遮視部よりも下部遮視部の視認性を低くすることができる。
【0011】
また、第2の水平ルーバーは、第1の水平ルーバーよりも剛性が高く、第1の水平ルーバーの長手方向の中間部には、複数の第1の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられて上下方向に延在し、連結材の下端は、第2の水平ルーバーに支持されている構成が挙げられる。この構成によれば、第1の水平ルーバーが連結材によって下方から支持され、連結材は第1の水平ルーバーよりも剛性が高い第2の水平ルーバーによって支持されるので、第1の水平ルーバーの長手方向における撓みを抑制することができる。
【0012】
連結材には、第1の水平ルーバーに係合する切欠き部が形成されていることが好ましい。第1の水平ルーバーに係合する切欠き部が連結材に形成されていると、連結材を第1の水平ルーバーに対して差し込むだけで、上下方向に配列された複数の第1の水平ルーバーを連結して保持することができる。連結材に切欠き部が形成されているので、第1の水平ルーバーを加工せずに、連結材を用いて連結することができる。第1の水平ルーバーの撓みを抑制して所定の位置に配置することで、上部遮視部における目隠し機能及び通風機能を両立させることができる。
【0013】
また、本発明の建具の設置構造は、上記の建具が窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、下部遮視部の上端は、室内床面から1500mm〜1700mmの高さに配置されていることを特徴としている。
【0014】
この建具の設置構造では、下部遮視部の上端部が、室内の床面から1500mm〜1700mmの高さに配置されているため、下部遮視部の上端部の位置を、平均的な身長の人の目の位置に対応させることができる。例えば建物の1階の窓部に面する道路を通行する人からの視線を下部遮視部によって遮ることができる。
【0015】
また、本発明の建具の設置構造は、上記の建具が窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、窓部は、複数の障子を備え、建具は、窓部が開放された際の開口に対応した外形の枠体を有し、第1及び第2の水平ルーバーは、枠体によって両端部が支持され、建具は、窓部の正面視における幅方向に沿ってスライド自在であることを特徴としている。
【0016】
この建具の設置構造では、第1及び第2の水平ルーバーの両端部を支持する枠体を備える構成として、1枚の建具を構成することができる。1枚のみの建具を備えた設置構造とすることで、建具の厚みを抑えることができる。このような建具を窓部の室内側に配置すると、室内壁からの張り出しを抑えることができ、省スペース化を図り室内空間を有効に活用することができる。
【0017】
また、本発明の建具の設置構造は、上記の建具が窓部に対して設置されている建具の設置構造であって、窓部は、2枚引き違い形式の障子を備え、建具の上端部には上方に延びる支持具が窓部の正面視における幅方向に配列され、支持具には、ガイドレールに沿って移動可能なローラーが設けられ、ガイドレールは、窓部の幅寸法に対応した長さを有し、窓部の上方の室内側壁面に取り付けられ、建具は、ガイドレールから吊り下げられ、窓部の正面視における幅方向に移動可能であり、窓部の下方の室内側壁面には、窓部の正面視における幅方向の中央にガイド片が取り付けられ、建具の下端部は、ガイド片に対してスライド自在に係合していることを特徴としている。
【0018】
この建具の設置構造によれば、窓部の正面視における幅方向の中央に取り付けられたガイド片によって、建具の下端部の位置を規制することができ、窓部の下方の室内側壁面からレールや枠の突出をなくして、省スペース化を図り室内空間を有効に活用することができる。また、窓部の下方の室内側壁面に窓部の正面視における幅方向の中央に対応した位置にガイド片を取り付けるだけで、建具の下端部の位置を規制することができるので、既存の建物に対しての後設置を容易に行うことが可能である。
また、本発明のルーバー構造は、建物の窓部の開口を覆い、窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有するルーバー構造であって、窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、複数の第2の水平ルーバーは、第2の水平ルーバーの横断面において、幅方向の中央部側から室内側へ下方に傾斜した片と中央部側から室外側へ下方に傾斜した片とを有する。
また、本発明の建具は、建物の窓部の開口を覆い、窓部における視認性を低下させる目隠し機能及び空気の流れを確保する通風機能を有するルーバー構造であって、窓部の上部側において複数の第1の水平ルーバーが上下方向に配列された上部遮視部と、上部遮視部より下方において複数の第2の水平ルーバーが上下方向に配列された下部遮視部と、を備え、複数の第1の水平ルーバーは、室内側が室外側よりも上方に配置されて傾斜し、複数の第2の水平ルーバーは、第2の水平ルーバーの横断面において、幅方向の中央部側から室内側へ下方に傾斜した片と中央部側から室外側へ下方に傾斜した片とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、室内のプライバシーを確保すると共に、室内への空気の流入を好適に行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る建具が設置された建物の窓部を室内側から示す正面図である。
図2図1中の建具の上端部及び設置構造を示す断面図である。
図3図1中の建具の下端部及び設置構造を示す断面図である。
図4図1中の建具の水平ルーバー及び連結材を示す概略図である。
図5図4中の連結材の下端部を拡大して示す側面図である。
図6】第1変形例に係る連結材を示す概略図である。
