(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258047
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】発光素子表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20171227BHJP
G09G 3/30 20060101ALI20171227BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20171227BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20171227BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09G3/30 J
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
G09G3/20 621M
H05B33/14 A
G09F9/30 365
H05B33/02
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-12823(P2014-12823)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-141255(P2015-141255A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏浩
【審査官】
村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−216529(JP,A)
【文献】
特開2009−094492(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0078939(US,A1)
【文献】
特開2011−048339(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0049523(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0044095(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0182223(US,A1)
【文献】
米国特許第07507998(US,B1)
【文献】
特開2013−104890(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0120338(US,A1)
【文献】
特開2002−049354(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0011796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09G 3/20
G09G 3/30
H01L 51/50
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上側に、第1チャネル部を含んで形成された第1半導体層と、
前記基板の上側に、第1容量電極を含んで形成された第2半導体層と、
前記第1半導体層及び前記第2半導体層の上側に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上側に、第1ゲート電極の一部と、第2容量電極の一部と、を含んで形成された第3半導体層と、
前記第3半導体層の上側に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上側に形成された、有機EL発光素子のアノード電極と、
を含み、
前記第1チャネル部、前記第1絶縁層及び前記第1ゲート電極は、駆動トランジスタの一部を構成し、
前記第2半導体層、前記第1絶縁層及び前記第2容量電極は、第1容量の少なくとも一部を構成し、
前記第3半導体層は、平面視において、前記第1絶縁層、前記第1半導体層及び前記第2半導体層と重畳し、
前記アノード電極は、平面視において、前記第1絶縁層及び前記第1乃至第3半導体層と重畳する、
ことを特徴とする発光素子表示装置。
【請求項2】
前記第2絶縁層と前記アノード電極の間にそれぞれ形成された第3容量電極及び走査信号線をさらに含み、
前記第2絶縁層は、前記第3半導体層と前記アノード電極の間に配置され、
前記第3容量電極は、前記第2半導体層と電気的に接続され、
前記走査信号線は、第2ゲート電極を含み、
前記第3半導体層は、第2チャネル部を含み、
前記第3半導体層、前記第2絶縁層及び前記第3容量電極は、前記第1容量の少なくとも一部を構成し、
前記第2チャネル部、前記第2絶縁層及び前記第2ゲート電極は、画素トランジスタの一部を構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子表示装置。
【請求項3】
前記第3容量電極は、平面視において、前記第1絶縁層、前記第1半導体層及び前記第2半導体層と重畳し、
前記アノード電極は、平面視において、前記第3容量電極と重畳し、
前記画素トランジスタは、平面視において、前記アノード電極の外側に配置された領域を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子表示装置。
【請求項4】
前記第3容量電極及び前記走査信号線の上側に形成された第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の上側に形成された高基準電位線と、
をさらに含み、
