(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各タイヤに取り付けられたタイヤ空気圧検出器と、当該タイヤ空気圧検出器から送信されるタイヤ空気圧信号を受信してタイヤの空気圧を監視する受信機とを備え、前記タイヤの位置を判定するタイヤ位置判定システムにおいて、
前記タイヤ空気圧検出器は、
電波を送信するタイミングではない時間帯のとき、前記タイヤ空気圧検出器がいつ特定の検出器角度をとったのかのタイミング情報を電波を送信するタイミングから遡って連続して複数保持する情報保持部と、
電波送信が可能な時間帯となったとき、前記情報保持部が保持する連続した複数の前記タイミング情報を電波送信が可能な時間内に順に前記受信機に送信する電波送信制御部とを備え、
前記受信機は、
車軸の回転量を検出可能な車軸回転検出部から車軸回転量を読み込む車軸回転量読込部と、
受信した前記タイミング情報を基に前記タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときの車軸回転量を逆算し、当該車軸回転量を用いて前記タイヤの位置を判定する位置判定部とを備えた
ことを特徴とするタイヤ位置判定システム。
前記タイミング情報は、前記タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときから、電波送信が可能になった時間帯に電波を送信するまでの時間情報を含み、前記タイヤ空気圧検出器の個体識別が可能な情報である
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ位置判定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のタイヤ位置の判定では、位置判定の監視期間が設定されているが、仮に車両が低速走行してタイヤがゆっくり回転したときには、監視期間の時間内に、タイヤ位置の判定に必要な複数の信号が第1のセンサから送信することができず、結果、タイヤ位置を判定できない可能性があった。なお、この問題は、特許文献1に限らず、第1のセンサ及び第2のセンサを用いてタイヤ位置を判定する方式であれば、必然的に生じる。よって、タイヤ位置の判定に必要な電波を、第1のセンサから車体へ確実に送信したいニーズがあった。
【0005】
本発明の目的は、タイヤ位置判定に必要な電波を、タイヤ空気圧検出器から受信機に確実に送信することができるタイヤ位置判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するタイヤ位置判定システムは、各タイヤに取り付けられたタイヤ空気圧検出器と、当該タイヤ空気圧検出器から送信されるタイヤ空気圧信号を受信してタイヤの空気圧を監視する受信機とを備え、前記タイヤの位置を判定する構成において、前記タイヤ空気圧検出器は、電波を送信するタイミングではない時間帯のとき、前記タイヤ空気圧検出器がいつ特定の検出器角度をとったのかのタイミング情報を
電波を送信するタイミングから遡って連続して複数保持する情報保持部と、電波送信が可能な時間帯となったとき、前記情報保持部が保持する
連続した複数の前記タイミング情報を
電波送信が可能な時間内に順に前記受信機に送信する電波送信制御部とを備え、前記受信機は、車軸の回転量を検出可能な車軸回転検出部から車軸回転量を読み込む車軸回転量読込部と、受信した前記タイミング情報を基に前記タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときの車軸回転量を逆算し、当該車軸回転量を用いて前記タイヤの位置を判定する位置判定部とを備えた。
【0007】
本構成によれば、タイヤ位置判定システムは、各タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときの車軸回転量を検出し、その車軸回転量の変化を基にタイヤ位置を判定する方式をとる。この方式でタイヤ位置を判定するにあたり、タイヤ空気圧検出器において電波送信を実行しない時間帯のとき、タイヤ空気圧検出器がいつ特定の検出器角度をとったのかが分かるタイミング情報を事前に