図7】第2変形例に係る連結材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る建具の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1に示されるように、建物1の外周壁2には窓部3が設けられ、窓部3の開口を室内側から覆うように建具4が設置されている。建物1は、例えば3階建ての工業化住宅であり、各階の外周壁2の内側に、室内空間が形成されている。外周壁2は、壁の厚さ方向から見て、略矩形状に形成された例えば板状のALC(軽量気泡コンクリート)等の防火性能を有する部材によって構成されている。建物1は鉄骨造の軸組架構を備え、外周壁2は軸組架構に対してALCが固定されることで構成されている。
【0023】
外周壁2には、壁の厚み方向に貫通する矩形の開口部5が設けられ、開口部5に窓部3が設置されている。窓部3は、2枚引き違い形式の窓であり、開口部5の内縁に沿って配置された窓枠に、スライド自在の窓を2枚備えている。一方の窓を移動させて片側に寄せて窓部3を開放して、室内に空気を流入させることができる。図1は、室内側から窓部3を示すものであり、右側の窓が左側に寄せられて右半分に開口が形成され、窓部3は開放された状態となっている。図1に示す状態では、建具4は、窓部3の右半分の開口を覆うように配置されている。
【0024】
建具4は、上下方向に配列された複数の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を有するものであり、目隠し機能及び通風機能を備え、窓部3の室内側に配置されている。目隠し機能とは、外部の人から視線を遮り、視認性を低下させる機能をいう。建具4を通して物体を見た場合に、物体の輪郭をぼかすことで物体を認識できないようにして視認性を低下させるものでもよい。建具4は、窓部3を開放した際の開口の大きさ以上であり、窓1枚分の大きさを有する。建具4は、上下方向に隣接する上部遮視部8及び下部遮視部9を備え、上部遮視部8には薄板状の第1水平ルーバー6が配置され(図2参照)、下部遮視部9にはへ字状(逆V字状)の第2水平ルーバー7(図3参照)が配置されている。
【0025】
建具4は矩形の建具枠10を有し、建具枠10は、上下方向に離間して平行に配置され窓部3の幅方向に延在する上端枠10a及び下端枠10bと、窓部3の幅方向に離間して平行に配置され上下方向に延在する一対の側端枠10c,10cとを有する。上端枠10aの長手方向の両端部は、一対の側端枠10c,10cの上端部に連結され、下端枠10bの長手方向の両端部は、一対の側端枠10c,10cの下端部に連結されている。建具枠10は、建具4の外郭を構成し、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を支持するものである。
【0026】
上部遮視部8は、例えば16本の第1水平ルーバー6によって構成され、第1水平ルーバー6の長手方向は水平方向に配置され、上端枠10a及び下端枠10bと平行に配置されている。図2に示されるように、第1水平ルーバー6は幅方向(第1水平ルーバー6の横断面における幅方向)において傾斜して配置され、室内側の端部6aは上方に配置され、室外側の端部6bは下方に配置されている。第1水平ルーバー6の上面6cは、室外側へ斜め上方に向く面を成している。
【0027】
複数の第1水平ルーバー6は、上下方向に所定の間隔で配置され、長手方向の両端部はそれぞれ一対の側端枠10c,10cに支持されている。上下方向に隣接する第1水平ルーバー6同士の間には例えば25mmの隙間が形成されている。第1水平ルーバー6の室外側の端部6b同士の間隔dは25mmとなっている。上下方向に隣接する第1水平ルーバー6において、上側の第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)は、下側の第1水平ルーバー6の上端部(室内側の端部6a)と上下方向において同じ位置に配置されている。第1水平ルーバー6の水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度程度である。
【0028】
下部遮視部9は、例えば24本の第2水平ルーバー7によって構成され、第2水平ルーバー7の長手方向は水平方向に配置され、上端枠10a及び下端枠10bと平行に配置されている。図3に示されるように、第2水平ルーバー7は、幅方向(第2水平ルーバー7の横断面における幅方向)の中央部を頂点7aとして、頂点7aから幅方向の両側の端部(室内側の端部7b,室外側の端部7c)まで下方に傾斜している。第2水平ルーバー7の幅方向において、室外側の部分7dの上面は、室外側へ斜め上方に向く面を成し、室内側の部分7eの上面は、室内側へ斜め上方に向く面を成している。第2水平ルーバー7の室内側の端部7b及び室外側の端部7cは、同じ高さとなるように配置され、端部7b,7cが下端部となる。
【0029】
複数の第2水平ルーバー7は、上下方向に所定の間隔で配置され、長手方向の両端部はそれぞれ一対の側端枠10c,10cに支持されている。上下方向に隣接する第2水平ルーバー7同士の間には例えば12mmの隙間が形成されている。第2水平ルーバー7の下端部同士(端部7b同士、又は端部7c同士)の間隔dは12mmとなっている。上下方向に隣接する第2水平ルーバー7において、上側の第2水平ルーバー7の下端部7b,7cを結ぶ仮想線は、下側の第2の水平ルーバーの上端部(幅方向における中央部、頂点7a)と上下方向において同じ位置に配置されている。第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度であり、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度である。第2水平ルーバー7の頂点7aにおける室外側の部分7dと室内側の部分7eとの交差角θは、例えば90度である。
【0030】
