(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0015】
本実施の形態の研修カリキュラム生成システムは、産業用機械に関する各種のスキルを習得するための研修用のカリキュラムを生成するものである。ここで、産業用機械としては、レシプロ圧縮機、スクリュ圧縮機、ターボ圧縮機、真空成膜装置、タイヤ試験機、連続混練機、及びゴム混練機等、様々なものが想定される。これらの産業用機械は、「標準仕様」及び「個別仕様」と呼ばれる仕様に従って設計される。ここでの標準仕様とは、産業用機械として一般的な使用態様を想定した場合に選択される設計上のスペックであり、どの顧客の機械にも設けられているような共通した仕様をいう。この標準仕様は、顧客からの希望等のように特別な理由がなければ、スペックとして外されることはない。また、個別仕様とは、顧客が自らの使用態様等を考慮して、標準仕様に対して改造・変更を施したスペックをいう。産業用機械においては、標準仕様のみで顧客に納入されることはきわめて稀であり、ほとんどの場合で顧客の要望に応じた個別仕様が採用される。以下では、標準仕様のみの産業用機械を「標準機」と、個別仕様も考慮された産業用機械を「個別機」と、それぞれ称する。
【0016】
[研修カリキュラム生成システムの構成]
本実施の形態において、研修カリキュラム生成システムは、1台のeラーニングサーバ(以下、単に「サーバ」という)で実現されている。
図1は、そのサーバ及びその通信接続先の構成を示す模式図である。サーバ1は、無線アクセスポイントAPを介して、タブレット型の端末機2,2,…と通信可能に接続されている。これらの端末機2,2,…は、研修を受講する学習者、研修において指導を行う指導者、及び産業用機械の製造メーカの営業担当者等によって使用される。
【0017】
次に、サーバ1の詳細な構成について説明する。
図2は、サーバ1の構成を示すブロック図である。サーバ1は、コンピュータ1aによって実現される。
図2に示すように、コンピュータ1aは、本体11と、画像表示部12と、入力部13とを備えている。本体11は、CPU11a、ROM11b、RAM11c、ハードディスク11d、読出装置11e、入出力インタフェース11f、通信インタフェース11g、及び画像出力インタフェース11hを備えており、これらのCPU11a、ROM11b、RAM11c、ハードディスク11d、読出装置11e、入出力インタフェース11f、通信インタフェース11g、及び画像出力インタフェース11hは、バス11jによって接続されている。
【0018】
CPU11aは、RAM11cにロードされたコンピュータプログラムを実行することができる。研修カリキュラム生成用のコンピュータプログラム14aをCPU11aが実行することにより、コンピュータ1aがサーバ1として機能する。
【0019】
ROM11bは、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU11aにより実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0020】
RAM11cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM11cは、ハードディスク11dに記録されている種々のコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM11cは、CPU11aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU11aの作業領域として利用される。
【0021】
ハードディスク11dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU11aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。研修カリキュラム生成用のコンピュータプログラム14aも、このハードディスク11dにインストールされている。
【0022】
読出装置11eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体14に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。この可搬型記録媒体14には、コンピュータ1aをサーバ1として機能させるためのコンピュータプログラム14aが格納されている。コンピュータ1aは、読出装置11eを用いて可搬型記録媒体14からコンピュータプログラム14aを読み出し、そのコンピュータプログラム14aをハードディスク11dにインストールする。