電波を送信するタイミングから遡って連続して複数収集しておき、タイヤ空気圧検出器において電波送信が可能な時間帯が到来したとき、これらを
電波送信が可能な時間内に順に受信機に送信する。このため、仮にタイヤがゆっくり回転する場合であっても、タイヤ空気圧検出器において電波送信が可能な微少時間の間に、タイヤ空気圧検出器からタイミング情報を受信機に送信し終える
ことが可能となる。よって、タイヤ位置判定に必要な電波を、タイヤ空気圧検出器から受信機に確実に送信することが可能となる。
【0008】
前記タイヤ位置判定システムにおいて、前記タイミング情報は、前記タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときから、電波送信が可能になった時間帯に電波を送信するまでの時間情報を含み、前記タイヤ空気圧検出器の個体識別が可能な情報であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ空気圧検出器が特定の検出器角度をとったときの車軸回転量を、時間情報から簡素な演算により算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイヤ位置判定システムにおいて、タイヤ位置判定に必要な電波を、タイヤ空気圧検出器から受信機に確実に送信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、タイヤ位置判定システムの第1実施形態を
図1〜
図7に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、各タイヤ2(2a〜2d)のタイヤ空気圧等を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)3を備える。タイヤ空気圧監視システム3は、各タイヤ2a〜2dにタイヤ空気圧検出器4(4a〜4d:タイヤバルブとも言う)を取り付けておき、これらタイヤ空気圧検出器4a〜4dで検出されたタイヤ空気圧を、タイヤ空気圧信号Stpとして車体5に送信することにより、車体5において各タイヤ2a〜2dの空気圧を監視する直接式である。
【0014】
タイヤ空気圧検出器4は、タイヤ空気圧検出器4の動作を制御するコントローラ6と、タイヤ空気圧を検出する圧力検出部7と、タイヤ温度を検出する温度検出部8と、タイヤ空気圧検出器4に発生する重力を検出する重力検出部9と、タイヤ空気圧検出器4からの電波送信を可能とする送信アンテナ10とを備える。コントローラ6のメモリ11には、各タイヤ空気圧検出器4の固有のIDとしてタイヤID(バルブID)が書き込み保存されている。圧力検出部7は、例えば圧力センサであることが好ましい。温度検出部8は、例えば温度センサであることが好ましい。重力検出部9は、例えば加速度センサ(Gセンサ)であることが好ましい。送信アンテナ10は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を送信することが好ましい。
【0015】
車体5は、タイヤ空気圧検出器4a〜4dから送信されたタイヤ空気圧信号Stpを受信することにより、各タイヤ2a〜2dの空気圧を監視する受信機(以降、TPMS受信機と記す)12を備える。TPMS受信機12は、TPMS受信機12の動作を制御するタイヤ空気圧監視ECU(Electronic Control Unit)13と、TPMS受信機12において電波を受信可能とする受信アンテナ14とを備える。タイヤ空気圧監視ECU13のメモリ15には、タイヤ空気圧検出器4a〜4dのIDが、タイヤ位置を対応付けられた状態で書き込み保存されている。例えば、右前タイヤ空気圧検出器4aをID1とし、左前タイヤ空気圧検出器4bをID3とし、右後タイヤ空気圧検出器4cをID4とし、左後タイヤ空気圧検出器4dをID2とする。TPMS受信機12には、例えば車内インストルメントパネル等に設置された表示部16が接続されている。
【0016】