また、上部遮視部8の最下段に配置された第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)は、下部遮視部9の最上段に配置された第2水平ルーバー7の上端部(頂点7a)と、同じ高さに配置されている。長手方向に直交する断面において、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dは、第1水平ルーバー6と平行に傾斜している。
【0031】
また、下部遮視部9は、下端枠10bから上方に張り出す板状の張出バー21を有する。張出バー21の長手方向は水平方向に下端枠10bに沿って配置されている。張出バー21の長手方向の両端部は、一対の側端枠10cにそれぞれ支持されている。張出バー21は、最下段の第2水平ルーバー7と下端枠10bとの間の隙間を埋めるように配置されている。張出バー21の上端21aは、最下段の第2水平ルーバー7の下端部と同じ高さ位置に配置されている。
【0032】
第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は、光を透過させる透光性を有する素材(透明素材)によって形成されている。これにより、屋外の光を室内に取り入れることができる。また、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7が透明素材によって形成されている場合には、第1の水平ルーバー及び第2の水平ルーバーの表面に凹凸加工を施すことで、入射した光を屈折させてもよい。
【0033】
第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は同じ素材から形成され、例えば、つや消し処理が施されたポリカーボネートによって形成されている。第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は、同じ素材から形成されていてもよく、異なる素材から形成されていてもよい。同様に、張出バー21は、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7と同じ素材から形成されていてもよく、異なる素材から形成されていてもよい。
【0034】
建具4では、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、上下方向における中央よりも下方に配置されている。上部遮視部8は、上下方向において、下部遮視部9よりも広い領域を占めている。上部遮視部8の高さは、例えば425mmであり、下部遮視部の高さは、例えば375mmである。上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、室内床面から例えば1600mmの位置に配置されている。なお、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、室内床面から例えば1500mm〜1700mmの位置に配置されていることが好ましい。また、建具4が建物1の1階の窓部3に設置されている場合には、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、窓部3の外側の地面から例えば2000mm〜2200mmの位置に配置されていることが好ましい。下部遮視部9の最も高い位置に配置された第2水平ルーバー7の頂点7aの位置が、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lとなる。
【0035】
また、建具4は、複数の第1水平ルーバー6同士を連結する連結材11を備えている。図1に示されるように、連結材11は、建具4の正面視における幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6を連結している。図4は、図1中の建具の第1水平ルーバー、第2水平ルーバー及び連結材を示す概略図である。連結材11は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6の長手方向に沿うように配置されている。連結材11の幅w11は、第1水平ルーバー6の幅wよりも少し広くなっている。連結材11には複数の切欠き部12が形成され、これらの切欠き部12に第1水平ルーバー6がそれぞれ嵌められる。切欠き部12は、連結材11の幅方向(建具4の厚みに沿う方向)において、一方の端部(室内側の端部)11aから切り込まれ、他方の端部(室外側の端部)11bの近傍まで形成されている。連結材11は、建具4に対して室外側から差し込まれて装着される。
【0036】
図5は、連結材の下端部を拡大して示す側面図である。切欠き部12は、第1水平ルーバー6の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部11aから斜め下方に延びている。切欠き部12は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅w12を有し、第1水平ルーバー6の幅方向の長さに対応する長さ(深さ)L12を有する。連結材11を第1水平ルーバー6に装着した状態において、切欠き部12の上側の縁12aは、第1水平ルーバー6の上面に当接し、切欠き部12の下側の縁12bは、第1水平ルーバー6の下面に当接している。連結材11は、第1水平ルーバー6に対して例えば接着剤を用いて接着されている。
【0037】
また、連結材11の下端部11cは、下部遮視部9の最上段の第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの傾斜面に対応するように傾斜している。連結材11を第1水平ルーバー6に装着した状態において、連結材11の下端部11cは下部遮視部9の最上段の第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの傾斜面と当接している。第2水平ルーバー7は、断面がへ字状に形成され、第1水平ルーバー6よりも剛性が高く、連結材11を下方から支持することができる。連結材11は、水平ルーバー6,7と同じ素材から形成されたものでもよく、異なる素材から形成されたものでもよい。