前記高基準電位線は、平面視において、前記第2半導体層、前記第3半導体層及び前記第3容量電極のそれぞれの一部と重畳し、
前記高基準電位線は、前記駆動トランジスタと電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の発光素子表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)等の自発光体を用いた発光素子表示装置が実用化されている。このようなOLEDを用いた有機EL(Electro-luminescent)表示装置をはじめとする発光素子表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、自発光体を用いているため、視認性、応答速度の点で優れているだけでなく、バックライトのような補助照明装置を要しないため、更なる薄型化が可能となっている。
【0003】
特許文献1は、発光素子を有する表示装置において、バンクの下に駆動素子を形成し、その下に導電性の下側遮光膜を形成することにより、リーク電流を防止すると共に、バンク層をセルフアラインで形成することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−352955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機EL表示装置においても、近年、高精細化が進むことにより、各画素の大きさが小さくなってきている。有機EL表示装置は、各画素において階調値に応じた電位差を保持することにより電流を流すものであるが、画素が小さくなるとそれに伴って電極も小さくなるため、結果として電位差を保持するための容量が小さくなる。電位差を保持する容量が小さい場合には、ノイズの影響や微少なリークによる影響で電位差が変化し、各画素における輝度のばらつきとなることから、表示品質が低下することが考えられる。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてされたものであり、高精細化された場合であっても高い表示品質の有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光素子表示装置は、表示領域にマトリクス状に配置された複数の画素の各々において、電流が流れることにより発光する発光素子と、前記複数の画素の各々に配置され、前記発光素子に流す電流を制御する少なくとも2つのトランジスタと、を備え、前記少なくとも2つのトランジスタの半導体部は、互いに異なる層に形成されている、ことを特徴とする発光素子表示装置である。ここで半導体部が「互いに異なる層」であるとは、同時に成膜されない層であることを意味する。また、「画素」は、発光素子を有する単位を意味し、画素が複数の発光素子で構成されることにより複数の副画素を有している場合には副画素を意味する。
【0008】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記少なくとも2つのトランジスタは、階調値に応じた電圧の印加を制御する画素トランジスタと、前記画素トランジスタを介して印加された電位に基づいて発光を制御する駆動トランジスタと、を有し、前記駆動トランジスタの前記半導体部を有する第1層は、導電体からなる第1容量電極を更に有し、前記画素トランジスタの前記半導体部を有する第2層は、前記画素トランジスタの前記半導体部と連続し、駆動トランジスタのゲートとなる導電体である第2容量電極を更に有し、前記第1容量電極と前記第2容量電極とは、絶縁層を介して互いに重畳して形成されていてもよい。
【0009】
ここで、第1層及び第2層は、それぞれが同時に成膜される一つの層であってもよいし、それぞれが例えば半導体である層とソース/ドレインである層との組合せ等、同時に成膜される層を複数含む、複数の層の集合であってもよい。しかしながら、上述したように半導体部は、同時に成膜されない層であることを要する。
【0010】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記画素トランジスタのゲートである走査信号線を有する第3層は、前記走査信号線とは電気的に独立し、前記第1容量電極にコンタクトホールを介して電気的に接続され、絶縁層を介して、前記第1容量電極と共に、前記第2容量電極を挟むように配置される第3容量電極を更に有していてもよい。
【0011】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第1容量電極は、前記駆動トランジスタの前記半導体部とは電気的に独立し、基準電位に電気的に接続されていてもよい。
【0012】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第1容量電極は、前記駆動トランジスタの前記半導体部と連続し、導電体からなる前記駆動トランジスタのソース・ドレインの一方と電気的に接続されていてもよい。
【0013】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第2容量電極及び前記第3容量電極は、平面視において、基準電位に接続された基準電位配線と重畳して形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明の発光素子表示装置において、前記第1層及び前記第2層は、ポリシリコンからなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1のII−II線における断面を概略的に示す図である。
【
図3】対向基板を有さない有機EL表示装置の例について示す図である。
【
図4】
図1の画素に含まれる副画素の構成例について示す図である。
【
図5】