タイヤ空気圧検出器4は、タイヤ2が回転状態に入ったことを重力検出部9からの検出信号を基に確認したとき、又は所定の時間間隔をおいて定期又は不定期に、タイヤ空気圧信号Stpを送信アンテナ10から車体5に送信する。タイヤ空気圧信号Stpは、例えばタイヤID、圧力データ、温度データ等を含む信号であることが好ましい。タイヤ2が回転状態に入ったか否かは、重力検出部9の出力が変化したか否かを確認することにより判定する。また、タイヤ2が回転していないと判断した場合であっても、回転時と同じ、又はそれ以上の間隔によってタイヤ空気圧信号Stpを送信する。
【0017】
TPMS受信機12は、タイヤ空気圧検出器4a〜4dから送信されたタイヤ空気圧信号Stpを受信アンテナ14で受信すると、タイヤ空気圧信号Stp内のタイヤIDを照合し、このタイヤID照合が成立すれば、タイヤ空気圧信号Stp内の圧力データを確認する。TPMS受信機12は、圧力値が低圧閾値以下であれば、この低圧タイヤを、タイヤ位置を対応付けて表示部16に表示する。TPMS受信機12は、このタイヤ空気圧判定を、受信するタイヤ空気圧信号Stpごとに行って、各タイヤ2a〜2dの空気圧を監視する。
【0018】
タイヤ空気圧監視システム3は、各タイヤ2a〜2dが前後左右のどの位置に取り付けられているのかを自動で判断する、いわゆるオートロケーションを実行するタイヤ位置判定機能(タイヤ位置判定システム17)を備える。タイヤ位置判定システム17は、タイヤ空気圧検出器4a〜4dがタイヤ回転方向において特定の位置をとることを検出し、そのときの車軸18(18a〜18d)の回転量を確認する原理を用いて、タイヤ2a〜2dの位置を判定する。
【0019】
図2に、重力検出部9が検出する重力成分を図示する。重力検出部9は、タイヤ空気圧検出器4にかかる重力として、重力Gに対する車軸方向(タイヤ半径方向)の重力分力Grを検出する。重力分力Grは、タイヤ2の回転軌跡において、タイヤ空気圧検出器4がピーク(紙面の「12時」又は「6時」の位置)に位置するとき、遠心力を考慮しなければ「−1G」又は「+1G」をとる。ちなみに、タイヤ2の回転軌跡において、タイヤ空気圧検出器4が紙面の「3時」及び「9時」に位置するとき、遠心力を考慮しなければ、重力分力Grは「0G」をとる。
【0020】
図3に、タイヤ空気圧検出器4における電波送信の通信シーケンスの概略を図示する。タイヤ空気圧検出器4は、電波送信が可能な送信タイミングtが、ある周期をおいて繰り返し出現する送信パターンをとる。送信タイミングtが到来して以降の微少時間の「T1」が、電波送信が可能な時間帯に設定されている。この時間幅T1は、例えば「1秒」が好ましい。電波送信は、送信タイミングtが出現する周期である「T2」をおいて繰り返される。この時間間隔T2は、電波送信が待機される時間帯であり、例えば「30秒」が好ましい。このように、タイヤ空気圧検出器4は、1秒間のあいだ電波送信を行なう動作を、30秒の間隔を空けて繰り返し実行する。
【0021】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出器4は、タイヤ空気圧検出器4が特定の検出器角度をとることを監視する検出器角度監視部19と、電波の送信タイミングtではない時間帯のとき、タイヤ空気圧検出器4がいつ特定の検出器角度をとったのかのタイミング情報Dtiを複数保持する情報保持部20と、電波の送信タイミングtのときに特定の検出器角度でタイヤ空気圧検出器4から電波を送信する動作を複数回実行し、この動作を1セットとして、特定の時間間隔をおいて複数回繰り返す電波送信制御部21とを備える。これらは、例えばコントローラ6に設けられることが好ましい。
【0022】
図4及び
図5に、本例のタイヤ空気圧検出器4の電波送信の動作原理を図示する。特定の検出器角度は、例えばタイヤ空気圧検出器4がタイヤ回転方向において極の位置をとる角度であることが好ましい。極の位置とは、例えば「12時」の位置、「3時」の位置、「6時」の位置、「9時」の位置である。また、特定の検出器角度は、例えばタイヤ空気圧検出器4がタイヤ回転方向においてピーク位置をとる角度であることが好ましい。ピーク位置とは、例えば「12時」の位置、「6時」の位置を言う。