【0038】
また、連結材11を第1水平ルーバー6に対して装着した状態において、連結材11の上端部11dは、上端枠10aの下面に当接している。
【0039】
次に建具4の設置構造について説明する。
窓部3は、窓(窓ガラス及びサッシ)と建具4との間に2枚引き違い形式の障子(不図示)を備えている。障子は、窓部3の開口部5(図2及び図3参照)に配置されている。
【0040】
図2に示されるように、建具4は、外周壁2の室内側の壁面2aに固定された支持部材13から吊り下げられ、窓部3の正面視における幅方向に移動可能に支持されている。支持部材13は、窓部3の幅寸法に対応する長さを有し開口部5の上端に沿って配置され、L字型の取付金物14を介して壁面2aに固定されている。支持部材13の底面13aには、長手方向に連続する溝部13bが形成され、溝部13b内にガイドレール15が配置されている。
【0041】
ガイドレール15は、支持部材13の長手方向に沿って配置され、窓部3の幅寸法に対応した長さを有する。ガイドレール15は、支持部材13に固定された天板15aと、天板15aの幅方向(ガイドレール15の横断面における幅方向)の両側から下方に屈曲された一対の側板15bと、一対の側板15bの下端から内側に屈曲された一対の底板15cと、一対の底板15cの内側の端部から斜め上方に屈曲された一対の屈曲片15dとを有する。一対の屈曲片15dは、ガイドレール15の幅方向において離間し、屈曲片15d間の隙間は、ガイドレール15の長手方向において連続している。ガイドレール15の天板15aは、支持部材13の溝部13bの底(下方に向く面)にネジ止めされている。
【0042】
建具4の上端には、ガイドレール15に沿って移動する複数のローラー16が設けられている。建具4の上端枠10aには、上端枠10aの長手方向に所定の間隔で配置された複数の固定ピン(支持具)17が設置されている。固定ピン17は、上端枠10aから上方に延在し、固定ピン17の上端部には、ローラー16を回転可能に支持する回転軸18が設けられている。
【0043】
固定ピン17の上端部はガイドレール15内に挿入され、回転軸18はガイドレール15の幅方向の両側に突出し、一対のローラー16を支持している。一対のローラー16は、ガイドレール15の幅方向の両側に配置された屈曲片15d上を回転移動する。
【0044】
図3に示されるように、建具4の下端部は、振れ止め金具19によって拘束され、室内側へ移動しないように構成されている。振れ止め金具19は、開口部5より下方の外周壁2の室内側の壁面2aに固定されている。振れ止め金具19は、窓部3の正面視における幅方向の中央の1箇所に配置されている。
【0045】
振れ止め金具19は、壁面2aに固定される固定片19aと、固定片19aの上端から室内側へ屈曲された連結片19bと、連結片19bの室内側の端部から上方へ屈曲されたガイド片19cとを有する。連結片19bは、壁面2aから室内側へ突出し、建具4の厚み方向の中央まで延びている。ガイド片19cは、連結片19bから上方へ張り出し、建具4の移動方向に所定の長さを有する。
【0046】
建具4の下端枠10bの底面には、ガイド片19cが挿入されるガイド溝20が形成されている。ガイド溝20は、下端枠10bの全長にわたり形成され、ガイド溝20の幅は、ガイド片19cの厚みに対応している。ガイド溝20は、下端枠10bの横断面における幅方向の中央に形成されている。下端枠10bの室内側の部分10dは、下方へ張り出し、振れ止め金具19を室内側から覆っている。下端枠10bの室外側の部分10eは、振れ止め金具19の連結片19bの上方に配置されている。下端枠10bの室内側の部分10dは、室外側の部分10eよりも下方に張り出し、振れ止め金具19の下端と対応する位置まで配置されている。振れ止め金具19のガイド片19cは、ガイド溝20内に挿入されて、建具4の厚み方向の位置を拘束し、建具4の下端部が室内側へ移動することを防止する。例えば、室外から流入する風によって、建具4が室内側に押されても、建具4の下端部が振れ止め金具19によって拘束されているので、建具4が室内側に移動することが防止される。
【0047】
次にこのように構成された建具4の作用について説明する。
建具4は、窓部3の片方の窓の大きさに対応しているので、窓部3を全開にした場合において、窓部3の開口を覆うことができる。窓部3の建具4が配置されていない部分については、カーテンを広げることによって、室外からの人の視線を遮ることができる。
【0048】
建具4の上部側には上部遮視部8が設けられ、板状の第1水平ルーバー6が一定の間隔dで配置されているので、建物1の外部から窓部3の開口を通過した空気は、第1水平ルーバー6間の隙間を通って建具4を通過し室内に流入する。窓部3の開口を通過した空気は、第1水平ルーバー6に沿って斜め上方に流れて、上部遮視部8を通過して室内に流入する。また、室内の空気を建物1の外部に流出させる場合には、室内の空気は第1水平ルーバー6間の隙間を通って建具4を通過し、窓部3の開口を通り抜けて建物1の外部に流出する。室内の空気は、第1水平ルーバー6に沿って斜め下方に流れて、上部遮視部8を通過して室外に流出する。このようにして、建物1の通風が確保される。
【0049】
建具4の下部側には下部遮視部9が設けられ、へ字状の第2水平ルーバー7が一定の間隔dで配置されている。建物1の外部から窓部3の開口を通過した空気は、上部遮視部8と比較すると流量は少ないものの第2水平ルーバー7の隙間を通り室内に流入する。また、室内の空気は、上部遮視部8と比較して流量は少ないものの第2の水平ルーバー7の隙間を通り、窓部3の開口を通って建物1の外部に流出する。