図1の画素に含まれる副画素の構成例について示す図である。
【
図6】副画素における回路の一例について示す回路図である。
【
図7】
図6の回路を構成する配線及び電極の配置を概略的に示す図である。
【
図8】
図7のVIII−VIII線の断面について概略的に示す図である。
【
図9】
図7のIX−IX線に断面について概略的に示す図である。
【
図11】本実施形態の第1の変形例について、
図7と同様の視野により示す図である。
【
図12】本実施形態の第2の変形例について、
図7と同様の視野により示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0017】
図1には、本発明の実施形態に係る発光素子表示装置である有機EL表示装置100が概略的に示されている。この図に示されるように、有機EL表示装置100は、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)基板120及び対向基板150の2枚の基板を有し、これらの基板の間には透明樹脂の充填剤221(
図2参照)が封止されている。有機EL表示装置100のTFT基板120及び対向基板150には、マトリクス状に配置された画素210からなる表示領域205が形成されている。ここで、各画素210は複数の副画素212(後述)から構成されている。
【0018】
また、TFT基板120は透明のガラス又は樹脂の絶縁材料からなる基板であり、TFT基板120には、副画素212のそれぞれに配置された画素トランジスタ220(後述)の走査信号線342に対してソース・ドレイン間を導通させるための電位を印加すると共に、画像信号線312(後述)に対して副画素212の階調値に対応する電圧を印加する駆動回路である駆動IC(Integrated Circuit)182が載置され、外部から画像信号等を入力するためのFPC(Flexible Printed Circuits)181が取付けられている。また、本実施形態においては、図の矢印に示されるように、TFT基板120の発光層が形成された側に光を出射するトップエミッション型の有機EL表示装置としている。
【0019】
図2は、
図1のII−II線における断面を概略的に示す図である。この断面図に示されるように、TFT基板120には、TFT回路が形成されたTFT回路層160と、TFT回路層160上に形成された複数の発光素子である複数の有機EL素子130と、有機EL素子130を覆って水分を遮断する封止膜125と、を有している。有機EL素子130は、各画素210に含まれる副画素212の数だけ形成されるが、
図2では説明を分かりやすくするため、省略して記載している。また、対向基板150には、例えば3色又は4色のそれぞれ異なる波長領域の光を透過するカラーフィルタ及び各副画素212の境界から出射される光を遮断する遮光膜であるブラックマトリクスが形成されている。TFT基板120と対向基板150との間の充填剤221は、シール剤222により封止されている。
【0020】
なお、本実施形態においては、
図2に示されるような対向基板150を有する構成としているが、
図3に示されるような対向基板150を有さない構成とすることもできる。また、
図3に示されるように、駆動IC182をFPC181上に配置してもよく、特にTFT基板120を柔軟な樹脂材料とした場合には、TFT基板120をFPC181と一体とした構成であってもよい。また、本実施形態においては、有機EL素子130において白色を発光し、カラーフィルタを用いて3色又は4色の波長領域の光を透過する構成とするが、有機EL素子130において、例えば3色又は4色のそれぞれ異なる波長領域の光を発光する構成としてもよい。
【0021】
図4は、
図1の画素210に含まれる副画素212の構成例について示す図である。この図に示されるように画素210は、R(赤)G(緑)B(青)W(白)の4種類の色に対応する波長領域の光を出射する略矩形の副画素212からなり、副画素212は同じ画素210内の他の副画素212と2辺が接するように田の字型に整列されている。なお、画素210における副画素212の構成は、
図4の構成に限られず、
図5に示されるようなRGBの3色に対応する副画素212からなるストライプ構成であってもよく、また、ストライプ構成で更にRGBWの4種類の色を使用するものであってもよい。画素210を構成する副画素212の配置はこれらの限られず適宜定めることができる。
【0022】
図6は、副画素212における回路の一例について示す回路図である。この図を用いて発光における回路の動作について説明する。画像信号線312に各副画素212の階調値に応じた画像信号が印加され、走査信号線342の信号に基づいて画素トランジスタ220が導通することにより、階調値に基づいた電圧が容量241及び/又は242に蓄えられる。有機EL素子130は、駆動トランジスタ230が容量241及び/又は242に蓄えられた電位に基づいた電流を流すことにより発光する。有機EL素子130のカソード側は低基準電位VSSに接続され、駆動トランジスタ230のソース側(有機EL素子130側とは反対側)は、高基準電位VDDに保持された高基準電位線311に接続されている。
【0023】
ここで、各容量241及び242は、両方を形成されることとしてもよいし、いずれか1つの容量を形成するように構成することとしてもよい。なお、本回路図においてはp型の半導体を用いることとしていが、n型の半導体を用いることとしてもよい。また、
図6の回路は発光の制御を説明するための簡易的な回路であり、2つのトランジスタを有するものとしたが、3つ以上のトランジスタを有する構成としてもよいし、その他の制御配線や容量を含むものであってもよく、回路の構成は任意に定めることが可能である。