【0023】
図4に示すように、本例のように電波送信可能な時間幅T1が「1秒」と短い場合、仮に車両1が低速走行してタイヤ2がゆっくり回っていると、T1の間に、タイヤ空気圧検出器4から電波を複数回送信できない場合がある。こうなると、本例のように、タイヤ位置の判定において、タイヤ空気圧検出器4からの電波の複数回送信が必要な方式では、タイヤ位置を判定できないことになる。
【0024】
そこで、
図5に示すように、電波送信が待機されるT2の時間帯のとき、タイヤ空気圧検出器4のピーク位置検出を予め実行しておき、ピークをいつ検出したのかを通知するタイミング情報Dtiを、電波送信が可能なT1の時間帯のとき、その時間内にまとめて送信することで対応する。情報保持部20は、例えば送信タイミングt1から遡って連続する「n個」のタイミング情報Dtiを保持するのが好ましい。ここで、タイミング情報Dtiは、
図5で示すDt1〜Dt4のことであり、特定の角度の検出から電波送信が可能となるまでの時間情報である。また、タイミング情報Dtiは、例えば前記タイヤ空気圧検出器4の個体識別な可能な情報であることも含む。
【0025】
電波送信制御部21は、微少時間のT1(約1秒)を電波送信が可能な時間帯として電波の送信動作を行ない、T1の時間帯を過ぎると、微少時間よりも充分に長いT2(約30秒)の間、電波送信を実行せず、この待ち時間の経過後、電波送信の動作を再度実行するという動作を繰り返すことにより、オートロケーション用の電波の送信を実行する。具体的には、電波送信制御部21は、電波送信が可能な送信タイミングtのとき、情報保持部20が保持したタイミング情報Dtiを含む電波を、短い時間間隔で連続的に送信する。電波送信制御部21は、この動作を1セットとして、時間間隔T2をおいて繰り返し実行する。オートロケーション用の電波は、タイミング情報Dtiを含む電波であればよく、前述のタイヤ空気圧信号Stpを用いたものでもよいし、他の電波のいずれでもよい。
【0026】
図1に示すように、TPMS受信機12は、タイヤ空気圧検出器4からオートロケーション用の電波を受信する度に、車軸18(18a〜18d)の回転量を検出可能な車軸回転検出部22(22a〜22d)から車軸回転量を読み込む車軸回転量読込部23と、タイヤ空気圧検出器4が特定の検出器角度をとったときの車軸回転量をタイミング情報Dtiを基に逆算し、この車軸回転量を用いてタイヤ位置を判定する位置判定部24とを備える。車軸回転量読込部23及び位置判定部24は、例えばタイヤ空気圧監視ECU13に設けられることが好ましい。
【0027】
車軸回転検出部22a〜22dは、各車軸18a〜18dに設けられ、例えばABS(Antilock Brake System)センサを用いるとよい。この場合、車軸回転量は、例えばパルス数Pxであることが好ましい。車軸回転検出部22a〜22dは、例えば各車軸18a〜18dに設けられた複数(例えば48個)の歯を、車体5側のセンシング部で検出することにより、矩形波状のパルス信号Splを車軸回転量読込部23に出力する。車軸回転量読込部23は、パルス信号Splの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方を検出するのであれば、タイヤ1回転当たり96パルス(カウント値:0〜95)を検出する。
【0028】
位置判定部24は、電波を1セット受信する度、逆算により各セットにおいて車軸回転量を割り出す。つまり、位置判定部24は、先の1セットの車軸回転数の群と、後の1セットの車軸回転数の群とを比較することにより、各ID1〜ID4と各車軸18a〜18dとを紐付けして、タイヤ2a〜2dの位置を判定する。
【0029】
次に、
図6及び
図7を用いて、タイヤ位置判定システム17の動作を説明する。なお、TPMS受信機12は、所定のサイクルに従ってオートロケーションモードに切り替わり、タイヤ位置の判定を実行する。
【0030】
まず、