【0050】
また、建物1の外部の人が建具4の下部側に視線を向けた場合には、へ字状の第2水平ルーバー7によって視線を遮ることができる。建物1の外部から下部遮視部9を見下ろした場合には、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dによって視線を遮ることになる。また、上下に隣接する第2水平ルーバー7において、上に配置された第2水平ルーバー7の下端部7b,7cと下に配置された第2水平ルーバー7の頂点7aとが同じ高さに配置されているので、下部遮視部9は建物1の外部から水平方向に向けられた視線を遮ることができる。
【0051】
さらに、建物1の外部から下部遮視部9を見上げた場合には、斜め上方への視線は第2水平ルーバー7の室外側の部分7d間の隙間を通過するが、この隙間を通過した視線は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eによって遮られる。このようにして、下部遮視部9によって、外部からの視線を全ての角度において遮ることができる。第2水平ルーバー7は、透明な素材で形成されているが、つや消し処理が施され、室内の物体の輪郭がぼやけて見えるので室内の物の形を明確に認識することができないので、室内のプライバシーを保護することができる。
【0052】
また、建物1の外部の人が建具4の上部側に視線を向けた場合には、第1水平ルーバー6によって視線を遮ることができる。建物1の外部から下部遮視部9を見下ろした場合には、第1水平ルーバーによって視線を遮ることになる。また、上下に隣接する第1水平ルーバー6において、上に配置された第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)と下に配置された第1水平ルーバー6の上端部(室内側の端部6a)とが同じ高さに配置されているので、上部遮視部8は建物1の外部から水平方向に向けられた視線を遮ることができる。
【0053】
建物1の外部から上部遮視部8を見上げた場合には、斜め上方への視線は第1水平ルーバー6間の隙間を通過するが、この隙間を通過した視線は、室内の天井に向かうことになる。そのため、室内の床面や、室内に存在する人物の下部側を外部の人が視認することは不可能であるため、室内のプライバシーを保護することができる。
【0054】
このような建具4では、上部側と比較してプライバシーの保護がより重視される下部側の遮視の度合(視線を遮る度合)を高め、下部側ほどプライバシーの保護が重視されない上部側の遮視の度合を低くしその代りに通風性能を高めることができる。建具4によれば、プライバシーを保護及び通風性能を両立させて、建物1を使用する人の高い要求を満たすことができる。
【0055】
また、建具4の水平ルーバー6,7は、透明な素材から形成されているので、室内に太陽光を取り入れることができる。建具4によれば、プライバシーを保護し、通風性能を確保して、さらに採光性能を向上させることができる。
【0056】
また、建具4では、複数の第1水平ルーバー6を連結する連結材11が取り付けられて上下方向に延在し、連結材11の下端部11cは、最上段の第2水平ルーバー7に支持されている。複数の第1水平ルーバー6が連結材11によって下方から支持され、連結材11は第1水平ルーバー6よりも剛性が高い第2水平ルーバー7によって支持されるので、第1水平ルーバー6の長手方向における撓みを抑制することができる。
【0057】
連結材11には、第1水平ルーバー6に係合する切欠き部12が形成されているので、連結材11を第1水平ルーバー6に対して差し込むだけで、上下方向に配列された複数の第1水平ルーバー6を連結して保持することができる。連結材11に切欠き部12が形成されているので、第1水平ルーバー6を加工せずに、連結材11を用いて連結することができる。連結材11によって第1水平ルーバー6の撓みを抑制して、上下に隣接する第1水平ルーバー6同士の間隔を適切に維持することで、上部遮視部8における目隠し機能及び通風機能を両立させることができる。
【0058】
また、建具4の設置構造によれば、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lが、室内の床面から1600mmの高さに配置されているので、下部遮視部9の上端の位置を平均的な身長の人の目の位置に対応させることができる。そのため、建物1の1階の窓部3に面する道路を通行する人からの視線を下部遮視部9によって好適に遮ることができる。
【0059】
また、建具4は、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を支持する建具枠10を備え、窓1枚分に対応する建具として構成されているので、建具の設置構造において建具4の厚さを抑えることができる。このような建具4が窓部3の室内側に配置されているので、外周壁2の室内側の壁面2aからの張り出しを抑えることができ、省スペース化を図り室内空間を有効に活用することができる。2枚引き違い形式の建具とした場合には、室内側への張り出し量が増えることになる。
【0060】
建具4の設置構造によれば、窓部3の正面視における幅方向の中央に振れ止め金具19が配置され、壁面2aから張り出すように設置されているので、建具4の下端部の位置を壁面2aから一定の位置に維持することができる。建具4が左側に配置されたときには、振れ止め金具19は建具4の右側の端部と係合し、建具4が右側に配置されたときには、振れ止め金具19は建具4の左側の端部と係合している。これにより、窓部3の下方の壁面2aに建具4を案内するためのレールや枠体を設ける必要がないので、壁面2aからの張り出す部分を減らすことができる。また、窓部3の幅方向の中央に対応した位置に振れ止め金具19を取り付けるだけで、建具4の下端部の位置を規制することができるので、既存の建物1の壁面2aに対しての後設置を容易に行うことができる。
