(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンピュータ同士またはその周辺機器との接続に、有線による接続に代えて、所定の通信プロトコルに基づく無線通信による接続が普及してきている。この種の代表的な無線通信プロトコルは、ブルートゥース(Bluetooth;登録商標)である。Bluetoothは、多様なデバイスにおける無線通信を実現するために、その接続サービス毎に多数の接続プロファイルが規定されている。各Bluetooth対応デバイスはそれが利用できる1つまたは複数の接続プロファイルを持っており、同じプロファイルを持ったデバイス同士が通信できるようになっている。Bluetoothにおける代表的なプロファイルには、オーディオ音声をレシーバー付きヘッドフォン(またはイヤホン)に伝送するためのA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、AV機器のリモコン機能を実現するためのAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)、インターネットにダイアルアップ接続するためのDUN(Dial−up Networking Profile)、ハンズフリー通話において音声データを同期型パケットで通信を制御するためのHFP(Hands−Free Profile)、マウスやキーボード等の入力装置を無線化するためのHID(Human Interface Device Profile)などが存在する。
【0003】
例えば、車両に搭載されたBluetoothモジュールを備えた車載器とスマートフォンなどのBluetoothモジュールを備えた携帯端末とを、このBluetoothによる無線通信を用いて接続し、車載器と携帯端末が共にA2DPに対応している場合、このA2DPによる通信を確立し、携帯端末に記憶されたオーディオデータを車載器で再生することが可能となり、また、車載器と携帯端末が共にHFPに対応している場合、HFPによる通信を確立し、車載器でハンズフリー通話が可能となる。このように、近年の車載器は、Bluetooth通信によりスマートフォンを接続させることで、様々な機能を充実させることができる。
【0004】
このような2つのデバイス間で通信を可能にするためには、ペアリングと呼ばれる初期接続設定を行う必要がある。このペアリングを行うことで、2つのBluetooth機器間での通信を行うことが可能な状態になる。上記の例のように車載器にBluetooth対応デバイスである携帯端末をペアリングするとき、以下のようなペアリング手順が必要となる。
1)携帯端末を操作し、ペアリング可能な状態にする。このペアリング可能な状態にすることで、他のBluetooth対応デバイスからこの携帯端末が検出可能な状態となる。
2)車載器を操作し、所定のBluetooth設定画面から、周辺のBluetooth対応デバイスの検索開始の操作を行う。検索操作が行われることで、車載器のBluetooth通信が可能な領域内に存在する他のBluetooth対応デバイスを検索する。
3)車載器の表示部に検索された1つまたは複数の他のBluetooth対応デバイスの一覧がリスト表示される。このとき、リストには検索された他のBluetooth対応デバイスの機器名称であるデバイスネームが一覧となって表示される。
4)ユーザは、該一覧リストの中から接続したい携帯端末を、デバイスネームを参照し、選択する。
5)選択すると、車載器から携帯端末にパスキーの入力要求が発信され、携帯端末の表示部にパスキーの入力画面が表示される。このパスキーの入力は、通信接続の乱用を防ぐためのセキュリティ認証のために必要となる。
6)パスキーの入力により、選択された携帯端末と車載器の間で周知のペアリングシーケンス処理を開始し、接続を確立する。
7)ペアリングが成立すれば、以後、選択した携帯端末との通信が可能となる。
一度上記ペアリングを行い、ペアとなった2つのデバイスはお互いにBluetoothモジュールの固体番号(Bluetooth Device Address;BDA)、デバイスネーム、を登録しておき、以後、1)〜7)の操作をすることなく、自動的にこれらのデバイス間の接続を確立し、通信可能な状態にすることができる。
なお、Bluetoothのバージョンによっては、手順5)のパスキーの入力が簡素化され、デバイス間でランダムに作成されたパスキーを共有することで、手順6)のペアリングシーケンスが開始されるようになっているものも存在する。
【0005】
上述するように、ペアリングには、多くの操作手順を行う必要があり、ユーザは設定手順が複雑で分かりづらく、難しいと感じる。また、手順3)で表示されるリストから所望のデバイスを選択するときにおいても、周囲に多数のデバイスが存在している場合には、その中から接続したいデバイスを探すことは大変苦労し、さらに、同一名称のデバイスネームが存在している場合、どちらを選択すればよいか分らないという問題がある。
【0006】
このような問題に関連して、マスターデバイスで受信されるスレーブデバイスからの信号の電波強度に基づき、その最も近い位置にあるデバイスを特定し、この情報に基づき、ペアリングを実現するデバイスを判断する技術が特許文献1に開示されている。