【0023】
なお、コンピュータプログラム14aは、可搬型記録媒体14によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ1aと通信可能に接続された外部の機器から当該電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータプログラム14aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ1aがアクセスして、当該コンピュータプログラム14aをダウンロードし、これをハードディスク11dにインストールすることも可能である。
【0024】
また、ハードディスク11dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム14aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとする。
【0025】
さらにハードディスク11dには、ユーザ情報データベース(DB)101、標準教材コンテンツデータベース(DB)102、個別教材コンテンツデータベース(DB)103、部品情報データベース(DB)104、交換記録情報データベース(DB)105、工事情報データベース(DB)106、工事記録情報データベース(DB)107、及びカリキュラムデータベース(DB)108が設けられている。各データベースの詳細については後述する。
【0026】
入出力インタフェース11fは、例えばUSB、IEEE1394、又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース11fには、キーボード及びマウスからなる入力部13が接続されており、ユーザが当該入力部13を使用することにより、コンピュータ1aにデータを入力することが可能である。
【0027】
通信インタフェース11gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース11gは、無線アクセスポイントAPを介して、端末機2,2,…に接続されている。コンピュータ1aは、通信インタフェース11gにより、所定の通信プロトコルを使用して、無線アクセスポイントAPに接続された端末機2,2,…との間でデータの送受信を行う。
【0028】
画像出力インタフェース11hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部12に接続されており、CPU11aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部12に出力する。画像表示部12は、入力された映像信号に従って、画像(画面)を表示する。
【0029】
次に、上述した各データベースの詳細について、図を参照しながら説明する。
(a)ユーザ情報DB101
ユーザ情報DB101は、学習者となるユーザに関する情報を格納するためのデータベースである。
図3は、そのユーザ情報DB101の構成を示す概念図である。
図3に示すとおり、ユーザ情報DB101は、学習者となるユーザのID番号・パスワード・氏名・連絡先等を含むユーザ基本情報に加えて、そのユーザが属する会社等の顧客に納入されている産業用機械に関する納入機情報、その顧客を管理するための顧客管理情報、及びユーザの属性を示すユーザ属性情報を有している。ここで、納入機情報には、納入された産業用機械を識別するための型式が含まれている。また、顧客管理情報には、顧客を識別するための顧客コードが含まれており、ユーザ属性情報には、そのユーザの職種(保全マン又はオペレータ)が含まれている。
【0030】
(b)標準教材コンテンツDB102
標準教材コンテンツDB102は、標準機に関する教材コンテンツである標準教材コンテンツを格納するためのデータベースである。
図4は、その標準教材コンテンツDB102の構成を示す概念図である。
図4に示すように、標準教材コンテンツDB102は、産業用機械の型式毎に用意されたコンテンツ群から構成されている。ここで、各型式は、その型式の機械を構成する機能モジュールと、その機能モジュールを構成するサブモジュールとで表現されている。本実施の形態の場合、研修で実施される実技演習において、これらの機能モジュール・サブモジュール単位で作業手順及びポイント等を学習することになる。
【0031】
図4には、機能モジュールのコンテンツ情報として、「概要情報」及び「重要度」が例示されている。この概要情報は、その機能モジュールの概要を示す情報である。また、重要度は、その機能モジュールについて研修で学習することの必要性の度合いを示す情報であって、本実施の形態では、高(研修指導上必須である)・中(研修指導上あった方がよい)・低(研修指導上なくてもよい)の3段階で表される。この重要度は、指導者によって決定される。