【0024】
図7は、
図6の回路を構成する配線及び電極の配置を概略的に示す図である。この図は4つの副画素212について示しており、各副画素212には、走査信号線342、画像信号線312及び高基準電位線311が延びている。なお、この図では、各副画素212の回路について説明するため、アノード電極350より下層の回路に係る層のみが示されており、アノード電極350より上層の発光に係る層構造については省略されている。また、アノード電極350はその配置位置のみを破線により示している。
【0025】
この図に示されるように、駆動トランジスタ230の半導体部339を有する第1層(331,332)は、半導体部339と共に駆動トランジスタ230のソース・ドレインを有する駆動トランジスタチャネル電極331と、駆動トランジスタチャネル電極331とは電気的に独立し、導電体からなる第1容量電極332とを有している。駆動トランジスタチャネル電極331は、アノード電極350とコンタクトホール392を介して接続されると共に、高基準電位線311とコンタクトホール393を介して接続されている。第1容量電極332は、高基準電位線311とコンタクトホール394を介して接続されている。
【0026】
画素トランジスタ220の半導体部329を有する第2層(321,322)は、走査信号線342と重畳する部分に形成された半導体部329と共に画素トランジスタ220のソース・ドレインを有する画素トランジスタチャネル電極321と、画素トランジスタチャネル電極321と連続して形成され、平面視で第1容量電極332と重畳する第2容量電極322とを有している。画素トランジスタチャネル電極321は、コンタクトホール391を介して画像信号線312に接続されている。
【0027】
走査信号線342を有する第3層(341,342)は、走査信号線342とは電気的に独立し、第1容量電極332にコンタクトホール395を介して電気的に接続され、絶縁層163及び165(
図8、9参照)を介して、第1容量電極332と共に、第2容量電極322を挟むように配置される第3容量電極341を有している。第3層(341,342)上には、絶縁層166介して高基準電位線311及び画像信号線312が形成されている。
【0028】
なお、本実施形態においては、第1層(331,332)及び第2層(321,322)はポリシリコンにより形成され、半導体部339及び半導体部329と、他の部分とでイオン注入量を変えることにより、半導体部分と導体部分とを形成することとしている。したがって、本実施形態におけるこれらの「層」は、同一の工程で同時に形成される膜であることとなる。しかしながら、アモルファス半導体や酸化膜半導体等の他の半導体材料が用いられる等により、ソース・ドレイン及び半導体層が互いに異なる層に形成される場合であっても、第1層又は第2層の「層」を、ソース・ドレイン及び半導体層等の複数層が含まれる層とすることにより、本実施形態を適用することができる。したがって、第1層〜第3層の層は、それぞれ複数の層から構成される複合層であってもよく、特に第1層及び第2層は、それぞれ半導体層とソース/ドレインの導体層の複合層であってもよい。
【0029】
また、第1層(331,332)及び第2層(321,322)の端部を半導体部分やコンタクトホール等の接続部分から離したところに形成し、端部のイオン注入量を少なくすることにより、結晶粒界で発生する電界を緩和する所謂LDD(Low Doped Drain)構造を用いることとしてもよい。また、高基準電位線311、画像信号線312及び第3層等の導体部分としては、Al、Cu、Au、Ti、Mo、W等の金属や、ドープされたポリシリコン等導電性の有機材料を用いることができ、更に、高基準電位線311及び画像信号線312は、AlをTiで挟んだTi/Al/Ti構造の配線としてもよい。
【0030】
図8は、
図7のVIII−VIII線の断面について概略的に示す図である。なお、この図において、樹脂等によりアノード電極350の端部を覆って形成され、隣接する副画素212のアノード電極350との間を絶縁する画素分離膜135より上層の膜については省略して記載されている。この断面図に示されるように、SiNx等の絶縁材料からなる下地膜161上に形成される第1層(331,332)は、駆動トランジスタチャネル電極331及び第1容量電極332を有し、第1容量電極332は、絶縁層163及び165に開けられたコンタクトホール395を介して第3層(341,342)の第3容量電極341に接続されている。第2層(321,322)の第2容量電極322は、SiNx等の絶縁材料からなる絶縁層163及び165の間に形成され、第1容量電極332、第2容量電極322及び第3容量電極341により、
図6の回路図における容量241が形成されている。
【0031】
図9は、
図7のIX−IX線に断面について概略的に示す図である。この断面図に示されるように、駆動トランジスタチャネル電極331は、絶縁層166上で画像信号線312と同一の層に形成された形成された高基準電位線311と、コンタクトホール393を介して接続されると共に、アクリルやポリイミド等の樹脂からなる平坦化膜168上に形成されたアノード電極350に、コンタクトホール392を介して接続されている。駆動トランジスタチャネル電極331における、画素トランジスタチャネル電極321との重畳部分は、半導体部339となっている。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動トランジスタ230の半導体部339及び画素トランジスタ220の半導体部329が、それぞれ第1層(331,332)及び第2層(321,322)に形成されているため、より大きな容量電極を形成することができ、より安定的に電位差を保持し、より高い品質で表示することができる。また、各副画素212において空間を効率的に利用できるため、高精細化された場合であっても、より大きな容量電極とすることができ、高い品質で表示することができる。