また、第2の電子デバイスから問い合わせ信号を送信し、最初に問い合わせ信号に応答した第1の電子デバイスを特定し、この特定された第1の電子デバイスとの間で接続を開始する技術が特許文献2に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述する特許文献1および特許文献2は、ともに最も近いデバイスとのペアリングの確立を容易にする技術であり、ペアリングしたいデバイス同士が、最も近い位置にあることは必ずしも保障されず、他方、ユーザがペアリングを所望しないBluetooth対応デバイスが、マスターデバイスの最も近い位置に置かれている場合もあり、そのようなときには、目的のBluetooth対応デバイスとのペアリングが簡単に実現できない。現在でもBluetoothが規定する接続プロファイルは多種多様であり、その対応デバイスも増加の傾向があり、このような状況が発生する確率は必ずしも低くはない。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ペアリング時における、ユーザの操作手順を簡素化するとともに、ユーザが所望するデバイスと確実にペアリングすることが可能となる通信システムおよび電子装置、ペアリング方法、ペアリングプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信システムは、無線通信プロトコルに従い、第1の電子装置と第2の電子装置間の無線接続を確立しデータの送受を行う通信システムであって、前記第1の電子装置は、前記第2の電子装置が要求する前記第1の電子装置の名称情報を発信する発信手段を有し、前記第2の電子装置は、前記名称情報を検索する検索手段と、前記検索手段により前記名称情報が検索されたとき、前記名称情報を発信した前記第1の電子装置との無線接続を確立する接続確立手段と、を有する。
【0011】
さらに、前記第1の電子装置は、予め前記第1の電子装置に設定されている初期の名称情報を記憶する名称情報記憶手段と、前記名称情報記憶手段に記憶されている初期名称情報を前記第2の電子装置が要求する前記名称情報に変更する変更手段と、を有し、前記発信手段は、前記変更手段により変更された前記名称情報を発信する。さらに、前記第1の電子装置は、前記変更手段を制御するアプリケーションソフトウェアをさらに有し、前記変更手段は、前記アプリケーションソフトウェアが起動されたときに、前記名称情報記憶手段に記憶されている前記初期名称情報から前記名称情報への変更を行う。
【0012】
好ましくは、前記発信手段は、前記名称情報を発信するとき、少なくとも前記第1の電子装置固有の識別情報も同時に発信し、前記接続確立手段は、前記名称情報と前記識別情報に基づき、前記第1の電子装置との無線接続を確立する。
さらに、前記第1の電子装置は、前記変更手段が前記名称情報を変更する前に、前記名称情報記憶手段に記憶されている前記初期名称情報を一時的に記憶させる補助記憶手段を、有し、前記変更手段は、前記名称情報を変更するとき、前記名称情報記憶手段に記憶されている前記初期名称情報を前記名称情報に書き換えて変更し、前記発信手段は、前記識別情報と前記名称情報記憶手段に記憶されている前記名称情報の発信に加え、前記補助記憶手段に記憶されている前記初期名称情報も同時に発信する。
また、前記変更手段は、前記接続確立手段により前記第1の電子装置との無線接続が確立されると、前記名称情報記憶手段に記憶されている前記名称情報を、前記補助記憶手段に記憶する前記初期名称情報に書き換えて変更する。
【0013】
さらに、前記第2の電子装置は、前記接続確立手段により前記第1の電子装置との無線接続を確立すると、少なくとも前記第1の電子装置から発信された前記識別情報を登録する登録手段を、有する。また、前記第2の電子装置は、前記第1の電子装置と前記第2の電子装置間の無線接続を確立する処理を自動で行うペアリングモードを設定する設定手段を、さらに有し、前記検索手段は、前記設定手段によりペアリングモードが設定されたときに、前記名称情報を検索する。
【0014】
好ましくは、前記第2の電子装置は、前記登録手段によって前記識別情報が登録されているか否かを判断する判断手段を、さらに有し、前記判断手段の判断結果により前記識別情報が登録されていない場合、前記設定手段は、前記ペアリングモードを設定し、前記判断手段の判断結果により前記識別情報が登録されている場合、前記接続確立手段は、前記登録されている識別情報を有する電子装置と無線接続を確立する。また、前記設定手段は、前記第2の電子装置の電源が起動されたときに、前記ペアリングモードを設定し、もしくは、前記設定手段は、前記第2の電子装置の電源が初めて起動されたときにのみ、前記ペアリングモードを設定する。さらに、前記設定手段は、ユーザ操作に応答して、前記ペアリングモードを設定することもできる。
なお、前記接続確立手段は、前記検索手段により検索された前記名称情報が複数存在する場合、最先に検索された前記名称情報を有する前記第1の電子装置との無線接続を確立する。
【0015】
好ましくは、前記無線通信プロトコルは、ブルートゥースによる通信プロトコルであり、前記第1の電子装置および前記第2の電子装置は、ともに、ブルートゥースの通信モジュールを有し、前記通信モジュールを介して、前記無線通信を行う。さらに、前記登録手段は、前記第2の電子装置が対応しているブルートゥースのプロファイル情報毎に前記識別情報を登録可能である。なお、前記識別情報は、前記通信モジュール固有のアドレス情報である。
また、前記第1の電子装置および前記第2の電子装置は、一方がスレーブ側の電子装置に設定されているとともに、他方がマスター側の電子装置に設定されている。
【0016】
本発明の通信システムのペアリング方法は、無線通信プロトコルに従い、第1の電子装置と第2の電子装置間の無線接続を確立するための通信システムのペアリング方法であって、前記第1の電子装置は、前記第2の電子装置が要求する前記第1の電子装置の名称情報を発信するステップを有し、前記第2の電子装置は、前記名称情報を検索するステップと、前記検索ステップにより前記名称情報が検索されたとき、前記名称情報を発信した前記第1の電子装置との無線接続を確立するステップと、を有する。
【0017】
本発明の通信システムのプログラムは、無線通信プロトコルに従い、第1の電子装置と第2の電子装置間の無線接続を確立するための通信システムのプログラムであって、前記第1の電子装置は、前記第2の電子装置が要求する前記第1の電子装置の名称情報を発信するステップを有し、前記第2の電子装置は、前記名称情報を検索するステップと、前記検索ステップにより前記名称情報が検索されたとき、前記名称情報を発信した前記第1の電子装置との無線接続を確立するステップと、を実行させる。