【0032】
また、
図4には、サブモジュールのコンテンツ情報として、「概要情報」、「重要度」、「指導時間」、「関連部品情報(部品コード)」、「関連工事情報(工事コード)」、「組立手順動画」、「解体手順ポイント」、「メンテ要領ポイント」、「操業要領ポイント」、及び「指導者要件(最低指導等級)」が例示されている。ここで、概要情報及び重要度は機能モジュールの場合と同様である。指導時間は、そのサブモジュールについて指導するために必要な時間を示す情報であり、関連部品情報(部品コード)は、そのサブモジュールに関連する部品を識別するための部品コード、関連工事情報(工事コード)は、そのサブモジュールに関連する工事を識別するための工事コードである。また、組立手順動画及び解体手順ポイントはそれぞれ、そのサブモジュールを組み立てる場合の手順を示す動画及び同じく解体する場合の手順を示す情報であり、メンテ要領ポイント、操業要領ポイント及び指導者要件(最低指導等級)はそれぞれ、そのモジュールのメンテナンスを行う場合の要領を示す情報、操業中の要領を示す情報、及びそのモジュールについて指導する場合に指導者が最低限備えている必要がある力量(指導等級)を示す情報である。
【0033】
なお、これらのコンテンツ情報は、その情報の性質に応じて、テキストデータ、音声データ、及び画像データ等の各種の形式のデータで構成されている。以下に説明するコンテンツ情報についても同様である。
【0034】
(c)個別教材コンテンツDB103
個別教材コンテンツDB103は、個別機に関する教材コンテンツである個別教材コンテンツを格納するためのデータベースである。
図5は、その個別教材コンテンツDB103の構成を示す概念図である。
図5に示すように、個別教材コンテンツDB103は、標準教材コンテンツDB102の場合と同様に、産業用機械の型式毎に用意されたコンテンツ群から構成されており、各型式は、機能モジュール及びサブモジュールの他、「マイナー型式」、「変更箇所」、及び「カスタムユニット」で表現されている。本実施の形態の場合、研修で実施される実技演習において、これらの変更箇所・カスタムユニット単位で作業手順及びポイント等を学習することになる。
【0035】
マイナー型式は、サブモジュールにおいて標準仕様からカスタマイズされた部分、すなわち個別仕様を識別するための型式である。例えば、サブモジュールが混練機の混練ロータである場合、その混練ロータの長さを標準より長くした型式が「マイナー型式a」、同じく標準より短くした型式が「マイナー型式b」、混練ロータの径を標準より大きくした型式が「マイナー型式c」等のように定義される。
【0036】
マイナー型式の下層に紐付けられる「変更箇所」は、標準仕様からの変更箇所の具体的な内容である。上記の混練ロータの例で説明すると、混練ロータの長さ及び径の具体的な値が「変更箇所」に相当する。また、この「変更箇所」の下層に紐付けられる「カスタムユニット」は、標準仕様には存在しない部材等であって特別に作成されたものである。具体的には、標準仕様では5つの混練セグメントからなる混練ロータにおいて、個別仕様で6つ目の混練セグメントが追加される場合に、その追加される混練セグメントが「カスタムユニット」に相当する。
【0037】
図5には、「マイナー型式」、「変更箇所」及び「カスタムユニット」のそれぞれのコンテンツ情報として、標準教材コンテンツDB102の場合と同様の「概要情報」及び「重要度」が例示されている。また、「カスタムユニット」のコンテンツ情報としては更に、標準教材コンテンツDB102における「サブモジュール」の場合と同様に、「指導時間」、「関連部品情報(部品コード)」、「関連工事情報(工事コード)」、「組立手順動画」、「解体手順ポイント」、「メンテ要領ポイント」、「操業要領ポイント」、及び「指導者要件(最低指導等級)」が例示されている。
【0038】
(d)部品情報DB104
部品情報DB104は、産業用機械を構成する各部品に関する部品情報を格納するためのデータベースである。
図6は、その部品情報DB104の構成を示す概念図である。
図6に示すように、部品情報DB104には、部品コード毎にその部品に関する詳細な情報が格納されている。
図6に示す例では、各部品について、その部品名称、部品概要、推奨交換時間(当該部品の使用を開始してから交換されるまでの推奨期間)、及び交換作業時間等の情報が定められている。
【0039】
(e)交換記録情報DB105
交換記録情報DB105は、各部品の交換記録である交換記録情報を格納するためのデータベースである。