【0061】
次に、図6を参照して、第1変形例に係る連結材31について説明する。図6に示される連結材31は、上部遮視部8及び下部遮視部9に装着される点で、上部遮視部8に装着される上記の連結材11と異なっている。
【0062】
連結材31は、建具4の正面視における幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を連結する。連結材31は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向に沿うように配置されている。連結材31の幅w31は、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの幅w7dよりも少し広くなっている。連結材31には複数の切欠き部32,33が形成され、切欠き部32に第1水平ルーバー6が嵌められ、切欠き部33に第2水平ルーバー7が嵌められる。
【0063】
切欠き部32,33は、連結材31の幅方向において、一方の端部(室内側の端部)31aから切り込まれ、他方の端部(室外側の端部)31bの近傍まで形成されている。連結材31は、建具4に対して室外側から差し込まれて装着される。切欠き部32は、第1水平ルーバー6の配置に対応し、連結材31の上部側に配置され、切欠き部33は、第2水平ルーバー7の配置に対応し、連結材31の下部側に配置されている。
【0064】
切欠き部32は、第1水平ルーバー6の室外側の部分の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部31aから斜め下方に延びている。切欠き部32は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅を有し、第1水平ルーバー6の幅方向の長さの半分に対応する長さ(深さ)を有する。
【0065】
切欠き部33は、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部31aから斜め下方に延びている。切欠き部33は、第2水平ルーバー7の厚さに対応する幅を有し、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの幅方向の長さに対応する長さ(深さ)を有する。
【0066】
連結材31を第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7に装着した状態において、切欠き部32の上側の縁は第1水平ルーバー6の室外側の部分の上面に当接し、切欠き部32の下側の縁は第1水平ルーバー6の室外側の部分の下面に当接し、切欠き部33の上側の縁は第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの上面に当接し、切欠き部33の下側の縁は第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの下面に当接している。
【0067】
また、連結材31の下端部31cは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置されて傾斜している。連結材31を第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7に対して装着した状態において、連結材31の上端部31dは、上端枠10aの下面に当接している。
【0068】
このような連結材31を備えた建具によれば、複数の第1水平ルーバー6の荷重を、複数の第2水平ルーバー7によって受けることができ、複数の第1水平ルーバー6の荷重を複数の第2水平ルーバー7に分散させて保持することができる。また、連結材31によれば、最上段の第1水平ルーバー6から最下段の第2水平ルーバー7まで、全ての第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を一体として連結して保持することができる。連結材31によれば、第1水平ルーバー6同士の間隔だけでなく、第2水平ルーバー7同士の間隔を好適に維持することができるので、通風機能及び目隠し機能を好適に維持することができる。
【0069】
次に、図7を参照して、第2変形例に係る連結材41,51について説明する。図7に示される連結材41,51は、室内側から上部遮視部8又は下部遮視部9に装着される点で、室外側から上部遮視部8に装着される上記の連結材11と異なっている。
【0070】
連結材41は、建具4の幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6を連結し、連結材51は、建具4の幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第2水平ルーバー7を連結する。連結材41,51は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向に沿うように配置されている。
【0071】
連結材41の幅w41は、第1水平ルーバー6の室内側の部分の幅よりも少し広くなっている。連結材41には複数の切欠き部42が形成され、切欠き部42に第1水平ルーバー6が嵌められる。
【0072】
切欠き部42は、連結材41の幅方向(側面視)において、一方の端部(室外側の端部)41aから切り込まれ、他方の端部(室内側の端部)41bの近傍まで形成されている。連結材41は、建具4に対して室内側から差し込まれて装着される。切欠き部42は、第1水平ルーバー6の配置に対応している。
【0073】
切欠き部42は、第1水平ルーバー6の室内側の部分の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部41aから斜め上方に延びている。切欠き部42は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅を有し、第1水平ルーバー6の幅方向(第1水平ルーバー6の横断面における幅方向)の長さの半分に対応する長さ(深さ)を有する。