【0018】
本発明の電子装置は、無線通信プロトコルに従い、他の電子装置との無線接続を確立しデータの送受を行う電子装置であって、他の電子装置を検索するとき、検索対象とする特定の名称情報を予め記憶する検索名称記憶手段と、前記他の電子装置から発信される1または複数の名称情報から前記特定の名称情報を検索する検索手段と、前記検索手段により前記特定の名称情報が検索されたとき、前記名称情報を発信した前記他の電子装置との無線接続を確立する接続確立手段と、を有する。
【0019】
本発明の電子装置は、無線通信プロトコルに従い、他の電子装置との無線接続を確立しデータの送受を行う電子装置であって、予め設定されている名称情報を記憶する名称情報記憶手段と、前記他の電子装置との無線接続を支援するアプリケーションソフトウェアと、前記アプリケーションソフトウェアが起動されたとき、前記名称情報記憶手段に記憶されている初期名称情報を前記他の電子装置が要求する名称情報に変更させる変更手段と、前記変更手段により変更した前記名称情報を発信する発信手段と、前記他の電子装置からの接続要求に従い、前記他の電子装置との無線接続を確立する接続確立手段と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1の電子装置と第2の電子装置間のペアリングを行うときに、第2の電子装置が要求する第1の電子装置の名称情報を第1の電子装置が発信するようにしたので、第2の電子装置がペアリング対象となる第1の電子装置を自動で特定することができ、煩雑な操作なく簡単に、所望するデバイスとのペアリングを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態は、車内に持ち込まれた情報端末を、AV再生、放送受信およびナビゲーション機能などを搭載した車載器と、Bluetooth規格に基づき、ペアリングさせて利用する形態に係る。
例えば、BluetoothのA2DPに従ってこれら機器を接続することで、情報端末上の楽曲を車載器側で再生出力可能にする。また、HFPに従ってこれら機器を接続することで、情報端末に着信した通話を、車載器側に接続したヘッドセットを通して受けることができるようになる。さらに、DUNに従ってこれらの機器を接続することで、車載器を情報端末の公衆回線接続機能を介してインターネットに接続し、車載器が実装している情報提供サービスが利用できるようになる。
ここで情報端末は、情報を処理することができる通信機能を備えた多機能型のポータブルな端末であり、例えば、携帯電話機、スマートフォン、パームトップ型パーソナルコンピュータ、ラップトップ型パーソナルコンピュータなどである。
一方、車載器は、車両に搭載された電子装置であって、オーディオ/ビデオ再生機、テレビ/ラジオ放送受信機、ナビゲーション装置、ナビゲーションシステム、車載システムなどを含むことができる。もっとも本発明の技術は、ここに示されるBluetooth規格に係る通信システムに限定されず、他の無線通信プロトコルに係る通信システムにおいても利用しうるものである。
以下、Bluetoothの通信規格に対応した電子装置をBT対応機器と省略して説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。同図において、通信システム1は、情報端末10と車載器20とを含んで構成され、Bluetooth規格による近距離無線通信(以下、Bluetooth接続)30により接続可能になっている。情報端末10は、通信機能を備えた多機能型のスマートフォンであり、車載器20は、ナビゲーション機能やマルチメディア機能、ハンズフリー機能を備え、共にBT対応機器である。車載器20がマスター、情報端末10がスレーブとなり、Bluetooth接続30により各種データ通信を行う。
【0024】
Bluetooth接続30は、情報端末10および車載器20の両方に対応した接続プロファイル(例えば、HFP、A2DP、DUN)を含む。情報端末10と車載器20は、共通の1つまたは複数の接続プロファイルのBluetooth接続30によりペアリング可能となり、各種データ通信を行うことができる。これら機器のペアリングの具体的な手順は後述する。なお、情報端末10および車載器20は、他のデータ交換通信手段、例えばUSB(Universal Serial Bus)による有線接続、無線LAN接続などを備えるものであってもよい。
【0025】
図2は、情報端末10の典型的な構成を示すブロック図である。情報端末10は、ユーザからの入力を受け取る入力部110、音声を出力する音声出力部111、ディスプレイに種々の画像や情報を表示する表示部112、外部のネットワークとのデータ通信、および公衆無線回線網を介しての電話機との通信等を可能にする通信部120、他の電話機との通話等を行う電話機能部121、Bluetooth接続30により車載器20との接続を可能にする通信接続部140、オーディオデータ、ビデオデータ、地図データなどを記憶するデータメモリ160、情報端末10が保有するアプリケーションソフトウェア、プログラム等を格納するプログラムメモリ161、情報端末10の各部を制御する制御部170、各部を接続するバス190と、を備えている。
【0026】
入力部110は、情報端末10における各種指示操作を受け付けるためのものであり、各種ボタンや表示部112のディスプレイの表面に取り付けられたタッチパネル、音声入力可能なマイクロフォン等により構成され、操作内容に応じた操作信号を制御部170に出力する。
【0027】
音声出力部111は、情報端末10の各部から提供される音声データを、D/A変換し、アンプやスピーカを介して、音声出力する。表示部112は、情報端末10の各部から提供される画像データや映像データを、選択的にディスプレイに表示させる。
【0028】
通信部120は、外部のネットワーク網に接続し、各種データ通信を行い、また公衆無線回線網に接続し、電話機との通信等を可能にする。一例として、外部のネットワーク網に接続し、アプリケーションソフトウェアを取得し、それをデータメモリ160やプログラムメモリ161に記憶させることができる。