図7は、その交換記録情報DB105の構成を示す概念図である。
図7に示すように、交換記録情報DB105には、納入機毎に、その納入機を構成する各部品について行われた交換の内容を示す情報が格納されている。この
図7には、交換日、交換部品コード、次回交換予定日等の情報が例示されている。
【0040】
(f)工事情報DB106
工事情報DB106は、産業用機械の整備・保守に関する各工事に関する工事情報を格納するためのデータベースである。
図8は、その工事情報DB106の構成を示す概念図である。
図8に示すように、工事情報DB106には、工事コード毎にその工事に関する詳細な情報が格納されている。
図8に示す例では、各工事について、その工事名称、工事概要、推奨点検時間(前回の点検から次の点検までの推奨期間)、工事作業時間、及び費用等の情報が定められている。
【0041】
(g)工事記録情報DB107
工事記録情報DB107は、各工事の記録である工事記録情報を格納するためのデータベースである。
図9は、その工事記録情報DB107の構成を示す概念図である。
図9に示すように、工事記録情報DB107には、納入機毎に、その納入機に関する工事の内容を示す情報が格納されている。この
図9には、公示日、工事コード、次回工事予定日等の情報が例示されている。
【0042】
(h)カリキュラムDB108
カリキュラムDB108は、標準機についての各種スキルを学習するための研修カリキュラムである標準カリキュラムの内容を格納するためのデータベースである。
図10は、そのカリキュラムDB108の構成を示す概念図である。
図10に示すように、カリキュラムDB108には、型式毎に、保全マン用及びオペレータ用の標準カリキュラムが格納されている。各標準カリキュラムでは、研修日毎に学ぶべき内容(実技演習内容)が定められている。各実技演習内容は、「機能モジュールNo」及び「サブモジュールNo」で構成されている。すなわち、このカリキュラムDB108では、学習対象の機能モジュール及びサブモジュールがその識別子によって特定されることによって、職種別・研修日別に標準カリキュラムの内容が定められている。
【0043】
[研修カリキュラム生成システムの動作]
次に、上述したように構成された研修カリキュラム生成システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。
図11は、本発明の実施の形態の研修カリキュラム生成システム(サーバ1)が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、サーバ1は、第1乃至第4コンテンツ抽出処理(S1乃至S4)を実行することによって、顧客別の研修カリキュラムを生成する。以下、これらの第1乃至第4コンテンツ抽出処理について詳細する。
【0044】
(1)第1コンテンツ抽出処理
サーバ1は、顧客要望情報を用いて、カリキュラムDB108に格納されている標準カリキュラムの中から、新たに生成する研修カリキュラムに含めるコンテンツの候補となるコンテンツ候補群を抽出する(S1)。ここで、顧客要望情報は、「○○機能について詳しく知りたい」、「○○の操作を学びたい」及び「部品○○を交換したい」等の顧客の要望を含むテキストデータであり、営業担当者又はユーザ(学習者)等によって端末機2を用いて入力される。サーバ1は、このようにして入力された顧客要望情報と、別途入力されたユーザのID番号とを端末機2から受け取り、ステップS1の第1コンテンツ抽出処理を実行する。
【0045】
図12は、第1コンテンツ抽出処理の詳細な内容を示すフローチャートである。サーバ1は、ユーザのID番号を用いてユーザ情報DB101を検索することにより当該ユーザが扱っている機種の型式及びそのユーザの職種を特定し、その機種の型式及び職種を用いてカリキュラムDB108を検索することによって当該型式及び職種に係る標準カリキュラムを抽出して、その標準カリキュラムに含まれる機能モジュールNo及びサブモジュールNoを取得する(S11)。次に、サーバ1は、取得した機能モジュールNo及びサブモジュールNoに関連する個別教材コンテンツを個別教材コンテンツDB103から抽出する(S12)。
【0046】
次に、サーバ1は、抽出した標準教材コンテンツ及び個別教材コンテンツの中から、顧客要望情報及び重要度に基づいて特定のコンテンツを抽出し、それらをコンテンツ候補群Aとする(S13)。このステップS13における特定のコンテンツの抽出は、例えば、顧客要望情報に含まれる単語を概要情報に含むコンテンツ、又は重要度が「中」以上のコンテンツを抽出すること等によって実行される。なお、各コンテンツは階層構造(標準教材コンテンツの場合は機能モジュール・サブモジュールの2階層、個別教材コンテンツの場合は機能モジュール・サブモジュール・マイナー型式・変更箇所・カスタムユニットの5階層)をなしているが、重要度によるコンテンツ抽出を行う場合は、より上位の要素に付されている重要度が優先される。この重要度の取扱いは以下でも同様である。