【0074】
連結材51の幅w51は、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの幅w7eよりも少し広くなっている。連結材51には複数の切欠き部52が形成され、切欠き部52に第2水平ルーバー7が嵌められる。
【0075】
切欠き部52は、連結材51の幅方向(側面視)において、一方の端部(室外側の端部)51aから切り込まれ、他方の端部(室内側の端部)51bの近傍まで形成されている。連結材51は、建具4に対して室内側から差し込まれて装着される。切欠き部52は、第2水平ルーバー7の配置に対応している。
【0076】
切欠き部52は、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部51aから斜め下方に延びている。切欠き部52は、第2水平ルーバー7の厚さに対応する幅を有し、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの幅方向(第2水平ルーバー7の横断面における幅方向)の長さに対応する長さ(深さ)を有する。
【0077】
連結材41を第1水平ルーバー6に装着した状態において、切欠き部42の上側の縁は第1水平ルーバー6の室内側の部分の上面に当接し、切欠き部42の下側の縁は第1水平ルーバー6の室内側の部分の下面に当接している。連結材51を第2水平ルーバー7に装着した状態において、切欠き部52の上側の縁は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの上面に当接し、切欠き部52の下側の縁は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの下面に当接している。
【0078】
また、連結材41の下端部41cは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置されて傾斜している。連結材41の上端部41dは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置され、最上段の第1水平ルーバー6の下面に対応して傾斜している。連結材41を第1水平ルーバー6に対して装着した状態において、連結材41の上端部41dは、最上段の第1水平ルーバー6の下面に当接している。
【0079】
また、連結材51の下端部51cは、室外側が上方に配置され室内が下方に配置されて傾斜している。連結材51の上端部51dは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置、最下段の第1水平ルーバー6の下面に対応して傾斜している。連結材51を第2水平ルーバー7に対して装着した状態において、連結材51の上端部51dは、最下段の第1水平ルーバー6の下面に当接している。
【0080】
このような連結材41,51を備えた建具によれば、連結材41によって複数の第1水平ルーバー6を連結し、連結材51によって複数の第2水平ルーバー7を連結することができる。連結材51の上端部51dは、最下段の第1水平ルーバー6の下面に当接しているので、最下段の第1水平ルーバー6を下方から支持することができる。連結材41は、複数の第1水平ルーバー6の間隔を維持することができ、連結材41に伝達された荷重は、最下段の第1水平ルーバー6を介して、連結材51及び複数の第2水平ルーバー7に伝達される。これにより、複数の第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。また、連結材41の上端部41dは、最上段の第1水平ルーバー6の下面に当接しているので、最上段の第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。
【0081】
このように、連結材41,51によれば、最上段の第1水平ルーバー6から最下段の第2水平ルーバー7まで、全ての第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を一体として連結して保持することができる。連結材41,51によれば、第1水平ルーバー6同士の間隔及び第2水平ルーバー7同士の間隔を好適に維持することができるので、通風機能及び目隠し機能を好適に維持することができる。複数に分割された連結材41,51によって、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の撓みを防止することができる。
【0082】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0083】
上記実施形態では、第1の水平ルーバー6として板状のルーバーを採用し、第2の水平ルーバー7としてへ字状のルーバーを採用することで、下部遮視部における視認性を上部遮視部よりも低くし、上部遮視部における通風性能を下部遮視部よりも高くしているが、第1の水平ルーバー及び第2の水平ルーバーは、同一形状のものでもよい。例えば、第1の水平ルーバーの配置間隔を、第2の水平ルーバーの配置間隔よりも広くすることで、下部遮視部の視認性を上部遮視部よりも低下させると共に上部遮視部の通風性能を下部遮視部よりも高くしてもよい。
【0084】
また、第1の水平ルーバーの傾斜角と、第2水平ルーバーの傾斜角とを異なる角度にしてもよい。例えば、同一形状の第1の水平ルーバー及び第2の水平ルーバーを用いて、第1の水平ルーバーの傾斜角を第2の水平ルーバーの傾斜角よりも緩くすることで、下部遮視部の視認性を上部遮視部よりも低下させると共に上部遮視部の通風性能を下部遮視部よりも高くしてもよい。下部遮視部において視認できる領域を、上部遮視部において視認できる領域よりも狭くすることで、視認性を低下させてもよい。