電話機能部121は、入力部110のマイクロフォンや音声出力部111のスピーカなどを用いて、通信部120を介して公衆無線回線網に接続した電話機との通話等を行う。
【0029】
通信接続部140は、各種無線通信モジュールにより構成され、他のBT対応機器との無線接続および無線通信を制御する接続機能部141と、無線通信モジュール固有の情報を記憶する情報メモリ142を含んでいる。この通信接続部140を介して、接続された他のBT対応機器とデータの送受信を行う。以下の説明では、無線通信モジュールの一例としてBluetoothの通信モジュールである例を説明する。
接続機能部141は、他のBT対応機器とペアリングにおける各種機能を制御すると共に、ペアリングされた機器とのBluetoothによる各種データ通信を制御する。
【0030】
情報メモリ142は、情報端末10に備えられた無線通信モジュール固有のアドレス情報(Bluetoothアドレス;以下BTアドレス)、任意の文字列により設定されるBluetooth機器名称(以下、BT機器名称)を記憶する。なお、情報メモリ142は、後述するBT機器名称変更部151により、BT機器名称が変更されたとき、変更される前のBT機器名称(旧BT機器名称)も合わせて記憶させておくことができる。
BTアドレスは、無線通信モジュールが製造されたときに割り当てられた固有の識別情報であり、通常16進法(例えば00:D0:51:63:CB:9F)で表現され、ユーザが変更することはできない固有値である。BT機器名称は、ユーザが自由に設定可能な名称情報であり、他のデバイスから区別できるような名称を設定することができる。このBT機器名称は、文字列(英数文字)によって構成される。
なお、以下の説明では、BTアドレスやBT機器名称は、この情報メモリ142に記憶されている例を説明するが、データメモリ160に記憶させておくこともでき、BTアドレスとBT機器名称のどちらか一方を情報メモリ142に記憶させ、他方をデータメモリ160に記憶させるようにしてもよい。また、旧BT機器名称においても、情報メモリ142に記憶させておく他、データメモリ160に記憶させておくようにすることもできる。
【0031】
データメモリ160は、オーディオデータ、ビデオデータ、地図データ、電話機能に用いられる電話帳データなど情報端末10の各種機能を実行するために必要な情報を記憶する。さらに、過去にペアリングされたBT対応機器の情報を、登録BT情報として記憶する。プログラムメモリ161には、種々のアプリケーションやプログラムが格納される。例えば、オーディオデータやビデオデータを再生するプログラム、通信部120を介してインターネット上の情報をブラウズするためのプログラム、電話するためのプログラムなどが格納される。また、プログラムメモリ161は、Bluetooth接続時のペアリング設定を支援するアプリケーションソフトウェア(以下、ペアリング支援アプリ)が格納される。このペアリング支援アプリは、通信部120を介してダウンロードすることやSDカードなどの外部ストレージから読み込むことで、データメモリ160に格納することができる。好ましい態様では、ペアリング支援アプリが実行されたとき、情報端末10は、車載器20が必要とするBT機器名称を発信するように制御され、ペアリング支援アプリが実行されないとき、情報端末10は、予め設定されているBT機器名称を発信するように制御される。
【0032】
制御部170は、中央処理装置、マイクロコンピュータ、またはマイクロプロセッサなどの装置を含み、プログラムメモリ161に記憶されたプログラムを実行し、情報端末10の各部を制御する。
【0033】
次に、
図3は、車載器20の典型的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、車載器20は、ユーザからの入力を受け取る入力部210、音声を出力する音声出力部211、各種メディアの再生情報やナビゲーション情報などが実行されるアプリケーションに係る各種情報を表示する表示部212、目的までの誘導案内等を実行するナビゲーション部220、種々のメディアの再生等を実行するマルチメディア部221、ハンズフリー通話を可能にするハンズフリー部222、Bluetooth接続30により情報端末10との接続を可能にする通信接続部240、オーディオデータ、ビデオデータ、地図データ等のデータを記憶するデータメモリ260、アプリケーション等を実行するためのプログラムを格納するプログラムメモリ261、車載器20の各部を制御する制御部270、各部を接続するバス290を備えている。
【0034】
入力部210は、車載器20における各種指示操作を受け付けるためのものであり、各種ボタンや表示部212のディスプレイの表面に取り付けられたタッチパネル、音声入力可能なマイクロフォン等により構成され、操作内容に応じた操作信号を制御部270に出力する。
【0035】
音声出力部211は、各部から提供される音声データを、D/A変換し、アンプやスピーカを介して、音声出力する。表示部212は、各部から提供される画像データや映像データを、選択的にディスプレイに表示させる。
【0036】
ナビゲーション部220は、GPS衛星や自律航法センサを用いて、自車位置を算出する自車位置算出機能、目的地までの最適な経路を探索する経路探索機能、探索された経路の誘導案内を行う誘導案内機能などを実行する。ナビゲーション部220が動作されるとき、制御部270は、誘導案内時の音声案内を音声信号として音声出力部211に出力したり、自車位置周辺の地図画像を生成し、映像信号として表示部212に出力したりする。
【0037】
マルチメディア部221は、CD、DVD、ブルーレイディスク、メモリ媒体、データメモリ260などに記憶されたオーディオデータやビデオデータを再生する機能、テレビ放送やラジオ放送を受信する機能などを有し、音声データを音声出力部211に、映像データ、画像データを表示部212に出力する。