【0047】
(2)第2コンテンツ抽出処理
上述した第1コンテンツ抽出処理が実行された後、サーバ1は、販促計画情報を用いて、カリキュラムDB108に格納されている標準カリキュラムの中から、新たに生成する研修カリキュラムに含めるコンテンツの候補となるコンテンツ候補群を抽出する(S2)。ここで、販促計画情報は、部品の供給状況、工事の実行状況、及び部品・工事の単価等に基づいて製造メーカにより定められる部品・工事の販促計画に関する情報である。本実施の形態では、この販促計画情報として、販促対象の部品・工事の部品コード・工事コードが用いられる。以下では、これらの販促対象となっている部品及び工事をそれぞれ販促対象部品及び販促対象工事と称する。この販促計画情報は、営業担当者によって端末機2を用いて入力される。サーバ1は、このようにして入力された販促計画情報を端末機2から受け取り、ステップS2の第2コンテンツ抽出処理を実行する。
【0048】
図13は、第2コンテンツ抽出処理の詳細な内容を示すフローチャートである。サーバ1は、ユーザの機種の型式を用いて交換記録情報DB105を検索することにより部品交換の状況を取得し、販促対象部品の中から、まだ交換が一度もなされていない部品又は次回交換予定日が近い(例えば、半年以内等)部品等の交換の必要性が高い部品を特定する(S21)。次に、サーバ1は、ユーザの機種の型式を用いて工事記録情報DB107を検索することにより工事の状況を取得し、販促対象工事の中から、まだ一度も実施されていない工事又は次回工事予定日が近い(例えば、半年以内等)工事等の整備・保守の必要性が高い工事を特定する(S22)。
【0049】
次に、サーバ1は、先のステップS12にて抽出した標準教材コンテンツ及び個別教材コンテンツの中から、ステップS21にて特定した部品の部品コード及びステップS22にて特定した工事の工事コードを含むコンテンツを抽出し、それらをコンテンツ候補群Bとする(S23)。
【0050】
(3)第3コンテンツ抽出処理
上述した第2コンテンツ抽出処理が実行された後、サーバ1は、希望日数情報を用いて、コンテンツ候補群A及びBからコンテンツの絞り込みを行う(S3)。ここで、希望日数情報は、ユーザ側が希望する研修の日数を示す情報であって、ユーザ又は営業担当者等によって端末機2を用いて入力される。サーバ1は、このようにして入力された希望日数情報を端末機2から受け取り、ステップS3の第3コンテンツ抽出処理を実行する。
【0051】
図14は、第3コンテンツ抽出処理の詳細な内容を示すフローチャートである。サーバ1はまず、コンテンツ群A及びBを足し合わせて(OR処理)コンテンツ候補群Cを生成する(S31)。次に、サーバ1は、そのコンテンツ候補群Cに含まれるコンテンツの指導時間の総和を算出し、その総和から指導日数を算出する(S32)。この場合、例えば1日を7時間等で換算することによって日数が算出される。
【0052】
次に、サーバ1は、希望日数情報で示されている希望日数が、ステップS32にて算出した指導日数以上であるか否かを判定する(S33)。ここで、希望日数が指導日数以上であると判定した場合(S33でYES)、サーバ1はステップS35へ進む。一方、希望日数が指導日数よりも少ないと判定した場合(S33でNO)、サーバ1はコンテンツ絞り込み処理(S34)を実行する。
【0053】
以下、ステップS34のコンテンツ絞り込み処理について説明する。このコンテンツ絞り込み処理では、顧客の要望、販売促進計画、及び重要度の3つの基準でコンテンツの絞り込みが行われる。具体的には、ステップS33にて希望日数が指導時間以上と判定されるまで、以下の表1に示される優先順位の低い方から順にコンテンツが削除される。
【表1】
【0054】
より具体的に説明すると、サーバ1は、下記のサブステップS34−1乃至S34−7を実行する。なお、
図14に示すように、下記のサブステップS34−1乃至S34−7の各ステップ間にはステップS32及びS33が実行され、そのステップS33で希望日数が指導日数以上であると判定された場合はその時点でステップS35へ進む。また、ステップS34−7を実行した場合でもS33でYESと判定されない場合はマニュアルで個別に調整する。
(S34−1)