図6に、本例のタイヤ位置の判定原理を図示する。タイヤ2a〜2d(車軸18a〜18d)は、カーブ等の旋回走行を許容するために、各々独立して回転する構造をとる。この結果、旋回走行の前後では、各タイヤ空気圧検出器4a〜4dがピーク位置に到達するタイミングが変化するので、タイヤ空気圧検出器4a〜4dの電波送信タイミングも変化する。つまり、旋回走行の前後において、あるIDを見た場合、同IDに対応する車軸18であれば、測定したパルス数Pxが所定値に収束するのに対し、同IDに対応しない車軸18であれば、測定したパルス数Pxが他の値に変化する。この原理を前提に、本例はタイヤ位置を判定する。
【0031】
図7に示すように、情報保持部20は、送信タイミングt1の前の電波送信不可の時間帯のとき、タイヤ空気圧検出器4がピーク位置をとったときのタイミング情報Dtiをメモリ11に複数個保持する。情報保持部20は、タイミング情報Dtiをn個(
図7は4個)保持する。情報保持部20は、保持できる最大のタイミング情報Dtiを既に保持しているとき、新たなタイミング情報Dtiを検出すると、最も古いタイミング情報Dtiを破棄しつつ最新のタイミング情報Dt iを記憶することにより、保持するタイミング情報Dtiのデータ群を更新する。
【0032】
タイヤ空気圧検出器4は、電波の送信タイミングt1が到来したとき、時間幅T1(例えば1秒)の間、電波送信が可能となる。このとき、電波送信制御部21は、タイミング情報Dtiを含む電波を、メモリ11に保持したタイミング情報Dtiの個数分、順に短い時間間隔で連続的に送信する。つまり、最も古いタイミング情報Dtiが最初の電波に乗せられて送信され、2番目に古いタイミング情報Dtiが2番目の電波に乗せられて送信されるように、タイミング情報Dtiが順にTPMS受信機12に通知される。電波送信の間隔である送信のインターバルTsは、例えば100msに設定される。
【0033】
タイヤ空気圧検出器4は、T1の時間帯を経過すると、再度、電波送信の待機状態に入り、次の送信まで、時間間隔T2(例えば30秒)の間、電波送信を実行しない。情報保持部20は、送信タイミングt1,t2の間の電波送信不可の時間帯のときも、タイヤ空気圧検出器4がピーク位置をとったときのタイミング情報Dtiをメモリ11にn個保持する。電波送信制御部21は、電波の送信タイミングt2が到来すると、送信タイミングt1のときと同様に、タイミング情報Dtiを含む電波を、保持したタイミング情報Dtiの個数分、順に短い時間間隔で連続的に送信する。
【0034】
位置判定部24は、TPMS受信機12がオートロケーションモードに入っているとき、送信タイミングt1で各タイヤ空気圧検出器4a〜4dから送信されたタイミング情報Dtiを受信すると、受信したタイミング情報Dtiに基づき、いま車軸回転検出部22a〜22dから読み込んだパルス数Pxを逆算することにより、タイヤ空気圧検出器4a〜4dが過去にピーク位置をとったときのパルス数Pxを、車軸回転検出部22a〜22dごとに割り出す。つまり、ID1のタイミング情報Dtiを受信すると、ID1が過去にピークをとったときの各車軸回転量読込部23a〜23dのパルス数Pxの逆算値を割り出す。そして、この動作をID2〜ID4でも同様に実行する。
【0035】
ちなみに、タイミング情報Dtiは複数送信されるので、仮に通信環境がよくない場合であっても、少なくとも1つは受信できる。また、仮にタイミング情報Dtiを複数受信することができた場合には、例えば、そのうちの1つ以上の情報を用いてパルス数Pxの逆算値を演算する。位置判定部24は、算出した各ID1〜ID4の逆算値を、送信タイミングt1における各車軸18a〜18dのパルス数Pxとしてメモリ15に保持する。
【0036】
位置判定部24は、次の送信タイミングt2のときも、各ID1〜ID4において、タイミング情報Dtiを含む電波をTPMS受信機12で受信すると、いま各車軸回転量読込部23a〜23dで読み込んだパルス数Pxを逆算し、タイヤ空気圧検出器4が過去にピーク位置をとったときのパルス数Pxを、車軸回転検出部22a〜22dごとに割り出す。つまり、各ID1〜ID4において、過去にタイヤ2a〜2dがピーク位置をとったときのパルス数Pxを各々割り出す。