ハンズフリー部222は、入力部210にマイクロフォンや音声出力部211のスピーカなどの入出力部を用いてハンズフリーを可能にし、接続された情報端末10の通話機能を利用して音声通話を行う。
【0038】
通信接続部240は、各種無線通信モジュールにより構成され、他のBT対応機器との無線接続および無線通信を制御する接続機能部241と、無線通信モジュール固有の情報を記憶する情報メモリ242を含んでいる。この通信接続部240を介して、接続された他のBT対応機器とデータの送受信を行う。以下の説明では、無線通信モジュールの一例としてBluetoothの通信モジュールである例を説明する。
接続機能部241は、他のBT対応機器とペアリングにおける各種機能を制御すると共に、ペアリングされた機器とのBluetoothによる各種データ通信を制御する。
【0039】
情報メモリ242は、車載器20に備えられた無線通信モジュール固有のBTアドレス、任意の文字列により設定されるBT機器名称を記憶する。
なお、以下の説明では、BTアドレスやBT機器名称は、この情報メモリ242に記憶されている例を説明するが、データメモリ260に記憶させておくこともでき、BTアドレスとBT機器名称のどちらか一方を情報メモリ142に記憶させ、他方をデータメモリ160に記憶させるようにしてもよい。
【0040】
データメモリ260は、オーディオデータ、ビデオデータ、地図データ、電話機能に用いる電話帳データなど車載器20の各種機能を実行するために必要な情報を記憶する。また、必要に応じて情報端末10から取得されたデータを記憶することができる。さらに、過去にペアリングされたBT対応機器の情報を、登録BT情報として記憶する。プログラムメモリ261には、ナビゲーション部220やマルチメディア部221、ハンズフリー部222を制御するプログラムに加え、情報端末10との間の通信接続を制御するプログラムなどが記憶される。
【0041】
制御部270は、中央処理装置、マイクロコンピュータ、またはマイクロプロセッサなどの装置を含み、プログラムメモリ261に記憶されたプログラムを実行し、車載器20の各部を制御する。
【0042】
次に、
図4は、情報端末10の接続機能部141と、車載器20の接続機能部241の内部構成を示すブロック図である。但し、同図には、両通信機器間でBluetooth接続30時のペアリングを実現するための機能ブロックのみを示している。
【0043】
情報端末10の接続機能部141は、アプリ起動検知部150、Bluetooth(BT)機器名称変更部151、Bluetooth(BT)情報送信部152、接続確立実行部153、ペア機器登録部154を備えている。
一方、車載器20の接続機能部241は、動作検知部250、ペアリングモード設定部251、Bluetooth(BT)機器検索部252、Bluetooth(BT)機器特定部253、接続確立実行部254、ペア機器登録部255と、を備えている。
【0044】
アプリ起動検知部150は、車載器20とのペアリング設定を支援するペアリング支援アプリが制御部170によって起動されたことを検知する。このペアリング支援アプリは、ユーザ操作に応答し、起動される。
【0045】
BT機器名称変更部151は、アプリ起動検知部150により、ペアリング支援アプリが起動されると、情報メモリ142に記憶されるBT機器名称を、特定の名称に変更し、情報メモリ142のBT機器名称を書き換える。この特定の名称は、BT機器名称変更部151に予め設定されており、例えば「APN BT SETTING」という名称に変更する。ここで、この特定の名称は、他のBT機器名称と区別可能なように設定しておくことが望ましい。他の態様では、ペアリング支援アプリが特定の名称に関する情報を含み、ペアリング支援アプリが起動されたとき、特定の名称がBT機器名称変更部151にロードされ、または生成されるようにしてもよい。この場合、ペアリング支援アプリがBT機器名称変更部151の機能を包含するものであってもよい。また、BT機器名称変更部151は、上述するようにBT機器名称を変更する前に、変更前の旧BT機器名称を情報メモリ142に記憶させておくことができる。さらに、BT機器名称変更部151は、後述する接続確立実行部153により他のBT対応機器と通信接続が確立されると、情報メモリ142のBT機器名称を旧BT機器名称に戻す。
【0046】
例えば、情報メモリ142に予めBT機器名称に「DeviceA」という名称が記憶されていた場合、BT機器名称変更部151は、アプリ起動検知部150によりペアリング支援アプリの起動が検知されると、この「DeviceA」から「APN BT SETTING」に一時的にBT機器名称を変更する。このとき、変更前の「DeviceA」を、旧BT機器名称として情報メモリ142に記憶しておく。その後、ペアリング処理が行われ、情報端末10と車載器20の通信接続が確立すると、BT機器名称を変更した「APN BT SETTING」から「DeviceA」に変更する。
なお、BT機器名称変更部151は、情報メモリ142に記憶されるBT機器名称を書き換えずに、変更したBT機器名称をBT情報送信部152に提供するようにしてもよい。
【0047】
BT情報送信部152は、他のBT対応機器から送信されるBT情報の送信要求を受け、情報メモリ142に記憶されるBT情報(BT機器名称およびBTアドレス)を、送信要求を出したBT対応機器に送信する。例えば、BT情報送信部152は、車載器20からBT情報の送信要求を受けると、情報メモリ142に記憶されるBT情報を車載器20に送信する。なお、BT情報送信部152は、BT機器名称およびBTアドレスの他、変更する前の旧BT機器名称を合わせて送信することが望ましい。このBT情報送信部152が、他のBT対応機器からのBT送信要求を受け、そのBT対応機器に対してBT情報を返答可能な状態であるとき、自情報端末10が他のBT対応機器から検出可能な状態である。
なお、BT機器名称変更部151がBT機器名称を書き換えずに変更する場合には、BT機器名称変更部151から提供される変更したBT機器名称を送信する。