重要度が「中」で、販促対象部品・工事ではなく、顧客要望情報中の単語を概要情報に含まないコンテンツを削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−2)
重要度が「低」で、顧客要望情報中の単語を概要情報に含まないコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−3)
重要度が「低」のコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−4)
重要度が「中」で、顧客要望情報中の単語を概要情報に含まないコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−5)
重要度が「中」のコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−6)
重要度が「高」で、販促対象部品・工事ではなく、顧客要望情報中の単語を概要情報に含まないコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
(S34−7)
重要度が「高」で、顧客要望情報中の単語を概要情報に含まないコンテンツを更に削除し、残りのコンテンツの指導時間の総和を算出する。
【0055】
ステップS33で希望日数が指導日数以上であると判定された後、サーバ1は、これまでの処理で抽出されたコンテンツによりコンテンツ群Dを生成する(S35)。なお、ステップS34が一度も実行されなかった場合はコンテンツ候補群Cとコンテンツ候補群Dとは同一の内容となる。
【0056】
(4)第4コンテンツ抽出処理
上述した第3コンテンツ処理が実行された後、サーバ1は、指導担当者情報を用いて、コンテンツ候補群Dにおけるコンテンツの再構成を行う(S4)。ここで、指導担当者情報は、ユーザが希望する日程に研修を担当する指導者である指導担当者の力量(指導等級)を示す情報であって、指導者又は営業担当者等によって端末機2を用いて入力される。サーバ1は、このようにして入力された指導担当者情報を端末機2から受け取り、ステップS4の第4コンテンツ抽出処理を実行する。
【0057】
図15は、第4コンテンツ抽出処理の詳細な内容を示すフローチャートである。サーバ1はまず、コンテンツ候補群Dに含まれるコンテンツの中から、指導担当者の指導等級が最低指導等級以上のコンテンツを抽出し、そのコンテンツの指導時間の総和を算出する(S41)。次に、サーバ1は、上述した希望日数情報で示されている希望日数を時間換算した希望時間と、ステップS41で算出した指導時間の総和との差を算出する(S42)。
【0058】
次に、サーバ1は、ステップS42にて算出した両時間の差が、指導時間の総和の5%以内であるか否かを判定する(S43)。ここで、両時間の差が指導時間の総和の5%以内であると判定した場合(S43でYES)、サーバ1はステップS45へ進む。一方、両時間の差が指導時間の総和の5%を超えると判定した場合(S43でNO)、サーバ1はコンテンツ再構成処理(S44)を実行する。
【0059】
以下、ステップS44のコンテンツ再構成処理について説明する。このコンテンツ再構成処理では、指導担当者の力量に応じてコンテンツの再構成が行われる。具体的には、次のサブステップS44−1乃至S44−3を実行する。
(S44−1)
コンテンツ絞り込み処理(S34)において最終の絞り込みがなされたサブステップの1つ前のサブステップに戻ってコンテンツ候補群Dを再構成し、その再構成後のコンテンツ候補群Dの指導時間の総和を算出する。そして、その指導時間の総和と希望時間との差を算出し、その差が指導時間の総和の5%以内の場合は、その時点でのコンテンツ候補群Dを最終コンテンツ群と判断し、ステップS45へ進む。但し、その差がマイナスの値の場合には、それ以前の処理で確定したコンテンツ候補群Dであって、当該差が最も小さいものを最終コンテンツ群と判断する。
(S44−2)
サブステップS44−1で処理が終了しない場合、コンテンツ絞り込み処理(S34)におけるサブステップを1段階ずつ戻り、S44−1と同様の処理を実行する。
(S44−3)
コンテンツ絞り込み処理(S34)におけるサブステップ34−1まで戻っても上記の差が指導時間の総和の5%以内とならなかった場合、ステップS31にて生成されたコンテンツ候補群Cを最終コンテンツ群と判断し、ステップS45へ進む。
【0060】
なお、このコンテンツ再構成処理(S44)は、先の第3コンテンツ抽出処理における絞り込みにより減らされたコンテンツを、指導担当者の力量に応じて増やす処理に相当する。そのため、第3コンテンツ抽出処理において、コンテンツ絞り込み処理(S34)が一度も実行されなかった場合は、このコンテンツ再構成処理を実行することなくステップS45へ進む。