【0037】
位置判定部24は、メモリ15に保持された送信タイミングt1のときのパルス数Pxと、後に逆算した送信タイミングt2のときのパルス数Pxとを比較することにより、タイヤ位置を判定する。つまり、位置判定部24は、ID1〜ID4の各IDにおいて、どの車軸回転検出部22a〜22dの出力で前後のパルス数Pxが一致又は一定許容幅以下となるのかを確認することにより、タイヤ位置を特定する。
【0038】
なお、位置判定部24は、1度の判定でタイヤ位置判定を完了することができないと、同様の処理をリトライする。つまり、次の送信タイミングtにおいてパルス数Pxの逆算を算出し、これを過去(例えば1つ前)のパルス数Pxと比較することにより、タイヤ位置を判定する。そして、位置判定部24は、全4輪のタイヤ位置を判定できるまで判定処理を継続し、オートロケーションを完了する。以上のオートロケーションは、所定のサイクルに従って繰り返し実行される。
【0039】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)タイヤ空気圧検出器4は、電波送信を実行しないT2の時間帯のとき、事前にピーク位置の検出を実行し、ピーク位置を検出する度、ピーク位置をいつとったのかのタイミング情報Dtiを複数保持する。タイヤ空気圧検出器4は、電波送信が可能な送信タイミングtが到来したとき、保持しておいた複数のタイミング情報Dtiを、T1の時間内に短いインターバルTsで連続的にTPMS受信機12に送信する。このため、仮にタイヤ2がゆっくり回転する場合であっても、タイヤ空気圧検出器4において電波送信が可能な時間帯が微少時間の時間内に、タイヤ空気圧検出器4からタイミング情報DtiをTPMS受信機12に送信し終えることができる。よって、タイヤ位置の判定に必要なオートロケーション用の電波を、タイヤ空気圧検出器4からTPMS受信機12に確実に送信することができる。
【0040】
(2)事前に検出された複数のタイミング情報Dtiは、電波送信が可能なT1の時間帯のとき、古いものから順にTPMS受信機12に送信される。よって、タイヤ空気圧検出器4がT1の時間帯で電波を送信するとき、1回の電波送信時に電波に乗せるタイミング情報Dtiのデータ量が少なく済む。
【0041】
(3)タイヤ空気圧検出器4は、電波送信が可能な微少の時間帯(「T1」の時間帯)が、相対的に時間が長い電波送信不可の時間帯(「T2」の時間帯)をおいて、繰り返し出現する通信シーケンスをとる。よって、タイヤ空気圧検出器4において電波を送信しなければならない時間帯が短く済むので、タイヤ空気圧検出器4の電源の省電力化に寄与する。
【0042】
(4)特定の検出器角度は、タイヤ空気圧検出器4のタイヤ回転方向における極の位置としてもよい。ところで、タイヤ空気圧検出器4の極位置は重力検出部9で検出し易いので、特定の検出器角度を容易に検出することができる。
【0043】
(5)1回の電波送信で複数の検出角度情報を送信することができるので、そのデータ処理により角度精度を向上することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図8に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に記載のタイヤ空気圧検出器4の送信ロジックを変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0044】
図8に示すように、電波送信制御部21は、電波の送信タイミングtが到来すると、T2の間に検出した複数のタイミング情報Dtiを、最初に送信するオートロケーション用の電波に全て含ませてTPMS受信機12に送信させる。ちなみに、同図では、タイミング情報Dtiが2つの例を図示している。本例の場合、オートロケーション用の電波は、例えばタイヤIDと、複数のタイミング情報Dtiとを含む電波となる。
【0045】