【0048】
接続確立実行部153は、他のBT対応機器からのペアリング要求を受信し、自情報端末10のBT情報(BT機器名称、BTアドレス、旧BT機器名称)を送信するとともに、ペアリング要求を送信したBT対応機器からBT情報(BT機器名称、BTアドレス)を取得する。その後、当該BT対応機器からパスキーを受信し、このパスキーを用いて、情報端末10との接続を確立する。例えば、接続確立実行部153は、車載器20からペアリング要求を受信すると、車載器20に対し自端末10のBT情報を送信するとともに、車載器20からもBT情報を取得する。その後、車載器20からパスキーを受信すると、このパスキーを用いて、車載器20とのBluetoothによる通信接続を確立する。
【0049】
ペア機器登録部154は、接続確立実行部153により通信接続が確立され、ペアとなったBT対応機器とリンクキーと呼ばれる固有のアクセスコードを共有し、このリンクキーとペアとなったBT対応機器のBT情報とを対応付け、登録BT情報としてデータメモリ160に記憶させ、登録する。例えば、ペア機器登録部154は、接続確立実行部153により車載器20との通信接続が確立され、ペアとなった車載器20とリンクキーを共有し、このリンクキーと車載器20のBT情報を対応付けて、データメモリ160に登録BT機器情報として記憶させる。ここで上記リンクキーは、ペア機器登録部154またはペア機器登録部255のいずれかで生成され、お互いに共有する。
【0050】
動作検知部250は、車載器20で実行される所定の動作が行われたことを検知する。具体的には、動作検知部250は、車載器20の電源が初回起動されたこと、データメモリ260にペアとなったBT対応機器が記憶されていること、ペアリングモードを設定する操作が入力部210に入力されたこと、などを検知する。動作検知部250は、初回起動か否かを、データメモリ260に記憶される初回起動フラグの情報を確認することで判断する。また、初回起動だけでなく、車載器20の電源が入れられたときを検知することもできる。
【0051】
ペアリングモード設定部251は、動作検知部250により所定の動作が検知されると、自動でBluetoothによる無線接続を確立するペアリングモードを設定する。このペアリングモードが設定されることで、他のBT対応機器とのペアリング処理が開始される。その後、他のBT対応機器とのペアリング処理が完了し、通信接続が確立されると、ペアリングモードを解除する。
【0052】
BT機器検索部252は、ペアリングモード設定部251がペアリングモードを設定すると、Bluetoothの通信領域内に存在する他のBT対応機器を検索する。具体的には、Bluetoothの通信領域内に存在する他のBT対応機器に対して、BT情報の送信要求を発信し、そのBT対応機器からの返答を受けることで、Bluetoothの通信領域内に存在するBT対応機器を検索する。例えば、BT機器検索部252は、車載器20のBluetoothの通信領域内に存在する情報端末10に対して、BT情報の送信要求を発信し、情報端末10からの返答として、情報端末10のBT情報を受信する。
【0053】
BT機器特定部253は、BT機器検索部252が送信したBT情報送信要求に対する返答としてBT情報を受信すると、当該受信したBT情報のBT機器名称が特定の名称(例えば「APN BT SETTING」)に一致するBT対応機器をペアリング対象として特定する。BT機器検索部252によって複数のBT対応機器が検索された場合には、特定の名称に一致するBT対応機器が特定される。一方、受信したBT情報のBT機器名称が特定の名称でない場合には、BT機器特定部253によるBT対応機器の特定は行われない。例えば、BT機器特定部253は、BT機器検索部252が送信したBT情報送信要求に対して情報端末10からBT情報を受信すると、受信した情報端末10のBT機器名称が、「APN BT SETTING」であるかを確認し、BT機器名称が「APN BT SETTING」である情報端末10をペアリングするBT対応機器として特定する。
【0054】
接続確立実行部254は、BT機器特定部253が特定したBT対応機器とのペアリングを実行し、Bluetoothによる通信接続を確立する。また、BT機器特定部253によるBT対応機器が特定されなかった場合には、従来手法により、ユーザ選択されたBT対応機器との通信接続が確立される。例えば、接続確立実行部254は、BT機器特定253により情報端末10がペアリングするBT対応機器として特定されると、情報端末10に対して、BT情報(BTアドレス、BT機器名称、旧BT機器名称)を要求する。そして、情報端末10から上記BT情報が返答されると、このBT情報に基づき、パスキーを生成し、情報端末10とこのパスキーを共有する。そして、接続確立実行部254は、このパスキーを用いて、情報端末10とのBluetoothによる通信接続を確立する。
【0055】
なお、接続確立実行部254は、パスキーを用いて、情報端末10との通信接続を確立する前に、
図5に示すような確認画面300を生成し、表示部212に表示させ、ユーザに確認させるようにすることも可能である。この確認画面300により、キー301の「はい」が押下されると、情報端末10とのBluetoothによる通信接続を確立する。一方、キー302の「いいえ」が押下されると、情報端末10とのBluetoothの接続処理を中止する。このとき、情報端末10の表示部112には、少なくとも確認画面300に表示されるパスキーと同じものが表示されている。
【0056】
ペア機器登録部255は、接続確立実行部254により通信接続が確立され、ペアとなったBT対応機器とリンクキーを共有し、このリンクキーとペアになったBT対応機器のBT情報とを対応付け、登録BT情報としてデータメモリ260に記憶させ、登録する。例えば、ペア機器登録部255は、接続確立実行部254により情報端末10との通信接続が確立され、ペアとなった情報端末10とリンクキーを共有し、このリンクキーと情報端末10のBT情報を対応付けて、データメモリ160に登録BT機器情報として記憶させる。