【0061】
サーバ1は、上記の処理の結果得られた最終コンテンツ群を用いて研修カリキュラムを生成する(S45)。具体的には、最終コンテンツ群に含まれる機能モジュール・サブモジュール・マイナー型式・変更箇所・カスタムユニットの識別子からなる研修カリキュラムを研修日別・職種別に生成する。
【0062】
上述した第1乃至第4コンテンツ抽出処理は、ユーザ毎に実行される。その結果、各ユーザが扱う個別機毎に、そのユーザが属する顧客の要望及び製造メーカ側の販売促進計画に応じた研修カリキュラムが生成される。これにより、産業用機械の適切なメンテナンスの実現に資する研修を行うことが可能になる。
【0063】
以下、上述したようにして生成された研修カリキュラムにしたがって産業用機械の組立・解体実習教育を行う場合の例を説明する。このような実習教育は、製造現場又は研修センター等の施設に学習者を集めて実施される。この施設には、各学習者が操作する端末機2,2,…の他、標準仕様の実機(又は実機の1/nスケールのミニチュア機)が設けられており、各学習者はその実機を用いて実技を行う。ここでは、その実機として連続混練機の標準機が設けられているものとして説明を続ける。
【0064】
上記の実機は、各サブモジュール部材に設けられたバーコードを読み取るバーコードリーダを備えている。このバーコードリーダは、読み取ったバーコードで特定される部材に対する作業状態に関する情報を、通信ネットワークを介してサーバ1に送信する機能を有している。後述するように、サーバ1は、このバーコードリーダから受信した情報に基づいて実技の進行状況を確認する。
【0065】
図16は、組立・解体実習教育の流れを示すフローチャートである。まず、実技を始める前に、サーバ1では、上述したようにして生成された研修カリキュラムに沿って「何日目の研修であるのか」及び「その日の何時限目(何個目)の実技レッスンであるのか」を確認し(S101乃至S103)、その結果に基づいて、当該研修カリキュラムに含まれる標準教材コンテンツをユーザ向けに配信する(S104)。これにより、端末機2では、標準教材コンテンツの内容が画面上に表示されることになる。
【0066】
上述したように標準教材コンテンツの内容が端末機2の画面上に表示された状態において、指導者が実機に対して実際に作業(組立又は解体)を行う(S105)。この作業に合わせて、実機のバーコードリーダからサーバ1に対して情報が送信され、サーバ1は、その情報に基づいて、その作業の完了状態を検出する(S106)。具体的には、実機(連続混練機)のホッパを取り外す作業であれば、バーコードリーダが、取り外されたホッパに設けられているバーコードを読み取り、そのホッパが取り外された旨を示す情報をサーバ1に対して送信する。サーバ1は、この情報を受信すると、ホッパの取り外し作業が完了したと判断する。
【0067】
サーバ1は、上述したように作業の完了状態を検出した後、研修カリキュラムに含まれる個別教材コンテンツをユーザ向けに配信する(S107)。端末機2では、その個別教材コンテンツを学習画面に追加情報として表示する(S108)。本実施の形態で生成される研修カリキュラムは顧客毎に異なるものであるため、複数の顧客のユーザが同一の研修に参加している場合、異なる個別教材コンテンツが別々に配信され、各端末機2にはそれを操作するユーザ(顧客)専用の個別教材コンテンツが表示されることになる。例えば、顧客Aに属するユーザに対しては「ホッパの横に特殊な計量センサが取り付けられているので、その計量センサも合わせて取り外す」等の情報が個別教材コンテンツとして配信される一方で、顧客Bに属するユーザに対しては「ホッパはホッパガイドにより固定されているため、最初にホッパガイドを外す」等の情報が個別教材コンテンツとして配信される。このように、本実施の形態で生成された研修カリキュラムを用いることにより、各顧客のそれぞれに適した研修を同時に実施することが可能になる。
【0068】
上述したステップS106乃至S108において、各ユーザが扱う機種に応じた組立又は解体作業とその作業完了の通知とが繰り返し実行され(S109)、その後実技が完了する(S110)。
【0069】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態では、単一のコンピュータ1aによってコンピュータプログラム14aのすべての処理が実行される構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該コンピュータプログラム14aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。