【0085】
また、薄板状の水平ルーバーは、厚み方向に直交する面が平坦であるものに限定されず、例えば緩やかに湾曲するものでもよい。へ字状の水平ルーバーは、厚み方向に直交する面が平坦であるものに限定されず、例えば緩やかに湾曲するものでもよい。また、第2水平ルーバーは、中央部で屈曲された形状に限定されず、長手方向に直交する断面が例えば円弧状に湾曲するものでもよい。また、第2水平ルーバーは、横断面における幅方向の中央部からずれた位置で、屈曲されているものでもよい。室外側の部分7dと室内側の部分7eの長さが幅方向において異なるものでもよい。例えば、室外側の部分7dは、室内側の部分7eよりも幅方向において長いものでもよい。
【0086】
また、上記の実施形態では、第2水平ルーバー7の頂点7aにおける室外側の部分7dと室内側の部分7eとの交差角θを90度としているが、交差角θはその他の角度でもよく、90度以上でもよく、90度以下でもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、上下に隣接する第2水平ルーバー7において、上に位置する第2水平ルーバー7の幅方向の両端部(7b,7c)を結ぶ仮想の直線は、下に位置する第2水平ルーバー7と交差するように配置されているが、第2水平ルーバー7同士の間隔を狭くして、下の第2水平ルーバー7の頂点7aが、上の第2水平ルーバー7の幅方向の両端部を結ぶ仮想の直線よりも上方に配置されるようにしてもよい。
【0088】
また、上実施形態では、連結材11を備える構成としているが、建具4は連結材11を備えていないものでもよい。また、連結材11は、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向の中央に配置されたものに限定されず、中央からずれた位置に配置されていてもよい。また、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向において、複数の連結材11を備えるものでもよい。また、室内側及び室外側の両方から第1水平ルーバー6又は第2水平ルーバー7を挟んで支持する連結材としてもよい。
【0089】
上記実施形態では、建物1を工業化住宅として説明しているが、例えば店舗、事務所、工場、倉庫、病院などその他の建物の窓部に建具4を適用することができる。
【0090】
上記実施形態では、住宅の1階の窓部3に対して建具4を適用しているが、2階や3階など、その他の階の窓部に対して建具4を適用してもよい。
【0091】
本発明の建具は、建物同士が近接している都市部の建物、人通りが多い道路に面する建物などに利用すると、外部からの視線を遮ると共に、通風性能を確保することができ、特に有効である。また、仮設住宅などの建物に適用してもよい。
【0092】
上記実施形態では、建具4は窓部3に対して室内側に配置されているが、建具4は窓部3に対して室外側に配置されていてもよい。
【0093】
上記実施形態では、建具4は、窓部3の正面視における幅方向に対してスライド自在に支持されているが、建具4は、例えば上下方向に移動可能に支持されているものでもよく、建具4の一端側が支持されて揺動するものでもよい。建具4は、例えば外周壁2に固定されて移動しないものでもよい。
【0094】
上記実施形態では、建具4は、建物1の外周壁2に設けられた窓部3に対して配置されているが、建具4は、例えば建物内の壁に設けられた窓部に対して配置されるものでもよい。例えば、建物内の各部屋を区切る間仕切り壁に設けられた窓部に対して建具を適用してもよい。例えばビルなどの建物内において、部屋と通路とを区切る壁に設けられた窓部に対して建具を適用することもできる。
【0095】
窓部3は、2枚引き違い形式の窓に限定されず、その他の種類の窓でもよい。例えば、片引き窓、両袖片引き窓、出窓、上げ下げ窓、外開き窓、内倒し窓、滑り出し窓、折りたたみ窓などその他の窓に、建具を適用することができる。また、建具の形状は、矩形状のものに限定されず、窓の外形に合わせて、例えば円形のものでもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、建具4の下端枠10bにガイド溝20が設けられ、窓部3の下方の室内側の壁面2aから張り出す振れ止め金具19によって、建具4の下端部の位置を拘束しているが、建具4の下端枠10bの壁面2aとは反対側の面にガイド片19cを係合させることで建具4の下端部の位置を拘束してもよい。また、建具4の下端枠10bの底面にローラーを設け、室内床面や建具4の下方に配置されたレールに沿って移動させる構成としてもよい。
【0097】
また、建具4の上端部は、天井に設けられたレールに沿って移動可能に支持されるものでもよい。
【0098】
上記の建具の設置構造では、窓部3は障子を備える構成としているが、窓部3は障子を備えていないものでもよい。また、障子は2枚引き違い形式のものに限定されず、その他の形式の障子でもよい。
【0099】
上記の建具の設置構造では、1枚の建具4を備える構成としているが、窓部3に対して、複数枚の建具を設置してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…建物、2…外周壁、2a…室内側の壁面、3…窓部、4…建具、6…第1水平ルーバー、6a…室内側の端部、6b…室外側の端部、7…第2水平ルーバー、7a…頂点、7b…室内側の端部、7c…室外側の端部、8…上部遮視部、9…下部遮視部、10…建具枠、10a…上端枠(建具の上端部)、10b…下端枠(建具の下端部)、11,31,41,51…連結材、12…切欠き部、15…ガイドレール、16…ローラー、17…固定ピン(支持具)、19…振れ止め金具、19c…ガイド片、20…ガイド溝、L…上部遮視部と下部遮視部との境界。
図1
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図7