【0057】
次に、上記のように構成された情報端末10と車載器20間のペアリングの実行手順について、
図6から
図8を参照して説明する。
図6は、本実施例に係る通信システム1の情報端末10が行うペアリング手順の動作を示した図である。
まず、アプリ起動検知部150は、制御部170によってペアリング支援アプリが起動されたか否かを監視する(ステップS101)。ここで、ユーザ操作に応答し、ペアリング支援アプリが起動されると、アプリ起動検知部150は、ペアリング支援アプリが起動を検知したことをBT機器名称変更部151に知らせる。アプリ起動検知部150は、ペアリング支援アプリが起動されるまで、常時監視を続ける。
【0058】
アプリ起動検知部150によりペアリング支援アプリの起動が検知されると、BT機器名称変更部151は、情報メモリ142に記憶されるBT機器名称を特定の名称(例えば「APN BT SETTING」)に変更し、書き換える(ステップS103)。このとき、BT機器名称変更部151は、変更する前の旧BT機器名称を一時的に情報メモリ142に記憶させる。
続いて、BT機器名称変更部151がBT機器名称を変更すると、BT情報送信部152は、他のBT対応機器からのBT情報の送信要求に対して返答可能な状態にし、当該送信要求の受信の待機状態になる。つまり、他のBT対応機器から自情報端末10を検出可能な状態にし、待機する(ステップS105)。
【0059】
その後、他のBT対応機器からのBT情報の送信要求を受信すると、所定のペアリング処理を行う(ステップS107)。このペアリング処理については後述する。
そして、ステップS107のペアリング処理が完了すると、制御部170は、ステップS101にて起動が検知されたペアリング支援アプリを終了し、情報端末10のペアリング手順の処理を終了する(ステップS109)。
【0060】
次に、
図7は、本実施例に係る通信システム1の車載器20が行うペアリング手順の詳細動作を示した図である。
動作検知部250は、ユーザによって車載器20の電源がオンにされると、初回起動か否かを検知する。初回起動か否かは、初回起動フラグの情報をデータメモリ260に記憶しておき、そのフラグ情報を確認することで判断する(ステップS201)。または、初回起動か否かの判断は行わず、単に電源がオンされたか否かだけを判断することも可能である。
【0061】
動作検知部250が初回起動フラグ情報に基づき初回起動であることを検知すると、ペアリングモード設定部251は、ペアリングモードを設定する(ステップS203)。
一方、初回起動ではない場合、データメモリ260に記憶される登録BT情報を確認しBT対応機器が登録されているか否かを確認する(ステップS205)。ここで、BT対応機器が登録されていなければ、ステップS203に移行し、ペアリングモード設定部251によりペアリングモードが設定される。ステップS205でBT対応機器が登録されていれば、この登録されているBT対応機器との通信接続を試み、通信接続を確立する(ステップS207)。そして、制御部270は、ナビゲーション機能の地図画面やオーディオ機能の再生画面などの各種機能の初期画面を表示し、車載器20のペアリング手順の処理を終了する。
【0062】
ステップS203で、ペアリングモード設定部251によりペアリングモードが設定されると、次に、他のBT対応機器とのペアリング処理が開始される(ステップS209)。この、ペアリング処理については後述する。
そして、ステップS209のペアリング処理が完了すると、ペアリングモード設定部251は、設定したペアリングモードを解除し、制御部270は、ナビゲーション機能の地図画面やオーディオ機能の再生画面などの各種機能の初期画面を表示し、車載器20のペアリング手順の処理を終了する。
【0063】
図8は、本実施例に係る通信システム1の情報端末10が行うペアリング処理(ステップS107)と車載器20が行うペアリング処理(ステップS209)の動作を示した図である。なお、以下のペアリング処理の説明は、本実施例に係る通信システム1の情報端末10と車載器20で行われる処理のみを記載する。
車載器20は、ステップS203によりペアリングモードが設定されると、BT機器検索部252は、周辺の他のBT対応機器を検索するため、車載器20のBluetoothの通信領域内の情報端末10に対して、BT情報の送信要求を発信する(ステップS301)。一方、情報端末10は、ステップS105により検出可能な状態で待機しているときに、車載器20からBT情報の送信要求を受信すると、BT情報送信部152は、情報メモリ142に記憶されるBT情報(BT機器名称およびBTアドレス)を読み出す(ステップS303)。そして、BT情報送信部152は、読み出したBT情報を、車載器20に返答する(ステップS305)。
【0064】
続いて、BT機器特定部253は、情報端末10から提供されたBT情報のBT機器名称が所定の名称であるかを確認し、情報端末10から提供されたBT機器名称が所定の名称であれば、情報端末10をペアリングするBT対応機器として、特定する(ステップS307)。具体的に、BT機器特定部253は、情報端末10から提供されたBT情報のBT機器名称(「APN BT SETTING」)が所定の名称(「APN BT SETTING」)であるため、当該情報端末10をペアリングするBT対応機器として特定する。
BT機器特定部253がペアリングするBT対応機器を特定すると、接続確立実行部254は、ペアリングするBT対応機器として特定した情報端末10に対して、ペアリングを開始するペアリング要求を送信する(ステップS309)。情報端末10は、ペアリング要求を受信すると、情報メモリ142に記憶されるBT情報(BT機器名称、BTアドレス、旧BT機器名称)を読み出し、車載器20に送信するとともに、車載器20の情報メモリ242に記憶されるBT情報(BT機器名称、BTアドレス)を取得する(ステップS311)。