【0033】
なお、上述の実施形態においては、第3容量電極341を有する構造としているが、第1容量電極332及び第2容量電極322により十分な容量が形成できる場合には、第3容量電極341を有さなくともよい。また、上述の実施形態においては、各副画素212にトランジスタが2つある場合で、半導体層を2層である場合について記載したが、トランジスタを3つ以上有するものであってもよいし、半導体層が3層以上であってもよい。
【0034】
図10は、上述の実施形態の比較例について示す図である。
図10の比較例においては、駆動トランジスタ230の半導体部339と画素トランジスタ220の半導体部329が同一の層に形成されている。このように半導体部339及び329が同一の層に形成されることとなると、画素トランジスタチャネル電極321と第3容量電極341を接続するための、ジャンパ配線417及びコンタクトホール491及び492を必要とすることとなる。これはコンタクトホールを開けるプロセスを同時に行って製造効率を上げるために必要となるものであるが、副画素212の構造を複雑化し、製品の歩留りを悪化させる原因となる。また、画素トランジスタチャネル電極321と駆動トランジスタチャネル電極331とが同一層に形成されるため、これらの層と同一の層に形成される容量電極は、1つのみとなるだけでなく、容量電極の大きさが小さくなるため、十分な容量が確保できない恐れがある。
【0035】
しかしながら、
図7に示されるような上述の実施形態の構成によれば、画素トランジスタチャネル電極321と駆動トランジスタチャネル電極331とが異なる層に形成されるため、それぞれの層に容量電極を設けることができると共に、それぞれの層における容量電極の大きさを大きくすることができる。また、画素トランジスタ220のソース又はドレインが別の駆動トランジスタのゲートとなっているため、
図10のジャンパ配線417等を備える必要がなく、効率のよい配線及び製造工程とすることができる。したがって、副画素212内の回路において、より安定的に電位差を保持させることができ、より高い品質で表示することができると共に、歩留りを向上させることができる。
【0036】
図11は、
図7と同様の視野による、上述の実施形態の第1の変形例について示す図である。第1の変形例において、上述の実施形態と異なる点は、第2容量電極322及び第3容量電極341が高基準電位線311と重畳する領域にまで延びている点で異なる他は
図7と同様である。このように定電位が印加される高基準電位線311と重畳された第2容量電極322及び第3容量電極341を有することにより、第2容量電極322及び第3容量電極341で保持される電位をより安定させることができるため、より高い品質で表示させることができる。また、この第1の変形例においても、第3容量電極341を有さない構成とすることができ、この場合には、第2容量電極322のみが高基準電位線311と重畳する構成とし、電位を安定させ、高い品質で表示させることができる。
【0037】
図12は、
図7と同様の視野による、上述の実施形態の第2の変形例について示す図である。第2の変形例において、上述の実施形態と異なる点は、コンタクトホール394がなく、第1容量電極332は画像信号線312と接続されておらず、その代りに第1容量電極332は、駆動トランジスタチャネル電極331の有機EL素子130側(p型の半導体を用いて形成される場合には駆動トランジスタ230のドレイン側)と接続されている点である。このような構成とすることにより、第1容量電極332、第2容量電極322及び第3容量電極341は、
図6の回路図における容量242を形成する。容量242を、より大きな容量として形成することによっても、より安定的に電位差を保持し、より高い品質で表示することができる。したがって、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、
図12の第2の変形例においても、
図11の第1の変形例と同様に、第2容量電極322及び第3容量電極341を高基準電位線311と重畳されるように形成してもよく、この場合にも第1の変形例と同様の効果を得ることができる。また、第2の変形例においても、第3容量電極341を有さない構成とすることができる。なお、駆動トランジスタ230が、n型の半導体を用いて形成される場合には、第1容量電極332は駆動トランジスタ230のソース側と接続される。
【0038】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
100 有機EL表示装置、120 TFT基板、125 封止膜、130 有機EL素子、135 画素分離膜、150 対向基板、160 TFT回路層、161 下地膜、163 絶縁層、165 絶縁層、166 絶縁層、168 平坦化膜、181 FPC、182 駆動IC、205 表示領域、210 画素、212 副画素、220 画素トランジスタ、221 充填剤、222 シール剤、230 駆動トランジスタ、241 容量、242 容量、311 高基準電位線、312 画像信号線、321 画素トランジスタチャネル電極、322 第2容量電極、329 半導体部、331 駆動トランジスタチャネル電極、332 第1容量電極、339 半導体部、341 第3容量電極、342 走査信号線、350 アノード電極、391 コンタクトホール、392 コンタクトホール、393 コンタクトホール、394 コンタクトホール、395 コンタクトホール、417 ジャンパ配線、491 コンタクトホール、492 コンタクトホール。