位置判定部24は、複数のタイミング情報Dtiを含む電波を受信すると、これらタイミング情報Dtiを基に、車軸回転検出部22a〜22dで読み込んだパルス数Pxを逆算し、タイヤ空気圧検出器4が過去にピーク位置をとったときのパルス数Pxを割り出す。例えば、位置判定部24は、複数取得したタイミング情報Dtiのうち1つ以上を選択し、選択したタイミング情報Dtiからパルス数Pxを逆算することにより、先のピーク時のパルス数Pxを割り出す。位置判定部24は、送信タイミングt2のときも同様の逆算を行ない、先の送信タイミングt1のときの逆算値と、後の送信タイミングt2の逆算値とを比較することにより、タイヤ位置を特定する。
【0046】
なお、同図では、オートロケーション用の電波を送信した後に、数回の電波送信を行なう例を記載しているが、この電波送信は省略してもよい。つまり、送信タイミングt1のとき、オートロケーション用の電波を1回のみ送信させる通信としてもよい。こうすれば、タイヤ空気圧検出器4に課される電波送信の回数が少なく済むので、タイヤ空気圧検出器4の電源の省電力化に一層有利となる。
【0047】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1),(3)〜(5)に加え、以下の効果を得ることができる。
(6)事前に検出された複数のタイミング情報Dtiは、電波送信が可能な送信タイミングtとなったとき、最初に送信する電波に全て乗せられてTPMS受信機12に通知される。このため、タイミング情報Dtiの送信回数が少なく済む。よって、タイヤ空気圧検出器4の電源の省電力化に一層寄与する。
【0048】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第2実施形態において、複数のタイミング情報Dtiを1つの電波にまとめて送信するにあたり、複数のタイミング情報Dtiを2番目以降に送信電波に乗せて送信することも可能である。
【0049】
・各実施形態において、保持するタイミング情報Dtiの個数「n」は、先の送信タイミングt1と後の送信タイミングt2とで異なっていてもよい。
・各実施形態において、保持するタイミング情報Dtiの個数「n」は、例えば車速や走行時間等に応じて可変としてもよい。
【0050】
・各実施形態において、保持するタイミング情報Dtiは、送信タイミングtの直前から遡った所定個としたが、どのタイミングのものを保持対象としてもよい。
・各実施形態において、T2の間、ピーク位置の検出を行わず、T2が終了後、必要な数のピーク位置の検出を行い、T1の間に送信する方法を用いてもよい。
【0051】
・各実施形態において、オートロケーションの判定処理に制限時間を設け、制限時間を過ぎても位置判定が完了しないときは、処理を強制終了し、次回に再実行するようにしてもよい。
【0052】
・各実施形態において、時間幅T1は、タイヤ空気圧監視時とオートロケーション時とで各々異なる値としてもよい。なお、これはT2でも同様である。
・各実施形態において、時間幅T1や時間間隔T2は、種々の時間幅に適宜設定可能である。
【0053】
・各実施形態において、時間幅T1や時間間隔T2は、例えば車速や走行時間等に応じて他の値に切り替えるなど、可変としてもよい。
・各実施形態において、タイヤ空気圧検出器4において検出する重力成分は、例えば車軸方向と直交する方向の重力としてもよい。
【0054】
・各実施形態において、車軸回転検出部22は、車軸18の回転を検出することができれば、種々の検出部材(センサ、スイッチ、通信機等)に変更可能である。
・各実施形態において、タイミング情報Dtiは、T2の時間帯においてタイヤ空気圧検出器4がいつ特定の検出器角度がとったのかが分かる情報であればよい。
【0055】
・各実施形態において、1回のT1内における複数のオートロケーション用のデータに、例えば平均化や中央値等の処理を行うことにより、位置情報の正確性を上げてもよい。
・各実施形態において、タイヤ位置の判定方法は、タイヤ空気圧検出器4が特定の検出器角度をとったときの各車軸18a〜18dの回転量(パルス)を測定して判定する方式であれば、種々の態様が採用可能である。