【0065】
接続確立実行部254は、情報端末10からBT情報を取得すると、このBT情報から所定のパスキーを生成する(ステップS313)。そして、接続確立実行部254は、生成したパスキーを情報端末10に送信し、情報端末10の接続確立実行部153とパスキーを共有化する。
そして、接続確立実行部254は、共有化したパスキーに基づき、情報端末10とのBluetoothによる無線通信接続を確立する(ステップS317)。このとき、接続確立実行部153も同様に、共有化したパスキーに基づき、車載器20とのBluetoothによる無線通信接続を確立する(ステップS319)。このように、双方の接続確立実行部153、254がそれぞれ無線通信接続を確立し、ペアリングされる(ステップS321)。
【0066】
ステップS321で、情報端末10とペアリングされた車載器20は、情報端末10および自車載器20のBT情報、パスキーに基づき、リンクキーを生成し、情報端末10に送信し、リンクキーを共有する(ステップS323)。または、情報端末10がリンクキーを生成し、車載器20に送信するようにしてもよく、それ以外の実施形態として、情報端末10および車載器20がそれぞれリンクキーを生成し、共有化するようにしてもよい。
【0067】
ステップS323でリンクキーの共有化が行われると、車載器20のペア機器登録部255は、共有化したリンクキーと情報端末10のBT情報を対応付けて、データメモリ260に登録BT機器情報として記憶する(ステップS325)。同様に、情報端末10のペア機器登録部154は、共有化したリンクキーと車載器20のBT情報を対応付けて、データメモリ160に登録BT機器情報として記憶する(ステップS327)。
このようにして、情報端末10と車載器20のペアリング処理(S107、S209)が行われる。
【0068】
上述する
図6から
図8のペアリング実行手順により、情報端末10と車載器20間のペアリングが行われ、Bluetoothの無線接続通信が確立されることで、情報端末10および車載器20は、通信接続部140および240を介して各種データ通信が可能となる。そして、情報端末10および車載器20が共にA2DPの接続プロファイルに対応している場合には、情報端末10に記憶される音楽データを車載器20にて再生することができ、またHFPの接続プロファイルに対応している場合には、情報端末10の電話通信機能を通じて、車載器20にて電話ができる。
【0069】
このように本実施例によれば、情報端末10に格納したペアリング支援アプリを起動しておき、その後に、車載器20を所定の動作によりペアリングモードにするだけで、車載器が自動的に所望の情報端末10を特定し、情報端末10と車載器20のペアリングが実行されるので、簡単な操作で情報端末10と車載器20とのペアリングを行うことが可能となるとともに、ユーザが所望する情報端末10と確実にペアリングすることができる。
【0070】
上述する実施例では、特に接続プロファイルに対することを考慮していないが、車載器20が複数の接続プロファイルに対応しており、登録BT情報を接続プロファイル毎に登録できる場合には、上述するペアリング処理を接続プロファイル毎に実施することも可能である。この場合、ステップS209でのペアリング処理を行う前に、どの接続プロファイルに対してペアリング処理を行うか否かを選択させる画面を表示させ、ユーザに選択させるようにして、選択された接続プロファイルに対してペアリング処理を実行する。また、ステップS205でデータメモリ260により登録BT情報を確認するとき、登録されていない接続プロファイルを確認し、登録されていない接続プロファイルに対してペアリング処理を実行し、登録されている接続プロファイルに対しては、登録されている登録BT情報に基づき、BT対応機器と接続することもできる。
【0071】
なお、上記実施例では、他のBT対応機器から検出可能な状態を、BT情報送信部152が、他のBT対応機器からのBT送信要求を受け、そのBT対応機器に対してBT情報を返答可能な状態であるときとしたが、これに限定されるわけではない。例えば、BT情報送信部152が、自情報端末10のBT情報をBluetoothの通信領域内に存在する他のBT対応機器に送信している状況であるときとしても可能である。
この場合、車載器20のBT機器検索部252は、周辺の他のBT対応機器から送信されるBT情報を受信することで、車載器20のBluetoothの通信領域内に存在する他のBT対応機器を検索する。そして、BT機器特定部253は、検索された1つまたは複数のBTアドレスから所定のBT機器名称を有する他のBT対応機器を特定する。
このように、BT対応機器の検索処理を変形することができる。
【0072】
また、上記実施例では、接続機能部141によりアプリ起動検知部150、BT機器名称変更部151、BT情報送信部152、接続確立実行部153、ペア機器登録部154が制御される例を示したが、データメモリ160に記憶されたペアリング支援アプリによりこれらが制御されるようにしてもよく、さらには、ペアリング支援アプリによりこれらのうち一部のみが制御されるようにしてもよい。
【0073】
なお、上述する本発明によるペアリング手順において、車載器20は、車載器20が初回起動されたときと、登録BT情報に過去に登録(接続)されたBT対応機器が存在しない場合に、ペアリングモード設定部251によりペアリングモードを設定するようにしたが、ユーザ操作によりいつでもペアリングモードを設定することができる。また、ユーザ操作により従来のペアリング手順も行うことが可能である。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について記述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上記実施例では、Bluetooth規格に基づくペアリング手順を例としたが、他の無線通信機器悪に基づくペアリングにおいて、本発明の技術を当然に利用できる。